JP3574421B2 - 薄膜半導体装置 - Google Patents
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Description
本発明はMIS型の電界効果トランジスタを構成する薄膜半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクティブマトリクス型液晶表示装置などに用いられる薄膜トランジスタ(TFT)は、基本的には図7(a)のように構成される。すなわち、ガラス、セラミックスなどの基板1上にポリシリコンなどの半導体薄膜2が形成されてパターニングされ、上面がSiO2 などのゲート絶縁膜3で被覆される。薄膜トランジスタのチャネル領域2Cのゲート絶縁膜3上にはタンタル、ポリシリコンなどのゲート電極4が形成され、これと自己整合的に不純物が半導体薄膜2にドーピングされてソース領域2Sとドレイン領域2Dが形成される。さらに、SiO2 などの層間絶縁膜5が形成され、コンタクトホールを介してソース領域2Sとドレイン領域2Dに接続されたソース電極6Sとドレイン電極6Dが設けられる。
【0003】
この様な構造の薄膜トランジスタを工程最高温度が600℃程度の低温工程で作成する場合、半導体薄膜2はソース・ドレイン領域の活性化を行う為に通常1000オングストローム以上の膜厚が必要とされる。図8は半導体薄膜2のチャンネル領域2Cの厚さとオン/オフ比の関係を示している。薄膜が50nm(500オングストローム)を越えると、オフ電流が急増する為、オン/オフ比が大きく劣化する。
【0004】
一方、従来構造の薄膜トランジスタを高温工程で作成する場合はソース・ドレイン領域の活性化を1000℃程度の高温で行う事ができるため、半導体膜2の膜厚を500オングストローム程度と薄くすることが可能となり、比較的高いオン/オフ比が確保され得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに従来の技術には以下に記するような課題がある。まず、従来構造の薄膜トランジスタを採用した場合、工程最高温度が1000℃以上の高温工程でしか自己整合型薄膜半導体装置を製造出来ない為、高価な溶融石英基板の使用が義務づけられ製品価格の高騰という問題がある。加えて、高温工程が故、基板のそり、ゆがみ等の変型が生じ、小型の石英基板以外は使用し得ず、大型化が困難であった。更に小型基板に高温工程で製造した場合であっても、ソース・ドレイン電極形成のコンタクト・ホール開穴の際、しばしば半導体薄膜2が基板から剥がれたり、電極形成後もコンタクト抵抗が大きくなり、トランジスタ特性を実質的に低下させてしまうなど、生産性を低める原因となり、安定的な大量生産が難しかった。
【0006】
一方、低温工程で従来構造の薄膜トランジスタを作成した場合、前述の如く、半導体膜の薄膜化が困難である為、オフ電流が高く、結果としてオン/オフ比の小さい薄膜トランジスタ以外製造し得ず、実用化に至っていない。
【0007】
本発明は上記の課題の解決を目指したもので、その目的とする所は、オン/オフ比の高い良好な薄膜トランジスタを安定的に製造し得る構造を有するMIS型電界効果トランジスタを構成する薄膜半導体装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも表面が絶縁性物質である基板の一方面上に、ドナーまたはアクセプタとなる不純物を含むソース領域及びドレイン領域と、前記ソース領域及び前記ドレイン領域を結ぶチャンネル領域とを構成する半導体膜と、少なくとも前記チャンネル領域を被覆するように配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極とを具備する薄膜半導体装置において、前記半導体膜は、少なくとも第1半導体膜と、前記第1半導体膜及び前記基板上に配置された第2半導体膜からなり、前記チャンネル領域内の前記半導体膜は、前記ソース領域と接する領域及び前記ドレイン領域と接する領域において、前記第1及び前記第2半導体膜からなる膜厚の厚い部位、並びに前記第1半導体膜のみからなる膜厚の薄い部位を有し、且つ、前記ソース領域と接する領域及び前記ドレイン領域と接する領域の間に位置する領域において、前記第2半導体膜のみからならなる膜厚の薄い部位を有し、前記ゲート電極は、前記膜厚の厚い部位、前記第1の半導体膜のみからなる前記膜厚の薄い部位、並びに前記第2半導体膜のみからなる前記膜厚の薄い部位に平面的に重なるように配置されてなり、前記チャンネル領域の幅は、前記ソース領域と接する領域及び前記ドレイン領域と接する領域よりも、前記ソース領域と接する領域及び前記ドレイン領域と接する領域の間に位置する領域の方が平面視して小さいことを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明による薄膜トランジスタは、チャネル領域の半導体薄膜において、一部が厚くされ、したがって他の薄い部分によって十分なオン/オフ比が確保される。そして、ソース領域およびドレイン領域が厚くされることで、添加された不純物の低温での十分な活性化が可能になる。
【0012】
【実施例】
以下、添付図面により本発明の実施例を説明するが、同一要素には同一符号を付すこととして、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は実施例に係る薄膜トランジスタの基本構成を示す断面図である。図示の通り、基板1には半導体薄膜2がパターン形成されているが、この半導体薄膜2はチャネル領域2Cの中央部分において薄く、ソース領域2Sおよびドレイン領域2Dとその近傍のチャネル領域2Cの両側部分において厚くされている。そして、ゲート電極4と整合してポリシリコンなどの半導体薄膜2にドナーまたはアクセプタとなる不純物がドーピングされている。
【0014】
この構造において、チャネル領域2Cの中央部の薄厚を500オングストローム以下とすると、十分なオン/オフ比が確保される。そして、イオン注入は厚い部分の半導体薄膜2にのみなされるので、600℃以下の低温による活性化をなし得る。また、ソース電極6Sおよびドレイン電極6Dのコンタクト部において半導体薄膜2が厚くされているので、コンタクトホール開穴時に半導体薄膜が剥れる問題を回避出来、またソース・ドレイン電極のコンタクトを良好にできる。次に、図2および図3を参照して、第1実施例の製造方法を説明する。なお、図2(a)〜(d)は図3(a)〜(d)の断面図である。まず、ガラス、セラミックスなどの板材11上に膜質の良好な絶縁膜12を形成し、これを基板1とする。次に、下側半導体薄膜21をポリシリコンで形成し、パターニングする (図2,3(a)参照)。ここで、堆積は温度600℃で減圧CVD法を用い、SiH4 の流量は11[SCCM]、シラン分圧は5.7mtorr、厚さは1500オングストロームとする。
【0015】
次に、下側半導体薄膜21と同一条件で上側半導体薄膜22を形成する。但し、その厚さは250オングストロームとし、パターニングにより薄膜トランジスタをなす半導体薄膜2を形成する(図2,3(b)参照)。
【0016】
次に、ECR−CVD法によりSiO2を堆積し、ゲート絶縁膜3を形成する。このとき、基板1の温度は100℃で、厚さは1500オングストロームとする。
【0017】
次に、減圧CVD法によりリン(P)をドープしたポリシリコンを、600℃で3000オングストロームの厚さに堆積し、次に常圧CVD法によりSiO2を300℃で1500オングストロームの厚さに堆積し、パターニングしてゲート電極4とキャップ絶縁膜41の2層構造を薄膜トランジスタのチャネル領域2C上に形成する。そして、この2層構造をマスクとして、質量分析器の付いたイオン注入装置を用いてリン(31P+)イオンを注入することにより、n型のドレイン領域2Dとソース領域2Sを形成する(図2,3(c)参照)。本実施例では31P+を110KeVで3×1015/cm2打ち込んだ。
【0018】
しかる後、N2ガスの雰囲気中で、600℃で2時間のアニールを行ない、不純物のドーピング部を活性化する。本実施例では、厚い半導体薄膜2の部分にのみ不純物がドーピングがされているので、活性化が容易であり、ソース領域2Sおよびドレイン領域2Dのシート抵抗は2,424オーム程度となる。
【0019】
次に、常圧CVD法により300℃でSiO2を5000オングストローム堆積し、層間絶縁膜5を形成する。そして、H2(水素)のドーピングを95KeVで2×1016/cm2の濃度で行ない、シリコンの未結合手を水素で終端する。そして、350℃で2時間の熱処理を行ない、コンタクトホールを形成して蒸着法やスパッタ法によりソース電極6Sおよびドレイン電極6Dを形成する(図2,3(d)図示)。
【0020】
この際、ソース領域およびドレイン領域の膜厚は1750オングストローム程度ある為、シリコン膜の剥れや電極とのコンタクト不良等の問題は全く生ぜぬように改善し得た。
【0021】
このようにして作製される自己整合型の薄膜トランジスタは、次のようなものである。
【0022】
長さ ;L=5+10+5μm
幅 ;W=10μm
移動度 ;μO=3.8cm2/V・sec
オン電流;ION=6.54×10−8A
オフ電流;IOFF=1.91×10−13A(VgS=−0.5V時)ここでチャンネル部の膜厚はソース領域側では1750オングストローム、中心部が250オングストローム、ドレイン領域側は1750オングストロームとなる。それぞれの長さは5μm、10μm、5μmで、チャンネル部全域の総計チャンネル長は20μmとなる。又、オン電流IONはソース・ドレイン電圧VdS=4V、ゲート電圧VgS=10Vでトランジスタをオンにした状態に於けるソース・ドレイン電流とした。更にオフ電流としてはソースドレイン電圧VdS=4Vでのソース・ドレイン電流の最小値を持って定義した。本実施例ではゲート電圧VgS=−0.5Vでオフ状態が得られた。
【0023】
この実施例が示す如く、本発明に限りばらつきの原因となった制御不能なレーザー照射等を行う事なく、低温工程でソース・ドレイン領域の活性化に成功し、更に、チャンネル部の中心付近の膜厚を250オングストロームと薄くした為、トランジスタ・オフ時に於けるリーク電流を十分低く抑えることが可能となった。これに依り、低温工程であっても、ゲート電圧10V程度の変調に対して、5.5桁ものオン/オフ比を有する自己整合型薄膜トランジスタが実現し得た。また、上側半導体薄膜22の平面形状については図3に代えて図4のようになっていてもよい。図4(a)〜(d)は図2(a)〜(d)に対応している。そして、図4(d)において、膜厚の厚い部位を含むチャンネル領域と化す部位の幅W1は、膜厚の薄いチャンネル領域と化す部位の幅W2よりも大きくなるようにパターニングされている。
【0024】
さらに、図5および図6のようになっていてもよい。ここで、図5(a)〜(e)の断面は図6(a)〜(e)の中心線での断面図である。まず、ガラス、セラミックスなどの板材11上に膜質の良好な絶縁膜12を形成し、これを基板1とする。次に、半導体薄膜21をポリシリコンで形成し、続いて後に薄い膜厚のチャンネル領域と化す部位と、その近傍から該半導体薄膜を除去するようにパターニングして、下側半導体薄膜21を形成する。
(図5,6(a)参照)。ここで、堆積は温度600℃で減圧CVD法を用い、SiH4の流量は11[SCCM]、シラン分圧は5.7mtorr、厚さは1500オングストロームとする。
【0025】
次に、下側半導体薄膜21と同一条件で上側半導体薄膜22を形成する。(図5,6(b)参照)但し、その厚さは250オングストロームとし、トランジスタ領域以外の下側半導体薄膜21と上側半導体薄膜22を除去するパターニングにより、薄膜トランジスタのソース・ドレインおよびチャネル領域をなす半導体薄膜2を形成する(図5,6(c)参照)。
【0026】
次に、ECR−CVD法によりSiO2を堆積し、ゲート絶縁膜3を形成する。このとき、基板1の温度は100℃で、厚さは1500オングストロームとする。
【0027】
次に、減圧CVD法により不純物としてリン(P)をドープしたポリシリコンを、600℃で3000オングストロームの厚さに堆積し、次に常圧CVD法によりSiO2を300℃で1500オングストロームの厚さに堆積し、パターニングしてゲート電極4とキャップ絶縁膜41の2層構造を薄膜トランジスタのチャネル領域2C上に形成する。そして、この2層構造をマスクとして、質量分析器の付いたイオン注入装置を用いてリン(31P+)イオンを注入することにより、n型のドレイン領域2Dとソース領域2Sを形成する(図5,6(d)参照)。本実施例では31P+を110KeVで3×1015/cm2打ち込んだ。
【0028】
しかる後、N2ガスの雰囲気中で、600℃で2時間のアニールを行ない、不純物のドーピング部を活性化する。本実施例では、厚い半導体薄膜2の部分にのみ不純物がドーピングがされているので、活性化が容易であり、ソース領域2Sおよびドレイン領域2Dのシート抵抗は2,424オーム程度となる。
【0029】
次に、常圧CVD法により300℃でSiO2を5000オングストローム堆積し、層間絶縁膜5を形成する。そして、H2(水素)のドーピングを95KeVで2×1016/cm2の濃度で行ない、シリコンの未結合手を水素で終端する。そして、350℃で2時間の熱処理を行ない、コンタクトホールを形成して蒸着法やスパッタ法によりソース電極6Sおよびドレイン電極6Dを形成する(図5,6(e)図示)。
【0030】
上記の第1実施例によれば、ガラス基板を用いた低温工程のみによって、特性のよい(オフ電流が低くオン電流の高い)nチャネル型の自己整合型薄膜トランジスタが得られる。また、本発明の構造を採用することにより、高温工程に於いても歩留りを向上させ、多くの薄膜トランジスタを安定的に製造することが可能となる。本実施例では下側半導体薄膜21の膜厚を1500オングストロームと厚くした為、オン/オフ比も5.5桁程度しかないが、下側半導体膜を300オングストローム程度迄薄膜化することで更に特性は大きく改善される。この事は後の別な実施例で示される。一般にソース・ドレイン領域の膜厚が500オングストローム程度以下であると、シリコン膜の剥れとか、コンタクト不良といった問題が生じる一方、チャンネル領域の膜厚が500オングストローム程度以上となるとオフ電流が増大しオン・オフ比が低くなる為(図8)、好ましくは、下側半導体膜と上側半導体膜の膜厚が其々250オングストローム程度で、結果として、ソース・ドレイン領域と膜厚の厚い部分のチャンネル領域の膜厚が500オングストローム程度、膜厚の薄い部分のチャンネル領域の膜厚が250オングストローム程度となるのが最良である。
【0031】
次に、第2実施例の製造工程を説明する。まず、温度が620℃、シラン分圧が7.53mtorrの条件でSiH4を17[SCCM]供給し、減圧CVD法により基板1上に1500オングストロームのポリシリコンの下側半導体薄膜21を形成し、パターニングする(図2,3,4(a)参照)。そして、同一条件下で250オングストロームの上側半導体薄膜22を形成し、パターニングする。これにより、薄膜トランジスタ用の半導体薄膜2が形成される(図2,3,4(b)参照)。
【0032】
次に、基板温度100℃でECR−CVD法によりSiO2のゲート絶縁膜3を1500オングストロームに形成する。しかる後に、原料ガスにSiH4 とPH3 を用い、減圧CVD法で3000オングストロームのドープドポリシリコンを600℃で形成し、次に常圧CVD法で300℃の条件とし、SiO2を1500オングストローム堆積する。そして、パターニングすることにより、図2,3,4(c)に示すゲート電極4とキャップ絶縁膜41の二重構造を得る。
【0033】
次に質量分析器の付いていない質量非分離型イオン注入装置を用いてリンイオンの注入を行い、ソース・ドレイン領域を形成した。本実施例では原料ガスとして水素中に希釈された5%濃度のフォスフィン(PH3)を用い、加速電圧110KVで3×1015/cm2の濃度でリンを添加した。次に、水素を3%含んだ還元性雰囲気で300℃、2時間の熱処理を施した。この時、ソース領域2S及びドレイン領域2Dのシート抵抗は3888Ω/□であった。従来、添加不純物元素の活性化には600℃程度以上の熱処理が必要であったが、質量非分離型イオン注入装置にて水素希釈されたフォスフィンを打ち込んだことにより、リン添加時に水素イオンも同時に添加されこの水素イオンにより、シリコン中未結合手が終端された。この為、n型シリコン中の電子の未結合手による散乱が抑制され、抵抗を低くすることが可能となった。加えて、ゲートSiO2中からの水素の離脱を少なくすることができ、後の水素ドーピング等の水素化処理を低減或いは省略することができる。一般に水素化処理はトランジスタのバラツキやロット間変動の大きな原因となっている為、本実施例により、水素化処理を低減または省略し得ることは、大量安定生産上かかせない技術的進展である。
【0034】
次に、常圧CVD法により300℃で5000オングストロームの層間絶縁膜5を形成し、90keV、1.2×1016/cm2のより低濃度、低電圧の水素注入を行ない、350℃、2時間の熱処理を行なう。そして、コンタクトホールを設けてソース電極6Sおよびドレイン電極6Dを形成する(図2,3,4(d)参照)。
【0035】
このように形成された薄膜トランジスタは、μO=4.82cm2/V・sec、ION=1.49×10−7A、IOFF=1.56×10−13A(VgS=1.0V時)であった。本実施例では、ソース領域2Sおよびドレイン領域2Dへの不純物注入時に水素も同時に注入しているので、より低温の処理が可能になる。また、シリコンの未結合手を終端させるための水素化の条件を緩和することができる。
【0036】
なお、上記の第2実施例のプロセスについても、薄膜トランジスタの構造は図4,5,6に示すものとすることができる。
【0037】
次に、第3実施例の製造方法を説明する。この場合には、下側半導体薄膜21は減圧CVD法で600℃、SiH4 の流量が13[SCCM]、その分圧が6.3mtorrの条件で1500オングストロームの厚さに形成され、上側半導体薄膜22は上記の条件で250オングストロームに形成される。以下のプロセスは、第2実施例と同じである。
【0038】
この場合には、ソース領域2Sおよびドレイン領域2Dのシート抵抗は2904オームとなり、薄膜トランジスタのμO=5.05cm2/V・sec、ION=3.41×10−7A、IOFF=1.04×10−12A(VdS=1.5V時)であった。第2実施例と比べると、半導体薄膜堆積時のシラン分圧を低めている為、工程最高温度が600℃とより低温であるにもかかわらず、オン電流が向上されている。
【0039】
次に、第4実施例の製造方法を説明する。この場合には、第2実施例と同様に下側半導体薄膜21、上側半導体薄膜22およびゲート絶縁膜3を形成する。そして、ゲート電極4は100〜200℃でのスパッタ法による2000オングストロームのクロム(Cr)膜とし、キャップ絶縁膜41は常圧CVD法による300℃、3000オングストロームのSiO2 とする。また、PH3 によるリンと水素のドーピングおよびその後の熱処理も第2実施例と同様とした後、常圧CVD法により300℃で5000オングストロームのSiO2 からなる層間絶縁膜5を形成する。そして、ソース電極6Sおよびドレイン電極6Dを形成する。このようにして得られた薄膜トランジスタは、ソース領域2Sおよびドレイン領域2Dのシート抵抗が2300オーム、μO =5.43cm2 /V・sec、ION=1.73×10−7A、IOFF =1.46×10−13 A(VgS=−3.2V時)であった。本実施例ではゲート電極をスパッター法により、クロムで作成し、更に本発明によるソース・ドレイン領域の形成を300℃の低温活性化により行っている為、ゲート絶縁膜形成後の熱工程の最高温度が300℃と低く押えることができた。この為ばらつきや変動の主原因である水素化処理を排除して尚、トランジスタ特性を向上せしめたのである。
【0040】
次に、第5実施例の製造方法を説明する。下側半導体薄膜21については、減圧CVD法により温度は570℃とし、SiH4 は100[SCCM]でシラン分圧を0.8mtorrとし、厚さは250オングストロームとする。次に、上側半導体薄膜22については同一条件で250オングストロームの厚さとし、ゲート絶縁膜3は第2実施例と同様にする。スパッタ法による2000オングストロームのITOを堆積後、キャップ絶縁膜41については、常圧CVD法により300℃で3500オングストロームのSiO2 とする。そして、PH3 によるリンと水素のドーピングを110keV、6×1015/cm2 で行ない、350℃で2時間の熱処理を行なう。このような低温処理によるソース領域2Sとドレイン領域2Dのシート抵抗は、4964オームであった。そして、第2実施例と同様に層間絶縁膜5とソース電極6Sおよびドレイン電極6Dを形成する。こうして得られた薄膜トランジスタはW=30μmでトランジスタ長Lがソース側とドレイン側の薄膜の厚いチャンネル部で其々5μm、中央の膜厚の薄い部分で5μmの総計15μmに対して、μ0 =13.6cm2 /V・sec、ION=1.68×10−6A、IOFF =2.66×10−13 A(VgS=OV)とゲート電圧10Vの変調でオン・オフ比が7桁近くとなるきわめて良好な薄膜トランジスタが作成された。これは前述の如く、下側半導体膜と上側半導体膜の膜厚が、其々250オングストロームと薄くし、これによりソース・ドレイン部では500オングストロームの膜厚を有し、又、チャンネル部の薄い膜厚が250オングストロームと極めて薄くできた為である。又、これは非質量分離型のイオン注入装置を用いて添加イオン種の水素化物を水素に希釈くして打ち込んだ為、低温活性化が可能となり、余分な熱工程を排除し得たためである。
【0041】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、本発明に係る薄膜トランジスタは、チャネル領域の半導体薄膜において、一部が厚くされ、したがって他の薄い(例えば500オングストローム以下)部分によって十分なオン/オフ比が確保される。そして、ソース領域およびドレイン領域が厚くされることで、低温での十分な活性化が可能になり、またコンタクトを良好にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る薄膜トランジスタの基本構造を示す断面図である。
【図2】実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図3】図2に対応する平面図である。
【図4】図2に対応する平面図である。
【図5】実施例に係る薄膜トランジスタの製造方法を示す断面図である。
【図6】図5に対応する平面図である。
【図7】従来の薄膜トランジスタの断面図である。
【図8】ポリシリコンの膜厚と薄膜トランジスタのオン/オフ比の関係を示す図である。
【符号の説明】
1…基板
2…半導体薄膜
2C…チャネル領域
2S…ソース領域
2D…ドレイン領域
21…下側半導体薄膜
22…上側半導体薄膜
3…ゲート絶縁膜
4…ゲート電極
41…キャップ絶縁膜
5…層間絶縁膜
6S…ソース電極
6D…ドレイン電極
Claims (1)
- 少なくとも表面が絶縁性物質である基板の一方面上に、ドナーまたはアクセプタとなる不純物を含むソース領域及びドレイン領域と、前記ソース領域及び前記ドレイン領域を結ぶチャンネル領域とを構成する半導体膜と、少なくとも前記チャンネル領域を被覆するように配置されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極とを具備する薄膜半導体装置において、
前記半導体膜は、少なくとも第1半導体膜と、前記第1半導体膜及び前記基板上に配置された第2半導体膜からなり、
前記チャンネル領域内の前記半導体膜は、前記ソース領域と接する領域及び前記ドレイン領域と接する領域において、前記第1及び前記第2半導体膜からなる膜厚の厚い部位、並びに前記第1半導体膜のみからなる膜厚の薄い部位を有し、且つ、前記ソース領域と接する領域及び前記ドレイン領域と接する領域の間に位置する領域において、前記第2半導体膜のみからならなる膜厚の薄い部位を有し、
前記ゲート電極は、前記膜厚の厚い部位、前記第1の半導体膜のみからなる前記膜厚の薄い部位、並びに前記第2半導体膜のみからなる前記膜厚の薄い部位に平面的に重なるように配置されてなり、
前記チャンネル領域の幅は、前記ソース領域と接する領域及び前記ドレイン領域と接する領域よりも、前記ソース領域と接する領域及び前記ドレイン領域と接する領域の間に位置する領域の方が平面視して小さいことを特徴とする薄膜半導体装置。
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