JP3566359B2 - 裏込め注入材料 - Google Patents
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- Y02W30/91—Use of waste materials as fillers for mortars or concrete
Description
【0001】
この発明は、シールド工法でトンネル等を掘削する場合の裏込め注入材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
シールド工法による各種トンネル工事では、掘削された地山とライニングの外径の隙間を埋める為、裏込め材料を注入しなければならない。この裏込め材料として、従来は、豆砂利、コンクリート、セメントモルタル、セメントエアーモルタル、或いはセメントミルク等が使用されてきた。しかし、これらの材料は、長距離圧送性に劣る事や、初期強度が小さく、裏込め材料注入後の地山の沈下量が大きくなる等の欠点があった。そこで、最近では、流動性に優れるセメントスラリー液(A液)と珪酸ソーダ水溶液(B液)を注入直前に混合し、直ちに、ゲル化させて裏込め注入し、初期強度発現性に優れる、2液混合型の裏込め材料が多く使用されている。
【0003】
ここで、使用されるA液は、硬化材の各種セメント、水、各種増粘材、及び各種遅延剤等から構成される場合が多い。A液を注入性、流動性に優れた材料とする為には、水分量をより増加させる必要があるが、一般にブリージング率が高くなり、A液圧送管内で固結しやすくなったりして、均一な裏込め材料となりにくい。従って、増粘材が材料分離を低減させる為に配合されている。しかし、増粘材を使用すると、遅延剤を可使時間を調整する為に配合しているにも係わらず、セメント量に対して遅延剤を十分に添加しても、A液可使時間が比較的短くなり、流動性も劣化する。
【0004】
又、裏込め材料の要求強度は、近年、益々高く設定されるようになってきているが、要求強度達成する為に、1)硬化材量を増加させると、A液流動性が悪化し、又、A液とB液混合後の注入性が劣る。2)B液混合量を増加させると、アルカリ溶出量が高くなり環境衛生上好ましくなく、長期強度発現性にも不安が残る。3)増粘材を増加させても、大きな強度増進は期待できず、流動性にも劣る等、強度発現性は、何らかの裏込め特性を犠牲にしない限り、いずれの方法でも解決できない。
【0005】
このように、従来のセメント系2液混合裏込め材料では、A液特性(流動性、可使時間特性、材料分離性)や、強度発現性等の、すべての要求裏込め特性を同時に達成することは非常に難しい。したがって、従来の裏込め材料は、各施工状況毎に、優先すべき裏込め要求特性を決定し、この特性のみを満足する配合で使用されているのが現状である。
【0006】
又、硬化材として、一部セメントと置き換えてフライアッシュやスラグ等を混入する裏込め材も使用されているが、この場合は、1ヵ月材令までの各特性が、セメント系と同等になるように、セメントへの混入量を少なくして使用することが多く、裏込め材の要求特性が改善されているとはとても言い難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、従来の裏込め材料の欠点を解消し、A液が十分な流動性を有し、可使時間特性に優れている事は勿論、A液とB液混合後の、強度発現性(短期、長期強度)、注入性に優れた裏込め注入材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、フライアッシュとセメントの混合硬化材を、水に混合したスラリー液(A液)と珪酸ソーダ水溶液(B液)の2液混合型裏込め注入材に関して、種々の実験を積み重ねて本発明を完成させるに至った。即ち、この発明の裏込め注入材料は、平均粒径10μm以下のフライアッシュ、セメント、水、及び遅延剤を含み、フライアッシュとセメントとの重量比を8:2〜5:5、水をフライアッシュとセメントとの合量に対して80重量%以上、遅延剤をセメント量に対して0.5重量%以下配合したA液と、5〜20体積%珪酸ソーダ水溶液からなるB液とを、A液:B液=95:5〜80:20の体積比で混合してなることを特徴とする。以下、この発明を詳細に説明する。
【0009】
請求項1の発明では、石炭火力発電所から発生するフライアッシュを空気分級機等により分級処理した平均粒径10μm以下のフライアッシュを使用する。これは、平均粒径が10μmより大きくなると、A液のブリージング率が大きくなり、A液とB液混合後、均一な裏込め材にならない為である。
【0010】
次に、セメントとしては、ポルトランドセメントが好適に使用されるが、高炉セメント等の混合セメントを使用することもできる。硬化材のフライアッシュとセメントの混合比は、重量比で8:2〜5:5の割合とすることが好ましい。これは、セメントの混合比をフライアッシュより多くすると、A液とB液混合後、1時間以内でのゲル化強度が高くなり、著しく注入性に劣る為に好ましくなく、又、フライアッシュとセメントの混合比で、8:2よりフライアッシュを増加させると、強度発現性が少ない為に、それぞれ好ましくない。
【0011】
また、A液の水分量は、フライアッシュとセメント(以下、硬化材)の合量に対して80重量%以上とする。これが80重量%より小さいと、流動性が悪化するため好ましくなく、80重量%以上とすることにより、前述した硬化材混合比のいずれの場合でも、十分なフロー値が得られる。従って、裏込め要求特性に応じて、80重量%以上の適宜な量で水分を混合すれば良い。
【0012】
遅延剤は、セメント量に対して0.5重量%以下の割合で配合する。遅延剤を配合することにより可使時間は大幅に改善され、例えば、遅延剤を0.5重量%配合すると、可使時間が、増粘材を使用しない場合で7日、増粘材を使用する場合で3日程度になる。したがって、可使時間要求特性に応じて、遅延剤を0.5重量%以内で配合する事が好ましい。遅延剤としては、グルコン酸系、クエン酸系、オキシカルボン酸系、有機リン酸系、スルホン酸系等各種公知の遅延剤を使用することができる。
【0013】
B液としての珪酸ソーダ水溶液は、水溶液濃度を5〜20体積%、混合量をA液:B液=95:5〜80:20(体積比)として用いる。この範囲より濃度や混合量が少ない場合には、ゲル化強度が著しく低い為、逆に、この範囲より濃度や混合量を多くしても、長期強度も向上しないばかりか、アルカリ溶出量を著しく増加させる為、それぞれ好ましくない。
【0014】
【作用】
この発明の裏込め材料では、硬化材の主構成材料がフライアッシュであり、その為、増粘材を配合しないか、あるいは、配合しても僅かにしか用いない。増粘材は、1液型裏込め材料の場合、ブリージング率が、そのまま裏込め材料の材料分離を示すものであるから、その挙動を防止する為に必要不可欠な材料として使用される。しかし、2液混合型裏込め材料の場合は、B液と混合することにより、直ちにゲル化してブリージングは全く無くなる。したがって、A液自体のブリージングは、あまり問題にする必要はなく、この場合の増粘材は、A液のポンプ圧送中における材料分離や、A液とB液混合直後のゲル化強度が弱い時点に発生する材料偏り、或いは、可使時間特性の悪化等を防止する役割のみを果たせばよい。即ち、2液混合型裏込め材料での増粘材は、従来の増粘材より、弱い作用を及ぼせばよいが、この発明では、フライアッシュを使用することにより、この作用を十分果たすことができ、前述したように、増粘材を配合しないか、あるいは、配合しても僅かにしか用いなくてよい。
【0015】
フライアッシュは、セメント粒子よりも形状が細かく、その殆どが球状粒子であり、微粉末効果によりセメント粒子に入り込み、また、さらに、セメントがζ電位を持つ為に、セメントと凝集し、ブリージング率を少なくする。この効果は、フライアッシュの平均粒径10μm以下の場合に顕著であり、このフライアッシュを使用する場合には、増粘材を全く使用する必要がない。
【0016】
また、平均粒径が10μm以上のフライアッシュを使用する場合、例えば、石炭火力発電所から発生するフライアッシュを特に前処理すること無く原粉のまま使用する場合も、増粘材を僅かに配合する事により、可使時間特性、流動性を使用上問題の無い範囲のままで、ブリージング率を低下させることができる。
【0017】
又、フライアッシュは、溶出性Ca2+イオンがほとんど無く、B液の珪酸ソーダ溶液と直接反応しない為、A液中にフライアッシュが多くなると、A液とB液混合直後のゲル化強度は弱くなり、変形係数を低下させる事ができる。したがって、硬化材中のフライアッシュが多くなるほど、注入性は大幅に向上する。但し、上記理由から、硬化材中にセメントを配合しない場合には、2液混合後に全く強度発現しない為、前述したように所定量のセメントを混合することにより強度発現性を高めることができる。
【0018】
さらに、フライアッシュは、緩慢なポゾラン反応を有する代表的な物質であるから、3ヵ月材令以降の長期材令の強度発現に寄与する事は言うまでもない。
【0019】
このように、この発明の裏込め材料を構成しているフライアッシュは、1)微粉末効果があり、材料分離性を防止し、均一で、短期強度性に優れた材料とする事、2)緩慢なポゾラン反応を有し、長期強度性を有する材料とする事、3)珪酸ソーダ水溶液と直接反応しないので、注入性に優れた材料とする事等、従来の裏込め材料特性を改善する為に、必要不可欠な材料として作用する。
【0020】
【実施例】
以下、実験例に基づき更に本発明を説明する。実験に使用したフライアッシュは、分級機(秩父小野田社製分級機;商品名クラッシール)を用いて分級処理したフライアッシュA、B及び分級処理しない一般品の原粉Cであり、その性状を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表2に示す配合で2液混合型の裏込め材料注入材を試作し、A液とB液を混合して、直径5cm、高さ10cmの円柱供試体を成形し、20°Cの水中で養生した。各々の養生供試体について、各材令毎の変形係数、一軸圧縮強度を測定した。又、表2に示した注入材のA液に関し、フロー値、ブリージング率、可使時間を、又、A液とB液の混合液のゲル化時間をそれぞれ測定した。尚、変形係数、一軸圧縮強度の測定は、土質工学会、JSF T511の試験方法によった。測定結果を図1及び表3に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
図1は、セメントとフライアッシュとの重量比を変えた時の水(W)/〔セメント(C)+フライアッシュ(FA)〕比とフロー値との関係を示したものである。この結果によれば、W/(C+FA)比が80%以上なら、セメント+フライアッシュ比に関係無く、すべて40cmを越えたフロー値となり、流動性に優れることがわかる。
【0026】
次に、表3の結果について説明する。
試験NO1〜8において、硬化材の混合比が、セメント:フライアッシュ=2:8〜5:5であるNO2、3、4の条件では、良好な結果が得られている。しかし、硬化材がフライアッシュのみであるNO1の条件では、A液とB液混合後ゲル化しない為、又、硬化材の混合比が、セメント:フライアッシュ=7:3〜10:0であるNO5、6の条件では、変形係数が高く、注入性に著しく劣る為、好ましくないのがわかる。
【0027】
試験NO7、8では、硬化材をセメントのみとして、変形係数が低くなるように、水分量を増加させた例を示しているが、増粘材を使用しないNO7の条件では、A液ブリージングが著しく高い為、増粘材を使用するNO8の条件では、A液可使時間が著しく短く、強度発現を小さい為、それぞれ好ましくないのがわかる。また、NO9では、遅延材を配合しない場合の例を示しているが、A液可使時間が著しく短くなり好ましくないのがわかる。
【0028】
試験NO10〜11の結果によれば、硬化材のフライアッシュが分級品で平均粒径が10μm以下であるNO10の条件では、良好な結果が得られている。しかし、一般のフライアッシュを使用するNO11の条件では、A液のブリージング率が比較的大きく、一軸圧縮強度の値も小さく、均一な裏込め材となっていないと推定される為、好ましくないのがわかる。
【0029】
そこで、試験NO12〜15では、粘土鉱物としてベントナイトを使用した例を示しているが、ベントナイトを1m3中に50kg配合したNO12の条件では、A液のフロー値が比較的悪化する為に好ましくなく、また、1m3中に3kg配合したNO15の条件では、添加効果があまり無い。これに対して、ベトナイトを1m3中に20kg、及び10kg配合したNO13、NO14の条件では、良好な結果が得られている。
【0030】
試験NO16〜20の結果によれば、B液珪酸ソーダ濃度10%、B/A混合量15%であるNO17の条件では、良好な結果が得られている。しかし、B/A混合量3%であるNO16の条件ではゲル化しない為、B/A混合量30%であるNO18の条件では、変形係数が比較的高い為、更に、B液珪酸ソーダ濃度3%であるNO19の条件では、はっきりゲル化しない為、好ましくない。
【0031】
B液珪酸ソーダ濃度30%であるNO20の条件では、NO16の条件の場合と比較して、一軸圧縮強度がやや低い値を示しているので、B液珪酸ソーダ濃度は、30%までする必要はない事がわかる。
【0032】
以上、セメントに早強セメントを使用した場合の例を示してきたが、試験NO21に示すように、セメントとして普通セメントを使用した場合も、良好な結果が得られている。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明裏込め材料は、A液が十分な流動性を有し、可使時間特性に優れている事は勿論であるが、A液とB液混合後の、強度発現性(短期、長期強度)、注入性に優れている材料である。従って、本発明裏込め材料の諸特性は、従来の裏込め材料に比べて、大幅に改善されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】セメントとフライアッシュとの重量比を変えた時の〔水(W)〕/〔セメント(C)+フライアッシュ(FA)〕比とフロー値との関係を示す。
この発明は、シールド工法でトンネル等を掘削する場合の裏込め注入材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
シールド工法による各種トンネル工事では、掘削された地山とライニングの外径の隙間を埋める為、裏込め材料を注入しなければならない。この裏込め材料として、従来は、豆砂利、コンクリート、セメントモルタル、セメントエアーモルタル、或いはセメントミルク等が使用されてきた。しかし、これらの材料は、長距離圧送性に劣る事や、初期強度が小さく、裏込め材料注入後の地山の沈下量が大きくなる等の欠点があった。そこで、最近では、流動性に優れるセメントスラリー液(A液)と珪酸ソーダ水溶液(B液)を注入直前に混合し、直ちに、ゲル化させて裏込め注入し、初期強度発現性に優れる、2液混合型の裏込め材料が多く使用されている。
【0003】
ここで、使用されるA液は、硬化材の各種セメント、水、各種増粘材、及び各種遅延剤等から構成される場合が多い。A液を注入性、流動性に優れた材料とする為には、水分量をより増加させる必要があるが、一般にブリージング率が高くなり、A液圧送管内で固結しやすくなったりして、均一な裏込め材料となりにくい。従って、増粘材が材料分離を低減させる為に配合されている。しかし、増粘材を使用すると、遅延剤を可使時間を調整する為に配合しているにも係わらず、セメント量に対して遅延剤を十分に添加しても、A液可使時間が比較的短くなり、流動性も劣化する。
【0004】
又、裏込め材料の要求強度は、近年、益々高く設定されるようになってきているが、要求強度達成する為に、1)硬化材量を増加させると、A液流動性が悪化し、又、A液とB液混合後の注入性が劣る。2)B液混合量を増加させると、アルカリ溶出量が高くなり環境衛生上好ましくなく、長期強度発現性にも不安が残る。3)増粘材を増加させても、大きな強度増進は期待できず、流動性にも劣る等、強度発現性は、何らかの裏込め特性を犠牲にしない限り、いずれの方法でも解決できない。
【0005】
このように、従来のセメント系2液混合裏込め材料では、A液特性(流動性、可使時間特性、材料分離性)や、強度発現性等の、すべての要求裏込め特性を同時に達成することは非常に難しい。したがって、従来の裏込め材料は、各施工状況毎に、優先すべき裏込め要求特性を決定し、この特性のみを満足する配合で使用されているのが現状である。
【0006】
又、硬化材として、一部セメントと置き換えてフライアッシュやスラグ等を混入する裏込め材も使用されているが、この場合は、1ヵ月材令までの各特性が、セメント系と同等になるように、セメントへの混入量を少なくして使用することが多く、裏込め材の要求特性が改善されているとはとても言い難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の目的は、従来の裏込め材料の欠点を解消し、A液が十分な流動性を有し、可使時間特性に優れている事は勿論、A液とB液混合後の、強度発現性(短期、長期強度)、注入性に優れた裏込め注入材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、フライアッシュとセメントの混合硬化材を、水に混合したスラリー液(A液)と珪酸ソーダ水溶液(B液)の2液混合型裏込め注入材に関して、種々の実験を積み重ねて本発明を完成させるに至った。即ち、この発明の裏込め注入材料は、平均粒径10μm以下のフライアッシュ、セメント、水、及び遅延剤を含み、フライアッシュとセメントとの重量比を8:2〜5:5、水をフライアッシュとセメントとの合量に対して80重量%以上、遅延剤をセメント量に対して0.5重量%以下配合したA液と、5〜20体積%珪酸ソーダ水溶液からなるB液とを、A液:B液=95:5〜80:20の体積比で混合してなることを特徴とする。以下、この発明を詳細に説明する。
【0009】
請求項1の発明では、石炭火力発電所から発生するフライアッシュを空気分級機等により分級処理した平均粒径10μm以下のフライアッシュを使用する。これは、平均粒径が10μmより大きくなると、A液のブリージング率が大きくなり、A液とB液混合後、均一な裏込め材にならない為である。
【0010】
次に、セメントとしては、ポルトランドセメントが好適に使用されるが、高炉セメント等の混合セメントを使用することもできる。硬化材のフライアッシュとセメントの混合比は、重量比で8:2〜5:5の割合とすることが好ましい。これは、セメントの混合比をフライアッシュより多くすると、A液とB液混合後、1時間以内でのゲル化強度が高くなり、著しく注入性に劣る為に好ましくなく、又、フライアッシュとセメントの混合比で、8:2よりフライアッシュを増加させると、強度発現性が少ない為に、それぞれ好ましくない。
【0011】
また、A液の水分量は、フライアッシュとセメント(以下、硬化材)の合量に対して80重量%以上とする。これが80重量%より小さいと、流動性が悪化するため好ましくなく、80重量%以上とすることにより、前述した硬化材混合比のいずれの場合でも、十分なフロー値が得られる。従って、裏込め要求特性に応じて、80重量%以上の適宜な量で水分を混合すれば良い。
【0012】
遅延剤は、セメント量に対して0.5重量%以下の割合で配合する。遅延剤を配合することにより可使時間は大幅に改善され、例えば、遅延剤を0.5重量%配合すると、可使時間が、増粘材を使用しない場合で7日、増粘材を使用する場合で3日程度になる。したがって、可使時間要求特性に応じて、遅延剤を0.5重量%以内で配合する事が好ましい。遅延剤としては、グルコン酸系、クエン酸系、オキシカルボン酸系、有機リン酸系、スルホン酸系等各種公知の遅延剤を使用することができる。
【0013】
B液としての珪酸ソーダ水溶液は、水溶液濃度を5〜20体積%、混合量をA液:B液=95:5〜80:20(体積比)として用いる。この範囲より濃度や混合量が少ない場合には、ゲル化強度が著しく低い為、逆に、この範囲より濃度や混合量を多くしても、長期強度も向上しないばかりか、アルカリ溶出量を著しく増加させる為、それぞれ好ましくない。
【0014】
【作用】
この発明の裏込め材料では、硬化材の主構成材料がフライアッシュであり、その為、増粘材を配合しないか、あるいは、配合しても僅かにしか用いない。増粘材は、1液型裏込め材料の場合、ブリージング率が、そのまま裏込め材料の材料分離を示すものであるから、その挙動を防止する為に必要不可欠な材料として使用される。しかし、2液混合型裏込め材料の場合は、B液と混合することにより、直ちにゲル化してブリージングは全く無くなる。したがって、A液自体のブリージングは、あまり問題にする必要はなく、この場合の増粘材は、A液のポンプ圧送中における材料分離や、A液とB液混合直後のゲル化強度が弱い時点に発生する材料偏り、或いは、可使時間特性の悪化等を防止する役割のみを果たせばよい。即ち、2液混合型裏込め材料での増粘材は、従来の増粘材より、弱い作用を及ぼせばよいが、この発明では、フライアッシュを使用することにより、この作用を十分果たすことができ、前述したように、増粘材を配合しないか、あるいは、配合しても僅かにしか用いなくてよい。
【0015】
フライアッシュは、セメント粒子よりも形状が細かく、その殆どが球状粒子であり、微粉末効果によりセメント粒子に入り込み、また、さらに、セメントがζ電位を持つ為に、セメントと凝集し、ブリージング率を少なくする。この効果は、フライアッシュの平均粒径10μm以下の場合に顕著であり、このフライアッシュを使用する場合には、増粘材を全く使用する必要がない。
【0016】
また、平均粒径が10μm以上のフライアッシュを使用する場合、例えば、石炭火力発電所から発生するフライアッシュを特に前処理すること無く原粉のまま使用する場合も、増粘材を僅かに配合する事により、可使時間特性、流動性を使用上問題の無い範囲のままで、ブリージング率を低下させることができる。
【0017】
又、フライアッシュは、溶出性Ca2+イオンがほとんど無く、B液の珪酸ソーダ溶液と直接反応しない為、A液中にフライアッシュが多くなると、A液とB液混合直後のゲル化強度は弱くなり、変形係数を低下させる事ができる。したがって、硬化材中のフライアッシュが多くなるほど、注入性は大幅に向上する。但し、上記理由から、硬化材中にセメントを配合しない場合には、2液混合後に全く強度発現しない為、前述したように所定量のセメントを混合することにより強度発現性を高めることができる。
【0018】
さらに、フライアッシュは、緩慢なポゾラン反応を有する代表的な物質であるから、3ヵ月材令以降の長期材令の強度発現に寄与する事は言うまでもない。
【0019】
このように、この発明の裏込め材料を構成しているフライアッシュは、1)微粉末効果があり、材料分離性を防止し、均一で、短期強度性に優れた材料とする事、2)緩慢なポゾラン反応を有し、長期強度性を有する材料とする事、3)珪酸ソーダ水溶液と直接反応しないので、注入性に優れた材料とする事等、従来の裏込め材料特性を改善する為に、必要不可欠な材料として作用する。
【0020】
【実施例】
以下、実験例に基づき更に本発明を説明する。実験に使用したフライアッシュは、分級機(秩父小野田社製分級機;商品名クラッシール)を用いて分級処理したフライアッシュA、B及び分級処理しない一般品の原粉Cであり、その性状を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表2に示す配合で2液混合型の裏込め材料注入材を試作し、A液とB液を混合して、直径5cm、高さ10cmの円柱供試体を成形し、20°Cの水中で養生した。各々の養生供試体について、各材令毎の変形係数、一軸圧縮強度を測定した。又、表2に示した注入材のA液に関し、フロー値、ブリージング率、可使時間を、又、A液とB液の混合液のゲル化時間をそれぞれ測定した。尚、変形係数、一軸圧縮強度の測定は、土質工学会、JSF T511の試験方法によった。測定結果を図1及び表3に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
図1は、セメントとフライアッシュとの重量比を変えた時の水(W)/〔セメント(C)+フライアッシュ(FA)〕比とフロー値との関係を示したものである。この結果によれば、W/(C+FA)比が80%以上なら、セメント+フライアッシュ比に関係無く、すべて40cmを越えたフロー値となり、流動性に優れることがわかる。
【0026】
次に、表3の結果について説明する。
試験NO1〜8において、硬化材の混合比が、セメント:フライアッシュ=2:8〜5:5であるNO2、3、4の条件では、良好な結果が得られている。しかし、硬化材がフライアッシュのみであるNO1の条件では、A液とB液混合後ゲル化しない為、又、硬化材の混合比が、セメント:フライアッシュ=7:3〜10:0であるNO5、6の条件では、変形係数が高く、注入性に著しく劣る為、好ましくないのがわかる。
【0027】
試験NO7、8では、硬化材をセメントのみとして、変形係数が低くなるように、水分量を増加させた例を示しているが、増粘材を使用しないNO7の条件では、A液ブリージングが著しく高い為、増粘材を使用するNO8の条件では、A液可使時間が著しく短く、強度発現を小さい為、それぞれ好ましくないのがわかる。また、NO9では、遅延材を配合しない場合の例を示しているが、A液可使時間が著しく短くなり好ましくないのがわかる。
【0028】
試験NO10〜11の結果によれば、硬化材のフライアッシュが分級品で平均粒径が10μm以下であるNO10の条件では、良好な結果が得られている。しかし、一般のフライアッシュを使用するNO11の条件では、A液のブリージング率が比較的大きく、一軸圧縮強度の値も小さく、均一な裏込め材となっていないと推定される為、好ましくないのがわかる。
【0029】
そこで、試験NO12〜15では、粘土鉱物としてベントナイトを使用した例を示しているが、ベントナイトを1m3中に50kg配合したNO12の条件では、A液のフロー値が比較的悪化する為に好ましくなく、また、1m3中に3kg配合したNO15の条件では、添加効果があまり無い。これに対して、ベトナイトを1m3中に20kg、及び10kg配合したNO13、NO14の条件では、良好な結果が得られている。
【0030】
試験NO16〜20の結果によれば、B液珪酸ソーダ濃度10%、B/A混合量15%であるNO17の条件では、良好な結果が得られている。しかし、B/A混合量3%であるNO16の条件ではゲル化しない為、B/A混合量30%であるNO18の条件では、変形係数が比較的高い為、更に、B液珪酸ソーダ濃度3%であるNO19の条件では、はっきりゲル化しない為、好ましくない。
【0031】
B液珪酸ソーダ濃度30%であるNO20の条件では、NO16の条件の場合と比較して、一軸圧縮強度がやや低い値を示しているので、B液珪酸ソーダ濃度は、30%までする必要はない事がわかる。
【0032】
以上、セメントに早強セメントを使用した場合の例を示してきたが、試験NO21に示すように、セメントとして普通セメントを使用した場合も、良好な結果が得られている。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明裏込め材料は、A液が十分な流動性を有し、可使時間特性に優れている事は勿論であるが、A液とB液混合後の、強度発現性(短期、長期強度)、注入性に優れている材料である。従って、本発明裏込め材料の諸特性は、従来の裏込め材料に比べて、大幅に改善されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】セメントとフライアッシュとの重量比を変えた時の〔水(W)〕/〔セメント(C)+フライアッシュ(FA)〕比とフロー値との関係を示す。
Claims (1)
- 平均粒径10μm以下のフライアッシュ、セメント、水、及び遅延剤を含み、フライアッシュとセメントとの重量比を8:2〜5:5、水をフライアッシュとセメントとの合量に対して80重量%以上、遅延剤をセメント量に対して0.5重量%以下配合したA液と、5〜20体積%珪酸ソーダ水溶液からなるB液とを、A液:B液=95:5〜80:20の体積比で混合してなることを特徴とする裏込め注入材料。
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