JP3582706B2 - 自動製氷機の駆動装置および自動製氷機ならびに冷蔵庫 - Google Patents

自動製氷機の駆動装置および自動製氷機ならびに冷蔵庫 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫内に設置され、氷を製造すると共に貯氷容器内の氷の不足を検出した場合に、製造した氷を補給するための自動製氷機の駆動装置および自動製氷機ならびに冷蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動製氷機能を備えた家庭用冷蔵庫等が知られているが、この冷蔵庫に取り付けられている自動製氷機の駆動装置として、例えば、本出願人が先に出願した特開平9−264646号公報に開示されている製氷皿の駆動装置等がある。このような自動製氷機では、貯氷容器内の氷の量を検知するための検氷アームをAC同期モータやDCモータによって動作させている。この検氷アームは、特開平9−264646号公報に示されるように、カム歯車に形成されたカム面等によって駆動されることが多い。
【0003】
このカム歯車は、検氷アームを待機状態とし、氷の製造を行う製氷位置と、検氷アームによって満氷か否かを検知する検氷位置と、貯氷容器内の氷が不足しているとき製氷皿をひねり製氷皿内の氷を離氷させる離氷位置の計3つの位置を少なくとも有するように構成される。
【0004】
そして、カム歯車の回転によって検氷アームが上下動し、貯氷容器内の氷の量を検知している。この検知動作において、検氷アームの位置等を確認するために製氷位置、満氷位置および離氷位置のそれぞれで検知信号を発生させるようにしている。検氷アームを駆動するモータは、この検知信号によって、オンオフや回転方向の制御がなされる。
【0005】
このような従来の自動製氷機では、上述の各検知位置を検出するために位置センサーとしてホールIC等を利用した非接触のスイッチ機構や密閉型のマイクロスイッチ等が用いられている。しかしながら、これらのスイッチ機構は高コストなため、安価なスイッチ機構が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本出願人は、カム歯車の回転角度に連動して接点が係合/離脱することによってオンオフ切り換えされるタクトスイッチを検知手段として用いるものを開発した。しかし、この開発品は、氷を製造する製氷位置において接点が開いた状態となっている。そのため、この製氷位置でタクトスイッチの接点の接触部分に水滴が付き易くなっている。接触部分に付いた水滴が凍ると、検氷動作時にタクトスイッチが作動せず検氷動作がなされないという危険性がある。
【0007】
すなわち、冷蔵庫内は、ドアの開閉動作により外気が入り込み庫内の温度が上昇することによって結露が生じ易い。また、操作ミス等の原因によりドアが半開き状態となってしまうと、さらに結露が生じ易い状況となる。このような種々の原因によりタクトスイッチの接触部分に結露が生じ、オンオフが正常に作動されないと、正常な検氷動作がなされず、製氷皿から氷を離氷する動作もなされず、氷の不足が生じても氷を補充できないという問題が生じる。
【0008】
また、冷蔵庫内は、多種の食品が保存されているため各種の有機ガスが発生している。そのため、タクトスイッチの接点の接触部分が、庫内の空気にさらされている状態が長くなると、有機ガスによって腐食してしまうという危険性がある。このように接点の接触部分に腐食が生じると、接触不良を起こしてしまい、正常な検氷動作がなされず製氷皿から氷を離氷する動作もなされない。その結果、やはり、氷の不足が生じても氷を補充できないという問題が生じる。
【0009】
さらに、タクトスイッチの接点の接触部分が結露等による水滴で繋がってしまうと、その間にDCの電圧が印可されてしまい、電解液中で銀イオンが移動し成長する、いわゆるマイグレーション現象が発生する危険性がある。このようにマイグレーション現象が発生すると、非接触状態の接点間を短絡させる危険性も生じる。
【0010】
本発明は、接点を係合/離脱させる安価な方式のスイッチ、例えばタクトスイッチ等を検氷検出用のスイッチとして用い、かつこのスイッチが結露等の影響を受け難くく検氷動作を確実に行うことのできる自動製氷機の駆動装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明では、貯氷容器内の氷の不足を検出した場合に、製氷皿を反転させて氷を貯氷容器内に落下させた後、製氷皿を元の位置に戻し氷を製造する自動製氷機の駆動装置において、製氷皿の駆動に連動して揺動されるスイッチ押圧レバーと、スイッチ押圧レバーの揺動により、接点の係合及び離脱がなされ、この係合及び離脱を利用してオン/オフ切り換えがなされるタクトスイッチスイッチ押圧レバーを揺動させるための付勢力を与えるコイルスプリングと、を備え、このタクトスイッチは当該駆動装置の動作停止状態で氷の製造がなされている間、コイルスプリングの付勢力によって常時接点がスイッチ押圧レバーで押圧され係合している。
【0012】
このように製氷時に接点が常時接触されているので、結露等が接点間に生じ得ず、また有機ガスによる腐食も防止できることとなる。また、接点を常時接触させることにより氷の製造がなされている間スイッチをオン状態とすると、氷の製造という最も多くの時間が費やされる間中、接点は接触状態を維持することとなり、マイグレーション現象をも防止できるものとなる。
【0013】
また、他の発明では、貯氷容器内の氷の不足を検出した場合に、製氷皿を反転させて氷を貯氷容器内に落下させた後、製氷皿を元の位置に戻し氷を製造する自動製氷機の駆動装置において、製氷皿の駆動に連動して揺動されるスイッチ押圧レバーと、スイッチ押圧レバーの揺動により、接点の係合及び離脱がなされ、この係合及び離脱を利用してオン/オフ切り換えがなされるタクトスイッチスイッチ押圧レバーを揺動させるための付勢力を与えるコイルスプリングと、を備え、このタクトスイッチは製氷皿が氷を製造する製氷位置となっている際に、コイルスプリングの付勢力によって接点がスイッチ押圧レバーで押圧され係合しオン状態となっている。
【0014】
このように製氷皿が製氷位置となっている際に接点が係合しているので、製氷時に発生する結露等が接点間に生じ得ず、また有機ガスによる腐食も防止できることとなる。また、製氷位置において接点を接触させることによりスイッチをオン状態とすると、氷の製造という最も多くの時間が費やされる間中、接点は接触状態を維持することとなり、マイグレーション現象をも防止できるものとなる。
【0016】
また、他の発明は、上述の各自動製氷機の駆動装置に加えて、タクトスイッチは、貯氷容器内の氷が不足もしくは充足のどちらか一方の状態を、接点を係合させることにより検出するものとなっている。そのため、貯氷容器内の氷の量を確実に検出することが可能となり、さらに動作の確実性の高い自動製氷機の駆動装置とすることができる。
【0017】
また、他の発明は、上述の各自動製氷機の駆動装置に加えて、タクトスイッチは、製氷皿を反転させて離氷させた離氷位置とした際に、接点を係合させることによりこの離氷位置を検出するものとなっている。そのため、貯氷容器へ氷を落下させた際の動作(離氷)を確実に検出することが可能となり、さらに動作の確実性の高い自動製氷機の駆動装置とすることができる。
【0018】
また、他の発明は、上述の各自動製氷機の駆動装置に加えて、タクトスイッチは、製氷皿が氷を製造する製氷位置とその周辺位置、貯氷容器内の氷の量を検出する検氷位置とその周辺位置及び離氷させる離氷位置とその周辺以外の位置となっている場合には、接点が離脱されている。このように、一連の検氷動作及び離氷動作という短時間の動作中にのみスイッチの接点が離脱されることとなるため、製氷時に発生する結露等が接点間に生じ得ず、また有機ガスによる腐食も防止できることとなる。また、製氷位置において接点を接触させることによりスイッチ機構をオン状態とすると、氷の製造という最も多くの時間が費やされる間中、接点は接触状態を維持することとなり、マイグレーション現象をも防止できるものとなる。
【0019】
また、本発明は、製氷皿と、この製氷皿内の氷を受け取る貯氷容器と、この貯氷容器内の氷の量を検知する検氷アームと、この検氷アームを駆動すると共に製氷皿を回動させてこの製氷皿内の氷を貯氷容器内に落とし込む駆動装置とを有する自動製氷機において、製氷皿の駆動に連動して揺動されるスイッチ押圧レバーと、スイッチ押圧レバーの揺動により、接点の係合及び離脱がなされ、この係合及び離脱を利用してオン/オフ切り換えがなされるタクトスイッチスイッチ押圧レバーを揺動させるための付勢力を与えるコイルスプリングと、を備え、このタクトスイッチは当該駆動装置の動作停止状態で氷の製造がなされている間、コイルスプリングの付勢力によって常時接点がスイッチ押圧レバーで押圧され係合している。
【0020】
このようにスイッチの接点が、製氷時において常時接触されているので、結露等が接点間に生じ得ず、また有機ガスによる腐食も防止できることとなる。また、接点を常時接触させることにより氷の製造がなされている間スイッチをオン状態とすると、氷の製造という最も多くの時間が費やされる間中、接点は接触状態を維持することとなり、マイグレーション現象をも防止できるものとなる。
【0021】
また、本発明の冷蔵庫は、上述の各自動製氷機の駆動装置と、製氷皿と、この製氷皿内の氷を受け取る貯氷容器と、この貯氷容器内の氷の量を検知する検氷アームと、を備え、駆動装置の動作制御の全てまたはその一部を冷蔵庫本体に備えた制御回路によって行うようにしている。そのため、自動製氷機の駆動装置用の制御回路の一部または全部を、冷蔵庫本体の制御回路と兼用させて冷蔵庫の自動製氷機の駆動装置用の駆動回路機構を単純化および省力化させることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1及び図2は、本発明の実施の形態に係る自動製氷機の駆動装置及びこの駆動装置によって駆動される製氷機を示している。この自動製氷機1は、製氷や離氷等を自動的に行うものとなっており、冷蔵庫の製氷室内に設置され、後述の駆動方法によって動作するようになっている。
【0024】
この自動製氷機1は、図示しない貯氷容器の上方に配置された製氷皿2と、貯氷容器内の貯氷量を検知するために昇降する氷検出手段となる検氷アーム3と、製氷皿2へ水等の液体を供給するための液体供給手段(図示省略)と、製氷皿2及び検氷アーム3を連動させて駆動する駆動装置5を備えて構成されている。なお、製氷皿2の下部には製氷皿の温度を検知するサーミスタ1aが設けられている。また、この実施の形態では、液体として通常の飲用の水を使用している。
【0025】
駆動装置5は、検氷アーム3の先端を貯氷容器内に下降させ、その下降距離に基づいて貯氷容器内の氷の有無を検出する。そして、この駆動装置5は、氷の不足を検出した場合、製氷皿2を反転させて離氷位置とし貯氷容器内に氷を落下させる。すなわち、反転された製氷皿2は、その他端側の突出部2aが冷蔵庫または自動製氷機1の機枠6に設けられた当接片(図示省略)に当たってねじれ変形し、この変形を利用して氷を落下させる。その後、駆動装置5は、製氷皿2を製氷位置へ戻す。そして、この製氷位置にて製氷皿2に液体が供給され、氷の製造がなされる。
【0026】
駆動装置5は、図3および図4に示すように、製氷皿2に連結されてこれを反転させるカム歯車10と、このカム歯車10に操作され検氷アーム3を動作させる検氷機構11およびスイッチ機構12を備えて構成されている。なお、この駆動装置5の内部機構は、2つのケース9a,9bからなるケース9内に配置されている。
【0027】
カム歯車10は、駆動源となるDCモータ13により回転させられる。すなわち、DCモータ13の回転は、回転伝達手段14を介してカム歯車10に伝達される。この回転伝達手段14は、DCモータ13の出力軸13aに連結板15aを介して連結されたウォーム15と、ウォーム15の回転を順次減速させる第1歯車16、第2歯車17及び第3歯車18より構成されている。
【0028】
ウォーム15の先端部分は、ケース9bの軸受け保持部19内に嵌合固定されたポリエステルエラストマー製の軸受け20に回転自在に支持されている。この軸受け20は、ポリアセタールからなるウォーム15及びABSからなるケース9bよりも軟らかい材質で形成されており、これによってウォーム15の回転により発生するガタツキ音を低減するようになっている。
【0029】
第1歯車16は、ケース9bに形成された軸部21に回転自在かつ軸方向へも移動可能に配置されている。この第1歯車16の回転中心は、天板部分が塞がれたキャップ形状となっており、この塞がれた部分の内面が軸部21の先端に形成された突起21aに点接触で当接可能となっている。また、第1歯車16の歯車面の一方には、リング状の凸縁16aが形成されており、この凸縁16aが第2歯車17の歯車面の一方に形成された凸縁17aと2点で点接触(各点接触部分はそれぞれ上述の突起21a部分の点接触に比して若干接触面積が大きい)で摺接可能となっている。
【0030】
このように構成された第1歯車16は、ウォーム15の回転方向によってケース9a側もしくはケース9b側のいずれか一方に付勢されながら回転する。すなわち、第1歯車16は、製氷皿2を離氷位置側へ回動させる際には強いトルクが必要となるため、ケース9b側に付勢され塞がれた部分の内面が軸部21の先端の突起21aに点接触で当接しながら回転する。このため、この方向への回転時には、摩擦による伝達ロスが最小限となり、DCモータ13のトルクの伝達効率が良く、強い伝達トルクの回転力をカム歯車10へ伝達することができるようになっている。
【0031】
一方、後述するイニシャライズ時において、製氷皿2を製氷位置へ戻す側へ回動させる場合、逆に弱いトルクとなることが好ましいため、ケース9a側に付勢され凸縁16aが第2歯車17の凸縁17aに2点で点接触で摺接しながら回転する。このため、この方向への回転時には、接触部分が回転中心より離れているため摩擦によるトルクロスが大きくなり、DCモータ13のトルクの伝達効率が悪くなる。この結果、弱い伝達トルクによる回転力がカム歯車10へ伝達することとなる。なお、第1および第2歯車16,17を面接触させると、各歯車16,17の接触面や歯に形成されるバリ等により歯車同士が互いに干渉してしまう危険が生じるため、この実施の形態では面接触よりスムーズに回転することが可能な2点による点接触を採用している。
【0032】
上述したように構成された第1歯車16、この第1歯車16に摺接可能な凸縁17aを備えた第2歯車17、及び第3歯車18は、共に大径のギヤ部と小径のピニオン部から構成されている。そして、第1歯車16のギア部は、ウォーム15に噛み合っており、第1歯車16のピニオン部は、第2歯車部17のギア部に噛み合っている。また、第2歯車17のピニオン部は、第3歯車18のギヤ部に、第3歯車18のピニオン部はカム歯車10のギヤ10aに噛み合っている。したがって、DCモータ13の出力軸13aの回転は、回転伝達手段14により次々に減速されながらカム歯車10に伝達される。
【0033】
図5(A)および(B)は、カム歯車10を示している。すなわち、図5(A)は、カム歯車10を図3と同方向から見た図で、図5(B)は、図5(A)を裏側から見た図である。
【0034】
カム歯車10には、出力軸25が一体成形されている。この出力軸25は、一方のケース9aに設けられた孔から駆動装置5の外方に突出し、製氷皿2に連結されている。したがって、カム歯車10と製氷皿2とは、一体となって回転する。
【0035】
なお、出力軸25の製氷皿2に連結されていない側の端部は、筒状となっており、ケース9bに設けられた円形の台部7に回転自在に支持されている。また、この出力軸25の端部外周面には、筒状のフリクション部材8が遊嵌配置されている。
【0036】
この筒状のフリクション部材8は、出力軸25に対して摩擦力により一体的に回転可能となっている。図6に示すように、このフリクション部材8の下端縁(ケース9bと対向する側の端部)には、切り欠き形状の溝8aが形成されており、この溝8aの両端がケース9bに形成された凸部と当接可能となっている。そのため、フリクション部材8は、溝8aの両端とケース9b側の凸部とが当接する範囲でのみ回動可能となっている。また、フリクション部材8の内周壁には、下端縁の一部から若干上方にかけて形成された2つの平面部8c,8cが設けられている。この両平面部8c,8cは、フリクション部材8と出力軸25との一体回動をより確実なものとなるための部位となっている。このフリクション部材8と出力軸25との関係は、フリクション部材8が溝8aの両端とケース9b側の凸部とが当接するまで一体回動し、当接によって回転が阻止された後も、出力軸25のみが回転できるようになっている。
【0037】
また、筒状のフリクション部材8の外周面には、後述する検氷軸31の回転を阻止する阻止片8bが設けられている。この阻止片8bは、カム歯車10が離氷位置側に回動する場合は検氷軸31の係合片31bと係合せず、カム歯車10が製氷位置側に回動する場合にのみ検氷軸31の係合片31bと係合し、検氷軸31の回動を阻止するようになっている。そして、この阻止片8bによって検氷軸31の回動が阻止されると、検氷軸31に形成されたスイッチ片回動阻止部31dが、タクトスイッチ42をオン/オフ切り換えするスイッチ押圧レバー41の回動範囲内に入り込めず、タクトスイッチ42が自在にオン/オフ切り換え可能となる。
【0038】
このフリクション部材8は、検氷動作において氷の不足と満氷とを識別するためオン/オフいずれかとなるタクトスイッチ42が、離氷位置から製氷位置に検氷アーム3が戻る際には必ず途中でオンとなるようにするためのものとなっている。すなわち、検氷動作において貯氷容器内で検氷アーム3が所定位置まで降下すると、氷が不足していると判断しそのままカム歯車10を離氷位置まで回転させて氷を落下させる動作を行うが、離氷位置から製氷位置に戻す際、既に先ほどの離氷により満氷状態となる場合とまだ氷が不足したままの場合とが生じる。そのため、離氷された後のタクトスイッチ42のオン/オフにバラツキが生じ、制御上好ましくない。このフリクション部材8は、このような不具合がないように、離氷位置から製氷位置への戻し動作時には必ずタクトスイッチ42がオンとなるようにするための部材となっている。
【0039】
また、カム歯車10の、一方のケース9aに対向する一側面10bには、図4及び図5(A)に示すように、溝26が周方向に沿って形成されている。この溝26内には一方のケース9aの内面に形成された突起(図示省略)が挿入されており、カム歯車10の回転できる角度を所定の範囲に制限している。すなわち、溝26の両端面26a,26bにケース9aの突起が当たる位置を、カム歯車10の回転限界位置としている。本実施の形態の場合には、カム歯車10は、−6度から168度の範囲で回転できる。なお、この回転角度は、イニシャライズの際に−6度まで回転させて機械的なロックを行う場合等を除く通常の場合は、後述するように、0度から160度の範囲で動作する。
【0040】
一方、カム歯車10の、他方のケース9bに対向する他側面10cには、図4及び図5(B)に示すように、環状の凹部27が形成されている。この凹部27内には、内壁をカム面とする検氷軸用カム面28が設けられていると共に、その外側に同様に内壁をカム面とするスイッチ押圧レバー用カム面29を構成している。各カム面28,29は、カム歯車10の回転中心となる軸に対してほぼ平行に延設された延設部の側壁の内周面部分に形成されている。
【0041】
そして、検氷軸用カム面28は、検氷非動作位置部28aと、検氷降下動作部28bと、氷不足検出位置部28cと、検氷復帰動作部28dとを有している。検氷非動作位置部28aは、検氷アーム3を下降させない状態で維持させる区間となっており、カム歯車10の初期位置において検氷軸31と当接している位置を0度とした場合、−6度〜11度及び79度〜168度の区間に形成されている。また、検氷降下動作部28bは、氷が不足している場合に検氷アーム3を徐々に下降させるための区間となっており、11度〜35度の区間に形成されている。また、氷不足検出位置部28cは、氷が不足している場合に検氷アーム3を最下降させた状態で維持させる区間となっており、35度〜55度の区間に形成されている。また、検氷復帰動作部28dは、下降した検氷アーム3を上昇させるための区間となっており、55度〜79度の区間に形成されている。
【0042】
一方、スイッチ押圧レバー用カム面29は、製氷位置(0度)を含む−6度〜5度において信号を出力させるための第1の信号発生用カム部29aと、検氷位置(42度)を含む42度〜48度において信号を出力させるための第2の信号発生用カム部29bと、離氷位置(160度)を含む160度〜168度において信号を出力させるための第3の信号発生用カム部29cとを有している。この構成により、カム歯車10の回転角度が、製氷位置、検氷位置及び離氷位置にある場合に、タクトスイッチ42の接点42d,42e(図13参照)を接触させてスイッチをオンとする方向にスイッチ押圧レバー41を回動させるようになっている。
【0043】
なお、製氷位置において発生する信号を原位置信号と呼ぶこととし、第1の信号発生用カム部29aは、その形状上、−19度〜5度の範囲で信号を発生できるようになっている。また、検氷位置において発生する信号を検氷位置信号と呼ぶこととする。さらに、離氷位置において発生する信号を離氷信号と呼ぶこととし、第3の信号発生用カム部29cは、その形状上、160度〜179.5度の範囲で信号を発生できるようになっている。
【0044】
検氷機構11は、貯氷容器内の氷の量が、満氷であるのか不足しているのかを識別するための機構となっており、検氷アーム3を貯氷容器内に下降させ、所定レベル位置より下降した際に氷が不足していると判断するようになっている。なお、検氷機構11は、カム歯車10に操作されると共に検氷アーム3を動作させる検氷軸31と、検氷軸31の係合凸部31aをカム歯車10の検氷軸用カム面28側に押し付ける方向に回動するように付勢するコイルスプリング32から構成されている。そして、本実施の形態の自動製氷機の駆動装置1では、検氷アーム3が30度以上回動した場合、これを氷不足と判断するようになっている。
【0045】
検氷軸31は、カム歯車10によって操作され、最大35度まで回動可能となっている。この検氷軸31は、カム歯車10とケース9bとの間に配置されている。検氷軸31は、図7から図10に示すように、係合凸部31aと、係合片31bと、バネ係合部31cと、スイッチ片回動阻止部31dと、スラスト抜け防止突堤31eと、アーム連結部31fと、ケース受け部31gと、ガイド片31hを有している。
【0046】
検氷軸31の一方の端部の凸部で構成されたケース受け部31gは、ケース9bに形成された受け孔(図示省略)に回動自在に支持される。一方、この検氷軸31の他方の端部に形成されているアーム連結部31fは、ケース9の外部に突出されていると共に、このアーム連結部31fに検氷アーム3の支点部が嵌め込まれる。
【0047】
また、検氷軸31のケース受け部31gの近傍に形成された係合凸部31aは、図8に示すように、検氷軸31の外周面から径方向外側に突出され途中位置から湾曲された形状となっており、検氷軸31と共に回転中心軸線を回転中心として回動可能となっている。そして、係合凸部31aは、カム歯車10に形成された検氷軸用カム面28に当接するカムフォロアーとなっている。
【0048】
また、同様に、検氷軸31の端部近傍に設けられた係合片31bは、出力軸25と同軸上に配置されたフリクション部材8の阻止片8bと当接可能とされている。さらに、バネ係合部31cは、検氷軸31の軸方向中央よりややケース受け部31g側の端部に近い側に、コイルスプリング32と係合するように設けられている。そのため、検氷軸31は、圧縮されたコイルスプリング32の図9矢示B方向の戻り力によって係合凸部31aをカム歯車10の検氷軸用カム面28側に押し付ける方向(図8の矢示A方向)に回動するように付勢されている。
【0049】
また、スイッチ片回動阻止部31dは、検氷軸31のアーム連結部31f側の端部近傍に設けられ、タクトスイッチ42のオン/オフを行うスイッチ押圧レバー41の回動を阻止するようになっている。このスイッチ片回動阻止部31dは、検氷軸31が検氷アーム3を下降させるように回動した際に、具体的には検氷軸31が30度以上回動した際、スイッチ押圧レバー41に当接しスイッチ押圧レバー41の回動を阻止するようになっている。これによって、スイッチ片回動阻止部31dは、検氷軸31が30度以上回動した際には、タクトスイッチ42をオンさせないように働く。
【0050】
また、スラスト抜け防止突堤31eは、検氷軸31の軸方向におけるスイッチ片回動阻止部31dとアーム連結部31fとの間に全周に渡って形成されている。このため、検氷軸31は、スラスト方向において所定の範囲のみ移動可能となっている。
【0051】
さらに、ガイド片31hは、検氷軸31の軸方向中央よりややアーム連結部31f側に近い位置に形成されている。このガイド片31hは、ケース9aの天板の裏側部分に形成されたガイド溝(図示省略)内に入り込み、このガイド溝に沿って移動するようになっている。このため、検氷軸31は、ガイド片31hによってケース9aに対して案内され、このガイド溝内でガイド片31hが移動可能な範囲で回動できるようになっている。なお、この検氷軸31の回動範囲は、約35度程度となっている。
【0052】
このように構成された検氷機構11は、検氷軸用カム面28に沿って動作する検氷軸31の動きを検氷アーム3に伝える。すなわち、検氷アーム3が満氷によってその動きを停止すると、検氷軸31は、検氷アーム3と共にその回転を停止する。また、検氷機構11は、検氷動作時に氷が不足し検氷アーム3が所定角度以上回動している場合、スイッチ押圧レバー用カム面29によるスイッチ押圧レバー41の動作を規制するようになっている。このため、検氷動作時に氷が不足している場合は、スイッチ押圧レバー41が回動せず、タクトスイッチ42の接点42d,42eが接触しないようになっている。
【0053】
なお、コイルスプリング32は、ケース9bに設けられたバネボックス52内に収縮した状態で一旦収められ、この状態で一端が上述の検氷軸31のバネ係合部31cに引っ掛けられるようになっている。すなわち、バネボックス52は、上方が開放され、1つの側壁がケース9bの側壁で構成され、他の3つの側壁がケース9bの底面から立設される形状となっている。バネボックス52の後端(ケース9bの中央側)の側壁には、スリット(図示省略)が設けられており、このスリットからバネ係合部31cをバネボックス52内に侵入させ、コイルスプリング32をケース9bの側壁で形成される側壁側にさらに収縮させることにより検氷軸31とコイルスプリング32とが係合するようになっている。
【0054】
なお、検氷軸31は、このように組み立てた際、コイルスプリング32の付勢力によりバネ係合部31cの後端部分がスリット内に形成された凸部9c(図9参照)側に押圧され、この凸部9cに当接するようになっている。そして、この状態でカム歯車10を装填し、カム歯車10が検氷状態の位置、すなわちカム歯車10の検氷軸用カム面28の氷不足検出位置部28cと当接する位置に係合凸部31aがくるように組み込むと、カム歯車10はコイルスプリング32のバネ力を受けないで容易に組み込むことができる。
【0055】
このようにコイルスプリング32は、検氷アーム3を常時検氷位置側へ付勢するようになっている。すなわち、検氷軸用カム面28に対し、検氷軸31の係合凸部31aを当接させる方向に付勢力を与えている。この力は、カム歯車10の中心から外周に向かうものであるが、カム歯車10を組み込むときの妨げとならない力となるように組み込まれる。このため、カム歯車10がコイルスプリング32の力によって傾いたり浮き上がってしまうことがない。カム歯車10を組み込んだ後、最後にケース9aを組み付けることによって、検氷軸31のガイド片31hがケース9のガイド溝(図示省略)に導入され、検氷軸31は正規の回動範囲の限界となる35度回転した状態となる。このように検氷位置で35度回転した状態で組み込まれた後、駆動回路で駆動し製氷位置とした後に出荷される。
【0056】
スイッチ機構12は、製氷皿2の駆動に連動して接点の係合及び離脱がなされることによりオン/オフ切り換えがなされるようになっている。このスイッチ機構12は、カム歯車10に操作されるスイッチ押圧レバー41と、スイッチ押圧レバー41の揺動によってオン/オフされるタクトスイッチ42と、スイッチ押圧レバー41の揺動を禁止するように働くスイッチ片回動阻止部31dと、スイッチ押圧レバー41を揺動させるための力を与えるコイルスプリング44とを備えて構成されている。なお、本発明の実施の形態の自動製氷機の駆動装置1は、スイッチとして接点を接触/離脱させることによりオン/オフ切り換えがなされる安価なタクトスイッチ42が用いられているため、低コストで製造することが可能となる。
【0057】
スイッチ押圧レバー41は、一方のケース9bの底面に立設された2つの端板53の上端縁部分に設けられた各U字状溝53a内に回動自在に支持されている。スイッチ押圧レバー41は、図11及び図12に示すように、側面から見ると「ト」の字の形状を有している。そして、上端部分には、カム歯車10のスイッチ押圧レバー用カム面29に当接するカムフォロアーとなるカム当接部41aが設けられている。したがって、カム歯車10が回転した場合、カム当接部41aがスイッチ押圧レバー用カム面29に沿ってカム歯車10の径方向に移動し、スイッチ押圧レバー41が揺動する。
【0058】
また、スイッチ押圧レバー41の所定位置には、コイルスプリング44に付勢される被押圧部となる突起腕41bが形成されている。この突起腕41bは、検氷軸31に設けられたスイッチ片回動阻止部31dの近傍に位置している。この突起腕41bにスイッチ片回動阻止部31dが当たっている状態では、スイッチ押圧レバー41は揺動することができない。
【0059】
一方、突起腕41bと対向する位置には、タクトスイッチ42のボタン42aが配置されている。また、スイッチ押圧レバー41の突起腕41bのタクトスイッチ42と対向しない側の面には山形状の突部41cが設けられ、コイルスプリング44の一端内に入り込んでいる。なお、コイルスプリング44の他端は、ケース9aに設けられた係合筒21c内に入れられ、係合筒21c内の軸(図示省略)がその端部内に入り込んでいる。
【0060】
また、スイッチ押圧レバー41の中心部は、揺動を支える回動支持部41dとなっており、この回動支持部41dの両端が各U字状溝53a内に入り、この回動支持部41dを中心として揺動する。さらに、このスイッチ押圧レバー41には、揺動規制部41eが設けられており、この揺動規制部41eはケース9bに備えられた規制用ボックス内に装填される。そのため、スイッチ押圧レバー41は、回動支持部41dの片方がU字状溝53aの底部から浮き上がって傾くことがなく、揺動中心がずれずに正確にスイッチ押圧レバー用カム面29に沿って動作するようになっている。
【0061】
タクトスイッチ42は、ケース9bに固定され、DCモータ13の後端に連結されたプリント配線基板51に接続されている。このタクトスイッチ42は、スイッチ押圧レバー41が非作動状態、すなわちカム歯車10が0度位置にあり駆動停止状態で氷の製造がなされている場合や、検氷動作時に満氷であった場合や、離氷動作が終了する場合にコイルスプリング44の付勢力を受けたスイッチ押圧レバー41によって押圧されるように配置されている。この押圧によって原位置信号、検氷信号、離氷信号が発生する。なお、製氷皿2がこれら以外の位置となっている場合、タクトスイッチ42は後述する接点42d,42e同士が離脱され、オフとなる。
【0062】
このタクトスイッチ42の内部構造は、図13に示すように、筒状のハウジング42bと、ハウジング42bの上端開口を覆うように配置されたカバー42cと、カバー42cから先端部分が突出され後端側がハウジング42cの内部に配置されたボタン42aと、ボタン42aの後端に常時当接すると共に湾曲可能な可動接点42dと、可動接点42dと係合/離脱可能な固定接片42eから構成されている。
【0063】
そして、本実施の形態では、製氷位置において常時ボタン42aがスイッチ押圧レバー41に押圧され、可動接点42dと固定接点42eとが接触しオン状態となっている。そのため、製氷時及び製氷待機中に冷蔵庫のドアーが開く等の理由により発生する結露が、接点42d,42eの接触部分には生じ得ず、また有機ガスによる腐食も防止できることとなる。また、接点42d,42eを常時接触させることによりスイッチをオン状態とすると、両接点42d,42e間に電位差が生じず、電解液中で銀イオンが移動し成長する、いわゆるマイグレーション現象を防止できる。
【0064】
このように製氷位置で常時オンとなっているタクトスイッチ42は、検氷動作をし貯氷容器内の氷が不足の場合、カム歯車10が製氷位置(0度)から離氷位置(160度)まで回転するまでオンとならない。すなわち、このタクトスイッチ42は、カム歯車10が5度回転するとカム歯車10によりスイッチ押圧レバー41がスプリングコイル44の付勢力に抗してタクトスイッチ42のボタン42aから離されて接点42d,42eが離脱し、一旦タクトスイッチ42はオフとなる。
【0065】
そして、カム歯車10が42度回転した際に、カム歯車10及びスプリングコイル44のバネ力によりスイッチ押圧レバー41を揺動させようとするが、このとき検氷軸31のスイッチ片回動阻止部31dが働いて、このスイッチ押圧レバー41の揺動を阻止する。この結果、氷不足状態で検氷軸31が所定角度(ここでは30度)以上回動している場合は、この検氷信号が発生すべき位置、すなわちカム歯車10の回動角度が42度〜48度ではタクトスイッチ42がオンとならず、検知信号が出力されないようになっている。そのため、タクトスイッチ42は、カム歯車10が160度回転した離氷位置となるまでオンとならない。
【0066】
一方、タクトスイッチ42は、検氷動作をし貯氷容器内の満氷の場合、カム歯車10が製氷位置(0度)から検氷位置(42度)まで回転するとオンとなる。すなわち、タクトスイッチ42は、上述したようにカム歯車10が5度回転すると一旦オフとなるが、カム歯車10が42度回転した際に、カム歯車10及びスプリングコイル44のバネ力により、再びスイッチ押圧レバー41を揺動させようとする。
【0067】
このとき、検氷レバー3は貯氷容器内が満氷のため容器内で所定位置まで降下しない。そのため、検氷軸31が所定角度以上回転せず、検氷軸31のスイッチ片回動阻止部31dが働かない。この結果、スイッチ押圧レバー41は、揺動してタクトスイッチ42のボタン42aを押圧し接点42d,42eが接触してオンとなる。
【0068】
なお、本実施の形態の自動製氷機の駆動装置は、検氷動作を開始した後の最初の信号出力及び駆動時間に基づいてカム歯車10を逆回転させる制御を行っている。そのため、満氷時にはカム歯車10を42度回転させた時点、氷が不足していた時にはカム歯車10を160度回転させた時点でDCモータ13を停止させ、その後逆回転させるような制御を行っている。
【0069】
なお、カム歯車10を42度回転させた際の最初の信号出力でDCモータ13を停止させた場合は、その駆動時間が短いことをモニターし、これに基づいて逆回転後の最初の信号出力に基づいてDCモータ13の駆動を停止する。これによって、カム歯車10は原位置(0度=製氷位置)またはその周辺位置にて停止する。
【0070】
一方、カム歯車10を160度回転させた際の最初の信号出力でDCモータ13を停止させた場合は、その駆動時間が長いことをモニターし、これに基づいて逆回転後の2度目の信号出力に基づいてDCモータ13の駆動を停止する。すなわち、最初の信号出力はカム歯車10が48度〜42度の位置まで戻されたことを示す信号(復帰時の確定信号)で、2度目の信号がカム歯車10として5度となる位置まで戻されたことを示す信号であるため、2度目の信号に基づいて、DCモータ13を停止させる。これによって、カム歯車10は原位置(0度=製氷位置)またはその周辺位置にて停止する。なお、戻り行程におけるカム歯車10が48度〜42度となった際の信号出力は、フリクション部材8によって氷が不足していても充足していても、いずれの場合にも発生するようにされている。
【0071】
なお、上述したスイッチ押圧レバー用カム面29には、3ヶ所の位置に凹み部分が設けられている。この3つの凹みが、上述した第1、第2及び第3の信号発生用カム部29a,29b,29cとなっており、スイッチ押圧レバー41のカム当接部41aがこれらの凹み部分に嵌まり込むたびにスイッチ押圧レバー41はタクトスイッチ42側に揺動しようとする。この揺動時に、検氷軸31のスイッチ片回動阻止部31dが働かないと、タクトスイッチ42はオンとなるようになっている。
【0072】
次に、この自動製氷機1の動作について説明する。コントローラ(図示省略)は、基本動作プログラムおよび初期設定プログラムを適宜実行し、図14,図15,図16,図17,図18及び図19に示すように動作する。
【0073】
例えば、基本動作プログラムは、扉が開かれていない状態であることおよび製氷皿2の下に置かれるサーミスタ1aによって製氷完了を検知した後、一定時間経過することというAND条件が満たされたとき、待機終了の旨の信号がコントローラに入力し実行するようにされる。また、初期設定プログラムは、例えば、電源オンまたは初期化する旨の信号のいずれかがコントローラに入力した場合に実行するようにされる。なお、このコントローラを制御駆動する制御回路は、自動製氷機1が取り付けられた冷蔵庫本体(図示省略)に備えられたものと共用となっていてもよいし、自動製氷機1専用のものとなっていてもよい。
【0074】
最初に、図15に示すように、初期設定プログラムが動作する(ステップS1)。次に、基本動作プログラムを開始し、製氷確認に入る(ステップS2)。コントローラは、氷製造が終了したか否かをサーミスタ1aで検知し、所定温度以下となっていると、終了と判断し、貯氷容器内の氷の量を検知しに行く(ステップS3)。なお、初期設定からスタートした場合は、製氷皿2内に氷が無い状態であるが、サーミスタ1aは、氷の有無にかかわらず庫内温度を感知するので、氷製造が終了したと判断し、次のステップS3に進む。
【0075】
ステップS3において、コントローラは、貯氷容器内の氷が不足状態か否かを検知し、満氷でないとき、すなわち氷が不足状態であると、製氷皿2を反転させ氷を貯氷容器へ供給する離氷を行う(ステップS4)。次に、原点位置(0度)まで逆方向に回転させ給水を行う(ステップS5)。これによって、製氷皿2は、水平位置に戻り製氷がなされる(ステップS6)。
【0076】
一方、ステップS3において満氷状態であると、製氷皿2は反転せず原点(=水平位置)に戻り(ステップS7)、検氷のため所定時間待機し(ステップS8)、ステップS2の製氷確認に戻っていく。
【0077】
上述のステップS1における自動製氷機1の初期設定プログラム実行時(イニシャライズ)の動作を詳述すると、図16に示すとおりとなっている。この初期設定プログラム(イニシャライズ)は、この自動製氷機1単体での動作確認、冷蔵庫に取り付けたときの動作確認、冷蔵庫を移動したときの初期動作の際等に実行するもので、製氷皿2の位置を確認し、水平位置状態とするものである。
【0078】
まず、電源がオンされると(ステップS11)、DCモータ13をCCW方向、すなわちカム歯車10を製氷位置(原点位置=0度)へ戻す方向へ回転させる(ステップS12)。そして、タクトスイッチ42がオンとなったら(ステップS13においてYES)、タイマーを3秒にセットする(ステップS14)。この後、スイッチオン状態で(ステップS15においてYES)、3秒が経過してタイマーの動作が終了したら(ステップS16においてYES)、DCモータ13を1秒間停止させる(ステップS17)。
【0079】
このステップS11〜S17の動作で、カム歯車10は、メカロックが発生するロック位置(−6度)で停止する。すなわち、初期設定動作において、DCモータ13をCCW方向へ回転させた際、最初にスイッチがオンとなって出力される信号が検氷信号なのか原位置信号なのかを認識するために、最初の信号出力後、タイマーを3秒にセットする。そして、スイッチがオン状態のまま3秒が経過する場合を、原位置信号として認識し、3秒経過する前にスイッチがオフとなって信号出力が途絶える場合を検氷出力として認識するようにする。これにより、確実にカム歯車10がロック位置(−6度)で停止する。
【0080】
次に、DCモータ13をCW方向、すなわちカム歯車10を検氷位置及び離氷位置方向へ回転させる(ステップS18)。そして、タクトスイッチ42がオフとなったら(ステップS19においてYES)、タイマーを0.5秒にセットする(ステップS20)。この後、0.5秒経過してタイマーの動作が終了したら(ステップS21においてYES)、DCモータ13を1秒間停止させる(ステップS22)。
【0081】
さらに、DCモータ13をCCW方向へ回転させる(ステップS23)。そして、タクトスイッチ42がオンとなったら(ステップS24においてYES)、タイマーを0.5秒にセットする(ステップS25)。この後、0.5秒経過してタイマーの動作が終了したら(ステップS26においてYES)、DCモータ13を停止させる(ステップS27)。これによって、DCモータ13は、この初期設定動作においてカム歯車10が製氷位置(0度=原位置)近傍となった位置で停止する。これによって、自動製氷機1の初期設定プログラム実行時(イニシャライズ)の動作が終了する(ステップS28)。
【0082】
次に基本動作プログラムを図17,図18及び図19に基づいて説明する。
【0083】
図17に示すように、まず、カム歯車10が原点位置近傍で停止した状態で製氷皿2内の液体が凍って製氷が完了し(ステップS31)、かつコントローラから待機終了信号が出力されると(ステップS32)、DCモータ13をCW方向へ回転させる(ステップS33)。
【0084】
そして、タクトスイッチ42がオフとなったら(ステップS34においてYES)、タイマーを7秒にセットする(ステップS35)。なお、この7秒は、DCモータ13の駆動力によって、カム歯車10が5度の位置から100度の位置まで回転可能な時間となっており、この7秒間で検氷信号が発生するか否かを確認している。
【0085】
この検氷動作時を含む7秒間の間、スイッチオフ状態が維持され(ステップS36においてYES)、かつ7秒が経過してタイマーの動作が終了した(ステップS37においてYES)後において、タクトスイッチ42がオンとなった場合(ステップS38)は、離氷信号が発生したこととなり、DCモータ13を1秒間停止させる(ステップS39)。なお、このように、ステップS36においてYESで、その後ステップS39まで進んだ場合は、検氷動作において氷が不足していたこと及びこの氷の不足に基づき離氷動作を行ったことを意味する。
【0086】
すなわち、氷が不足している場合には、カム歯車10が所定角度(42〜48度)回転した際に、検氷軸31も所定量降下した状態となっており、これによってスイッチ片回動阻止部31dが働いてスイッチ押圧レバー41がタクトスイッチ42を押圧しない。したがって、このような状況の場合は、タクトスイッチ42がオンとならず信号が出力されないからである。
【0087】
なお、ステップS39の次のステップS40は、図18に示されており、図17における矢示XVIIIの先は図18ステップS40に続くものとする。ステップS39でDCモータ13を1秒間停止させた後、図18に示すように、今度はDCモータ13をCCW方向へ回転させる(ステップS40)。そして、タクトスイッチ42がオフとなることで離氷信号がオフし(ステップS41においてYES)、次にタクトスイッチ42がオンとなることで復帰時の確定信号(検氷信号)がオンする(ステップS42においてYES)。さらに、タクトスイッチ42がオフとなることで検氷信号がオフし(ステップS43においてYES)、次にタクトスイッチ42がオンとなったら(ステップS44においてYES)、原位置信号と判断し、タイマーを0.5秒にセットする(ステップS45)。
【0088】
このようにタクトスイッチ42の2度目のオンに基づいてタイマーをセットするのは、この2度目のオンがカム歯車10が5度の位置に戻ってきたことを示すからである。すなわち、離氷動作をした後、カム歯車10が所定位置(42〜48度)まで回転した際に、検氷軸31はフリクション部材8の阻止片8bに阻止されて回動できず、これによってスイッチ片回動阻止部31dが働けずにスイッチ押圧レバー41がタクトスイッチ42を押圧する。したがって、このような状況の場合は、タクトスイッチ42がオンとなり1度目のオン信号が出力されるからである。
【0089】
そして、2度目のオン信号から0.5秒が経過してタイマーの動作が終了したら(ステップS46においてYES)、DCモータ13を停止させる(ステップS47)。これによって、カム歯車10は、原位置(0度)近傍で停止することとなる。この後、製氷皿2に給水を行い(ステップS48)、一連の検氷動作及び離氷動作が終了する(ステップS49)。
【0090】
なお、上述のステップS36において、すなわち検氷動作によってタクトスイッチ42がオンとなった場合(ステップS36においてNO)の矢示XIXの先は、図19のステップS51に続くものとなっている。図19に示すように、ステップS36でNOの場合、このスイッチオンによる信号の出力に基づきDCモータ13を1秒間停止させる(ステップS51)。このように検氷動作時にタクトスイッチ42がオンとなる場合は、貯氷容器内に氷が所定量以上入っており、氷の追加が必要ないことを意味している。すなわち、満氷を検知したこととなる。
【0091】
そして、ステップS51でDCモータ13を1秒間停止させた後、今度はDCモータ13をCCW方向へ回転させる(ステップS52)。そして、タクトスイッチ42がオフとなることで検氷信号がオフし(ステップS53においてYES)、次にタクトスイッチ42がオンとなったら(ステップS54においてYES)、原位置信号と判断しタイマーを0.5秒にセットする(ステップS55)。
【0092】
そして、0.5秒が経過してタイマーの動作が終了したら(ステップS56においてYES)、DCモータ13を停止させる(ステップS57)。これによって、カム歯車10は、原位置(0度)近傍で停止することとなる。この後は、製氷皿2に氷がある状態なので給水は行わず待機状態となる(ステップS58)。これによって、満氷時の検氷動作が終了する。
【0093】
なお、上述の実施の形態は本発明の好適な実施の例ではあるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施の形態では、検氷位置等を検出するスイッチをタクトスイッチ42で構成したが、接点の係合/離脱によりオン/オフ切り換えがなされるリーフスイッチ等を用いても、タクトスイッチ42を用いたのと同じ効果を奏することとなる。
【0094】
また、上述の実施の形態では、出力軸25をカム歯車10と一体的に設けたが、一体的に設けず別体としても良い。その際、それらを別の駆動源で駆動するようにしても良い。また、カムフォロアーとなる検氷軸31の係合凸部31aや、スイッチ押圧レバー41のカム当接部41aをカム歯車10の内周面に当接させるのではなく、外周面に当接させるようにしても良い。
【0095】
さらに、上述の実施の形態では、検氷信号を満氷の場合のみ発生するようにしたが、満氷のときは発生させず不足状態のときに信号を発生させるようにしても良い。
【0096】
さらに、駆動源をDCモータ13ではなく、ACモータやコンデンサモータとしてもよい。さらに、DCモータ13のように、時間制御がある程度必要なモータを使用するのではなく、ステッピングモータを使用してカム歯車10の回転角度をステップ数で制御するようにしても良い。さらには、ソレノイド等モータ以外の駆動源を採用しても良い。また、氷化する液体としては、水の他にジュース等の飲み物や検査試薬等の非飲料等を採用することができる。また、貯氷容器内の氷が出来上がったか否かを検知する手段としては、サーミスタ1aの他に形状記憶合金等を利用したバイメタルとしても良い。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動製氷機の駆動装置は、製氷皿の駆動に連動するスイッチを、接点の係合及び離脱を利用したものとし、製氷時において、常時接点が係合するように構成されている。そのため、スイッチを、非接触のスイッチ、例えばホールIC及び磁石を用いたスイッチやマイクロスイッチ等の高価なものを用いずに安価に製造できる。しかも結露等が接点間に生じにくくなり、また有機ガスによる腐食も防止できることとなり、動作の信頼性の高いスイッチを備えた駆動装置とすることができる。また、接点を常時接触させることによりスイッチをオン状態としている期間を長くしているので、マイグレーション現象も防止できることとなり、さらに信頼性の高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の自動製氷機の要部平面図である。
【図2】図1の自動製氷機の側面図である。
【図3】図1の自動製氷機の駆動装置を示し、一方のケースを取り外して内部を観察可能にした正面図である。
【図4】図3の駆動装置の回転伝達手段の連結関係を示す断面展開図である。
【図5】図4の駆動装置のカム歯車を示した図であり、(A)は図4の矢示VA方向から見た平面図、(B)は図4の矢示VB方向から見た底面図である。
【図6】図4の駆動装置のフリクション部材を示した図で、(A)は図4の裏側から見た背面図、(B)は(A)を矢示VIB方向から見た図、(C)は(B)のVIC−VIC断面図である。
【図7】図3の駆動装置の検氷軸を示した正面図である。
【図8】図7を矢示VIII方向方見た側面図である。
【図9】図7のIX−IX断面図である。
【図10】図7のX−X断面図である。
【図11】図3の駆動装置のスイッチ押圧レバーを矢示XI方向から見た底面図である。
【図12】図11を矢示XII方向方見た側面図である。
【図13】図3の駆動装置のタクトスイッチの内部構造を示す側断面図である。
【図14】図1の自動製氷機の動作状況を示す図である。
【図15】図1に示す自動製氷機の駆動装置が実行する動作の概要を示すフローチャート図である。
【図16】図1に示す自動製氷機の駆動装置が実行する初期設定動作プログラムのフローチャート図である。
【図17】図1に示す自動製氷機の駆動装置が実行する基本動作プログラムのフローチャート図の一部である。
【図18】図1に示す自動製氷機の駆動装置が実行する基本動作プログラムのフローチャート図の一部である。
【図19】図1に示す自動製氷機の駆動装置が実行する基本動作プログラムのフローチャート図の一部である。
【符号の説明】
1 自動製氷機
2 製氷皿
3 検氷アーム
5 駆動装置
10 カム歯車
11 検氷機構
12 スイッチ機構
13 DCモータ
15 ウォーム
25 出力軸
28 検氷軸用カム面
29 スイッチ押圧レバー用カム面
41 スイッチ押圧レバー
42 タクトスイッチ
42d 可動接点
42e 固定接点

Claims (7)

  1. 貯氷容器内の氷の不足を検出した場合に、製氷皿を反転させて氷を上記貯氷容器内に落下させた後、上記製氷皿を元の位置に戻し氷を製造する自動製氷機の駆動装置において、
    上記製氷皿の駆動に連動して揺動されるスイッチ押圧レバーと、
    上記スイッチ押圧レバーの揺動により、接点の係合及び離脱がなされ、この係合及び離脱を利用してオン/オフ切り換えがなされるタクトスイッチ
    上記スイッチ押圧レバーを揺動させるための付勢力を与えるコイルスプリングと、
    を備え、このタクトスイッチは当該駆動装置の動作停止状態で氷の製造がなされている間、上記コイルスプリングの付勢力によって常時上記接点が上記スイッチ押圧レバーで押圧され係合していることを特徴とする自動製氷機の駆動装置。
  2. 貯氷容器内の氷の不足を検出した場合に、製氷皿を反転させて氷を上記貯氷容器内に落下させた後、上記製氷皿を元の位置に戻し氷を製造する自動製氷機の駆動装置において、
    上記製氷皿の駆動に連動して揺動されるスイッチ押圧レバーと、
    上記スイッチ押圧レバーの揺動により、接点の係合及び離脱がなされ、この係合及び離脱を利用してオン/オフ切り換えがなされるタクトスイッチ
    上記スイッチ押圧レバーを揺動させるための付勢力を与えるコイルスプリングと、
    を備え、このタクトスイッチは上記製氷皿が氷を製造する製氷位置となっている際に、上記コイルスプリングの付勢力によって上記接点が上記スイッチ押圧レバーで押圧され係合しオン状態となっていることを特徴とする自動製氷機の駆動装置。
  3. 前記タクトスイッチは、前記貯氷容器内の氷が不足もしくは充足のどちらか一方の状態を、前記接点を係合させることにより検出するものとなっていることを特徴とする請求項1または2記載の自動製氷機の駆動装置。
  4. 前記タクトスイッチは、前記製氷皿を反転させて離氷させた離氷位置とした際に、前記接点を係合させることによりこの離氷位置を検出するものとなっていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の自動製氷機の駆動装置。
  5. 前記タクトスイッチは、前記製氷皿が氷を製造する製氷位置とその周辺位置、前記貯氷容器内の氷の量を検出する検氷位置とその周辺位置及び離氷させる離氷位置とその周辺以外の位置となっている場合には、前記接点が離脱されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自動製氷機の駆動装置。
  6. 製氷皿と、この製氷皿内の氷を受け取る貯氷容器と、この貯氷容器内の氷の量を検知する検氷アームと、この検氷アームを駆動すると共に上記製氷皿を回動させてこの製氷皿内の氷を上記貯氷容器内に落とし込む駆動装置とを有する自動製氷機において、
    上記製氷皿の駆動に連動して揺動されるスイッチ押圧レバーと、
    上記スイッチ押圧レバーの揺動により、接点の係合及び離脱がなされ、この係合及び離脱を利用してオン/オフ切り換えがなされるタクトスイッチ
    上記スイッチ押圧レバーを揺動させるための付勢力を与えるコイルスプリングと、
    を備え、このタクトスイッチは当該駆動装置の動作停止状態で氷の製造がなされている間、上記コイルスプリングの付勢力によって常時上記接点が上記スイッチ押圧レバーで押圧され係合していることを特徴とする自動製氷機。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の自動製氷機の駆動装置と、製氷皿と、この製氷皿内の氷を受け取る貯氷容器と、この貯氷容器内の氷の量を検知する検氷アームと、を備え、上記駆動装置の動作制御の全てまたはその一部を冷蔵庫本体に備えた制御回路によって行うようにしたことを特徴とする冷蔵庫。
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