JP3577609B2 - クラッチ - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自己増力手段を備えたボークリング(baulkring) 形シンクロナイザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多段比変速機に用いられるボークリング形シンクロナイザ機構は公知である。そのような機構には、それぞれ歯車を軸に同期させて噛み合いクラッチ連結させる摩擦及びジョー部材の複数対と、シフトスリーブの初期係合移動に応じて摩擦部材を係合させるプレエナージャイザ(pre−energizer) アセンブリと、軸に共転可能に固定されたハブとが設けられており、ハブに形成された外側スプライン歯が、ジョー部材の複数対の1つを形成していることが多いシフトスリーブの内側スプライン歯を摺動可能に収容しており、さらに同期が達成されるまでシフトスリーブの係合移動を拘束し、またスリーブからシフト力を伝達して摩擦部材の係合力を増加させるブロッカー歯を備えたボークリングが設けられている。
【0003】
多段比変速機の技術では、シンクロナイザ機構を用いて変速歯車比の全部または一部のシフト時間を減少させることは公知である。また、自己増力形のシンクロナイザ機構を用いることによって、運転者に必要とされるシフト作動力すなわちシフトレバーに加えられる力を減少させることも公知である。運転者のシフト作動力は、一般的に車両の大きさ及び重量に伴って増大するので、自己増力形のシンクロナイザ機構は特に重量形トラックに特に重要である。自己増力形のボークリング形シンクロナイザが米国特許第3,548,983 号に示されており、この特許は参考として本説明に含まれる。自己増力形のピン形シンクロナイザも米国特許第5,092,439 号に示されており、この特許も参考として本説明に含まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良した自己増力手段を備えたボークリング形シンクロナイザクラッチを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴によれば、クラッチが、共通軸線回りに相対回転可能に配置された第1,第2駆動部を摩擦的に同期させて噛み合い連結させる。クラッチに設けられた第1ジョー手段が軸方向のシフト力(Fo ) によって係合移動するのに応じて、第1ジョー手段がニュートラル位置から第2ジョー部材との係合位置へ移動して、駆動部を噛み合い連結させる。第1ジョー手段の中央開口に形成された内側スプラインの軸方向に延びるフランク表面が、外側スプラインの軸方向に延びるフランク表面と連続して摺動可能にかみ合うことによって、内側及び外側スプライン間の相対回転が防止されている。外側スプラインは第1駆動部に対して回転及び軸方向移動ができないように取付けられている。
【0006】
第1ジョー手段の係合移動に応じて、第1摩擦表面が第2摩擦表面と係合する位置へ軸方向に移動することによって、同期トルクを発生することができる。第1,第2ブロッカー表面が、第1ジョー手段の係合移動に応じて係合位置へ移動可能な傾斜した表面を備えて、ジョー手段の非同期係合を防止し、シフト力(Fo ) を第1摩擦手段に伝達して摩擦表面の係合力を発生し、また同期が達成された時に第1,第2ブロッカー表面を離脱させるために同期トルクとは反対のトルクを発生することができる。第1,第2自己増力手段が係合時に作動して同期トルクを反作用させることによって、シフト力(Fo ) の方向に付加軸方向力(Fa ) を発生して、摩擦表面の係合力を増加させることができる。第1,第2自己増力手段には、付加軸方向力(Fa ) をブロッカー表面を介して第1摩擦表面へ送る手段が設けられている。
【0007】
クラッチは、外周に外側スプラインを形成しているハブを特徴としている。ボークリングが、第1摩擦表面と、第2ブロッカー手段を形成している複数の第2ブロッカー表面とを備えている。第1ジョー手段の中央開口及び内側スプラインはシフトスリーブに形成されている。シフトスリーブには、半径方向内向きに開放した環状溝が形成されている。
【0008】
第1自己増力手段には、ハブ外周に形成された複数の第1自己増力傾斜面が設けられている。トルクリング手段がスリーブ溝内に、それに対して制限回転可能で、かつ軸方向移動ができないように取付けられている。トルクリング手段には、それから半径方向内向きに複数の第1ブロッカー突起が円周方向に離間して配置されており、その各々が第1ブロッカー表面の1つを形成している。トルクリング手段にはまた、それから半径方向内向きに複数の自己増力突起が円周方向に離間して配置されており、その各々が第2自己増力手段の傾斜した第2自己増力傾斜面を形成している。第1,第2自己増力傾斜面の係合が同期トルクを反動させて、付加軸方向力(Fa ) をトルクリング手段を介してブロッカー表面に伝達する。
【0009】
【作用】
本発明のシンクロナイザクラッチは、円錐クラッチ摩擦表面とジョークラッチ歯組により、歯車を軸に摩擦的に同期させて噛み合い連結させるもので、クラッチに設けられた第1ジョー手段が軸方向のシフト力によって係合移動するのに応じて、シフトスリーブの第1ジョー手段がニュートラル位置から第2ジョー部材との係合位置へ移動して、駆動部を噛み合い連結させる。
【0010】
ハブの外周に形成された第1自己増力手段とシフトスリーブ内のトルクリングに形成された第2自己増力手段の各突起に形成された第1,第2自己増力傾斜面の係合によって同期トルクを反作用させて、付加軸方向力がトルクリングを介してボークリングのブロッカー表面に伝達される。また、トルクリングに形成された反動表面は、ボークリングの反動表面と係合して、摩擦表面から発生した同期トルクの一部が、ブロッカー表面間で反作用し、残りは反動表面間で反作用して、全同期トルクの合計が、自己増力傾斜面間で反作用する。
【0011】
したがって、シフトスリーブがハブに摺動可能にスプライン連結され、運転者のシフト力及び自己増力傾斜面から発生した付加力によって移動する。両方の力がブロッカー歯に対して反作用して、摩擦表面を係合させることになる。
【0012】
【実施例】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ここで使用する「シンクロナイザクラッチ機構」とは、噛み合いクラッチに関連した同期摩擦クラッチによって噛み合いクラッチの部材がほぼ同期回転するまでその噛み合いクラッチの連結の試行が防止される、噛み合いクラッチによって選択比歯車を軸に非回転可能に連結するために用いられるクラッチ機構のことである。「自己増力」とは、同期クラッチの係合力を摩擦クラッチの同期トルクに比例して増大させるためにランプまたはカム等を含むシンクロナイザクラッチ機構のことである。
【0013】
次に、主に図1〜図9を参照しながら、多段変速比変速機の一部を形成している歯車及びシンクロナイザアセンブリ10について説明する。アセンブリ10には、中心軸線12a 回りに回転可能に取り付けられた軸12と、互いに軸方向に離間して軸上に、それに対して回転可能に支持され、また公知の方法で軸に対して軸方向移動できないように固定されている歯車14、16と、複動シンクロナイザクラッチ機構18とが設けられている。
【0014】
シンクロナイザクラッチ18には、公知の方法で歯車14、16に軸方向及び回転方向に固定された環状部材20、22と、本実施例では部材20、22と一体になった歯車摩擦表面24、26と、本実施例では部材20、22と一体になった歯車ジョー歯28、30と、中央開口32a で軸12に軸方向及び回転方向に固定されたハブ32と、シフトスリーブ34と、スリーブ34の中央開口に形成されて、ハブ32の外周に形成された外側スプライン歯38と常時噛み合っている内側スプライン歯36と、ボークリング40、42と、本例ではボークリング40、42と一体になっているブロッカー歯組44、46(図2〜図7)及び摩擦表面48、50と、プレエナージャイザアセンブリ52と、自己増力/ブロッカーアセンブリ54(図2〜図5、図8及び図9)とが設けられている。
【0015】
本実施例では、シンクロナイザには、各ボークリングに設けられた同数のブロッカー歯と協働する、円周方向に離間した3つの自己増力/ブロッカーアセンブリ54と、円周方向に離間した3つのプレエナージャイザアセンブリとが設けられている。各ブロッカー歯44、46には、それぞれ傾斜したブロッカー表面44a、44b、46a、46b 及び同期トルク反動表面44c、44d、46c、46d が設けられている。
【0016】
図面から明らかなように、摩擦表面24、48 及び26、50 が組み合わされて、ジョークラッチ部材の係合に先立って歯車を軸に同期させる摩擦クラッチを形成している。円錐クラッチが好ましいが、他の形式の摩擦クラッチを用いることもできる。広範囲の円錐角度を用いることができる。本実施例では7.5 度の円錐角度を用いている。摩擦表面は幾つかの公知の摩擦素材のいずれかを基材に取り付けて形成することができ、例えば、米国特許第4、700、823 号、第4,844,218 号及び第4,778,548 号に開示されているような熱分解炭素摩擦材を用いることができる。これらの特許は参考として本説明に含まれる。
【0017】
スプライン歯36、38 は、シフトスリーブ34と軸12との間にほぼまったく自由遊びがなくなるように、密接摺動関係で連続してかみ合わされている、軸方向に延びるフランク表面36a 、38a を備えている。スプライン36の両端部に、それぞれ歯車を軸に噛み合いクラッチ連結させるために歯車歯28、30と組み合わされるジョー歯36b 、36c が形成されている。ジョー歯36b 、36c 及び歯車ジョー歯28、30のフランク側部には、誤って歯が離脱するのを防止するバックアウト防止すなわちロッキング角度機構が設けられている。
【0018】
この機構の詳細は、米国特許第4,727,968 号に記載されており、この特許は参考として本説明に含まれる。図5に示されているように、ジョー歯36c 、30が完全に係合している時、伝達トルクからの力を分散させて摩耗を最小限に抑えることができる十分な係合長さがフランク表面36a 、38a に残っている。
【0019】
各プレエナージャイザアセンブリ52は公知であり、ハブ32内の半径方向に延びた盲孔内に配置された圧縮コイルばね58及びプランジャ60が、ローラまたはボール62(本実施例ではローラ)をシフトスリーブ34の環状溝34a 内に保持されているトルクリング63のデテント溝63a 内へ付勢している。溝は、トルクリングをスリーブに対して回転させることができるが、相対軸方向移動させることができない大きさになっている。
【0020】
トルクリングは、単一の中実部材、一部を取り除いた単一部材、または幾つかの部分、例えば3つの部分を端部で突き合わせてほぼ360 度のリングにしたものにすることができる。プレエナージャイザアセンブリ52は、ローラ62を図1及び図2に示されているニュートラル位置へ弾性的に位置決めする。ローラ62は、ボークリング40、42と一体に形成された複数のタブ64、66(本実施例では3個)の当接表面64a 、66a 間に軸方向に離間して設けられている。
【0021】
いずれかの歯車を軸に連結したい場合、参考として本説明に含まれる米国特許第4,920,815 号に開示されているような適当な図示しないシフト機構が、部分的に図示されているシフトフォーク68を介してシフトスリーブ34を軸12の軸線に沿って軸方向に、歯車14を連結するためには左に、歯車16を連結するためには右に移動させる。シフト機構は、リンク装置によって運転者が手動で移動させてもよいが、アクチュエータで選択的に移動させたり、シフト機構の移動を自動的に開始させると共にシフト機構によって加えられる力の大きさを制御する手段によって移動させることもできる。
【0022】
シフト機構を手動で移動させる時、プレエナージャイザアセンブリは運転者がシフトスリーブに加える力に比例したプレエナージャイザ力を加える。手動または自動のいずれで加える場合でも、力は軸方向にシフトスリーブに加えられ、図10の力(Fo ) に比例している。シフト力(Fo ) によるシフトスリーブの移動方向に応じて、プレエナージャイザ力が摩擦表面48または50のいずれかをそれに対応した摩擦表面と初期係合する位置へ移動させることによって、後述するようにして自己増力/ブロッカーアセンブリ54を位置決めできるようにするハブ32に対応した位置に対応のボークリングをクロックすることができる。
【0023】
自己増力アセンブリ54の各々には、ハブ32の外周から半径方向外向きに延びて、ハブ32の回転面に対して傾斜した自己増力傾斜面すなわちブースト傾斜面70a、70b、72a、72b を備えている円周方向に離間した突起70、72と、トルクリング63から半径方向内向きに、突起70、72のブースト傾斜面によって形成された砂時計形状のリセス内へ延びているダイヤモンド形突起74と、ブロッカー歯44、46と、間にブロッカー歯反動表面44c、44d、46c、46d が配置されている、円周方向に離間した第1,第2ブロッカー突起76、78とが含まれている。
【0024】
自己増力突起74には、それぞれブースト表面70a、70b、72a、72b に平行な自己増力傾斜面すなわちブースト傾斜面74a、74b、74c、74d が設けられている。ブロッカー突起76、78 にはそれぞれ、ブロッカー表面44a、46a、44b、46b に平行なブロッカー表面76a、76b、78a、78b が設けられている。第1,第2ブロッカー突起76、78 には、また、ハブの回転面に直交し、反動表面44c、44d、46c、46d に平行な反動表面76c 、78c が設けられている。突起70、72 はまた、回転面に直交する方向に非ブースト表面70c 、72c を備えており、これらは、シフトスリーブ34が図1及び図2のニュートラル位置にある時、平行な非ブースト表面74e 、74f と係合可能である。円錐クラッチの1つがある程度のトルクを発生する場合、例えば円錐クラッチ摩擦表面間のオイルの粘性剪断によって自己増力傾斜面を作動させようとするトルクが発生するような場合に、非ブースト表面が係合して、自己増力傾斜面の不要の作動を防止する。
【0025】
自己増力/ブロッカーアセンブリの作動の以下の説明では、軸12と歯車16との間に図2〜図5に示されている表面を係合させる方向に非同期状態が存在すると仮定する。反対方向すなわち歯車14に対する非同期状態は、以下の説明から明らかになると思われる表面係合を生じる。
【0026】
図2は、シンクロナイザのすべての構成部材のニュートラル位置を示している。しかし、開始時のシフトブロッカー歯44、46は、円周方向において第1,第2ブロッカー突起76、78 間のいずれの位置にあってもよい。運転者のシフト力(Fo ) によるシフトスリーブ34の初期の軸方向右移動がプレエナージャイザローラ62によってタブ当接表面66a を介して第1ボークリング42に伝達されることによって、可動円錐表面50が歯車円錐表面26と初期摩擦係合する。もちろん、円錐表面の初期係合力は、ばね58の力及びデテント溝63a の壁の角度の関数である。
【0027】
図3は、プレエナージャイジングによる円錐クラッチトルクが、ブロッカー表面44a 、76a 、自己増力表面70a 、74a 及び反動表面44c 、76c を係合させる程度まで第1ボークリング42及びトルクリング63を回転させている「ブロッキング/自己増力位置」を示している。
【0028】
これらの表面が係合した時、シフトスリーブ34に加えられた運転者シフト力(Fo ) がブロッカー表面76a 、44a によって伝達されて、摩擦表面26、50を力(Fo ) で係合させることによって、同期トルク(To ) を発生する。ブロッカー表面に角度が付けられていることによって、同期トルク(To ) に対向するがそれよりも小さい非ブロッキングトルクを発生する。非ブロッキングトルクと同期トルク(To ) との差が反動表面44c 、76c 間で反作用する。ブロッカー及び反動表面は自己増力突起74に対して固定しているので、すべての同期トルクが自己増力表面74a 、70a 間で反作用する。
【0029】
表面74a 、70a 間で反作用するトルクの合計が、運転者のシフト力(Fo ) と同じ方向に作用する軸方向力成分すなわち付加軸方向力(Fa ) を発生する。力(Fa ) も係合しているブロッカー表面によって伝達されるため、円錐摩擦表面の係合力がさらに増大して、トルク(To ) に追加される付加同期トルク(Ta )を発生する。ほぼ同期が達成されると、同期トルクが非ブロッキングトルク以下まで低下することから、ブロッカー歯が離脱するため、シフトスリーブ34が連続的に軸方向移動して、可動ジョー歯36が歯車歯30と噛み合うことができる。
【0030】
図10は、クラッチ摩擦表面を係合させる軸方向力の合計(Fo ) +(Fa ) と、クラッチ摩擦表面によって発生した同期トルクの合計(To ) +(Ta )とを示している。任意の運転者シフト力(Fo ) 及び運転者同期トルク(To ) に対する軸方向付加力の大きさは、係合した自己増力傾斜面の角度の関数であることが好ましい。
【0031】
この角度は、運転者による適度なシフト作動力に応じて同期トルクを増加させ、同期時間を短縮することができる十分な大きさの付加力(Fa ) を発生できる大きさであることが好ましい。しかし、この角度はまた、制御された軸方向付加力(Fa ) を発生できる程度に小さいことも好ましい、すなわち力(Fa ) は力(Fo ) の増減に応じて増減しなければならない。
【0032】
傾斜面の角度が大き過ぎる場合、傾斜面は自己増力ではなく自己固着する。このため、円錐クラッチが初期係合を行うと、力(Fa ) が力(Fo ) に無関係に無制御状態で急激に増大し、そのため円錐クラッチはロックアップ状態へ押し進められる。自己増力ではなく自己固着することによって、シフト特性すなわちシフト感が低下し、シンクロナイザ部品に過度の応力が加わったり、円錐クラッチ表面の過熱や急激な摩耗を発生させたり、さらに運転者のシフトレバー移動を無効化することもある。
【0033】
歯車のアップまたはダウンシフトに対して付加軸方向力が望まれない場合、アップまたはダウンシフト用の傾斜面をスプラインに平行にすることができる。例えば、自己増力傾斜面70b 、74a をスプライン38に平行に形成した場合、(その方向のシフトに対して)付加力(Fa ) が生じない。力(Fo ) によって与えられる円錐クラッチトルクは次式で表される。
【0034】
To =Fo Rc μc /sinα
但し、Rc =円錐摩擦表面の平均半径
μc =円錐摩擦表面の摩擦係数
α =円錐摩擦表面の角度
自己増力傾斜面の角度を計算し、運転者の作動力(Fo ) に比例して増減する付加軸方向力(Fa ) を発生するための主要な変数は、円錐クラッチの角度、円錐クラッチの摩擦係数、円錐クラッチ及び自己増力傾斜面の平均半径比、及び傾斜面の摩擦係数である。自己増力すなわちブースト力の計算及び制御についてのさらなる詳細は、参考として本説明に含まれる米国特許第5,092,439 号に記載されている。
【0035】
図4は、非ブロッキングトルクがブロッカー表面を離脱させた直後に生じる「ブースト/非ブロッキング位置」を示している。この位置で生じる自己増力は、第1ボークリング42の慣性及び/または円錐クラッチの不完全切り離しによるものであろう。この自己増力現象によって、シフトスリーブ34に作動力(Fo ) の方向に作用する軸方向補助力が発生する。歯36c 及び30のV字形端部が係合した時、非ブロッキング状態になって係合位置へのジョー歯の移動を助けるので、補助力はジョー歯36c がジョー歯30と係合する位置へ向かう軸方向係合移動の再開を助ける。補助力は、非ブロッキング状態になった時にシフトを終了するために運転者が過大な作動力でシフトレバーを移動させる必要を減じることによっていわゆるシフトノッチネスを軽減する、すなわち補助力はシフトを滑らかに比較的小さい作動力で完了させることができるようにする。図5はジョー歯36c 、30の完全「係合位置」を示している。
【0036】
自己増力を備えたシンクロナイザ機構の好適な実施例が以上に開示されている。本発明の精神の範囲内において、好適な実施例の様々な変更及び変化が考えられる。開示された機構及び本発明の精神の範囲内であると考えられる変更及び変化の発明部分は、請求項によって定義される。
【0037】
【発明の効果】
本発明のクラッチによれば、同期摩擦クラッチによってかみ合いクラッチ部材がほぼ同期回転するまで、そのかみ合いクラッチの連結が防止できるとともに、スリーブ及びハブに取付けられて、ブロッカー表面の係合及びスリーブとハブとの相対回転に応じて係合位置へ移動可能である傾斜した自己増力表面を含む自己増力手段を設けたので、係合時に作動して同期トルクを反作用させることによって、ブロッカー表面によってシフト力の方向に伝達される付加軸方向力を発生して摩擦表面の係合力を更に増加させることができ、確実なクラッチ動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニュートラル位置にある、軸の軸線回りに回転可能に配置された複動ボークリング形シンクロナイザの、図2の1−1線に沿って見た断面図である。
【図2】図1の2−2線に沿って見た時のブロッキング及び自己増力部材の作動段階を示す図である。
【図3】図2と同様なブロッキング及び自己増力部材の別の作動段階を示す図である。
【図4】図2と同様なブロッキング及び自己増力部材の別の作動段階を示す図である。
【図5】図2と同様なブロッキング及び自己増力部材の別の作動段階を示す図である。
【図6】図2に示す部材の、それぞれ6−6線に沿って見た部分図である。
【図7】図2に示す部材の、それぞれ7−7線に沿って見た部分図である。
【図8】図2に示す部材の、それぞれ8−8線に沿って見た部分図である。
【図9】図2に示す部材の、それぞれ9−9線に沿って見た部分図である。
【図10】シンクロナイザ機構のブロッカー表面に作用する軸方向力及びトルクを示す図である。
【符号の説明】
12 軸
14,16 歯車
18 ボークリング形シンクロナイザ
24,48 ;26,50 円錐クラッチ摩擦表面
32 ハブ
34 シフトスリーブ
36b,28;36c,30 ジョークラッチ歯
40, 42 ボークリング
44a,44b,46a,46b ブロッカー表面
44c,44d,46c,46d 反動表面
63 トルクリング
70a,70b,72a,72b ハブ自己増力傾斜面
74 自己増力突起
74a,74b,74c,74d リング自己増力傾斜面
76,78 ブロッカー突起
76a,76b,78a,78b ブロッカー表面
76c,78c 反動表面
【産業上の利用分野】
本発明は、自己増力手段を備えたボークリング(baulkring) 形シンクロナイザに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多段比変速機に用いられるボークリング形シンクロナイザ機構は公知である。そのような機構には、それぞれ歯車を軸に同期させて噛み合いクラッチ連結させる摩擦及びジョー部材の複数対と、シフトスリーブの初期係合移動に応じて摩擦部材を係合させるプレエナージャイザ(pre−energizer) アセンブリと、軸に共転可能に固定されたハブとが設けられており、ハブに形成された外側スプライン歯が、ジョー部材の複数対の1つを形成していることが多いシフトスリーブの内側スプライン歯を摺動可能に収容しており、さらに同期が達成されるまでシフトスリーブの係合移動を拘束し、またスリーブからシフト力を伝達して摩擦部材の係合力を増加させるブロッカー歯を備えたボークリングが設けられている。
【0003】
多段比変速機の技術では、シンクロナイザ機構を用いて変速歯車比の全部または一部のシフト時間を減少させることは公知である。また、自己増力形のシンクロナイザ機構を用いることによって、運転者に必要とされるシフト作動力すなわちシフトレバーに加えられる力を減少させることも公知である。運転者のシフト作動力は、一般的に車両の大きさ及び重量に伴って増大するので、自己増力形のシンクロナイザ機構は特に重量形トラックに特に重要である。自己増力形のボークリング形シンクロナイザが米国特許第3,548,983 号に示されており、この特許は参考として本説明に含まれる。自己増力形のピン形シンクロナイザも米国特許第5,092,439 号に示されており、この特許も参考として本説明に含まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良した自己増力手段を備えたボークリング形シンクロナイザクラッチを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の特徴によれば、クラッチが、共通軸線回りに相対回転可能に配置された第1,第2駆動部を摩擦的に同期させて噛み合い連結させる。クラッチに設けられた第1ジョー手段が軸方向のシフト力(Fo ) によって係合移動するのに応じて、第1ジョー手段がニュートラル位置から第2ジョー部材との係合位置へ移動して、駆動部を噛み合い連結させる。第1ジョー手段の中央開口に形成された内側スプラインの軸方向に延びるフランク表面が、外側スプラインの軸方向に延びるフランク表面と連続して摺動可能にかみ合うことによって、内側及び外側スプライン間の相対回転が防止されている。外側スプラインは第1駆動部に対して回転及び軸方向移動ができないように取付けられている。
【0006】
第1ジョー手段の係合移動に応じて、第1摩擦表面が第2摩擦表面と係合する位置へ軸方向に移動することによって、同期トルクを発生することができる。第1,第2ブロッカー表面が、第1ジョー手段の係合移動に応じて係合位置へ移動可能な傾斜した表面を備えて、ジョー手段の非同期係合を防止し、シフト力(Fo ) を第1摩擦手段に伝達して摩擦表面の係合力を発生し、また同期が達成された時に第1,第2ブロッカー表面を離脱させるために同期トルクとは反対のトルクを発生することができる。第1,第2自己増力手段が係合時に作動して同期トルクを反作用させることによって、シフト力(Fo ) の方向に付加軸方向力(Fa ) を発生して、摩擦表面の係合力を増加させることができる。第1,第2自己増力手段には、付加軸方向力(Fa ) をブロッカー表面を介して第1摩擦表面へ送る手段が設けられている。
【0007】
クラッチは、外周に外側スプラインを形成しているハブを特徴としている。ボークリングが、第1摩擦表面と、第2ブロッカー手段を形成している複数の第2ブロッカー表面とを備えている。第1ジョー手段の中央開口及び内側スプラインはシフトスリーブに形成されている。シフトスリーブには、半径方向内向きに開放した環状溝が形成されている。
【0008】
第1自己増力手段には、ハブ外周に形成された複数の第1自己増力傾斜面が設けられている。トルクリング手段がスリーブ溝内に、それに対して制限回転可能で、かつ軸方向移動ができないように取付けられている。トルクリング手段には、それから半径方向内向きに複数の第1ブロッカー突起が円周方向に離間して配置されており、その各々が第1ブロッカー表面の1つを形成している。トルクリング手段にはまた、それから半径方向内向きに複数の自己増力突起が円周方向に離間して配置されており、その各々が第2自己増力手段の傾斜した第2自己増力傾斜面を形成している。第1,第2自己増力傾斜面の係合が同期トルクを反動させて、付加軸方向力(Fa ) をトルクリング手段を介してブロッカー表面に伝達する。
【0009】
【作用】
本発明のシンクロナイザクラッチは、円錐クラッチ摩擦表面とジョークラッチ歯組により、歯車を軸に摩擦的に同期させて噛み合い連結させるもので、クラッチに設けられた第1ジョー手段が軸方向のシフト力によって係合移動するのに応じて、シフトスリーブの第1ジョー手段がニュートラル位置から第2ジョー部材との係合位置へ移動して、駆動部を噛み合い連結させる。
【0010】
ハブの外周に形成された第1自己増力手段とシフトスリーブ内のトルクリングに形成された第2自己増力手段の各突起に形成された第1,第2自己増力傾斜面の係合によって同期トルクを反作用させて、付加軸方向力がトルクリングを介してボークリングのブロッカー表面に伝達される。また、トルクリングに形成された反動表面は、ボークリングの反動表面と係合して、摩擦表面から発生した同期トルクの一部が、ブロッカー表面間で反作用し、残りは反動表面間で反作用して、全同期トルクの合計が、自己増力傾斜面間で反作用する。
【0011】
したがって、シフトスリーブがハブに摺動可能にスプライン連結され、運転者のシフト力及び自己増力傾斜面から発生した付加力によって移動する。両方の力がブロッカー歯に対して反作用して、摩擦表面を係合させることになる。
【0012】
【実施例】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ここで使用する「シンクロナイザクラッチ機構」とは、噛み合いクラッチに関連した同期摩擦クラッチによって噛み合いクラッチの部材がほぼ同期回転するまでその噛み合いクラッチの連結の試行が防止される、噛み合いクラッチによって選択比歯車を軸に非回転可能に連結するために用いられるクラッチ機構のことである。「自己増力」とは、同期クラッチの係合力を摩擦クラッチの同期トルクに比例して増大させるためにランプまたはカム等を含むシンクロナイザクラッチ機構のことである。
【0013】
次に、主に図1〜図9を参照しながら、多段変速比変速機の一部を形成している歯車及びシンクロナイザアセンブリ10について説明する。アセンブリ10には、中心軸線12a 回りに回転可能に取り付けられた軸12と、互いに軸方向に離間して軸上に、それに対して回転可能に支持され、また公知の方法で軸に対して軸方向移動できないように固定されている歯車14、16と、複動シンクロナイザクラッチ機構18とが設けられている。
【0014】
シンクロナイザクラッチ18には、公知の方法で歯車14、16に軸方向及び回転方向に固定された環状部材20、22と、本実施例では部材20、22と一体になった歯車摩擦表面24、26と、本実施例では部材20、22と一体になった歯車ジョー歯28、30と、中央開口32a で軸12に軸方向及び回転方向に固定されたハブ32と、シフトスリーブ34と、スリーブ34の中央開口に形成されて、ハブ32の外周に形成された外側スプライン歯38と常時噛み合っている内側スプライン歯36と、ボークリング40、42と、本例ではボークリング40、42と一体になっているブロッカー歯組44、46(図2〜図7)及び摩擦表面48、50と、プレエナージャイザアセンブリ52と、自己増力/ブロッカーアセンブリ54(図2〜図5、図8及び図9)とが設けられている。
【0015】
本実施例では、シンクロナイザには、各ボークリングに設けられた同数のブロッカー歯と協働する、円周方向に離間した3つの自己増力/ブロッカーアセンブリ54と、円周方向に離間した3つのプレエナージャイザアセンブリとが設けられている。各ブロッカー歯44、46には、それぞれ傾斜したブロッカー表面44a、44b、46a、46b 及び同期トルク反動表面44c、44d、46c、46d が設けられている。
【0016】
図面から明らかなように、摩擦表面24、48 及び26、50 が組み合わされて、ジョークラッチ部材の係合に先立って歯車を軸に同期させる摩擦クラッチを形成している。円錐クラッチが好ましいが、他の形式の摩擦クラッチを用いることもできる。広範囲の円錐角度を用いることができる。本実施例では7.5 度の円錐角度を用いている。摩擦表面は幾つかの公知の摩擦素材のいずれかを基材に取り付けて形成することができ、例えば、米国特許第4、700、823 号、第4,844,218 号及び第4,778,548 号に開示されているような熱分解炭素摩擦材を用いることができる。これらの特許は参考として本説明に含まれる。
【0017】
スプライン歯36、38 は、シフトスリーブ34と軸12との間にほぼまったく自由遊びがなくなるように、密接摺動関係で連続してかみ合わされている、軸方向に延びるフランク表面36a 、38a を備えている。スプライン36の両端部に、それぞれ歯車を軸に噛み合いクラッチ連結させるために歯車歯28、30と組み合わされるジョー歯36b 、36c が形成されている。ジョー歯36b 、36c 及び歯車ジョー歯28、30のフランク側部には、誤って歯が離脱するのを防止するバックアウト防止すなわちロッキング角度機構が設けられている。
【0018】
この機構の詳細は、米国特許第4,727,968 号に記載されており、この特許は参考として本説明に含まれる。図5に示されているように、ジョー歯36c 、30が完全に係合している時、伝達トルクからの力を分散させて摩耗を最小限に抑えることができる十分な係合長さがフランク表面36a 、38a に残っている。
【0019】
各プレエナージャイザアセンブリ52は公知であり、ハブ32内の半径方向に延びた盲孔内に配置された圧縮コイルばね58及びプランジャ60が、ローラまたはボール62(本実施例ではローラ)をシフトスリーブ34の環状溝34a 内に保持されているトルクリング63のデテント溝63a 内へ付勢している。溝は、トルクリングをスリーブに対して回転させることができるが、相対軸方向移動させることができない大きさになっている。
【0020】
トルクリングは、単一の中実部材、一部を取り除いた単一部材、または幾つかの部分、例えば3つの部分を端部で突き合わせてほぼ360 度のリングにしたものにすることができる。プレエナージャイザアセンブリ52は、ローラ62を図1及び図2に示されているニュートラル位置へ弾性的に位置決めする。ローラ62は、ボークリング40、42と一体に形成された複数のタブ64、66(本実施例では3個)の当接表面64a 、66a 間に軸方向に離間して設けられている。
【0021】
いずれかの歯車を軸に連結したい場合、参考として本説明に含まれる米国特許第4,920,815 号に開示されているような適当な図示しないシフト機構が、部分的に図示されているシフトフォーク68を介してシフトスリーブ34を軸12の軸線に沿って軸方向に、歯車14を連結するためには左に、歯車16を連結するためには右に移動させる。シフト機構は、リンク装置によって運転者が手動で移動させてもよいが、アクチュエータで選択的に移動させたり、シフト機構の移動を自動的に開始させると共にシフト機構によって加えられる力の大きさを制御する手段によって移動させることもできる。
【0022】
シフト機構を手動で移動させる時、プレエナージャイザアセンブリは運転者がシフトスリーブに加える力に比例したプレエナージャイザ力を加える。手動または自動のいずれで加える場合でも、力は軸方向にシフトスリーブに加えられ、図10の力(Fo ) に比例している。シフト力(Fo ) によるシフトスリーブの移動方向に応じて、プレエナージャイザ力が摩擦表面48または50のいずれかをそれに対応した摩擦表面と初期係合する位置へ移動させることによって、後述するようにして自己増力/ブロッカーアセンブリ54を位置決めできるようにするハブ32に対応した位置に対応のボークリングをクロックすることができる。
【0023】
自己増力アセンブリ54の各々には、ハブ32の外周から半径方向外向きに延びて、ハブ32の回転面に対して傾斜した自己増力傾斜面すなわちブースト傾斜面70a、70b、72a、72b を備えている円周方向に離間した突起70、72と、トルクリング63から半径方向内向きに、突起70、72のブースト傾斜面によって形成された砂時計形状のリセス内へ延びているダイヤモンド形突起74と、ブロッカー歯44、46と、間にブロッカー歯反動表面44c、44d、46c、46d が配置されている、円周方向に離間した第1,第2ブロッカー突起76、78とが含まれている。
【0024】
自己増力突起74には、それぞれブースト表面70a、70b、72a、72b に平行な自己増力傾斜面すなわちブースト傾斜面74a、74b、74c、74d が設けられている。ブロッカー突起76、78 にはそれぞれ、ブロッカー表面44a、46a、44b、46b に平行なブロッカー表面76a、76b、78a、78b が設けられている。第1,第2ブロッカー突起76、78 には、また、ハブの回転面に直交し、反動表面44c、44d、46c、46d に平行な反動表面76c 、78c が設けられている。突起70、72 はまた、回転面に直交する方向に非ブースト表面70c 、72c を備えており、これらは、シフトスリーブ34が図1及び図2のニュートラル位置にある時、平行な非ブースト表面74e 、74f と係合可能である。円錐クラッチの1つがある程度のトルクを発生する場合、例えば円錐クラッチ摩擦表面間のオイルの粘性剪断によって自己増力傾斜面を作動させようとするトルクが発生するような場合に、非ブースト表面が係合して、自己増力傾斜面の不要の作動を防止する。
【0025】
自己増力/ブロッカーアセンブリの作動の以下の説明では、軸12と歯車16との間に図2〜図5に示されている表面を係合させる方向に非同期状態が存在すると仮定する。反対方向すなわち歯車14に対する非同期状態は、以下の説明から明らかになると思われる表面係合を生じる。
【0026】
図2は、シンクロナイザのすべての構成部材のニュートラル位置を示している。しかし、開始時のシフトブロッカー歯44、46は、円周方向において第1,第2ブロッカー突起76、78 間のいずれの位置にあってもよい。運転者のシフト力(Fo ) によるシフトスリーブ34の初期の軸方向右移動がプレエナージャイザローラ62によってタブ当接表面66a を介して第1ボークリング42に伝達されることによって、可動円錐表面50が歯車円錐表面26と初期摩擦係合する。もちろん、円錐表面の初期係合力は、ばね58の力及びデテント溝63a の壁の角度の関数である。
【0027】
図3は、プレエナージャイジングによる円錐クラッチトルクが、ブロッカー表面44a 、76a 、自己増力表面70a 、74a 及び反動表面44c 、76c を係合させる程度まで第1ボークリング42及びトルクリング63を回転させている「ブロッキング/自己増力位置」を示している。
【0028】
これらの表面が係合した時、シフトスリーブ34に加えられた運転者シフト力(Fo ) がブロッカー表面76a 、44a によって伝達されて、摩擦表面26、50を力(Fo ) で係合させることによって、同期トルク(To ) を発生する。ブロッカー表面に角度が付けられていることによって、同期トルク(To ) に対向するがそれよりも小さい非ブロッキングトルクを発生する。非ブロッキングトルクと同期トルク(To ) との差が反動表面44c 、76c 間で反作用する。ブロッカー及び反動表面は自己増力突起74に対して固定しているので、すべての同期トルクが自己増力表面74a 、70a 間で反作用する。
【0029】
表面74a 、70a 間で反作用するトルクの合計が、運転者のシフト力(Fo ) と同じ方向に作用する軸方向力成分すなわち付加軸方向力(Fa ) を発生する。力(Fa ) も係合しているブロッカー表面によって伝達されるため、円錐摩擦表面の係合力がさらに増大して、トルク(To ) に追加される付加同期トルク(Ta )を発生する。ほぼ同期が達成されると、同期トルクが非ブロッキングトルク以下まで低下することから、ブロッカー歯が離脱するため、シフトスリーブ34が連続的に軸方向移動して、可動ジョー歯36が歯車歯30と噛み合うことができる。
【0030】
図10は、クラッチ摩擦表面を係合させる軸方向力の合計(Fo ) +(Fa ) と、クラッチ摩擦表面によって発生した同期トルクの合計(To ) +(Ta )とを示している。任意の運転者シフト力(Fo ) 及び運転者同期トルク(To ) に対する軸方向付加力の大きさは、係合した自己増力傾斜面の角度の関数であることが好ましい。
【0031】
この角度は、運転者による適度なシフト作動力に応じて同期トルクを増加させ、同期時間を短縮することができる十分な大きさの付加力(Fa ) を発生できる大きさであることが好ましい。しかし、この角度はまた、制御された軸方向付加力(Fa ) を発生できる程度に小さいことも好ましい、すなわち力(Fa ) は力(Fo ) の増減に応じて増減しなければならない。
【0032】
傾斜面の角度が大き過ぎる場合、傾斜面は自己増力ではなく自己固着する。このため、円錐クラッチが初期係合を行うと、力(Fa ) が力(Fo ) に無関係に無制御状態で急激に増大し、そのため円錐クラッチはロックアップ状態へ押し進められる。自己増力ではなく自己固着することによって、シフト特性すなわちシフト感が低下し、シンクロナイザ部品に過度の応力が加わったり、円錐クラッチ表面の過熱や急激な摩耗を発生させたり、さらに運転者のシフトレバー移動を無効化することもある。
【0033】
歯車のアップまたはダウンシフトに対して付加軸方向力が望まれない場合、アップまたはダウンシフト用の傾斜面をスプラインに平行にすることができる。例えば、自己増力傾斜面70b 、74a をスプライン38に平行に形成した場合、(その方向のシフトに対して)付加力(Fa ) が生じない。力(Fo ) によって与えられる円錐クラッチトルクは次式で表される。
【0034】
To =Fo Rc μc /sinα
但し、Rc =円錐摩擦表面の平均半径
μc =円錐摩擦表面の摩擦係数
α =円錐摩擦表面の角度
自己増力傾斜面の角度を計算し、運転者の作動力(Fo ) に比例して増減する付加軸方向力(Fa ) を発生するための主要な変数は、円錐クラッチの角度、円錐クラッチの摩擦係数、円錐クラッチ及び自己増力傾斜面の平均半径比、及び傾斜面の摩擦係数である。自己増力すなわちブースト力の計算及び制御についてのさらなる詳細は、参考として本説明に含まれる米国特許第5,092,439 号に記載されている。
【0035】
図4は、非ブロッキングトルクがブロッカー表面を離脱させた直後に生じる「ブースト/非ブロッキング位置」を示している。この位置で生じる自己増力は、第1ボークリング42の慣性及び/または円錐クラッチの不完全切り離しによるものであろう。この自己増力現象によって、シフトスリーブ34に作動力(Fo ) の方向に作用する軸方向補助力が発生する。歯36c 及び30のV字形端部が係合した時、非ブロッキング状態になって係合位置へのジョー歯の移動を助けるので、補助力はジョー歯36c がジョー歯30と係合する位置へ向かう軸方向係合移動の再開を助ける。補助力は、非ブロッキング状態になった時にシフトを終了するために運転者が過大な作動力でシフトレバーを移動させる必要を減じることによっていわゆるシフトノッチネスを軽減する、すなわち補助力はシフトを滑らかに比較的小さい作動力で完了させることができるようにする。図5はジョー歯36c 、30の完全「係合位置」を示している。
【0036】
自己増力を備えたシンクロナイザ機構の好適な実施例が以上に開示されている。本発明の精神の範囲内において、好適な実施例の様々な変更及び変化が考えられる。開示された機構及び本発明の精神の範囲内であると考えられる変更及び変化の発明部分は、請求項によって定義される。
【0037】
【発明の効果】
本発明のクラッチによれば、同期摩擦クラッチによってかみ合いクラッチ部材がほぼ同期回転するまで、そのかみ合いクラッチの連結が防止できるとともに、スリーブ及びハブに取付けられて、ブロッカー表面の係合及びスリーブとハブとの相対回転に応じて係合位置へ移動可能である傾斜した自己増力表面を含む自己増力手段を設けたので、係合時に作動して同期トルクを反作用させることによって、ブロッカー表面によってシフト力の方向に伝達される付加軸方向力を発生して摩擦表面の係合力を更に増加させることができ、確実なクラッチ動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ニュートラル位置にある、軸の軸線回りに回転可能に配置された複動ボークリング形シンクロナイザの、図2の1−1線に沿って見た断面図である。
【図2】図1の2−2線に沿って見た時のブロッキング及び自己増力部材の作動段階を示す図である。
【図3】図2と同様なブロッキング及び自己増力部材の別の作動段階を示す図である。
【図4】図2と同様なブロッキング及び自己増力部材の別の作動段階を示す図である。
【図5】図2と同様なブロッキング及び自己増力部材の別の作動段階を示す図である。
【図6】図2に示す部材の、それぞれ6−6線に沿って見た部分図である。
【図7】図2に示す部材の、それぞれ7−7線に沿って見た部分図である。
【図8】図2に示す部材の、それぞれ8−8線に沿って見た部分図である。
【図9】図2に示す部材の、それぞれ9−9線に沿って見た部分図である。
【図10】シンクロナイザ機構のブロッカー表面に作用する軸方向力及びトルクを示す図である。
【符号の説明】
12 軸
14,16 歯車
18 ボークリング形シンクロナイザ
24,48 ;26,50 円錐クラッチ摩擦表面
32 ハブ
34 シフトスリーブ
36b,28;36c,30 ジョークラッチ歯
40, 42 ボークリング
44a,44b,46a,46b ブロッカー表面
44c,44d,46c,46d 反動表面
63 トルクリング
70a,70b,72a,72b ハブ自己増力傾斜面
74 自己増力突起
74a,74b,74c,74d リング自己増力傾斜面
76,78 ブロッカー突起
76a,76b,78a,78b ブロッカー表面
76c,78c 反動表面
Claims (10)
- 共通軸線(12a) 回りに相対回転可能に配置された第1,第2駆動部(12、16) を摩擦的に同期させて噛み合い連結させるクラッチ(18)であって、
軸方向のシフト力(Fo ) によって第1ジョー手段(36c) が係合移動するのに応じて、第1ジョー手段(36c) がニュートラル位置から第2ジョー手段(30)との係合位置へ軸方向に移動して駆動部を噛み合い連結させるようにし、第1ジョー手段(36c) の中央開口に形成された内側スプライン(36)の軸方向に延びたフランク表面(36a) が、外側スプライン(38)の軸方向に延びたフランク表面(38a) と連続して摺動可能にかみ合うことによって、内側及び外側スプライン間の相対回転を防止しており、また外側スプライン(38)は第1駆動部(12)に対して回転及び軸方向移動ができないように取付けられており、
第1ジョー手段(36c) の係合移動に応じて、同期トルク(To ) を発生するために、第1摩擦表面(50)が第2摩擦表面(26)と係合する位置へ軸方向に移動可能であり、
第1ジョー手段(36c) の係合移動に応じて、傾斜した第1,第2ブロッカー表面(76b、46a)が移動して係合することによって、ジョー手段(36c,30)の非同期係合を防止し、シフト力(Fo ) を第1摩擦表面(50)に伝達して摩擦表面(50、26) の係合力を発生し、また同期が達成された時に第1,第2ブロッカー表面(76b,46a) を離脱させるために同期トルクとは反対のトルクを発生させ、
第1,第2自己増力手段(70、74) が係合時に作動して同期トルクを反作用させることによって、シフト力(Fo ) の方向に付加軸方向力(Fa ) を発生して、摩擦表面(50、26) の係合力を増加させ、第1,第2自己増力手段(70、74) には、付加軸方向力(Fa ) をブロッカー表面(76b,46a) を介して第1摩擦表面(50)へ送る手段(74)が設けられており、前記クラッチが、
外周に外側スプライン(38)を有するハブ(32)と、
第1摩擦表面(50)と複数の第2ブロッカー表面(46a) とを有し、前記ハブ(32)から離れて第2摩擦表面(26)の方へ軸方向に移動可能な第1ボークリング(42)と、
半径方向内向きに開放した環状の溝(34a) を有するシフトスリーブ(34)に形成される、前記第1ジョー手段(36c) の中央開口及び内側スプライン(36)とを備えており、
前記第1自己増力手段(70)が、ハブ(32)の外周に形成された複数の第1自己増力傾斜面(70b) を備え、
さらに、制限回転可能で、かつ軸方向に移動できないように、スリーブ溝(34a) 内に取付けられたトルクリング手段(63)を備えて、このトルクリング手段(63)が、半径方向内向きに延びてそれぞれが第1ブロッカー表面(76b) の1つを形成している、円周方向に離間した複数の第1ブロッカー突起(76)と、半径方向内向きに延びてそれぞれが第2自己増力手段(74)の傾斜した第2自己増力傾斜面(74b) を形成している、円周方向に離間した複数の自己増力突起(74)とを有し、
第1,第2自己増力傾斜面(70b、74b) の係合によって同期トルクを反作用させて、付加軸方向力(Fa ) がトルクリング手段(63)を介してブロッカー表面に伝達されるようにしたことを特徴とするクラッチ。 - 第1ブロッカー突起(76)は、自己増力突起(74)から円周方向に離間していることを特徴とする請求項1のクラッチ。
- さらに、第1,第2駆動部(12、16) に対して共通軸線(12a) 回りに回転可能に、かつ第2駆動部(16)から軸方向に離間して配置された第3駆動部(14)を有し、
シフトスリーブ(34)の内側スプライン(36)は、第1シフト力(Fo ) とは逆向きの軸方向の第2シフト力(Fo ) によってシフトスリーブ(34)が係合移動するのに応じて、ニュートラル位置から第4ジョー手段(28)との係合位置へ軸方向に移動して第1,第3駆動部(12、14) を噛み合い連結させるための第3ジョー手段(36)を形成しており、
さらに、第3摩擦表面(48)と複数の第4ブロッカー表面(44a) とを有し、ハブ(32)から離れて第4摩擦表面(24)の方へ軸方向に移動可能な第2ボークリング(40)を備え、
第1自己増力手段(70)が、ハブ(32)の外周に形成された複数の第3自己増力傾斜面(70a) を有し、
各ブロッカー突起(76)が、第3ジョー手段(36b) の係合移動に応じて、第3,第4ジョー手段(36b、28)の非同期係合を防止し、シフト力(Fo ) を第3摩擦表面(48)に伝達して第3,第4摩擦表面(48 、24) の係合力を発生し、また同期が達成された時に第3及び第4ブロッカー表面(76b,44a) を離脱させる同期トルクとは反対のトルクを発生するために、第4ブロッカー表面(44a) の1つと係合可能な第3ブロッカー表面(76a) を形成しており、
各自己増力突起(74)が、第3,第4ブロッカー表面(76a、44a)を介して第3摩擦表面(48)に伝達される付加軸方向力(Fa ) を発生する同期トルクに応じて、第3自己増力表面(70a) の1つと係合可能な第4自己増力傾斜面(74a) を形成していることを特徴とする請求項1のクラッチ。 - 第1ないし第4ブロッカー表面(76b,46a;76a,44a)及び第1ないし第4自己増力傾斜面(70b,74b;70a,74a) は、第1駆動部(12)の非同期回転が最初に一方向であるときに、第2,第3駆動部(16、14) を第1駆動部(12)と同期させることを特徴とする請求項2または3のクラッチ。
- トルクリング手段(63)は、半径方向内向きに延びて、円周方向に離間した複数の第2ブロッカー突起(78)を有し、その各々には、最初に一方向だけ反対に回転する第1駆動部(12)の非同期回転に応じて第1,第2ボークリング(42、40) の付加的ブロッカー表面(46b、44b) と係合可能な1つのブロッカー表面(78b、78a)が形成されていることを特徴とする請求項4のクラッチ。
- 第1ボークリング(42)は、各々第2ブロッカー表面(46a) に対応し、かつ軸線に直交の平面に対して直交して位置付けられる1つの第1反動表面(46c) を有し、
スリーブ(63)から半径方向内向きに延びる第1ブロッカー突起(76)の各々は、第1ブロッカー表面(76b) に対応し、かつ第1反動表面(46c) と平行に位置付けられた第2反動表面(76c) を有し、これらの第1,第2反動表面が、係合時に作動して、第1,第2ブロッカー表面(76b、46a)で反作用されなかった摩擦表面トルクを反作用させ、第1,第2自己増力傾斜面(70b、74b)の係合によって、反動表面及びブロッカー表面に作用する全トルクを反作用させるようにしたことを特徴とする請求項4のクラッチ。 - トルクリング手段(63)は、端部を突き合わせてほぼ360 度のリングを形成する少なくとも3つの円弧形部分を有していることを特徴とする請求項1のクラッチ。
- 共通軸線(12a) 回りに相対回転可能に配置された第1,第2駆動部(12、16) を摩擦的に同期させて噛み合い連結させるクラッチ(18)であって、
軸方向のシフト力(Fo ) によって第1ジョー手段(36c) が係合移動するのに応じて、第1ジョー手段(36c) がニュートラル位置から第2ジョー手段(30)との係合位置へ軸方向に移動して駆動部を噛み合い連結させるようにし、前記第1ジョー手段(36c) の中央開口に、外側スプライン(38)の軸方向に延びるフランク表面(38a) と連続して摺動可能にかみ合う、軸方向に延びるフランク表面(36a) を備える内側スプライン(36)を有して、内側及び外側スプライン間の相対回転が防止し、また外側スプライン(38)が、第1駆動部(12)に対して回転及び軸方向移動ができないように取付けられており、
第1ジョー手段(36c) の係合移動に応じて、同期トルク(To ) を発生するために、第1摩擦表面(50)が第2摩擦表面(26)と係合して軸方向に移動可能であり、
第1ジョー手段(36c) の係合移動に応じて、傾斜した第1,第2ブロッカー表面(76b、46a)が移動して係合することによって、ジョー手段(36c,30)の非同期係合を防止し、シフト力(Fo ) を第1摩擦表面(50)に伝達して摩擦表面(50、26) の係合力を発生し、また同期が達成された時に第1,第2ブロッカー表面(76b,46a) を離脱させるために同期トルクとは反対のトルクを発生させ、
第1,第2自己増力手段(70、74) が係合時に作動して同期トルクを反作用させることによって、シフト力(Fo ) の方向に付加軸方向力(Fa ) を発生して、摩擦表面(50、26) の係合力を増加させ、第1,第2自己増力手段(70、74) には、付加軸方向力(Fa ) をブロッカー表面(76b,46a) を介して第1摩擦表面(50)へ送る手段(74)が設けられており、前記クラッチが、
外周に外側スプライン(38)を形成しているハブ(32)と、
第1摩擦表面(50)と複数の第2ブロッカー表面(46a) とを有し、前記ハブ(32)から離れて第2摩擦表面(26)の方へ軸方向に移動可能で、かつ各第2ブロッカー表面(46a) に対応して、軸線(12a) に直交する平面に直交するように位置付けられた第1反動表面(46c) を有している第1ボークリング(42)と、
シフトスリーブ(34)に形成された第1ジョー手段(36c) の中央開口及び内側スプライン(36)とを有しており、
前記第1自己増力手段(70)が、ハブ(32)の外周に形成された複数の第1自己増力傾斜面(70b) を備え、
さらに、制限回転可能で、かつ軸方向移動できないようにスリーブ(34)に取付けられ、かつこのスリーブから半径方向内方に延びており、各々が、第2自己増力手段(74)の傾斜した第2自己増力傾斜面(74b) と、第1ブロッカー表面(76b) の1つと、第1ブロッカー表面(76b) に対応して第1反動表面(46c) に平行に位置付けされた第2反動表面(76c) とを形成している円周方向に離間した複数の剛性の突起手段(74、76) を有しており、
前記第1,第2反動表面(46c、76c)は、係合時に作動して、第1,第2ブロッカー表面(76b、46a)で反作用されなかった摩擦表面トルクを反作用させて、第1,第2自己増力傾斜面(70b、74b)の係合によって、反動表面(46c、76c)及びブロッカー表面(76b、46a)に作用する全トルクを反作用させるようにしたことを特徴とするクラッチ。 - さらに、第1,第2駆動部(12、16) に対して共通軸線(12a) 回りに回転可能に、かつ第2駆動部(16)から軸方向に離間して配置された第3駆動部(14)を有し、
シフトスリーブ(34)の内側スプライン(36)は、第1シフト力(Fo ) とは逆向きの軸方向の第2シフト力(Fo ) によってシフトスリーブ(34)が係合移動するのに応じて、ニュートラル位置から第4ジョー手段(28)との係合位置へ軸方向に移動して第1及び第3駆動部(12、14) を噛み合い連結させるための第3ジョー手段(36)を形成しており、
第3摩擦表面(48)と複数の第4ブロッカー表面(44a) とを有し、ハブ(32)から離れて第4摩擦表面(24)の方へ軸方向に移動可能であり、さらに、各第4ブロッカー表面(44a) に対応して前記軸線(12a) に直交する平面に直交した位置にある第3反動表面(44c) を有している第2ボークリング(40)が設けられ、
第1自己増力手段(70)には、ハブ(32)の外周に形成された複数の第3自己増力傾斜面(70a) を備え、
円周方向に離間した各剛性突起手段(74、76) は、第2自己増力手段(74)の第4傾斜自己増力傾斜面(74a) と、第3ブロッカー表面(76a) と、第3反動表面(44c) に平行に位置して第3ブロッカー表面(76a) に対応した第4反動表面(76c) とを形成しており、第3,第4反動表面(44c、76c)は、係合時に作動して、第3,第4ブロッカー表面(76a、44a)で反作用されなかった摩擦表面トルクを反作用させて、第3,第4自己増力傾斜面(70a、74a)の係合によって、係合した反動表面(44c、76c)及びブロッカー表面(76a、44a)に作用する全トルクを反作用させるようにしたことを特徴とする請求項8のクラッチ。 - 第1駆動部(12)の非同期回転が最初に一方向である時、第1ないし第4ブロッカー表面(76b,46a;76a,44a)及び第1ないし第4自己増力傾斜面(70b,74b;70a,74a) が第2及び第3駆動部(16、14) を第1駆動部(12)と同期させることを特徴とする請求項9のクラッチ。
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