JPWO2011096170A1 - アルミニウムの精製方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
撹拌装置を必要とせず、又、真空度を著しく下げなくてもアルミニウム溶湯中のZn,Mg等と云った不純物成分を除去することができると共に、金属蒸気によるトラブルの発生を極小化することができるアルミニウムの精製方法と、係る方法を実行可能な精製装置とを提供する。炉内に投入したアルミニウムの溶湯に対してアーク放電による加熱を行いながら、溶湯温度を700〜1000℃、炉内の雰囲気の平均真空度を20〜1000Paに保持することによって、アルミニウムの溶湯中から蒸気圧の高い元素を蒸発除去する。
Description
本発明は、アルミニウムの精製方法及びその精製装置に関し、特に、合金元素として添加され、再生の際に不純物成分となるZn(亜鉛)やMg(マグネシウム)等をアルミニウム・スクラップの溶湯から除去するための方法並びにその装置に関する。
アルミニウムは、原鉱石のボーキサイトから精錬して製造するよりも格段に少ないエネルギーで繰り返し再生できることから、アルミニウム・スクラップは資源リサイクルの観点から非常に重要な役割を担うものであり、その集荷から再生に至るまで様々な技術開発が行なわれている。
このアルミニウム・スクラップには、例えば、7000系合金のスクラップのように、安価ではあるが合金元素としてZnやMg等が多量に含まれており、鋳物(ダイカスト)材料として使い辛いものなどがあり、このようなアルミニウム・スクラップを鋳物材料として好適に使用できるようにする再生技術の一つとして、破砕、粉砕等の事前処理が施されたアルミニウム・スクラップを加熱・熔融して溶湯を得ると共に、この溶湯に塩素ガスや塩化物系フラックスなどの精錬剤を吹き込んでMg等の不純物成分を塩化物としてスラグ等に含ませて除去する技術(すなわち精製方法)が知られている。しかしながら、このような精製方法では、環境上問題があったり、作業効率(生産性や原料の歩留など)が低いと云った問題がある。
そこで、このような問題を解決し得る技術として真空処理法が提案されており、例えば特許文献1には、気密型の精製炉へ導入した溶湯を撹拌しつつ真空雰囲気中で処理することによりアルミニウム溶湯中に含まれるZn,Mg等の蒸気圧が高い元素すなわち不純物成分を蒸発させて除去する方法が開示されている。また、例えば特許文献2には、アルミニウム溶湯を収めた取鍋内の真空度(圧力)が13.3Pa(パスカル)以下の真空状態となるよう減圧することにより、アルミニウム溶湯中からZn,Mg等を除去できることが開示されている。
このような真空処理法を用いれば、環境に対する負荷を抑えつつアルミニウム・スクラップから不純物成分を除去することが可能になる。
しかしながら、アルミニウム溶湯を撹拌しつつ真空雰囲気中で不純物成分を除去する前者の技術では、炉に撹拌装置を設置する際に、当該撹拌装置の設置部分を気密的にシールしているが、かかるシール部分には撹拌装置運転時に応力が加わることから、当該シール部分からのリークによって真空度の維持が困難になると云う問題があった。
また、取鍋内の真空度が13.3Pa以下の真空状態となるよう減圧することにより、アルミニウム溶湯中から不純物成分を除去する後者の技術では、取鍋内の真空度を13.3Pa以下の極めて高い真空状態とするために装置全体の気密性を極限まで高めなければならず、装置のイニシャルコストが増大すると共に、このような高真空状態を維持するためのランニングコストも増大すると云う問題があった。
なお、上記のような高い真空状態を得るためには、一般に真空容器の内部に電気ヒータを配設し、溶湯を直接加熱するタイプの真空炉が用いられているが、このタイプの真空炉では、真空容器を構成する炉本体や炉蓋などの各部材の熱膨張率に差があったとしても、これらの部材が直接加熱されることがないため各部材間に隙間などが生じ難く、高い真空状態を得ることができるものの、アルミニウム溶湯から金属蒸気となって除去されるZn,Mg等がヒータやヒータ碍子に付着・堆積するようになり、その結果、ヒータに過電流が流れ、異常発熱等が発生して非常に危険な状態になっていた。そこで、このような金属蒸気による問題が生じにくい真空炉として、真空容器の外部に電気ヒータが設置されたレトルト方式の真空炉を挙げることができるが、このレトルト方式のものでは、真空容器の全体が外側から加熱されるようになっているため、真空容器を構成する炉本体や炉蓋などの各部材の熱膨張率の差からこれら各部材間に隙間が発生し、係る隙間からリークが生じて真空性能が悪くなり易く、このような真空性能の悪化を防止するためには装置を大型化せざるを得ないと云う問題があった。
それゆえに、この発明の主たる課題は、撹拌装置を必要とせず、又、真空度を著しく下げなくてもアルミニウム溶湯中のZnやMg等と云った不純物成分を除去することができると共に、金属蒸気によるトラブルの発生も極小化することができる、作業効率に優れたアルミニウムの精製方法と、係る方法を実行可能な精製装置とを提供することである。
本発明の第1の態様は、「炉内に投入したアルミニウムの溶湯mに対してアーク放電による加熱を行いながら、溶湯温度を700〜1000℃、炉内の雰囲気の平均真空度を20〜1000Paに保持することによって、アルミニウムの溶湯m中から蒸気圧の高い元素を蒸発除去する」アルミニウムの精製方法である。
また、本発明の第2の態様は、上記第1の態様のアルミニウムの精製方法を実行可能な精製装置10であって、
(a)上面に開口12aが設けられ、その内部に直接或いは坩堝22を介してアルミニウムの溶湯mが収容される炉本体12と、
(b)前記炉本体12の開口12aを開閉する炉蓋14と、
(c)前記炉本体12の内部を真空引きする真空ポンプ16と、
(d)前記炉蓋14を上下方向に貫通し、その先端が前記溶湯mの表面に対面するように配置され、前記溶湯mの表面との間でアークを発生させる放電側電極18と、
(e)前記炉蓋14を上下方向に貫通し、その先端が前記溶湯mの内部に浸漬するように配置され、前記放電側電極18とは異なった極性を有する浸漬側電極20とを具備することを特徴とする
(f)アルミニウムの精製装置10、である。
(a)上面に開口12aが設けられ、その内部に直接或いは坩堝22を介してアルミニウムの溶湯mが収容される炉本体12と、
(b)前記炉本体12の開口12aを開閉する炉蓋14と、
(c)前記炉本体12の内部を真空引きする真空ポンプ16と、
(d)前記炉蓋14を上下方向に貫通し、その先端が前記溶湯mの表面に対面するように配置され、前記溶湯mの表面との間でアークを発生させる放電側電極18と、
(e)前記炉蓋14を上下方向に貫通し、その先端が前記溶湯mの内部に浸漬するように配置され、前記放電側電極18とは異なった極性を有する浸漬側電極20とを具備することを特徴とする
(f)アルミニウムの精製装置10、である。
これらの発明では、アルミニウムの溶湯(以下、単に「溶湯」とも云う)mの加熱手段として、アーク放電を用いているので、金属蒸気によって加熱手段にトラブルが生じる心配はない。つまり、電気ヒータにおける過電流のようなトラブルが生じる虞はない。
また、アーク放電による加熱では、液面(上表面)側から溶湯mを加熱するようになるので、溶湯mの撹拌効果を期待できるような多少の突沸は有るものの、溶湯m全体が爆発的に突沸して危険な状態になったりアルミニウムの歩留が低下したりするのを防止することができる。加えて、溶湯m全体を高温にするのではなく、不純物成分の蒸発を促す上で最も効果的な液面の狭い範囲Hを集中的に加熱することから、係る範囲Hから不純物成分の蒸発を促進させることができると共に、溶湯mの液面と底部との間で温度勾配が生じ、溶湯m内で緩やかな熱対流を生じさせることができる。その結果、別途の撹拌装置が不要となり、精製装置10をシンプル且つコンパクトなものにすることができる。
ここで、アーク放電による加熱を行なう際の溶湯温度は、700〜1000℃の範囲であるのが好ましい。溶湯温度が700℃未満の場合には、アルミニウムに含まれる不純物成分の何れをも蒸発除去するのが困難になり、逆に、溶湯温度が1000℃より高い場合には、不純物成分を十分に蒸発除去することはできるものの、精製装置10を耐熱性の高い高価な材料で構成しなければならず、アルミニウムの精製を経済的に行なうのが困難になるからである。
また、アーク放電による加熱を行なう際の炉内の雰囲気の平均真空度は、20〜1000Paの範囲であるのが好ましく、より好ましくは20〜500Paの範囲である。平均真空度が20Pa未満の場合には、アルミニウムに含まれる不純物成分を十分に蒸発除去することはできるが、このような高い真空度を得るためには、装置全体の気密性を極限まで高めなければならないことから、装置のイニシャルコスト及びランニングコストが増大するようになり、逆に、平均真空度が1000Paよりも高い場合には、アルミニウムに含まれる不純物成分の何れをも蒸発除去するのが困難になるからである。
なお、本発明で云う炉内の雰囲気の「平均真空度」とは、精製装置10(より具体的には真空ポンプ16)の運転開始2分後から10分後まで1分毎に炉内(すなわち炉本体12の内部)の絶対圧を測定し、その測定値を算術平均した値である。
本発明によれば、多少の突沸や熱対流によって溶湯を撹拌できる結果、撹拌装置を必要とせず、又、真空度を著しく下げなくてもアルミニウム溶湯中のZnやMg等と云った不純物成分を除去することができると共に、金属蒸気によるトラブルの発生を極小化することもできる。つまり、作業効率に優れたアルミニウムの精製方法と、係る方法を実行可能な精製装置とを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体例を示しながら詳述する。図1は、本発明のアルミニウムの精製方法を実行するための精製装置10の一例を示す概略図で、この図が示すように、本発明の一実施例のアルミニウムの精製装置10は、大略、炉本体12,炉蓋14,真空ポンプ16,放電側電極18及び浸漬側電極20で構成されている。
なお、本発明のアルミニウムの精製方法及び精製装置10は、アルミニウム・スクラップの精製のみならず、アルミニウム・スクラップ以外の原料の精製にも好適に用いることができる。
炉本体12は、鉄などの耐熱材料で構成され、上面に開口12aが設けられた容器体で、その内部にてアルミニウムの溶湯mを直接、或いは坩堝22を介して収容する。なお、炉本体12の内部にアルミニウムの溶湯mを直接収容する場合には、炉本体12の内部を耐火材など(図示せず)で内張する必要がある。
この炉本体12の側壁上部には、下流端側に真空ポンプ16が接続される排気管路12bの上流端が連通接続されており、又、図1に示すように、炉本体の12の外壁面には、必要に応じて水冷ジャケット12cが装着されている。特に、この水冷ジャケット12cは炉本体12と炉蓋14とが当接するシール面に近い部分を冷却するように装着するのが好ましい。
炉蓋14は、炉本体12の開口12aを開閉するために用いられる蓋体で、鉄などの高耐熱材料で形成されている。この炉蓋14の中心には、保護管24a付きの熱電対24が取り付けられており、炉本体12内に収容した溶湯mの温度が計測できるようになっている。又、この炉蓋14における熱電対24の取付位置を中心とした同一円周上に複数(図示実施例の場合2つ)の電極取付孔14aが穿設されると共に、炉本体12と接する下面外縁部(すなわちシール面)には耐熱性ゴムなどからなる耐熱性のパッキン(図示せず)が取り付けられている。更に、この炉蓋14には図示しない開閉機構が設けられており、炉本体12の開口12aを開閉できるようになっている。なお、熱電対24の取付位置や電極取付孔14aの穿設位置は上述したものに限定されるものではない。
真空ポンプ16は、排気管路12bの下流端側に接続され、炉蓋14で密閉された炉本体12の内部(すなわち炉内)を真空引きして減圧するためのポンプで、油回転ポンプ(ロータリーポンプ)や揺動ピストン型ポンプなどと云った公知のものを使用することができる。なお、この真空ポンプ16が接続される排気管路12bには、金属蒸気となって溶湯から除去されるZn,Mg等の不純物成分を回収するトラップ(図示せず)を設けるようにするのが好ましい。
放電側電極18は、主として黒鉛質材で形成された棒状の電極棒18aと、この電極棒18aの上端側を支持する電力導入端子18bとで構成されている。放電側電極18を構成する電極棒18aは、その先端(下端)が炉本体12内に収容された溶湯mの液面(上表面)と対面するように配置されている。一方、この電極棒18aの後端(上端)は、炉蓋14の電極取付孔14aに気密的に嵌着された電力導入端子18bの下端部に、着脱可能に取り付けられている。そして、この電極棒18aには、電力導入端子18bを通して図示しない電源ユニットから電力が供給されるようになっている。なお、放電側電極18に印加する電圧は直流・交流の何れであってもよく、放電側電極18の極性もプラス(陽極)、マイナス(陰極)の何れであってもよい。
浸漬側電極20は、放電側電極18と同様に主として黒鉛質材で形成された棒状の電極棒20aと、この電極棒20aの上端側を支持する電力導入端子20bとで構成されている。浸漬側電極20を構成する電極棒20aは、その先端(下端)が炉本体12内に収容された溶湯mの内部に浸漬するようにして配置されている。一方、この電極棒20aの後端(上端)は、炉蓋14の電極取付孔14aに気密的に嵌着された電力導入端子20bの下端部に、着脱可能に取り付けられている。そして、この浸漬側電極20には、電力導入端子20bを通して図示しない電源ユニットから電力が供給されるようになっている。なお、浸漬側電極20に印加する電圧も直流・交流の何れであってもよく、浸漬側電極20の極性も放電側電極18の極性と対極になるものであればプラス(陽極)、マイナス(陰極)の何れであってもよい。
以上のように構成された精製装置10を用いてアルミニウム中から不純物成分を除去して精製する際には、まず始めに、アルミニウムを熔解して溶湯mを得る。
続いて、溶湯mを坩堝22に取り、炉蓋14を外して開口12aを解放した炉本体12の内部にこれを収容した後、炉蓋14を取り付けて炉本体12内部を密閉すると共に、電力導入端子18a及び電力導入端子20aを介してこの炉蓋14の下面側に取り付けられている放電側電極18及び浸漬側電極20を所定の位置に配置させる。
そして、放電側電極18及び浸漬側電極20に電圧を印加し、アーク放電にて溶湯mを加熱すると共に、真空ポンプ16を作動させて炉本体12の内部を所定の真空度に減圧して或る一定の期間、保持する。
ここで、上述したように、アーク放電による加熱を行なう際の溶湯温度は、700〜1000℃の範囲であるのが好ましく、その際、炉内の雰囲気(すなわち炉本体12の内部)の平均真空度を20〜1000Paの範囲に保持するのが好ましい。このようにすることで溶湯m中の不純物成分、すなわち蒸気圧の高い元素であるMg,Zn,Cd(カドミウム),Pb(鉛)及びBi(ビスマス)等を溶湯m中から効率よく蒸発除去することができる。
本発明のアルミニウムの精製方法によれば、溶湯mの加熱手段として、アーク放電を用いているので、金属蒸気によって加熱手段にトラブルが生じる心配はない。また、アーク放電による加熱では、液面(上表面)側から溶湯mを加熱するようになるので、溶湯mの撹拌効果を期待できるような多少の突沸は有るものの、溶湯m全体が爆発的に突沸して危険な状態になったりアルミニウムの歩留が低下したりするのを防止することができる。加えて、溶湯m全体を高温にするのではなく、不純物成分の蒸発を促す上で最も効果的な液面の狭い範囲Hを集中的に加熱することから、係る範囲Hから不純物成分の蒸発を促進させることができると共に、溶湯mの液面と底部との間で温度勾配が生じ、溶湯m内で緩やかな熱対流を生じさせることができる。その結果、撹拌装置が不要となり、精製装置10をシンプル且つコンパクトなものにすることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例の精製処理前後におけるアルミニウム中の各元素(具体的には、Mg,Zn,Cd,Pb及びBi)の存在割合の測定は、固体発光分光分析法で行なった。
まず始めに、各実施例とも、準備したアルミニウムの溶湯3kgを坩堝22に取り、これを図1に示すような精製装置10の炉本体12内に収容して密閉した後、真空ポンプ16を作動させて炉本体12内を減圧しながら、溶湯に向けてアーク放電を10分行なった。この際の各実施例における精製条件、すなわち、印加した電圧の種類、放電側電極18の極性、溶湯の処理温度、及び炉内の平均真空度を表1に示す。
なお、溶湯の「処理温度」とは、アーク放電の開始2分後から10分後まで1分毎に熱電対24で溶湯上部の温度を測定し、その測定値を算術平均した値である。又、炉内の「平均真空度」とは、真空ポンプ16の運転開始2分後から10分後まで1分毎に炉内の絶対圧を測定し、その測定値を算術平均した値である。
また、比較例として、実施例と同様に溶湯の加熱にアーク放電を用いているものの絶対圧が高く平均真空度が本発明の範囲外にあるものや、溶湯の加熱方法としてレトルト方式を採用したものも実施した。ここで、溶湯の加熱方法としてレトルト方式のものを採用した比較例では、実施例と同様に準備したアルミニウムの溶湯3kgを坩堝に取り、これを真空容器に収容し、真空容器ごと電気炉に入れて真空ポンプで10分間減圧しながら所定の温度で加熱した。各比較例の精製条件についても実施例と同様、表1に示した。
以上のような条件で処理を行った実施例及び比較例のアルミニウムの精製結果を表2に示す。
この表が示すように、各実施例同士を比較すると、炉内の平均真空度が低い(=高真空状態)程、又、溶湯温度が高い程、MgやZn等の蒸気圧が高い金属元素(すなわち不純物成分)の蒸発除去が促進される傾向が窺える。また、放電側電極の極性がマイナスの実施例7においても放電側電極の極性がプラスの他の実施例と同様に(厳密には、放電側電極の極性がプラスのものに比べて多少除去効率が劣るものの)不純物成分の蒸発除去が行なわれていることから、放電側電極の極性は、プラス、マイナスの何れであってもよい(更に云えば、印加電圧は直流・交流の何れであってもよい)ことが窺える。なお、各実施例の精製処理を行なった際に、電極に過電流が流れる等と云ったような金属蒸気によるトラブルは全く生じなかった。
これに対し、比較例1のように加熱方法としてアーク放電を採用した場合であっても、炉内の平均真空度が本発明範囲外の低真空状態になると、MgやZn等の不純物成分の蒸発除去がほとんど出来なくなることが分かった。また、溶湯の加熱方法以外の条件がほぼ同じである比較例2と実施例2とを比較すると、加熱方法としてアーク放電を採用する実施例2の方が、加熱方法としてレトルト方式を採用する比較例2に比べて、ZnやMg等の不純物成分の蒸発除去量が多く、不純物成分の除去性能に優れていることが窺える。
ここで、加熱方法としてアーク放電を用いるものの方がレトルト方式を採用するものに比べて不純物成分の蒸発除去を促進できる理由としては、不純物成分の蒸発は主に溶湯の液面(上表面)で行なわれるが、アーク放電ではこの液面が選択的に加熱されて高温になる結果、不純物成分が蒸発し易くなるためであると考えられる。
Claims (2)
- 炉内に投入したアルミニウムの溶湯に対してアーク放電による加熱を行いながら、溶湯温度を700〜1000℃、炉内の雰囲気の平均真空度を20〜1000Paに保持することによって、アルミニウムの溶湯中から蒸気圧の高い元素を蒸発除去するアルミニウムの精製方法。
- 上面に開口が設けられ、その内部に直接或いは坩堝を介してアルミニウムの溶湯が収容される炉本体と、
前記炉本体の開口を開閉する炉蓋と、
前記炉本体の内部を真空引きする真空ポンプと、
前記炉蓋を上下方向に貫通し、その先端が前記溶湯の表面に対面するように配置され、前記溶湯の表面との間でアークを発生させる放電側電極と、
前記炉蓋を上下方向に貫通し、その先端が前記溶湯の内部に浸漬するように配置され、前記放電側電極とは異なった極性を有する浸漬側電極とを具備することを特徴とするアルミニウムの精製装置。
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