JP3577607B2 - 地図表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、デジタル記憶メディア、特にコンパクトディスク型リードオンリーメモリー(CD−ROM)に記憶された種々の縮尺の地図に基いて地図情報と現在位置を表示装置に重ねて表示することにより走行車両の走行地点をディスプレー上に示す車載ナビゲーション用の地図表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル道路地図データをCD−ROMより読み出し、推定現在位置とともに画面上に表示させる、いわゆるカーナビゲーション装置が知られている
(例えば特開平6−147909号公報参照)。
【0003】
このような装置には、一般的に、地図情報として同一地点であっても複数の縮尺の地図をCD−ROMに記憶してあり、運転者の操作に応じてその縮尺が変更可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
縮尺の異なる地図を運転者が指示した場合に、CD−ROMドライバーが該当する縮尺の同一地点の地図を検索する時間と、CD−ROMドライバーからナビゲーション装置の制御回路内のメモリーに読み込む時間と、このメモリーから表示装置内に設けられたビデオメモリー(V−RAM)に地図データを転送する時間にわたって新しい地図が表示されるのを運転者は待たされる。
【0005】
更に、ナビゲーション装置には進行方向が常に表示画面の上となるように表示地図を回転させるいわゆるヘディングアップ機能が有り、この機能が作動しているときには地図データを回転させるための演算が行われているために、新たに読み込まれた地図も同じ回転角度となるように演算した結果をV−RAMに転送しなければならなず、一層待たされることになる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、縮尺の異なる複数の地図データを記憶した地図情報記憶手段と、前記地図の拡大縮小を指示する縮尺指示手段と、その縮尺指示手段の拡大縮小指示に応答して所定の縮尺の地図を表示する表示手段とからなる地図表示装置において、前記縮尺指示手段による拡大縮小指示が変更されたとき、現在表示している縮尺の地図データを用いて新たに指示された縮尺の地図を疑似的に作成した結果の疑似地図を表示するための第1のメモリーと、前記縮尺指示手段による拡大縮小指示により、新たに指定された縮尺の地図を読み込み、表示するための第2のメモリーと、前記第1のメモリーにて表示されている地図と前記第2のメモリーに新たに読み込まれた地図とを切り換える切換え手段とを備え、その切換え手段は、前記第2のメモリーの地図の読み込みが完了したときに、前記第1のメモリーにて表示されている地図から第2のメモリーの新たに読み込まれた地図に切り換えるようにすることにより、新たに指定された縮尺の地図が表示できるようになるまでのあいだ暫定的に表示している疑似地図から所定の縮尺による地図への表示切り換えを迅速に行わせることができるようにしている。
【0007】
【実施例】
図1は地図表示装置の全体のブロック図を示すもので、大きく分けて、表示部210、操作部220、CD−ROM装置240および制御装置230とからなる。
【0008】
表示部210には、表示器211として液晶ディスプレーもしくはCRTが用いられ、表示器211に表示する地図データを記憶するV−RAM1213およびV−RAM2214が切換器212を介して接続されている。
【0009】
このV−RAM1とV−RAM2は何れも表示用のデータ供給メモリーとして充分な記憶容量をそれぞれ持っており、一方が表示中であっても他方のV−RAMは制御装置から地図データの供給が可能なようになっている。
【0010】
また、操作部220には、運転者が拡大縮小の指示を行う入力スイッチ221が設けられており、運転者の操作によって拡大縮小の操作があったことが操作部220内のラッチ回路に記憶されるとともに、選択された縮尺が操作部220内のレジスターに記憶され、このレジスターから制御装置に供給される。
【0011】
制御装置230は中央演算ユニット(CPU)231、リードオンリーメモリー(ROM)232、主ランダムアクセスメモリー(主RAM)233および入出力インターフェイス(I/O)234とからなり、I/O234を介して表示部210、操作部220およびCD−ROM240と接続されている。
【0012】
ナビゲーション装置が地図を表示しているときには、CD−ROM240から指定された地図データが主RAM233に読み込まれ、本実施例には記載されていない推定現在位置をあらわすデータと重ね合せてV−RAMに転送する。
【0013】
また、上述したヘディング機能が動作しているときは車両の移動にともなって新たに表示すべき地図データを上下左右移動および回転させる演算をCPU231が行い、主RAM233内のデータを更新するごとにV−RAMにデータを転送することを行っている。
【0014】
主RAM233は、本実施例ではV−RAM1およびV−RAM2の合計の記憶容量を有しており、現在表示している地図情報を記憶する領域と新たにCD−ROM240から読み込む領域とが少なくとも存在している。
【0015】
CD−ROM240には複数の縮尺(例えば25万分の1〜10万分の1までの4つの縮尺)の地図データが記憶されており、入力スイッチ221によって指示された縮尺が制御装置230に読み込まれ、現在表示中の地図の座標に一致する新たな地図が読み込まれるように構成されている。
【0016】
なお、縮尺の小さい地図になるほど道路や目印地点(例えば施設、交差点名)の情報が多く含まれており、各地図の特定地点ごとに全国の特定地点(例えば東京駅)を原点とした絶対座標を設定してある。
【0017】
図2は制御装置230のCPU231が処理するメインルーチンをあらわしており、本ルーチンは一定時間ごと(例えば5mS)のタイマー割込みによって起動する。
【0018】
CPU231がタイマー割込みを受けると、まず、ステップS301で操作部220の入力スイッチ221が操作されたか否かを判断するために操作部220内のラッチ回路の信号をCPU231に取り込む。この信号が操作があったことを示している場合には、ステップS302に進むとともにラッチ回路をリセットする。
【0019】
ステップS302およびステップS303では、それぞれ読み込み要求フラグと拡大要求フラグが1にセットされ、ステップS308に進む。
【0020】
ステップS308は地図読み込みのサブルーチンとなっており、詳細は図3に示されている。
【0021】
図3では、まず、ステップS501で読み込み要求フラグが1にセットされているかが判断される。ここでは、この要求フラグが1にセットされているので、ステップS502に進み、操作部220内のレジスターに記憶されている新たな地図の縮尺をCPU231に読み込む。
【0022】
次に、ステップS503で現在表示中の地図の座標、特に現在表示中の画面中心の絶対座標に対応する新たな地図をCD−ROM240から読む込む処理を開始する。
【0023】
この処理の開始により、CD−ROM240に対して読み込む地図データのアドレスが伝送され、これに応答して地図データが制御装置230の主RAM233に送信されるようになる。
【0024】
この地図データの送信は、CD−ROM240から主RAM233に対してCPU231を介さずに直接行われるように構成されているので、他の処理を並行して実行できる。
【0025】
ステップS503でCD−ROM240に対する地図データの読み込み処理
(送信要求)が終了すると、ステップS504に進み、読み込み要求フラグが0にリセットされる。
【0026】
ここで、図2に戻り、ステップS309の拡大表示サブルーチンが実行される。この拡大表示サブルーチンは新たな縮尺の地図が読み込まれて表示されうる状態になるまでの間に、現在表示されている地図をもとに新たに運転者が指示した縮尺の地図が読み込まれる間に、疑似的に新たな縮尺の地図まで徐々に拡大していく処理を行うもので、図4に詳しく示している。
【0027】
まず、ステップS401で拡大要求フラグが1か否かが判断される。ここでは、このフラグは1にセットされているのでステップS402に進み、このフラグをリセットする。
【0028】
次に、ステップS403で現在表示中の縮尺に対して、新たに運転者が指示した縮尺が拡大倍率に換算して何倍であるかを、次式(1)を用いて計算する。
【0029】
(拡大倍率)=(新縮尺)/(現表示縮尺) …(1)
【0030】
この拡大倍率が求められると、ステップS404で1回当りの拡大率を求める。この1回当りの拡大率とは、現在表示中の地図を時間経過とともに徐々に拡大表示していくために、1回ごとの拡大表示を行うための倍率であって、時間の経過とともに大きくなっていく数値である。
【0031】
ここで、地図の拡大を徐々に行うのであるが、最終的な拡大率は当然式(1)で求めた拡大倍率であり、この拡大倍率に到達するのに要する時間はCD−ROM240から新たな地図が表示可能となるV−RAM2214に伝送終了となるまでの時間に等しいことが好ましい。この1回当りの拡大率は、次式(2)を用いて計算する。
【0032】
(拡大率)=n・[{(拡大倍率)−1}/N]+1 …(2)
ただし、nは初期値が1で1回の拡大処理ごとに1ずつ大きくなる係数であり、Nは拡大を行う回数(ステップS405の値と等しい数)である。
【0033】
次いで、ステップS405でカウンターにNに設定され、ステップS407でウインドウ処理が実行される。このウインドウ処理とは、図5の(a)に示すように、現在表示中の地図に対して表示画面上で、新たな縮尺の地図が表示された場合にディスプレー上に表示される範囲以外の部分をマスクして、実際に表示される地図の範囲を狭くする処理をいう。
【0034】
このウインドウ処理に際しては、当然ステップS404で計算した拡大倍率を用いてマスクする範囲を設定している。
【0035】
以上で、運転者が縮尺の拡大要求をスイッチ操作によって行った場合の1回目の処理が終了する。
【0036】
タイマー割込みは、上述したように一定時間ごとにくり返し発生するので、次の割込みによって図2の処理が再開される。すると、ステップS301では、すでに操作部220のラッチ回路がリセットされたので、ステップS304およびステップS305に進む。
【0037】
ステップS304では図4の拡大表示が完全に終了したときに立つ拡大終了フラグが立っているか否かを判別し、ステップS305では運転者が新たに要求した縮尺の地図がV−RAMに転送され、直ちに表示できるような状態になったときに立つ読み込み終了フラグが立っているか否かを判別する。
【0038】
ここでは、何れのフラグも立っていない(1にセットされていない)のでステップS307に進み、図3のサブルーチンが再び実行される。
【0039】
ステップS501の判別では、先の処理で読み込み要求フラグはすでにリセット(0)されているので、ステップS505およびステップS506に進む。
【0040】
ステップS505ではCD−ROM240から新たな縮尺の地図が主RAMに全て転送されたか否かが、またステップS506では主RAMに展開した新たな縮尺の地図がV−RAM2214に転送されたか否かが判断される。
【0041】
ここでは、CD−ROMの読み込みが完了していないので、ステップS309(図4)に進む。何回かのタイマー割込み処理の後にCD−ROMデータの読み込みが完了するとステップS506に進むが、ここではV−RAMへの地図データの転送はまだ行っていないので、ステップS507に進む。
【0042】
ステップS507では、CD−ROM240から送られてきた地図データをもとに、現在表示している中心座標が新たな縮尺の地図の中心座標と一致し、かつヘディングアップ機能実行中にあっては現在表示中の地図の方位と新たな地図の方位とが一致するように演算処理が行われる。
【0043】
この演算処理が終わらない状態であっても所定期間の処理が実行されると強制的にこのサブルーチンは終了し、ステップS309(図4)のサブルーチンに移る。何回かステップS507が実行されることにより、中心座標合せと方位合せの処理が終わると、V−RAM2214へのデータ転送が実行されるようになる。
【0044】
何回かステップS507が実行され、V−RAMへの地図データの転送が完了すると、ステップS506からステップS508に処理が移り、読み込み終了フラグが1にセットされる。
【0045】
次に、図4に移り、ステップS401の後にステップS407が判断される。ステップS407では、当初はカウンタが0にはなっていないので、ステップS408に進む。ステップS408では、現在表示されている地図に対応する主RAM中の地図情報に対して拡大処理を行う。
【0046】
拡大処理が行われる主RAMの地図情報はステップS406でウインドウ処理が施された表示画面に対してであり、その表示画面の地図データに対して式(2)で求められた拡大率を用いて画面中心から放射状に拡大していく処理が行われる。
【0047】
この拡大処理が行われたあと、式(2)の拡大率のnは1増大して2になり、 次の拡大処理のときの拡大率として用いられることになる。図5(b)はこの拡大処理の過程の地図表示例を示している。
【0048】
1回目の拡大処理が終わるとステップS409に進み、拡大処理された主RAM中の地図データはV−RAM 1 213に転送され、表示器に表示されるようになる。次いで、ステップS410に進み、カウンタNがデクリメントされ、1回目の拡大処理が終了する。
【0049】
続いて、図2の割込み処理がくり返し実行されると、ステップS409〜ステップS410がくり返して実行され、図3で述べた新たな縮尺の地図データがV−RAM 2 214に転送終了する頃にステップS407のカウンタも0となる。処理がステップS411へと進むと、疑似拡大地図による表示処理が終わったことを示す拡大終了フラグが1にセットされる。
【0050】
このように、拡大表示処理および地図データ読み込み処理がほぼ同時に終了すると、ステップS304とステップS305のフラグがともにセットされたこととなり、処理はステップS306へと進む。
【0051】
ここではまだV−RAMの切り換え処理が終了していないのでステップS307に進み、疑似的に拡大処理された地図が表示されているV−RAM 1 213から新たな縮尺の地図データが転送されたV−RAM 2 214に切り換えられ、ここで地図表示は運転者の要求した縮尺の正規の地図に切り換えられることになる。
【0052】
図5(c)は、拡大処理が完了した後に新たな縮尺の地図に切り換えられたときの表示画面を示している。この状態で、疑似的に拡大されたときには存在しない情報(例えば地名、施設名、交差点名)が地図上にあらわれることになる。
【0053】
本実施例では、拡大表示の場合について現在表示されている地図にウインドウ 処理を行い、疑似的に拡大表示する例を示したが、縮小表示する場合には現在表示されている地図に対して疑似的に縮小処理を行い、本来画面に表示されていなかった部分に対してマスクをかけるウインドウ処理を行いながら、新たなCD−ROM地図の読み込みを行い、切り換えると良い。
【0054】
また、主RAM上に現在表示している領域の周辺の領域地図まで予め読み込まれている場合には、疑似的な縮小表示を行う際にマスクする必要はない。
【0055】
また、縮尺を変更する指示手段として、本実施例では操作部に設けた入力スイッチとしたが、これに限らず、例えばもっとも小さな縮尺の地図をもつ領域から車両が逸脱したときに縮尺を1段階大きくする縮尺自動切換えの際にも用いることができる。
【0056】
【発明の効果】
本発明では、運転者が異なる縮尺の地図の表示要求してから実際にその地図が表示されるまでの時間は、現在表示されている地図データをもとにして疑似的に新たな縮尺まで徐々に地図を拡大縮小表示しているので、運転者は自らの要求に対して処理が実行されつつあることを逐次把握でき、商品性の高い地図表示装置を提供できるものである。そして、特に本発明によれば、表示地図の縮尺変更の入力があったら、現在の縮尺の地図データをもとに疑似地図を作成して表示するのと並行して、疑似地図を作成して表示するための第1のメモリーとは別の第2のメモリーに新たに指定された縮尺の地図データを読み込み、その新たな縮尺の地図の読み込みが完了したら疑似地図から新たな縮尺の地図に表示を切り換えるようにしているので、新たな縮尺の地図に切り換えるときの地図データの読み込みの待ち時間がなくなり、新たな縮尺による地図への表示切り換えを迅速に行わせることができるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による地図表示装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明による地図表示装置の動作のフローを示す図である。
【図3】地図拡大処理のフローを示す図である。
【図4】地図データ読込処理のフローを示す図である。
【図5】地図の拡大表示を行わせるときの画面の表示状態の変化を示す図である。
【符号の説明】
210 表示部
211 表示器
212 切換器
213 V−RAM1
214 V−RAM2
220 操作部
221 入力スイッチ
230 制御装置
231 CPU
232 ROM
233 主RAM
234 I/Oポート
240 CD−ROM
Claims (1)
- 縮尺の異なる複数の地図データを記憶した地図情報記憶手段と、前記地図の拡大縮小を指示する縮尺指示手段と、その縮尺指示手段の拡大縮小指示に応答して所定の縮尺の地図を表示する表示手段とからなる地図表示装置において、前記縮尺指示手段による拡大縮小指示が変更されたとき、現在表示している縮尺の地図データを用いて新たに指示された縮尺の地図を疑似的に作成した結果の疑似地図を表示するための第1のメモリーと、前記縮尺指示手段による拡大縮小指示により、新たに指定された縮尺の地図を読み込み、表示するための第2のメモリーと、前記第1のメモリーにて表示されている地図と前記第2のメモリーに新たに読み込まれた地図とを切り換える切換え手段とを備え、その切換え手段は、前記第2のメモリーの地図の読み込みが完了したときに、前記第1のメモリーにて表示されている地図から第2のメモリーの新たに読み込まれた地図に切り換えることを特徴とする地図表示装置。
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