JP3583693B2 - 耐火壁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は目地部を介して建てられた左右の建物の躯体間を耐火可能に覆う耐火壁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の耐火壁は目地部をU字状に覆う耐火帯の一側部を一方の建物の躯体に固定され、他側部を他方の建物の躯体に前後方向にスライド移動可能に取付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の耐火帯の他側部を前後方向にスライド移動可能に他方の建物の躯体に取付ける耐火壁は、地震等によって左右の建物が比較的小さな異なる前後左右方向の揺れ動きを吸収することができるが、免震ビルのように揺れ動き量を600〜700ミリメートルに設定された場合、大きな耐火帯を用いるため、スライド移動部分に大きな荷重が加わり、スライド移動が困難になるという欠点があった。
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、地震等によって左右の建物が異なる前後左右方向に大きく揺れ動いても、その揺れ動きにスムーズに追従して移動して、確実に目地部を耐火可能に覆うことができる耐火壁を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の床躯体にほぼU字状となるように両端部が固定され、該左右の建物が異なる前後方向に揺れ動いてもその揺れ動きに追従することができる耐火帯支持部材と、前記左右の建物の目地部側の床躯体に一端部がそれぞれ固定され、前記耐火帯支持部材に支持される他端部が所定量重なり合うように配置された一対の耐火帯とで耐火壁を構成している。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により、本発明を詳細に説明する。
【0008】
図1ないし図8に示す本発明の第1の実施の形態において、1は目地部2を介して建てられた左右の建物3、3の目地部側の床躯体3a、3a間を耐火可能に覆う本発明の耐火壁で、この耐火壁1は他方の床躯体3aにほぼU字状となるように両端部が固定され、該左右の建物3、3が異なる前後方向に揺れ動いても、その揺れ動きに追従することができる耐火帯支持部材4と、前記左右の建物3、3の目地部側の床躯体3a、3aに一端部がそれぞれ複数本のビス5等によって固定され、前記耐火帯支持部材4に支持される他端部が所定量重なり合うように配置された一対の耐火帯6、6とで構成されている。
【0009】
前記耐火帯支持部材4は図4に示すように、金属材でクランク状に形成された上端部が前記床躯体3a、3aに複数本のビス5等によって固定される一対の取付け板7、7と、この一対の取付け板7、7の下端部に所定間隔でU字状に配置された両端部が枢支ピン8、8に枢支された可撓性の金属材製の複数個の横桟9と、この複数個の横桟9に所定間隔で枢支ピン8によって枢支された複数個の縦桟10とで構成されている。
【0010】
前記一対の耐火帯6、6は図5に示すように、断熱あるいは断熱と遮音を図ることができる断熱材11と、この断熱材11を耐火あるいは耐火と遮音を図るように覆った耐火シート12、12とで構成されている。
【0011】
上記構成の耐火壁1は左右の建物3、3が地震等によって目地部2が広くなるように揺れ動いた場合には、図6に示すように耐火帯支持部材4のU字状の曲げが浅くなるように伸長するとともに、一対の耐火帯6、6の遊端部も重なり合った状態でU字状の曲げが浅くなるように伸長して、その揺れ動きを吸収する。
【0012】
目地部2が狭くなるように揺れ動いた場合には、図7に示すように耐火帯支持部材4のU字状の曲げが深くなるように曲がって収縮するとともに、一対の耐火帯6、6の遊端部も重なり合った状態でU字状の曲げが深くなるように曲がって収縮して、その揺れ動きを吸収する。
【0013】
左右の建物3、3が異なる前後方向に揺れ動いた場合、図8に示すように耐火帯支持部材4の一対の取付け板7、7は左右の床躯体3a、3aと一体になって前後方向に移動するが、複数個の横桟9や複数個の縦桟10は枢支ピン8で枢支されているため、スムーズに一対の取付け板7、7の移動方向に回動して、その揺れ動きに追従するとともに、一対の耐火帯6、6の重なり合っている遊端部は前後方向にスライド移動して、その揺れ動きを吸収することができる。
【0014】
【発明の異なる実施の形態】
次に、図9ないし図17に示す本発明の異なる実施の形態につき説明する。なお、これらの本発明の異なる実施の形態の説明に当って、前記本発明の第1の実施の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
図9ないし図11に示す本発明の第2の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は、鎖あるいはワイヤーの横桟9Aを使用した耐火帯支持部材4Aと、この耐火帯支持部材4Aの一対の取付け板7、7部位で一対の耐火帯6、6の一端部を固定した点で、このような耐火帯支持部材4Aを用いて構成した耐火壁1Aにしても、前記本発明の第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0016】
図12ないし図14に示す本発明の第3の実施の形態において、前記本発明の第2の実施の形態と主に異なる点は、一対の取付け板を用いることなく、横桟9Aの両端部を直接床躯体3a、3aにビス5等によって固定した耐火帯支持部材4Bを用いた点で、このような耐火帯支持部材4Bを用いて構成した耐火壁1Bにしても、前記本発明の第2の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0017】
図15ないし図17に示す本発明の第4の実施の形態において、前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は、一対の取付け板7、7と、この一対の取付け板7、7に両端部が枢支ピン8、8で枢支された両側部が傾斜面に形成された複数個の横桟9Bとからなる耐火帯支持部材4Cを用いるとともに、先端部が3重に重なり合う耐火帯6、6、6を用いた点で、このような耐火帯支持部材4Cや耐火帯6、6、6を用いて構成した耐火壁1Cにしても、前記本発明の第1の実施の形態と同様な作用効果が得られる。
【0018】
なお、前記本発明の各実施の形態では複数個の横桟9に所定間隔で枢支ピン8によって枢支された複数個の縦桟10を取付けた耐火帯支持部材4、4A、4B、4Cを用いるものに付いて説明したが、本発明はこれに限らず、横桟9を小さな間隔で多数個配置した、耐火帯支持部材を用いてもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0020】
(1)目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の床躯体にほぼU字状となるように両端部が固定され、該左右の建物が異なる前後方向に揺れ動いてもその揺れ動きに追従することができる耐火帯支持部材と、前記左右の建物の目地部側の床躯体に一端部がそれぞれ固定され、前記耐火帯支持部材に支持される他端部が所定量重なり合うように配置された一対の耐火帯とで構成されているので、地震等によって左右の建物が異なる前後左右方向に揺れ動いても、その揺れ動きに耐火帯支持部材および一対の耐火帯が隙間が生じることなく追従移動して、その揺れ動きを吸収することができる。
したがって、地震等の揺れ動きによって、損傷するのを確実に防止することができる。
【0021】
(2)前記(1)によって、一対の耐火帯の一端部を左右の建物の床躯体に固定し、他端部の遊端部を所定量重なり合うようにしているので、異なる前後方向に左右の建物が揺れ動いても、従来のように耐火帯の荷重による大きな抵抗でスライド移動が不能になったりすることなく、確実に一対の耐火帯を前後方向にスライド移動させることができる。
【0022】
(3)前記(1)によって、目地部を一対の耐火帯で覆っているので、一枚物に比べ軽量で、取付け作業を容易に行なうことができる。
【0023】
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の使用状態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う拡大断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の耐火帯支持部材の取付け状態の平面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の耐火帯支持部材の説明図。
【図5】本発明の第1の実施の形態の耐火帯の説明図。
【図6】本発明の第1の実施の形態の目地部が広くなった動作説明図。
【図7】本発明の第1の実施の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【図8】本発明の第1の実施の形態の異なる前後左右方向の動作説明図。
【図9】本発明の第2の実施の形態の使用状態の平面図。
【図10】図9の10−10線に沿う拡大断面図。
【図11】本発明の第2の実施の形態の耐火帯支持部材の説明図。
【図12】本発明の第3の実施の形態の使用状態の平面図。
【図13】図12の13−13線に沿う拡大断面図。
【図14】本発明の第3の実施の形態の耐火帯支持部材の説明図。
【図15】本発明の第4の実施の形態の使用状態の平面図。
【図16】図15の16−16線に沿う拡大断面図。
【図17】本発明の第4の実施の形態の耐火帯支持部材の説明図。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C:耐火壁、
2:目地部、 3:建物、
4、4A、4B、4C:耐火帯支持部材、
5:ビス、 6:耐火帯、
7:取付け板、 8:枢支ピン、
9、9A、9B:横桟、 10:縦桟、
11:断熱材、 12:耐火シート。

Claims (2)

  1. 目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の床躯体にほぼU字状となるように両端部が固定され、該左右の建物が異なる前後方向に揺れ動いてもその揺れ動きに追従することができる耐火帯支持部材と、前記左右の建物の目地部側の床躯体に一端部がそれぞれ固定され、前記耐火帯支持部材に支持される他端部が所定量重なり合うように配置された一対の耐火帯とからなることを特徴とする耐火壁。
  2. 目地部を介して建てられた左右の建物の目地部側の床躯体に固定された一対の取付け板、この一対の取付け板に所定間隔で両端部が枢支されたU字状に配置された可撓性の複数個の横桟、この複数個の横桟に所定間隔で枢支された複数個の縦桟とからなる耐火帯支持部材と、前記左右の建物の目地部側の床躯体あるいは前記耐火帯支持部材の一対の取付け板に一端部がそれぞれ固定された、該耐火帯支持部材に支持される他端部が所定量重なり合うように配置された一対の耐火帯とからなることを特徴とする耐火壁。
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