JP3578915B2 - 自走式根菜収穫機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大根、人参等の根菜類を土中より掘り起こし、搬送して収納容器に収納する自走式根菜収穫機の掘り起こし部の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から大根等の根菜収穫機は公知となっており、先端に配置した鍬状の掘起し機を土中に挿入して、下方より根菜を土中より掘り起こし、該掘起し機の後部より上後方へ引抜コンベアの延設して、該引抜コンベアのベルトにて根菜の葉部分を両側より挟持して斜め上方に根菜を搬送し、搬送部後端にカッターを配置して、該カッターにより根菜の葉の根元部を切断し、根部を収納容器に収納する技術は、公知となっている。例えば、特開平6−54613号公報の技術が公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の根菜収穫機においては、掘り起こし爪は引抜コンベアの前端下方へ延設して、根菜の根部下方より浮き上がらせるようにしているので、掘り起こし爪を支持するために支持杆を機体より前方へ突出されていたのである。
本発明は、掘り起こし爪により根菜を揺動して浮かせ、掘り起こしを容易にし、かつ、マルチフィルムを被覆して栽培した場合には、両側のスソ部の下方より掘り起こし爪を挿入して、振動させるので、根菜の掘り起こし作業と同時に、マルチフィルムの両端の覆土をほぐすことができて、マルチフィルムを容易に剥がすことができるように構成したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の如き課題を解決するために、次のような手段を用いるものである。
マルチフィルムを被覆して根菜を栽培した畝等の二条の根菜を往復作業で収穫すべく、走行機体より前方に、内側の引抜コンベアBと、外側の掘起し装置Aを並行して昇降可能に突出し、該掘起し装置Aにより掘り起こして、引抜コンベアBにより後方へ搬送した根菜を、載置コンベアDを介して収納容器Fに収容する構成において、前記掘起し装置Aの高さを決めるゲージ輪11は、クローラ走行装置2Lの前方に配置し、該掘起し装置Aの 掘り起こし爪9は正面視逆L字状に構成し、上部を斜め上下方向に延出して、走行機体の外側で揺動する掘起し装置Aのクランクアーム10の先端に取り付け、該掘り起こし爪9の下部は、走行機体の外側から内方に湾曲されて、前記ゲージ輪11の直前から、マルチフィルムを被覆した畝の側面のスソ部の下方で、畝の側方より土中に挿入し、更に掘り起こし爪9の先端は、引抜コンベアBの先端であって根菜を引き抜く引抜き始端部Baの下方まで延設し、同一経路を往復する往復作業時の復路では、往路と反対側の外側から掘り起こし爪9’を土中に挿入して、二条の根菜を往復で収穫できるように構成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。図1は本発明の自走式根菜収穫機の全体側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく正面図、図4は掘起し装置の昇降機構の側面図、図5は同じく平面図である。
【0006】
図1乃至図3より自走式根菜収穫機の全体構成について説明する。
まず、水平状のメインフレーム1の下方に、前部クローラ走行装置2L・2R、及び後部クローラ走行装置3L・3Rが配設されており、該前部クローラ走行装置2L・2Rは、上方の操作部Gに配置した操向ハンドル5による操向操作にて操向可能となっている。該操作部Gはメインフレーム1の右側前方で、右側のクローラ走行装置2Rの上方位置に形成されている。
即ち、メインフレーム1の右前上に操作コラム4を立設し、その上部に操向ハンドル5が突設されている。そして、該操作コラム4の後方にエンジン室6が配設されており、該エンジン室6内にエンジンEが内蔵されていて、該エンジン室6上には運転席7が配設されている。更に該エンジン室6の後方位置で、該メインフレーム1上に燃料タンクが搭載されている。
【0007】
そして、該メインフレーム1の左側前方(反操作部G側)より後方にかけて、根菜を掘取り、搬送し、葉部分を切除し、収容する一連の根菜収穫用の装置が配設されている。メインフレーム1左側前部より、土中の根菜を掘り上げるための掘起し装置A、該掘起し装置Aの後部より、掘り上げた根菜の葉部分を挟持して搬送する引抜コンベアB、その後端部の下方に、載置コンベアD、該載置コンベアDの外側に葉部切断装置Cが配置されており、前記載置コンベアDの後方に収納容器Fが搭載されている。
【0008】
このような一連の根菜収穫装置の各装置について具体的に説明する。まず、本発明の要部である掘起し装置Aとその昇降機構Tは、図4、図5に示すように、前記メインフレーム1の前端部に回動支点軸14が横設されており、該回動支点軸14にロアリンク13の後部が枢支され、その後部に昇降フレーム15が立設されている。ロアリンク13は左右間隔をあけて、前後方向に平行に配設した回動杆13a・13aと、該回動杆13a・13aを直角方向に横設して連結する連結杆13b・13bからなり、後端に回動支点軸14、前端に枢支軸13cを横設して、これら連結杆13b・13bと回動支点軸14と枢支軸13cによって回動杆13a・13aを強固に固着して、梯子形として剛性を高めている。
【0009】
前記昇降フレーム15は正面視「ハ」字状に構成して、ロアリンク13後部の中央上端部にトップリンク支持軸15aが横架され、該トップリンク支持軸15aにトップリンク16の後端部が枢支され、一方前記枢支軸13cには取付体12が枢支され、該取付体12の上部にトップリンク15の前端が枢支されている。また、前記回動支点軸14の中央部に昇降アーム17が固設され、該昇降アーム17の先端に昇降用のシリンダー19のピストンロッド先端が枢支され、該昇降用のシリンダー19は昇降フレーム15の下方に位置して、後端はロアリンク13中央後方のメインフレーム1に枢支され、また、ロアリンク13の中途部側面に支持軸13dを突出して、該支持軸13dと引抜コンベアBとの間にコンベア昇降シリンダー29を介設している。このように引抜コンベアBの前側部に昇降リンク機構Tが配設されて、前記昇降用シリンダー19の伸縮によって昇降リンク機構Tを昇降し、同時に引抜コンベアB及び掘起し装置Aを昇降でき、コンベア昇降シリンダー29によって引抜コンベアBを単独で昇降できるようにしている。
【0010】
そして、前記取付体12の前側面に掘り起こし爪9の高さを決めるゲージ輪11の取付杆11aを高さ調節可能に取り付けており、該取付杆11aの下端にゲージ輪11を回転自在に枢支し、該ゲージ輪11は前部クローラ走行装置2Lの前方に配置している。前記取付体12はロアリンク13の幅よりも狭いが、所定間隔をあけた一対の三角形状の板体からなり、前記取付杆11aの取付部と反対側の側面(内側)に油圧モータM1が固設されて、その出力軸を一対の取付体12・12の間に挿入し、該出力軸上に偏心カムを設け、該偏心カムに掘り起こし爪9の支持部となるクランクアーム10の後端を連結し、該クランクアーム10は中途部で枢支軸12aによって取付体12前部に枢支され、クランクアーム10前端に正面視逆L字状に構成した鍬状の掘り起こし爪9が配置されて、掘起し装置Aを構成している。
【0011】
該掘り起こし爪9の上部は、クランクアーム10の先端部に上下位置調節可能に斜め上下方向に取り付けられ、掘り起こし爪9の下部は内方に湾曲されて、ゲージ輪11の直前から土中に入りこみ、図3に示すように、畝の側方より土中に挿入して、掘り起こし爪9の先端は、図5に示すように、引抜コンベアB先端で根菜を引き抜く、引抜き始端部Ba下方まで延設している。このような構成で、前記油圧モータM1を駆動させて偏心カムの回転により、クランクアーム10が揺動し、これにより、掘り起こし爪9が前後に揺動して、根菜の下方より土中を振動して、根菜を浮き上がらせ、引抜きが容易にできるようにしている。
【0012】
また、図3に示すように、復路では、往路と反対側から掘り起こし爪9’を土中に挿入して、二条の根菜を往復で収穫できるようにしている。さらに、マルチフィルムを被覆して根菜を栽培した場合には、マルチフィルムの側面のスソ部の下方より掘り起こし爪9を挿入して、振動させることによって、根菜の掘り起こし往復作業と同時に、マルチフィルムの両側端の覆土をほぐすことができて、マルチフィルムを容易に剥がすことができるようになるのである。
【0013】
そして、前記引抜コンベアBの構成は、図1〜図3に示すように、搬送フレーム21L・21Rの前後方向の略中央部から外側(左)へ折れ曲がった平面視「く」字状に構成され、該搬送フレーム21L・21Rの前後両端と屈曲部にプーリー23・23・・・を配し、これらプーリーに挟持ベルト25L・25Rを巻回し、屈曲部でガイドしている。左右の後部のプーリー23・23の軸芯は回転駆動軸となっており、該回転軸の上端に伝動体26を設けてベベルギアと水平軸を介して連動連結し、左右のプーリーを互いに逆回転して、前記挟持ベルト25L・25Rを後方へ搬送駆動できるようにしている。また、メインフレーム1の中途部上にフレーム20が立設されて、その上端部には回動軸27が横架され、該回動軸27は引抜コンベアBの回動支点となると共に、駆動軸ともなり、油圧モータによって駆動される。
【0014】
また、左右に並設している前記搬送フレーム21L・21Rは連結フレーム22・22・・・によって一体的に連結され、搬送フレーム21Lの中途部側面と、前記ロアリンク13の中途部側面との間にコンベア昇降シリンダー29が介装されており、該コンベア昇降シリンダー29を伸縮させないときには、前記昇降用シリンダー19を伸縮させるときに掘起し装置Aと同時に引抜コンベアBも昇降され、該コンベア昇降シリンダー29を単独で駆動させることによって、畝や根菜の根部や葉の高さ等に合わせて前記引抜コンベアBを個別に昇降させることができる。
【0015】
また、引抜コンベアBの前端部に、着脱可能にディバイダー30を配設しており、該ディバイダー30は、タイン32a・32a・・・を突出した掻込ベルト32・32を配設し、前記引抜コンベアBのプーリー23より伝動される。そして、その後部の引抜コンベアB下部に根菜の尻尾切り装置31が配設されている。そして、前記引抜コンベアBの後部下方に載置コンベアDが前後方向に配設されており、側面視三角形状に構成されて、その各頂点にローラー33・34・35を枢支して搬送ベルト36を巻回し、ローラー33を前方下部に配置し、ローラー35を収納容器F上方に配置し、ローラー34をローラー33とローラー35の間に位置させて、ローラー33とローラー34の間を前傾の斜面部とし、ローラー34とローラー35の間を略同じ高さで略水平として、平坦載置部としている。この平坦載置部上方に前記引抜コンベアBの後端を位置させている。
【0016】
そして、載置コンベアDの右側にタインを多数突出した搬送チェーン40が三角形状に巻回され、平坦載置部の左側にタインを多数突出した搬送チェーン43が巻回している。平坦載置部の中途部の外側(左側)に葉部切断装置Cが配設されて、その下方にシュータSの上部開口が配設されており、該葉部切断装置Cは、載置コンベアDの側部に着脱可能に設け、油圧モータM2の駆動により切断刃54を回転させて、根菜が搬送される途中で葉部を切断する。前記シュータS下部は中央下方へ延設されて、切断された葉部はシュータS内に落下して、根菜を引き抜いた畝上へ落下するようにしている。
【0017】
このような構成において、ゲージ輪11によって掘り起こし爪9を所定の深さとなるように調節して、前記引抜コンベアBの先端に位置する前記ディバイダー30が畝の上部に位置し、根菜の葉部を挟持できるように油圧昇降用シリンダー29を伸縮して調節し、前進しながら作業を行うと、根菜は掘り起こし爪9の揺動によって持ち上げられ、ディバイダー30によって根菜の葉が中央に寄せられ、挟持ベルト25L・25Rに葉の部分が挟持されて後方へ搬送されながら引き抜かれる。この根菜を浮き上がらせたときに、間隔をあけたロアリンク13と幅広の取付体12により、揺動する掘り起こし爪9からの反力や捩じれを受け止め、位置ズレすることなく確実に掘り起こすことによって、引抜コンベアBにより根菜の葉部を挟持して後方へ搬送しながら引き抜くことができる。
【0018】
そして、上方への搬送途中で尻尾切り装置31によって根菜の根部下端が切断され、引抜コンベアBの中途部の屈曲部付近から根菜が傾斜し、後方へ搬送されながら根部が載置コンベアDの搬送ベルト36上に載せられて、徐々に左右水平方向に向けられて斜面部上を上方に搬送される。そして、平坦載置部に至ると、葉部は引抜コンベアBから解除されて載置コンベアD上に落下し、根菜は水平の状態で後方へ送られ、その途中で葉部切断装置Cによって余分な葉が切断され、葉はシュータSより畝上へ落下する。その後根菜の根部は終端で収納容器Fへ落下して収納されていくのである。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏するものである。
第1に、往復作業時において、復路では、往路と反対側から掘り起こし爪を土中に挿入することによって、二条の根菜を往復で収穫できるのである。
第2に、マルチフィルムが被覆してある場合には、マルチフィルムの側面のスソ部の下方より掘り起こし爪を挿入して、振動させるので、往復作業と同時に、両側端の覆土をほぐすことができ、マルチフィルムを容易に剥がすことができるようになるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自走式根菜収穫機の全体側面図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】掘起し装置の昇降機構の側面図である。
【図5】同じく平面図である。
【符号の説明】
A 掘起し装置
B 引抜コンベア
Ba 引抜き始端部Ba
D 載置コンベア
F 収納容器
T 昇降機構
9 掘り起こし爪
10 クランクアーム
Claims (1)
- マルチフィルムを被覆して根菜を栽培した畝等の二条の根菜を往復作業で収穫すべく、走行機体より前方に、内側の引抜コンベアBと、外側の掘起し装置Aを並行して昇降可能に突出し、該掘起し装置Aにより掘り起こして、引抜コンベアBにより後方へ搬送した根菜を、載置コンベアDを介して収納容器Fに収容する構成において、
前記掘起し装置Aの高さを決めるゲージ輪11は、クローラ走行装置2Lの前方に配置し、
該掘起し装置Aの掘り起こし爪9は正面視逆L字状に構成し、上部を斜め上下方向に延出して、走行機体の外側で揺動する掘起し装置Aのクランクアーム10の先端に取り付け、該掘り起こし爪9の下部は、走行機体の外側から内方に湾曲されて、前記ゲージ輪11の直前から、マルチフィルムを被覆した畝の側面のスソ部の下方で、畝の側方より土中に挿入し、
更に掘り起こし爪9の先端は、引抜コンベアBの先端であって根菜を引き抜く引抜き始端部Baの下方まで延設し、
同一経路を往復する往復作業時の復路では、往路と反対側の外側から掘り起こし爪9’を土中に挿入して、二条の根菜を往復で収穫できるように構成したことを特徴とする自走式根菜収穫機。
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