JPH08133797A - 裏込め注入材料 - Google Patents

裏込め注入材料

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JPH08133797A JP29790494A JP29790494A JPH08133797A JP H08133797 A JPH08133797 A JP H08133797A JP 29790494 A JP29790494 A JP 29790494A JP 29790494 A JP29790494 A JP 29790494A JP H08133797 A JPH08133797 A JP H08133797A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 A液が十分な流動性を有し、可使時間特性に
優れている事は勿論、A液とB液混合後の、強度発現性
(短期、長期強度)、注入性に優れた裏込め注入材料を
提供する。 【構成】 平均粒径10μm以下のフライアッシュ、セ
メント、水、及び遅延剤を含み、フライアッシュとセメ
ントとの重量比を8:2〜5:5、水をフライアッシュ
とセメントとの合量に対して80重量%以上、遅延剤を
セメント量に対して0.5重量%以下配合したA液と、
5〜20体積%珪酸ソーダ水溶液からなるB液とを、A
液:B液=95:5〜80:20の体積比で混合してな
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】この発明は、シールド工法でトンネル等を
掘削する場合の裏込め注入材料に関する。
【0002】
【従来の技術】シールド工法による各種トンネル工事で
は、掘削された地山とライニングの外径の隙間を埋める
為、裏込め材料を注入しなければならない。この裏込め
材料として、従来は、豆砂利、コンクリート、セメント
モルタル、セメントエアーモルタル、或いはセメントミ
ルク等が使用されてきた。しかし、これらの材料は、長
距離圧送性に劣る事や、初期強度が小さく、裏込め材料
注入後の地山の沈下量が大きくなる等の欠点があった。
そこで、最近では、流動性に優れるセメントスラリー液
(A液)と珪酸ソーダ水溶液(B液)を注入直前に混合
し、直ちに、ゲル化させて裏込め注入し、初期強度発現
性に優れる、2液混合型の裏込め材料が多く使用されて
いる。
【0003】ここで、使用されるA液は、硬化材の各種
セメント、水、各種増粘材、及び各種遅延剤等から構成
される場合が多い。A液を注入性、流動性に優れた材料
とする為には、水分量をより増加させる必要があるが、
一般にブリージング率が高くなり、A液圧送管内で固結
しやすくなったりして、均一な裏込め材料となりにく
い。従って、増粘材が材料分離を低減させる為に配合さ
れている。しかし、増粘材を使用すると、遅延剤を可使
時間を調整する為に配合しているにも係わらず、セメン
ト量に対して遅延剤を十分に添加しても、A液可使時間
が比較的短くなり、流動性も劣化する。
【0004】又、裏込め材料の要求強度は、近年、益々
高く設定されるようになってきているが、要求強度達成
する為に、1)硬化材量を増加させると、A液流動性が
悪化し、又、A液とB液混合後の注入性が劣る。2)B
液混合量を増加させると、アルカリ溶出量が高くなり環
境衛生上好ましくなく、長期強度発現性にも不安が残
る。3)増粘材を増加させても、大きな強度増進は期待
できず、流動性にも劣る等、強度発現性は、何らかの裏
込め特性を犠牲にしない限り、いずれの方法でも解決で
きない。
【0005】このように、従来のセメント系2液混合裏
込め材料では、A液特性(流動性、可使時間特性、材料
分離性)や、強度発現性等の、すべての要求裏込め特性
を同時に達成することは非常に難しい。したがって、従
来の裏込め材料は、各施工状況毎に、優先すべき裏込め
要求特性を決定し、この特性のみを満足する配合で使用
されているのが現状である。
【0006】又、硬化材として、一部セメントと置き換
えてフライアッシュやスラグ等を混入する裏込め材も使
用されているが、この場合は、1ヵ月材令までの各特性
が、セメント系と同等になるように、セメントへの混入
量を少なくして使用することが多く、裏込め材の要求特
性が改善されているとはとても言い難い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、従
来の裏込め材料の欠点を解消し、A液が十分な流動性を
有し、可使時間特性に優れている事は勿論、A液とB液
混合後の、強度発現性(短期、長期強度)、注入性に優
れた裏込め注入材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、フライア
ッシュとセメントの混合硬化材を、水に混合したスラリ
ー液(A液)と珪酸ソーダ水溶液(B液)の2液混合型
裏込め注入材に関して、種々の実験を積み重ねて本発明
を完成させるに至った。即ち、この発明の裏込め注入材
料は、平均粒径10μm以下のフライアッシュ、セメン
ト、水、及び遅延剤を含み、フライアッシュとセメント
との重量比を8:2〜5:5、水をフライアッシュとセ
メントとの合量に対して80重量%以上、遅延剤をセメ
ント量に対して0.5重量%以下配合したA液と、5〜
20体積%珪酸ソーダ水溶液からなるB液とを、A液:
B液=95:5〜80:20の体積比で混合してなるこ
と(請求項1)、また、フライアッシュとセメントとの
重量比を8:2〜5:5、水をフライアッシュとセメン
トとの合量に対して80重量%以上、遅延剤をセメント
量に対して0.5重量%以下、さらに粘土鉱物を1m3
当たり5〜30kg配合したA液と、5〜20体積%珪
酸ソーダ水溶液からなるB液とを、A液:B液=95:
5〜80:20の体積比で混合してなること(請求項
2)を特徴とする。以下、この発明を詳細に説明する。
【0009】まず、請求項1の発明では、石炭火力発電
所から発生するフライアッシュを空気分級機等により分
級処理した平均粒径10μm以下のフライアッシュを使
用する。これは、平均粒径が、10μmより大きくなる
と、A液のブリージング率が大きくなり、A液とB液混
合後、均一な裏込め材にならない為である。これに対
し、請求項2の発明では、石炭火力発電所から発生する
フライアッシュを特に前処理すること無く原粉のまま使
用する。すなわち、平均粒径が10μmより大きいフラ
イアッシュを使用する場合でも、後述する粘土鉱物を配
合すると、A液のブリージング率の挙動が大幅に改善さ
れる。粘土鉱物としては、ベントナイトが好適に使用さ
れ、これを1m3当たり5〜30kgの範囲で配合す
る。5kgより少ないと配合効果があまり無く、また、
粘土鉱物を1m3 当たり30kgより多く配合すると、
可使時間特性や、流動性が悪化する為、好ましくない。
【0010】次に、セメントとしては、ポルトランドセ
メントが好適に使用されるが、高炉セメント等の混合セ
メントを使用することもできる。硬化材のフライアッシ
ュとセメントの混合比は、重量比で8:2〜5:5の割
合とすることが好ましい。これは、セメントの混合比を
フライアッシュより多くすると、A液とB液混合後、1
時間以内でのゲル化強度が高くなり、著しく注入性に劣
る為に好ましくなく、又、フライアッシュとセメントの
混合比で、8:2よりフライアッシュを増加させると、
強度発現性が少ない為に、それぞれ好ましくない。
【0011】また、A液の水分量は、フライアッシュと
セメント(以下、硬化材)の合量に対して80重量%以
上とする。これが80重量%より小さいと、流動性が悪
化するため好ましくなく、80重量%以上とすることに
より、前述した硬化材混合比のいずれの場合でも、十分
なフロー値が得られる。従って、裏込め要求特性に応じ
て、80重量%以上の適宜な量で水分を混合すれば良
い。
【0012】遅延剤は、セメント量に対して0.5重量
%以下の割合で配合する。遅延剤を配合することにより
可使時間は大幅に改善され、例えば、遅延剤を0.5重
量%配合すると、可使時間が、増粘材を使用しない場合
で7日、増粘材を使用する場合で3日程度になる。した
がって、可使時間要求特性に応じて、遅延剤を0.5重
量%以内で配合する事が好ましい。遅延剤としては、グ
ルコン酸系、クエン酸系、オキシカルボン酸系、有機リ
ン酸系、スルホン酸系等各種公知の遅延剤を使用するこ
とができる。
【0013】B液としての珪酸ソーダ水溶液は、水溶液
濃度を5〜20体積%、混合量をA液:B液=95:5
〜80:20(体積比)として用いる。この範囲より濃
度や混合量が少ない場合には、ゲル化強度が著しく低い
為、逆に、この範囲より濃度や混合量を多くしても、長
期強度も向上しないばかりか、アルカリ溶出量を著しく
増加させる為、それぞれ好ましくない。
【0014】
【作用】この発明の裏込め材料では、硬化材の主構成材
料がフライアッシュであり、その為、増粘材を配合しな
いか、あるいは、配合しても僅かにしか用いない。増粘
材は、1液型裏込め材料の場合、ブリージング率が、そ
のまま裏込め材料の材料分離を示すものであるから、そ
の挙動を防止する為に必要不可欠な材料として使用され
る。しかし、2液混合型裏込め材料の場合は、B液と混
合することにより、直ちにゲル化してブリージングは全
く無くなる。したがって、A液自体のブリージングは、
あまり問題にする必要はなく、この場合の増粘材は、A
液のポンプ圧送中における材料分離や、A液とB液混合
直後のゲル化強度が弱い時点に発生する材料偏り、或い
は、可使時間特性の悪化等を防止する役割のみを果たせ
ばよい。即ち、2液混合型裏込め材料での増粘材は、従
来の増粘材より、弱い作用を及ぼせばよいが、この発明
では、フライアッシュを使用することにより、この作用
を十分果たすことができ、前述したように、増粘材を配
合しないか、あるいは、配合しても僅かにしか用いなく
てよい。
【0015】フライアッシュは、セメント粒子よりも形
状が細かく、その殆どが球状粒子であり、微粉末効果に
よりセメント粒子に入り込み、また、さらに、セメント
がζ電位を持つ為に、セメントと凝集し、ブリージング
率を少なくする。この効果は、フライアッシュの平均粒
径10μm以下の場合に顕著であり、このフライアッシ
ュを使用する場合には、増粘材を全く使用する必要がな
い。
【0016】また、平均粒径が10μm以上のフライア
ッシュを使用する場合、例えば、石炭火力発電所から発
生するフライアッシュを特に前処理すること無く原粉の
まま使用する場合も、増粘材を僅かに配合する事によ
り、可使時間特性、流動性を使用上問題の無い範囲のま
まで、ブリージング率を低下させることができる。特に
この発明では、前述したように粘土鉱物を1m3当たり
5〜30kgの範囲で配合することにより効果的な作用
をなす。
【0017】又、フライアッシュは、溶出性Ca2+イオ
ンがほとんど無く、B液の珪酸ソーダ溶液と直接反応し
ない為、A液中にフライアッシュが多くなると、A液と
B液混合直後のゲル化強度は弱くなり、変形係数を低下
させる事ができる。したがって、硬化材中のフライアッ
シュが多くなるほど、注入性は大幅に向上する。但し、
上記理由から、硬化材中にセメントを配合しない場合に
は、2液混合後に全く強度発現しない為、前述したよう
に所定量のセメントを混合することにより強度発現性を
高めることができる。
【0018】さらに、フライアッシュは、緩慢なポゾラ
ン反応を有する代表的な物質であるから、3ヵ月材令以
降の長期材令の強度発現に寄与する事は言うまでもな
い。
【0019】このように、この発明の裏込め材料を構成
しているフライアッシュは、1)微粉末効果があり、材
料分離性を防止し、均一で、短期強度性に優れた材料と
する事、2)緩慢なポゾラン反応を有し、長期強度性を
有する材料とする事、3)珪酸ソーダ水溶液と直接反応
しないので、注入性に優れた材料とする事等、従来の裏
込め材料特性を改善する為に、必要不可欠な材料として
作用する。
【0020】
【実施例】以下、実験例に基づき更に本発明を説明す
る。実験に使用したフライアッシュは、分級機(秩父小
野田社製分級機;商品名クラッシール)を用いて分級処
理したフライアッシュA、B及び分級処理しない一般品
の原粉Cであり、その性状を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表2に示す配合で2液混合型の裏込め材料
注入材を試作し、A液とB液を混合して、直径5cm、高
さ10cmの円柱供試体を成形し、20°Cの水中で養生
した。各々の養生供試体について、各材令毎の変形係
数、一軸圧縮強度を測定した。又、表2に示した注入材
のA液に関し、フロー値、ブリージング率、可使時間
を、又、A液とB液の混合液のゲル化時間をそれぞれ測
定した。尚、変形係数、一軸圧縮強度の測定は、土質工
学会、JSF T511の試験方法によった。測定結果
を図1及び表3に示す。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】図1は、セメントとフライアッシュとの重
量比を変えた時の水(W)/〔セメント(C)+フライ
アッシュ(FA)〕比とフロー値との関係を示したもの
である。この結果によれば、W/(C+FA)比が80
%以上なら、セメント+フライアッシュ比に関係無く、
すべて40cmを越えたフロー値となり、流動性に優れる
ことがわかる。
【0026】次に、表3の結果について説明する。試験
NO1〜8において、硬化材の混合比が、セメント:フ
ライアッシュ=2:8〜5:5であるNO2、3、4の
条件では、良好な結果が得られている。しかし、硬化材
がフライアッシュのみであるNO1の条件では、A液と
B液混合後ゲル化しない為、又、硬化材の混合比が、セ
メント:フライアッシュ=7:3〜10:0であるNO
5、6の条件では、変形係数が高く、注入性に著しく劣
る為、好ましくないのがわかる。
【0027】試験NO7、8では、硬化材をセメントの
みとして、変形係数が低くなるように、水分量を増加さ
せた例を示しているが、増粘材を使用しないNO7の条
件では、A液ブリージングが著しく高い為、増粘材を使
用するNO8の条件では、A液可使時間が著しく短く、
強度発現を小さい為、それぞれ好ましくないのがわか
る。また、NO9では、遅延材を配合しない場合の例を
示しているが、A液可使時間が著しく短くなり好ましく
ないのがわかる。
【0028】試験NO10〜11の結果によれば、硬化
材のフライアッシュが分級品で平均粒径が10μm以下
であるNO10の条件では、良好な結果が得られてい
る。しかし、一般のフライアッシュを使用するNO11
の条件では、A液のブリージング率が比較的大きく、一
軸圧縮強度の値も小さく、均一な裏込め材となっていな
いと推定される為、好ましくないのがわかる。
【0029】そこで、試験NO12〜15では、粘土鉱
物としてベントナイトを使用した例を示しているが、ベ
ントナイトを1m3中に50kg配合したNO12の条
件では、A液のフロー値が比較的悪化する為に好ましく
なく、また、1m3中に3kg配合したNO15の条件
では、添加効果があまり無い。これに対して、ベトナイ
トを1m3中に20kg、及び10kg配合したNO1
3、NO14の条件では、良好な結果が得られている。
【0030】試験NO16〜20の結果によれば、B液
珪酸ソーダ濃度10%、B/A混合量15%であるNO
17の条件では、良好な結果が得られている。しかし、
B/A混合量3%であるNO16の条件ではゲル化しな
い為、B/A混合量30%であるNO18の条件では、
変形係数が比較的高い為、更に、B液珪酸ソーダ濃度3
%であるNO19の条件では、はっきりゲル化しない
為、好ましくない。
【0031】B液珪酸ソーダ濃度30%であるNO20
の条件では、NO16の条件の場合と比較して、一軸圧
縮強度がやや低い値を示しているので、B液珪酸ソーダ
濃度は、30%までする必要はない事がわかる。
【0032】以上、セメントに早強セメントを使用した
場合の例を示してきたが、試験NO21に示すように、
セメントとして普通セメントを使用した場合も、良好な
結果が得られている。
【0033】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明裏込め
材料は、A液が十分な流動性を有し、可使時間特性に優
れている事は勿論であるが、A液とB液混合後の、強度
発現性(短期、長期強度)、注入性に優れている材料で
ある。従って、本発明裏込め材料の諸特性は、従来の裏
込め材料に比べて、大幅に改善されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】セメントとフライアッシュとの重量比を変えた
時の〔水(W)〕/〔セメント(C)+フライアッシュ
(FA)〕比とフロー値との関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 24:04 14:10) Z 111:70

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径10μm以下のフライアッシ
    ュ、セメント、水、及び遅延剤を含み、フライアッシュ
    とセメントとの重量比を8:2〜5:5、水をフライア
    ッシュとセメントとの合量に対して80重量%以上、遅
    延剤をセメント量に対して0.5重量%以下配合したA
    液と、5〜20体積%珪酸ソーダ水溶液からなるB液と
    を、A液:B液=95:5〜80:20の体積比で混合
    してなることを特徴とする裏込め注入材料。
  2. 【請求項2】 フライアッシュとセメントとの重量比を
    8:2〜5:5、水をフライアッシュとセメントとの合
    量に対して80重量%以上、遅延剤をセメント量に対し
    て0.5重量%以下、さらに粘土鉱物を1m3当たり5
    〜30kg配合したA液と、5〜20体積%珪酸ソーダ
    水溶液からなるB液とを、A液:B液=95:5〜8
    0:20の体積比で混合してなることを特徴とする裏込
    め注入材料。
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