JP3566483B2 - 端子取付け構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変抵抗器等の電気部品に備えられる基板への端子取付け構造に係り、特に、クリップ状の端子を用いた端子取付け構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば可変抵抗器においては、基板の表面に抵抗体と集電体が形成され、この基板上を摺動子が移動することにより、抵抗体と集電体の端部から抵抗値の変化が検出されるようになっており、基板には抵抗体と集電体の端部に接続される複数の端子が取付けられている。従来より、このような端子の取付け構造として、端子を基板に鳩目かしめや半田付けしたものが知られているが、これらは作業性に難点があり自動化に不向きである。また、これらの鳩目かしめや半田付け作業を不要にした端子取付け構造として、実開平2−118902号公報に記載されているように、クリップ状の端子を用いたものが知られている。
【0003】
図9はかかるクリップ状端子を用いた従来の端子取付け構造を示す分解斜視図、図10は該端子取付け構造の断面図である。これらの図に示すように、基板1の表面には抵抗パターン2と集電パターン3が同心円状に形成されており、これら抵抗パターン2と集電パターン3の端部にAg等の導電性材料からなる接続部2a,3aが塗布されている。各接続部2a,3aにはそれぞれ端子4が接続されており、これら端子4は基板1を挾持する弾性片4aと該弾性片4aから後方へ延びる脚片4bとを有し、弾性片4aと脚片4bは金属板から一体形成されている。弾性片4aは3つの部分に分岐され、中央の弾性片4aと両側2つの弾性片4aとは互いに反対方向へ折曲げられており、全体的にクリップ状に形成されている。そして、各端子4のクリップ状の弾性片4aを基板1に嵌め込むと、両側2つの弾性片4aが接続部2a(または3a)に弾接し、中央の弾性片4aが基板1の裏面に弾接するため、各端子4は対応する接続部2a(または3a)に電気的に接続した状態で基板1に取付けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、基板1に取付けられる端子4は接続部2a,3aの数分だけ必要であり、単品の端子4を基板1に1本ずつ取付けると作業性が悪いため、必要とされる全ての端子4を予めアウトサート成形にて保持体に一体化し、一度に全ての端子4を基板1に取付けることが要望されている。
【0005】
しかしながら、前述した従来の端子取付け構造では、基板1を挾持する端子4のクリップ部が、脚片4bの先端を互いに反対方向へ折曲げた3つの弾性片4aで構成された複雑な形状をしているため、端子4を成形用金型に供給して保持体をアウトサート成形することが困難であった。また、各弾性片4aの板面が基板1の表面または裏面に弾接しているため、各弾性片4aの幅寸法を小さくするのに限界があり、しかも、各弾性片4aは互い違いに折曲げられてクリップ状に形成されているため、端子4全体の幅寸法を小さくすることが困難で、接続部2a,3aの狭ピッチ化に対応できないという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、端子を平板状に形成してクリップ部と脚片とを同一平面内に位置させ、このような端子をそれぞれの板面が互いに対向するように垂直に並べて保持体に保持させることとする。このように構成すると、保持体をアウトサート成形する際に、成形用金型の型閉めまたは型開き方向に対して端子のクリップ部が邪魔にならず、必要とされる全ての端子を予めアウトサート成形にて保持体に一体化させることができる。また、各端子を基板へ取付けた状態で、各端子と基板の板面は略直交するため、接続部の狭ピッチ化に対応することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の端子取付け構造では、導電パターンが形成された基板と、前記導電パターンの接続部に接続される金属板製の複数の端子と、これら端子にアウトサート成形された合成樹脂製の保持体とを備え、前記端子は前記基板を挾持するクリップ部と該クリップ部から延びる脚片とを同一平面内に有し、これら端子をその板面が互いに対向するように前記保持体に保持した。このように構成すると、必要とされる全ての端子を一度に基板へ取付けることができると共に、接続部の狭ピッチ化に対応することができ、さらに、端子を金属平板の打ち抜き加工によって簡単に形成することができる。
【0008】
前記基板は可変抵抗器や各種スイッチ等の回路基板として用いることができ、例えば可変抵抗器の場合は抵抗基板であり、各種スイッチの場合はスイッチ基板である。また、前記導電パターンの本数は必要に応じて適宜増減することができ、例えば抵抗基板の場合は、導電パターンである抵抗パターンと集電パターンの組を、抵抗回路の連数に応じて適宜増減することができる。
【0009】
前記クリップ部は脚片と同一平面内に形成されていればどのような形状でも良いが、特に、クリップ部を剛体片とこれに対向する弾性片とで構成すると、端子と基板とが剛体片を基準に位置決めされるため、各端子と基板との相対的な位置精度を高めることができる。
【0010】
また、前記保持体に基板の表裏両面に対向する複数の規制突起を設けると、基板と保持体との相対的な位置ずれが規制突起によって防止されるため、端子のクリップ部に無理な力が加わらず、良好な接触状態を維持することができる。
【0011】
また、前記保持体に複数の端子の両側に位置するスナップ片を設け、これらスナップ片を基板の両側縁にそれぞれ係止すると、各端子の取付け作業が簡単になると共に、保持体と端子および基板の相対位置が変わらないため、接触の信頼性を高めることができる。
【0012】
また、前記基板を支持する枠体を備え、この枠体に前記スナップ片の拡がりを防止する規制部を設けると、外力によって保持体が基板から脱落することを防止することができる。この規制部は専用のものでも良いが、枠体をプリント基板上に自立させる自立脚を規制部として利用すると、規制部の機械的強度を高めることができると共に、構造の複雑化を防止することができる。
【0013】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は実施例に係る可変抵抗器の断面図、図2は該可変抵抗器の正面図、図3は該可変抵抗器に備えられる基板と端子の取付け状態を示す正面図、図4は該端子の正面図、図5は該端子のばね特性を示す説明図、図6は該端子を一体化した保持体の平面図、図7は該保持体の正面図、図8は該保持体の成形用金型を示す断面図である。
【0014】
図1と図2に示すように、実施例に係る可変抵抗器は、金属板製の枠体10と、枠体10に回転可能に支承された合成樹脂製の操作体11と、操作体11にクリック感触を付与するクリックばね12と、操作体11に取付けられた摺動子板13と、枠体10に固定された基板14と、基板14に取付けられた複数本の端子15と、これら端子15を保持する合成樹脂製の保持体18とで主に構成されている。
【0015】
枠体10の側面には内方へ突出するストッパ10aが形成されており、この側面を介して対向する一面は開放し、その開放端から一対の自立脚10bが突出している。また、枠体10の他面には円筒状の軸受部10cが突出形成されると共に、内部にリング状のクリックばね12が係止されている。操作体11には円柱状の軸部11aと該軸部11aより大径の受部11bとが一体成形されており、軸部11aは軸受部10cから枠体10の外方へ突出している。受部11bの先端には小径の突起11cが形成されており、突起11cは基板14に穿設された円孔14aに嵌合している。受部11bに実施例では2枚の摺動子板13がかしめ等の手段で固定されており、各摺動子板13にはそれぞれ2つの摺動子片13aが形成されている。操作体11は枠体10の軸受部10cと基板14の円孔14aをガイド部として回転可能であるが、受部11bの周面に形成された図示せぬ突起がストッパ10aに当接することにより、その回転角度は360度以内に規制されている。また、操作体11の回転操作時に、クリックばね12の凸部が受部11bに形成された凹部(いずれも図示省略)と係脱することにより、クリック感触が生起される。
【0016】
図3に示すように、基板14の表面には抵抗パターン16と集電パターン17が印刷されており、実施例では2連用として2本の抵抗パターン16と2本の集電パターン17が形成されている。これら抵抗パターン16と集電パターン17は円孔14aを中心として同心円状に配置されており、外側2つの抵抗パターン16と集電パターン17上を一方の摺動子板13に形成された2つの摺動子片13aがそれぞれ摺動し、内側2つの抵抗パターン16と集電パターン17上を他方の摺動子板13に形成された2つの摺動子片13aがそれぞれ摺動する。各抵抗パターン16と集電パターン17は基板14の縁部まで引き回されており、それらの端部にAg等の導電性材料からなる接続部16a,17aが形成されている。各接続部16a,17aにはそれぞれ端子15が接続されており、後述するように各端子15は基板14に取付けられている。各端子15はアウトサート成形により合成樹脂製の保持体18に一体化されており、この保持体18は両側のスナップ片18aを用いて基板14に固定されている。なお、基板14は枠体10の開放面にかしめ等の適宜手段で固定されるが、図2に示すように、保持体18のスナップ片18aの外側に枠体10の自立脚10bが位置しているため、スナップ片18aが外側へ拡がることはなく、保持体18および各端子15の基板14からの脱落が防止されている。
【0017】
図4に示すように、前記端子15はリン青銅等の弾性に富む金属平板をプレスで打ち抜き加工することによって形成されており、クリップ部を構成するL字状の剛体片15aおよび弾性片15bと、このクリップ部から直線的に延びる脚片15cとを有している。なお、プレス後の端子15には、切断面を含む全面に錫メッキ等のメッキ処理が施され、接触の信頼性と良好な半田付け性が確保されている。これら剛体片15aと弾性片15bおよび脚片15cの各板面は同一平面内にあり、端子15の輪郭は全て切断面となっている。弾性片15bは途中の反転部で方向転換され、その先端が所定の間隔を存して剛体片15aと対向しており、この間隔は基板14の厚さ寸法よりも小さく設定されている。したがって、この弾性片15bは全体的に小型でありながら、その基端から先端までのばねスパンは十分に長く設定されている。
【0018】
図6と図7に示すように、複数の端子15はそれぞれの板面が互いに対向するよう垂直に並べられた状態でアウトサート成形され、剛体片15aと弾性片15bの接続部分が保持体18に埋設されることで、各端子15は保持体18に一体的に保持されている。この保持体18にはその両端に前記スナップ片18aが一体成形されると共に、実施例では4本の規制用突起18bが立設されており、また、各端子15の配列ピッチは各接続部16a,17aの配列ピッチとほぼ同じに設定されている。これら突起18bのうち、外側2つの突起18bと内側2つの突起18bとの間には基板14の板厚と同程度、またはそれよりも若干広めのスペースが確保されている。
【0019】
図8に示すように、前記保持体18の成形用金型は上型20と下型21を備えており、上型20にはその型開き方向に沿って複数の溝20aが設けられ、これら溝20aはパーティングラインPLに達している。したがって、保持体18のアウトサート成形時に、各端子15のクリップ部は溝20a内に収納され、上型20の型閉めおよび型開き方向に対して邪魔にならないため、上型20と下型21を図6の一点鎖線で示すパーティングラインPLで突き合わせることにより、各端子15を一体化した保持体18を成形することができる。なお、実施例では上型20にのみ溝20aが設けられているが、弾性片15bとの当接を回避するための溝を下型21に設けても良い。
【0020】
このように保持体18に一体化された各端子15を基板14に取付けるのに際しては、各端子15の剛体片15aと弾性片15bとの間に基板14を嵌め込み、保持体18の両スナップ片18aを基板14に固定する。これにより、剛体片15aの切断面が基板14の裏面に当接すると共に、弾性片15bが撓んで基板14の表面に弾接するため、端子15は対応する接続部16a(または17a)に電気的に接続した状態で基板14に取付けられ、また、接続部16a,17a以外の部位で基板14が保持体18の各突起18b間に嵌め込まれる。その際、基板14は弾性片15bの撓みに伴う反力で剛体片15aの切断面に圧接され、この方向に対して剛体片15aは十分に大きな剛性を有して変形しないため、基板14と端子15の相対位置は剛体片15aを基準に正確に位置決めされる。しかも、基板14の表裏両面に各突起18bが対向しているため、基板14を変形させるような外力が作用したとしても、その変形は各突起18bによって防止されるため、各端子15のクリップ部(剛体片15aと弾性片15)には無理な力が加わらず、良好な接触状態を維持することができる。また、端子15の各部は平坦状に形成され、その板厚方向の切断面が接続部16a,17aの配列方向に沿って露出するため、基板14と各端子15の板面は互いに略直交した状態で取付けられ、接続部16a,17aの狭ピッチ化に対応することができる。なお、このように弾性片15bが撓むと、その曲げ応力は弾性片15bの反転部に集中するため、端子15を打ち抜き加工する際に、原材料である金属平板の圧延方向を図4の矢印A−A方向に設定している。
【0021】
図5は前記端子15の原材料として板厚が0.3mmのリン青銅板を用いた場合のばね特性を示す説明図であり、横軸は弾性片15bの撓み量、縦軸は弾性片15bの圧力を示している。同図から明らかなように、弾性片15bは使用高さである0.2mmの撓み量で約150gの圧力を生じ、実用上問題とならない程度の接点圧を得ることができる。
【0022】
上記の如く構成された可変抵抗器は、図1に示すように、一対の自立脚10bを用いてプリント基板19上に実装され、各端子15の脚片15cはプリント基板19の図示せぬランド部に半田付けされる。この状態で操作体11を回転操作すると、両摺動子板13の各摺動子片13aが対応する抵抗パターン16と集電パターン17上を摺動し、その摺動位置に応じた抵抗値の変化が各端子15を介して検出される。
【0023】
なお、端子15のクリップ部の形状は上記実施例に限定されず、種々の変形例を採用することが可能であり、例えば、剛体片15aと弾性片15bを同様の形状にし、基板14の表裏両面に端子15のクリップ部を弾接させるようにしても良い。
【0024】
また、上記実施例では、操作体11がプリント基板19に対して水平なホリゾンタルタイプの可変抵抗器を例示して説明したが、端子15の脚片15cを直角に曲げれば、操作体11がプリント基板19に対して垂直なバーチカルタイプの可変抵抗器にも適用することができる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0026】
導電パターンが形成された基板と、前記導電パターンの接続部に接続される金属板製の複数の端子と、これら端子にアウトサート成形された合成樹脂製の保持体とを備え、前記端子は前記基板を挾持するクリップ部と該クリップ部から延びる脚片とを同一平面内に有し、これら端子をその板面が互いに対向するように前記保持体に保持すると、必要とされる全ての端子を保持体に一体化できるため、各端子を基板へ取付ける作業が簡単になると共に、接続部の狭ピッチ化に対応することができ、さらに、端子を金属平板の打ち抜き加工によって簡単に形成することができる。
【0027】
また、前記クリップ部を剛体片とこれに対向する弾性片とで構成すると、端子と基板とが剛体片を基準に位置決めされるため、各端子と基板との相対的な位置精度を高めることができる。
【0028】
また、前記保持体に基板の表裏両面に対向する複数の規制突起を設けると、基板と保持体との相対的な位置ずれが規制突起によって防止されるため、端子のクリップ部に無理な力が加わらず、良好な接触状態を維持することができる。
【0029】
また、前記保持体に複数の端子の両側に位置するスナップ片を設け、これらスナップ片を基板の両側縁にそれぞれ係止すると、各端子の取付け作業が簡単になると共に、保持体と端子および基板の相対位置が変わらないため、接触の信頼性を高めることができる。
【0030】
また、前記基板を支持する枠体を備え、この枠体に前記スナップ片の拡がりを防止する規制部を設けると、外力によって保持体が基板から脱落することを防止することができる。この規制部は専用のものでも良いが、枠体をプリント基板上に自立させる自立脚を規制部として利用すると、規制部の機械的強度を高めることができると共に、構造の複雑化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る可変抵抗器の断面図である。
【図2】該可変抵抗器の正面図である。
【図3】該可変抵抗器に備えられる基板と端子の取付け状態を示す正面図である。
【図4】該端子の正面図である。
【図5】該端子のばね特性を示す説明図である。
【図6】該端子を一体化した保持体の平面図である。
【図7】該保持体の正面図である。
【図8】該保持体の成形用金型を示す断面図である。
【図9】従来の端子取付け構造を示す分解斜視図である。
【図10】該端子取付け構造の断面図である。
【符号の説明】
10 枠体
10b 自立脚
14 基板
15,20 端子
15a,20a 剛体片
15b,20b 弾性片
15c,20c 脚片
16 抵抗パターン
17 集電パターン
16a,17a 接続部
18 保持体
18a スナップ片
18b 突起
19 プリント基板
20 上型
20a 溝
21 下型
Claims (5)
- 導電パターンが形成された基板と、前記導電パターンの接続部に接続される金属板製の複数の端子と、これら端子にアウトサート成形された合成樹脂製の保持体とを備え、
前記端子は前記基板を挾持するクリップ部と該クリップ部から延びる脚片とを同一平面内に有し、これら端子をその板面が互いに対向するように前記保持体に保持し、
前記保持体に前記基板の表裏両面に対向する複数の規制突起を設けたことを特徴とする端子取付け構造。 - 導電パターンが形成された基板と、前記導電パターンの接続部に接続される金属板製の複数の端子と、これら端子にアウトサート成形された合成樹脂製の保持体とを備え、
前記端子は前記基板を挾持するクリップ部と該クリップ部から延びる脚片とを同一平面内に有し、これら端子をその板面が互いに対向するように前記保持体に保持し、
前記保持体に前記複数の端子の両側に位置するスナップ片を設け、これらスナップ片を前記基板の両側縁にそれぞれ係止したことを特徴とする端子取付け構造。 - 請求項2の記載において、前記基板を支持する枠体を備え、この枠体に前記スナップ片の拡がりを防止する規制部を設けたことを特徴とする端子取付け構造。
- 請求項3の記載において、前記規制部が前記枠体をプリント基板上に自立させる自立脚であることを特徴とする端子取付け構造。
- 導電パターンが形成された基板と、前記導電パターンの接続部に接続される金属板製の複数の端子と、これら端子にアウトサート成形された合成樹脂製の保持体とを備え、
前記端子は前記基板を挾持するクリップ部と該クリップ部から延びる脚片とを同一平面内に有し、これら端子をその板面が互いに対向するように前記保持体に保持し、
前記クリップ部が前記基板の一面に当接する剛体片と前記基板の他面に弾接する弾性片とで構成されていることを特徴とする端子取付け構造。
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