JP3570866B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、光ディスク用の基板などの基板に対してフォトレジスト液や現像液や純水などの処理液を供給することで、レジスト塗布や現像処理や基板洗浄等の処理を行う基板処理装置に係り、特に処理液供給ノズルやブラシ等の処理具を保持する保持アームを収納する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来の基板処理装置として、基板である例えば半導体ウエハに対してレジストを供給してレジスト塗布を行うレジスト塗布装置を例にとって説明する。従来の代表的なレジスト塗布装置として図13や図14に示すように、大きく分けて2種類のレジスト塗布装置がある。図13、図14はレジスト塗布装置の主要部であるレジスト塗布を行うレジスト塗布処理部の概略構成を示す平面図である。
【0003】
まず、図13を参照して第1のレジスト塗布装置について説明する。図13中、符号1は処理の対象であるウエハWを回転可能に支持するためのスピンチャックである。ウエハWの周囲は、レジストの飛散を防止するための飛散防止カップ2によって囲われている。この飛散防止カップ2の側方の待機位置には、ウエハWに対してレジストを供給するための処理液供給ノズルNa〜Ndを先端部に保持する、長さが異なる例えば4本の保持アームA〜Dが配備されている。これらの4本の保持アームA〜Dは、飛散防止カップ2に近づくにつれて、長さの短い保持アームが位置するように並列的に配備される。また、各保持アームA〜Dは、基端部Pa〜Pdを中心として水平面内で揺動自在に取り付けられている。
【0004】
これら4本の保持アームA〜Dのうちの所望の保持アーム、例えば、保持アームBは、次のように動作する。まず、待機位置にある保持アームBが移動高さにまで上昇する。上昇した保持アームBは水平面内で揺動し、その先端部に保持されている処理液供給ノズルNbがウエハWの回転中心付近の上方に移動する。次いで、保持アームBが下降して、処理液供給ノズルNbがレジスト吐出位置にまで下がる。その吐出位置で処理液供給ノズルNbから所定量のレジストがウエハWに供給される。レジストの供給が完了すると、ウエハWが高速回転駆動され、その表面に均一なレジスト膜が形成される。その後、保持アームBは、移動高さにまで上昇し、続いて待機位置側に揺動復帰し、さらに待機位置にまで下降することにより、一連の処理を終了する。
【0005】
次に、図14を参照して第2のレジスト塗布装置について説明する。飛散防止カップ2の側方の待機位置には、同じ長さの例えば4本の保持アームA〜Dが配備され、各保持アームA〜Dの先端部に処理液供給ノズルNa〜Ndが保持されている。これらの4本の保持アームA〜Dは、各保持アームA〜Dの先端部がスピンチャック1側に向かうように並列に配備されている。これらの保持アームA〜Dは、一軸駆動機構91に載置されている。この一軸駆動機構91は、各保持アームA〜Dの長手方向に直角な方向にスライド移動自在である。また、各保持アームA〜Dは、各長手方向に向けてスライド移動自在に構成されている。
【0006】
これら4本の保持アームA〜Dのうちの所望の保持アーム、例えば、保持アームDは、次のように動作する。まず、一軸駆動機構91がスライド移動することによって保持アームDがスピンチャック1の回転中心線上に移動する。続いて、待機位置にある保持アームDが長手方向にスライド移動して、処理液供給ノズルNdがウエハWの回転中心付近の上方にある吐出位置まで移動する。その吐出位置で処理液供給ノズルNdから所定量のレジストがウエハWに供給される。レジストの供給が完了すると、ウエハWが高速回転駆動され、その表面に均一なレジスト膜が形成される。その後、保持アームDは、吐出位置から待機位置にスライド復帰して、一連の処理を終了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
上述した2つの従来装置のいずれも、飛散防止カップ2で囲われた基板処理領域の傍らに設けられた待機スペースに、保持アームを水平姿勢で待機させているので、基板処理装置における待機スペースの占有面積が大きくなるという問題点がある。特に、近年の半導体ウエハの大型化に伴い、保持アームの長さも伸ばさなくてはならないで、このような長い保持アームを待機させておくスペースも長大化する傾向にある。また、処理の効率化や複数種類の処理液などの使用に伴い、1台の装置で多数の処理具を選択使用することが求められているので、これらの処理具を個々に保持する保持アームの個数も増加の傾向にあり、このことも待機スペースが大きくなる要因になっている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、保持アームの待機スペースの縮小化を図ることができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、所定の基板処理領域にある基板に対して処理を行う基板処理装置において、基板に対して処理を行う処理具を先端部に保持した保持アームと、基板に対して処理を行わないときに、前記保持アームを基板処理領域から外れた待機位置にほぼ起立姿勢で待機させる一方、基板に対して処理を行うときに、処理具が基板に対する処理位置に来るように、前記保持アームをほぼ横臥姿勢に変位させるアーム駆動手段とを備え、前記アーム駆動手段は、基板に対して処理を行わないときに、前記保持アームを基板処理領域の側方に設定された待機位置にほぼ起立姿勢で待機させる一方、基板に対して処理を行うときに、待機位置にある前記保持アームを上昇変位させるとともに、揺動変位させることによって、処理具が基板に対する処理位置に来るように、前記保持アームをほぼ横臥姿勢に変位させることを特徴とするものである。
【0010】
(削除)
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置において、
前記アーム駆動手段は、前記保持アームの揺動変位を許容するように保持アームの基端部に係合して、保持アームを昇降させる昇降駆動手段と、待機位置にある保持アームに並設され、保持アームをほぼ起立姿勢からほぼ横臥姿勢へと案内するために、ほぼ上下方向に延びるカム溝が形成された保持アーム案内部材と、前記保持アームの基端部側で前記保持アームの揺動変位の中心から外れた位置に取付けられ、前記カム溝に沿って変位するカムホロアとから構成されているものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置において、前記保持アームに対する前記処理具の取付け角度を、保持アームの姿勢変化に連動して変化させる処理具姿勢制御手段を備えたものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の基板処理装置において、前記処理具は、基板処理領域にある基板に対して処理液を供給する処理液供給ノズルである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の基板処理装置において、前記処理具は、基板処理領域にある基板に対して洗浄処理を行う洗浄ブラシである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の基板処理装置において、前記処理具姿勢制御手段は、前記処理具を保持アームに対して回転可能に支持する回転支持機構と、前記回転支持機構に連動連結された第1のプーリと、前記保持アームの基端側の揺動軸に固定設置された第2のプーリと、前記第1のプーリと第2のプーリとの間に架け渡された無端状ベルトとから構成されるものである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の基板処理装置において、前記第1のプーリと第2のプーリとが同径に形成されるものである。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の基板処理装置において、前記回転支持機構は、磁性流体によってシールされるものである。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の基板処理装置において、前記保持アームを複数個備え、これらの保持アームが基板処理領域の近傍に一列状に配置されるものである。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の基板処理装置において、前記複数個の保持アームの中から任意の保持アームを選択する選択手段と、前記選択手段によって選択された保持アームを、処理を行わないときの起立姿勢から、処理を行うときの横臥姿勢へ変位させる単一の前記アーム駆動手段とを備えたものである。
【0020】
【作用】
請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。
基板に対して処理を行わないときに、先端部に処理具を保持する保持アームは、基板処理領域から外れた場所で、ほぼ起立姿勢で待機するので、保持アームの待機スペースの占有面積を小さくすることができる。一方、処理を行うときに、保持アームの先端部の処理具が、基板に対する処理位置に来るようにするために、アーム駆動手段が、起立姿勢の保持アームをほぼ横臥姿勢にまで変位させ、その横臥姿勢で基板に対する処理を行う。
【0021】
また、請求項1に記載の発明によれば、保持アームを基板処理領域の側方の待機位置にほぼ起立姿勢で待機させるので、保持アームの待機スペースの占有面積を小さくすることができるとともに、占有高さも低くすることができる。一方、基板に対して処理を行うときには、アーム駆動手段が、保持アームを上昇しつつ揺動させることにより、保持アームをほぼ横臥姿勢に変位させる。
【0022】
請求項2に記載の発明の作用は次のとおりである。
昇降駆動手段が保持アームを下限位置にまで下降させている状態、すなわち待機状態では、保持アームの基端部側に取り付けられたカムホロアが、カム溝の下側に位置している。この状態では保持アームの先端部が持ち上げられて、保持アームはほぼ起立姿勢をとる。一方、基板に対して処理を行うときは、昇降駆動手段が保持アームを昇降駆動する。その結果、カムホロアがカム溝に沿って上昇移動し、保持アームの基端側が持ち上げられることにより、保持アームの先端側が前倒れに傾斜してゆく。カムホロアがカム溝の上限位置にまで達すると、保持アームはほぼ横臥姿勢をとり、この状態で基板に対する処理を行う。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、処理具姿勢制御手段が、保持アームの姿勢変化に連動させて、保持アームに保持された処理具の姿勢を変化させるので、容易に処理具の姿勢を制御できる。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、保持アームが横臥姿勢にあるとき、前記処理具としての処理液供給ノズルから、基板に対して処理液が供給される。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、保持アームが横臥姿勢にあるとき、前記処理具としての洗浄ブラシによって、基板が洗浄される。
【0026】
請求項6に記載の発明の作用は次のとおりである。
例えば起立姿勢にある保持アームが横臥姿勢へと次第に変位していった場合、保持アームの基端部側の揺動軸に固定設置された第2のプーリは回転変位しないので、保持アームと第2のプーリとの間に相対的な回転変位が生じる。例えば、保持アームが揺動軸を中心に左周りに揺動変位すると、第2のプーリは保持アームに対して相対的に右周りに回転変位する。第2のプーリの相対的な回転変位量が無端状ベルトを介して第1のプーリに伝達される。その結果、第1のプーリは第2のプーリと同方向、すなわち保持アームの揺動変位とは逆方向に回転変位する。この第1のプーリの回転変位量が回転支持機構を介して処理具に伝達される結果、処理具は保持アームの揺動変位の方向とは逆方向に揺動変位して、その姿勢が制御される。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、第1のプーリと第2のプーリとの径を同じにしているので、保持アームが揺動変位すると、処理具は逆方向に同じ角度だけ揺動変位する。その結果、保持アームの姿勢にかかわらず処理具の姿勢を常に一定に保つことができる。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、回転支持機構は、磁性流体によってシールされるので、回転支持機構から発生するゴミ等が、基板上に落ちない。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、複数個の保持アームが一列状に配置されているので、複数種類の処理具を備えることができる。
【0030】
請求項10に記載の発明によれば、選択手段が複数個の保持アームの中から任意の保持アームを選択すると、この選択された保持アームを単一のアーム駆動手段が駆動することにより、その保持アームを待機時の起立姿勢から基板処理時の横臥姿勢に変位させる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の第1実施例に係る基板処理装置の要部の概略構成を示す側面図であり、図2はその平面図である。以下、この実施例では、基板処理装置の一例である、ウエハにレジストを塗布するレジスト塗布装置について説明する。
【0032】
この実施例に係るレジスト塗布装置は、大きく分けて、ウエハWに供給されたレジストを遠心力によってウエハWの塗布面全体に薄く均一な膜厚に塗り拡げるための回転処理機構と、ウエハWにレジストを供給するためのレジスト供給機構とを備える。以下、主にこれら2つの機構について図面を参照しながら各構成を説明する。
【0033】
図2中、符号20は、上述した回転処理機構とレジスト供給機構とが配置された領域を示す。この領域20は、飛散防止カップ2で囲われた基板処理領域と、この基板処理領域以外の領域で、扇形テーブル10が配備されているアーム待機領域とに分けられる。この基板処理領域には回転処理機構が配置されている。また、アーム待機領域にはレジスト供給機構が配置されている。
【0034】
回転処理機構は次のように構成されている。
飛散防止カップ2で囲われた基板処理領域には、基板であるウエハWを一体回転可能に吸着保持するスピンチャック1が配置されている。このスピンチャック1は、図1に示すように支持台5に固設された電動モータ3の駆動によって鉛直方向の軸芯周りで回転する回転軸4の上端に取り付けられている。また、飛散防止カップ2は、レジストが供給されたウエハWを高速で回転させた際、このウエハWから飛び出した余分なレジストが、周囲に飛び散るのを防止するためのものである。なお、この飛散防止カップ2には、ウエハWから飛び出した余分なレジストを廃液として回収する図示しない廃液回収構造が設けられている。さらに、この飛散防止カップ2は、図示しない昇降機構によって昇降自在に取り付けられている。なお、本実施例では、スピンチャック1を真空吸着式のものとしているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、チャック上に複数個の爪を設け、これらの爪でウエハWの端面を把持するように構成してもよい。
【0035】
レジスト供給機構は次のように構成されている。
基板処理領域以外の領域であるアーム待機領域には、図1に示すように支持台5に固設された2軸駆動機構11によって扇形テーブル10が、平面内で直交する2方向に移動自在に取付けられている。この扇形テーブル10には、本発明の処理具に相当する処理液供給ノズル6(以下、「ノズル6」と呼ぶ)を先端部に備える保持アーム7を、起立姿勢と横臥姿勢とに変位させるためのアーム駆動手段であるアーム駆動機構10Aが例えば5セット配置されている。また、これらのアーム駆動機構10Aは、図2に示すように扇形テーブル10上に、スピンチャック1の回転中心を中心とする円弧状に配置されているとともに、各保持アーム7の先端部に備えられたノズル6は、全て回転中心に向くように配置されている。なお、これら保持アーム7とアーム駆動機構10Aは、5セットに限定するものではなく、その設置個数は任意に設定することができる。
【0036】
2軸駆動機構11は、支持台5に固設される駆動系支持部材11aと、この駆動系支持部材11aに対して、X方向に移動自在に取付けられるX方向用部材11bと、このX方向用部材11b上に取付けられ、X方向に直交するY方向に移動自在なY方向用部材11cとで構成されている。また、X方向用部材11bは、X方向用部材11bをX方向の任意の位置に移動可能させるためのX軸モータ12aを備え、このX軸モータ12aの回転力が図示しない螺子送り機構を介してX方向用部材11bに伝えられるようになっている。Y方向用部材11cも同様にして構成されるが、Y軸モータ12bは、X軸モータ12aと直交する方向に取付けられている。このY方向用部材11cの上面には、扇形テーブル10が一体移動可能に取付けられている。
【0037】
これらX軸モータ12aとY軸モータ12bには、図示しないモータ制御装置からの命令によって、任意の回転方向に回転することができる構成となっている。例えば、X軸モータ12aを時計回りに回転駆動させると、扇形テーブル10は、図2における左方向(−X方向)に移動する。さらに、Y軸モータ12bを時計回りに回転駆動させると、扇形テーブル10は、図2における下方向(−Y方向)に移動させることができる。したがって、扇形テーブル10のX、Y方向の動きに連動する後述するノズル6の位置を、任意の位置に移動させることができる。
【0038】
上述したように、扇形テーブル10には、保持アーム7を起立姿勢から横臥姿勢に、または、横臥姿勢から起立姿勢に変位させるためのアーム駆動機構10Aが5セット載置されている。これらのアーム駆動機構10Aの配置は、上述した通りである。さらに、保持アーム7が起立姿勢で待機しているときに、保持アーム7の先端部に保持されているノズル6のレジストを吐出するための吐出口がレジストの凝固によって目詰まりを起こさないようにするための待機ポット14も扇形テーブル10上に配備されている。この待機ポット14内には、レジストが凝固しないようにするための溶剤雰囲気が形成されている。
【0039】
アーム駆動機構10Aは、保持アーム7の基端部側の揺動変位の中心から外れた位置に設けられたカムホロア7bと、このカムホロア7bを受けるカム溝13aが形成された保持アーム案内部材13と、保持アーム7の基端部側に設けられたアーム揺動軸7aで保持アーム7を揺動変位可能に支持するアーム支持部材9と、このアーム支持部材9を昇降駆動にする昇降機構であるエアシリンダ8とで構成される。なお、このアーム支持部材9とエアシリンダ8は、本発明における昇降駆動手段に相当する。
【0040】
アーム駆動機構10Aによって保持アーム7が、待機状態の起立姿勢から基板処理時の横臥姿勢に変位する動作およびアーム駆動機構10Aの各部の構成を図3を参照して説明する。図3(a)は、保持アーム7の待機状態を示している。この状態でエアシリンダ8のロッドは収縮しており、カムホロア7bはカム溝13aの下限位置にある。結果、揺動軸7aを挟んでカムホロア7bとは反対側にある保持アーム7の先端部が持ち上げられて、保持アーム7は起立姿勢で静止している。図1中に実線で示したように、起立姿勢の保持アーム7は飛散防止カップ2の側方に位置しているので、起立姿勢の保持アーム7の先端部の高さは比較的に低く抑えられる。仮に、保持アーム7を飛散防止カップ2と同じ高さ位置で起立姿勢にすると、保持アーム7の先端部の高さは相当に高くなり、その分、レジスト塗布装置の高さが高くなったり、他の機構部分の配置が制限されるなどの不都合が生じる。
【0041】
図3(b)は保持アーム7の上昇過程を示している。エアシリンダ8に図示しないエア制御装置からエアが送られてくると、エアシリンダ8のロッドが伸長して、アーム支持部材9を押し上げる。このアーム支持部材9と一体となって保持アーム7が上昇する。ここで、保持アーム案内部材13に形成されているカム溝13aは、保持アーム案内部材13の上下端部付近では直線形状であり、中間部では基板処理領域から遠ざかるように滑らかに傾斜変化している。したがって、この実施例でのカム溝13aの傾斜部におけるカムホロア7bには、傾斜方向、すなわち図3(b)における右方向の力が加わるので、保持アーム7は、アーム支持部材9の上昇とともに、揺動軸7aを中心として、左回りに揺動変位する。
【0042】
図3(c)は基板処理時の横臥姿勢を示している。エアシリンダ8のロッドが伸長して、カムホロア7bがカム溝13aの上限位置に達すると、保持アーム7は横臥姿勢となる。このカム溝13aの上限位置が、ノズル6が基板に対して最も近づく位置となるので、この位置は、ウエハWより高く設定されている。ノズル6がレジスト吐出位置まで来たら、エアシリンダ8の上昇を終了させる。以上が保持アーム7の姿勢変位である。逆に、保持アーム7を横臥姿勢から起立姿勢に変位させる場合は、エアシリンダ8のロッドを収縮させることによって、アーム支持部材9を下降させればよい。
【0043】
なお、本発明において、カム溝の形状や、揺動中心とカムホロアの位置関係は上述した実施例のものに限定されない。例えば、カム溝は直線傾斜するものや、本実施例と対象なカム溝の形状であってもよく、保持アームの動作時に干渉する可能性のある他の構成要素を回避することができるように、カム溝の形状や揺動中心とカムホロアの位置を設定すればよい。さらに、この実施例では、保持アーム7の起立姿勢を垂直にし、横臥姿勢を水平にしているが、この発明は、これに限定するものではない。例えば、待機時には、飛散防止カップ2の側方に保持アーム7を傾斜した起立姿勢で待機させてもよい。また、処理時には、保持アームの先端部または基端部を持ち上げたような傾斜した横臥姿勢にしてもよい。
【0044】
上述したように、保持アーム7は、ウエハWに対してレジストを供給するための処理液供給ノズル(ノズル6)を先端部に備えている。このノズル6は、保持アーム7の姿勢の変化に伴って、保持アーム7とノズル6との相対角度を変化させることができる。この実施例において、処理具姿勢制御手段であるノズル姿勢制御機構によってノズル6の姿勢は、保持アーム7の姿勢の変化にかかわらず常に一定の姿勢を保つことができる構成となっている。
【0045】
ノズル姿勢制御機構は、図4及び図5に示すように保持アーム7の内部に収納されている。ノズル6はベアリング51に挿通された軸6aを介して、保持アーム7に回転可能に支持しされている。ベアリング51および軸6aは本発明における回転支持機構に相当する。第1のプーリ41は軸6aに連動連結されている。第2のプーリ40は、アーム支持部材9に連結固定されている、保持アーム7の基端部の揺動軸7aに固定設置されている。第1のプーリ41と第2のプーリ40との間に歯付き無端状ベルト42が架け渡されている。また、ノズル6と第1のプーリ41とを連結している軸6aと、この軸6aが挿入されている保持アーム7との隙間は、磁場に感応する液体である磁性流体52によってシールされている。この磁性流体52は、図示しない磁気回路によって軸6aと保持アーム7との隙間に形成される磁場によって保持されている。この実施例では、ノズル6を保持アーム7の揺動変位角と同じ角度だけ逆方向に変位させるために、第1のプーリと第2のプーリとを同一の径としてある。また、保持アーム7が起立姿勢または横臥姿勢をとるときにノズル6の先端部が下向きになるように設定されている。
【0046】
第2のプーリ40は、アーム支持部材9に固定されているので、保持アーム7の姿勢変化にかかわらず常に静止状態である。ノズル6と連結連動された第1のプーリ41は、保持アーム7に回転可能に取付けられているので、無端状ベルト42の動きに連動させることができる。したがって、保持アーム7が、例えば起き上がると、保持アーム7と第2のプーリ40との間に相対的な回転変位が生じる。この相対的な回転変位を補うために、無端状ベルト42が第2のプーリ40の周囲を廻ろうとするが、第2のプーリ40は固定されているので、この回転運動が第1のプーリ41に伝わる。第1のプーリ41は、保持アーム7の起き上がり方向と逆の方向に回転動作する。つまり、ノズル6の先端部は、保持アーム7の姿勢変化にかかわらず、常に一定方向に向けることができる。なお、この発明では、第1のプーリ41と第2のプーリ40とを同径とすることで、ノズル6が常に一定方向に向くようにしたが、これに限定するものではない。例えば、両プーリの径を異なるものにすることで、保持アーム7が起立姿勢のときのノズル6の先端方向と、横臥姿勢のときのノズル6の先端方向とを自在に変えることができる。
【0047】
なお、この実施例においては、ノズル姿勢制御機構を第1のプーリ41と第2のプーリ40との間に歯付き無端状ベルト42を架け渡すことにより両プーリ間で回転の伝達が行われるように構成しているが、それに限られるものではなく、例えばベルトを設ける代わりに両プーリにそれぞれ軸6aと同一の軸向きに軸をベアリングを介してはめ込み、それぞれの軸を連結棒にて連結してリンク機構を構成することにより、両プーリ間に回転が伝達されるようにすることもできる。
【0000】
ノズル6は、先端部にレジストを吐出するための下方に向いた吐出口を備えているとともに、レジストをノズル6に供給するレジスト供給ライン15に繋がれている。このレジスト供給ライン15の他端は、図示しないレジスト供給タンクに繋がれている。このレジスト供給タンクからレジスト供給ライン15を通じてレジストがノズル6に送られ、ノズル6の先端の吐出口からウエハWに向けて吐出される。
【0048】
以下、本実施例に係るレジスト塗布装置の一連の動作について説明する。
ウエハWは、図示しないウエハ搬送機構によって、ウエハ収納キャリアから搬出され、レジスト塗布装置の領域20に搬入される。なお、この領域20に搬入されるまでに、ウエハWは、ウエハWのレジスト塗布面に対する前処理であるHMDS処理やベーク処理等を行う処理工程を通過してきている。
【0049】
ここから、レジスト塗布処理が開始される。この搬入されたウエハWは、スピンチャック1の回転中心にウエハWの中心がほぼ一致するように、スピンチャック1に置かれる。このウエハWをスピンチャック1が吸着保持する。ウエハWが吸着保持されると飛散防止カップ2は、所定の高さであるウエハWを囲い込む高さまで、図示しない上昇機構によって上昇する。
【0050】
飛散防止カップ2が上昇すると、エアシリンダ8がアーム支持部材9を押し上げ始める。アーム支持部材9の上昇に伴ってカムホロア7bがカム溝13aを上昇変位することにより、保持アーム7は、起立姿勢から横臥姿勢に向けて姿勢変位を始める(図3(b)参照)。このとき、保持アーム7に保持されているノズル6の先端部は、待機ポット14から引き上げられる。エアシリンダ8によるアーム支持部材9の押し上げが終了した時点で、保持アーム7は所定の横臥姿勢となる(図3(c)参照)。なお、この所定の横臥姿勢とは、保持アーム7に保持されたノズル6が、ウエハWに対してレジストを吐出するための位置(処理位置)に来たときの保持アーム7の姿勢をいう。
【0051】
レジスト吐出位置においてノズル6の先端部からレジストが、ウエハWに供給される。レジストの供給が終わると、電動モータ3によってスピンチャック1を高速で回転させる。このスピンチャック1に保持されたウエハWも高速で回転するので、ウエハW上のレジストは、遠心力によって薄く均一に拡げられる。この時、ウエハWから飛び出す余分なレジストは、飛散防止カップ2によって回収される。このウエハWを回転させている間に、エアシリンダ8は、アーム支持部材9を引き下げることで、保持アーム7を横臥姿勢から起立姿勢に変位させる。これにより、ノズル6は吐出位置から移動して、待機位置にある待機ポット14に収納される。
【0052】
上記ウエハWの回転が終了すると、飛散防止カップ2は図示しない昇降機構によって下降し、レジスト塗布後のウエハWは、搬送機構によって領域20から搬出される。この搬出されたウエハWは、後処理であるベーク処理などの処理工程に送られる。上述した処理を繰り返し行うことで、所定枚数のウエハを処理することができる。なお、異なるレジストを塗布する場合のように、先に使用した保持アーム7とは別の保持アーム7を連続して使用するときには、先に使用した保持アーム7を起立姿勢にするとともに、別の保持アーム7を横臥姿勢にすればよい。このとき、保持アーム同士が干渉しないように姿勢変位のタイミングを制御する。
【0053】
ところで、複数個の保持アーム7を選択的に使用した場合、機械的な誤差などのために、基板処理時の横臥姿勢の状態で各保持アーム7に保持されたノズル6が、全て同じ位置に来るとは限らない。また、ノズル6の種類によっては、吐出位置を積極的に変えることが望ましい場合もある。このような場合は、図1中に示した2軸駆動機構11によって扇形テーブル10を変位させて、各保持アーム7ごとにノズル6の吐出位置を適当な位置に調整すればよい。なお、待機ポット14は扇形テーブル10上に支持されているので、扇形テーブル10を変位させても、待機状態(起立姿勢)におけるノズル6と待機ポット14との位置関係は不変である。したがって、待機状態において、各保持アーム6のノズル6を各々の待機ポット14内に正確に収納することができる。
【0054】
上述したレジスト塗布装置は、複数個の保持アーム7を円弧状に配列するとともに、各保持アーム7は、待機時には基板処理領域の側方に起立姿勢で待機し、処理時には待機位置から上昇しながら序々に姿勢を倒しながら横臥姿勢になる。したがって、保持アーム7の待機時における待機スペースを縮小することができ、また、起立姿勢または横臥姿勢に変位させるときに必要な高さを低くすることができるので、装置の設置面積を小さくすることができる。
【0055】
本発明は、以下のように変形実施することも可能である。
【0056】
(1)上記実施例では、アーム保持部材9を昇降させるために、昇降駆動手段であるエアシリンダ8を設けたが、このエアシリンダ8の代わりに、電動モータと螺子送り機構によって構成してもよい。このような構成にすれば、保持アーム7を横臥姿勢にするためにアーム保持部材9が必要とする高さを低くすることができる。また、螺子送り機構の特定の位置でアーム保持部材9を止めることで、保持アーム7を任意の姿勢で処理あるいは待機させておくことができる。
【0057】
例えば、図6に示すように、アーム支持部材9aに螺軸61を通して、この螺軸61を電動モータ60により一体回転可能に取付ける構成にする。図示しないモータ制御手段によって電動モータ60を回転させることで、螺軸61は、電動モータ60の回転方向と同一方向に回転し、アーム保持部材9aを上昇または下降させる。ここで、螺軸61の特定の位置にアーム保持部材9aが来たときに、電動モータ60の回転を止めることで、保持アーム7を任意の姿勢で止めることができる。したがって、実施例のレジスト塗布装置において、保持アーム7を起立姿勢で待機させる必要がないような場合には、横臥姿勢から起立姿勢の姿勢変位の途中である傾斜姿勢における位置を待機位置にすることも可能である。これにより、保持アーム7を変位させる時間を短縮して、処理効率を上げることができる。
(2)上記実施例では、複数個の保持アーム7をスピンチャック1の回転中心を中心とする円弧状に配置したが、基板処理領域である飛散防止カップ2の近傍に一列状に配置してもよい。このような構成において、好ましくは複数個の保持アーム7を一軸方向に移動可能なテーブル上に一列状に並べ、このテーブルを移動させることにより任意の保持アーム7を所定位置に移動させて使用する。
【0058】
例えば、図7に示すように、Y方向に駆動自在な図示しないY軸駆動機構に載置された矩形テーブル70上に、複数個の保持アーム7が一列状に配置されている。特定の位置に配置された保持アーム7によって処理を行う場合、保持アーム7がスピンチャック1の回転中心を通る直線上に来る位置にまで、Y軸駆動機構によって矩形テーブル70を移動させる。当該位置に来た保持アーム7を、起立姿勢から横臥姿勢に変位させて所定の処理を行わせることができる。したがって、この例によれば待機時のX方向の待機スペースを縮小することができる。なお、このY軸駆動機構の代わりに、実施例で説明した2軸駆動機構を用いてもよい。
【0059】
(3)この項(3)で述べる例は、本願発明との比較のために示した参考例である。上記実施例では、保持アーム7の待機位置を基板処理領域の側方に設定した関係で、保持アーム7を起立姿勢から横臥姿勢に変位させる場合に、保持アーム7を上昇変位させながら揺動変位させていたが、保持アーム7の待機位置を上方に設定しておけば、保持アーム7の基端部を中心とする揺動変位だけで保持アーム7を起立姿勢から横臥姿勢に変位させることができる。例えば、図8に示すように、ウエハWに対する処理位置である保持アーム7の横臥姿勢における基端部を揺動中心Pとして、図示しない駆動手段によって、保持アーム7を起立姿勢にする。この起立姿勢した保持アーム7の位置を待機位置とする。このような構成にすれば、アーム駆動機構をより単純な構成にすることができる。
【0060】
(4)上記実施例では、第1のプーリと第2のプーリとを同一の径として、処理具であるノズル6が常に一定方向を向くようにしたが、両プーリの径は必ずしも同一である必要はなく、例えば第1のプーリの径を第2のプーリの径よりも小さくすることもできる。このような構成にすることで、保持アーム7の姿勢の変化に伴って、ノズル6の姿勢を大きく変化させることができる。
【0061】
例えば、第1のプーリを第2のプーリよりも小さくすることで、図9に示すように、保持アーム7の起立姿勢において、ノズル6が後方を向くようにすることで、待機ポット100の位置を保持アーム7の後方に設置することができる。したがって、飛散防止カップ2と保持アーム7の間隔を小さくすることができ、保持アーム7の待機スペースをさらに縮小することができる。なお、第1のプーリの径を第2のプーリの径よりも大きくすることもできる。この場合、ノズル6の姿勢の変位量を小さくすることができる。
【0062】
(5)上記実施例では、処理具として薬液供給ノズル(ノズル6)を例にあげたが、ウエハWに対して洗浄処理を行うための洗浄ブラシを処理具として用いることもできる。このような構成にすることで、設置面積の小さい基板洗浄装置を構成することができる。
【0063】
(6)上記実施例では、複数個の保持アームを配置したが、単一の保持アームを備えた基板処理装置にも本発明を適用することができる。
【0064】
(7)上記実施例では、保持アーム7は、水平方向に揺動することができなかったが、保持アーム7を水平方向に揺動可能に構成してもよい。例えば、図1および図2に示した扇形テーブル10上に水平面内で回転自在な複数個のターンテーブルを配備し、各テーブル上に各保持アーム7のアーム駆動機構10Aを搭載する。そして、各ターンテーブルの回転中心と、各アーム駆動機構10Aのアーム揺動軸7aとが鉛直線上に位置するように、エアシリンダ8と保持アーム案内部材13とを取付ける。この例によれば、保持アーム7に保持されたノズル6を、ウエハWの中心から外側に向かって、円弧状に揺動させることができる。
【0065】
(8)上記実施例では、複数個の保持アーム7に、それぞれ個別のアーム駆動機構10Aを取り付けたが、選択手段で任意の保持アームを選択し、この選択された保持アームの姿勢を単一のアーム駆動手段で変位させるように構成することもできる。以下、図10〜図12を参照して、この実施例を説明する。
【0066】
図1で説明したと同様の2軸駆動機構11の上に案内部材87が搭載されている。この案内部材87上の飛散防止カップ2側に、複数セットの保持アーム7と保持アーム案内部材13が円弧状に配置されている。保持アーム7や保持アーム案内部材13の構成は図1に示した実施例と同様であるので、ここでの説明は省略する。この案内部材87上に、任意の保持アーム7を選択する選択機構80Aと、この選択機構80Aによって選択された保持アーム7を駆動する単一のアーム駆動機構80Bが配備されている。
【0067】
まず、選択機構80Aの構成を説明する。案内部材87には、複数個の保持アーム7の円弧状配置に沿うように円弧状のガイド溝87aが形成されている。このガイド溝87aの傍らにY方向に延びる直線状のガイド溝87bが形成されている。この直線状のガイド溝87bに、図11に示すように第1のスライド部材86の下面から突出している凸部材86aが嵌入することにより、第1のスライド部材86がガイド溝87bに沿ってY方向に案内される。さらに、ガイド溝87bに沿って電動モータ88で回転駆動される螺軸89が配備され、この螺軸89に第1のスライド部材86が螺合されることにより、第1のスライド部材86が駆動されるようになっている。第1のスライド部材86にはX方向に延びるガイド溝86bが形成されている。この第1のスライド部材86に第2のスライド部材85が搭載されている。図11に示すように、この第2のスライド部材85の下面に突出形成された凸部材85aが、第1のスライド部材86のガイド溝86bを貫通して、案内部材87の円弧状のガイド溝87aに嵌入している。以上の構成により、第1のスライド部材86がY方向に変位すると、第2のスライド部材85の凸部材85aに、円弧状のガイド溝87aからX方向の力が作用して、第2のスライド部材85がガイド溝86bに沿ってX方向に移動するようになっている。
【0068】
次に単一のアーム駆動機構80Bの構成を説明する。図12に示すように、アーム駆動機構80Bは第2のスライド部材85に搭載されている。このアーム駆動機構80Bは、電動モータ84と螺軸83などにより構成された螺子送り機構によって、把持機構82を昇降駆動するように構成されている。把持機構82は、図示しないロータリアクチュエータ等で開閉駆動される挟持片82aで、保持アーム7のアーム揺動軸7aに連結固定されたアーム支持部材81の先端部81aを挟持するように構成されている。
【0069】
上記の構成を備えた選択機構80Aおよびアーム駆動機構80Bの動作を説明する。
初期状態で把持機構82は下限位置にあり、また把持機構82の挟持片82aは開放している。この状態で電動モータ88が駆動することにより、選択しようとしている特定の保持アーム7の後方位置にまで、第1のスライド部材86がガイド溝87bに沿ってY方向に移動する。第1のスライド部材86の移動に伴って、第2のスライド部材85がガイド溝86bに沿ってX方向に移動する。その結果、第2のスライド部材85に搭載された把持機構82が、特定の保持アーム7を把持するための把持位置に移動する。把持位置に移動した把持機構82の挟持片82aが閉じて、把持機構82が特定の保持アーム7のアーム支持部材81を把持する。次に、電動モータ84が駆動することにより、把持機構82が上昇する。把持機構82の上昇に伴い、特定の保持アーム7が起立姿勢から横臥姿勢に変位して、基板の処理が行われる。処理後は、上述した動作とは逆の手順で特定の保持アーム7が待機位置に戻る。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば次の効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、処理具を先端部に保持する保持アームの姿勢を、処理を行わない場合には、ほぼ起立姿勢で待機させる一方、処理を行う場合には、ほぼ横臥姿勢とするように構成したので、待機時の保持アームの待機スペース、特に平面視したときの待機スペースを縮小することができる。また、請求項1の発明によれば、基板の大型化に伴い保持アームが長くなっても、平面視した状態の待機スペースは拡大しないので、大型の基板を扱う基板処理装置であっても、全体として装置をコンパクトに構成することも可能である。
【0071】
また、請求項1に記載の発明によれば、保持アームを基板処理領域の側方にほぼ起立姿勢で待機させているので、平面視した状態の保持アームの待機スペースを縮小することができるとともに、保持アームの待機スペースの高さを低くすることができる。したがって、請求項1の発明によれば、基板処理装置の高さも極力低くすることができる。
【0072】
請求項2に記載の発明によれば、アーム駆動手段を、昇降駆動手段と保持アーム案内部材とカムホロアとによって構成しているので、アーム駆動手段を簡易な構成とすることができるとともに、基板処理装置の製造コストを低くすることができる。
【0073】
請求項3に記載の発明によれば、保持アームに保持された処理具の姿勢を、保持アームの姿勢に連動して変化させているので、保持アームの姿勢に応じて、処理具の姿勢を任意の姿勢とすることができる。
【0074】
請求項4に記載の発明によれば、保持アームに保持された処理具を、基板に対して処理液を供給する処理液供給ノズルとしているので、基板に対して処理液を供給する基板処理装置をコンパクトに構成することができる。
【0075】
請求項5に記載の発明によれば、保持アームに保持された処理具を、基板に対して洗浄処理を行う洗浄ブラシとしているので、基板に対して洗浄処理を行う基板処理装置をコンパクトに構成することができる。
【0076】
請求項6に記載の発明によれば、保持アームに保持された処理具の姿勢の制御を行うための処理具姿勢制御手段を、回転支持機構と第1のプーリと第2のプーリと無端状ベルトとによって構成しているので、簡易な構成によって、処理具の姿勢を保持アームの姿勢変化に連動させることができる。
【0077】
請求項7に記載の発明によれば、第1のプーリと第2のプーリとを同径としているので、保持アームの姿勢にかかわらず処理具の姿勢を常に一定に保つことができる。
【0078】
請求項8に記載の発明によれば、回転支持機構を磁性流体によってシールしているので、回転支持機構から生ずる微小なパーティクルを、基板処理領域に漏らさないようにすることができる。
【0079】
請求項9に記載の発明によれば、複数個の保持アームは、基板処理領域の近傍に一列状に配置されているので、複数個の保持アームの待機スペースを縮小することができるとともに、各保持アームを容易に配置することができる。
【0080】
請求項10に記載の発明によれば、複数個の保持アームの中から任意の保持アームを選択し、この保持アームを単一のアーム駆動手段によって姿勢変位させるので、保持アームの数が増加しても、単一のアーム駆動手段があればよい。したがって、請求項10の発明によれば、保持アームの個数が増えても、アーム駆動手段は増えないので、装置の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る基板処理装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】実施例に係る装置の概略構成を示す平面図である。
【図3】実施例に係る装置のアーム駆動機構による保持アームの動きを示す図である。
【図4】実施例に係る保持アームの内部構成を示す図である。
【図5】実施例に係る保持アームと処理具との接続部を示す拡大図である。
【図6】アーム駆動機構の変形例の要部を示す側面図である。
【図7】複数個の保持アームの配置の変形例を示す平面図である。
【図8】参考例に係る保持アームの動作を示す側面図である。
【図9】変形例に係る処理具の姿勢制御動作を示す側面図である。
【図10】変形例に係る保持アームの選択機構を示す平面図である。
【図11】変形例に係る保持アームの選択機構の要部の断面図である。
【図12】変形例に係る保持アームの選択機構とアーム駆動機構とを示す側面図である。
【図13】従来の第1の基板処理装置の平面図である。
【図14】従来の第2の基板処理装置の平面図である。
【符号の説明】
1 … スピンチャック
2 … 飛散防止カップ
6 … ノズル
7 … 保持アーム
7a… アーム揺動軸
7b… カムホロア
8 … エアシリンダ
9 … アーム支持部材
10 … 扇形テーブル
10A… アーム駆動機構
11 … 2軸駆動機構
13 … 保持アーム案内部材
13a… カム溝
14 … 待機ポット
40 … 第2のプーリ
41 … 第1のプーリ
42 … 歯付き無端状ベルト
51 … ベアリング
52 … 磁性流体
60 … 電動モータ
61 … 螺軸
70 … 矩形テーブル
80A… 選択機構
80B… アーム駆動機構
W … 基板
Claims (10)
- 所定の基板処理領域にある基板に対して処理を行う基板処理装置において、
基板に対して処理を行う処理具を先端部に保持した保持アームと、
基板に対して処理を行わないときに、前記保持アームを基板処理領域から外れた待機位置にほぼ起立姿勢で待機させる一方、基板に対して処理を行うときに、処理具が基板に対する処理位置に来るように、前記保持アームをほぼ横臥姿勢に変位させるアーム駆動手段とを備え、
前記アーム駆動手段は、基板に対して処理を行わないときに、前記保持アームを基板処理領域の側方に設定された待機位置にほぼ起立姿勢で待機させる一方、基板に対して処理を行うときに、待機位置にある前記保持アームを上昇変位させるとともに、揺動変位させることによって、処理具が基板に対する処理位置に来るように、前記保持アームをほぼ横臥姿勢に変位させることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1に記載の基板処理装置において、
前記アーム駆動手段は、
前記保持アームの揺動変位を許容するように保持アームの基端部に係合して、保持アームを昇降させる昇降駆動手段と、
待機位置にある保持アームに並設され、保持アームをほぼ起立姿勢からほぼ横臥姿勢へと案内するために、ほぼ上下方向に延びるカム溝が形成された保持アーム案内部材と、
前記保持アームの基端部側で前記保持アームの揺動変位の中心から外れた位置に取付けられ、前記カム溝に沿って変位するカムホロアと
から構成されている基板処理装置。 - 請求項1または請求項2に記載の基板処理装置において、
前記保持アームに対する前記処理具の取付け角度を、保持アームの姿勢変化に連動して変化させる処理具姿勢制御手段を備えた基板処理装置。 - 請求項3に記載の基板処理装置において、
前記処理具は、基板処理領域にある基板に対して処理液を供給する処理液供給ノズルである基板処理装置。 - 請求項3に記載の基板処理装置において、
前記処理具は、基板処理領域にある基板に対して洗浄処理を行う洗浄ブラシである基板処理装置。 - 請求項3に記載の基板処理装置において、
前記処理具姿勢制御手段は、
前記処理具を保持アームに対して回転可能に支持する回転支持機構と、
前記回転支持機構に連動連結された第1のプーリと、
前記保持アームの基端側の揺動軸に固定設置された第2のプーリと、
前記第1のプーリと第2のプーリとの間に架け渡された無端状ベルトと
から構成されている基板処理装置。 - 請求項6に記載の基板処理装置において、
前記第1のプーリと第2のプーリとが同径に形成されている基板処理装置。 - 請求項6に記載の基板処理装置において、
前記回転支持機構は、磁性流体によってシールされている基板処理装置。 - 請求項1または請求項2に記載の基板処理装置において、
前記保持アームを複数個備え、これらの保持アームが基板処理領域の近傍に一列状に配置されている基板処理装置。 - 請求項9に記載の基板処理装置において、
前記複数個の保持アームの中から任意の保持アームを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された保持アームを、処理を行わないときの起立姿勢から、処理を行うときの横臥姿勢へ変位させる単一の前記アーム駆動手段とを備えた基板処理装置。
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