JP3574859B2 - 床板の接合構造及びそれを使った建築物構造物 - Google Patents

床板の接合構造及びそれを使った建築物構造物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、床板に関し、更に詳しくは、床板の接合構造及びそれを使った建築耕造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、床を敷設施工する場合、床材の組み付けを容易にするために既に端面に加工が施してあるものを使用する。
床材の施工方法としては種々の方法が開発されている。
例えば、図8に示す方法は床板を床下材に固定する手順を示す図であり、このように、釘を使って床板を下地材(床下板)に敷設していく。
【0003】
なお、ここでの接合部は長手方向の端面を示している。
この方法では、まず、下地材の上に第1床板Aを載置する。
そして、床板の端面(雄部)に釘を打ち付けて固定する。
次に、第1床板Aの端面(雄部)に他の床板(第2の床板B)の一方の端面(雌部)を嵌合することで接合する。
その後、第2の床板Bの他方の端面(雄部)に釘を打ち付けて固定する。
次に、第2床板Aの端面(雄部)に第3の床板Cの端面(雌部)を嵌合することで接合する。
このような接合手順を順次繰り返していくことにより、広範囲に床板が下地材(床下板)300に対して敷設施工されていくのである。
【0004】
このような床板の端面の接合例として、従来から、図9に示すような床板の端面が多く使用されている。
この接合構造は、床板100の端面(ここでは床板の小口や側面をいう)に雄部である凸部113が形成され、他方の床板200の端面には雌部である凹部213が形成されている構造である。
このような接合は、小口ではほぞとほぞ穴による接合、また側面では印籠じゃにり、又はさね造りによる接合といわれているものである。
今、このような床板を下地材(床下板)の上に接合して敷設していくには、第1の床板100の雄部である凸部113にそれと接合すべき第2の床板200の雌部である凹部213を嵌合により接合する。
【0005】
凸部113の長さと凹部213の深さが一致する場合は、図10(A)に示すように正確に各部分が接合する。
ところが、床板は前もって設定寸法に製造されているが、一般に、その加工により寸法上の誤差が生ずるのは避けられない。
誤差が生じて凸部113の長さと凹部213の深さが一致しなくなった場合を想定する。
【0006】
例えば、雄部の凸部113が雌部の凹部213より長い場合、雄部である凸部113の先(すなわち頂部113A)が雌部である凹部213の底213Aに早く当接するような寸法関係にあると、図10(B)に示すように、雄部の両肩111、112と雌部の先(足先)211、212とが当接(接触)しなくなるために、上面と下面とにて、第1の床板100と第2の床板200との間に間隙Tが生ずる。
【0007】
また、雄部の凸部113の先113Aが雌部の凹部213の底213Aに早く当接しなくても、図10(C)に示すように、雄部の下側の肩部112が雌部の下側の先212に早く当接するような寸法関係にあると、雄部の上側の肩部111と雌部の上側の先211との間に、同様に間隙Tが生ずる。
また、図10(D)に示すように、雄部の上側の肩部112が雌部の上側の先212に早く当接するような寸法関係にあると、雄部の下側の肩部111と雌部の下側の先211との間に、同様に間隙Tが生ずる。
【0008】
このような接合関係により床板間に生じた間隙Tは〔図10(B)、図10(C)の場合〕、上方から見た場合に、垂直に深く切れ込んでいる如くに視認される。
このようなことから、誤差が生じた場合には、2/3の確率で上面にて床板間の間隙が生ずることになる。
接合部を上方から見た場合、第1の床板100と第2の床板200との間に間隙Tが生じないようにするには、第1の床板100の雄部である凸部113の先113Aが第2の床板200の雌部である凹部213の底213Aに他の部分よりも早く当接しないようにすること、すなわち図10(B)に示す如くならないこと、及び第1の床板100の雄部の下側の肩部112が第2の床板200の雌部の下側の先212に他の部分より早く当接しないようにすること、すなわち、図10(C)に示す如くならないことが必要である。
【0009】
このようなことから床板を敷設施工する場合、第1の床板に対して第2の床板を接合して間隙が生ずるようであれば、第2の床板を裏返して使う必要がある。表裏である両側を自由に使う〔選んで好む側を表(上方)にする〕ことはできない。
床板が無垢材である場合は、その地肌面が好まれるために上下(すなわち表裏)の両側とも使えることができる方が極めて有用であり、且つ施工性の自由度が増す点からも作業が効率的である。
しかるに、上記のような接合構造ではこの要求に答えられない。
【0010】
一方、床板を床下材300に取り付けるためには、固定用の釘4を使うが、このような従来の場合、図11に示すように、第1の床板の雄部の脇(凸部113と肩部111の境界部分)から、金槌等を使って釘4を打ち込む(A→B)。ところが、その際、金槌等による衝撃のため雄部である凸部113が変形したり極端には折れたりする場合がある。
凸部113が変形すると、他の床板の雌部である凹部213に嵌まり込まなくなり、折れた場合、接合はまず不可能である。
【0011】
また、打ち込む際に、凸部113の脇に釘頭41が入るので、凸部113が邪魔になって、釘頭41を叩きにくいこともある。
更に、釘頭41は、第2の床板の凹部を嵌め込む際に邪魔にする。
そのため、ポンチを使って釘頭41を床板に叩き込む必要がある。
また、床板の凸部113は、運搬中や施工中に他部材にぶつけると、傷が付き易い。
更に、凹部213の一方の足部の壁厚が床板全厚に比べて小さいために、この壁厚の部分が長期間の間に反り返ったりする。
それが床板を敷設施工した状態で床表面の浮き現象となって現れる〔図8(C)の拡大部、参照)〕。
更には、雌部の足部は、床板の全厚みの一部であるために壁厚が薄くならざるを得ず、熱に弱く燃え易い。
このようなことから、床板にほぞ溝を形成し、凹凸部を嵌合して接合する構造を採用した場合には施工上や機能上の限界があったのである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点の解決を意図したものである。
即ち、本発明の目的は、床板間の間隙が目立たなく床板の両側(表裏)が区別なく使えて施工が容易な床板同士の接合構造、それ構造を構成する個々の床板,及びそれを有する建築構造物を提供することである。
更なる目的は、釘等の打ち付けが簡単に行えて施工が容易な床板同士の接合構造、それ構造を構成する個々の床板,及びそれを有する建築構造物を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
しかして、本発明者等は、このような課題に対して、鋭意研究を重ねた結果、床板の雄部と雌部とを山形面に変え、且つ釘の隠し部を形成することに、間隙が生じても目立たなく裏表なく両側が使用でき且つ釘等の打ち付けも簡単で施工性が良くなることを見出し、この知見により、本発明を完成させたものである。
【0016】
即ち、本発明は、(1)両床板の接合構造であって、一方の第1床板の端面を山形状の雄部とし、他方の第2床板の端面を山形状の雌部とし、第1床板の山形状の雄部は、互いに衝合する第1雄傾斜面と第2雄傾斜面とを備え、第2床板の山形状の雌部は、互いに衝合する第1雌傾斜面と第2雌傾斜面とを備え、前記第1雄傾斜面及び第2雄傾斜面には釘頭を収納可能な凹部を形成し、雄部の第1雄傾斜面と第2雄傾斜面のなす角度が、雌部の第1雌傾斜面と第2雌傾斜面とのなす角度より大である床板の接合構造に存する。
【0017】
そして、(2)、山形状の雄部の頂部と山形状の雌部の底との間に間隙が生じており、この間隙に接着剤が充填されている床板の接合構造に存する。
【0018】
そしてまた、(3)、収納可能な凹部の底が釘頭を支持するための受け面となっており、該受け面の角度が15〜40°である床板の接合構造に存する。
【0019】
そしてまた、(4)、床板の一方の端面が山形状の雄部に形成され、他方の端面が山形状の雌部に形成され、山形状の雄部は互いに衝合する第1雄傾斜面と第2雄傾斜面とを備え、山形状の雌部は互いに衝合する第1雌傾斜面と第2雌傾斜面とを備え、雄部の第1雄傾斜面及び第2雄傾斜面には釘頭を収納可能な凹部を形成し、一方の端面である雄部における第1雄傾斜面と第2雄傾斜面のなす角度が、他方の端面である雌部における第1雌傾斜面と第2雌傾斜面とのなす角度より大である床板に存する。
【0020】
そしてまた、(5)、収納可能な凹部の底に釘頭を支持するための受け面を備えており、該受け面の角度が15〜40°である床板に存する。
【0022】
そしてまた、(6)、一方の端面である雄部の頂部が、角がない曲面となっている床板に存する。
【0023】
そしてまた、(7)、上記(4)(6)のいずれか1の床板を使った建築構造物に存する。
【0024】
本発明は、その目的に沿ったものであれば、上記1〜の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成、及び上記4〜6の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も採用可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施の形態を挙げ図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の床板の実施の形態を示す外観図であり、図2は、その床板の両方の端部を拡大して示す断面図である。
このような床板を使って、下地材(床下板)に床を敷設施工していく手順を図3に示す。
【0026】
まず図3(A)で先述したように、第1の床板Aを床下板3の上に置き、釘4で固定する。
そして第1床板Aの端面と次の第2の床板Bの端面とを接合し第2の床板Bを釘で固定する。
次に、今度は第2の床板Bの他方の端面に第3の床板Cの端面を接合する。
以下同様な手順で接合を順次繰り返していくことにより、下地材(床下板)の上に広い範囲に渡って床板が敷設されていく。
本発明の床板は、後述するように、端面が山形状の雄部と雌部との接合のため両床板の付き合わせが行い易い。
また、例え、床下板3にカーブがあった場合も、同様な手順で敷設される利点がある。
因みに、前述した従来のさね造りの接合構造では、雄部の凸部と雌部の凹部との嵌合が不可能となる。
【0027】
さて本発明の床板は、図2の拡大図に示すように、一方の端面を山形状の雄部1として、他方の端面を山形状の雌部2として形成する。
山形状の雄部1には図でいう上側に位置する第1雄傾斜面11と下側に位置する第2雄傾斜面12とが形成されており、両斜面の衝合により頂部13が形成されている。
この雄部の頂部13は、角が無くて曲面となっていることが好ましい〔図2(B)参照〕。
同様に、床板の山形状の雌部2には、上側に位置する第1雌傾斜面21と下側に位置する第2雌傾斜面22とがあり、両斜面が中央で衝合されて底部23が形成されている。
これらの頂部13や底部23は、板厚の中央部に形成されている。
【0028】
そして、雄部1における第1雄傾斜面11と第2雄傾斜面12とのなす角(α)は、雌部2における第1雌傾斜面21と第2雌傾斜面22とのなす角(β)と等しい。
しかし、後述するように、 雄部1における第1雄傾斜面11と第2雄傾斜面12とのなす角(α)は、雌部2における第1雌傾斜面21と第2雌傾斜面22とのなす角(β)より大きくすることがより好ましい。
ここで、αは120°〜160°が好ましく、特に150°がより好ましい。
【0029】
一方、この雄部1の第1雄傾斜面11には、後述するように、施工時、釘頭を隠すために釘頭41が収納可能な凹部11Aが設けられている。
この凹部11Aは端面に沿って連続的に設けられていることが好ましく、断面形状は略三角形が好ましい。
凹部11Aの底には、釘頭41を支持するための受け面11A1が形成されており、この受け面の角度θは第1雄傾斜面11の角度α/2より小さい傾斜(例えば45°)を有する。
同様に、第2雄傾斜面12にも受け面12A1を有する凹部12Aが設けられており、受け面の角度も第2雄傾斜面12の角度α/2より、小さい傾斜を有する。
【0030】
なお、このような受け面の角度θは、釘の打ち込み易さの観点から、15°〜40°が好ましく、特に好ましくは30°である。
この範囲の角度であると、床板の下地材(床下板)への固定力が十分となる。因みに、従来の接合構造(図11参照)においては、凸部113の形状のために45°を越えるようになり、釘が打ち込みにくい。
また、床板の下地材(床下板)への固定力は不十分となる。
このように端面が形成された床板を、先述したように、順次、継いで接合していくのである。
【0031】
ここで第1の床板とそれに隣接する第2の床板との接合関係について述べる。図4は両床板を接合する前の状態を示し、また図5は両床板を接合した後の状態(断面)を示す。
なお、ここで第1の両床板の接合構造は、本発明でよりベストな接合構造であるところの、雄部1の第1雄傾斜面11と第2雄傾斜面12との間の角度αを、雌部2の第1雌傾斜面21と第2雌傾斜面22との間の角度βより大きく設定したものを示した。
いま、第1の床板Aの山形状の雄部1に、第2の床板Bの山形状の雌部2を接合したとする。
【0032】
図6は、接合状態の各態様を示す。
図6の(A)に示すように、雄部1の第1雄傾斜面11と第2雄傾斜面12との間の角度αが、雌部2の第1雌傾斜面21と第2雌傾斜面22との間の角度βと等しい場合は、上下面に隙間は生じなくてピッタリ接合する(なお、各所番号は図2及び図4を参照のこと)。
ところが先述したように、床板を製造する場合に加工する際、設計寸法に比べて面の傾斜に誤差が生じる場合がある。
例えば、雄部1の第1雄傾斜面11と雌部2の第1雌傾斜面21、雄部1の第2雄傾斜面12と雌部2の第2雌傾斜面22、等の各々角度に設計寸法と実際寸法の間に誤差が生ずる場合がある。
【0033】
図6の(B)に示すように、雄部の第1雄傾斜面11と第2雄傾斜面12との間の角度αが、雌部の第1雌傾斜面21と第2雌傾斜面22との間の角度βより小さい場合は、上下両面に隙間Tが生ずる。
また雄部1の第1雄傾斜面11と第2雄傾斜面12との間の角度αが、雌部2の第1雌傾斜面21と第2雌傾斜面22との間の角度βより大きい場合では次の2通りがある。
【0034】
一つは、(C)に示すように、両床板A、Bが下面で接触して、上面に両床板に間隙Tが生ずる場合である。
この場合、第1の床板Aの雄部1の頂部13と第2の床板Bの雌部2の底部23との間には間隙が形成される。
【0035】
他の一つは、(D)に示すように、両床板A、Bが上面で接触して下面に両床板に間隙Tが生ずる場合である。
この場合も、第1の床板Aの雄部1の頂部13と第2の床板Bの雌部2の底部23との間には間隙が形成される。
本発明において、このような両床板間に生じた間隙Tは、雄部の雄傾斜面が直下に見えしかも斜めに傾斜しているために間隙自体が垂直方向に深く視認されない。
そのために、間隙が生じたとしても目立たないのである。
因みに、先述した従来例(図10、図11参照)においては、間隙の奥深くまで見えて極めて目立ち易い。
【0036】
本発明の接合構造においては、雄部1の第1雄傾斜面11と第2雄傾斜面12との間の角度αを、雌部2の第1雌傾斜面21と第2雌傾斜面22との間の角度βより大きく寸法設定することがより好ましい。
このように設定することにより、上記(B)の如く上下両面に隙間Tが生ずるようなケースは、加工誤差を考慮しても、製造後は殆どなくなる。
そして上記(C)及び(D)となるケースが殆どとなり、しかも(D)の如く下面に両床板の間隙Tが生ずるケースは、確率的にその半分である。
そのため、(C)の如く上面に両床板の間隙Tが生ずるケースは確率的に1/2である。
因みに、従来、両床板の上面に間隙Tが生ずる確率は2/3である。
【0037】
このようなことから、床板のどの面を上に敷設しても間隙が上面に露出するように現れるケースは従来より少なくなる。
また、例え、上面に間隙が露出するケースの場合でも、従来のように隙間が目立つようなことはなく、そのため床板の表裏とも使えて自由度が増し、床板の敷設施工の作業効率が大となる。
更にまた、両床板の間に形成される空間(間隙)に簡単に接着剤(例えば無機接着剤)を充填することができ、間隙をより目立たなくなり、同時に接合強度を向上することができる。
雌部の雌傾斜面に接着剤を付着させ雄部に対して押し付けることで全体的に均一に接着剤が行き渡る。
そして、釘頭を収納する凹部11Aが接着剤で埋まり釘浮きが無くなる。
因みに従来のさね造りの接合構造ではこれらのメリットは期待できない。
【0038】
本発明の床板においては、床板の加工上の寸法誤差が出て、第1の床板の雄部と第2の床板の雌部との間で製造上の角度ずれが生じても、それによって上面に間隙が生ずるケースも少なく、また間隙が上面に生じても目立たなく、更に接着剤による接合強度を上げ易い。
さて、本発明の床板においては、釘頭を隠すことができる他の特徴もある。
一般に、下地材(床下板)3に床板を取り付ける場合は(敷設する場合)、固定用の固着具、例えば釘41等が使用される。
【0039】
先述したように、本発明においては、雄部1の第1雄傾斜面11及び第2第1雄傾斜面12には釘頭41を隠して突出しない状態におくための凹部11A及び凹部12Aが形成されている。
床板に対して、釘を打ち込むには、床板を下地材(床下板)の上に置き、その雄部1の第1雄傾斜面11に対して釘を打ち込む。
その際、釘は、その第1雄傾斜面11に形成された凹部11Aの受け面11A1に対して略垂直となるように打ち込む(床板に対しては斜め方向から打ち込むこととなる)。
受け面11A1がある角度、例えば45度の傾斜となっている場合、釘4を床下板に対して約45度の傾斜角で打ち込むことが好ましい。
【0040】
釘4は、打ち込んだ後、最終的に釘頭41がこの凹部11Aに収納されて隠れるために、第1の床板Aの雄部1に第2の床板Bの雌部2を接合した場合、釘頭41が雌部2の第1傾斜部21を妨害するようなことがない(図7参照)。
すなわち、両床板A、Bを接合した場合に、釘頭41が邪魔をしないために両床板に間隙が生ずるようなことはなくなる。
釘頭を隠すための凹部11Aは、第1雄傾斜面11と第2雄傾斜面12の両方に形成することが好ましい。
【0041】
ところで、本発明の床板は端面においても十分厚みがあり、先述した従来のように(図9〜図11参照)、雌部の側壁により板厚の薄い部分が生ずる点を回避できる。
そのため、長年、使っている間に側壁が反り返ったりすることはない。
また、従来は薄い部分があるために熱による加熱が速く起き易いが、本発明では床板内を熱がより伝達し易く熱に比較的強いものとなる。
【0042】
以下、本発明における床板の施工例を挙げて説明する。
【実施例】
厚さ20mm(縦)×100mm(横)×2000mm(長さ)の床板(杉板)を床下板の上に敷設した。
床板を接合する場合、床板の表や裏が自由に使えて施工する場合に自由度があり極めて便利である。
また、釘を打ち込んで床下材に床板を固定する場合、釘を打ち込んだ後も、釘頭が凹部に隠れるために接合の邪魔にならず間隙が全く生じない。
また、一方の床板の雌部に接着剤を付与して別の床板の雄部に押し付けるだけで簡単に接着剤が両床板の間隙に充填された。
また緩いカーブを有する床下板に敷設したが確実に接合ができた。
【0043】
【比較例1】
厚さ20mm(縦)×100mm(横)×2000mm(長さ)の床板(杉板)を床下板の上に敷設した。
床板は、図8に示すような、ほぞとほぞ穴を有するものを使った。
敷設に際しては、ほぞとほぞ穴との嵌合が製造誤差によりスムースに行われにくい。
床板を接合した部分には、隙間が生じており、その間隙を上方から見ると釘頭が僅かに視認できた。
床板は、常に一方側(表側)しか使用できないために施工する場合に、表裏を確認する必要があり面倒であった。
また、一方の床板の雌部に接着剤を付与して別の床板の端部の雄部に押し付けて接合したが両床板の間隙に充分接着剤が充填されなかった。
また、一方の床板の雌部を、接着剤を付与した別の床板の雌部に押し付けて接合したが、同様に両床板の間隙に充分接着剤が充填されなかった。
この場合、雄部の下側の肩部には接着剤を付与するのは極めて困難であった。また緩いカーブを有する床下板に敷設したが、ほぞとほぞ穴との嵌合がしにくく接合が難しい。
【0044】
以上、本発明を説明したが、本発明は実施の形態や実施例に限定されるものではなく、その目的に沿う限り種々の変形例が可能である。
雌面や雄面の傾斜面の角度は自由である。
釘を収納可能な凹部の形状は受け面を有する限りその形は問わない。
また、その受け面の傾斜角も自由である。
また、本発明の床板を適用する対象物としては、壁材や天井材として、更には一般の建築構造物として種々の分野に適用可能である。
【0045】
【発明の効果】
本発明の床板の接合方法は、第1床板の端面を山形状の雌面とし、第2床板の端面を山形状の雄面とし、第2床板の山形状の雄面は、第1傾斜面と第2傾斜面とを備え、第1傾斜面には釘頭を収納可能な凹部と第2傾斜面にも同様な凹部とを備えた床板の接合構造であることから、両側が区別なく使え、また釘頭が隠れて施工効率がよい。
また、床厚の薄い部分がないてめに、従来のホゾ接合のように薄い部分の反り返りが生ずるようなことはない。
雄面と雌面との間に間隙が生じても、その間隙の底が浅いために目立ち難い。
また、床下材が緩いカーブを描いていても接合が簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、床板を示す外観図である。
【図2】図2は、床板の端部を拡大して示す断面図である。
【図3】図3は、床板を床下材に固定する手順を示す図である。
【図4】図4は両床板を接合する前の状態を示す図である。
【図5】図5は両床板を接合した後の状態(断面)を示す図である。
【図6】図6は、床板の接合状態の各態様を示す図である。
【図7】図7は、雄部に釘を打ち込んだ状態を示す図である。
【図8】図8は、従来例における床板を床下材に固定する手順を示す図である。
【図9】図9は、従来の床板の端面を示す図である。
【図10】図10は、従来の床板の接合状態の各態様を示す図である。
【図11】図11は、従来の床板の接合構造における釘の打ち込み操作を示す図である。
【符号の説明】
1…雄部
11…第1雄斜面
11A…凹部
11A1…受け面
12…第2雄斜面
13…頂部
2…雌部
21…第1雌斜面
22…第2雌斜面
23…底部
3…床下材
4…釘
41…釘頭
100…第1の床板
111…肩
112…肩
113…凸部
113A…頂部
200…第2の床板
211…先(足先)
212…先(足先)
213…凹部
213A…底
300…床下材
A…第1の床板
B…第2の床板
C…第3の床板

Claims (7)

  1. 両床板の接合構造であって、一方の第1床板の端面を山形状の雄部とし、他方の第2床板の端面を山形状の雌部とし、第1床板の山形状の雄部は、互いに衝合する第1雄傾斜面と第2雄傾斜面とを備え、第2床板の山形状の雌部は、互いに衝合する第1雌傾斜面と第2雌傾斜面とを備え、前記第1雄傾斜面及び第2雄傾斜面には釘頭を収納可能な凹部を形成し、雄部の第1雄傾斜面と第2雄傾斜面のなす角度が、雌部の第1雌傾斜面と第2雌傾斜面とのなす角度より大であることを特徴とする床板の接合構造。
  2. 山形状の雄部の頂部と山形状の雌部の底との間に間隙が生じており、この間隙に接着剤が充填されていることを特徴とする請求項1記載の床板の接合構造。
  3. 収納可能な凹部の底が釘頭を支持するための受け面となっており、該受け面の角度が15〜40°であることを特徴とする請求項1記載の床板の接合構造。
  4. 床板の一方の端面が山形状の雄部に形成され、他方の端面が山形状の雌部に形成され、山形状の雄部は互いに衝合する第1雄傾斜面と第2雄傾斜面とを備え、山形状の雌部は互いに衝合する第1雌傾斜面と第2雌傾斜面とを備え、雄部の第1雄傾斜面及び第2雄傾斜面には釘頭を収納可能な凹部を形成し、一方の端面である雄部における第1雄傾斜面と第2雄傾斜面のなす角度が、他方の端面である雌部における第1雌傾斜面と第2雌傾斜面とのなす角度より大であることを特徴とする床板。
  5. 収納可能な凹部の底に釘頭を支持するための受け面を備えており、該受け面の角度が15〜40°であることを特徴とする請求項4記載の床板。
  6. 一方の端面である雄部の頂部が、角がない曲面となっていることを特徴とする請求項4記載の床板。
  7. 上記請求項4〜6のいずれか1項記載の床板を使った建築構造物。
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