JP2901183B2 - セメント水和物のスラリー,粉末、及びこれらのスラリーや粉末を含有するセメント組成物 - Google Patents

セメント水和物のスラリー,粉末、及びこれらのスラリーや粉末を含有するセメント組成物

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JP2901183B2 JP8319635A JP31963596A JP2901183B2 JP 2901183 B2 JP2901183 B2 JP 2901183B2 JP 8319635 A JP8319635 A JP 8319635A JP 31963596 A JP31963596 A JP 31963596A JP 2901183 B2 JP2901183 B2 JP 2901183B2
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貴憲 山本
康弘 鈴木
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裕明 鈴木
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B40/00Processes, in general, for influencing or modifying the properties of mortars, concrete or artificial stone compositions, e.g. their setting or hardening ability
    • C04B40/0082Processes, in general, for influencing or modifying the properties of mortars, concrete or artificial stone compositions, e.g. their setting or hardening ability making use of a rise in temperature, e.g. caused by an exothermic reaction

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中連続壁工法、
泥水工法、注入工法、オーガーパイル工法、ボーリング
工法、ブランケット工法、ケーソン工法、深層混合処理
工法、柱列式連続壁、注入グラウト工法、裏込め注入工
法、薬液注入工法、軽量盛土工法等の土木、建築工事全
般に用いられるセメント水和物のスラリー,粉末、及び
これらのスラリーや粉末を含有するセメント組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、各種地盤改良工法や柱列式連続
壁、注入工法などに使用されるセメントミルク配合は、
水:セメントで50〜200 %前後である。また、軽量化を
目的としたものには、気泡を混入したタイプもある。
【0003】そして、上記セメントミルクのブリーディ
ング低減材料として、主にベントナイトが用いられる。
ベントナイトは水を吸収し見かけの体積が数倍に膨張す
る性質を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】セメントミルクの場
合、ブリーディングによるセメントミルク懸濁液の材料
分離が生じ、施工上のトラブルや、地盤改良体、セメン
トミルク柱列杭などの固結体の縮小化や、高さ方向の強
度のばらつきなどの問題を生じる。
【0005】セメントミルクのブリーディング防止を目
的としてベントナイトを添加したものをセメント・ベン
トナイトミルク(以下CBミルクという)と呼ぶが、C
Bミルクの問題点は、低ブリーディングである反面、施
工上の問題点も多い。
【0006】ベントナイトの主成分はモンモリロナイト
で、その層状構造に起因して膨潤が生ずるが、このモン
モリロナイトはカルシウムイオンがあると交換反応によ
り膨潤しなくなるため、セメントとの同時混練ができ
ず、予めベントナイト泥水を作製し、十分に膨潤した後
にセメントを投入する二段混練が必要である。仮に、セ
メントとベントナイトを同時に混練した場合、CBミル
クのブリーディングは、セメントミルク単体と同程度発
生してしまう。また、海水等のカルシウムイオンを含む
水中では、ベントナイトが膨潤しないため、湾岸工事で
の適用には問題がある。
【0007】また、CBミルクは高粘性スラリーであ
る。高粘性スラリーは、注入ポンプ圧送能力や地盤内の
注入抵抗、混合抵抗など施工上問題になることが多い。
また、余剰の土や固化材を地表に回収する工法において
は、スライムの高粘性化は、管の閉塞トラブルの主原因
となる。ベントナイトをブリーディング防止の目的のみ
に使用する現場では、セメントミルクの低粘性が理想で
あるが、ブリーディング防止のため、ベントナイトを使
用し、施工上、好ましくない高粘性化には目をつぶるの
が実情である。正常な施工状態を確保するためには、セ
メントに対し、ベントナイト添加量は重量比で一般的に
15%程度が限界値といわれている。
【0008】また、施工目的から改良体(固化体)の発
現強度を低強度に要求されることがある。用途としては
シールド発進・到達立杭など再掘削が前提となる改良工
事,地盤の液状化対策などの対象地盤全体を固結する場
合、またシールドの裏込め注入工法のように注入地盤同
等強度の発現を求められるものなどがある。
【0009】低強度改良体の場合、改良体強度は単位セ
メント量に影響され、セメント量を少なくする必要があ
る。このことは、水/セメント比が大きくなることであ
り、固化体が低密度となり耐久性にも問題が生じる。ベ
ントナイトをミルク中の粉体と位置付けると、高密度ミ
ルクとしたい場合、セメント量を増すことなく、ベント
ナイト混合量を増加し、ミルク中の粉体濃度を上げるこ
とも考えられるが、前記高粘性化の問題で対応に限界が
ある。
【0010】上述のようなCBミルクの問題点をまとめ
ると以下のとおりとなる。 ベントナイトは先練りの二段混練で手間がかかり、
しかも二段混練のため施工能力(瞬発力)がない(セメ
ント・ベントナイトの同時混練が不可)。 ベントナイトはセメントのプレミックスができない
ため、ベントナイトとセメントの独立した2本のサイロ
が必要である。 海水を使用することができず、また海水影響下の土
質に適用できない。 高粘性ミルクである。 低強度・高密度(高粉体量)ミルクは高粘性でポン
プ圧送ができない。 ベントナイトは天然鉱物で品質にバラツキがあるた
め、品質の安定したCBミルクが製造できない。
【0011】これらの問題点は、たとえば合成ケイ酸カ
ルシウム水和物粉末の使用によって解決できるが、原料
となるケイ酸塩やケイ酸カルシウムの性状によっては、
反応時間や製造方法に工夫が必要であり、コスト的な問
題が発生する場合がある。
【0012】一方、安価なケイ酸カルシウム水和物の利
用を図ったものとして、特開昭58−173183号や特公平5
−81546 号に開示された技術もあるが、これらの場合に
は水/粉体比が小さい。
【0013】しかし、ブリーディングの抑制が必要にな
るのは、むしろ水/粉体比が大きい場合である。
【0014】また、上記特開昭58−173183号や特公平5
−81546 号に開示されたケイ酸カルシウムの使用量では
ブリーディング抑制能力としては不十分であり、一般的
なブリーディング低減材料としては使用できなかった。
【0015】本発明は以上のような問題点をすべて解決
するためになされたもので、ケイ酸カルシウム水和物を
使用することなく、低ブリーディング、高密度、低粘性
で低強度から高強度までの任意の強度を発現するセメン
トミルクを得ることを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な課題を解決するために、一般的に安価に入手できるポ
ルトランドセメントを原料とし、特定の条件下で水和さ
せて得られる生成物がブリーディング低減材料として有
用であることを見出して本発明を完成するに至った。
【0017】すなわち、本発明は、セメント水和物スラ
リーとその製造方法、及びセメント水和物粉末、並びに
これらのセメント水和物スラリーやセメント水和物粉末
を含有するセメント組成物及びセメントミルクとしてな
されたもので、セメント水和物スラリーとしての特徴
は、80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12%以上とな
るまで水和させたセメント水和物を含み、且つ平均粒径
が10μm以下としたことにある。
【0018】またセメント水和物スラリーの製造方法と
しての特徴は、水/セメント比1〜20でセメントを水和
させ、凝集しないように反応させてセメント水和物スラ
リーを製造することにある。
【0019】さらに、セメント水和物粉末としての特徴
は、80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12%以上とな
るまで水和したセメント水和物スラリーが、80℃乾燥時
の減量が10%以下となるよう乾燥され、且つ平均粒径が
10μm以下となるよう分級され、しかもブレーン比表面
積が10000cm2/g以上とされてなることにある。
【0020】さらに、セメント組成物としての特徴は、
80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12%以上となるま
で水和したセメント水和物スラリーが、80℃乾燥時の減
量が10%以下となるよう乾燥され、且つ平均粒径が10μ
m以下となるよう分級され、しかもブレーン比表面積が
10000cm2/g以上であるセメント水和物粉末と、セメント
とを含有したことにある。
【0021】さらに、セメントミルクとしての特徴は、
80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12%以上となるま
で水和させた、平均粒径が10μm以下のセメント水和物
を含むセメント水和物スラリーと、セメントと、水とを
含有したことにある。
【0022】さらに、他のセメントミルクとしての特徴
は、80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12%以上とな
るまで水和したセメント水和物スラリーが、80℃乾燥時
の減量が10%以下となるよう乾燥され、且つ平均粒径が
10μm以下となるよう分級され、しかもブレーン比表面
積が10000cm2/g以上であるセメント水和物粉末と、セメ
ントと、水とを含有したことにある。
【0023】本発明のセメント水和物は、上述のように
80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12%以上となるま
でセメントを水和させたものであり、平均粒径が10μm
以下の粒子からなるものである。
【0024】その製造方法においては、水/セメント比
1〜20の範囲でセメント粒子同士が水和中に凝集しない
ように高速攪拌しながら、或いはボールミル中で水和さ
せる。
【0025】このセメント水和物を含むスラリーは、そ
のまま或いは乾燥して使用できる。
【0026】乾燥する場合には80℃の乾燥減量が10%以
下になるまで乾燥し、平均粒径が10μm以下となるよう
分級する。
【0027】この粉体は、ブレーン比表面積が10000cm2
/g以上である。
【0028】スラリーのままで使用する場合には、セメ
ントと水を使用時に必要量加える。
【0029】乾燥粉体の場合には、予めセメントと混合
することも可能で、使用時に水と混合する。
【0030】セメントはポルトランドセメントや高炉セ
メント、フライアッシュセメント等の混合セメントが使
用できる。
【0031】さらに上記のセメントミルクに公知の各種
混和材、増量材を必要に応じて添加してもよい。
【0032】
【作用】本発明は、上記のような構成からなるため、次
のような作用を生ずる。
【0033】水溶液と接する固体表面は、溶液中からの
イオンの吸着、或いは表面の解離反応によって表面電荷
を帯びている。
【0034】表面電荷と反対符号の溶液中の対イオンは
静電的に表面電荷に引きつけられ、固−液界面に電気二
重層を形成する。この電気二重層により、同符号の電荷
を持った固体間では反発力が作用し、異符号の電荷を持
った固体間では引力が作用している。
【0035】さらに固体間には分子間引力が作用してお
り、これらのバランスによって、分散,凝集が起こる。
この分散,凝集をコントロールすることによって、ブリ
ーディングを抑え、且つ粘性を低くすることができる。
【0036】本発明によるセメント水和物は、セメント
ミルクのブリーディング低減を目的として開発したもの
で、弱い凝集力によってフロックを形成し、フロック内
部に水を閉じ込めることにより、ブリーディングの発生
を抑える働きがある。
【0037】一方、この凝集力は弱いので、外部から力
が加わった場合、或いは流動中にはフロックが解消さ
れ、フロック内に拘束されていた水が自由水となること
によって流動性を得ることができる。
【0038】ポルトランドセメントは、エーライト、ビ
ーライトと呼ばれるケイ酸カルシウム化合物と3CaO
・Al23を主成分とするアルミネート相や4CaO・
Al 23・Fe23を主成分とするフェライト相からな
る。
【0039】ケイ酸カルシウム系とアルミネート相、フ
ェライト相では表面電位が逆符号であると言われてお
り、水和物がケイ酸カルシウム単独の同符号の場合よ
り、凝集によるフロックを形成し易いと考えられる。
【0040】また、セメント中の石膏の効果や水和によ
って生成する微粒の水酸化カルシウムによってブリーデ
ィング抑制効果が増大する。
【0041】本発明によるブリーディング低減材は、セ
メントの水和生成物であるため、セメントミルクに使用
した場合、接水と同時に水和層を形成してブリーディン
グ低減材とほぼ同じ表面性状を持つようになったセメン
トと、均一に分散したフロックを形成する。
【0042】これはスラリー状態でのセメントミルクの
性状を均一なものとするだけでなく、硬化後物性をも均
一にできることを意味している。
【0043】ブリーディング低減材となるセメント水和
物は、上記の理由からできるだけ異符号の電荷を持つケ
イ酸カルシウム水和物とアルミネート、フェライト水和
物がそれぞれ粒子表面に現れていることが好ましい。従
って、細かい粒子から形成されている方が良い。
【0044】平均粒径としては10μm以下、好ましくは
6μm以下である。
【0045】そのためには、製造時に高速攪拌やミルを
使用して、できるだけ分散させながら水和させることが
重要である。
【0046】通常のセメント硬化体のような、ブロック
状のセメント水和物を造り、それを乾燥,粉砕しても比
表面積が小さく、特開昭58−173183号や特公平5−8154
6 号のようにブリーディング防止効果は小さい。
【0047】水和時の水/セメント比を1〜20とするこ
とによって、生成粒子のブレーン比表面積(乾燥粉末で
測定)を10000cm2/gとする必要がある。
【0048】1より小さいと分散を均一にすることが難
しく、凝集硬化した水和物が生成して好ましくない。
【0049】逆に20より大きい場合、性能への影響は少
ないが、セメントミルクとして使用するには有効成分が
少なすぎ、粉末として使用する場合には分離,乾燥に手
間がかかり不経済である。
【0050】水和の程度は、スラリーを80℃で乾燥した
後、1000℃で強熱したときの減量で判断でき、12%以上
であることが必要である。
【0051】これ以下では未反応のセメント成分が多す
ぎて十分なブリーディング抑制効果が得られない。
【0052】またスラリー状態で使用する場合には保存
中に品質が変動する弊害がある。
【0053】スラリーを乾燥して粉体とする場合には、
乾燥品を80℃中に24時間置いた場合の減量が10%以下と
なるように乾燥する。
【0054】これ以上の水分があると、単独あるいはセ
メントと混合して貯蔵中に変質する。
【0055】乾燥時には軽い凝集が起こるので、分級機
等を用いて、平均粒径が10μm以下、好ましくは6μm
以下にし、粉体のブレーン比表面積は10000cm2/g以上と
する必要がある。
【0056】このようにして製造したセメント水和物粉
体はポルトランドセメントと予め所定量混合して使用す
ることができる。
【0057】水/セメント比によってブリーディング率
は変わってくるが、効果的なブリーディング抑制性能を
発揮するのは、ポルトランドセメント100 重量部に対し
本発明によるセメント水和物を3〜100 重量部混合した
場合である。
【0058】3より少ないとブリーディング抑制効果が
十分でなく、100 を越える場合には本発明によるセメン
ト水和物でも良いが、これに石灰石粉末や粘土粉末等、
従来からの微粉末材料を加えることで対応可能である。
【0059】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0060】実施例1 市販の普通ポルトランドセメントと早強ポルトランドセ
メントを使用し、水/セメント比を変えてボールミル中
で水和させ、種々の水和量のセメント水和物を製造し
た。ブリーディング率の測定は、スラリーのまま使用す
る場合、スラリー中のセメント水和物分が100g/L、普通
ポルトランドセメントが300g/Lとなるようセメントと水
を添加し攪拌した後、1000mLのメスシリンダーに入れて
24時間後のブリーディング率を測定した。
【0061】尚、水/セメント比20の場合は水が多すぎ
て目的の水和物濃度に調節できない。
【0062】乾燥したセメント水和物の場合は普通ポル
トランドセメントを3倍量加え混合した後、混合物400g
/Lとなるよう水を加えて攪拌し、1000mLのメスシリンダ
ーに入れて24時間後のブリーディング率を測定した。
【0063】乾燥したセメント水和物の80℃,24時間乾
燥時の減量はいずれも5%以内であった。
【0064】表1に示すように、製造時の水/セメント
比及び80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が小さいほど
平均粒径は大きくなり、ブリーディング率も大きくなっ
た。
【0065】
【表1】
【0066】水/セメント比0.5 ではスラリーの粘度が
高すぎてうまく製造できなかった。
【0067】製造時の水/セメント比が1以上で且つ80
℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12%以上のセメント
水和物は小さいブリーディング率を示した。
【0068】実施例2 実施例1の試料CSH5のスラリーを種々の条件で乾燥
して、セメント水和物粉体を製造した。
【0069】ブリーディング率は実施例1の乾燥したセ
メント水和物の場合と同様にして測定し、セメントと水
和物の混合品を1ケ月間保存した後のブリーディング率
も測定した。
【0070】表2に示すように、乾燥中に凝集し、分級
しないと平均粒径が大きくなり、ブリーディング率が大
きくなる。
【0071】
【表2】
【0072】また、80℃,24時間乾燥後の減量が10%以
上の試料CSHP1及び2は1ケ月保存後、ブリーディ
ング率が大きくなった。
【0073】実施例3 実施例2の試料CSHP6を100g、普通ポルトランドセ
メント250gを計り取り、そのまま、又は予め混合してか
ら、全量が1000mLとなるよう水を加え、ミキサーで1分
間攪拌した。
【0074】また、比較例としてベントナイト100g、普
通ポルトランドセメント250gを計り取り、全量が1000mL
となるよう水を加え、ミキサーで1分間攪拌した。
【0075】ベントナイトの場合は、水と予め混合して
からセメントを加えた場合と、同時に混練した場合につ
いて行った。
【0076】24時間後のブリーディング率を表3に示
す。
【0077】
【表3】
【0078】セメント水和物はセメントと予め混合して
使用しても、ベントナイトと水で先練りした場合と同じ
性能を示すことがわかる。
【0079】ベントナイトとセメントの同時投入の場合
はセメントの影響を受け大きなブリーディング率を示す
ことがわかる。
【0080】実施例4 実施例2の試料CSHP6を100g、普通ポルトランドセ
メント250gを計り取り、全量が1000mLとなるよう海水を
加え、ミキサーで1分間攪拌した。
【0081】また、比較例としてベントナイト100gに海
水を加えて予め混練後、普通ポルトランドセメント250g
を投入し、さらに全量が1000mLとなるよう海水を加え、
ミキサーで1分間攪拌した。
【0082】24時間後のブリーディング率を表4 に示
す。
【0083】
【表4】
【0084】表4から明らかなように、海水によりベン
トナイトはブリーディング抑制性能が大きく低下する
が、セメント水和物の場合は影響がなく、何ら問題はな
かった。
【0085】実施例5 実施例2の試料CSHP6のセメント水和物と普通ポル
トランドセメントの混合比を変えた混合物に水を加えて
4週強度が2、5、10、15、20、25N/mm2 になるセメン
トミルクを製造した。
【0086】それぞれの配合におけるブリーディング率
とPロートの流下時間(プレバックトフロー)を測定し
た。
【0087】比較例として同配合でベントナイトを使用
した場合も測定した。
【0088】ベントナイトはセメント水和物と同量使用
し、水と先に1分間混練した後、普通ポルトランドセメ
ントを投入し、1分間再度攪拌した。
【0089】さらにセメント水和物とセメントの配合割
合が多い場合と少ない場合についても比較試験を行い、
ブレーン比表面積10000cm2/g、平均粒径3.5μmの石灰石
粉末を併用した場合も検討した。
【0090】その結果を表5に示す。尚、表5におい
て、*は石灰石粉末を添加したことを意味し、×は流下
しなかったことを意味する。
【0091】
【表5】
【0092】表5に示すようにベントナイトのブリーデ
ィング率は0%であるが、フロー値が測定できないほど
高粘性となる。
【0093】一方、セメント水和物ではフロー値が8〜
13秒と低い粘性を達成できる。
【0094】このことは、セメント水和物を使用するこ
とによって、ミルク濃度(ミルク中粉体量)を上げ、高
濃度ミルクができ、しかも低強度から25N/mm2の高強度
まで、改良体の強度設定が自由にできることを示してい
る。
【0095】比較例5.1 のようにセメント水和物の量が
セメントに対し3%を切るとブリーディングが発生し易
くなる。
【0096】添加量が比較例5.2 のようにセメントに対
し100 %を越えて多い場合、比較例5.3 のように一部を
石灰石粉末等で置き換えが可能である。
【0097】しかし、置き換え量が多すぎると比較例5.
4 のようにブリーディングが発生する。
【0098】実施例6 普通ポルトランドセメントと実施例2のセメント水和物
試料CSHP6の混合比を、重量比で1:1 、2:1 、4:1
、6:1 、8:1 、10:1、20:1、30:1と変え、水/(セメ
ント+セメント水和物)比が100 、200 、300 %となる
よう水を加えて全量で1000mLとなるようにし、ミキサー
で1分間攪拌してセメントミルクを作製し、Pロート
(プレパックトフロー)を測定した。
【0099】また比較例として同配合でベントナイトを
使用した場合も測定した。
【0100】ベントナイトはセメント水和物と同量使用
し、混練はベントナイトのみ1分間水と先に混練した
後、普通ポルトランドセメントを投入し、1分間再度攪
拌した。
【0101】その結果を表6に示す。
【0102】
【表6】
【0103】表6からわかるように、セメント水和物を
用いたセメントミルクはベントナイトを用いたCBミル
クに比べ低粘性である。
【0104】実施例7 本実施例は、シールド掘削時に発生するテールポイドに
注入する裏込め注入材料として使用する場合についての
実施例である。
【0105】実施例2のセメント水和物試料CSHP6
を90g 、普通ポルトランドセメント250gに水を加えて10
00mLとし、混合機により1分間混合し、これをA液とす
る。
【0106】また3号水ガラス60mL、水20mLを混ぜ合わ
せたものをB液とする。
【0107】A液の24時間後のブリーディング率及び、
A液1000mLとB液80mLを混合してゲル化するまでの時
間、ゲル化した物の1時間、7日、28日の圧縮強度を測
定した。
【0108】比較例として、ベントナイト90g に水874g
を入れて混練機により1分間攪拌した後、普通ポルトラ
ンドセメント250gを投入し、さらに1分間再度攪拌して
A液を作製した。
【0109】このA液のブリーディング率と、B液と合
わせたときのゲル化時間、ゲル化した物の1時間、7
日、28日の圧縮強度を同様に測定した。
【0110】その結果を次表7に示す。
【0111】
【表7】
【0112】表7に示すようにセメント水和物を用いて
作製した裏込め材料A液のブリーディング率及びB液を
混合したときのゲル化時間、ゲル化した物の1時間、7
日、28日の圧縮強度のいずれも、ベントナイトを用いた
場合と比較して全く遜色なく、実用上何ら問題がないこ
とが判明した。
【0113】実施例8 本実施例は土木、建築の基礎工事として行われる噴射置
換工法に使用する材料であるセメントミルクに関する。
【0114】実施例2のセメント水和物試料CSHP6
を60kg、普通ポルトランドセメント700kg に水750kg を
混合し、3時間後のブリーディング率を測定した。
【0115】比較例として、普通ポルトランドセメント
760kg に水750kg を混合してセメントミルクを作製し、
3時間後のブリーディング率を測定した。
【0116】その結果を表8に示す。
【0117】
【表8】
【0118】表8からも明らかなように、セメント水和
物を用いた場合、従来一般的に行われている比較例のセ
メントミルクに比べてブリーディング率が小さいことが
確認された。
【0119】実施例9 本実施例は土木、建築の基礎工事として行われるSMW
(ソイルミキシングウォール)に使用する材料であるセ
メントミルクに関する。
【0120】実施例2のセメント水和物試料CSHP6
を10kg、普通ポルトランドセメント250kg に水600kg を
混合し、1時間後のブリーディング率を測定した。
【0121】比較例として、ベントナイト10kg、普通ポ
ルトランドセメント250kg に水600kg を混合し、1時間
後のブリーディング率を測定した。
【0122】その結果を表9に示す
【0123】
【表9】
【0124】表9からも明らかなように、セメント水和
物を用いた場合、従来から使われている比較例のセメン
トミルクに比べてブリーディング率が小さく、優れてい
ることが判明した。
【0125】
【発明の効果】叙上のように、本発明によって、ベント
ナイトと同等性能を有するブリーディング低減材料が得
られた。これは、特にセメントミルク用として有用なも
のである。
【0126】また、本発明のセメント水和物は、従来の
ベントナイトのようにCa,Na等のイオンに影響され
ることがなく、低ブリーディング化が達成できる。
【0127】しかも、どこででも一般的に、安価に入手
が可能なポルトランドセメントを原料としておりベント
ナイトや天然の代替材料に比べると品質も安定してい
る。
【0128】さらに、ベントナイトと異なり、セメント
とプレミックスが可能であるため、施工の省力化が図れ
るという利点がある。
【0129】また、上記のようなブリーディング低減材
料をセメントミルクとして使用する場合、ベントナイト
と異なり、低粘性のものが得られるという効果がある。
【0130】しかも、混合量を増やしても、ある一定量
までは低粘性を保持できるため、低強度、高濃度のセメ
ントミルクが製造できる。
【0131】その硬化体は、同じセメント水和物によっ
て構成されるため、均一な組織を形成し、高耐久化が図
れるという効果がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 謙介 大阪市大正区南恩加島7丁目1番55号 住友大阪セメント株式会社 セメント・ コンクリート研究所内 (72)発明者 鈴木 裕明 大阪市大正区南恩加島7丁目1番55号 住友大阪セメント株式会社 セメント・ コンクリート研究所内 (72)発明者 蛇見 眞悟 大阪市大正区南恩加島7丁目1番55号 住友大阪セメント株式会社 セメント・ コンクリート研究所内 (56)参考文献 特開 平6−80459(JP,A) 特開 平1−318080(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 28/18 C09K 17/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12
    %以上となるまで水和させた、平均粒径が10μm以下の
    セメント水和物を含むことを特徴とするセメント水和物
    スラリー。
  2. 【請求項2】 水/セメント比1〜20でセメントを水和
    させ、凝集しないように反応させてセメント水和物スラ
    リーを製造することを特徴とするセメント水和物スラリ
    ーの製造方法。
  3. 【請求項3】 80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12
    %以上となるまで水和させたセメント水和物スラリー
    が、80℃乾燥時の減量が10%以下となるよう乾燥され、
    且つ平均粒径が10μm以下となるよう分級され、しかも
    ブレーン比表面積が10000cm2/g以上であることを特徴と
    するセメント水和物粉末。
  4. 【請求項4】 80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12
    %以上となるまで水和させたセメント水和物スラリー
    が、80℃乾燥時の減量が10%以下となるよう乾燥され、
    且つ平均粒径が10μm以下となるよう分級され、しかも
    ブレーン比表面積が10000cm2/g以上であるセメント水和
    物粉末と、セメントとを含有することを特徴とするセメ
    ント組成物。
  5. 【請求項5】 80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12
    %以上となるまで水和させた、平均粒径が10μm以下の
    セメント水和物を含むセメント水和物スラリーと、セメ
    ントと、水とを含有することを特徴とするセメントミル
    ク。
  6. 【請求項6】 80℃で乾燥した後の試料の強熱減量が12
    %以上となるまで水和させたセメント水和物スラリー
    が、80℃乾燥時の減量が10%以下となるよう乾燥され、
    且つ平均粒径が10μm以下となるよう分級され、しかも
    ブレーン比表面積が10000cm2/g以上であるセメント水和
    物粉末と、セメントと、水とを含有することを特徴とす
    るセメントミルク。
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