JP3581099B2 - 無洗米製造装置及び洗米水の使用方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所謂無洗米を製造する無洗米製造装置及び無洗米製造装置に適用される洗米水の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に無洗米製造装置においては、例えば、洗米部を備えており、洗米部において原料白米(精白米)を洗米水と共に攪拌して洗米し、アリウロン残留物(玄米の糠層の最下層であるアリウロン層(糊粉層)に含まれていた油脂や蛋白質や糖質などから成る極めて粘度の高い半液体状の混合物)等の被除去物を原料白米の表面から遊離させて洗米水に溶解した状態にする。また、この無洗米製造装置は脱水部及び乾燥部を備えており、洗米処理が終了した原料白米が脱水部に供給されて脱水され、脱水処理が終了した原料白米が乾燥部に供給されて乾燥されることで、無洗米が製造される構成である。
【0003】
ここで、このような無洗米製造装置では、仮に洗米部にて原料白米がきれいに洗われないと、無洗米の食味や外観が低下すると共に、無洗米の雑菌数が多くなる。
【0004】
一方、洗米部で原料白米をきれいに洗うために、洗米部に多くの洗米水を供給すると、それだけ水道料金が高くなるのみならず、多くの洗米汁(汚濁水)が排出されることになって洗米汁の排水処理料金が高くなる。
【0005】
このため、無洗米製造装置の使用者の都合により、洗米水の供給量や無洗米の食味、外観及び雑菌数を自由に選択できることが望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、洗米水の供給量や無洗米の食味、外観及び雑菌数を自由に選択できる無洗米製造装置及び洗米水の使用方法を得ることが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の無洗米製造装置は、原料白米及び洗米水が供給され、前記原料白米を前記洗米水と共に攪拌して洗米処理を行う洗米部と、前記洗米部に連設され、前記洗米部から供給された前記原料白米を脱水する脱水部と、前記脱水部に連設され、前記脱水部から供給された前記原料白米を乾燥する乾燥部と、を備えた無洗米製造装置において、前記洗米部は、前期段階の洗米処理を行うための部位に前記洗米水を供給するための粗洗米給水口と後期段階の洗米処理を行うための部位に前記洗米水を供給するための仕上給水口とを有し、かつ、前記仕上給水口から清純水を前記洗米水として供給すると共に、前記粗洗米給水口から清純水を前記洗米水として供給する方式と、前記粗洗米給水口から前記脱水部にて前記原料白米を脱水することで得られる脱水液を前記洗米水として供給する方式と、前記粗洗米給水口からは前記洗米水を供給しない方式と、のうちの少なくとも2つの方式から何れか1つの方式を選択可能にした、ことを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の無洗米製造装置では、洗米部に原料白米及び洗米水が供給されて、原料白米が洗米水と共に攪拌されることで、洗米処理が行われる。この洗米処理により、アリウロン残留物等の被除去物が原料白米の表面から遊離して洗米水に溶解した状態となる。さらに、洗米処理が終了した原料白米が脱水部に供給されて脱水され、脱水処理が終了した原料白米が乾燥部に供給されて乾燥されることで、無洗米が製造される。
【0009】
ここで、仕上給水口から後期段階の洗米処理を行うための部位に清純水が洗米水として供給される。さらに、粗洗米給水口から前期段階の洗米処理を行うための部位に清純水を洗米水として供給する方式(以下「第1給水方式」という)と、粗洗米給水口から前期段階の洗米処理を行うための部位に脱水部にて原料白米を脱水することで得られる脱水液を洗米水として供給する方式(以下「第2給水方式」という)と、粗洗米給水口からは洗米水を供給しない方式(以下「第3給水方式」という)と、のうちの少なくとも2つの方式から何れか1つの方式が選択可能とされている。
【0010】
第1給水方式が選択された際には、粗洗米給水口及び仕上給水口から清純水が洗米部の前期段階及び後期段階の洗米処理を行うための部位に供給される。このため、洗米水の供給量が多くなって水道料金及び洗米汁の排水処理料金が高くなる一方、無洗米の食味及び外観が極めて良好となると共に雑菌数を極めて少なくできる。
【0011】
第2給水方式が選択された際には、仕上給水口から清純水が洗米部の後期段階の洗米処理を行うための部位に供給されると共に、粗洗米給水口から脱水液(洗米処理の後期段階で原料白米に付着した水であるため準清水である)が洗米部の前期段階の洗米処理を行うための部位に供給される。このため、洗米水の供給量が少なくなって水道料金及び洗米汁の排水処理料金を低くできる一方、無洗米の食味及び外観が良好となると共に雑菌数を少なくできる。
【0012】
第3給水方式が選択された際には、仕上給水口から清純水が洗米部の後期段階の洗米処理を行うための部位に供給される一方、粗洗米給水口からは洗米水が供給されない。このため、洗米水の供給量が少なくなって水道料金及び洗米汁の排水処理料金を低くできる一方、無洗米の食味及び外観が普通レベルとなると共に雑菌数が普通レベルになる。なお、無洗米の雑菌数が普通レベルであっても、無洗米炊飯時には高温となって雑菌が殺菌されるため、それほど問題にならない。
【0013】
このように、第1給水方式、第2給水方式及び第3給水方式のうちの少なくとも2つの方式から何れか1つの方式を選択可能とされているため、洗米水の供給量や無洗米の食味、外観及び雑菌数を自由に選択できる。
【0014】
請求項2に記載の洗米水の使用方法は、原料白米及び洗米水が供給され、前記原料白米を前記洗米水と共に攪拌して洗米処理を行う洗米部と、前記洗米部に連設され、前記洗米部から供給された前記原料白米を脱水する脱水部と、前記脱水部に連設され、前記脱水部から供給された前記原料白米を乾燥する乾燥部と、を備えた無洗米製造装置に適用される洗米水の使用方法において、前記洗米部の後期段階の洗米処理を行うための部位に前記洗米水を供給するための仕上給水口から清純水を前記洗米水として供給し、かつこれと同時に、前記洗米部の前期段階の洗米処理を行うための部位に前記洗米水を供給するための粗洗米給水口から清純水を前記洗米水として供給する方式と、前記粗洗米給水口から前記脱水部にて前記原料白米を脱水することで得られる脱水液を前記洗米水として供給する方式と、前記粗洗米給水口からは前記洗米水を供給しない方式と、のうちの少なくとも2つの方式から選択された何れか1つの方式を実行する、ことを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載の洗米水の使用方法が適用される無洗米製造装置では、洗米部に原料白米及び洗米水が供給されて、原料白米が洗米水と共に攪拌されることで、洗米処理が行われる。この洗米処理により、アリウロン残留物等の被除去物が原料白米の表面から遊離して洗米水に溶解した状態となる。さらに、洗米処理が終了した原料白米が脱水部に供給されて脱水され、脱水処理が終了した原料白米が乾燥部に供給されて乾燥されることで、無洗米が製造される。
【0016】
ここで、仕上給水口から後期段階の洗米処理を行うための部位に清純水が洗米水として供給される。さらに、粗洗米給水口から前期段階の洗米処理を行うための部位に清純水を洗米水として供給する方式(以下「第1給水方式」という)と、粗洗米給水口から前期段階の洗米処理を行うための部位に脱水部にて原料白米を脱水することで得られる脱水液を洗米水として供給する方式(以下「第2給水方式」という)と、粗洗米給水口からは洗米水を供給しない方式(以下「第3給水方式」という)と、のうちの少なくとも2つの方式から選択された何れか1つの方式が実行される。
【0017】
第1給水方式が実行される際には、粗洗米給水口及び仕上給水口から清純水が洗米部の前期段階及び後期段階の洗米処理を行うための部位に供給される。このため、洗米水の供給量が多くなって水道料金及び洗米汁の排水処理料金が高くなる一方、無洗米の食味及び外観が極めて良好となると共に雑菌数を極めて少なくできる。
【0018】
第2給水方式が実行される際には、仕上給水口から清純水が洗米部の後期段階の洗米処理を行うための部位に供給されると共に、粗洗米給水口から脱水液(洗米処理の後期段階で原料白米に付着した水であるため準清水である)が洗米部の前期段階の洗米処理を行うための部位に供給される。このため、洗米水の供給量が少なくなって水道料金及び洗米汁の排水処理料金を低くできる一方、無洗米の食味及び外観が良好となると共に雑菌数を少なくできる。
【0019】
第3給水方式が実行される際には、仕上給水口から清純水が洗米部の後期段階の洗米処理を行うための部位に供給される一方、粗洗米給水口からは洗米水が供給されない。このため、洗米水の供給量が少なくなって水道料金及び洗米汁の排水処理料金を低くできる一方、無洗米の食味及び外観が普通レベルとなると共に雑菌数が普通レベルになる。なお、無洗米の雑菌数が普通レベルであっても、無洗米炊飯時には高温となって雑菌が殺菌されるため、それほど問題にならない。
【0020】
このように、第1給水方式、第2給水方式及び第3給水方式のうちの少なくとも2つの方式から選択された何れか1つの方式が実行されるため、洗米水の供給量や無洗米の食味、外観及び雑菌数を自由に選択できる。
【0021】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る無洗米製造装置10が縦断正面図にて示されており、図2には、無洗米製造装置10が一部破断した平面図にて示されている。
【0022】
本実施の形態に係る無洗米製造装置10は、竪型の洗米部12、脱水部14及び乾燥部16を備えており、脱水部14及び乾燥部16は装置本体18内に収容されている。装置本体18の内部には取付台20が架設されると共に、装置本体18の外周(4つの周面)にはカバー22が設けられている。
【0023】
装置本体18の内壁には支持部材24が固定されており、支持部材24には円筒状とされた支持軸としての支柱26の下部が回転可能に支持されている。支柱26の上側は装置本体18の上壁から上方に突出すると共に、支柱26の上部にはアーム28が一体に設けられており、アーム28には洗米部12が取り付けられている。
【0024】
支柱26の上下方向略中間部分には略扇状のベース30が一体に設けられており、ベース30は装置本体18の上面に接している。ベース30の円弧部分近傍には、この円弧部分に沿って円弧状の切欠部32が形成されており、切欠部32の一端部は開口している。切欠部32に対応して装置本体18の上面には、クランプレバー34が末端において回動自在に取り付けられており、切欠部32の他端部をクランプレバー34の末端に当接させた状態でクランプレバー34を締め付けることで、支柱26の回転が阻止されて洗米部12が装置本体18に装着されている。また、クランプレバー34を緩めることで支柱26の回転が可能となり、これにより、支柱26を中心として洗米部12を回動させて、洗米部12を装置本体18から離脱させることができる。なお、洗米部12は装置本体18に対し、洗米部12が装置本体18に装着された状態(切欠部32の他端部がクランプレバー34の末端に当接した状態)から180°回動可能とされている。
【0025】
図3及び図5に詳細に示す如く、洗米部12は軸受部材36を備えており、軸受部材36はアーム28に固定されている。また、洗米部12は洗米モータ38を備えており、洗米モータ38もアーム28に固定されている。軸受部材36は回転軸40を回転自在に軸支しており、回転軸40の上部及び下部は軸受部材36から突出している。回転軸40には、軸受部材36の上方においてプーリ42が固定されており、このプーリ42は、洗米モータ38の駆動軸に固定されたプーリ44にベルト46を介して連結されている。これにより、洗米モータ38が駆動されることで、回転軸40が回転される。また、洗米モータ38の電線48は、支柱26内部を貫通されることで、装置本体18内に設けられた制御盤50(図1及び図4参照)に接続されている。
【0026】
軸受部材36の下部には円筒状の洗米筒52の上端が固定されており、洗米筒52内には回転軸40が収容されると共に、洗米筒52の下端は開口されている。洗米筒52の下端近傍における側壁には供給口52Aが形成されており、供給口52Aには供給機構を構成するスクリューフィーダ54が臨設されている。スクリューフィーダ54は供給モータ56を備えており、供給モータ56によりスクリューフィーダ54が駆動される。スクリューフィーダ54には供給機構を構成するホッパ58が連設されており、ホッパ58は、上記アーム28に固定されると共に、上方に開放されている。ここで、ホッパ58に原料白米(精白米)が供給されると、スクリューフィーダ54によって原料白米が搬送されて、供給口52Aを介して洗米筒52内に原料白米が供給される。また、供給モータ56の電線60は、支柱26内部を貫通されることで上記制御盤50に接続されている。
【0027】
ホッパ58の下部には原料センサ62が設けられており、原料センサ62はホッパ58内の原料白米の有無を検出する。原料センサ62の配線64は支柱26内部を貫通されることで上記制御盤50に接続されており、ホッパ58内に原料白米が無くなったことを原料センサ62が検出すると、所定時間後に無洗米製造装置10の全体(洗米モータ38、供給モータ56、後記脱水モータ134、ポンプ164、搬送モータ168、乾燥モータ208及びヒータ216等)が停止される。また、ホッパ58には原料センサ62の下方において流量調節シャッタ66が設けられており、流量調節シャッタ66によって洗米筒52内に供給される原料白米の量が調節される。
【0028】
洗米筒52内における回転軸40下側の外周には、スクリュー羽根68Aが形成されて揚穀螺旋68が構成されている。揚穀螺旋68と洗米筒52との間には粗洗米室70が形成されている。これにより、回転軸40が回転されることで、揚穀螺旋68が粗洗米室70内の原料白米を下から上に搬送し、この原料白米が揚穀螺旋68及び上昇する原料白米の自重によって抵抗を与えられて攪拌される。また、上記供給口52Aの上方側(図3のAの部位)においては、スクリュー羽根68Aは1条形成されると共に、スクリュー羽根68Aと洗米筒52との隙間は原料白米の砕粒が生じない程度の大きさ(例えば5mm程度)とされている。一方、供給口52Aの下方側(図3のBの部位)においては、スクリュー羽根68Aは2条形成されると共に、スクリュー羽根68Aと洗米筒52との隙間は原料白米が通過しない程度の大きさ以下(例えば1mm程度以下)とされている。これにより、粗洗米室70内で原料白米が砕粒することが防止されると共に、洗米筒52下端の開口から原料白米が落下することが防止されている。
【0029】
洗米筒52内における回転軸40の外周には、スクリュー羽根68Aの直上において円柱状の突条72Aが複数形成されており、複数の突条72Aは螺旋状に配列されている。さらに、洗米筒52内における回転軸40の外周には、複数の突条72Aの直上において複数枚の掻き出し板72Bが固定されており、各掻き出し板72Bは回転軸40の軸線(回転中心)と平行とされている。この複数の突条72A及び複数枚の掻き出し板72Bによって、洗米筒52内における回転軸40上側に洗米ロール72が構成されている。洗米筒52と洗米ロール72の突条72A形成部位との間には仕上洗米室74が形成されている。これにより、回転軸40が回転されることで、原料白米が仕上洗米室74内で突条72A及び上昇する原料白米の自重によって抵抗を与えられて攪拌される。
【0030】
回転軸40の中心には、その上端から突条72A形成部位の中間部分に亘って、給水穴76が形成されている。この給水穴76は、回転軸40の外周から仕上洗米室74に臨むように開口する仕上給水口としての複数の注水口76Aに連通しており、複数の注水口76Aは、回転軸40の最上部の突条72Aの上方から突条72A形成部位の中間部分の範囲において形成されている。回転軸40の上端には連結器78が設けられており、連結器78は、回転部である回転軸40と固定部である配管80とを密封した状態で連結している。配管80には、連結器78側の流量制御弁94と反連結器78側の流量計96とが設けられており、流量計96及び流量制御弁94にはコントローラ98が接続されている。配管80の反連結器78側端部にはチューブ82が接続されると共に、チューブ82は支柱26内部を貫通されることで装置本体18内を通って装置本体18外に出されており、チューブ82は装置本体18の外部に設けられた給水タンク(図示省略)に接続されている。このため、給水タンクからチューブ82、配管80、連結器78を介して給水穴76内に清純水(水道水または井戸水等)が2次洗米水(仕上洗米水)として供給され、複数の注水口76Aから仕上洗米室74の内部に2次洗米水が注がれる。これにより、仕上洗米室74内で原料白米が2次洗米水と共に攪拌されて、後期段階の洗米処理(仕上洗米処理)が行われる。この際、配管80に給水される2次洗米水の流量を流量計96が計量し、この計量値に基づきコントローラ98が流量制御弁94を制御することで、コントローラ98で設定された流量の2次洗米水が仕上洗米室74の内部に注がれる。
【0031】
洗米筒52の粗洗米室70形成部位の直上には、給水管84が設けられており、この給水管84は、粗洗米室70の直上に臨むように開口する粗給水口としての給水口84Aに連通している。給水管84には、配管80と同様に洗米筒52側の流量制御弁94と反洗米筒52側の流量計96とが設けられており、流量計96及び流量制御弁94にはコントローラ98が接続されている。給水管84の反洗米筒52側端部には、チューブ86及び分配管91が接続されており、チューブ86は支柱26内部を貫通されることで脱水部14の後記ポンプ164に接続されると共に、分配管91は配管80とチューブ82との接続部分に接続されている。チューブ86及び分配管91には給水管84との接続部分近傍においてそれぞれ逆止弁93が設けられると共に、チューブ86及び分配管91には、電磁弁である方向制御弁95が連設されている。
【0032】
ここで、方向制御弁95によってチューブ86が閉鎖されると共に分配管91が開放される第1給水方式が実行される際には、上記給水タンクからチューブ82、分配管91及び給水管84を介して給水口84Aから粗洗米室70へ清純水が1次洗米水(粗洗米水)として注がれる。これにより、粗洗米室70内で原料白米が1次洗米水(清純水)及び仕上洗米室74から流下した2次洗米水と共に攪拌されて、前期段階の洗米処理(粗洗米処理)が行われる。この際、チューブ86の逆止弁93によって清純水がチューブ86を反給水管84側へ流れることが防止されている。
【0033】
また、方向制御弁95によって分配管91が閉鎖されると共にチューブ86が開放される第2給水方式が実行される際には、後に詳細に説明する脱水部14において原料白米が脱水されることで得られる脱水液(洗米処理の最後で原料白米に付着した2次洗米水であるため準清水である)がポンプ164によってチューブ86及び給水管84を介して給水口84Aから1次洗米水として粗洗米室70へ注がれる。これにより、粗洗米室70内で原料白米が1次洗米水(脱水液)及び仕上洗米室74から流下した2次洗米水と共に攪拌されて、前期段階の洗米処理(粗洗米処理)が行われる。この際、分配管91の逆止弁93によって脱水液が分配管91を反給水管84側へ流れることが防止されている。
【0034】
さらに、方向制御弁95によってチューブ86及び分配管91が閉鎖される第3給水方式が実行される際には、給水口84Aからは粗洗米室70へ1次洗米水が注がれない。これにより、粗洗米室70内で原料白米が仕上洗米室74から流下した2次洗米水のみと共に攪拌されて、前期段階の洗米処理(粗洗米処理)が行われる。
【0035】
さらにまた、第1給水方式または第2給水方式が実行されて給水管84から1次洗米水が注がれる際には、2次洗米水の場合と同様に、給水管84に給水される1次洗米水の流量を流量計96が計量し、この計量値に基づきコントローラ98が流量制御弁94を制御することで、コントローラ98で設定された流量の1次洗米水が粗洗米室70へ注がれる。
【0036】
洗米筒52には、仕上洗米室74形成部位の上下方向略中間部分から粗洗米室70形成部位の上部に亘って、多数の排水口52Bが穿設されており、多数の排水口52Bからアリウロン残留物等を含有する汚れた2次洗米水(洗米汁)が排水されることで、仕上洗米室74内の2次洗米水の汚れが抑制される。なお、この排水口52Bは、洗米筒52の仕上洗米室74形成部位の全体に穿設してもよい。洗米筒52の外周には、排水口52B穿設部位から下端に亘って排水壁88が設けられており、洗米筒52と排水壁88との間には排水室90が形成されている。これにより、多数の排水口52Bから排水された洗米汁が、排水室90を介して洗米筒52の下端近傍から下方へ排水される。さらに、上述の如く洗米筒52の下端は開口されているため、仕上洗米室74及び粗洗米室70を通過して汚れた1次洗米水や2次洗米水(洗米汁)が洗米筒52の下端から下方へ排水される。これにより、仕上洗米室74及び粗洗米室70内の1次洗米水や2次洗米水の汚れが抑制される。
【0037】
洗米筒52の上部であって洗米ロール72の掻き出し板72Bに対応する位置には排出口52Cが形成されており、洗米処理された原料白米が、上記揚穀螺旋68の搬送力により仕上洗米室74から排出口52Cを介して洗米筒52外へ排出される。また、排出口52Cに対応して洗米筒52の上部には排出管92が固定されており、排出管92は、一端部が排出口52Cを被った状態で洗米筒52に沿って垂設されている。これにより、排出口52Cから排出された原料白米が、排出管92内を落下して排出管92の下端から排出される。
【0038】
図4及び図5に詳細に示す如く、脱水部14は、洗米部12の直下における装置本体18内に配設されており、脱水部14は遠心脱水筒100及び外郭筒102を備えている。遠心脱水筒100は脱水内筒104及び脱水外筒106から成り、脱水内筒104及び脱水外筒106は双方とも上端が開口した円筒状とされて立設されると共に、脱水内筒104と脱水外筒106との間には脱水室108が形成されている。一方、外郭筒102は、上端が開口した円筒状とされて遠心脱水筒100を囲うように立設されている。
【0039】
脱水部14に対応して装置本体18の上壁には開放口110が形成されており、開放口110には円環状の外カバー112が着脱自在に装着されると共に、外カバー112の内側には略円盤状の内カバー114が着脱自在に装着されている。外カバー112が内カバー114と共に装置本体18の上壁から離脱されると、開放口110全体が開放されて外郭筒102の内側の範囲が開放される一方、内カバー114のみが装置本体18の上壁(外カバー112)から離脱されると、開放口110が部分的に開放されて脱水内筒104の内側の範囲のみが開放される。
【0040】
内カバー114の中心部分には、水受管116が垂設されており、水受管116の上端は上記洗米筒52及び排水壁88に対応して大きくされる共に、水受管116の下部は脱水内筒104内の下側まで到達している。このため、排水室90の下端及び洗米筒52の下端から排水された洗米汁が水受管116の上端に受け止められることで、この洗米汁が水受管116内を落下する。
【0041】
内カバー114には米受管118が垂設されており、米受管118の上端は拡径されて上記排出管92の直下に配置されると共に、米受管118の下端は脱水内筒104内の下端近傍まで到達している。このため、洗米部12での洗米処理が終了して排出管92から排出された原料白米は、米受管118内を落下して脱水内筒104内の下端に到達する。
【0042】
内カバー114には周方向に沿って複数の吸気口120が形成されており、後に詳細に説明する如くこの複数の吸気口120を介して脱水内筒104の内部に空気が吸気される。また、内カバー114に設けられた水受管116及び米受管118には遮風板122が取り付けられており、遮風板122は脱水内筒104内の上下方向略中間部分に配置されている。このため、複数の吸気口120からの空気が脱水内筒104内の下側へ到達することがこの遮風板122によって阻害される。
【0043】
脱水内筒104の下端には下端板124が設けられており、下端板124には円筒軸126が固定されている。円筒軸126の内部には、回転不能とされた円筒状の排水管128が配置されている。円筒軸126は、上記取付台20に固定された軸受台130に後記円筒軸148を介して回転自在に軸支されている。円筒軸126の下端にはプーリ132が固定されており、このプーリ132は、脱水モータ134の駆動軸に固定されたプーリ136にベルト138を介して連結されている。これにより、脱水モータ134が駆動されることで、円筒軸126及び下端板124が回転されて、脱水内筒104が回転される。また、排水管128の上端には上記水受管116の下端が着脱自在に差しこまれており、これにより、上述の如く水受管116内を落下した洗米汁が排水管128内を落下し、さらに排水路182を介して装置本体18外に排水される。
【0044】
脱水内筒104の周面には、多数の噴風孔104Aが形成されており、脱水内筒104の内部は噴風室140とされている。また、脱水内筒104の下端周面には、周方向に沿って複数の移送口142が形成されており、米受管118から落下して下端板124上に到達した原料白米は、下端板124が回転されることで遠心力を受けて移送口142を介して脱水室108の下部に移送される。さらに、脱水内筒104の外周にはスクリュー羽根144が張設されており、脱水内筒104が回転されることでスクリュー羽根144が一体に回転されて、脱水室108下部の原料白米が脱水室108上部へ上昇される。
【0045】
脱水外筒106の下端には下端板146が設けられており、下端板146には円筒軸148が固定されている。円筒軸148は、円筒軸126を囲う状態で上記軸受台130に回転自在に軸支されている。円筒軸148の下端にはプーリ150が固定されており、このプーリ150は、上記脱水モータ134の駆動軸に固定されたプーリ152にベルト154を介して連結されている。これにより、脱水モータ134が駆動されることで、円筒軸148及び下端板146が回転されて、脱水外筒106が回転される。また、プーリ150の直径はプーリ132の直径と同一とされると共に、プーリ152の直径はプーリ136の直径より若干小さくされている。
【0046】
脱水外筒106の周面には、多数の排水・排風用の排出孔106Aが形成されると共に、脱水外筒106の外周には、脱水外筒106の軸線(回転中心)と平行とされた複数枚の起風翼156が固定されている。このため、脱水外筒106が回転されることで、起風翼156が一体に回転して脱水外筒106の外側(外郭筒102内)に風が発生し、上記吸気口120、噴風室140、噴風孔104A、脱水室108、排出孔106A及び外郭筒102内の順で風が送風される。これにより、脱水室108内を上昇される原料白米に付着した2次洗米水が脱水される。また、上述の如く遮風板122によって脱水内筒104内(噴風室140)の下側へ空気が到達することが阻害されるため、脱水室108の下側への送風量は少なくされる一方、脱水室108の上側への送風量は多くされる。これは、脱水室108の下側に位置する原料白米に付着している2次洗米水は多いため、脱水室108の下側への送風量が少なくても多くの2次洗米水を脱水できる一方、脱水室108の上側に位置する原料白米に付着している2次洗米水は比較的少ないため、脱水室108の上側への送風量を多くすることで良好に原料白米を脱水できることによる。
【0047】
脱水外筒106の上端の外周全体には移送板158が設けられており、脱水処理が終了して脱水室108の上端から排出された原料白米が遠心力により移送板158上に搬送される。移送板158は外郭筒102の上方に配置されており、脱水外筒106が回転されて移送板158が一体に回転されることで、移送板158上の原料白米が遠心力を受けて、この原料白米が移送板158の外周から落下する。移送板158の外周は外郭筒102の周壁の直上に位置しており、このため、移送板158の外周から落下する原料白米は、外郭筒102の外側を通過する。
【0048】
外郭筒102の下端には下面板102Aが形成されており、下面板102Aは上記取付台20に取付部材160を介して固定されている。下面板102Aには搬送管162が連結されると共に搬送管162にはタンク184が連結されており、脱水室108で原料白米を脱水して得られる脱水液が排出孔106A、外郭筒102内及び搬送管162を介してタンク184に収容される。タンク184にはポンプ164が設けられると共に、ポンプ164は上記チューブ86を介して給水管84に接続されており、ポンプ164によってタンク184内の脱水液(準清水)をチューブ86及び給水管84内を介して搬送して給水口84Aから粗洗米室70の直上へ注ぐことが可能とされている。また、チューブ86のポンプ164近傍部分は圧力制御管186によって上記排水路182に接続されており、圧力制御管186には圧力制御弁188が設けられている。これにより、圧力制御弁188によって圧力制御管186を介して排水路182に排水される脱水液の量が制御されることで、ポンプ164によってチューブ86内を搬送される脱水液の搬送圧力が制御される。なお、上記第1給水方式及び第3給水方式が実行される際には、圧力制御弁188が全開にされることで、タンク184内の脱水液が全てチューブ86、圧力制御管186及び排水路182を介して装置本体18外に排水される。
【0049】
外郭筒102の外周にはプーリ166が回転自在に支持されており、このプーリ166は、搬送モータ168の駆動軸に固定されたプーリ170にベルト172を介して連結されている。プーリ166の上面には円環状の搬送板174が固定されており、搬送板174は、上記移送板158の下方に配置されて外郭筒102の外周を取り囲むと共に、常にプーリ166と一体に回転する。このため、搬送モータ168が駆動されることで、プーリ166と一体に搬送板174が回転され、後述の如く脱水処理が終了して移送板158から搬送板174上に落下した原料白米が、遠心力を受けて搬送板174の外方向へ移動する。
【0050】
搬送板174に対応して装置本体18の上壁下面には、円筒状の係止筒176の上端が固定されており、係止筒176の周壁は搬送板174の外周近傍の直上に位置すると共に、係止筒176の周壁下端と搬送板174との隙間は原料白米が通過しない程度以下の大きさとされている。このため、この係止筒176の周壁によって、移送板158からの原料白米が全て搬送板174上に落下されると共に、搬送板174上の原料白米が搬送板174から落下することが防止される。また、係止筒176の乾燥部16側における周壁には、搬送路178が形成されており、搬送路178は対向する一対の側壁178A(図7参照)を有している。さらに、一方の側壁178A(搬送板174回転方向側の側壁178A)と外郭筒102との間には、曲面を有する堰板180(図7参照)が架け渡されており、堰板180の下端と搬送板174との隙間は原料白米が通過しない程度以下の大きさとされている。これにより、搬送板174上の原料白米の回転が堰板180に阻止されることで、この原料白米が搬送板174から落下して搬送路178を介して乾燥部16へ搬送される。
【0051】
図6及び図7に詳細に示す如く、乾燥部16は、脱水部14に隣接して装置本体18内に配設されている。乾燥部16は乾燥筒200を備えており、乾燥筒200は上記取付台20上に立設されている。乾燥筒200の内周面には複数の受けロール202が固定されており、複数の受けロール202上には乾燥円盤204が載置されている。これにより、乾燥円盤204は乾燥筒200内で水平な状態とされて回転可能に支持されている。乾燥筒200の上端は開口されると共に、乾燥筒200内の乾燥円盤204より上側は乾燥室206とされており、脱水処理が終了した原料白米が搬送路178から乾燥筒200の上端開口を介して乾燥円盤204上に落下する。
【0052】
乾燥円盤204の中心には乾燥モータ208の駆動軸が固定されており、乾燥モータ208が駆動されることで乾燥円盤204が回転される。乾燥室206の中心には支持筒210が設置されると共に、支持筒210と乾燥筒200との間には一対のブラケット212が架け渡されており、一方のブラケット212(乾燥円盤204上に落下した原料白米が最初に通過する方のブラケット212)には複数(本実施の形態では3つ)の均平板214が支持されている。各均平板214の乾燥円盤204に対する高さ及び各均平板214の向きは調節可能とされており、乾燥円盤204が回転されることで、複数の均平板214によって原料白米が乾燥円盤204上に均等に拡散される。
【0053】
乾燥筒200の上方における装置本体18上壁にはヒータ216が設けられており、ヒータ216は、装置本体18の外部からの空気を加熱することで温風を生じさせて、この温風を乾燥筒200の上端開口を介して乾燥円盤204上の原料白米に均等に送風する。さらに、乾燥円盤204には多数の通風孔204Aが形成されており、乾燥筒200内の乾燥円盤204より下側は排気室218とされている。乾燥筒200の下端は開口されると共に、上記取付台20には乾燥筒200の下方において排気口220が形成されており、排気口220の下側には排気管222が排気口220を被う状態で連結されている。これにより、ヒータ216から送風された温風が乾燥円盤204上の原料白米を通過することで原料白米が乾燥されると共に、原料白米を通過した温風が通風孔204A、排気室218、排気口220及び排気管222を介して装置本体18の外部に排気される。
【0054】
乾燥筒200と支持筒210との間には、曲面を有する堰板224が架け渡されており、堰板224の下端と搬送板174との隙間は原料白米が通過しない程度以下の大きさとされている。堰板224に対応して乾燥筒200には排出樋226が設けられており、排出樋226は、乾燥筒200内と装置本体18の外部とを連通している。これにより、上記搬送路178を介して乾燥円盤204上に落下した原料白米が乾燥円盤204によって略一回転された際に、原料白米の回転が堰板224に阻止されて原料白米が乾燥円盤204の外方向へ移動されることで、乾燥処理が終了した原料白米(無洗米)が、乾燥筒200内から排出樋226を介して装置本体18の外部に排出される構成である。
【0055】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0056】
以上の構成の無洗米製造装置10では、洗米モータ38により回転軸40を所定の回転速度(例えば700rpm)で回転させた状態で供給モータ56によりスクリューフィーダ54を駆動してホッパ58内の原料白米を洗米筒52の下部に供給すると、原料白米は揚穀螺旋68によって粗洗米室70から仕上洗米室74へ向けて下から上へ搬送される。粗洗米室70及び仕上洗米室74では、原料白米は、揚穀螺旋68の搬送力によって下から上へ搬送されると共に自重により加圧される。
【0057】
給水タンク(図示省略)により注水口76Aから適量の2次洗米水(清純水)を仕上洗米室74内に注ぐと、回転する洗米ロール72によって仕上洗米室74内の原料白米が2次洗米水と共に攪拌され、後期段階の洗米処理が行われる。また、粗洗米室70内では、回転する揚穀螺旋68によって原料白米が少なくとも仕上洗米室74から流下した2次洗米水と共に攪拌され、前期段階の洗米処理が行われる。
【0058】
洗米処理された原料白米は、回転する掻き出し板72Bにより排出口52Cを介して排出管92の下端から排出され、脱水部14の米受管118を介して脱水内筒104の下端に到達する。また、洗米処理後の洗米汁は、排水室90の下端及び洗米筒52の下端から排水され、脱水部14の水受管116、排水管128及び排水路182を介して装置本体18外へ排水される。
【0059】
脱水部14では、脱水モータ134により遠心脱水筒100が所定の速度で回転している。すなわち、脱水内筒104が所定の速度(例えば1200rpm)で回転すると共に、脱水外筒106は脱水内筒104より若干遅い所定の速度(例えば1000rpm)で回転している。同時に、脱水外筒106の回転により起風翼156が回転することで吸気口120から吸気が行われ、この空気が脱水内筒104の噴風室140、噴風孔104A、脱水室108、脱水外筒106の排出孔106Aを経て外郭筒102内に至る。
【0060】
脱水内筒104の下端に到達した原料白米は、遠心力により移送口142を介して脱水室108の下部に供給される。脱水室108に供給された原料白米は、スクリュー羽根144により上昇されながら遠心脱水され、脱水液は脱水外筒106の排出孔106Aから排出される。この際、原料白米に付着した2次洗米水は、脱水室108内を上昇する途中で全て遠心脱水される。また、上述の如く吸気口120から吸気された空気が脱水室108に噴射されることで、遠心脱水作用が補助されている。脱水処理された原料白米は、その表面にごく僅かに水が付着した状態で、遠心力と自然落下により脱水室108の上部から移送板158、搬送板174及び搬送路178を介して排出され、乾燥部16の乾燥円盤204上に供給される。
【0061】
乾燥部16では、乾燥モータ208によって乾燥円盤204が所定の速度(例えば7rpm)で回転されており、乾燥円盤204上に供給された原料白米は、均平板214により均等に拡散される。乾燥円盤204上で拡散された原料白米は、ヒータ216から乾燥室206、乾燥円盤204の通風孔204A、排気室218、排気口220及び排気管222を経て装置本体18外へ流れる温風を浴びることで、表面付着水が完全に除去されて乾燥されることにより、無洗米となる。無洗米となった原料白米は、排出樋226から排出される。
【0062】
ここで、複数の注水口76Aから仕上洗米室74に清純水が2次洗米水として供給される。さらに、方向制御弁95を制御することで、給水口84Aから粗洗米室70に清純水を1次洗米水として供給する第1給水方式と、給水口84Aから粗洗米室70に脱水部14にて原料白米を脱水することで得られる脱水液を1次洗米水として供給する第2給水方式と、給水口84Aからは1次洗米水を供給しない第3給水方式と、から何れか1つの方式が選択可能とされている。
【0063】
第1給水方式が選択された際には、給水口84A及び複数の注水口76Aから清純水が粗洗米室70及び仕上洗米室74に供給される。このため、洗米水の供給量が多くなって水道料金及び洗米汁の排水処理料金が高くなる一方、無洗米の食味及び外観が極めて良好となると共に雑菌数を極めて少なくできる。
【0064】
第2給水方式が選択された際には、複数の注水口76Aから清純水が仕上洗米室74に供給されると共に、給水口84Aから脱水液(洗米処理の後期段階で原料白米に付着した水であるため準清水である)が粗洗米室70に供給される。このため、洗米水の供給量が少なくなって(第1給水方式の略半分になって)水道料金及び洗米汁の排水処理料金を低くできる(第1給水方式の略半分にできる)一方、無洗米の食味及び外観が良好となると共に雑菌数を少なくできる。
【0065】
第3給水方式が選択された際には、複数の注水口76Aから清純水が仕上洗米室74に供給される一方、給水口84Aからは洗米水が供給されない。このため、洗米水の供給量が少なくなって(第1給水方式の略半分になって)水道料金及び洗米汁の排水処理料金を低くできる(第1給水方式の略半分にできる)一方、無洗米の食味及び外観が普通レベルとなると共に雑菌数が普通レベルになる。なお、無洗米の雑菌数が普通レベルであっても、無洗米炊飯時には高温となって雑菌が殺菌されるため、それほど問題にならない。
【0066】
このように、第1給水方式、第2給水方式及び第3給水方式から何れか1つの方式を選択可能とされているため、洗米水の供給量や無洗米の食味、外観及び雑菌数を自由に選択できる。
【0067】
[第2の実施の形態]
図8には、本発明の第2の実施の形態に係る無洗米製造装置500が縦断正面図にて示されている。
【0068】
本実施の形態に係る無洗米製造装置500は、横型の洗米部502を備えており、洗米部502では、円筒状の洗米筒504が横設されている。洗米筒504の一端近傍には、上方に開放されたホッパ506が連設されており、ホッパ506に原料白米(精白米)が供給されると、洗米筒504内に原料白米が供給される。
【0069】
洗米筒504の一端には洗米モータ508が固定されると共に、洗米筒504内には円柱状の回転軸510が回転自在に収容されており、回転軸510は、洗米モータ508に接続されて洗米モータ508の駆動により回転する。
【0070】
回転軸510の外周には、反洗米モータ508側端部以外においてスクリュー羽根512が形成されて送穀螺旋514が構成されており、送穀螺旋514と洗米筒504との間には粗洗米室516が形成されている。このため、回転軸510が回転されると、送穀螺旋514が粗洗米室516内の原料白米を洗米筒504の一端側(上流側)から他端側(下流側)へ搬送しつつ攪拌する。
【0071】
回転軸510外周には、反洗米モータ508側端部において板状の攪拌突条518が複数形成されて洗米ロール520が構成されており、洗米ロール520と洗米筒504との間には仕上洗米室522が形成されている。このため、回転軸510が回転されると、洗米ロール520が仕上洗米室522内の原料白米を攪拌する。
【0072】
洗米筒504の上部には、粗洗米室516形成部位の略中間部分において粗洗米給水口としての1次給水口524が形成されると共に、仕上洗米室522形成部位の上流側端部近傍において仕上給水口としての2次給水口526が形成されている。
【0073】
2次給水口526には配管528が連結されており、配管528は給水タンク(図示省略)に接続されている。このため、給水タンクから配管528に清純水(水道水または井戸水等)が2次洗米水(仕上洗米水)として供給され、2次給水口526から仕上洗米室522の内部に2次洗米水が注がれる。これにより、仕上洗米室522内で原料白米が2次洗米水と共に攪拌されて、後期段階の洗米処理(仕上洗米処理)が行われる。
【0074】
1次給水口524には給水管530が連結されており、給水管530は後記脱水部14のポンプ164に接続されている。給水管530には手動操作可能な第1切替弁532が設けられており、第1切替弁532には排水路534が接続されている。第1切替弁532より1次給水口524側の給水管530と配管528との間には分配管536が架け渡されており、給水管530及び分配管536には、手動操作可能な第2切替弁538が連設されている。
【0075】
ここで、第1切替弁532によって給水管530が閉鎖されると共に排水路534側が開放され、かつ、第2切替弁538によって給水管530が閉鎖されると共に分配管536が開放される第1給水方式が実行される際には、上記給水タンクから配管528及び分配管536を介して1次給水口524から粗洗米室516へ清純水が1次洗米水(粗洗米水)として注がれる。これにより、粗洗米室516内で原料白米が1次洗米水(清純水)と共に攪拌されて、前期段階の洗米処理(粗洗米処理)が行われる。この際、タンク184内の脱水液は、全て排水路534を介して排水される。
【0076】
また、第1切替弁532によって排水路534側が閉鎖されると共に給水管530が開放され、かつ、第2切替弁538によって分配管536が閉鎖されると共に給水管530が開放される第2給水方式が実行される際には、後記脱水部14において原料白米が脱水されることで得られる脱水液(洗米処理の後期段階で使用された後の2次洗米水であるため準清水である)がポンプ164によってタンク184から給水管530を搬送されて1次給水口524から1次洗米水として粗洗米室516へ注がれる。これにより、粗洗米室516内で原料白米が1次洗米水(脱水液)と共に攪拌されて、前期段階の洗米処理(粗洗米処理)が行われる。
【0077】
さらに、第1切替弁532によって給水管530が閉鎖されると共に排水路534側が開放され、かつ、第2切替弁538によって分配管536が閉鎖される第3給水方式が実行される際には、第1給水口524からは粗洗米室516へ1次洗米水が注がれない。これにより、粗洗米室516内では、前期段階の洗米処理(粗洗米処理)が行われない。この際、タンク184内の脱水液は、全て排水路534を介して排水される。
【0078】
洗米筒504の下部には、1次給水口524の真下において多数の排水口540が穿設されており、多数の排水口540からアリウロン残留物等を含有する1次洗米水(洗米汁)が排水されることで、粗洗米室516内の1次洗米水の汚れが抑制される。洗米筒504の下部には、多数の排水口540を包囲した状態で排水樋542が設けられており、排水樋542は排水路534に接続されている。これにより、多数の排水口540から排水された1次洗米水(洗米汁)は、排水樋542及び排水路534を介して排水される。
【0079】
洗米筒504の他端下部には排出口544が形成されており、仕上洗米室522での洗米処理を終えた原料白米及び2次洗米水が、排出口544から排出される。
【0080】
無洗米製造装置500は、上記第1の実施の形態と同様の脱水部14を備えており、洗米処理が終了して排出口544から排出された原料白米及び2次洗米水が脱水部14に供給されて原料白米の脱水処理が行われる。このため、脱水部14にて原料白米を脱水することで得られる上記脱水液は、洗米処理終了時に原料白米に付着している2次洗米水の他に、洗米処理終了時に原料白米に付着していない2次洗米水も含んでいる。
【0081】
無洗米製造装置500は、上記第1の実施の形態と同様の乾燥部16を備えており、脱水処理が終了して脱水部14から排出された原料白米が乾燥部16にて乾燥処理されて無洗米が製造される構成である。
【0082】
ここで、本実施の形態に係る無洗米製造装置500によっても、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
[第3の実施の形態]
図9には、本発明の第3の実施の形態に係る無洗米製造装置600が縦断正面図にて示されている。
【0084】
本実施の形態に係る無洗米製造装置600は、ほぼ上記第1の実施の形態と同様の構成とされているが、洗米部12においては、配管80及び給水管84からそれぞれ流量制御弁94、流量計96及びコントローラ98が省略されている。さらに、分配管536が逆止弁93と共に省略さており、これに伴い、方向制御弁95及びチューブ86の逆止弁93も省略されている。
【0085】
また、脱水部12においては、圧力制御管186から圧力制御弁188が省略されると共に、圧力制御管186のチューブ86との接続部分には切替弁602が設けられている。
【0086】
このため、切替弁602によって圧力制御管186側が閉鎖されると共にチューブ86が開放される第2給水方式が実行される際には、脱水部14において原料白米が脱水されることで得られる脱水液(準清水)がタンク184からポンプ164によってチューブ86及び給水管84を搬送されて給水口84Aから1次洗米水として粗洗米室70へ注がれる。これにより、粗洗米室70内で原料白米が1次洗米水(脱水液)及び仕上洗米室74から流下した2次洗米水と共に攪拌されて、前期段階の洗米処理(粗洗米処理)が行われる。
【0087】
さらに、切替弁602によってチューブ86が閉鎖されると共に圧力制御管186側が開放される第3給水方式が実行される際には、給水口84Aからは粗洗米室70へ1次洗米水が注がれない。これにより、粗洗米室70内で原料白米が仕上洗米室74から流下した2次洗米水のみと共に攪拌されて、前期段階の洗米処理(粗洗米処理)が行われる。なお、この第3給水方式が実行される際には、タンク184内の脱水液が全て圧力制御管186及び排水路182を介して装置本体18外に排水される構成である。
【0088】
ここで、本実施の形態に係る無洗米製造装置600では、第1給水方式を選択できないことを除いて、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
なお、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、第1給水方式、第2給水方式及び第3給水方式から何れか1つの方式を選択可能とされた構成とし、また、上記第3の実施の形態では、第2給水方式及び第3給水方式から何れか1つの方式を選択可能とされた構成としたが、第1給水方式、第2給水方式及び第3給水方式のうちの少なくとも2つの方式から何れか1つの方式を選択可能とされた構成であればよい。
【0090】
さらに、上記第1の実施の形態及び第3の実施の形態では、竪型かつ直列型の洗米部12を備えた構成とし、また、上記第2の実施の形態では、横型かつ直列型の洗米部502を備えた構成としたが、竪型や横型の洗米部を備えた構成に限定されるものでなく、洗米筒が傾斜された傾斜型の洗米部を備えた構成としてもよい。かつ、直列型の洗米部を備えた構成に限定されるものでなく、複数の洗米筒が並べられた並列型の洗米部を備えた構成としてもよい。
【0091】
また、上記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、脱水内筒104及び脱水外筒106を回転させることで、脱水室108に供給された原料白米が脱水内筒104のスクリュー羽根144によって上昇されながら遠心脱水される構成としたが、これに限らず、脱水室に供給された原料白米が遠心力や回転するスクリュー羽根等により上昇または下降されながら遠心脱水される構成であればよい。
【0092】
さらにまた、上記第1の実施の形態乃至第3の実施の形態では、水平面上を回転する乾燥円盤204を備えた横回転式の乾燥部16を用いた構成としたが、乾燥ドラム等を備えた縦回転式の乾燥部及びその他の形式の乾燥部を使用することができる。
【0093】
【発明の効果】
請求項1に記載の無洗米製造装置では、第1給水方式、第2給水方式及び第3給水方式のうちの少なくとも2つの方式から何れか1つの方式を選択可能とされているため、洗米水の供給量や無洗米の食味、外観及び雑菌数を自由に選択できる。
【0094】
請求項2に記載の洗米水の使用方法では、第1給水方式、第2給水方式及び第3給水方式のうちの少なくとも2つの方式から選択された何れか1つの方式が実行されるため、洗米水の供給量や無洗米の食味、外観及び雑菌数を自由に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無洗米製造装置を示す縦断正面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る無洗米製造装置を示す一部破断した平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る洗米部を詳細に示す縦断正面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る脱水部を詳細に示す縦断正面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る洗米部及び脱水部を詳細に示す一部破断した平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る乾燥部を詳細に示す縦断正面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る乾燥部を詳細に示す一部破断した平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る無洗米製造装置を概略的に示す縦断正面図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る無洗米製造装置を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
10 無洗米製造装置
12 洗米部
14 脱水部
16 乾燥部
76A 注水口(仕上給水口)
84A 給水口(粗洗米給水口)
500 無洗米製造装置
502 洗米部
524 第1給水口(粗洗米給水口)
526 第2給水口(仕上給水口)
600 無洗米製造装置
Claims (2)
- 原料白米及び洗米水が供給され、前記原料白米を前記洗米水と共に攪拌して洗米処理を行う洗米部と、
前記洗米部に連設され、前記洗米部から供給された前記原料白米を脱水する脱水部と、
前記脱水部に連設され、前記脱水部から供給された前記原料白米を乾燥する乾燥部と、
を備えた無洗米製造装置において、
前記洗米部は、前期段階の洗米処理を行うための部位に前記洗米水を供給するための粗洗米給水口と後期段階の洗米処理を行うための部位に前記洗米水を供給するための仕上給水口とを有し、
かつ、前記仕上給水口から清純水を前記洗米水として供給すると共に、
前記粗洗米給水口から清純水を前記洗米水として供給する方式と、前記粗洗米給水口から前記脱水部にて前記原料白米を脱水することで得られる脱水液を前記洗米水として供給する方式と、前記粗洗米給水口からは前記洗米水を供給しない方式と、のうちの少なくとも2つの方式から何れか1つの方式を選択可能にした、
ことを特徴とする無洗米製造装置。 - 原料白米及び洗米水が供給され、前記原料白米を前記洗米水と共に攪拌して洗米処理を行う洗米部と、
前記洗米部に連設され、前記洗米部から供給された前記原料白米を脱水する脱水部と、
前記脱水部に連設され、前記脱水部から供給された前記原料白米を乾燥する乾燥部と、
を備えた無洗米製造装置に適用される洗米水の使用方法において、
前記洗米部の後期段階の洗米処理を行うための部位に前記洗米水を供給するための仕上給水口から清純水を前記洗米水として供給し、
かつこれと同時に、前記洗米部の前期段階の洗米処理を行うための部位に前記洗米水を供給するための粗洗米給水口から清純水を前記洗米水として供給する方式と、前記粗洗米給水口から前記脱水部にて前記原料白米を脱水することで得られる脱水液を前記洗米水として供給する方式と、前記粗洗米給水口からは前記洗米水を供給しない方式と、のうちの少なくとも2つの方式から選択された何れか1つの方式を実行する、
ことを特徴とする洗米水の使用方法。
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