JP3420059B2 - 床用目地装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は目地部を介して建て
られた左右の建物の床部分の目地部を覆う床用目地装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の床用目地装置は左右の建物の目地
部側の床面に固定されたチャンネル状の左右の固定金具
と、この左右の固定金具に両端部寄りの部位が支持され
た目地部を覆う目地カバーと、この目地カバーの両端部
の上部を覆うように前記左右の固定金具にそれぞれ取付
けられたカバー板とで構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の床用目地カバー
装置は左右の固定金具に両端部寄りの部位が支持された
目地カバーで覆っているため、左右の建物が地震で揺れ
動いた場合、左右の固定金具の一方の幅寸法が最大の移
動量であるため、移動量が小さく、大きな移動量に設定
すると、床用目地カバー装置の幅寸法が大きくなり、大
型になるという欠点があった。

【０００４】本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、
左右の建物が地震等で揺れ動いた場合、目地部の幅寸法
に近い寸法だけ動いても損傷することなく、その揺れ動
きに追従してガタつくことなくスムーズに移動し、揺れ
が停止した場合には元の状態にスムーズに移動して戻す
ことができる、構造が簡単で、容易に設置することがで
きるとともに、安価に製造することができる床用目地装
置を提供することを目的としている。

【０００５】本発明の前記ならびにそのほかの目的と新
規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読む
と、より完全に明らかになるであろう。ただし、図面は
もっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範
囲を限定するものではない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は目地部を介して建てられた左右の建物の床
部分の目地部寄りの部位に該目地部に開口するように形
成された一対の凹部と、この一対の凹部にそれぞれ固定
された反目地部側が傾斜のガイド面となる一対の固定金
具と、前記目地部および一対の凹部を覆う両側壁が傾斜
面に形成された目地カバーと、この目地カバーの前記一
対の固定金具と対応する部位の底面、両側壁および底面
と両側壁との接続部位に取付けられた複数個のローラー
と、前記一対の固定金具あるいは前記左右の建物の床部
分の躯体に取付けられた中央枢支部に前記目地カバーの
中央部に取付けられた支持杆がそれぞれ上下移動可能に
枢支される少なくとも２個以上の中央維持リンク機構と
で床用目地装置を構成している。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、図面に示す実施の形態によ
り、本発明を詳細に説明する。

【０００８】図１ないし図８に示す本発明の第１の実施
の形態において、１、１は目地部２を介して建てられた
左右の建物３、３の床部分の目地部寄りの部位の躯体３
ａ、３ａに、該目地部２に開口するように形成された一
対の凹部で、この一対の凹部１、１の反目地部２側の壁
面は傾斜面１ａ、１ａに形成されている。

【０００９】４、４は前記一対の凹部１、１を覆うよう
に複数本の固定皿ビス５等によって躯体３ａ、３ａに固
定された、図３に示すような一対の固定金具で、この一
対の固定金具４、４の反目地部２側の壁面は傾斜のガイ
ド面６、６となるように形成されている。

【００１０】７、７は前記目地部２および前記一対の凹
部１、１を覆うように並列された複数個、本発明の実施
の形態では２個の目地カバーで、この目地カバー７、７
は図４に示すように、前記一対の凹部１、１寄りの底面
を覆うフランジ８、８が形成され、両側壁７ａ、７ａが
傾斜面の皿状の金属材製の目地カバー本体９と、この目
地カバー本体９の凹部１内にモルタルやコンクリート１
０を介して取付けられた床面に設置されたタイルや化粧
板１１と同様なタイルや化粧板１１と、前記目地カバー
本体９のほぼ中央底面に固定的あるいは回動可能、本発
明の実施の形態では回動可能に枢支された支持杆１２
と、前記目地カバー本体９の両側壁７ａ、７ａ、前記一
対の固定金具４、４と対応する部位の水平部分の底面お
よび水平部分の底面７ｂと両側壁７ａ、７ａとの接続部
位に取付けられたスムーズな移動が可能に取付けられた
複数個のキャスター状のローラー１３、１３、１３、１
３、および球状のローラー１３Ａ、１３Ａとで構成され
ている。

【００１１】なお、前記目地カバー本体９の水平部分の
底面７ｂと両側壁７ａ、７ａとの接続部位に凹部を形成
して、該部位にキャスター状のローラーを取付けてもよ
い。また、前記目地カバー本体９の水平部分の底面７ｂ
に左右部位にそれぞれ１個のローラー１３、１３を設置
したものに付いて説明したが、これに限らず左右部位に
それぞれ２個のローラー１３、１３、１３、１３を設置
してもよい。さらに、複数個のローラーは前記一対の固
定金具４、４上をスムーズに移動できるものであればど
んな構造のものであってもよい。

【００１２】１４、１４は前記左右の建物３、３の床部
分の躯体３ａ、３ａあるいは前記一対の固定金具４、
４、本発明の実施の形態では一対の固定金具４、４に両
端部が取付けられた中央維持リンク機構で、この中央維
持リンク機構１４、１４は図５に示すように、中央部に
前記支持杆１２を上下方向にスライド移動可能に枢支す
ることができる中央枢支部１５を有する四角形状が２個
形成されるパンタグラフ形状の伸縮リンク１６と、この
伸縮リンク１６の両端部の枢支ピン１７、１７にそれぞ
れ取付けられた上下方向に回動可能なヒンジ部材１８、
１８とで構成されている。

【００１３】上記構成の床用目地装置１９は、一対の凹
部１、１に一対の固定金具４、４を複数本の固定皿ビス
５によって固定する。しかる後、一対の固定金具４、４
の目地部２に位置する部位に複数本のビス２０を用いて
中央維持リンク機構１４、１４の両端部のヒンジ部材１
８、１８、１８、１８を固定する。

【００１４】次に、目地カバー７、７の支持杆１２、１
２を中央維持リンク機構１４、１４の中央枢支部１５、
１５に枢支されるように取付けることにより、目地カバ
ー７、７の複数個のローラー１３、１３、１３、１３、
１３、１３は一対の固定金具４、４上に支持された状態
となる。

【００１５】なお、目地カバー７、７の支持杆１２、１
２は中央維持リンク機構１４、１４の中央枢支部１５、
１５に枢支させておけばよいが、必要に応じて図２に示
すように、常時目地カバー７、７が一対の固定金具４、
４に当接するように付勢できるように付勢スプリング２
１、２１を取付けてもよい。

【００１６】上記のように設置された床用目地装置１９
は、地震等によって左右の建物３、３間が広がる方向に
揺れ動いた場合には、図６に示すように目地カバー７、
７は中央維持リンク機構１４、１４によって目地部２の
中央部に位置するように目地カバー７、７の複数個のロ
ーラー１３、１３、１３、１３、１３、１３が一対の固
定金具４、４上を転がってスムーズに移動して、その揺
れ動きを吸収し、揺れが停止すると元の状態にスムーズ
に移動して戻る。

【００１７】また、左右の建物３、３間が狭くなる方向
に揺れ動いた場合には、図７に示すように目地カバー
７、７は中央維持リンク機構１４、１４によって目地部
２の中央部に位置するように目地カバー７、７の複数個
のローラー１３、１３、１３、１３、１３、１３が一対
の固定金具４、４のガイド面６、６を転がってスムーズ
に移動して、その揺れ動きを吸収し、揺れが停止すると
元の状態にスムーズに移動して戻る。

【００１８】さらに、左右の建物３、３が異なる上下方
向に揺れ動いた場合、図８に示すように目地カバー７、
７の支持杆１２、１２が回動して目地カバー７、７を支
持している一対の固定金具４、４の動きに追従して移動
しその揺れ動きを吸収する。なお、異なる上下方向の揺
れ動きに、左右の建物３、３間が広くなったり、狭くな
ったりする揺れ動きが生じても、前述のように目地カバ
ー７、７がスムーズに移動して、その揺れ動きを吸収す
ることができる。

【００１９】

【発明の異なる実施の形態】次に、図９ないし図２２に
示す本発明の異なる実施の形態につき説明する。なお、
これらの本発明の異なる実施の形態の説明に当って、前
記本発明の第１の実施の形態と同一構成部分には同一符
号を付して重複する説明を省略する。

【００２０】図９ないし図１２に示す本発明の第２の実
施の形態において、前記本発明の第１の実施の形態と主
に異なる点は、中央維持リンク機構１４、１４の中央枢
支部１５、１５に支持バー２２を枢支するとともに、該
支持バー２２に小さな幅寸法の複数個、本発明の実施の
形態では４個の目地カバー７Ａ、７Ａ、７Ａ、７Ａの支
持杆１２、１２、１２、１２を枢支させた点で、このよ
うに構成した床用目地装置１９Ａにしても、前記本発明
の第１の実施の形態と同様な作用効果が得られる。

【００２１】図１３ないし図１５に示す本発明の第３の
実施の形態において、前記本発明の第２の実施の形態と
主に異なる点は、中央維持リンク機構１４、１４の両端
部のヒンジ部材１８、１８、１８、１８を一対の固定金
具４、４の目地部２に位置する部位に複数本のビス２０
によって固定されたガイドレール２３、２３にスライド
移動可能に取付けられたスライドレール２４、２４に取
付けた点で、このように構成した床用目地装置１９Ｂは
中央維持リンク機構１４、１４の両端部が常時対向状態
に位置して、最大、最小の伸縮移動をさせることができ
る。

【００２２】図１６ないし図１９に示す本発明の第４の
実施の形態において、前記本発明の第１の実施の形態と
主に異なる点は、四角枠状のリンク本体２５と、このリ
ンク本体２５の対向するバー部材２５ａ、２５ａのほぼ
中央部に両端部が枢支ピン２６、２６で枢支された中央
部に中央枢支部１５を有する中央維持リンク機構１４
Ａ、１４Ａを用いるとともに、目地部２の全幅寸法を覆
う１個の目地カバー７Ｂを用いた点で、このように構成
した床用目地装置１９Ｃにしても、前記本発明の第１の
実施の形態と同様な作用効果が得られる。なお、本発明
の実施の形態で使用する目地カバー７Ｂは軽量化を図る
ために、目地カバー本体９Ａの床面に凹部２７を形成
し、モルタルやコンクリート１０の使用量を低減できる
ように形成されている。

【００２３】図２０ないし図２２に示す本発明の第５の
実施の形態において、前記本発明の第４の実施の形態と
主に異なる点は、目地カバー７Ｂの支持杆１２、１２を
それぞれ２個の中央維持リンク機構１４Ａ、１４Ａ、１
４Ａ、１４Ａの中央枢支部１５、１５、１５、１５で枢
支できるようにした点で、このように構成した床用目地
装置１９Ｄにすることにより、支持杆１２、１２を確実
に目地部２の中央部に位置するように枢支させることが
できる。

【００２４】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にあっては次に列挙する効果が得られる。

【００２５】（１）目地部を介して建てられた左右の建
物の床部分の目地部寄りの部位に該目地部に開口するよ
うに形成された一対の凹部と、この一対の凹部にそれぞ
れ固定された反目地部側が傾斜のガイド面となる一対の
固定金具と、前記目地部および一対の凹部を覆う両側壁
が傾斜面に形成された目地カバーと、この目地カバーの
前記一対の固定金具と対応する部位の底面、両側壁およ
び底面と両側壁との接続部位に取付けられた複数個のロ
ーラーと、前記一対の固定金具あるいは前記左右の建物
の床部分の躯体に取付けられた中央枢支部に前記目地カ
バーの中央部に取付けられた支持杆がそれぞれ上下移動
可能に枢支される少なくとも２個以上の中央維持リンク
機構とで構成されているので、左右の建物間が地震等に
よって広くなったり、狭くなったりするように揺れ動い
た場合、中央維持リンク機構によって目地カバーを目地
部の中央部に常時位置させるとともに、目地カバーの底
面に取付けられた複数個のローラーによって、ガタつく
ことなく、スムーズに移動させることができる。したが
って、損傷するのを効率よく防止することができるとと
もに、目地カバー上に乗っていても安全に通過すること
ができる。

【００２６】（２）前記（１）によって、目地カバーに
大きな抵抗が加わることなく、複数個のローラーによっ
て移動させることができるので、目地カバーを地震等に
よる揺れ動き時でも通常の強度の中央維持リンク機構に
よって確実に中央に位置させることができる。したがっ
て、比較的安価な中央維持リンク機構が使用でき、コス
トの低減を図ることができる。

【００２７】（３）前記（１）によって、構造が簡単
で、容易に設置することができる。

【００２８】（４）請求項２も前記（１）〜（３）と同
様な効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態の平面図。

【図２】図１の２−２線に沿う拡大断面図。

【図３】本発明の第１の実施の形態の固定金具の説明
図。

【図４】本発明の第１の実施の形態の目地カバーの説明
図。

【図５】本発明の第１の実施の形態の中央維持リンク機
構の説明図。

【図６】左右の建物が広くなった場合の動作説明図。

【図７】左右の建物が狭くなった場合の動作説明図。

【図８】左右の建物が異なる上下方向に揺れ動いた場合
の動作説明図。

【図９】本発明の第２の実施の形態の平面図。

【図１０】図９の１０−１０線に沿う拡大断面図。

【図１１】本発明の第２の実施の形態の支持バーの説明
図。

【図１２】本発明の第２の実施の形態の目地カバーの説
明図。

【図１３】本発明の第３の実施の形態の平面図。

【図１４】図１３の１４−１４線に沿う拡大断面図。

【図１５】中央維持リンク機構の取付け状態の説明図。

【図１６】本発明の第４の実施の形態の平面図。

【図１７】図１６の１７−１７線に沿う拡大断面図。

【図１８】本発明の第４の実施の形態の中央維持リンク
機構の説明図。

【図１９】本発明の第４の実施の形態の目地カバーの説
明図。

【図２０】本発明の第５の実施の形態の平面図。

【図２１】図２０の２１−２１線に沿う拡大断面図。

【図２２】中央維持リンク機構の取付け状態の説明図。

【符号の説明】

１：凹部、 ２：目地部、３：建物、
４：固定金具、５：固定皿ビス、
６：ガイド面、７、７Ａ、７Ｂ：目地カバー、８：フラ
ンジ、 ９：目地カバー本体、１０：モルタル
やコンクリート、１１：タイルや化粧板、 １２：支持
杆、１３：ローラー、 １４、１４Ａ：中央維持
リンク機構、１５：中央枢支部、 １６：伸縮リン
ク、１７：枢支ピン、 １８：ヒンジ部材、１
９、１９Ａ、１９Ｂ、１９Ｃ、１９Ｄ：床用目地装置、
２０：ビス、 ２１：付勢スプリング、２
２：支持バー、 ２３：ガイドレール、２４：ス
ライドレール、 ２５：リンク本体、２６：枢支ピン、
２７：凹部。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 目地部を介して建てられた左右の建物の
   床部分の目地部寄りの部位に該目地部に開口するように
   形成された一対の凹部と、この一対の凹部にそれぞれ固
   定された反目地部側が傾斜のガイド面となる一対の固定
   金具と、前記目地部および一対の凹部を覆う両側壁が傾
   斜面に形成された目地カバーと、この目地カバーの前記
   一対の固定金具と対応する部位の底面、両側壁および底
   面と両側壁との接続部位に取付けられた複数個のローラ
   ーと、前記一対の固定金具あるいは前記左右の建物の床
   部分の躯体に取付けられた中央枢支部に前記目地カバー
   の中央部に取付けられた支持杆がそれぞれ上下移動可能
   に枢支される少なくとも２個以上の中央維持リンク機構
   とからなることを特徴とする床用目地装置。
2. 【請求項２】 目地部を介して建てられた左右の建物の
   床部分の目地部寄りの部位に該目地部に開口するように
   形成された一対の凹部と、この一対の凹部にそれぞれ固
   定された反目地部側が傾斜のガイド面となる一対の固定
   金具と、前記目地部、一対の凹部および該一対の凹部寄
   りの床面を覆うフランジを有する両側壁が傾斜面に形成
   された目地カバーと、この目地カバーの前記一対の固定
   金具と対応する部位の底面、両側壁および底面と両側壁
   との接続部位に取付けられた複数個のローラーと、前記
   一対の固定金具あるいは前記左右の建物の床部分の躯体
   に前後方向にスライド移動可能に取付けられた中央枢支
   部に前記目地カバーの中央部に取付けられた支持杆がそ
   れぞれ上下移動可能に枢支される少なくとも２個以上の
   中央維持リンク機構とからなることを特徴とする床用目
   地装置。