JP3541058B2 - 自走式根菜収穫機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、大根、人参等の根菜類を土中より掘り起こし、搬送して収納容器に収納する自走式根菜収穫機の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
大根等の根菜収穫機として、従来トラクタに牽引されて、鍬状の掘起し器にて根菜を土中より掘り起こし、該掘起し器の後部より延設した引抜コンベアのベルトにて根菜の葉部分を挟持して斜め上方に根菜を搬送し、収納容器に収納する技術は、公知となっている。
更に、該掘起し爪及び引抜コンベアは、上下に回動可能として上下高さを調節できるように構成した技術も公知となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の根菜収穫機においては、引抜コンベアや掘起こし爪は機体中心よりも側方に配置されており、収穫時には畝の上方をクローラが走行するため安定性上に好ましくない。
また、掘起し爪を土中に深く挿入する為に、爪部柄を長くする必要があり、それは非常に不安定なものであった。
また、畝間を走行するようにした構成の場合、左右一側に引抜コンベアや掘起こし爪を配置していたので、左右のバランスが悪く走行性能が劣っていたり、引抜き精度が悪かったりしていたのである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の如き課題を解決するために、次のような手段を用いるものである。
走行機体より前方に、平面視「く」字状に屈曲部24を構成した引抜コンベアBを配設し、該引抜コンベアBの前部は、前端にディバイダー30を備え、更に進行方向と平行で、且つ左右クローラー走行装置の内側の機体左右中央側に配置し、該引抜コンベアBの後部は、屈曲部24により外側に屈曲させて載置コンベアDの前端上に延設し、前記屈曲部24の前方の空間において、メインフレーム1の左側前部から掘起し装置Aを昇降するためのリンク機構を突設し、該リンク機構の前部に掘起し爪9を装着し、更に該掘起し爪9を引抜コンベアBの前部下方へ向けて側方へ延設したものである。
【0005】
【作用】
上記のような手段を用いることによって、引抜コンベアは走行装置の間に位置して、畝上の根菜の位置に引抜コンベアを位置させ、畝の側方より掘起し爪先端を引抜コンベア前下方に挿入して、根菜を浮き上がらせて、引抜コンベアによって後方へ搬送し、屈曲部においては根菜が水平方向に姿勢が変えられて、載置コンベアに受継がれて水平に後方へ搬送される。
【0006】
【実施例】
本発明の構成の実施例を添付の図面を用いて説明する。
図1は本発明の自走式根菜収穫機の側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく正面図、図4は引抜コンベアBと載置コンベアDの位置関係を示す平面図。
【0007】
図1乃至図3より自走式根菜収穫機の全体構成について説明する。
まず、水平状のメインフレーム1の下方に、前部クローラ走行装置2L・2R、及び後部クローラ走行装置3L・3Rが配設されており、該前部クローラ走行装置2L・2Rは、上方の操作部Gに配置した操向ハンドル5による操向操作にて操向可能となっている。
該操作部Gはメインフレーム1の右側前方で、右側のクローラ走行装置2Rの上方位置に形成されている。即ち、メインフレーム1の右前上に操作コラム4を立設し、その上部に操向ハンドル5が突設されている。
そして、該操作コラム4の後方にエンジン室6が配設されており、該エンジン室6内にエンジンが内蔵されていて、該エンジン室6上には運転席7が配設されている。更に該エンジン室6の後方位置で、該メインフレーム1上に燃料タンクが搭載されている。
【0008】
そして、該メインフレーム1の左側前方(反操作部G側)より後方にかけて、根菜を掘取り、搬送し、葉部分を切除し、収容する一連の根菜収穫用の装置が列設されており、まず、メインフレーム1左側前部より、土中の根菜を掘り上げるための掘起し装置A、該掘起し装置Aの後部より、掘り上げた根菜の葉部分を挟持して搬送する引抜きコンベアB、その後端部の下方に、載置コンベアD、該載置コンベアDの外側に葉部切断装置E、該載置コンベアDの後方に収納容器Fが搭載されている。
【0009】
以上のような一連の根菜収穫用装置の各装置について具体的に説明する。
まず掘起し装置Aより説明する。前記メインフレーム1の前端部に回動支点軸14が横設されており、該回動支点軸14にロアリンク13・13の後部が枢支され、その後部に昇降フレーム15が立設され、該昇降フレーム15の上端部にトップリンク支持部15aが設けられ、該トップリンク支持部15aにトップリンク16の後端部が枢支されている。このように引抜きコンベアBの前部側部に昇降リンク機構が配設されている。
そして更に、該トップリンク16の前端部と該ロアリンク13・13の前端部が、前部マスト12に枢支されている。前記前部マスト12の前端部には、正面視略L字状に構成した鍬状の掘起し爪9の上端部が、上下位置調節可能に取付けられており、また、該前部マスト12の前部下方に爪の高さを決めるゲージ輪11を配設している。
【0010】
該掘起し爪9の上部は前部マスト12の内側より延設されるクランクアーム10の先端部に固定され、該クランクアーム10の後端部は、該前部マスト12に側面に固設した油圧モーターである掘起し爪駆動モーターM1の出力軸を中心に回転するカムに枢支して、該モーター駆動によるカム回転により、該クランクアーム10がクランク運動をし、これにより、該掘起し爪9が前後に揺動して、土中を掘り上げるように構成している。
【0011】
そして、前記ロアリンク13の後端には昇降アーム17が固定され、該昇降アーム17の先端が前記昇降フレーム15の内側に設けた油圧シリンダー47のピストンロッドに枢結されて、該油圧シリンダー47を伸縮させることにより前記回動軸14を中心にロアリンク13・13が回動し、前部マスト12に設けた掘起し爪9を昇降でき、引抜コンベアBも昇降できるのである。
【0012】
前記引抜コンベアBは搬送フレーム21L・21Rの前後方向の略中央部から外側(左へ)折り曲がった平面視「く」字状に構成され、搬送フレーム21L・21Rの前後両端部にプーリー23F・23F・23R・23Rを配し、前記搬送フレーム21Lの屈曲部24にプーリー23C・23C、プーリー23d、プーリー23e・23eを配して、これらプーリーに挟持ベルト25L・25Rを巻回し、ガイドしている。
そして、図4において、左右の後部のプーリー23R・23Rの軸芯は回転軸26L・26Rが貫通されて、該回転軸26L・26Rの上端でベベルギアと水平軸を介して連動連結し、該回転軸26L・26Rを互いに反対方向に回転駆動し、各プーリーを互いに逆回転して、前記挟持ベルト25L・25Rを後方へ搬送駆動できるようにしている。
【0013】
また、メインフレーム1の中途部上にフレーム20L・20Rが立設されて、その上端部には、回動軸27を横架し、該回動軸27内には駆動軸27aを横架し、該駆動軸27aの一端に油圧モーターM2を設け、該油圧モーターM2を駆動することによって駆動軸27a上に固設したベベルギアを介して前記回転軸26Lに動力が伝えられ、前記プーリー23Rを駆動し、前述のように回転軸26Lを駆動させる。
なお、該挟持ベルト25L・25Rの搬送駆動方向は図3の如くであり、該挟持ベルト25L・25R同士の接触部分、即ち、両ベルトにて根菜の葉部分を挟持する部分が、前方より後方に搬送駆動するようになっているのである。
そして、右側の搬送フレーム21Rの後端部は、左側の搬送フレーム21Lより前方に位置しており、該搬送フレーム21Lが後部に突出した状態となっているために、根菜を載置コンベアDの左側へ効率良く搬送できるようにしている。
【0014】
また、左右に並設している前記搬送フレーム21L・21Rは連結フレーム22・22・・・、前記連結フレーム26によって一体的に連結され、該連結フレーム26a下端は前記回動軸27に固定され、前記回動軸26Rを内設する連結フレーム26bが途中より分岐し前記回動軸27の右側に固定され、引抜きコンベアBを前記回動軸27を中心に回動可能にしている。
そして、従来は掘起し装置Aと引抜きコンベアBの昇降駆動は別個に作動し、その二機構の干渉域を考慮し、その干渉域においては同調して回動させる機構が必要であった。そこで、本発明は以下に示す様な機構にする事で、それら二機構が略同時に回動する事で干渉により破損する事態はなくなり、また必要に応じ前記引抜きコンベアBが個別に回動可能にした。
【0015】
つまり、搬送フレーム21L・21Rの前後中央側面と、前記掘起し装置Aを昇降させる前記ロアリンク13の中途部側面との間にコンベア昇降シリンダー29が介装されており、該コンベア昇降シリンダー29の下端部が前記ロアリンク13から突設する枢支軸28bに回動可能に枢支し、上端部は連結フレーム22の左側に突設する枢支軸28aを回転可能に枢支して、前記掘起し装置Aを昇降させる時には同時に前記引抜きコンベアBをも昇降され、また、該コンベア昇降シリンダー29を駆動させる事によって前記引抜きコンベアBを個別に昇降させる事ができ、葉の高さ等に合わせることができる。
【0016】
また、引抜コンベアBの前端部に、着脱可能にディバイダー30を配設しており、該ディバイダー30は、タイン39a・39a・・・を付設した駆動チェーンを収納する引上チェーンケース32L・32Rを左右に配設し、該引上チェーンケース32L・32R内のチェーンの駆動は、該引抜コンベアBの、それぞれの前部プーリー23Fより伝動する。
そして、その後部の引抜コンベアB下部に尻尾切り装置45が配設されており、ローラーによって尻尾部分を中央に案内し、カッターで尻尾の先端を切断するようにしている。該カッターは刃もモーターMによって回転させている。
【0017】
前記載置コンベアDは前記フレーム20L・20R上に載置され、側面視三角形状に構成した搬送フレーム31の各頂点に搬送ローラー33・34・35を枢支して搬送ベルト36を巻回し、搬送ローラー33を前方下部に配置し、搬送ローラー34を搬送フレーム21L・21R後部下方に位置させて、この搬送ローラー33と搬送ローラー34の間を前傾の傾斜部42とし、搬送ローラー34と搬送ローラー35を略同じ高さに配して略水平の載置部38を形成している。
そして、前記搬送ローラー33・34・35の右側には、それぞれスプロケット33a・34a・35aが設けられ搬送補助チェーン37Rを三角形状に巻回し、また、前記搬送ローラー34・35の左側にも同様にスプロケット34b・35bが設けられ、搬送補助チェーン37Lを水平部のみ巻回して、該搬送補助チェーン37L・37Rには一定距離ごとにタイン39b・39b・・・を付設している。
【0018】
そして、前記駆動軸27aにスプロケット27cを設け、前記スプロケット34bの外側にスプロケット34cを固設しチェーンを巻回して、前記駆動軸27aから前記スプロケット34a・34b・34cに動力が伝達され前記搬送補助チェーン37R・37Lが回転し前記搬送ローラー33・34・35が駆動し搬送ベルト36を駆動するようにしている。
そして更に、前記載置部38の中途部の外側(左側)に葉部切断装置Eを配設し、該葉部切断装置Eは、上下に刃の一部分が重なるように回転刃40・41を配置し、動力は前記駆動軸27aから取り出し、根菜が搬送される途中で葉部を切断できるようにしている。この葉部切断装置E下方にシュータ46が配されている。
【0019】
このような構成において、クローラ走行装置2Lが谷部を走行するように位置させ、ゲージ輪11によって掘起し爪9を所定の深さとなるように調節して、前記引抜きコンベアBの先端に位置する前記ディバイダー30が畝の上部に来るように油圧シリンダー29を伸縮して調節し、前進しながら作業を行うと、根菜は掘起し爪9の揺動によって持ち上げられ、ディバイダー30によって根菜の葉が中央に寄せられ、挟持ベルト25L・25Rに葉の部分が挟持されて後方へ搬送されながら引き抜かれる。
【0020】
そして、上方への搬送途中で尻尾切り装置45によって根菜の根部下端が切断され、屈曲部24付近から根菜の根部が載置コンベアDの傾斜部42に載せられ、この屈曲部24から外側に搬送される段階において、尾部が前記搬送補助チェーン37Rの前記タイン39b・39b・・・の間に入り、搬送ベルト36上に載せられて徐々に水平方向に向けられる。
そして、載置部38に至ると葉部も補助チェーン37Lの前記タイン39b・39b・・・の間に入り、後方へ送られ、その途中で葉部切断装置Eによって余分な葉が切断されて、葉はシュータ46より畝上へ落下し、大根は収納容器Fに収納されていくのである。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏するものである。
即ち、引抜きコンベアが屈曲部24で屈曲していることにより、リンク機構を収納するための空間を広くでき、作業時に視界の邪魔とならず、また、屈曲部24から根菜の根部を搬送しながら、載置コンベアに左右水平に姿勢を変えて搬送でき、水平方向へ姿勢を変えるための装置が不要で構造がシンプルとなる。
また、引抜きコンベアが中央側に位置するので、重量バランスがよくなり、引抜き時の姿勢が崩れることなく、直進性能も向上する。
そして、走行装置は、畝と畝の間の谷部を安定して走行し、畝の側面から掘起し爪を挿入できるので抵抗が少なく、且つ、土中深く挿入させる事ができ、作業効率も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自走式根菜収穫機の側面図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】引抜コンベアBと載置コンベアDの位置関係を示す平面図。
【符号の説明】
A 掘起し装置
B 引抜コンベア
D 載置コンベア
E 葉部切断装置
F 収納容器
1 メインフレーム
2L・2R 前部クローラ装置
9 掘起し爪
24 屈曲部
36 搬送ベルト
37L・37R 搬送補助チェーン

Claims (1)

  1. 走行機体より前方に、平面視「く」字状に屈曲部24を構成した引抜コンベアBを配設し、
    該引抜コンベアBの前部は、前端にディバイダー30を備え、更に進行方向と平行で、且つ左右クローラー走行装置の内側の機体左右中央側に配置し、
    該引抜コンベアBの後部は、屈曲部24により外側に屈曲させて載置コンベアDの前端上に延設し、
    前記屈曲部24の前方の空間において、メインフレーム1の左側前部から掘起し装置Aを昇降するためのリンク機構を突設し、該リンク機構の前部に掘起し爪9を装着し、
    更に該掘起し爪9を引抜コンベアBの前部下方へ向けて側方へ延設したことを特徴とする自走式根菜収穫機。
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