JP3300849B2 - 自己付勢式同期装置 - Google Patents

自己付勢式同期装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変速機のための同期装
置に関するものである。特に、本発明は、自己付勢式の
同期装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】多段変速機において、同期装置を用いて
変速比の全部または一部のシフト時間を減少させること
は公知である。また、自己付勢式の同期装置を用いるこ
とによって、運転者に必要とされるシフト作動力すなわ
ちシフトレバーに加える力を減少させることも公知であ
る。運転者のシフト作動力は一般的に車両の大きさに伴
って増大するので、自己付勢式の同期装置は大型トラッ
クに特に重要である。そのような装置の従来技術が、例
えば米国特許第 2,410,511号、第 2,896,760号、第 3,5
48,983号、第 4,413,715号、第 4,836,348号及び第 4,8
69,353号に記載されており、これらは参考として本説明
に含まれる。
【0003】上記特許の同期装置には、それぞれ歯車を
クラッチに同期化して確実に噛み合わせる摩擦部材及び
ジョー部材と、シフト力によるジョー部材の1つの初期
係合移動に応じて予備付勢部材が摩擦部材を初期係合さ
せるのに応じて係合して、ジョー部材の非同期係合を防
止し、シフト力を摩擦部材に伝達してそれの同期トルク
を増大させることができるブロッカー手段と、トルクに
反動して、シフト力の方向の付加力をシフト力に追加す
ることによって摩擦部材の同期トルクをさらに増大させ
ることができるようにする自己付勢ランプ手段(ramp)と
が設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの特許の同期装
置の構造は、ピン形同期装置の構造とは大きくことなっ
ている。これらの構造的な違いが少なくとも一因となっ
て、ピン形同期装置に上記の自己付勢機能を持たせるこ
とが困難であった。
【0005】さらに、これらの特許の同期装置はシフト
時間及びシフト作動力を低減させることはできるが、こ
れらは変速機全体におけるシフト要件の変化、すなわち
低速の変速比は一般的に高速の変速比の場合よりもシフ
ト作動力及び/または時間を多く必要とし、またダウン
シフトは一般的にアップシフトの場合よりもシフト作動
力及び/または時間を多く必要とすることを考慮に入れ
ていなかった。
【0006】本発明の目的は、自己付勢機能を備え、変
速機全体のシフト要件の変化に対応でき、運転者による
適度なシフト作動力に応じて軸方向付加力を発生し、同
期トルクを増加するとともに同期時間を短くする同期装
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の同期装置は、米
国特許第3,548,893号に開示され、請求項1の前提部分
の構成である、共通軸線回りに相対回転できるように配
置されかつ互いに軸方向移動しないように固定された第
1,第2駆動体と、これらの駆動体と摩擦的に 同期して
噛み合い連結するクラッチ機構とを含んでいる。このク
ラッチ機構は、第2駆動体に対して軸方向に向きかつシ
フト手段に加えられるシフト力によって第1ジョー手段
の係合移動に応じて第1,第2駆動体を噛み合い連結す
るように、第2ジョー手段と係合して軸方向に移動可能
な第1ジョー手段と、第2駆動体に対して同期トルクを
生じさせるために、第1ジョー手段の係合移動に応じて
第2摩擦手段と噛み合って軸方向に移動可能となる第1
摩擦手段と、第1,第2ジョー手段の非同期係合を防止
し、前記シフト力を第1摩擦手段に伝達して、第1,第
2摩擦手段に係合力をもたらし、同期が達成されたとき
第1,第2ブロッカー手段の係合を外すためのトルクを
第2駆動体の同期トルクに対抗して生じさせるために、
第1ジョー手段の係合移動に応じて噛み合って移動可能
となる第1,第2ブロッカー手段と、第2駆動体に対し
て軸方向に向いたシフト力に指向して軸方向付加力を生
じさせて、第1,第2摩擦手段の係合力を増加するため
に、第2駆動体の同期トルクに反動して係合するように
作動する、第1自己付勢手段とを含んでいる。
【0008】本発明は、さらに、第1ジョー手段が、第
1駆動体に対して回転不能で軸方向に移動可能となるよ
うに、第1駆動体の外側スプラインに常時噛み合って摺
動可能な内側スプラインを有し、第1自己付勢手段は、
第1,第2ブロッカー手段を介して第1摩擦手段に対し
てシフト力及び軸方向付加力を指向するために、第1ジ
ョー手段に対して軸方向に不動でかつ限定回転可能に取
り付けられた手段を含んでいることを特徴としている。
【0009】従って、本発明の上記特徴によれば、自己
付勢手段が、第1駆動体及び第1ジョー手段に対する軸
方向付加力を指向するための手段(フランジ32)の回転
を制限して、シフト力Foと同じ方向の軸方向付加力Faを
発生し、これによってさらに、クラッチの係合力を増大
させて、トルクToに加えられる付加同期トルクTaを与え
ることができる。
【0010】その結果、運転者による適度なシフト作動
力に応じて同期トルクを増加させる ので、同期時間を短
くすることができ、かつ摩擦手段からの同期トルクに反
作用して軸方向の付加付勢力が発生するので、摩擦手段
の係合力を増大させ、変速機のシフト要件の変化に対応
して確実なシフト作動力を与えることができる。
【0011】
【実施例】本発明の同期装置を添付の図面を参照しなが
ら説明する。図1及び2は、陸用の車両に用いられる形
式の、特に重量形トラックに用いられる形式の変速機の
歯車/同期装置アセンブリ10だけを示している。しか
し、アセンブリ10は、他の用途にも用いることができ
る。アセンブリには、図示しない方法で中心軸線12a 回
りに回転できるように取り付けられた軸12と、互いに離
して軸上に回転可能に支持されており、公知の方法で軸
に取り付けられた環状のスラスト部材18,20 によって軸
に対して軸方向移動できないように固定されている変速
比歯車14,16 と、複動ピン形同期クラッチ機構22とが設
けられている。アセンブリ10は、参考として本説明に含
まれる米国特許第 3,648,546号及び第 4,788,889号に開
示されているような2副軸変速機の一部であって、歯車
の歯14a 及び16a は副軸上のエンジン駆動される歯車と
常時噛み合っており、軸12は負荷に連結されるか、選択
的に連結可能であって、従来技術から公知のように、幾
分半径方向へ移動自在である。ここでは、歯車14は歯車
16よりも低速比であり、両歯車ともアップ及びダウンシ
フトで連結可能である。
【0012】同期装置22は、歯車14,16 に取り付けられ
た環状摩擦部材24,26 及び環状ジョー部材14b,16b と、
軸に一体成形されるか他の方法でそれに取り付けられた
外側スプライン歯12b と摺動可能に噛み合った内側スプ
ライン歯28a を設けたジョークラッチ部材28と、自己付
勢ランプを設けた環状スリーブ30と、スラスト部材34に
よってジョークラッチ部材28に対して軸方向移動できな
いがジョー部材に対して相対回転できるように固定され
た半径方向内側部分32a を備えている、半径方向に延在
したシフトフランジ32と、各々から軸方向に延出してフ
ランジの開口32b を通るように円周方向に間隔をおいて
設けられた3本のピン40によって互いに固着された環状
の摩擦リング部材36,38 と、摩擦部材間を軸方向に延在
して、開口32b と交互に位置するように開口32b 間に設
けられた開口32c にはめ込まれて円周方向に離設された
スプラインピン形の3つの予備付勢アセンブリ42とを有
している。あるいは、同期装置22は、単動ピン形でもよ
い、すなわち1つの歯車だけを軸に同期させて噛み合い
連結させる構造でもよく、そのような機構は米国特許第
3,221,851号に記載されており、この特許は参考として
本説明に含まれる。ピン40の数は、ここに示したものよ
りも増減させることができ、また他の形式の予備付勢ア
センブリ42を用いることもできる。
【0013】図面から明らかなように、摩擦部材24, 36
及び26,38 は協働して、ジョークラッチが連結するのに
先立って歯車を軸に同期化する摩擦クラッチを形成して
いる。円錐クラッチが好適であるが、他の形式の摩擦ク
ラッチを用いることもできる。摩擦部材24,26 は、公知
の様々な方法で、例えば溶接で対応の歯車に取り付けら
れるか、あるいは公知のように歯車と一体成形すること
もできる。摩擦部材24,26 に一体に設けられた円錐摩擦
表面24a,26a がそれぞれ外側円錐摩擦表面36a,38a
合する。部材24,26 及び36,38 は、それぞれ同期装置の
カップ及びリングとも呼ばれる。
【0014】広範囲の円錐角度を用いることができる
が、本実施例では円錐角度を12度〜7.5 度で考えてい
る。摩擦表面36a,38a 及び/または24a,26a は様々な公
知の摩擦素材を基材に取り付けて形成することができ
る。ここでは米国特許第 4,700,823号、第 4,844,218号
及び第 4,778,548号に開示されているような熱分解炭素
摩擦材が好ましい。これらの特許は参考として本説明に
含まれる。
【0015】各ピン40には、フランジの開口32b の直径
よりもわずかに小径の大径部分40aと、摩擦リング36,38
間に(ここでは中央に)設けられた小径の溝部分40b
と、ピンの軸線から半径方向外向きに、ピンの軸線に直
交する線に対して角度を付けて互いに軸方向に離反する
ように設けられて、同期がほぼ達成されるまでブロッキ
ングを行う円錐形のブロッカー肩部表面40c,40d とが設
けられている。溝部分が対応のフランジ開口にはめ込ま
れると、剛性の摩擦リング及びピンアセンブリがフラン
ジに対して限定回転できるようになるため、ピンのブロ
ッカー肩部をフランジ開口の周囲に形成された面取りブ
ロッカー肩部32d,32e と係合させることができる。
【0016】予備付勢アセンブリ42は、参考として本説
明に含まれる米国特許第 4,252,222号に開示されている
スプリットピン形である。各アセンブリ42には、組み合
わせた時に開口32c の直径よりも小径になる大径部分と
面取り端部44b を備えた半環状溝部分44a とを設けた1
対の半円筒形シェル半割り部材44と、環状溝部分を離反
方向に付勢して溝の面取り部分を開口32c の両端部の周
囲に形成されたフランジ面取り部分32f と係合させる板
ばねとが設けられている。シェル半割り部材44の端部は
摩擦リング36、38に当接しており、それに形成された細
長いくぼみ36b、38b にはめ込まれている。
【0017】環状スリーブアセンブリ30には、軸方向に
接合したスリーブ部材48、50が設けられており、歯車1
4、16によって軸12に対して軸方向移動しないように保
持されている。スリーブ部材48、50には、外側スプライ
ンすなわちジョー歯28b 、28cと摺動可能に噛み合う内
側スプライン歯48a, 50aが設けられている。スプライン
48a ,50a 及び28b 、28c が噛み合うことによって、ス
リーブ部材48、50とジョー部材28との間の相対回転が防
止される。スリーブ部材48、50を接合した時、図3及び
4にしめされているように軸線12a に対して半径方向に
見た時にほぼ鼓形をした開口52がスリーブ部材48、50の
円周方向に互いに間隔をおいて形成される。
【0018】フランジ32に3つの弓形の開口32g が設け
られており、これらを分離している3つの半径方向のス
ポークすなわち反作用部分32h の各々が、鼓形開口52の
1つを半径方向に貫通している。各開口52には、フラン
ジの反作用部分32h に形成されたほぼ平行なランプ表面
と協働する自己付勢ランプ表面52a,52b,52c,52d が設け
られている。図1、2及び3に示されているフランジ32
は、反作用部分32h が各鼓形開口52のくびれ部分52e 内
に位置している中立位置にある。フランジ32が中立位置
にある間、円錐クラッチの摩擦表面は離れている。いず
れかの歯車を軸に連結したい場合、公知の方法でフラン
ジ32の外周に連結されている適当な図示しないシフト機
構でフランジを軸12の軸線に沿って軸方向に、歯車14を
連結する時には左に、歯車16を連結する時には右に移動
させる。
【0019】シフト機構は、リンク装置によって運転者
が手動で移動させてもよいが、アクチュエータで選択的
に移動させたり、シフト機構の移動を自動的に開始させ
ると共にシフト機構によって加えられる力の大きさを制
御する手段によって移動させることもできる。シフト機
構を手動で移動させる場合、その力は運転者がシフトレ
バーに加える力に比例する。手動または自動のいずれで
加える場合でも、力は軸方向にフランジ32に加えられ、
図4に矢印Foの長さで表される。反作用部分32h がくび
れ部分52e から軸方向に移動した時、開口52のランプ表
面によって、フランジはジョー部材28及び軸12に対して
限定回転できるようになり、円錐クラッチからの同期ト
ルクに反作用して軸方向の付加自己増力を発生するた
め、フランジ32に加えられたシフト力によって最初に係
合した円錐クラッチの係合力を増大させ、それによって
円錐クラッチによって得られる同期トルクを増大させる
ことができるようになっている。
【0020】ランプ表面は、一方または両方の歯車の同
期化及び/またはアップシフト及びダウンシフトに伴っ
たいずれの方向のトルクにも対応した同期化を実施でき
るように設けることができる。例えば、ランプ表面52a
、52b は、いずれかの方向のトルクに応じて歯車16の
同期を促進する付加軸方向力を発生し、またランプ表面
52c 、52d は、いずれかの方向のトルクに応じて歯車14
の同期を促進する付加軸方向力を発生する。ランプ表面
の角度を変化させることによって、アップシフト及びダ
ウンシフトに対して、また高速比及び低速比に対して異
なった大きさの付加軸方向力を与えることができる。ま
た、1つまたは複数の歯車に対して1方向では付加軸方
向力が望まれない場合、ランプ表面を軸のスプラインに
平行にすることができる。例えば、ランプ表面52a 及び
/または52cを軸の軸線12a に平行にすれば、同期トル
クに応じて付加軸方向力が発生しない。
【0021】シフト機構でフランジ32を初期軸方向右移
動させると、フランジ面取り部分が予備付勢部材面取り
端部44b と係合するため、摩擦リング表面38a が摩擦表
面26a と係合する位置へ移動する。もちろん、摩擦表面
38a 、26a の初期係合力は、ばね46の力及び面取り部分
の角度の関数である。初期摩擦係合(非同期状態が存在
するとして、また自己付勢ランプの効果を一時的に無視
する)によって、初期円錐クラッチ係合力及び同期トル
クToが発生し、この同期トルクToによってフランジ32と
係合摩擦リングとの間が限定相対回転し、これによって
小径ピン部分40b がフランジ開口32b の適当な側へ移動
して、ピンのブロッカー肩部40d がフランジのブロッカ
ー肩部32e と係合する。
【0022】ブロッカー肩部が係合した時、フランジ32
に加えられている運転者の全シフト力Foがブロッカー肩
部を介して摩擦リング38に伝達されるため、円錐クラッ
チが運転者の全シフト力Foで係合し、総運転者同期トル
クToが得られる。この運転者同期トルクToは、図4に矢
印Toで表されている。ブロッカー肩部は運転者シフト力
Foの軸方向に対して角度を付けて設けられているので、
それらは、非同期状態では円錐クラッチからの同期トル
クに対向するがそれよりも小さい大きさの対向力すなわ
ち非ブロックトルクを発生する。ほぼ同期化が達成され
ると、同期トルクがアンブロックトルク以下まで低下す
ることから、ブロッカー肩部がピンを開口32b に対して
同心的に移動させるため、継続的にフランジが軸方向移
動して、ジョー部材28の外側ジョー歯28c をジョー部材
16b の内側ジョー歯と係合させる。
【0023】公知のように、またジョー部材16b に対し
てだけ参照番号を付けて示されているように、ジョー歯
の前部分には、初期接触時の歯の破損を軽減するための
すくい角前縁部16c と、歯を整合位置に合わせる面取り
すなわちウェッジ面16d とが設けられている。そのよう
な前縁部を設けたジョー歯は、参考として本発明に含ま
れる米国特許第 4,246,993号と、適当なすくい角につい
て教示している米国特許第 3,265,173号とに詳細に記載
されている。ウェッジ面は、非対称にしてもよく、歯の
前端部の当接によるシフト完了の遅れを防止する。なめ
らかで比較的小さい作動力でシフトを完了できるように
するため、ジョー歯は円周方向にできるだけ細かく、す
なわち小さくして、ジョー歯に整合させるために必要な
数すなわち回転調節度を最小に抑える。
【0024】自己付勢ランプの効果を無視すると、力Fo
によって与えられる円錐クラッチトルクは等式(1)で
表される。 To = Fo Rc μc / sin α (1) 但し、Rc = 円錐摩擦表面の平均半径 μc = 円錐摩擦表面の摩擦係数 α = 円錐摩擦表面の角度
【0025】次に、特に図3及び4を参照しながら自己
付勢ランプの作用を説明すると、運転者が加えた軸方向
シフト力Foによる同期トルクToは、もちろんピン40によ
ってフランジ32に伝達され、自己付勢ランプ表面を介し
て軸12に反作用する。自己付勢ランプ表面は、軸12及び
ジョー部材28に対するフランジの回転を制限して、シフ
ト力Foと同じ方向でフランジに作用する軸方向力成分す
なわち軸方向付加力Faを発生し、それによってさらに円
錐クラッチの係合力を増大させて、トルクToに加えられ
る付加同期トルクTaを与える。
【0026】図3は、シフトフランジ32が図1及び2に
対応した中立位置にある時の自己付勢ランプ表面の位置
を示している。図4は、円錐表面26a ,38a の係合によ
って歯車16が同期化された時のランプの位置を示してい
る。係合した円錐表面によって、フランジ部材の反作用
部分32h をランプ表面52a と係合させた方向の同期トル
クが発生する。このため円錐クラッチを係合させるため
の軸方向力の合計はFo+Faであり、円錐クラッチによっ
て発生する同期トルクの合計はTo+Taであり、図4に図
示されている通りである。
【0027】任意の運転者シフト力Fo及び運転者同期ト
ルクToに対する軸方向付加力の大きさは、係合した自己
付勢ランプ表面の角度の関数であることが好ましい。こ
の角度は、運転者による適度なシフト作動力に応じて大
幅に同期トルクを増加させて同期時間を短くすることが
できる十分な大きさの付加力Faを発生できる大きさであ
ることが好ましい。しかし、この角度はまた、制御され
た軸方向付加力Faを発生できる程度に小さいことも好ま
しい、すなわち力Faは力Foの増減に応じて増減しなけれ
ばならない。ランプ角度が大きすぎる場合、ランプは自
己付勢ではなく自己固着作用を持つ。このため、円錐ク
ラッチが初期係合を行うと、力Faが力Foに無関係に無制
御状態で急激に増大し、そのため円錐クラッチはロック
アップ側へ押し進められる。自己付勢ではなく自己固着
作用が生じることによって、シフト性すなわちシフト感
覚が低下し、同期装置部品に過度の応力が加わり、過熱
や円錐クラッチ表面の急速摩耗を発生させ、さらに運転
者のシフトレバー移動を無効化することもある。
【0028】自己付勢ランプ角度θを計算し、運転者シ
フト力Foに比例して増減する付加軸方向力Faが得られる
ようにするための主要な変数は、円錐クラッチの角度
α、円錐クラッチの摩擦係数μc ,円錐クラッチの平均
半径Rc及び自己付勢ランプの平均半径Rrの比、ラン
プの摩擦係数μr、及び自己付勢ランプの圧力角φであ
る。ここで、圧力角φはゼロである。円錐クラッチで発
生する合計同期トルクTtは次の等式の通りである。
【0029】 Tt = FtRcμc/sin α (2) 但し、 Tt = To+Ta であり、 (3) Ft = Fo+Fa である。 (4) 微分を行わずに得られる軸方向付加力Faについての等式
は次の通りである。
【0030】
【数1】但し、ランプ角度θは軸の軸線12a に直交する
平面から測定したものであり、Ftanはランプに作用し、
RrにおけるトルクTtの接線方向の力成分である。1つの
トルク方向に対するTt及びFtanはそれぞれ図2に同じ参
照記号を付けた矢印で示されており、Ftanは図4にも示
されている。従って、 Ftan = Tt / Rr (6) 等式(5) 及び(6) を等式(4) に代入して、Ftについて解
くと、次式が得られる。
【0031】
【数2】Ft/ Foを増力すなわち自己付勢比率とする。増
力比率が高くなるほど、運転者シフト力Foに対する合計
同期トルクTtが大きくなる。増力比率1は、ランプ角度
が90度であることに相当する。この角度では軸のスプラ
インに平行になるので、自己増力は得られない。θが減
少するのに伴って、増力比率が増加する。1:1から約
5:1までのブースト比率が用いられている。しかし、
1:1より大きく5:1より小さいブースト比率が好ま
しい。等式(7) の分母がゼロになると、Ft/ Foは無限大
になる。これはもちろん、等式(7) の分母のマイナス項
が1に達した時である。
【0032】したがって、つぎの式のとき、ランプは自
己固着作用ではなく自己付勢作用を持つ。
【数3】
【0033】任意の同期装置の構造に対して、Rc、μc
、Rr、αを定数Kになるように設定することによって
式(8) を簡単にすることができる。すなわち、 Rcμc / Rr sinα = 1/K (9A) または Rr sinα / Rc μc = K (9B) 等式(9A)または(9B)のいずれかを式(8) に代入して整理
し、ランプ角度θについて解くと、最小角度θを求める
ための式(10)が得られる。そのような最小角度で、運転
者シフト力Foに比例し、最大制御可能増力比率を与え、
自己固着しない自己付勢軸方向力Faが発生する。
【0034】
【数4】ここで、圧力角φがゼロであるから、cos φは
1であり、削除できる。θは軸の軸線12a に直交する平
面から測定されたものであることを考えると、角度θの
増加に伴って、力Fa及びトルクTaの値が減少し、もちろ
ん合計トルクTtの値が減少する。従って、他の変数がす
べて同一であるとすると、Kの増加に伴って最小角度θ
が減少する。
【0035】すなわち、自己固着作用を防止し、力Foに
比例した力Faを維持するため、Rc/ Rr比の増加時、及び
/または、円錐角度αの減少時、及び/または、クラッ
チの摩擦係数μc の増加時、及び/または、ランプ圧力
角φの増加時、及び/または、ランプの摩擦係数μr の
増加時には、最小角度θを増加させなければならない。
【0036】また、いわゆる任意の構造に対する最小の
ランプ角度及び最大の所望増力比率を計算する時、製造
公差及び部品の通常摩耗による自己固着作用または超過
増力を防止できる安全余裕度が好ましい。
【0037】次に、図示の多段変速機に同期装置10を用
いた場合について説明すると、変速歯車を同期化するた
めに必要な時間は、合計同期トルクの増加に伴って減少
する。さらに、反射慣性の違い、すなわち同期化する部
材の実際の慣性に摩擦が加わることから、低速比歯車を
同期化するために必要な作動力の量は、高速比歯車に必
要な作動力よりも大きいことが一般的である。また、変
速比歯車をダウンシフトで同期化するために必要な作動
力の量は、一般的にアップシフトで必要な作動力よりも
大きい。従って、本発明の同期装置を多段変速機に用い
る場合、低速比歯車用の機構の増力比率を高くし、高速
比歯車用の機構の増力比率を低くすることが好ましい。
【0038】また、変速比歯車のダウンシフト用の増力
比率をアップシフトの場合よりも大きくすることが好ま
しい。増力比率をそのように調節することによって、自
己付勢式同期装置を備えた変速機の全ての変速比歯車に
対して、ほぼ同一のシフトすなわち同期時間が得られ
る。本発明の同期装置では、円錐クラッチ角度α、半径
比Rc/ Rr及び自己付勢ランプ角度θを変えることによっ
て、増力比率を簡単に変更することができる。
【0039】添付の図面から明らかなように、ジョー部
材28が対応の歯車のジョー部材と係合している時、フラ
ンジ32は軸12と変速比歯車14または16との間のトルク経
路から遮断されている。従って、比較的小さく摩耗を受
け易い自己付勢ランプは、変速比歯車の全トルク負荷の
劣化影響を受けることはない。軸の軸線12a に対するラ
ンプ半径の減少に伴ってランプに作用する力が増加する
ので、これは特に自己付勢ランプが半径方向内向きに移
動する時に重要である。
【0040】さらに、半径の違いから、ジョー部材のス
プライン28a と軸スプライン12b との間に作用する力
は、ジョークラッチ歯間に作用する力よりも大きい。従
って、ジョー部材のスプライン28a と軸スプライン12b
との間のスプライン連結部の軸方向長さは、ジョークラ
ッチ歯に十分な強度を与えるために必要な長さよりも大
きくすることが好ましい。本実施例では、フランジ32が
円周方向においてジョークラッチ部材28、30または軸12
に固定されていないので、フランジ32を移動させるシフ
ト機構のストロークを長くしないで軸方向スプライン連
結長さを延ばすことができる。
【0041】このため、ジョー部材のスプライン28a を
軸スプライン12b と連続的に係合させることができる。
これは特に、運転者が公知のようにして手動操作式シフ
トレバーを用いてシフト機構を移動させる時に重要であ
る。そのようなレバーの例が、参考として本説明に含ま
れる米国特許第 3,850,047号に記載されている。そのよ
うなレバーは、シフトストロークを長くするためには、
運転者によるシフトレバーの移動を増加させるか、(レ
バーの支点を変更して)ある運転者のシフト作動力に対
してシフト機構に加えられる力を減少させることが必要
である第1種レバー形であることが一般的である。
【0042】以上に、自己付勢同期装置の好適な実施例
を説明してきたが、本発明の精神の範囲内において様々
な変更及び変化を加えることができる。
【0043】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の同期
装置は、第1ジョー手段が、第1駆動体に対して回転不
能で軸方向に移動可能となるように、第1駆動体の外側
スプラインに常時噛み合って摺動可能な内側スプライン
を有するので、第1、第2ジョー手段が係合すると、よ
り大きな表面積で常時係合した内側及び外側スプライン
によって、確実に第1駆動体および第2駆動体間の全て
のトルクが伝達できる。また、本発明は、第1自己付勢
手段が、第1,第2ブロッカー手段を介して第1摩擦手
段に対してシフト力及び軸方向付加力を指向するため
に、第1ジョー手段に対して軸方向に不動でかつ限定回
転可能に取り付けられた手段を含むので、この手段が、
ジョー手段に対して限定的な回転ができるようになり、
ブロッカー手段を介して摩擦手段に対してシフト力と同
じ方向の軸方向付加力を発生し、これによってクラッチ
の係合力を増大させて、トルクToに加えられる付加同期
トルクTaが与えられ、クラッチにより得られる同期トル
クを増大させることができる。
【0044】この結果、本発明は、運転者による適度な
シフト作動力に応じて同期トルクを増加させるので、同
期時間を短くすることができ、かつ摩擦手段からの同期
トルクに反作用して軸方向の付加付勢力が発生するの
で、摩擦手段の係合力を増大させ、変速機のシフト要件
の変化に対応して確実なシフト作動力を与えることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2の線1-1 に沿って見た複動式同期装置の断
面図である。
【図2】図1の線2-2 に沿って見た部分断面図である。
【図3】図1及び2の機構の自己付勢ランプ部分の説明
図である。
【図4】同期時のランプの位置をしめす説明図である。
【符号の説明】
12 軸(第1駆動体) 12b 外側スプライン 16 歯車(第2駆動体) 16b ジョー歯(第2ジョー手段) 22 同期装置(クラッチ機構) 26 摩擦部材(第2摩擦手段) 28c 第1ジョー手段 38 摩擦部材(第1摩擦手段) 28 ジョークラッチ部材 30 ジョークラッチ部材28a 内側スプライン 28c ジョー歯(第1ジョー手段) 30 スリーブ 32 フランジ 32d ブロッカー肩部 32e ブロッカー肩部(第2ブロッカー手段) 32h 反作用部材 34 スラスト部材 40 ピン 40d ブロッカー肩部(第1ブロッカー手段) 42 予備付勢アセンブリ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 390033020 Eaton Center,Cleve land,Ohio 44114,U.S. A. (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 23/06

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共通軸線(12a) 回りに相対回転できるよ
    うに配置されかつ互いに軸方向移動しないように固定さ
    れた第1,第2駆動体(12,16)と、これらの駆動体と摩
    擦的に同期して噛み合い連結するクラッチ機構(22)とを
    含む同期装置(10)であって、前記クラッチ機構は、 第2駆動体(16)に対して軸方向に向きかつシフト手段(3
    2)に加えられるシフト力(Fo)によって第1ジョー手段の
    係合移動に応じて前記第1,第2駆動体(12,16) を噛み
    合い連結するように、前記第2ジョー手段(16b)と係合
    して軸方向に移動可能な第1ジョー手段(28c)と、 前記第2駆動体(16)に対して同期トルクを生じさせるた
    めに、前記第1ジョー手段(28c)の係合移動に応じて第
    2摩擦手段(26)と噛み合って軸方向に移動可能となる第
    1摩擦手段(38)と、 前記第1,第2ジョー手段(28c,16b)の非同期係合を防
    止し、前記シフト力(Fo)を前記第1摩擦手段(38)に伝達
    して、第1,第2摩擦手段(38,26)に係合力をもたら
    し、同期が達成されたとき第1,第2ブロッカー手段(4
    0d,32e)の係合を外すためのトルクを前記第2駆動体(1
    6)の同期トルクに対抗して生じさせるために、前記第1
    ジョー手段(28c)の係合移動に応じて噛み合って移動可
    能となる第1,第2ブロッカー手段(40d,32e)と、 前記第2駆動体(16)に対して軸方向に向いたシフト力(F
    o)に指向して軸方向付加力(Fa)を生じさせて、前記第
    1,第2摩擦手段(38,26)の係合力を増加するために、
    前記第2駆動体(16)の同期トルクに反動して係合するよ
    うに作動する、第1自己付勢手段(52a,32h)とを含んで
    おり、さらに、 前記第1ジョー手段(28c)は、第1駆動体(12)に対して
    回転不能で軸方向に移動可能となるように、第1駆動体
    の外側スプライン(12b)に常時噛み合って摺動可能な内
    側スプライン(28a)を有し、 第1自己付勢手段(52a,32h)は、第1,第2ブロッカー
    手段(40d,32e)を介して第1摩擦手段(38)に対して前記
    シフト力(Fo)及び軸方向付加力(Fa)を指向するために、
    前記第1ジョー手段(28c)に対して軸方向に不動でかつ
    限定回転可能に取り付けられた手段(32)を含んでいる
    ことを特徴とする同期装置。
  2. 【請求項2】 第1自己付勢手段(52a,32h)は、複数の
    駆動体(12,14,16)に対して軸方向移動しないように固定
    される第1傾斜面手段(52a)と、軸方向付加力(Fa)を発
    生するために前記第1傾斜面手段(52a)と係合可能な反
    作用手段(32h)と、前記第1ジョー手段(28c)に対して制
    限された回転を行うために前記反作用手段(32h)を取り
    付ける手段(52)とを含むことを特徴とする請求項1記載
    の同期装置。
  3. 【請求項3】 第1ブロッカー手段(40d) は、第1摩擦
    手段(38)に固定されており、さらに、 第1駆動体(12)に対して第1,第2位置間で前記第1摩
    擦手段(38)の制限的な回転を可能にする手段(32b,40b)
    と、 前記第1摩擦手段(38)の回転を生じさせる中立位置から
    第2ブロッカー手段(32e) を第1ブロッカー手段(40d)
    に係合させて整列する1つの位置へシフト力(Fo)を作用
    させて前記第1ジョー手段(28c)を初期係合する移動に
    応じて、前記第1摩擦手段(38)が前記第2摩擦手段(26)
    と初期摩擦係合するように移動する予備付勢手段(42)を
    含んでいることを特徴とする請求項1記載の同期装置。
  4. 【請求項4】 軸方向付加力(Fa)を指向するための手段
    (32)は、第1ジョー手段(28c)と第2ブロッカー手段(32
    e) の間に配置され、かつ、第1駆動体(12)に対して軸
    方向に移動可能であるとともに前記第1ジョー手段(28
    c)に対して円周方向に移動可能であることを特徴とする
    請求項1記載の同期装置。
  5. 【請求項5】 第1自己付勢手段(52a,32h)は、第1ラ
    ンプ手段(52a)と、第1駆動体(12)に対して軸方向に移
    動できないように固定された他の駆動体(16,14)間の同
    期トルクに反動する反作用手段(32h)とを含むことを特
    徴とする請求項1記載の同期装置。
  6. 【請求項6】 シフト手段(32)は、シフト力(Fo)が作動
    して軸方向に移動可能な第1ジョー手段(28c)の係合移
    動を生じさせるための、半径方向に伸びるフランジであ
    り、 第1ブロッカー手段(40d)は、第1摩擦手段(38)から軸
    方向に伸びてフランジ(32)の開口(32b)内にはまる、周
    方向に間隔を置いて配置された複数のピン状部材(40)に
    より形成され、第2ブロッカー手段(32e)は、開口(32b)
    の回りに形成され、 自己付勢手段(52a,32h) は、第1駆動体(12)に対するフ
    ランジ(32)の制限された円周方向移動を可能しかつ同期
    トルクを前記第1駆動体(12)に反動させる手段を含み、 この前記制限された円周方向移動を可能にする手段は、
    前記フランジ(32)に固定されかつ軸方向付加力(Fa)を生
    じるための同期トルクに応じて反作用手段(32h)と係合
    可能な第1ランプ手段(52a)を含むことを特徴とする請
    求項1記載の同期装置。
  7. 【請求項7】 軸方向付加力(Fa)を指向するための手段
    (32)は、前記シフト力(Fo)に対抗する方向にいずれの軸
    方向付加力(Fa)も生じさせないことを特徴とする請求項
    1ないし6のいずれか1項に記載の同期装置。
  8. 【請求項8】 軸方向付加力(Fa)を指向するための手段
    (32)は、ブロッカー手段(40d,32e) に対して半径方向移
    動できないように固定されていることを特徴とする請求
    項1ないし6のいずれか1項に記載の同期装置。
  9. 【請求項9】 予付勢手段(42)は、シフト力(Fo)による
    第1ジョー手段(28c) の初期係合移動に応じて作動し、
    第1,第2ブロッカー手段(40d,32e)に独立の力径路を
    介して第1摩擦手段(38)に初期係合力を弾性的に伝達す
    るための弾性手段(46)を含み、 前記初期係合力は、第2ブロッカー手段(32e) を第1ブ
    ロッカー手段(40d) と係合するように整列するために前
    記第1摩擦手段(38)を回転させるためのものであること
    を特徴とする請求項1,2,4,5,6のいずれか1項
    に記載の同期装置。
  10. 【請求項10】 第2駆動体(16)から軸方向に間隔を置
    いて配置され、前記第1,第2駆動体(12,16)に対して
    軸方向移動できないように固定されかつ軸(12a)回りに
    回転可能である第3駆動体(14)と、 この第3駆動体(14)に対して軸方向に向きかつシフト手
    段(32)に加えられるシフト力(Fo)により第3ジョー手段
    (28b)の係合移動に応じて、前記第1,第3駆動体(12,1
    4)を噛み合い連結するために第4ジョー手段(14b)と係
    合して軸方向に移動可能な第3ジョー手段(28b)と、 前記第3駆動体(14)に対して同期トルクを生じさせるた
    めに前記第3ジョー手段(28b)の係合移動に応じて、第
    4摩擦手段(24)と係合して軸方向に移動可能な第3摩擦
    手段(36)と、 前記第3,第4ジョー手段(28b,14b)の非同期係合を防
    止し、前記第3駆動体に対して軸方向に向けられた前記
    シフト力(Fo)を前記第3摩擦手段(36)に伝達して、第
    3,第4摩擦手段(36,24)に係合力をもたらし、同期が
    達成されたとき第3,第4ブロッカー手段(40c,32d)の
    係合を外すために前記第3駆動体(14)の同期トルクに対
    抗するトルクを生じさせるために、前記第3ジョー手段
    (28b)の係合移動に応じて噛み合って移動可能となる第
    3,第4ブロッカー手段(40d,32e)と、 前記第3駆動体(14)に対して軸方向に向いたシフト力(F
    o)に指向して軸方向付加力(Fa)を生じさせて、前記第
    3,第4摩擦手段(34,24) の係合力を増加するために、
    前記第3駆動体(14)の同期トルクに反動して係合するよ
    うに作動する、第2自己付勢手段(52c,32h)とを含んで
    おり、さらに、 前記第3ジョー手段(28b)は、第1駆動体(12)に対して
    回転不能で軸方向に移動可能となるように、第1駆動体
    の外側スプライン(12b)に常時噛み合って摺動可能な内
    側スプライン(28a)を有し、 第2自己付勢手段(52c,32h) は、第3,第4ブロッカー
    手段(40c,32d) を介して第3摩擦手段(36)に対して軸方
    向付加力(Fa)を向けるための手段(32)を有していること
    を特徴とする請求項1記載の同期装置。
  11. 【請求項11】 第1,第3ブロッカー手段(40d,40c)
    は、それぞれ第1,第3摩擦手段(38,36) に固定されて
    おり、さらに、 第1駆動体(12)に対して第1,第2位置間で前記第1,
    第3摩擦手段(38,36)の制限的な回転を可能にする手段
    (32b,40b) と、 前記第1,第3摩擦手段(38,36) のそれぞれの回転を生
    じさせる中立位置から第2,第4ブロッカー手段(32e,3
    2d) を第1,第3ブロッカー手段(40d,40c) にそれぞれ
    係合させて整列する1つの位置へシフト力(Fo)を作用さ
    せて前記第1,第3ジョー手段(28c,28)を初期係合する
    移動にそれぞれ応じて、前記第1,第3摩擦手段(38,3
    6) が前記第2,第4摩擦手段(26)とそれぞれ初期摩擦
    係合するように移動する予備付勢手段(42)を含んでいる
    ことを特徴とする請求項10記載の同期装置。
  12. 【請求項12】 第1,第2自己付勢手段(52a,52c,32
    h)は、複数の駆動体(12,16,14)に対して軸方向に移動で
    きないように固定された第1,第2ランプ手段(52a,52
    c)と、軸方向付加力(Fa)を生じさせるために前記第1,
    第2ランプ手段(52a,52c)に係合可能な反作用手段(32h)
    と、前記第1,第3ジョー手段(28c,28b) に対して制限
    された回転を可能にする反作用手段(32h)を取り付ける
    手段(52)とをそれぞれ含むことを特徴とする請求項10
    記載の同期装置。
  13. 【請求項13】 軸方向付加力(Fa)を指向するための手
    段(32)は、第1,第3ジョー手段(28c,28b)と第2,第
    4ブロッカー手段(32e,32d)の間に配置され、かつ、第
    1駆動体(12)に対して軸方向に移動可能であるとともに
    前記第1,第3ジョー手段(28c,28b)に対して円周方向
    に移動可能であることを特徴とする請求項10記載の同
    期装置。
  14. 【請求項14】 第1,第2自己付勢手段(52a,52c,32
    h)は、複数の駆動体(12,16,14)に対して軸方向移動でき
    ないように固定された第1,第2ランプ手段(52a,52c)
    をそれぞれ含むことを特徴とする請求項1記載の同期装
    置。
  15. 【請求項15】シフト手段(32)は、シフト力(Fo)が作動
    して第1,第3ジョー手段(28c,28b)の係合移動を生じ
    させるための、半径方向に伸びるフランジであり、 第1,第3ブロッカー手段(40d,40c)は、第1,第3摩
    擦手段(38,36) から軸方向に伸びてフランジ(32)の開口
    (32b)内にはまる、周方向に間隔を置いて配置された複
    数のピン状部材(40)により形成され、第2,第3ブロッ
    カー手段(32e,32d)は、開口(32b)の回りに形成され、 第1,第2自己付勢手段(52a,52c,32h)は、第1駆動体
    (12)に対するフランジ(32)の制限された円周方向移動を
    可能しかつ同期トルクを前記第1駆動体(12)に反作用さ
    せる手段を含み、 この前記制限された円周方向移動を可能にする手段は、
    前記フランジに固定されかつ軸方向付加力(Fa)を生じる
    ための同期トルクに第2,第3駆動体(16,14)のそれぞ
    れに応じて反作用手段(32h)とそれぞれ係合可能な第
    1,第2ランプ手段(52a)を含むことを特徴とする請求
    項10記載の同期装置。
  16. 【請求項16】 軸方向付加力(Fa)を指向するための手
    段(32)は、前記シフト力(Fo)に対抗する方向にいずれの
    軸方向付加力(Fa)も生じさせないことを特徴とする請求
    項10ないし15のいずれか1項に記載の同期装置。
  17. 【請求項17】 軸方向付加力(Fa)を指向するための手
    段(32)は、ブロッカー手段(40d,32e; 40c,32d)に対して
    半径方向移動できないように固定されていることを特徴
    とする請求項10ないし15のいずれか1項に記載の同
    期装置。
  18. 【請求項18】 シフト力(Fo)によって第1または第3
    ジョー手段(28c,28b) のいずれかの初期係合移動に応じ
    て作動し、ブロッカー手段(40d,32eまたは40c,32d)の独
    立した径路を介して第1または第3摩擦手段(38,36)に
    初期係合力を弾性的に伝達する弾性手段(46)を有する予
    備付勢手段(42)を含むことを特徴とする請求項10,1
    2,13,14,15のいずれか1項に記載のクラッ
    チ。
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