JP5660618B2 - 護岸の補強工法 - Google Patents
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地震の際に、埋立地BGが液状化してしまう恐れが存在する。埋立地BGの液状化を防止するために、地盤補強をする必要がある。
図3で示す捨石護岸10については、地盤補強としては、捨石層16にグラウト材を注入するのが一般的である。
これに対して、グラウト材が、三次元の全方向に均一に注入される、換言すれば、グラウト材注入領域が三次元的に均等になる様に(球状になる様に)注入されれば、捨石層16全体を均一にグラウト材で補強することが可能となり、地盤補強として好適である。
しかし、捨石層16内で、注入領域が三次元的に均等になる様に(球状になる様に)グラウト材を注入することは、従来技術では困難であった。
そして、グラウト材が分離して、海中に溶け出してしまうと、深刻な環境汚染の問題が生じる。
しかし、係るグラウト材を捨石護岸の液状化防止工法に使用した場合には、捨石層内に注入された際に、三次元の全方向に均一に注入される(或いは、グラウト材注入領域が球状になる様に注入される)か否かは不明である。
従って、捨石層を全領域に亘って均等に補強することが困難である。
水中不分離性が高い、
安定した流動性を具備する、
ホモゲルの状態で流水に流されない、
注入された際に、薬液注入範囲が三次元的に均等になる(球状になる)、
固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m2以上)を持つ、
海水により練ることが可能、
という条件を、全て充足することが出来る。
また、注入されたグラウト材(LG)が、水中不分離性が高く、ホモゲルの状態で流水に流されない性質を有しているため、海の環境をグラウト材(LG)によって汚染してしまうことが防止される。
そして本発明の工法では、注入されたグラウト材が固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m2以上)を発揮するので、捨石層が補強され、埋立地(BG)の地盤補強をすることが出来る。
これに加えて、本発明の工法で使用されるグラウト材は、施工現場である海岸でグラウト材を練り上げる際に、海水を用いることが出来るので、水分の供給の心配がない。
その結果、捨石層(16)の海(S)側表面と端部(いわゆる妻部:図3〜図7で紙面に垂直な方向の端部)の内側の領域は、水中不分離性が良好なグラウト材により海水からシールされることになり、海中にグラウト材(LG)が拡散してしまうことがない。
勿論、当該内側の領域を、本発明に係るグラウト材により補強しても良い。
最初に図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係る補強工法の原理について、説明する。
図1において、捨石で構成された海中構造物50において、海Sに接する表面近傍の領域に、本発明の実施形態で使用されるグラウト材を注入する。詳細は後述するが、実施形態で使用されるグラウト材は、捨石内を三次元的に均等に(球状に)拡散して固化する作用を奏すると共に、水中(海中)において高い不分離性を発揮する。そのため、図1において符号LG−1で示すグラウト材が三次元的に均等に(球状に)浸透し、当該グラウト材LG−1(三次元的に均等に拡がったグラウト材)によって、海中構造物50の表面が被覆されれば、海中構造物50の内部(グラウト材LG−1の内側の領域)は、海Sに対してシールされたのと同様な状態になる。
そのため、実施形態の補強工法によれば、グラウト材の使用量を節約することができて、しかも、海Sを汚染してしまうことがない。
図3は、薬液注入が行なわれる捨石護岸を示している。図3において、捨石護岸構造は全体を符号10で示されており、基礎部分12上に配置されている。そして、基礎部分12には、捨石層16が設けられている。
図3において、符合Sは海を示し、符号WLは海面を示し、符合BGは捨石護岸10の陸地を示している。ここで、陸地BGは、例えば埋立地である。
詳細を後述する様に、実施形態で使用されるグラウト材は、捨石層16内を三次元的に均等に(球状に)拡散して固化する。そして、高い水中(海中)不分離性を発揮する。
図4において、捨石層16の海S側の表面(斜面)と、図3〜図7で紙面に垂直な方向の端部(いわゆる妻部)の近傍の領域にグラウト材LG−1を注入するに際しては、従来公知の薬液注入技術が用いられる。
図4で示す状態、すなわち、三次元的に均等に(球状に)浸透したグラウト材LG−1により捨石層16の内部が海Sに対して遮断されている状態になったならば、図5で示す様に、捨石層16の内部(グラウト材LG−1の内側の領域)に薬液(グラウト材)を注入する。
グラウト材注入機構30はグラウトミキサ32を備え、グラウトミキサ32により混連されたグラウト材(薬液)は、グラウトポンプ34を介して、薬液注入管36を介して、捨石層16内に注入される。
図6において、グラウト材LG−2の注入は、従来技術と同様であり、薬液注入管36から注入されるグラウト材LG−2は、注入された箇所から下方へ浸透する。
図7で示すように、グラウト材LG−2が捨石層16に注入される際に、薬液注入管36から、三次元的に(立体的に)均一に拡散する。その結果、捨石層16内でグラウト材注入領域が、三次元的に均等に(球状に)拡大する(グラウト材LG−2が球状に注入される)。
図7の場合には、グラウト材LG−2を、捨石層16内に均等に注入し易くなる。
水中不分離性が高い、
安定した流動性を具備する、
ホモゲルの状態で流水に流されない、
注入された際に、薬液注入範囲が三次元的に均一な範囲となる(球状になる)、
固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m2以上)を持つ、
海水により練ることが可能、
という条件を充足する必要がある。
係る条件を充足する薬液(グラウト材)として、図示の実施形態では、表1及び表2で示す組成のグラウト材を使用した。換言すれば、第1実施例に係るグラウト材の組成が、表1及び表2で示されている。
表1では当該2種類の流体(A液、B液)の組成が示されており、表2では当該2種類の流体(A液、B液)の各々の合計の重量及び容量を示している。
表1、表2において、増粘剤−1(第1の増粘剤)としては、アルキルアリルスルフォン酸塩を包含する増粘剤(例えば、商品名「ビスコトップ100AK」:花王株式会社製造)を用いている。
また、増粘剤−2(第2の増粘剤)としては、アルキルアンモニウム塩を包含する増粘剤(例えば、商品名「ビスコトップ100BK」:花王株式会社製造)を用いている。
ここで、増粘剤−1(第1の増粘剤)と増粘剤−2(第2の増粘剤)は、常に同一量である。
表3
実験例1では、グラウト材の流動性と、水中不分離性について、実験を行なった。
グラウト材の流動性については、フローコーンにグラウト材を充填して引き抜いて、コーン引き抜き後のグラウト材の塊の直径を測定して、グラウト材の流動性を確かめた。
また、実験例1では、水(水温18℃)を満たした水槽に、グラウト材をゆっくりと投入して、投入直後に水槽内の水が濁るか否かを目視観測することにより、水中不分離性を実験した。ここで、グラウト材の水中不分離性が低ければ水槽内の水が濁り、グラウト材の水中不分離性が高ければ水槽内の水は濁らない。
増粘剤の量が海水に対して4%の試料として、硬化調整剤を含有していない試料(試料No.3)と、硬化調整剤をグラウト材1m3に対して20kgの割合(20kg/m3)で含有した試料(試料No.4)を用意した。
実験例1の結果を、表4、表5で示す。
また、表5で示すように、増粘剤(増粘剤−1及び/又は増粘剤−2)の配合が、水(海水)に対して4%以上であれば、水中における不分離性(水中に溶け出さない性質)が保たれる。換言すれば、実験例1から、増粘剤(増粘剤−1及び/又は増粘剤−2)は、水(海水)に対して4%以上含有するべきことが分かる。
これに加えて、表1、表2で示す様に、試料1〜4は海水を用いており、実験例1において流動性や水中不分離性の実験を行うに際して特に問題が生じないことから、第1実施例に係るグラウト材は、「海水により練ることが可能」であるという性質を充足することが確認された。
実験例2では、実験例1で用いた試料No.3、試料No.4(増粘剤の配合が、海水に対して4%の試料)のグラウト材を、模擬地盤中に注入した。
以って、「ホモゲルの状態で流水に流されない」性質、「注入された際に、薬液注入範囲が三次元的に均一な範囲となる(球状になる)」性質、「固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m2以上)を持つ」性質を確かめた。
実験例2では、模擬地盤として、透水係数が異なる3種類の模擬地盤、
5mm以上の礫:透水係数1×102cm/sec.
砂と礫の混合物:透水係数1×100cm/sec.
砂60%の砂質土:透水係数1×10−2cm/sec.
を用意した。
その際に、水槽には3cm/秒の水流を発生させた。
なお、表6における「ロットNo.」は、上記3種類の模擬地盤に試料No.3のグラウト材(硬化調整剤を含有していないグラウト材)を注入した場合と、試料No.4のグラウト材(硬化調整剤をグラウト材1m3に対して20kgの割合で含有したグラウト材)を注入した場合の6通り(=3×2)の実験結果の各々を意味している。
実験例2の結果を、表6で示す。
表6のロットNo.1において、透水係数が1×102cm/secであれば、試料No.3のグラウト材(硬化調整剤を含有していないグラウト材)は、三次元的に均等な範囲に注入される(球状に注入される)ことが分った。そして、模擬地盤全体に自在に充填された。
透水係数が1×102cm/secの模擬地盤で行なわれたロットNo.2においても、試料No.4のグラウト材(硬化調整剤をグラウト材1m3に対して20kgの割合で含有したグラウト材)の注入領域は、三次元的に均等に拡大して球状となり、直ちに固化した。そして、水槽内に水流が存在しても、流されることはなかった。
ロットNo.1、No.2より、透水係数が1×102cm/secの地盤であれば、試料No.3、試料No.4のグラウト材は、礫間に注入されることが明らかになった。
ロットNo.4では、硬化調整剤をグラウト材1m3に対して20kgの割合で含有したグラウト材(試料No.4)は、模擬地盤の空洞にのみ充填された。模擬地盤の砂質土部分は、試料No.4のグラウト材注入後も、そのまま残留した。
透水係数が1×10−2cm/secの模擬地盤について、試料No.4のグラウト材(硬化調整剤をグラウト材1m3に対して20kgの割合で含有したグラウト材)を注入する実験(ロットNo.6)は、グラウト材の注入が不可能であると判断して、注入をしなかった。
何れも、捨石層に必要とされる一軸圧縮強度(例えば、100kN/m2)を上回る強度を発現した。
発明者による実験によれば、表7で示す組成のグラウト材が固化した後の一軸圧縮強度は、359kN/m2であった。
一軸圧縮強度以外については、第2実施例に対して、第1実験例、第2実験例と同様な実験を行なった結果については、表4〜表6を参照して上述したのと同様であるので、詳細は省略する。
換言すれば、発明者の実験により、第2実施例に係るグラウト材が水中不分離性を有することが確認されているので、増粘剤の海水に対する割合は3.97%以上であれば良いことが確認された。
表7において、「増粘剤1+増粘剤2」なる表記は、表1、表2に関連して上述した増粘剤−1と増粘剤−2を、同一量ずつ混合して包含したことを意味している。
なお、実験例3〜実験例11を参照して説明する含有量は、実施例1のグラウト材の練り上がり1m3当たりの重量である。
実験例3では、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材の組成物である早強ポルトランドセメント(セメント類)の含有量の下限値について、確かめた。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、早強ポルトランドセメントの含有量を160kg〜210kgまで、10kg刻みで変化させた6種類のグラウト材(試料1〜試料6)について、固化したか否かを確認した。
実験例3の結果を、表8で示す。
早強ポルトランドセメントの含有量が160kg〜190kgの試料1〜試料4では、固化しなかった。一方、早強ポルトランドセメントの含有量が200kg、210kgの試料5、試料6は固化した。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、早強ポルトランドセメントの含有量は200kg以上にするべきことが分った。
実験例4では、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材の組成物である早強ポルトランドセメントの含有量の上限値を確認した。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、早強ポルトランドセメントの含有量を400kg〜460kgまで、10kg刻みで変化させた7種類のグラウト材(試料1〜試料7)について、通常のグラウトポンプで注入可能であるか否かを確認した。
実験例4の結果を、表9で示す。
早強ポルトランドセメントの含有量が400kg〜450kgの試料1〜試料6では、グラウト材は通常のグラウトポンプで注入可能であった。
しかし、早強ポルトランドセメントの含有量が460kgの試料7は、その粘度が高すぎて、グラウトポンプで供給することができなかった。
このことから、実施例1に係るグラウト材では、早強ポルトランドセメントの含有量を450kg以下にするべきことが確認された。
実験例5では、実施例1に係るグラウト材の組成物であるフライアッシュ(骨材)の含有量の下限値について、確かめた。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、フライアッシュの含有量を160kg〜210kgまで、10kg刻みで変化させた6種類のグラウト材(試料1〜試料6)について、注入材として安定したか否かを確認した。
実験例5の結果を、表10で示す。
フライアッシュの含有量が160kg〜190kgの試料1〜試料4では、グラウト材が不均一な性状であり、注入材として安定しなかった。一方、フライアッシュの含有量が200kg、210kgの試料5、試料6は、グラウト材が均一な性状で安定した状態になった。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、フライアッシュの含有量は200kg以上にするべきであることが分った。
実験例6では、実施例1におけるフライアッシュの含有量の上限値を確認した。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、フライアッシュの含有量を400kg〜460kgまで、10kg刻みで変化させた7種類のグラウト材(試料1〜試料7)について、通常のグラウトポンプで注入可能であるか否かを確認した。
実験例6の結果を、表11で示す。
フライアッシュの含有量が400kg〜450kgの試料1〜試料6では、グラウト材は通常のグラウトポンプで注入可能であった。
しかし、フライアッシュの含有量が460kgの試料7は、その粘度が高すぎて、グラウトポンプで供給することができなかった。
このことから、実施例1に係るグラウト材では、フライアッシュの含有量は450kg以下にするべきであることが確認された。
実験例7は、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材における水分(海水)量の下限値を確認する実験である。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、海水の含有量を560kg〜620kgまで、20kg刻みで変化させた4種類のグラウト材(試料1〜試料4)について、通常のグラウトポンプで注入可能であるか否かを確認した。
実験例7の結果を、表12で示す。
海水の含有量が560kg、580kgの試料1、試料2では、練り上がったグラウト材の流動性が低く、通常のグラウトポンプでは注入することが出来なかった。一方、海水量が600kg、620kgの試料3、試料4は、通常のグラウトポンプで注入可能であった。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、海水含有量は600kg以上にするべきことが分った。
実験例8により、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材の海水含有量の上限値を確認した。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、海水含有量を810kg〜870kgの範囲で、20kg刻みで変化させた4種類のグラウト材(試料1〜試料4)について、固化するか否かを確認した。
実験例8の結果を、表13で示す。
海水含有量が810kg、830kg、850kgの試料1、試料2、試料3のグラウト材は固化した。しかし、海水含有量が870kg以上である試料4のグラウト材は、固化しなかった。
このことから、実施例1に係るグラウト材では、海水含有量を870kg以下にするべきであることが確認された。
ここで、表5及び表7より、増粘剤の含有量は、海水の4%(より詳細には3.97%)以上とするべきことが分かっている。上述した様に、海水の下限値は600kgである。従って、実施例1に係るグラウト材の増粘剤の含有量は、増粘剤−1と増粘剤−2の合計で、23.4kg以上とするべきである。
次に、実施例1に係るグラウト材の増粘剤の含有量の上限値について、実験例9に基いて説明する。
実験例9では、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材の増粘剤含有量の上限値を確認した。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、海水含有量を850kgにして、増粘剤含有量を66kg〜78kgの範囲で、2kg刻みで変化させた7種類のグラウト材(試料1〜試料7)について、水中不分離性や「ホモゲルの状態で流水に流されない性質」を観察した。
なお、実験例9の結果については、表では示していない。
一方、増粘剤含有量(増粘剤−1と増粘剤−2の合計)が70kgを超えると、増粘剤含有量を増加しても、水中不分離性や「ホモゲルの状態で流水に流されない性質」は向上しないことが確認された。
増粘剤は比較的高価な素材であるため、経済的な観点から、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材における増粘剤の含有量は、70kg以下にするべきことが確認された。
実験例10は、表1〜表3を参照して説明した実施例1に係るグラウト材のフロー値の上限値について、確認するための実験である。
実施例1に係るグラウト材と同一の配合であるが、早強ポルトランドセメント、フライアッシュの含有量を440kg以下にして、且つ、海水含有量を600kg以上にして、フロー値が480mm〜520mmとなる5つのサンプル(試料1〜試料5)を作成した。
そして、係る5つのサンプルについて、実験例1と同様な手法で水中不分離性を確認し、且つ、実験例2と同様な手法で模擬地盤中へ三次元的に均等に注入されるか否か(球状に注入されるか否か)を確認した。
実験例10の結果を、表14で示す。
フロー値が510mm、520mmのサンプル(試料4、試料5)では、粘性が低過ぎるために水中不分離性が悪化し、そして、流動性が高過ぎるために模擬地盤中で三次元的に均等に注入することが出来なかった(球状に注入することが出来なかった)ものと推定される。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、フロー値を500mm以上に管理する必要があることが分った。
実験例11では、実実施例1に係るグラウト材のフロー値の下限値について、確認するための実験である。
実施例1に係るグラウト材において、早強ポルトランドセメント、フライアッシュの含有量を200kg以上にして、且つ、海水含有量を850kg以下にして、フロー値が180mm〜210mmとなる4つのサンプル(試料1〜試料4)を作成した。
そして、係る4つのサンプルについて、通常のグラウトポンプで注入が可能であるか否かを試験した。
実験例11の結果を、表15で示す。
フロー値が200mm、210mmのサンプル(試料3、試料4)では、通常のグラウトポンプで注入をすることができた。これに対して、フロー値が180mm、190mmのサンプル(試料1、試料2)では、流動性が悪いため、通常のグラウトポンプでは注入することが出来なかった。
このことから、実施例1に係るグラウト材であれば、フロー値を200mm以上に管理する必要があることが分った。
ここで、フロー値は200mm〜500mmの範囲で管理されている。そして、表16で示す組成は、グラウト材の練り上がり1m3に対する量である。
表16
発明者は、表16で示す組成のグラウト材(実施例1に係るグラウト材)を、実験例2で使用されたものとは透水係数が異なる3種類の模擬地盤に注入して、その注入状態を観察した。
当該3種類の模擬地盤の透水係数は、
1×103cm/sec、
1×101cm/sec、
1×10−1cm/sec、
である。
表6で示す実験例2の結果と併せて、当該3種類の模擬地盤に表16で示す組成のグラウト材(実施例1に係るグラウト材)を注入した結果について、表17で示す。
なお、表17において、透水係数が大きい模擬地盤は、いわゆる「粗い」粒径の地盤である。一方、透水係数が小さい模擬地盤は、いわゆる「細かい」粒径の地盤である。
水中不分離性が高く、
安定した流動性を具備しており、
ホモゲルの状態で流水に流されず、
注入された際に、薬液注入範囲が三次元的に均等になり(球状になり)、
固化後に所定以上の強度(一軸圧縮強度:例えば、100kN/m2以上)を有し、
海水により練ることが可能である。
例えば、図示の実施形態では言及されていないが、本発明のグラウト材に微量の消泡剤を添加しても良い。増粘剤と水(海水)を混合する際に、泡が発生する場合がある。微量の消泡剤を添加すれば、係る発泡を抑えることができる。
12・・・基礎部分12
16・・・捨石層
18・・・被覆層
22・・・上部コンクリート部分
S・・・海
WL・・・海面
BG・・・埋立地
30・・・グラウト材注入機構
32・・・グラウトミキサ
34・・・グラウトポンプ
36・・・薬液注入管
Claims (1)
- 透水係数が1×100cm/sec〜1×102cm/secである捨石層(16)の護岸の地盤を補強するための護岸の補強工法において、1m3当たりセメント系固化材を200kg〜450kgとフライアッシュを200kg〜450kgと増粘剤を23.4kg〜70kgと水を600kg〜850kgとより成るグラウト材(LG)を準備し、前記捨石層(16)の海(S)側の表面と端部とに前記グラウト材を注入し、次いで前記捨石層(16)の内側の領域に薬液注入管(36)から前記グラウト材(LG)を注入することを特徴とする護岸の補強工法。
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