JP2757282B2 - 床 板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、洋室等のフロアー
に使用される床板に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、床根太組下地または合板等の
床下パネルやコンクリートスラブ等の床下地材上に複数
の床板を連結させて床を形成する施工方法が知られてい
る。このように互いに連結される床板として、長方形の
板状基材の一側面の中間部から突出する雄実部を備え、
かつ他側面の中間部に、他の床板の雄実部を係合させる
ための溝状雌実部を備えたものが知られている。このよ
うな構造の床板は、床下地材上に先に敷設、固定した床
板の雄実部に対して、他の床板の雌実部を係合させると
ともにその雄実部基端部付近に釘を打ち込みながら床板
下地上に順次敷設される。

【０００３】このような床板として、例えば実開平6-56
310号公報に示すものが知られている。すなわち、図７
に示すように、床板１は、上面に化粧層４を有しかつ長
方形状に構成された一定厚さの板状基材１aと、この板
状基材１aの一側面の中間部から外方に向け、長手方向
に沿って突出形成された雄実部２と、他側面の中間部に
該他側面の長手方向に沿って溝状に形成され、他の床板
１の雄実部２と係合する雌実部６とを有している。

【０００４】この雄実部２は、その上面部２bにおける
突出長が、下面部２cにおけるそれより長く形成され、
かつ該上面部２bは平坦面として形成されている。この
雄実部２の突出端には、その上端から下面部間に向けて
斜め内方に傾斜する円弧状の嵌合案内面２aが形成され
ている。また、雌実部６の上方に位置する上側突条部７
の突出長は、下方に位置する下側突条部９のそれより長
く形成されている。この上側突条部７の突出端面には、
その上端から雌実部６の開口上端縁に向かって斜め内方
に傾斜する円弧状の嵌合案内面７aが形成されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
構造の床板１によれば、床下地材上に多数の床板１を敷
設する際、先に敷設した床板１と、該床板１に連結させ
るべき他の床板１’との雄、雌実部２、６同士を連結さ
せる作業を円滑に行うことができるものの、施設後の床
板１によって形成される床には、次のような問題があっ
た。すなわち、上記構成の床板１を複数枚連結させて形
成した床は、図８にその側面視を示すように、床板１’
における上側突条部７の嵌合案内面７aと、床板１にお
ける雄実部２の上面部２bとの間に空間sを生じさせる。
これは、雌実部６の上側突条部７の突出端に上述の如き
嵌合案内面７aを有するからであり、床は該空間sの存在
により、この空間sの上部付近を踏圧されたときの強度
が弱く、床面強度が安定化されない。

【０００６】また、床板下地上に載置した床板１におけ
る雄実部２の基端部付近に釘を金槌で打ち込む場合に、
該雄実部２はその先端部の特に上側が尖っているため、
注意して打ち込まないと該先端部を打って破損させるこ
とがあった。このため、釘の打ち込み作業には細心の注
意が必要であり、作業能率が悪くなっていた。

【０００７】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、複数枚の床板を連結させる敷設作業を簡単化できる
とともに、複数枚の床板敷設後の床面の強度を安定化さ
せることができる床板を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、板状基材の一側面の上下方向中間部に突片
状雄実部、他側面の上下方向中間部に溝状雌実部を有す
る床板において、雄実部の先端部断面を略縦半円形、雌
実部の上方に位置する第１突出部の先端部断面を略方
形、雌実部の下方に位置する第２突出部の先端部断面を
略縦半円形に形成するとともに、雄実部の上面における
雄実部基端と先端との間の距離を雄実部の下面における
同距離よりも長く、第１突出部の雌実部底部からの突出
長さを第２突出部の同突出長さよりも長く、雄実部の上
面における雌実部基端と先端との間の距離と第１突出部
の雌実部底部からの突出長さとをほぼ等しく、雄実部の
下面における雄実部基端と先端との間の距離と第２突出
部の雌実部底部からの突出長さとをほぼ等しくしたこと
を特徴とする床板を提供する。

【０００９】本発明の床板により床を形成する場合に
は、先ず、数枚の床板を床板下地上における縦または横
方向に一列載置し、各雄実部の基端部付近に釘を打ち込
むことによって該床下地上に固定しておく。そして、他
の床板の第１、第２突出部間に、先に載置した床板の雄
実部を位置させながら該他の床板を移動させる。この
際、他の床板は、その第１突出部の先端が、先に敷設し
た一の床板の雄実部の上面に摺接するとともに、第２突
出部の先端が該一の床板の雄実部の先端付近に摺接しな
がら移動し、これら第１、第２突出部が、一の床板の雄
実部の上面と下面上にそれぞれ係合することにより該一
の床板に対して完全に連結される。その後、他の床板
は、釘を雄実部の基端部付近に打ち込むことにより、床
下地材上に固定される。以下、同様の作業により、床下
地材上に多数の床板が敷設される。

【００１０】このような敷設作業において、先に敷設し
た床板の雄実部先端の断面形状と、後から敷設する床板
の第２突出部先端の断面形状とがそれぞれ略縦半円状に
形成されているため、両床板は、互いに円滑に摺接し合
いながら係合する。そして、施工後の床では、雌実部上
部の第１突出部と雄実部の上面との間に、従来の床板敷
設時に生じたような空間が存在しないため、該第１突出
部が雄実部上面によって確実に支持され、よって床面強
度が確保される。また、雄実部の先端が断面縦半円状に
形成されているため、床板下地材上に載置した床板の雄
実部基端付近に釘を打ち込む際に、必要以上の注意を払
わなくても雄実部先端を金槌で叩く可能性は少なく、よ
って作業性が向上される。

【００１１】

【発明の実施の形態】次に、図に示す一実施形態により
本発明を具体的に示すが、本発明は下記実施形態に限定
されるものではない。図１は、本発明を適用した床板の
一実施形態を示す斜視外観図である。同図において、床
板１１は、平面視矩形状かつ一定の厚みに形成された板
状基材１１aを有している。この板状基材１１aは、上面
部に化粧紙、突板等からなる化粧層１４が形成され、一
側面に、同図上下方向の中間から外方に該一側面の長手
方向に沿って突出する突片状の雄実部１２を有し、他側
面の上下方向略中間に、該他側面の長手方向に沿って溝
状に形成された、該雄実部１２を係合可能な雌実部１６
を有している。

【００１２】図２に示すように、雄実部１２の先端部１
２cの断面は略縦半円形に形成され、雌実部１６の上方
に位置する第１突出部１７の先端部１７aの断面は略方
形状に形成されている。また、雌実部１６の下方に位置
する第２突出部１９の先端１９cの断面は略縦半円形に
形成されている。さらに、雄実部１２の上面１２aにお
ける雄実部基端と先端１２ｃとの間の距離aが、雄実部
１２の下面１２bにおける同距離bよりも長く形成され、
また第１突出部１７の雌実部底部１６aからの突出長さc
が、第２突出部１９の同突出長さdよりも長く形成され
ている。そして、雄実部１２の上面１２aにおける雌実
部基端と先端１２cとの間の距離aと、第１突出部の雌実
部底部１６aからの突出長さcとがほぼ等しく設定される
とともに、雄実部１２の下面１２bにおける雄実部基端
と先端１２cとの間の距離bと第２突出部１９の雌実部底
部１６aからの突出長さdとがほぼ等しく設定されてい
る。

【００１３】上記構成の床板１１を敷設する場合には、
図３に示すように、先に床下地面２０上に釘１８（図
５）で固定した床板１１に対して他の床板１１’を連結
させ、この床板１１’を釘で床下地材２０に固定した
後、さらに該床板１１’に対して他の床板１１を連結さ
せる。この作業時、床下地材２０に敷設した床板１１の
雄実部１２に対して、他の床板１１’の雌実部１６を対
向させて斜めに押し込みながら回動させると、床板１１
の雄実部１２に対し、床板１１’がその第１、第２突出
部１７、１９を摺接させながら接近する。このとき、床
板１１’の第１突出部１７の先端１７aが、先に敷設し
た床板１１の上面１２aに摺接し、第２突出部１９の先
端１９cが該床板１１の雄実部１２の先端１２cに摺接す
るため、該床板１１’は、第１突出部１７の先端１７a
を中心とし、第２突出部１９を雄実部１２の先端１２c
に滑らかに摺接させながら回動する。

【００１４】そして、先端略方形状の第１突出部１７
が、先に敷設した床板１１の上面１２aに隙間なく係合
されて該上面１２aによって確実に支持されるため、施
工後の床は、各床板１１、１１’の接合部付近の強度が
極めて安定化されて、強く踏圧されても撓みにくくされ
る。また、これらの床板１１、１１’によれば、各雄実
部１２の先端１２cが断面略縦円形状であるため、床下
地材２０上に載置した後雄実部１２の基端部付近に釘を
打ち込む作業を、必要以上の注意を払うことなく行うこ
とができ、よって作業性を向上させることができる。

【００１５】このように本発明の床板では、先に敷設し
た床板の雄実部に対し、他の床板を、その雌実部の第
１、第２突出部を摺接させながら接近させる。このと
き、他の床板は、その第１突出部の先端が、床下地材上
の床板の雄実部上面上に摺接するともに、第２突出部の
断面縦半円形状の先端が、該雄実部の断面縦半円形状の
先端に摺接するため、該他の床板は、雄実部上面上に位
置する第１突出部の先端部を中心として、第２突出部が
雄実部に滑らかに摺接しながら回動して、雌実部が該雄
実部に円滑に係合する。そして、断面略方形状の先端の
第１突出部が、雌実部の上面に隙間なく係合されるた
め、施工後の床は、各床板の接合部付近の強度が極めて
安定化される。

【００１６】なお、図６に示すように、雌実部１６の底
部１６a及び雄実部１２の下方に存する第２突出部挿入
部の底部１２dの一方又は両方を内方に湾曲する略半円
形に形成してもよい。これにより、雄実部１２と雌実部
１６との係合や、第２突出部１９と第２突出部挿入部１
２dとの係合がより良好に行われる。

【００１７】

【発明の効果】以上説明したように本発明の床板によれ
ば、複数枚の床板を連結させる敷設作業を簡単化でき、
複数枚の床板敷設後の床面の強度を安定させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した一実施形態を示す床板の斜視
外観図である。

【図２】同床板の側面図である。

【図３】同床板を床下地材上に敷設する際の途中の状態
を示す側面図である。

【図４】同床板の敷設完了状態を示す側面図である。

【図５】同床板の敷設作業の途中の状態を拡大して示す
側面図である。

【図６】同床板の別の実施形態における敷設完了状態を
示す側面図である。

【図７】従来の床板の一例を示す側面図である。

【図８】同従来の床板の敷設完了状態を示す側面図であ
る。

【符号の説明】

１１ 床板 １１a 板状基材 １２ 雄実部 １２a 上面 １２b 下面 １２c 先端 １６ 雌実部 １６a 雌実部底部 １７ 第１突出部 １７a 先端 １９ 第２突出部 １９c 先端

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 板状基材の一側面の上下方向中間部に突
   片状雄実部、他側面の上下方向中間部に溝状雌実部を有
   する床板において、 雄実部の先端部断面を略縦半円形、雌実部の上方に位置
   する第１突出部の先端部断面を略方形、雌実部の下方に
   位置する第２突出部の先端部断面を略縦半円形に形成す
   るとともに、 雄実部の上面における雄実部基端と先端との間の距離を
   雄実部の下面における同距離よりも長く、第１突出部の
   雌実部底部からの突出長さを第２突出部の同突出長さよ
   りも長く、雄実部の上面における雌実部基端と先端との
   間の距離と第１突出部の雌実部底部からの突出長さとを
   ほぼ等しく、雄実部の下面における雄実部基端と先端と
   の間の距離と第２突出部の雌実部底部からの突出長さと
   をほぼ等しくしたことを特徴とする床板。