JP3578194B2 - ウェーハ位置決め方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はウェーハ位置決め方法及び装置に係り、特にノッチ付きウェーハのウェーハ位置決め方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子の素材となるシリコン等のウェーハは、インゴットの状態からスライシングマシン等の切断装置によって薄く切り出されたのち、周縁をウェーハ面取機によって面取り加工される。
ウェーハ面取機では、回転自在なウェーハテーブル上にウェーハを固定し、そのウェーハを回転させながら、回転する砥石に周縁を押し付けることによって、ウェーハの面取り加工を行っている。
【0003】
ところで、前記ウェーハ面取機でウェーハを精度良く加工するためには、ウェーハをウェーハテーブル上に固定する際に、ウェーハテーブルの中心とウェーハの中心とを一致させて固定する必要がある。
また、ノッチ付きウェーハの場合には、そのノッチが所定方向に位置するようにウェーハを固定する必要がある。
【0004】
このため、ウェーハ面取機には、通常、ウェーハ位置決め装置が備えられており、ウェーハは、このウェーハ位置決め装置で位置決めされてからウェーハテーブル上に固定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のウェーハ位置決め装置は、ウェーハの中心の位置合わせは自動でできても、ノッチの位置合わせまでは自動でできなかったため、ノッチ位置の設定は、別途設置したプリアライメント装置で行わなければならなかった。
この場合、プリアライメント装置で正確にノッチの設定がなされなかった場合やウェーハの搬送過程でズレが生じた場合には、ノッチの方向がズレた状態でウェーハテーブルに固定されてしまい、この結果、ウェーハを精度良く面取できないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ノッチ付きウェーハを正確に位置決めすることができるウェーハ位置決め方法及び装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、ウェーハの中心を所定の基準直線L上に位置させるとともに、前記ウェーハに形成されたノッチをノッチ基準位置上に位置させて位置出しするウェーハ位置決め方法において、前記ノッチ基準位置上に位置させたノッチピンと前記基準直線Lに対して対称移動する一対の回動自在なクランプローラとで前記ウェーハを挟持することにより、前記ウェーハの中心を前記基準直線L上に位置させた後、前記ウェーハの周縁に押圧当接された回転ローラを回転させて前記ウェーハを回転させることにより、前記ノッチを前記ノッチピンに係合させて、前記ノッチを前記ノッチ基準位置上に位置させて位置出しすることを特徴とする。
【0010】
本発明によるウェーハの位置決めは、次のように行われる。まず、基準位置上に位置させたノッチピンと、基準直線に対して対称移動する一対のクランプローラでウェーハを挟持する。これにより、ウェーハは、その中心が前記基準直線上に位置する。次いで、前記のごとく挟持されたウェーハを、前記ノッチピンと前記一対のクランプローラとを通る円の中心点を軸として回転させる。これにより、前記ノッチがノッチピンの方向に移動し、該ノッチピンにノッチが係合する。この結果、ウェーハは、その中心が所定の基準直線上に位置するとともに、そのノッチが前記基準位置上に位置して、位置決めがなされる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るウェーハ位置決め方法及び装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明に係るウェーハ位置決め装置の実施の形態の構成を示す平面図である。
【0012】
同図に示すように、前記ウェーハ位置決め装置10は、ウェーハWの芯出しを行う芯出しユニット12、ウェーハWに形成されたノッチNの位置出しを行うノッチ位置出しユニット14、及び、前記ウェーハWを回転させる回転駆動ユニット16から構成されている。
まず、前記芯出しユニット12の構成について説明する。図1に示すように、ベースプレート18上には、図中左右方向に一対の第1ガイドレール20、20が敷設されている。この第1ガイドレール20、20上には、図示しないスライド部材を介して一対のクランプアーム22A、22Bが各々スライド移動自在に支持されている。
【0013】
前記クランプアーム22A、22Bには、それぞれラック24A、24Bが固着されており、該ラック24A、24Bは、ともにピニオンギア26に螺合されている。ピニオンギア26は、前記ベースプレート18に回動自在に支持されており、前記クランプアーム22A、22Bは、このピニオンギア26とラック24A、24Bの作用により、図1に示す基準直線Lに対して左右対称的に移動する。
【0014】
また、前記一対のクランプアーム22A、22Bは、互いにスプリング28で連結されており、このスプリング28の作用によって、互いに近づく方向に付勢されている。
前記ベースプレート18上には、前記第1ガイドレール20の敷設方向に沿って第1シリンダ30が配設されている。この第1シリンダ30のロッドは、前記第1ガイドレール20の敷設方向に沿って伸縮し、伸張することにより、一方のクランプアーム22B(図中右側)に設けられたプッシュ板32を押圧する。
【0015】
前記プッシュ板32が前記第1シリンダ30のロッドに押圧されると、前記クランプアーム22Bは、図中右方向に移動する。この結果、前記一対のクランプアーム22A、22Bは、同じ移動量で互いに離れる方向に移動し、その間隔が拡がる。
一方、前記第1シリンダ30のロッドが前記プッシュ板32を押圧した状態から収縮すると、前記クランプアーム22A、22Bは、前記スプリング28の作用により、同じ移動量で互いに近づく方向に移動する。この結果、前記一対のクランプアーム22A、22Bの間隔が狭まる。
【0016】
以上のように、前記クランプアーム22A、22Bは、前記第1シリンダ30の操作により、その間隔を自由に拡縮することができる。
前記クランプアーム22A、22Bの両端下部には、それぞれ図示しない軸受を介してクランプローラ34A、34A、34B、34Bが回動自在に支持されている。この4つのクランプローラ34A、34A、34B、34Bは、前記基準直線L上に設置された基準点Oから等距離の位置、すなわち、基準点Oを中心とした同心円上に配置されている。そして、前記クランプアーム22A、22Bが拡縮することにより、常に同心円の状態を維持しながら拡縮する。
【0017】
以上のように構成された芯出しユニット12は、その拡縮自在なクランプローラ34A、34A、34B、34BでウェーハWを挟持すると、そのウェーハWの中心を前記基準点O上に位置させる。
次に、前記位置出しユニット14の構成について説明する。前記ベースプレート18の図中上側には、前記基準直線Lに沿って一対の第2ガイドレール36、36が敷設されている。この第2ガイドレール36、36上には、図示しないスライド部材を介してノッチ用スライダ38がスライド自在に支持されている。
【0018】
前記ノッチ用スライダ38の下部には、ノッチピン40が回動自在に支持されており、該ノッチピン40は、前記ノッチ用スライダ38がスライド移動することにより、前記基準直線L上を移動する。
また、前記ノッチ用スライダ38には、連結部材42を介してスプリング44が連結されており、該スプリング44の他端は、前記ベースプレート18上に設けられた支持部材46に連結されている。そして、前記ノッチ用スライダ38は、このスプリング44の作用によって、常に前記基準点Oに近づく方向に付勢されている。
【0019】
前記第2ガイドレール36近傍には、第2シリンダ46が配設されている。この第2シリンダ48のロッドは、前記第2ガイドレール36の敷設方向に沿って伸縮し、伸張することにより、前記ノッチ用スライダ38に設けられたプッシュ板50を押圧する。そして、前記プッシュ板50が前記第2シリンダ48のロッドに押圧されると、前記ノッチピン40は、前記基準直線L上を基準点Oから離れる方向に移動する。
【0020】
以上のように構成されたノッチ位置出しユニット14は、前記第2シリンダ48のロッドを伸張させると、そのノッチピン40が、前記基準直線L上を基準点Oから離れる方向に移動し、前記第2シリンダ48のロッドを収縮させると、そのノッチピン40が、前記基準直線L上を基準点Oに近づく方向に移動する。そして、このノッチピン40に前記ウェーハWに形成されたノッチNを係合させることにより、前記ウェーハWは、そのノッチNが所定の基準方向、すなわち、前記基準直線L上に位置出しされる。
【0021】
次に、前記回転駆動ユニット16の構成について説明する。前記ベースプレート18の図中下側には、前記基準直線Lに沿って一対の第3ガイドレール52、52が敷設されている。この第3ガイドレール52、52上には、図示しないスライド部材を介してローラ用スライダ54がスライド自在に支持されている。
前記ローラ用スライダ54の下部には、図示しない軸受を介して回転ローラ56が回動自在に支持されている。この回転ローラ56の軸部には、前記ローラ用スライダ54の上部に設置された正逆回転可能なモータ58のスピンドルが連結されており、このモータ58を駆動することにより、前記回転ローラ56は回転する。
【0022】
また、前記ローラ用スライダ54には、連結部材60を介してスプリング62が連結されており、該スプリング62の他端は、前記ベースプレート18上に設けられた支持部材64に連結されている。そして、前記ローラ用スライダ54は、このスプリング62の作用によって、常に前記基準点Oに近づく方向に付勢されている。
【0023】
前記第3ガイドレール52近傍には、第3シリンダ66が配設されている。この第3シリンダ66のロッドは、前記第3ガイドレール52の敷設方向に沿って伸縮し、伸張することにより、前記ローラ用スライダ54に設けられたプッシュ板68を押圧する。そして、前記プッシュ板68が前記第3シリンダ66のロッドに押圧されると、前記回転ローラ56は、前記基準直線L上を基準点Oから離れる方向に移動する。
【0024】
以上のように構成された回転駆動ユニット16は、前記第3シリンダ66のロッドを伸張させると、その回転ローラ56が、前記基準直線L上を基準点Oから離れる方向に移動し、前記第3シリンダ66のロッドを収縮させることにより、その回転ローラ56が、前記基準直線L上を基準点Oに近づく方向に移動する。そして、この回転ローラ56を前記クランプローラ34A、34A、34B、34Bで挟持されたウェーハWの周縁に押圧当接し、回転させることにより、ウェーハWは、前記基準点Oを中心として回転する。
【0025】
なお、ウェーハWは、前記クランプローラ34A、34A、34B、34Bに挟持されているが、該クランプローラ34A、34A、34B、34Bは、回動自在に支持されているので、このクランプローラ34A、34A、34B、34Bに挟持された状態においても、ウェーハWは自由に回転することができる。
前記のごとく構成された本発明に係るウェーハ位置決め装置の実施の形態の作用は次の通りである。
【0026】
まず、第1シリンダ30を駆動してロッドを伸張させ、そのロッドでクランプアーム22Bに設けられたプッシュ板32を押圧する。これにより、クランプアーム22A、22Bは、互いに基準点Oから離れる方向に同じ移動量で移動する。そして、このクランプアーム22A、22Bの移動に伴い、各クランプアーム22A、22Bに設けられたクランプローラ34A、34A、34B、34Bも同じ移動量で基準点Oから離れる方向に移動する。
【0027】
前記第1シリンダ30の駆動と同時に、前記第2シリンダ48及び第3シリンダ66も駆動され、各シリンダ30、48のロッドが伸張して、それぞれプッシュ板50、68を押圧する。この結果、ノッチピン40及び回転ローラ56も、それぞれ基準点Oから離れる方向に移動する。
前記のごとくクランプローラ34A、34Bが、基準点Oから離れる方向に移動し、その間隔が最大に拡がったところで、クランプローラ34A、34Bの間にウェーハWをセットする。
【0028】
前記クランプローラ34A、34Bの間にウェーハWがセットされたら、次に、伸張させておいた前記第1シリンダ30のロッドを収縮させる。この結果、前記クランプアーム22A、22Bは、スプリング28の作用で互いに近づく方向に移動し、これに伴って、各クランプローラ34A、34Bも基準点Oの方向に移動する。
【0029】
各クランプローラ34A、34Bが、基準点Oに向かって移動してゆくと、その移動過程において、各クランプローラ34A、34BにウェーハWの外周が当接する。そして、各クランプローラ34A、34Bは、このウェーハWの外周を押圧しながら基準点Oに向かって移動する。
すべてのクランプローラ34A、34BがウェーハWの外周に当接し、クランプローラ34A、34Bの移動が停止すると、ウェーハWはクランプローラ34A、34Bに挟持されることになる。ここで、前記各クランプローラ34A、34Bは、常に基準点Oを中心とした同心円の状態を維持しながら移動する。したがって、前記ウェーハWは、前記4つのクランプローラ34A、34A、34B、34Bに全て当接した状態で挟持されると、その中心が前記基準点Oと一致することとなる。この結果、ウェーハWの芯出がなされる。
【0030】
前記のごとくウェーハWの芯出がなされると、次に、前記第2シリンダ48及び第3シリンダ66のロッドが、それぞれ収縮される。各シリンダ48、66のロッドが収縮されると、ノッチピン40及び回転ローラ56が、スプリング44、62の張力によって、それぞれ基準点Oの方向に向かって移動し、この結果、前記クランプローラ34A、34Bに挟持されたウェーハWの周縁に、前記ノッチピン40と回転ローラ56が押圧当接される。
【0031】
図2(a)は、前記クランプローラ34A、34Bに挟持されたウェーハWの周縁に、前記ノッチピン40と前記回転ローラ56が押圧当接された状態が示されている。
ここで、前記ウェーハWは、従来のように、ノッチNの位置をあらかじめノッチピン40の方向に設定してから芯出しているのではないので、前記クランプローラ34A、34Bに挟持されたウェーハWにノッチピン40を押圧当接させても、同図に示すように、ノッチNがノッチピン40に係合してないのが通常である(偶発的にノッチNがノッチピン40の方向にあった状態で挟持されて係合する場合もある。)。
【0032】
そこで、このような場合は、前記クランプローラ34A、34Bに挟持されたウェーハWを、該クランプローラ34A、34Bで挟持した状態のまま、ウェーハWを回転させ、ノッチNの位置をノッチピン40の方向へ移動させて、該ノッチピン40にノッチNを係合させる。これにより、ウェーハWは、その中心が、前記基準点Oと一致するとともに、そのノッチNの方向が所定の基準方向(基準直線Lに沿った方向)に一致する。
【0033】
なお、このウェーハWの回転操作は、次のようにして行う。
前述したように、前記第2シリンダ48及び前記第3シリンダ66のロッドが収縮されると、前記クランプローラ34A、34Bに挟持されたウェーハWの周縁に、ノッチピン40と回転ローラ56が押圧当接される。
このウェーハWの周縁に回転ローラ56が押圧当接された状態で、次に、前記回転ローラ56に連結されたモータ58を駆動する。モータ58が駆動されると、回転ローラ56が回転し、この回転ローラ56の回転がウェーハWに伝達され、ウェーハWが前記基準点Oを中心に回転する。
【0034】
そして、前記ウェーハWが回転することにより、前記ウェーハWのノッチNの位置も移動し、このノッチNが前記ノッチピン40の位置に達すると、図2(b)に示すように、前記ウェーハWに押圧当接されたノッチピン40がノッチNに係合し、位置決めがなされる。
なお、前記ノッチピン40がノッチNに係合すると、ウェーハWは回転しなくなるので、この段階でモータ58の駆動を停止する。
【0035】
このように、本実施の形態のウェーハ位置決め装置によれば、従来のように、あらかじめノッチNの方向を合わせてから位置決め装置にセットするという必要がなくなるので、きわめて効率的に位置決め作業を行うことができる。
また、確実にノッチ方向の位置決めを行うことができるので、精度良く面取り加工等を行うことができ、不良ウェーハの発生を効果的に防止することができる。
【0036】
図3は、本発明に係るウェーハ位置決め装置の第2の実施の形態の構成を示す平面図である。
同図に示すように、前記ウェーハ位置決め装置110は、ウェーハWを支持するウェーハ支持ユニット112、ウェーハWに形成されたノッチNの位置出しを行うノッチ位置出しユニット114、及び、前記ウェーハWを回転させる回転駆動ユニット116から構成されている。
【0037】
まず、前記ウェーハ支持ユニット112の構成について説明する。図3に示すように、ベースプレート118上には、図中左右方向に一対の第1ガイドレール120、120が敷設されている。この第1ガイドレール120、120上には、図示しないスライド部材を介して一対のクランプアーム122A、122Bが各々スライド移動自在に支持されている。
【0038】
前記クランプアーム122A、122Bには、それぞれラック124A、124Bが固着されており、該ラック124A、124Bは、共にピニオンギア126に螺合されている。前記クランプアーム122A、122Bは、このピニオンギア126とラック124A、124Bの作用により、図3に示す基準直線Lに対して左右対称的に移動する。
【0039】
また、前記一対のクランプアーム122A、122Bは、互いにスプリング128で連結されており、このスプリング128の作用によって、互いに近づく方向に付勢されている。
前記ベースプレート118上には、前記ガイドレール120の敷設方向に沿って第1シリンダ130が配設されている。この第1シリンダ130のロッドは、前記第1ガイドレール120の敷設方向に沿って伸縮し、伸張することにより、一方のクランプアーム122B(図中右側)に設けられたプッシュ板132を押圧する。前記クランプアーム122A、122Bは、この第1シリンダ30のロッドの伸縮操作により、その間隔を自由に拡縮することができる。
【0040】
前記クランプアーム122A、122Bの先端下部には、それぞれ図示しない軸受を介してクランプローラ134A、134Bが回動自在に支持されている。この2つのクランプローラ134A、134Bは、前記基準直線Lから等距離の位置に配置されており、前記クランプアーム122A、122Bが拡縮することにより、常に同じ移動量で拡縮する。
【0041】
次に、前記位置出しユニット114の構成について説明する。
前記ベースプレート118の図中上側には、前記基準直線Lに沿って一対の第2ガイドレール136、136が敷設されている。この第2ガイドレール136、136上には、図示しないスライド部材を介してノッチ用スライダ138がスライド移動自在に支持されている。
【0042】
前記ノッチ用スライダ138の下部には、ノッチピン140が回動自在に支持されており、該ノッチピン140は、前記ノッチ用スライダ138がスライド移動することにより、前記基準直線L上を移動する。
前記第2ガイドレール136近傍には、第2シリンダ146が配設されており、該第2シリンダ148のロッドは、連結部材150を介して前記ノッチ用スライダ138に連結されている。
【0043】
以上のように構成されたノッチ位置出しユニット114は、前記第2シリンダ148のロッドを伸張させると、ノッチ基準位置に位置していたノッチピン140が、前記基準直線L上を移動して待機位置に位置する。そして、前記第2シリンダ148のロッドを収縮させると、その待機位置に位置していたノッチピン140が、前記基準直線L上を移動してノッチ基準位置に復帰する。
【0044】
前記ウェーハWに形成されたノッチNは、前記基準位置に位置したノッチピン140に係合することにより、所定の基準方向に位置出しされるとともに、所定の基準位置に位置決めされる。
前記回転駆動ユニット116は、前記ウェーハ支持ユニット112と対向する位置に配置され、その構成は、前記第1の実施の形態で説明した回転駆動ユニット16と同一である。したがって、前記回転駆動ユニット116の構成については、前記第1の実施の形態の回転駆動ユニット16と同一符号を付してその説明は省略する。
【0045】
前記のごとく構成された本発明に係るウェーハ位置決め装置の第2の実施の形態の作用は次の通りである。
まず、第1シリンダ130、第2シリンダ148及び第3シリンダ66を駆動して、それぞれのロッドを伸張させる。
この結果、クランプローラ134A、134B及び回転ローラ56が、それぞれ互いに離れる方向に移動し、その間隔が拡がる。また、ノッチピン140も同様に、基準直線L上を移動して、ノッチ基準位置から待機位置に移動する。
【0046】
次に、前記のごとく間隔が拡がったクランプローラ134A、134B及びノッチピン140の間にウェーハWをセットする。そして、ウェーハWをセットした後、伸張させておいた第2シリンダ148のロッドを収縮させる。この結果、前記ノッチピン140が、基準直線L上を移動し、ノッチ基準位置上に位置する。
【0047】
前記第2シリンダ148を収縮させた後、次いで、前記第1シリンダ130を収縮させる。この結果、前記クランプローラ134A、134Bが互いに近づく方向に移動する。
各クランプローラ134A、134Bは、その移動過程において、前記ウェーハWの外周を押圧しながら互いに近づく方向に移動する。そして、前記ウェーハWは、前記クランプローラ134A、134Bに押圧されて移動することにより、その周縁を前記ノッチ基準位置上に位置したノッチピン140に当接される。この結果、前記ウェーハWは、前記ノッチピン140と前記クランプローラ134A、134Bに挟持される。
【0048】
なお、前記クランプローラ134A、134Bは、前記基準直線Lに対して対称移動するので、前記ウェーハWは、前記クランプローラ134A、134B及び前記クランプローラ140に挟持されると、その中心が前記基準直線L上に位置する。
前記のごとくウェーハWが挟持されると、次に、前記第3シリンダ66のロッドが収縮される。この第3シリンダ66のロッドが収縮されると、前記クランプローラ134A、134B及び前記ノッチピン140に挟持されたウェーハWの周縁に、前記回転ローラ56が押圧当接される。
【0049】
図4(a)は、前記クランプローラ134A、134B及びノッチピン140に挟持されたウェーハWの周縁に、前記回転ローラ56が押圧当接された状態が示されている。
ここで、前記ウェーハWは、そのノッチNの位置をあらかじめノッチピン140の方向に設定してから前記クランプローラ134A、134B及びノッチピン140で挟持しているのではないので、前記クランプローラ134A、134B及びノッチピン140でウェーハWを挟持した段階では、ノッチNがノッチピン140に係合してないのが通常である。
【0050】
そこで、このような場合は、前記第1の実施の形態と同様に、前記クランプローラ134A、134B及びノッチピン140に挟持されたウェーハWを回転させ、ノッチピン140にノッチNを係合させる。これにより、ウェーハWは、そのノッチNの位置が所定のノッチ基準位置上に位置するとともに、そのノッチNの方向が所定の基準方向(基準直線Lに沿った方向)に位置する。
【0051】
なお、このウェーハWの回転操作は、前記第1の実施の形態と同様に、前記ウェーハWに押圧当接された回転ローラ56を回転させることにより行う。
すなわち、前記回転ローラ56に連結されたモータ58を駆動することにより、前記回転ローラ56が回転し、この回転ローラ56の回転がウェーハWに伝達されて、ウェーハWが回転する。なお、この時、ウェーハWは、前記ノッチピン140と前記一対のクランプローラ134A、134Bを通る円の中心を軸として回転する。
【0052】
そして、前記ウェーハWが回転することにより、前記ウェーハWに形成されたノッチNの位置も移動し、この結果、図2(b)に示すように、前記ノッチ基準位置に位置したノッチピン140にノッチNが係合する。
ここで、前記ノッチピン140は、ノッチ基準位置上に位置しているので、このノッチピン140にノッチNが係合することにより、前記ノッチNは、所定のノッチ基準位置上に位置する。また、前記ウェーハWは、その中心が前記基準直線L上に位置した状態で回転するので、前記ノッチNが前記ノッチピン140に係合することにより、所定の基準方向に位置する。
【0053】
なお、前記ノッチピン40がノッチNに係合すると、ウェーハWは回転しなくなるので、この段階でモータ58の駆動を停止する。
このように、本実施の形態のウェーハ位置決め装置によれば、前記第1の実施の形態と同様に、あらかじめノッチNの方向を合わせてから位置決め装置にセットするという必要がなくなるので、きわめて効率的に位置決め作業を行うことができる。
【0054】
また、本実施の形態の場合、ノッチNを基準として位置決めがなされるため、きわめて精度の高いノッチNの面取り加工を行うことができる。
すなわち、前工程であるスライシング工程において、インゴットの結晶方位を出すためにインゴットを傾斜させて切断することがあるが、この場合、ウェーハは楕円状に切断される。このため、切断するインゴットによってノッチ深さが異なるという事態が発生する。しかし、本実施の形態のように、ノッチの位置を基準に位置決めすることにより、ノッチとノッチ加工砥石との距離は常に一定に保たれ、きわめて精度の高い面取り加工が可能になる。
【0055】
なお、本実施の形態において、ノッチピン140は、ノッチ基準位置と待機位置とを移動自在に形成したが、これは、ウェーハセッティング時の便宜を考慮してもので、ノッチピン140はノッチ基準位置に固定しておいてもよい。
また、上述した第1、第2の実施の形態のウェーハ位置決め装置は、従来のウェーハ位置決め装置のように、プリアライメント装置と組み合わせて使用してもよい。この場合、ウェーハWは、前もってノッチNの位置がノッチピン40(140)の方向に合わされた状態でウェーハ位置決め装置にセットされる。したがって、ノッチNの位置がズレている場合であっても、そのズレ量は少ないものとなり、ウェーハWを少量回転させれば一致する。このため、ごく短時間にウェーハWの位置決め操作を行うことができる。
【0056】
また、前記ウェーハ位置決め装置で位置決めを行ったウェーハWのウェーハテーブルへの受け渡しは、次のように行うとよい。
すなわち、所定の基準位置にウェーハテーブルが位置すると、その上方に昇降自在に設置したウェーハ位置決め装置の基準点とウェーハテーブルの中心とが一致するように構成する。ウェーハ位置決め装置は、搬送装置によって搬送されてくるウェーハWを、前記ウェーハテーブルの上方で受け取り、上述した手順でウェーハWの位置決めを行ったのち、下降してウェーハテーブルにウェーハを受け渡す。
【0057】
また、この他に、ウェーハWをウェーハテーブルに搬送する搬送装置に前記ウェーハ位置決め装置を組み込み、搬送過程でウェーハWの位置決めを行うようにしてもよい。なお、この場合、ウェーハWをウェーハテーブルに受け渡すときに、ウェーハ位置決め装置の基準点とウェーハテーブルの中心が一致していなければならない。
【0058】
また、本実施の形態では、ウェーハWを回転させる機構として、回転ローラ56を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えばこの他にウェーハWを挟持するクランプローラ34A、34B(134A、134B)にモータを連結し、これを回転させることにより、ウェーハWを回転させるようにしてもよい。この場合、装置の構成をよりコンパクトにすることができる。
【0059】
さらに、本実施の形態のウェーハ位置決め装置は、ウェーハ面取機のみではなく、たとえば、ウェーハの平面研削装置、ラッピング装置、ポリッシング装置等のウェーハの位置決めを必要とする全ての機器に適用することができる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、あらかじめノッチ付きウェーハのノッチの位置合わせをすることなく、正確にウェーハの位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウェーハ位置決め装置の実施の形態の平面図
【図2】本発明に係るウェーハ位置決め装置の実施の形態の作用を説明する説明図
【図3】本発明に係るウェーハ位置決め装置の第2の実施の形態の平面図
【図4】本発明に係るウェーハ位置決め装置の第2の実施の形態の作用を説明する説明図
【符号の説明】
10、110…ウェーハ位置決め装置
34A、34B、134A、134B…クランプローラ
40、140…ノッチピン
56…回転ローラ
58…モータ
W…ウェーハ
N…ノッチ
Claims (2)
- ウェーハの中心を所定の基準直線L上に位置させるとともに、前記ウェーハに形成されたノッチをノッチ基準位置上に位置させて位置出しするウェーハ位置決め方法において、
前記ノッチ基準位置上に位置させたノッチピンと前記基準直線Lに対して対称移動する一対の回動自在なクランプローラとで前記ウェーハを挟持することにより、前記ウェーハの中心を前記基準直線L上に位置させた後、前記ウェーハの周縁に押圧当接された回転ローラを回転させて前記ウェーハを回転させることにより、前記ノッチを前記ノッチピンに係合させて、前記ノッチを前記ノッチ基準位置上に位置させて位置出しすることを特徴とするウェーハ位置決め方法。 - ウェーハの中心を所定の基準直線L上に位置させるとともに、前記ウェーハに形成されたノッチをノッチ基準位置上に位置させて位置出しするウェーハ位置決め装置において、
前記基準位置上に設置されたノッチピンと、
前記基準直線Lに対して対称移動自在に設けられ、前記ノッチピンとともに前記ウェーハを挟持することにより、該ウェーハの中心を前記基準直線L上に位置させる一対のクランプローラと、
前記一対のクランプローラをそれぞれ前記基準直線Lに近づく方向に付勢して、該一対のクランプローラを前記ウェーハの周縁に押圧当接させるスプリングと、
前記ノッチピンと対向する位置に配置され、前記ウェーハの周縁に押圧当接されて回転することにより、前記ウェーハを回転させる回転ローラと、
前記回転ローラを回転させるモータと、
からなり、前記ウェーハを前記クランプローラと前記ノッチピンとで挟持することにより、前記ウェーハの中心を前記基準直線L上に位置させた後、前記クランプローラと前記ノッチピンとで挟持したウェーハを前記回転ローラで回転させることにより、前記ノッチを前記ノッチピンに係合させて、前記ノッチを前記ノッチ基準位置上に位置させて位置出しすることを特徴とするウェーハ位置決め装置。
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