JP3566641B2 - 高融点活性金属製造用真空排気装置の真空排気方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高融点活性金属の精錬、還元、分離及び溶解などの製造工程で使用される各種真空排気装置において、苛酷な条件で使用される真空ポンプを改良した高融点活性金属製造用真空排気装置及びその真空排気方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムなどの高融点活性金属の工業的規模の製造には、原料となる鉱石を塩化物とし、これを蒸留精製して高純度塩化物としたものを、金属マグネシウムや金属ナトリウムなどの還元剤を使用してスポンジ状の金属を得るクロール法やハンター法が一般的に行われている。又、一部では、塩化物を直接電気分解して、目的の金属を得る方法も実施されている。このようにして得られた金属を、インゴットとして造塊するために、各種の溶解装置により溶解されている。
【0003】
高融点活性金属は、高温では空気中の酸素、窒素、炭素などと容易に化合し、性質を悪化させるため、これらの製造工程では、大気と完全に遮断した状態で製造され、真空中または不活性ガス雰囲気中で操業される。すなわち、これらの高融点活性金属を製造する装置内は真空排気して、この状態を維持するか、又はいったん真空に排気した後、不活性ガスを装置内に挿入して操業することとなり、いずれにしても、必ず一度は真空に排気しなければならない。このときの真空度は約1Pa以下の比較的高真空が要求され、しかもクロール法の真空分離や溶解の工程では、昼夜に及ぶ長時間の操業の継続が必要である。特に、電子ビーム溶解では、より一層の高真空の維持が長時間にわたって必要で、真空ポンプの性能と信頼性は非常に重要である。
【0004】
一方、これらの高融点活性金属の製造においては、スポンジの製造工程、溶解工程においても、操業形態はほとんどがバッチ式であり、装置内の真空排気は、必ずバッチごとに大気圧からの真空排気が必要である。近年、生産の合理化のため、これらの生産設備は大型化し装置の内容積も大きく、多量の空気を排気しなければならない。多量の空気を排気すると、空気中に含まれる水分の絶対量も増加し、これらの水分は真空ポンプにまで飛来する。特に溶解工程では、原料挿入時に大気解放せざるをえないため、溶解前に水分を含む大量の空気を排気する必要がある。
【0005】
また、溶解原料となるスポンジ状の金属には、真空分離工程で分離しきれなかった僅かな塩化マグネシシウムが残存するため、スポンジチタンの破砕時、圧縮成型時及び溶解炉への溶解原料装入時などで空気にさらされるときに、塩化マグネシウムが空気中の水分を吸湿し含水塩化マグネシウムとなる。この含水塩化マグネシウムは、溶解時の熱により一部は塩化水素に分解して真空ポンプまで飛来する。また、クロール法による真空分離でも、残存水分と塩化マグネシウムから発生すると考えられる微量の塩化水素が真空ポンプまで飛来する。
【0006】
高融点活性金属製造用真空排気装置の最終段のポンプには、一般に油回転式真空ポンプが使用されているが、このポンプの性能は油の状態により非常に大きく左右される。ところが、上記のごとく高融点活性金属の製造工程で発生する水分や上記塩化物が真空ポンプまで飛来して油に混入する。単に油に水分が混入しただけでも、水の蒸気圧が高いために到達真空度を著しく上昇させ、排気速度を低下させる。その上、飛来した各種の塩化物が真空ポンプ内で凝縮して、更にポンプ性能を劣化させる。
【0007】
例えば、クロール法によるスポンジ状高融点金属の溶解工程では、溶解炉内で水分、塩化水素、塩化マグネシウムなどが発生する。蒸気圧曲線の低い塩化マグネシウムなどは、水冷炉壁に触れて冷却され固化して炉内にとどまるが、水分、塩化水素などの比較的蒸気圧の高い物質は、気体のまま真空排気装置の最終段の油回転ポンプまで飛来し、ここでポンプ油に撹拌されて捕らえれる。すなわち、油拡散ポンプやメカニカルブースターポンプ内は素通りして、最終段の油回転ポンプで捕えられる。そのため、油回転ポンプの性能や寿命が著しく劣化する。従って、高融点活性金属製造用真空排気装置においては、最終段のポンプの維持管理が問題となる。
【0008】
このように、高融点活性金属製造用真空排気装置の最終段の油回転ポンプは、初期の排気で空気中に含まれている水分と、水冷炉壁に凝縮付着している水分がポンプ油中に撹拌・存在するようになる。この状態で溶解を開始すると、溶解中に発生した塩化水素が油中の水分に溶け込み、強酸性水(pH3〜1程度)となり、ポンプ油を著しく劣化させる。この状態での操業は、上記のようにポンプの到達真空度の上昇や、排気速度を低下させると共に、ポンプとこれに付随する大部分の構成材料である鉄系部品を腐食させ、ポンプの寿命が著しく低下するという問題が起きていた。
【0009】
上記の問題点を回避するため、従来は油回転ポンプの油を頻繁に取替え、油の性能維持に努めていた。しかし、油回転ポンプの運転は昼夜に及ぶ長時間にわたり行われるので、操業の途中で運転を一停止して油の交換を行うことは困難であった。また、腐食により発生するスラッジの除去や排気弁の交換などのかなりのメンテナンスが必要で、コスト削減の妨げとなっていた。
【0010】
上記ポンプ油の劣化を最小限にして、これらの問題を解決するため、特開平10−263310号公報には、ポンプの運転中も連続してポンプ油の劣化を防止できるように、真空排気系に各種のろ過装置、循環ポンプを設置する方法が提案されている。しかしながら、これらの装置を付けることにより、油交換の回数は減るが、ろ過装置自身の維持管理に費用がかかり、根本的な解決には至っていない。また、強酸性を示す含水油の処理に使用される場合にはステンレス鋼製のフィルター類、バルブ、循環ポンプなども腐食により短期間に使用できなくなる。
【0011】
酸に対する耐食性を高めるため、ステンレス鋼に代えて樹脂系材料を使用したとしても、真空油に対する樹脂の劣化が問題となるため、高価な樹脂を採用することが条件となり、コスト的に不利となる。
【0012】
一方、上記の問題点を避けるため、真空排気装置の最終段ポンプに、油回転ポンプの代わりに水封式ポンプを用いる方法がある。この水封式ポンプは内部に機械的摺動部分がなく、ダストを含む気体、凝縮性気体、腐食性気体、爆発性気体の吸引も可能である。しかし、これらの気体を吸引した後の大量の水の排水処理にコストがかかる。また、多量の水を回転駆動するためローターの駆動動力が大きくなったり、圧力の減少に伴って発生するキャビテーションのためにローターの摩耗が大きい。そして、到達真空度はポンプ内の水の平衡蒸気圧とほぼ同等で、油回転ポンプと同等の排気能力を得るには、前段にメカニカルブースターポンプを併設する必要があり、装置が複雑化すると共に、運転動力が更に増加する等の問題がある。従って、水封式ポンプを油回転ポンプの代替わりとして使用するにも問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記のごとく、従来、高融点活性金属製造の真空排気装置の最終段に使用されている油回転ポンプや水封式ポンプでは、ポンプの性能維持、運転において次のような問題点がある。
【0014】
油回転ポンプの使用では、製造工程で発生する物質が、ポンプ油タンク内で捕らえられてしまうため、これがポンプの性能、寿命を劣化させ、ポンプ自身と油の管理のため多くの工数及び経費がかかり、ポンプの性能寿命を劣化させる。これは、ポンプ後段に真空油の浄化装置を取り付けても、根本的な解決はできない。
【0015】
水封式ポンプの使用では、ポンプ自身の管理は軽減され、油の管理からは解放されるが、大量の水を使用するため大がかりな廃水処理が必要となる。又、性能が低いため多段化が必要となり、ランニングコストの増加の原因となる。
【0016】
本発明は、従来の真空排気装置に見られる上記問題点を排除することを目的とし、真空排気装置の最終段のポンプにドライ真空ポンプを用いることにより、高い真空排気能力を維持し得る高融点活性金属製造用真空排気装置を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、問題解決のため、種々実験・検討を重ねているうち、クロール法により製造されたスポンジチタンをもとに、VAR法により再溶解してインゴットを作る際に、空気中の水分とスポンジチタンに残留する塩化マグネシウムが結合して水和物を作り、炉のアーク発生部で塩化水素ガスとなり、炉の真空排気系に持ち込まれ、真空ポンプ中にたまった水分中に溶け込み、塩酸となりポンプ自体を腐食損傷する事実を見いだした。
【0018】
上記のポンプ内で水分中に塩化水素ガスが溶け込みポンプ自体が腐食損傷するのを避けるため、真空排気装置の最終段に使用するポンプに、ポンプ内部のガス排気通路に油、水などの液体でシールする構造を持たない真空ポンプを採用することにより、高融点活性金属を製造する際に発生して真空ポンプまで飛来する物質が、最終段の真空ポンプをも素通りし、ポンプ内で凝縮させないことによって、腐食損傷を避けポンプの維持管理を大幅に軽減できることを見いだした。本発明は、この知見に基づいて完成したものである。
【0019】
すなわち、本発明の高融点活性金属製造用真空排気装置は、高融点活性金属の製造工程で使用される各種真空排気装置において、外気へ排気するための真空ポンプにドライ真空ポンプを用いることにより、高い真空排気能力を維持し得ることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の高融点活性金属製造用真空排気装置は、スポンジ状である高融点活性金属の溶解工程で使用される真空排気装置において、外気へ排気するための真空ポンプにドライ真空ポンプを用いることにより、高い真空排気能力を維持し得ることを特徴とする。
【0021】
上記真空排気装置の真空ポンプに用いるドライ真空ポンプは、ターボ型、スクロール型、クロー型、ルーツ型及びスクリュー型の各ポンプの使用が可能であるが、油回転ポンプの能力に匹敵する排気性能と飛来する異物に対し十分な耐久性があり、吸引ガスをガス状のまま排気できるクロー型、ルーツ型、スクリュー型の使用が望ましい。この中でも特にスクリュー型の使用が最も望ましい。
【0022】
本発明の高融点活性金属製造用真空排気装置の真空排気方法は、スポンジ状である高融点活性金属の溶解工程で使用される真空排気装置において、最終段の真空ポンプにスクリュー型ドライ真空ポンプを用い、かつ該ポンプ内の排気ガス通過経路を 100 200 ℃に保持し、装置内に取り込まれた物質や水分及び溶解時に発生する物質や水分を含むガスを液化・凝縮することなく前記真空ポンプ系外へ排気するか、あるいはさらに、そのドライ真空ポンプから排気された大気圧付近の排気ガスを液体(水、油)に吸収させることによって塩化水素を除去した後で大気へ放出することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、高融点活性金属の還元・真空分離工程やスポンジの溶解工程などの製造工程で発生し、真空排気装置の最終段の真空ポンプまて飛来する種々の物質、例えば水分や塩化水素などを、ポンプ内で凝縮させることなく、ガス状のまま真空排気装置外へ排出させるために、真空排気装置の最終段のポンプとしてドライ真空ポンプを使用するのである。
【0024】
ドライ真空ポンプは、多少の形式上の違いがあっても、ガスを真空に近い圧力から大気圧付近まで圧縮する際に生じる熱と、ポンプ自身が機械的な運転をする際に生じる熱により、発熱するのが普通である。このため、排気ガス通過経路をポンプ自身の運転に支障のない範囲で、適当な高温にコントロールすると、吸引してきたガスが凝縮性ガスであっても、凝縮点がボンプ内温度以下の物質は、ガス状態のまま排気することが可能となる。
【0025】
本発明の実施によれば、油回転ポンプのように、ポンプまで飛来してきた物質がポンプ内で凝縮することはないものの、高温の塩化水素ガスなどの腐食性ガスが通過するから、ポンプのガス通過経路には、耐食性を考慮して、例えばフッ素樹脂コーティングなどの表面処理を施こすことが望ましい。
【0026】
高融点活性金属製造時に発生する主な物質の蒸気圧曲線を図1に示す。Na、Mg、Caなどは高融点活性金属塩化物の還元剤、NaCl、MgCl、CaClは高融点活性金属還元後の副産物、HO、HClはこれらの副産物の水和物が高温で分解する際に発性するものである。上記HOは、夏場の高温多湿状態の環境で操業されるバッチ式大型炉で、大気圧より真空排気すると必ず水分として空気中にも多量に含まれる。この線図において、各曲線より右下の領域では、物質は気体として存在し、曲線より左上の領域では、固体または液体として存在する。
【0027】
図中に、油回転ポンプ内及びドライ真空ポンプ内の圧力−温度範囲を示した。圧力の領域は、いずれのタイプでも約1Pa〜大気圧よりやや高い圧力では、ほぼ同等であるが、ポンプ内排気後段付近の温度が異なる。すなわち、油回転ポンプでは、ポンプ内を水冷しており、この中で油が循環しているので、油の温度は高くても50〜60℃である。これに対し、ドライ真空ポンプでは、内部に液体によるシール機構をもたず、吸引気体の大気圧までの断熱圧縮と機械的な運動による発熱のため、その内部温度は100〜200℃にも達する。
【0028】
一方、高融点活性金属製造時に発生する主な物質の蒸気圧曲線を見ると、Na、Mg、Ca、NaCl、MgCl、CaClなどの物質は、いずれも同温での蒸気圧が低く、油回転ポンプ及びドライ真空ポンプの圧力−温度領域では、固体で存在する。なお、図を簡素にするためCa、CaClの蒸気圧曲線の表示を省略したが、これらはいずれもMgClの蒸気圧曲線より右側にあり、油回転ポンプ及びドライ真空ポンプの動作領域では、固体の状態で存在する。これらの物質は、周知のバグフィルター類を設置することにより、ポンプ前段で固体として回収が可能である。
【0029】
しかし、HO、HClは蒸気圧が高いため、ポンプ前段で固体として回収するのは不可能で、ポンプまで気体として飛来する。そして、HOは油回転ポンプ内では、ポンプ油の温度が低いため、ここで凝縮し液化して水となる。生じた水は、ポンプ内の機械的撹拌により油と混合してエマルジョン化し、真空ポンプの能力を著しく低下させる。その上、気体として吸引したHClは、エマルジョン化した水に溶解して塩酸を生じ、ポンプ油はpH1〜3の強酸性となり、ポンプを著しく腐食・損傷させる。そして、ポンプ内に腐食した鉄分がスラッジとして堆積する。これら水分の液化・凝縮、塩酸の生成、スラッジの発生は、油回転ポンプの後段に油の浄化装置を設けても、根本的に解決することはできない。
【0030】
しかし、ドライ真空ポンプでは、ポンプ内の温度が高いため、HO、HClは共に気体の状態のままポンプ内を通過し、液化・凝縮することなくポンプ系外へ排出される。したがって、ポンプは単に気体の通過経路として存在するだけで、液化・凝縮に伴うトラブルやメンテナンスの増加は皆無である。
【0031】
ドライ真空ポンプには多くの型式があり、その中で工業的規模の高融点活性金属の製造に適するものとしては、クロー型、ルーツ型及びスクリュー型の各ポンプの使用が可能であるが、次の理由によりスクリュー型のポンプを使用することが最も望ましい。
【0032】
すなわち、工業的規模の高融点活性金属の製造に使用される真空排気系列の最終段ポンプには好ましい特性として、▲1▼ポンプ単体で工業的生産規模に合致する排気速度(200m/hr以上)がある、▲2▼バッチ式操業で大気圧付近でも大きな排気速度が確保され、100Pa付近まで排気速度の変化が少ない、▲3▼高融点活性金属を製造する際に発生し、ポンプまで飛来する物質に対し十分な耐久性と飛来する気体物質を液化・凝縮させることなくポンプ系外へ排出する作用に対する信頼性があることがあげられる。
【0033】
クロー型、ルーツ型のポンプは、排気性能を確保するため通常ポンプ内は複数段に多段化して使用される。そして、クロー型は大気圧側での排気速度は確保されるが到達真空度が高く、しかも大きな動力が必要である。又、ルーツ型は排気速度の変化に大きな極大値があり、しかも大気側の排気速度はこのピーク値より小さくなっており、必要動力の割に排気速度が遅い。
【0034】
上記のごとく、クロー型、ルーツ型のポンプは、高融点活性金属の製造に用いるのに必要な上記3つの特性の内一部を欠いており、十分な排気効率を確保するのが困難である。
【0035】
一方、スクリュー型のポンプは、単段で効率がよく、油回転ポンプとほぼ同等の排気特性があり、上記3つの特性の全てを備えており、高融点活性金属の製造に使用される真空排気系列の最終段ポンプとして、最も効率的な使用ができる。
【0036】
なお、ドライ真空ポンプから排気される排気ガスには微量の塩化水素が含まれるため、必要に応じてスクラバーなどを設置し、水などの液体で排気ガス中の塩化水素を吸収・除去すれば良い。吸収する液体は簡便さから水が望ましいが、水溶液や油でも使用可能である。スクラバーには真空排気能力がないため、スクラバーを用いた場合であっても、ドライ真空ポンプから排気される排気ガスの圧力は、ほぼ大気圧と同じである。塩化水素を除去するためのスクラバーは、極小型のもので十分であり、スクラバー自体には煩雑なメンテナンスの必要はほとんどない。
【0037】
【実施例】
実施例1
クロール法でスポンジチタンを製造する際の真空分離装置における真空排気装置の最終後段にドライ真空ポンプを設けた。その概略を図2に示す。原料鉱石のルチールを塩素ガス処理して精製した四塩化チタンをマグネシウムと共に還元炉1に挿入し、四塩化チタンを還元してスポンジチタンを作る。この際の還元反応により生成する塩化マグネシウムは炉底から抜きとられるが、一部はスポンジチタンに付着して真空分離炉2に送られる。そして、真空分離炉2の底部と真空排気装置3の間を真空用接続管4で接合する。上記真空排気装置3は、2基のメカニカルブースターポンプと最終段にドライポンプを直列に配管を介して接合する。ドライポンプとしては、スクリュー型を選んだ。
【0038】
上記真空分離炉2は、内容積が10mで、7〜10tonのスポンジチタンを製造することができる。上記設備を使って、1か年間昼夜連続して7〜10ton/Btのスポンジチタンを製造した。その間、ドライ真空ポンプの整備は皆無で、完全にメンテナンスなしの状態で連続使用した。
【0039】
実施例2
実施例1で製造した破砕スポンジチタンを多数溶接して形成したものをチタン消耗電極6として、図3に示す消耗電極式真空アーク溶解炉5により再溶解してチタンインゴットを製造した。この消耗電極式真空アーク溶解炉5に付属する真空排気装置7は3基の油拡散ポンプと並列する2基のメカニカルブースターポンプと1基のメカニカルブースターポンプと最終段に並列した2基のドライ真空ポンプを直列に配管を介して接合する。ドライ真空ポンプとしては、スクリュー型のポンプを選んだ。
【0040】
上記炉を使って、1か年間昼夜連続して5〜9ton/Btのチタンインゴットを製造した。その間、ドライ真空ポンプの整備は皆無で、完全にメンテナンスなしの状態で連続使用した。
【0041】
なお、発明者は、前記実施例と同様に、VAR溶解用電極製作時に使用する溶接装置に付属する真空排気ポンプ、電子ビーム溶解に使用する真空排気ポンプに、従来使用されている油回転ポンプに代えてドライ真空ポンプを設置して使用した。結果は、いずれも良好で真空排気ポンプのメンテナンスを著しく軽減できた。
【0042】
【発明の効果】
本発明の実施によれば、長期間メンテナンスなしの状態で連続使用が可能で、高い真空排気能力を維持し得る高融点活性金属製造用真空排気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】高融点活性金属製造時に発生する主な物質の蒸気圧曲線を示すグラフである。
【図2】本発明をクロール法によるスポンジチタン製造設備における真空分離装置の真空排気装置に実施した場合の概略説明図である。
【図3】本発明をクロール法によるスポンジチタン製造設備における消耗電極式真空アーク溶解炉の真空排気装置に実施した場合の概略説明図である。
【符号の説明】
1 還元炉
2 真空分離炉
3 真空排気装置
4 真空用接続管
5 消耗電極式真空アーク溶解炉
6 消耗電極
7 真空排気装置

Claims (2)

  1. スポンジ状である高融点活性金属の溶解工程で使用される真空排気装置において、最終段の真空ポンプにスクリュー型ドライ真空ポンプを用い、かつ該ポンプ内の排気ガス通過経路を 100 200 ℃に保持し、装置内に取り込まれた物質や水分及び溶解時に発生する物質や水分を含むガスを液化・凝縮することなく前記真空ポンプ系外へ排気することを特徴とする高融点活性金属製造用真空排気装置の真空排気方法。
  2. スポンジ状である高融点活性金属の溶解工程で使用される真空排気装置において、最終段の真空ポンプにスクリュー型ドライ真空ポンプを用い、かつ該ポンプ内の排気ガス通過経路を 100 200 ℃に保持し、装置内に取り込まれた物質や水分及び溶解時に発生する物質や水分を含むガスを液化・凝縮することなく前記真空ポンプ系外へ排気するとともに、そのドライ真空ポンプから排気された大気圧付近の排気ガスを液体(水、油)に吸収させることによって、塩化水素を除去した後で大気へ放出することを特徴とする高融点活性金属製造用真空排気装置の真空排気方法。
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