JP3572579B2 - ホタテの卵巣・精巣の加工方法及び加工食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホタテの卵巣・精巣の加工方法及びその加工食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホタテの卵巣および/あるいは精巣(以下、総称して「ホタテ子」と略す)は、活貝様すなわち生きているかあるいはそれに近い状態の高鮮度のものを刺身で食したり、煮付けて食するケースは一部でみられる。またすり身に混合して練り製品とする提案〔特開平6−90713号公報〕もあるが、それらの量はホタテ全体の産出量から見れば1%にも満たず、ほとんどは廃棄されているのが実状である。また、ホタテを殻ごとボイルしてから貝柱だけを商品とする「ボイルホタテ」の副産物として一部ホタテ子が市場に出ている例があるが、経済的効果を生み出さない程度の安い価格となっている。また、貝柱だけでなくホタテ子と耳とを除去せずに残した「ボイルホタテ」製品もみられるが、その割合は極めて少ない。このようにホタテ子の殆どは生産地で廃棄されるのが実状であり、廃棄処分は経済的にもまた環境保全の見地からも好ましくない。
【0003】
ホタテ子を加工食品とする試みもあるが、ホタテ子を食塩で漬けるとホタテ子からヌルヌルとしたゲル状物質が長期間にわたり流出し、味は生臭く、外観も食品として不向きな印象を与えるものであった。このようにホタテ子そのものを加工食品として完成させる製法はみあたらず、ホタテ子の大半は廃棄されていることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ホタテ子を、美味で外観の良い加工食品とすることによりホタテ子の有効利用を図り、環境保全に貢献し、新たな食文化を創出し、併せて経済的価値を高めることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、生のホタテ子に調味料および/あるいは糖類を加えて漬けることにより塩漬けでみられるようなゲル状物質の流出が少なく抑えられ、かつヌルヌル感がなく、かつ生臭さも消えることを見出し本発明をなすに至った。
【0006】
すなわち、請求項1の発明はホタテの卵巣・精巣の加工方法であり、生のホタテから採取した卵巣および/あるいは精巣に、糖類、あるいは糖類に酢、味醂、酒、香辛料、麹から選ばれる一種以上の調味料を加えて漬け、にじみ出た液を分離しつつ熟成することを特徴とする。
【0007】
請求項2は請求項1記載のホタテの卵巣・精巣の加工方法であり、糖類がソルビットであることを特徴としている。
【0008】
請求項3はホタテの卵巣・精巣の加工食品であり、請求項1、又は2記載の方法により製造されるものであることを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてその詳細に説明する。
【0010】
本発明は、生のホタテ子に調味料および/あるいは糖類を加えて漬け、それを熟成させるホタテ子の加工方法、さらに該加工方法により製造したホタテ子の加工食品である。
【0011】
まずホタテ子に糖類、あるいは糖類に調味料を加えて漬ける(前処理段階)。この段階で用いられる調味料は、酢、味醂、酒、香辛料、麹から選ばれる一種以上であり、塩、あるいは塩分が50%以上の調味料は不適当である。糖類は、単糖類、多糖類などいずれでもよく、例えばソルビット、トレハロース、ぶどう糖、果糖、マルトース、みずあめ、砂糖、乳糖、マルトデキストリンなどが挙げられる。これのうちソルビットが最も好ましく使用される。調味料および/あるいは糖類の形態は特に限定するものではないが、ホタテ子に均一に接触し味覚がよくなること、処理に際し余分の水が入らないこと、さらに作業性を考慮すると粉末状あるいは液状のものが好ましい。
【0012】
糖類、あるいは糖類と調味料の添加量は、調味料、糖類の種類により異なり一律に決められないが、例えばソルビットの場合には水切りしたホタテ子に対し0.1〜100重量%、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜15重量%である。
【0013】
糖類、あるいは糖類と調味料を加えたホタテ子は、次いで熟成される(熟成段階)。熟成時間は、熟成温度により変わるが、例えばマイナス5℃〜プラス30℃の温度で5〜6時間置いて、冷暗所にて一昼夜程度置く。熟成を行う過程で液がにじみ出るので、熟成の途中で随時水切りを行いつつ熟成する。にじみ出た液の分離は、ホタテ子を痛めないようにすることが望まれ、具体的にはざる状の有孔容器を用いるのがよい。熟成時間はこれより長く熟成しても特に弊害がないが、過度な熟成は逆に味覚を悪くすることがある。また、にじみ出た液の中に必要以上に長時間置くことは、生臭さを残し味覚を悪くする原因となることがある。この段階を終了したホタテ子を容器に詰めて出荷することもあり、さらに次の調味段階を加えてから出荷することもある。熟成段階で製品化された製品は、消費者がそれぞれの好みにより味付けをして食することとなる。
【0014】
次いで、必要により熟成した該ホタテ子に調味料を加える(調味段階)。このとき調味料は、その形態に応じてまぶす、浸す、注入する、圧入するなどの手段で加えられる。また漬ける前に少量の水あるいは調味料を含んだ水で軽くすすいでも良い。調味料の種類、量は味覚の観点から選ばれるものであり、本発明で規定するものではないが、水産加工品用の調味料として従来から公知のものを単独で、あるいは複数組み合せて適宜使用できる。ここに加えられる調味料は、例えば塩、醤油、酢、味醂、酒、味噌、香辛料、うまみ調味料、甘味料、麹などが挙げられる。また、調味料にはさらに胡麻、昆布等の風味や食感の良い食材を添加しても良い。調味段階での温度は、本発明で限定するものではないが、例えばマイナス5℃〜プラス120℃で任意に選ばれる。
【0015】
調味段階を終った後、ホタテ子は容器に詰められ、出荷される。熟成段階で出荷される製品、および調味段階を経て出荷される製品は、後者の場合は調味段階の処理条件にも依るが、常温では日持ちが悪いので、冷凍状態で保管するのが望ましい。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0017】
以下の操作によりホタテ子加工食品を製造した。
(1)生のホタテ貝から身を採り、身を耳、貝柱、ホタテ子に分類した。
(2)ホタテ子を清水で洗い、ざるに載せ水切りした。
(3)ホタテ子を大きさに応じて適宜2〜3つに切り分けた。
(4)粉末ソルビットを水切りしたホタテ子に対し10重量%の割合でまぶし混合し、途中水切りをしながら6時間漬けた。(前処理段階)
(5)上記ホタテ子から余分な水分を除去した後、0℃にて一昼夜熟成させた。(熟成段階)。
(6)熟成したホタテ子に、塩、味醂、香辛料、甘味料からなる調味料を加え、混合して約二昼夜漬した(調味段階)。
(7)容器に詰め冷凍状態で保管、出荷した。
【0018】
本発明の加工方法によって加工したホタテ子は、内部から液分が滲み出すと同時に糖類、調味料の成分が内部に浸透して、いわゆる「しめる」あるいは「漬ける」状態になり、味と保存性とが向上した。また、ゲル状物質の流出は、食塩で漬けたときのように長期間にわたることがなく、一定量に抑えられ、かつ漬けた後の外観は非常に良好であった。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ホタテ子を簡便に加工でき、美味で外観の良いホタテ子の加工食品が得られる。これにより、ホタテ子に経済的付加価値を与えると共に、新たな食文化を創出するばかりでなく、環境保全にも貢献でき、その意義は大きい。
Claims (3)
- 生のホタテから採取した卵巣および/あるいは精巣に、糖類、あるいは糖類に酢、味醂、酒、香辛料、麹から選ばれる一種以上の調味料を加えて漬け、にじみ出た液を分離しつつ熟成することを特徴とするホタテの卵巣・精巣の加工方法。
- 糖類がソルビットであることを特徴とする請求項1記載のホタテの卵巣・精巣の加工方法。
- 請求項1又は2記載の方法により製造されることを特徴とするホタテの卵巣・精巣の加工食品。
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