JP4877156B2 - スパッタリングカソード及び成膜方法 - Google Patents

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本発明は、成膜用スパッタリング装置に用いられるスパッタリングカソード、及びそのスパッタリングカソードを用いた成膜方法に関する。
スパッタリング法に用いられるスパッタリング装置では、膜の原材料からなるスパッタリングターゲットをカソード(陰極)に配置し、基板又は真空チャンバー壁をゼロ基準電極の陽極とし、これらの両電極間に外部電源から電圧を印加して放電を行い、放電プラズマ中のイオンをスパッタリングターゲットに向けて加速させ、その衝撃によりスパッタリングターゲット原子等を飛散させて基板上に薄膜を形成するものである。
このようなスパッタリング装置では、スパッタリングの際にスパッタリングターゲットがイオン衝撃を受けて高温となるため、融解したり割れたりすることがある。また、スパッタリング装置では、高い量産性を得るために、成膜速度を上げることが不可欠であり、このため投入電力を大きくする必要があった。しかしながら、投入電力を大きくすると、スパッタリングターゲットは高温となってしまい、上記した融解や割れの問題が不可避となっていた。
これを避けるために、スパッタリングターゲットの材質によっては、スパッタリングターゲットをバッキングプレートにボンディングし、バッキングプレートの裏面に冷媒(冷却水)を直接接触させて、スパッタリングターゲットの除熱を図ることが行われている。しかし、この直接冷却方式では、スパッタリングカソードの水密が十分でないと、ターゲットなどの取り付け部分から冷媒が真空チャンバー内に漏れ出し、不純物となってスパッタリング膜を汚染してしまう。そのため、カソードの水密を確保する必要があると共に、スパッタリングターゲットの交換作業時にも冷媒の漏れ出しがないように注意する必要があった。
一方、スパッタリングカソードに冷媒による冷却機構を設け、冷却機構の冷却板上にスパッタリングターゲットをクランプ等の固定治具によって取り付けたスパッタリングカソードが提案されている。この手法においては、スパッタリングターゲットは冷却板を介して間接的に冷却されるが、冷媒は冷却機構内を流れるため、スパッタリングカソードから冷媒が漏れ出すことはない。
しかし、この間接冷却方式では、除熱が十分とはいえず、投入電力を大きくした場合に、スパッタリングターゲットが熱で反り、冷却板との接触が十分にとれなくなる。その結果、スパッタリングターゲットが高温になり、均質な成膜ができなくなる場合があった。また、ターゲットからの輻射熱で基板への熱負荷が大きくなり、膜特性が劣化するという問題も発生することがあった。特に、膜を形成する基板にポリイミド等の高分子化合物のフィルムを用いた場合には、基板や膜にしわ等が生じるという不具合があった。
更に、バッキングプレートがボンディングされているスパッタリングターゲットにおいても、ボンディング材の温度が融点以上に達すると、スパッタリング中にスパッタリングターゲットが剥離するという問題が生じる。また、スパッタリングターゲットとバッキングプレートの熱膨張率に大きな差がある場合には、スパッタリング時に過大な熱応力や反りが生じ、スパッタリングターゲットに亀裂や割れを生じたり、ボンディング材の剥離が生じたりすることがあった。
このため、冷却効率を向上させることを目的として、スパッタリングターゲット若しくはバッキングプレートと冷却板との間に、0.2mm程度の厚みのアルミニウム、インジウム、スズ、銅、炭素シート等の熱伝導性薄膜部材を挿入する試みもなされている。しかし、上記した問題点を充分に解決するものではなく、熱により熱伝導性薄膜部材が溶着し、ターゲットやバッキングプレート若しくは冷却板に損傷を与えるなど、新たな問題を発生させることもあった。
上記熱伝導性薄膜部材を用いる例として、特開2001−164361号公報には、バッキングプレートと冷却板の間にシリコーンゴムシートを挿入して、接触熱抵抗を小さくする冷却構造が記載されている。しかし、シリコーンゴムは金属に比べて熱伝導率が小さいうえ、シリコーンゴムが吸着しているガス成分がスパッタリング中に脱離し、スパッタリングガスとのコンタミネーションにより膜質に悪影響を与えることがあった。
特開2001−164361号公報
本発明は、上記した従来の事情に鑑み、投入電力を大きくした場合にも、ボンディング材の融解あるいは熱伝導性薄膜部材の溶着を防ぐことができ、スパッタリングターゲットに亀裂や割れを生じることがなく、しわ等のない高品質の膜を効率よく成膜することができるスパッタリングカソード、及びこれを用いる成膜方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供するスパッタリングカソードは、スパッタリング装置の真空チャンバー内に配置され、真空チャンバー外から供給される冷媒によりスパッタリングターゲット部を冷却する冷却機構を備えるスパッタリングカソードであって、該冷却機構の冷却板とスパッタリングターゲット部とが両者間の外周部に配置したシール部材によって真空チャンバー側と気密に封止されており、該冷却板とスパッタリングターゲット部との気密封止された間隙部に厚さ0.3mm以下の熱伝導性薄膜部材を備えると共に、該隙間部にガスを封入するため真空チャンバー外からガスを導入するガス導入管が接続されていて、封入されるガスの圧力が100〜200,000Paであることを特徴とする。
上記本発明のスパッタリングカソードにおいて、前記スパッタリングターゲット部とは、スパッタリングターゲットのみからなるか、若しくは裏面にバッキングプレートが固定されたスパッタリングターゲットである
本発明によれば、スパッタリングターゲットを従来よりも更に効率よく除熱することができるので、投入電力を大きくした場合にも、ボンディング材の融解や熱伝導性薄膜部材の溶着を防ぐことができ、スパッタリングターゲットに亀裂や割れを生じることがない。しかも、スパッタリングターゲットの温度上昇が抑制されるため、基板に係わらず、しわ等のない高品質の膜を効率よく形成することができる。
本発明のスパッタリングカソードは、冷媒によりスパッタリングターゲット部を冷却する冷却機構を備えるだけでなく、その冷却機構の冷却板とスパッタリングターゲット部の外周部に配置したシール部材により冷却板とスパッタリングターゲット部の間が真空チャンバー側と気密に封止されている。そして、冷却板とスパッタリングターゲット部の間の気密封止された間隙部にガス導入管が接続され、その間隙部に真空チャンバー外からガスを導入して封入するようになっている。
尚、前記スパッタリングターゲット部は、スパッタリングターゲットのみからなるか、バッキングプレートに固定されたスパッタリングターゲットからなる
例えば、スパッタリングターゲット部がスパッタリングターゲットのみである場合、図1に示す具体例のように、スパッタリングターゲット1を冷却する冷却機構は、カソード本体2の上端開放部に冷却板3をボルト等で固定し、真空チャンバーの外部から冷却水配管4、4により冷媒である冷却水を循環させることによって、冷却板3上にクランプ5等で固定したスパッタリングターゲット1を冷却するようになっている。尚、スパッタリングターゲットの冷却機構としては、上記のごとくカソード本体の内部に冷媒を流す構造のほか、カソード本体の内部に冷媒が循環する配管を設けた冷却機構とすることもできる。また、図中の6aは外側マグネット、6bは内側マグネットである。
一般的に、スパッタリングターゲット及び冷却板の表面には不整があり、スパッタリングターゲットと冷却板は点で接触するため、両者の間には微小な間隙が形成されている。この微小な間隙は、スパッタリングターゲットと冷却板の間の熱抵抗を増加させ、結果的にスパッタリングターゲットの温度を上昇させている。そこで、本発明においては、上記スパッタリングターゲットと冷却板の間の間隙部にガスを封入し、ガスの熱伝導によりスパッタリングターゲットと冷却板の間の熱抵抗を下げ、スパッタリングターゲットを効率よく冷却する。
即ち、図1に示すように、スパッタリングターゲット1と冷却機構の冷却板3とは、両者間の外周部に配置したOリング等のシール部材7aによって、真空チャンバー側と気密に封止されている。シール部材7aによって気密封止されたスパッタリングターゲット1と冷却板3の間の間隙部には、ガス導入管8を通して真空チャンバー外からガスが導入されて封入される。その結果、スパッタリングターゲット1と冷却板3の間隙部にガスが存在することによって、スパッタリングターゲット1から冷却板3への熱伝導を向上させることができる。
また、冷却板3とカソード本体2の間の外周部にも、Oリング等のシール部材7bを配置してある。このシール部材7bは、カソード本体2の内部と真空チャンバー側とを気密に遮断するために用いられる。これらのシール部材7a、7bにより、間隙部に封入されたガスや冷却機構の冷媒が真空チャンバー側にリークすることはない。
スパッタリングターゲットと冷却板の間に気密封止された間隙部を形成するためには、シール部材を挟んで両者を圧接する必要がある。スパッタリングターゲットと冷却板を圧接する手段としては、スパッタリングターゲットの外周部を冷却板にボルト等で締付ける手段や、図1に示すようにクランプ5を用いる手段などがある。クランプ5は枠状であり、環状の嵌合爪5aを有している。この嵌合爪5aによりスパッタリングターゲット1の外周部を押さえた状態で、ボルト等を用いてカソード本体2にクランプ5を固定する。
上記スパッタリングターゲットと冷却板の間隙部に封入されるガスとしては、真空チャンバー側にリークしてもコンタミネーションの発生がないように、スパッタリングガスと同一のガスを用いることが好ましい。また、水素、ヘリウムなどの熱伝導率の高いガスを用いることによって、より顕著な冷却効果の向上を図ることができる。尚、上記シール部材は、真空チャンバー側との気密封止が可能なものであればよく、Oリングに限定されることはない。また、冷媒としては、水、有機溶媒、ガス等を適宜選択することができる。
上記スパッタリングターゲットと冷却板の間隙部にガスを封入する場合、まず間隙部に残っている空気をガス導入管から排出し、その後、間隙部に所望のガスを封入する。間隙部に封入するガスの圧力としては、少なくとも真空チャンバー内の圧力(0.1〜10Pa)よりも高くすることで間隙部の熱伝導が向上し、スパッタリングターゲットの温度上昇を抑制することができるが、絶対圧力100Paから200,000Paが望ましい。
上記圧力が100Pa未満では、熱伝導に寄与するガスが少ないため十分な冷却効果がない。また、ガス圧力が200,000Paを超えると、スパッタリングターゲットが冷却板から離れてしまい、スパッタリングターゲットと冷却板の点接触も消滅するため、やはり十分な冷却効果が得られない。即ち、スパッタリングターゲットに用いられる金属の室温での金属の熱伝導率は、アルゴンなどのガスの熱伝導率よりも2桁以上も大きいため、封入されたガスの圧力でスパッタリングターゲットと冷却板の点接触がなくなると、金属間での熱伝導が発生しなくなり、封入されたガスのみでスパッタリングターゲットの熱を冷却板に伝達することになるため、冷却効果は著しく低下するのである。
尚、図1には冷却水配管4と同軸に配置したガス導入管8を例示したが、両者を同軸に配置する必要はない。ガス導入管には圧力計が取り付けられ、排気及びガスの封入圧力を知ることができる。ガス導入管は、間隙部を排気する真空ポンプと、間隙部にガスを供給するガス供給機構に接続し、それぞれ弁により開閉が切り替えられるようになっている。また、間隙部にガスを封入する作業性に応じて、あるいは排気用と供給用に分けることで、複数のガス導入管を設けることができる。
本発明によるスパッタリングカソードの別の具体例を、図2〜3に示す。図2は、スパッタリングターゲット1と冷却板3の間に熱伝導性薄膜部材9を挿入した場合である。また、図3は、バッキングプレート10にボンディングしたスパッタリングターゲット1を用いると共に、バッキングプレート10と冷却板3の間に熱伝導性薄膜部材9を挿入した場合である。尚、図2及び図3においては、図1の場合と実質的に同じ部分には、図1と同じ符号を付してある。
図2のスパッタリングカソード部では、スパッタリングターゲット1と冷却板3の間に、熱伝導性薄膜部材9が挿入してある。熱伝導性薄膜部材9は、公知のものであって良く、例えばアルミニウム、インジウム、スズ、銅、炭素シート等を用いることができる。熱伝導性薄膜部材9の表面も上記冷却板と同様に不整であり、スパッタリングターゲット1と点接触している。従って、このスパッタリングターゲット部の熱伝導性薄膜部材9と冷却板3との間の間隙部に、上記と同様にガス導入管8を通してガスを封入することで、熱伝導を向上させることができる。
また、上記熱伝導性薄膜部材の厚みは、0.3mm以下であることが好ましい。熱伝導性薄膜部材の厚みが0.3mmを超えると、熱伝導性薄膜部材が硬くなり、歪みや変形がある場合にはスパッタリングターゲットや冷却板への圧接が難しくなるため、結果的にスパッタリングターゲットの冷却を阻害するからである。
また、図3のスパッタリングカソードでは、スパッタリングターゲット部として、ボンディング材11でバッキングプレート10にボンディングされたスパッタリングターゲット1を用いている。バッキングプレートは、公知のものであって良く、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス等の合金から作製することができる。また、ボンディング材11としては、インジウム合金やスズ合金系の公知のボンディング材を用いることができる。
尚、図3はスパッタリングターゲット1のバッキングプレート10と冷却板3の間に熱伝導性薄膜部材9を挿入した例であるが、バッキングプレート10と冷却板3が直接接触していてもよい。バッキングプレートの表面も上記冷却板と同様に不整であり、スパッタリングターゲットと点接触しているため、このスパッタリングターゲット部のバッキングプレートと冷却板との間の間隙部に、上記と同様にガス導入管を通してガスを封入することで、熱伝導を向上させることができる。
スパッタリングターゲットとしては、成膜すべき膜の組成に応じて選択することができ、例えば、銅、アルミニウム、クロメル、コンスタンタン、ニクロム等の公知の合金等、若しくは、ITO等の公知の酸化物などから作製することができる。また、スパッタリングターゲットの形状や大きさは、略円形や略長方形などであり、スパッタリングカソードや真空チャンバーの形状や大きさに応じて適宜選択されるものである。
上記した本発明のスパッタリングカソードは、ロールコーター式のスパッタリング装置のほか、枚葉式(バッチ式)のスパッタリング装置にも用いることができる。いずれのスパッタリング装置の場合にも、本発明のスパッタリングカソードは真空チャンバー内に設置され、真空チャンバーには真空排気管及びアルゴンなどの不活性ガスが導入されるキャリアガス導入管が接続されている。
尚、スパッタリング装置において、基板をアノードとするか、真空チャンバーの内壁をアノードとするかは、適宜選択することができる。スパッタリングカソードと基板の位置関係は、プラズマが発生する範囲で適宜選択されるものである。また、キャリアガスには、アルゴンなど公知のガスを用いることができ、ガス圧力などのスパッタリング条件も適宜設定することができる。スパッタリング装置を動作させる手順も、公知の手順に従うことができる。
本発明のスパッタリングカソードを搭載したスパッタリング装置においても、スパッタリングターゲット部と冷却板の間隙部にガスを封入する点を除き、成膜方法自体は通常の方法に従って実施することができる。即ち、真空チャンバーを到達圧力10−3Paまで減圧した後、0.1〜10Paとなるようにアルゴンガスを真空チャンバーに導入する。真空チャンバー内の圧力が0.1Pa未満では、イオンが少なくなり成膜が安定しない。一方、10Paを超えると、プラズマが拡散するためスパッタリング膜への不純物の汚染が生じやすくなる。
次に、スパッタリングカソードに−600Vとなる電位を印加して、スパッタリングターゲットの不純物を除去する。スパッタリングターゲットの不純物を除去した後、スパッタリングカソードに適宜電力を供給して放電させることにより、放電プラズマ中のイオンをスパッタリングターゲットに衝突させ、その衝撃によりスパッタリングターゲット原子等を飛散させて、基板上に薄膜を形成する。この操作を所定時間続け、所定の厚さの膜を基板上に形成することができる。
本発明のスパッタリングカソードは、ロールコーター式のスパッタリング装置で樹脂フィルムなどに成膜できるほか、枚葉式スパッタリング装置を用いてガラス基板、セラミックス基板、シリコン基板、樹脂基板等に成膜することも可能である。従って、本発明のスパッタリングカソードを備えたスパッタリング装置は、プラズマディスプレイパネルや液晶ディスプレイパネル等のディスプレイデバイスや、半導体等デバイスの製造装置として、好適に用いることができる。
[実施例1]
ロールコーター式スパッタリング装置に、図2に示すスパッタリングカソードを搭載した。スパッタリングターゲットは450mm×150mm×10mmの板状のNi−30Crであり、スパッタリングターゲットと冷却板の間に熱伝導性薄膜部材として厚さ0.1mmのアルミニウムシートを挿入した。また、幅460mm×厚み40μmの長尺ポリイミドフィルムを基板とし、スパッタリングターゲットと基板の距離は100mmとした。
スパッタリングターゲット部の熱伝導性薄膜部材と冷却板との間の間隙部に、ガス導入管からアルゴンガスを供給し、圧力100,000Paで封入した。直流スパッタリング法により、圧力0.4PaのArをキャリアガスとし、到達圧力10−3Paのスパッタリング条件で、スパッタリング膜の膜厚が10nmとなるように長尺ポリイミドフィルムの搬送速度と投入電力を調整した。その際、投入電力を10W/cm、15W/cm、20W/cm、25W/cmと1時間ずつ段階的に上げ、それに伴って搬送速度を下記表1に示す値に変えながら、連続的にスパッタリングを実施した。
Figure 0004877156
この結果、投入電力を25W/cmまで投入しても、熱伝導性薄膜部材であるアルミニウムシートの溶着は認められなかった。また、成膜後のスパッタリング膜及び基板には、成膜ムラやしわがないことを目視で確認した。冷却効率を次式より求めたところ、87%であった。尚、冷却効率が85%未満では、熱伝導性薄膜部材とスパッタリングターゲットとの溶着が発生する。
冷却効率(%)=100×冷却水に移動した熱量/スパッタリングカソードに投入した電力量
上記の式において、冷却水に移動した熱量は、水温と温度上昇値と流量と冷却水の比重から算出できる。
[実施例2]
ロールコーター式スパッタリング装置に、図3に示すスパッタリングカソードを搭載した。スパッタリングターゲットは450mm×130mm×10mmの板状のNi−30Crであり、その裏面には452mm×150mm×5mmの銅製のバッキングプレートがインジウムからなるボンディング材でボンディングしてある。また、バッキングプレートと冷却板の間には、熱伝導性薄膜部材として厚さ0.1mmのアルミニウムシートを挿入した。
上記実施例1と同様にしてスパッタリングを実施した結果、25W/cmの投入電力まで、ボンディング材及びアルミニウムシートの溶着は認められず、冷却効率も90%であった。また、成膜後のスパッタリング膜及び基板には、成膜ムラやしわがないことを目視で確認した。
参考例
熱伝導性薄膜部材を使用せず、スパッタリングターゲット裏面のバッキングプレートを冷却板上に直接配置したこと以外は、上記実施例2と同様にしてスパッタリングを実施した。その結果、投入電力を25W/cmまで投入しても、ボンディング材の溶融は認められず、冷却効率も87%であった。また、成膜後のスパッタリング膜及び基板には、成膜ムラやしわがないことを目視で確認した。
[比較例1]
図2に示すスパッタリングカソードにおいて、スパッタリングターゲット部と冷却板の間の間隙部にガスを封入しなかった以外は、上記実施例1と同様の方法によりスパッタリングを実施した。
その結果、20W/cmまでの投入電力を投入している際に、冷却効率が80%まで低下し、その値も途中不安定になる場合があった。この時点でスパッタリングを停止し、スパッタリングターゲットを取り外したところ、熱伝導性薄膜部材であるアルミニウムシートの一部がスパッタリングターゲット裏面に溶着していた。また、成膜後の基板には、しわが目視で確認された。
[比較例2]
図3に示すスパッタリングカソードにおいて、スパッタリングターゲット裏面のバッキングプレートと冷却板の間の間隙部にガスを封入しなかった以外は、上記実施例2と同様の方法によりスパッタリングを実施した。
その結果、15W/cmまでの投入電力を投入している際に、冷却効率が80%まで低下した。この時点でスパッタリングを停止し、スパッタリングターゲットを取り外したところ、ボンディング材が溶融し、スパッタリングターゲットの一部がバッキングプレートから剥がれていた。また、成膜後の基板には、しわが目視で確認された。
上記実施例1〜3によれば、本発明のスパッタリングカソードは、ガスの封入によるスパッタリングターゲット部の除熱の向上により、スパッタリングターゲット等の溶着が発生せず、冷却効率も85%を超える望ましい値を示し、得られたスパッタリング膜にも何ら問題が生じていないことが分る。
一方、比較例1〜2においては、スパッタリングターゲット部と冷却板との間隙部にガスを封入していないので、投入電力が高くなると冷却効率が85%未満になり、熱伝導性薄膜部材の溶着や、熱によるスパッタリングターゲットの剥離の問題が生じ、得られたスパッタリング膜にはしわが発生した。
[実施例
ロールコーター式スパッタリング装置に、図2に示すスパッタリングカソードを搭載した。スパッタリングターゲットは450mm×150mm×10mmの板状のNi−30Crであり、スパッタリングターゲットと冷却板の間に熱伝導性薄膜部材として厚さ0.1mmのアルミニウムシートを挿入した。また、幅460mm×厚み40μmの長尺ポリイミドフィルムを基板とし、スパッタリングターゲットと基板の距離は100mmとした。
スパッタリングターゲット部の熱伝導性薄膜部材と冷却板の間隙部に、アルゴンガスを下記表2に示す各圧力で封入した。直流スパッタリング法により、圧力0.4PaのArをキャリアガスとし、到達圧力10−3Pa、投入電力10W/cmのスパッタリング条件で、1時間スパッタリングを実施した。1時間経過後のスパッタリングターゲットの温度を蛍光式光ファイバー温度計で測定し、その結果を下記表2及び図4に示した。
Figure 0004877156
この結果から分るように、封入ガスの圧力が100Pa〜200,000Paである試料1〜5は、スパッタリングターゲットの温度が160℃以下となり、スパッタリングターゲット部に溶着の問題は生じなかった。しかし、比較例の試料6〜7によれば、封入ガスの圧力が100Pa未満か、若しくは200,000Paを超えるため、スパッタリングターゲット部の除熱が不十分となり、スパッタリングターゲットの温度が200℃を示し、溶着が発生した。
本発明によるスパッタリングカソードの一具体例を示す概略の断面図である。 本発明によるスパッタリングカソードの他の具体例を示す概略の断面図である。 本発明によるスパッタリングカソードの別の具体例を示す概略の断面図である。 アルゴンガスの封入圧力とスパッタリングターゲットの温度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 スパッタリングターゲット
2 カソード本体
3 冷却板
4 冷却水配管
5 クランプ
5a 嵌合爪
6a 外側マグネット
6b 内側マグネット
7a、7b シール部材
8 ガス導入配管
9 熱伝導性薄膜部材
10 バッキングプレート
11 ボンディング材

Claims (2)

  1. スパッタリング装置の真空チャンバー内に配置され、真空チャンバー外から供給される冷媒によりスパッタリングターゲット部を冷却する冷却機構を備えるスパッタリングカソードであって、該冷却機構の冷却板とスパッタリングターゲット部とが両者間の外周部に配置したシール部材によって真空チャンバー側と気密に封止されており、該冷却板とスパッタリングターゲット部との気密封止された間隙部に厚さ0.3mm以下の熱伝導性薄膜部材を備えると共に、該隙間部にガスを封入するため真空チャンバー外からガスを導入するガス導入管が接続されていて、封入されるガスの圧力が100〜200,000Paであることを特徴とするスパッタリングカソード。
  2. 前記スパッタリングターゲット部が、スパッタリングターゲットのみからなるか、若しくは裏面にバッキングプレートが固定されたスパッタリングターゲットであることを特徴とする、請求項1に記載のスパッタリングカソード。
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