JP3565401B2 - 壁面下地材 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅やオフィス等の建物の内装用の壁面下地材に関する。特には、特殊な技能を有しない者でも組み立てが可能(一業種で施工可能)で、内装工事の省力化に役立ついわゆるシステム内装方式の壁面下地材に関する。
【0002】
【従来の技術】
集合住宅等の鉄筋コンクリート製の躯体壁に沿って壁をつける際には、従来、一般的に次のようにしていた。まず躯体壁に間柱としてのスタッドをある間隔で上下ガイド材等に固定する。次にこのスタッドに石膏製等の壁面ボードを貼る。そして最後に、この壁面ボードの上に化粧板を貼るかクロス貼りの表面化粧をして仕上げる。
一方、躯体の壁面に壁(戸境壁という)を付けるのではなく、部屋と部屋との間を仕切る壁(間仕切壁という)を作る場合には、補強用野縁を取り付けてスタッドを立てるか、躯体の天井下面まで壁用の下地材を延ばして立てる工法を採用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の工法では、下地から仕上げ工事まで複数の専門業者の手で施工することが前提であり、工数・コスト・所要日数ともに相当かかるものであった。また、将来、リフォームや間仕切り変更をする場合や壁面の改装仕上げを行う場合にも、床天井の一部を含めたその箇所の下地材仕上材一切のものを取り壊した後に、新たに壁下地材を立ち上げ仕上げパネル等を取り付ける大掛かりな工事が必要となっていた。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、特殊な技能を有しない者でも組み立てが可能で、仕上げパネルのみの差し換えや間仕切壁変更等の内装工事の省力化に役立つ、いわゆるシステム内装方式の壁面下地材を提供することを目的とする。また、のり、釘を使用しなくても済む乾式工法であって、取り外しが容易、単一業種で施工可能等の特徴をも有するシステム内装方式の壁面下地材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の壁面下地材は、 部屋の壁面を構成する壁パネルを取り付けるための下地材であって; 壁パネルの横幅に対応するピッチで縦方向に延びるように複数本設けられるスタッドと、 隣り合う2本のスタッド間に掛け渡される振れ止めと、上記スタッドに係止される壁パネル固定用のクリップと、を具備し;
上記スタッドは、断面が中空H字形であり、その前後方向の面の中央には上下に長く延びるクリップ係止溝が設けられているとともに、横方向側壁には振れ止め係止穴が設けられており、
上記クリップは、上記スタッドのクリップ係止溝にまで達するとともにネジで上記スタッドに係止される奥深いコの字状部と、その先に左右に広がるパネル押え部とからなり、
上記振れ止めが、上記スタッドよりも前後方向の幅が狭い部材からなるとともに、上記スタッドの振れ止め係止穴下部の側壁と噛み合う切欠部を有することを特徴とする。
振れ止めは、スタッド間隔(ピッチ)をより正確に出す役割を果たす。振れ止めの幅を比較的狭くして重量低減を図っている。また振れ止めの形状を単純な形として、薄鋼板のプレス加工等により低コストで製造可能としている。
【0006】
振れ止めをスタッドに取付ける際は、スタッドの振れ止め係止穴に振れ止めの端部を差し込んで、振れ止めの切欠部をスタッドの振れ止め係止穴下部の側壁と噛み合わせるだけで済む。これでスタッド間ピッチが定まる。
【0007】
本発明の壁面下地材においては、上記振れ止めに、前後方向の出入を調整できるアジャスター機構が設けられていることが好ましい。
コンクリートや木造の躯体面は、寸法精度がかなり悪くかつ表面の凹凸が相当ある。そのような躯体面に沿ったシステム内装壁が押された際にもたわむことのないように、躯体に対してアジャスター機構により突張ることにより解消するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の1実施例に係る壁面下地材(間仕切り壁用)の全体構成を示す図である。(A)は斜視図であり、(B)は平面断面図である。
図1(A)の上下方向が重力方向であり縦と呼び、左右方向が水平方向であり横と呼び、紙面の前後方向を前後方向と呼ぶ。
【0009】
この間仕切り壁用下地材1は、建物躯体の天井面や床面(図示されず)に、アジャスターボルト等により固定された上レールRtと下レールRbとを基本として組み上げられている。各レールは断面コの字状(チャンネル型)をしており、上レールRtはコの字の開きを下にして天井面に固定されており、下レールRbはコの字の開きを上にして床面に固定されている。上下のレール間隔は、何種類かに標準化されている(一例:2650mm)。この実施例では、レールは薄鋼板をプレス加工したものであり、コの字の突き出し寸法は、手前側40mm、奥側50mmである。
【0010】
上下のレールRt、Rb間には、間柱としてのスタッドSが掛け渡されている。スタッドSの上端及び下端は、レールのコの字状の凹部に差し込まれている。スタッドSはレールRに対して横方向にスライド可能であるが、基準となる箇所は固定される。
【0011】
図2は、スタッドの詳細を示す図である。(A)は側面図であり、(B)は断面図である。
このスタッドSは、断面が中空H字形であり、横方向の幅が50mm、前後方向厚さ35mm、肉厚1.5mmの金属部材(アルミ、軽鉄等)である。前後方向の面Sd、Sd′は、壁面に沿った面であり、その中央には上下に長く延びるクリップ係止溝Sb、Sb′が設けられている。この溝は、詳しくは図6を参照しつつ後述するが、壁パネル固定用のクリップが係止される。
【0012】
スタッドSの側面Sc、Sc′には、複数の振れ止め係止穴Saが開けられている。振れ止め係止穴Saは、長さ120mm、幅15mmの縦方向に延びる細長い長方形の穴であり、スタッドSの側面Scに4個開けられている。図中のピッチ寸法の一例は、P1=P5=170mm、P2=P3=P4=750mmである。この振れ止め係止穴Saには、後述する振れ止めが組み立て時に挿入される。
【0013】
左右に隣り合う2本のスタッドS間には、振れ止め11が上下方向に4本掛け渡されスタッド間の間隔が正確に定められる。
図3は、振れ止めの詳細を示す図である。(A)は正面図、(B)は断面図である。
振れ止め11は断面下向きコの字状の薄鋼板の曲げ加工品である。高さ40mm、厚さ14mm、板厚1mmである。長さは、壁パネルの幅(一例900mm)にほぼ対応した長さである。
【0014】
振れ止め11の左右両端部には、下辺から上に向かって延びる切欠11a、11a′が形成されている。切欠11aは、高さ15mmで、上部の幅1.5mm、下部の幅2.5mmである。左右内側の辺は垂直の直線であるが外側の辺の入口部はやや傾斜しており、下部の幅は2.5mmと少し広くなっている。これは、切欠をスタッドの振れ止め係止穴の側壁に嵌め込みやすくするためである。
【0015】
振れ止め11の切欠11aには、スタッドの振れ止め係止穴Saの下の側壁が入り込んで、振れ止め11がスタッドSに対して組み立てられる。振れ止め11の左右の切欠の間隔は、振れ止めを工場で製作する際にキチンとした寸法精度がでている。したがって、振れ止めを入れるだけでスタッド間ピッチが正しく定まる。
【0016】
振れ止め11の中間部には、任意の位置(この場合2箇所)にカバー13が嵌め込まれている。
図4は、カバーの詳細を示す図であって、(A)は断面図、(B)は正面図である。カバー13は、薄鋼板(厚さ0.6mm)の折り曲げ部材である。カバー13の断面形状は、コの字状に上下に脚13a、13gが付いた形である。この脚13a、13gは、コの字状の手前の壁13dと平行であり、壁13dと脚13a、13gの外側の面の間隔は35mmと、スタッドSの厚さと等しい。
【0017】
カバー13の両側壁13b、13eの内側には、係合突起13c、13fが内側に突出するように形成されている。手前と奥側の突起の間隔は14.5mmであり、振れ止め11の厚さ14mmよりやや大きい。また手前と奥側の突起は、カバー13の前後方向中心線から等距離に振り分けられて形成されている。
【0018】
このカバー13は、図4で二点鎖線で示す振れ止め11の上下面を、両側壁13b、13eではさむように固定されている。カバー13の手前の面13d及び脚13a、13gの奥の面には、間仕切り壁の壁パネルP1、P2が当接し、このパネルP1、P2に押圧力がかかってもパネルがあまり変形しないようになっている。カバー13の設置ピッチの一例としては300mmである。
【0019】
次に、この壁面下地材1の全体的組み立て方法をまとめて説明する。
まず、上下のレールRt、Rbを躯体の天井と床面にアンカーボルトで固定する。この時、上下のレール間隔を適正に出す。次に、上下のレール間にスタッドSを少し傾けて入れて垂直に立てる。次に、スタッドS間に振れ止め11を入れてスタッドS間の間隔を決める。次に、振れ止め11にカバー13を嵌め込む。その後、図1(B)に示すようにA室側から壁パネルP1をスタッドSやカバー13の面に当てて貼り、B室側から壁パネルP2をスタッドSやカバー13の面に当てて貼る。これで、A室21とB室23の間の間仕切りが完了である。模様替えのために壁面下地材を取り外すときは、壁パネルPをはがした後、振れ止め11やスタッドSを外せば間仕切り壁がなくなる。なお、壁パネルのスタッドSへの係止方法については図6を参照して後述する。
【0020】
図5は、本発明の他の1実施例に係る壁面下地材の振れ止め及びアジャスターボルト(戸境壁用)の構成を示す図である。(A)は正面図であり、(B)は平面図である。
この例の特徴は、振れ止め31に3本のアジャスターボルト33が付いていることである。アジャスターボルト33は、振れ止め31に溶接固定されたナット33bにネジ込まれている。アジャスターボルト33の頭33aは塩化ビニル製のキャップでくるまれている。
【0021】
コンクリート壁35のように表面に凹凸がある躯体に壁面下地材を組み付ける際には、このアジャスターボルト33を回して、その頭33aの突き出し長さを変え、ちょうど頭33aが躯体面に当たるように調整する。このようにすることによって振れ止め31がちょうどほどよく躯体面35にサポートされるようにできる。
【0022】
図6は、スタッドへの壁パネルの係止部の詳細構造を示す平面断面図である。スタッドSの前後方向の面Sdには、2枚の壁パネルP1、P2の端部の裏面が当接している。両壁パネルP1、P2のエッジは、スタッドSのクリップ係止溝Sbのエッジよりやや外側に位置する。この状態で、クリップ53をクリップ係止溝Sb内に嵌め込み、クリップ係止溝の奥でネジ55を用いて止める。クリップ53は、スタッドのクリップ係止溝Sbにまで達する奥深いコの字状部53aと、その先に左右に広がるパネル押え部53bとからなるアルミ型材である。パネル押え部53bは、壁パネルP1、P2のエッジ部表面に当接してパネルを押さえる。クリップ53の表面は装飾用の嵌め込み式のモール51でカバーして美感を保つ。なお、左右に並ぶ2つのスタッドS間の間隔は振れ止め11によって正確に決まるので、壁パネルP1、P2のエッジは、スタッドのクリップ係止溝の直近に正しく位置決めされる。壁パネルPを外す時は、まずモール51を外して、ネジ55を抜いてクリップ53を外せば、パネルPは簡単に外れる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1態様の壁面下地材は、振れ止めが、スタッドよりも前後方向の幅が狭い、断面が横方向で実質的に均一なコの字状の部材からなるので、振れ止めの幅を比較的狭くして重量低減を図ることができる。また振れ止めの形状を単純な形として、薄鋼板のプレス加工等により低コストで製造可能である。
本発明の第2態様の壁面下地材は、スタッドが箱形の横断面形状を有するとともに、横方向側壁に開けられた振れ止め係止穴を有し、振れ止めが、スタッドの振れ止め係止穴下部の側壁と噛み合う切欠部を有するので、振れ止めをスタッドに取付ける際は、スタッドの振れ止め係止穴に振れ止めの端部を差し込んで、振れ止めの切欠部をスタッドの振れ止め係止穴下部の側壁と噛み合わせるだけで済む。
本発明の第3態様の壁面下地材は、振れ止めに、前後方向の出入を調整できるアジャスター機構が設けられているので、凹凸のある躯体表面にもしっかりと壁面下地材を固定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る壁面下地材(間仕切り壁用)の全体構成を示す図である。(A)は斜視図であり、(B)は平面断面図である。
【図2】スタッドの詳細を示す図である。(A)は側面図であり、(B)は断面図である。
【図3】振れ止めの詳細を示す図である。(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図4】カバーの詳細を示す図であって、(A)は断面図、(B)は正面図である。
【図5】本発明の他の1実施例に係る壁面下地材の振れ止め及びアジャスターボルト(戸境壁用)の構成を示す図である。(A)は正面図であり、(B)は平面図である。
【図6】スタッドへの壁パネルの係止部の詳細構造を示す平面断面図である。
【符号の説明】
1 壁面下地材(間仕切り用) 11 振れ止め
13 カバー 13a、13g 脚
13b、13e 側壁 13c、13f 係合突起
13d 壁面
21 A室 23 B室
31 振れ止め 33 アジャスターボルト
33a 頭 33b ナット
35 コンクリート壁
51 突き合わせモール 53 クリップ
55 ネジ
P1 A室側壁パネル P2 B室側壁パネル
P3 壁パネル
S スタッド
Sa 振れ止め係止穴 Sb クリップ係止溝
Rt 上レール Rb 下レール
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅やオフィス等の建物の内装用の壁面下地材に関する。特には、特殊な技能を有しない者でも組み立てが可能(一業種で施工可能)で、内装工事の省力化に役立ついわゆるシステム内装方式の壁面下地材に関する。
【0002】
【従来の技術】
集合住宅等の鉄筋コンクリート製の躯体壁に沿って壁をつける際には、従来、一般的に次のようにしていた。まず躯体壁に間柱としてのスタッドをある間隔で上下ガイド材等に固定する。次にこのスタッドに石膏製等の壁面ボードを貼る。そして最後に、この壁面ボードの上に化粧板を貼るかクロス貼りの表面化粧をして仕上げる。
一方、躯体の壁面に壁(戸境壁という)を付けるのではなく、部屋と部屋との間を仕切る壁(間仕切壁という)を作る場合には、補強用野縁を取り付けてスタッドを立てるか、躯体の天井下面まで壁用の下地材を延ばして立てる工法を採用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の工法では、下地から仕上げ工事まで複数の専門業者の手で施工することが前提であり、工数・コスト・所要日数ともに相当かかるものであった。また、将来、リフォームや間仕切り変更をする場合や壁面の改装仕上げを行う場合にも、床天井の一部を含めたその箇所の下地材仕上材一切のものを取り壊した後に、新たに壁下地材を立ち上げ仕上げパネル等を取り付ける大掛かりな工事が必要となっていた。
【0004】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、特殊な技能を有しない者でも組み立てが可能で、仕上げパネルのみの差し換えや間仕切壁変更等の内装工事の省力化に役立つ、いわゆるシステム内装方式の壁面下地材を提供することを目的とする。また、のり、釘を使用しなくても済む乾式工法であって、取り外しが容易、単一業種で施工可能等の特徴をも有するシステム内装方式の壁面下地材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の壁面下地材は、 部屋の壁面を構成する壁パネルを取り付けるための下地材であって; 壁パネルの横幅に対応するピッチで縦方向に延びるように複数本設けられるスタッドと、 隣り合う2本のスタッド間に掛け渡される振れ止めと、上記スタッドに係止される壁パネル固定用のクリップと、を具備し;
上記スタッドは、断面が中空H字形であり、その前後方向の面の中央には上下に長く延びるクリップ係止溝が設けられているとともに、横方向側壁には振れ止め係止穴が設けられており、
上記クリップは、上記スタッドのクリップ係止溝にまで達するとともにネジで上記スタッドに係止される奥深いコの字状部と、その先に左右に広がるパネル押え部とからなり、
上記振れ止めが、上記スタッドよりも前後方向の幅が狭い部材からなるとともに、上記スタッドの振れ止め係止穴下部の側壁と噛み合う切欠部を有することを特徴とする。
振れ止めは、スタッド間隔(ピッチ)をより正確に出す役割を果たす。振れ止めの幅を比較的狭くして重量低減を図っている。また振れ止めの形状を単純な形として、薄鋼板のプレス加工等により低コストで製造可能としている。
【0006】
振れ止めをスタッドに取付ける際は、スタッドの振れ止め係止穴に振れ止めの端部を差し込んで、振れ止めの切欠部をスタッドの振れ止め係止穴下部の側壁と噛み合わせるだけで済む。これでスタッド間ピッチが定まる。
【0007】
本発明の壁面下地材においては、上記振れ止めに、前後方向の出入を調整できるアジャスター機構が設けられていることが好ましい。
コンクリートや木造の躯体面は、寸法精度がかなり悪くかつ表面の凹凸が相当ある。そのような躯体面に沿ったシステム内装壁が押された際にもたわむことのないように、躯体に対してアジャスター機構により突張ることにより解消するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の1実施例に係る壁面下地材(間仕切り壁用)の全体構成を示す図である。(A)は斜視図であり、(B)は平面断面図である。
図1(A)の上下方向が重力方向であり縦と呼び、左右方向が水平方向であり横と呼び、紙面の前後方向を前後方向と呼ぶ。
【0009】
この間仕切り壁用下地材1は、建物躯体の天井面や床面(図示されず)に、アジャスターボルト等により固定された上レールRtと下レールRbとを基本として組み上げられている。各レールは断面コの字状(チャンネル型)をしており、上レールRtはコの字の開きを下にして天井面に固定されており、下レールRbはコの字の開きを上にして床面に固定されている。上下のレール間隔は、何種類かに標準化されている(一例:2650mm)。この実施例では、レールは薄鋼板をプレス加工したものであり、コの字の突き出し寸法は、手前側40mm、奥側50mmである。
【0010】
上下のレールRt、Rb間には、間柱としてのスタッドSが掛け渡されている。スタッドSの上端及び下端は、レールのコの字状の凹部に差し込まれている。スタッドSはレールRに対して横方向にスライド可能であるが、基準となる箇所は固定される。
【0011】
図2は、スタッドの詳細を示す図である。(A)は側面図であり、(B)は断面図である。
このスタッドSは、断面が中空H字形であり、横方向の幅が50mm、前後方向厚さ35mm、肉厚1.5mmの金属部材(アルミ、軽鉄等)である。前後方向の面Sd、Sd′は、壁面に沿った面であり、その中央には上下に長く延びるクリップ係止溝Sb、Sb′が設けられている。この溝は、詳しくは図6を参照しつつ後述するが、壁パネル固定用のクリップが係止される。
【0012】
スタッドSの側面Sc、Sc′には、複数の振れ止め係止穴Saが開けられている。振れ止め係止穴Saは、長さ120mm、幅15mmの縦方向に延びる細長い長方形の穴であり、スタッドSの側面Scに4個開けられている。図中のピッチ寸法の一例は、P1=P5=170mm、P2=P3=P4=750mmである。この振れ止め係止穴Saには、後述する振れ止めが組み立て時に挿入される。
【0013】
左右に隣り合う2本のスタッドS間には、振れ止め11が上下方向に4本掛け渡されスタッド間の間隔が正確に定められる。
図3は、振れ止めの詳細を示す図である。(A)は正面図、(B)は断面図である。
振れ止め11は断面下向きコの字状の薄鋼板の曲げ加工品である。高さ40mm、厚さ14mm、板厚1mmである。長さは、壁パネルの幅(一例900mm)にほぼ対応した長さである。
【0014】
振れ止め11の左右両端部には、下辺から上に向かって延びる切欠11a、11a′が形成されている。切欠11aは、高さ15mmで、上部の幅1.5mm、下部の幅2.5mmである。左右内側の辺は垂直の直線であるが外側の辺の入口部はやや傾斜しており、下部の幅は2.5mmと少し広くなっている。これは、切欠をスタッドの振れ止め係止穴の側壁に嵌め込みやすくするためである。
【0015】
振れ止め11の切欠11aには、スタッドの振れ止め係止穴Saの下の側壁が入り込んで、振れ止め11がスタッドSに対して組み立てられる。振れ止め11の左右の切欠の間隔は、振れ止めを工場で製作する際にキチンとした寸法精度がでている。したがって、振れ止めを入れるだけでスタッド間ピッチが正しく定まる。
【0016】
振れ止め11の中間部には、任意の位置(この場合2箇所)にカバー13が嵌め込まれている。
図4は、カバーの詳細を示す図であって、(A)は断面図、(B)は正面図である。カバー13は、薄鋼板(厚さ0.6mm)の折り曲げ部材である。カバー13の断面形状は、コの字状に上下に脚13a、13gが付いた形である。この脚13a、13gは、コの字状の手前の壁13dと平行であり、壁13dと脚13a、13gの外側の面の間隔は35mmと、スタッドSの厚さと等しい。
【0017】
カバー13の両側壁13b、13eの内側には、係合突起13c、13fが内側に突出するように形成されている。手前と奥側の突起の間隔は14.5mmであり、振れ止め11の厚さ14mmよりやや大きい。また手前と奥側の突起は、カバー13の前後方向中心線から等距離に振り分けられて形成されている。
【0018】
このカバー13は、図4で二点鎖線で示す振れ止め11の上下面を、両側壁13b、13eではさむように固定されている。カバー13の手前の面13d及び脚13a、13gの奥の面には、間仕切り壁の壁パネルP1、P2が当接し、このパネルP1、P2に押圧力がかかってもパネルがあまり変形しないようになっている。カバー13の設置ピッチの一例としては300mmである。
【0019】
次に、この壁面下地材1の全体的組み立て方法をまとめて説明する。
まず、上下のレールRt、Rbを躯体の天井と床面にアンカーボルトで固定する。この時、上下のレール間隔を適正に出す。次に、上下のレール間にスタッドSを少し傾けて入れて垂直に立てる。次に、スタッドS間に振れ止め11を入れてスタッドS間の間隔を決める。次に、振れ止め11にカバー13を嵌め込む。その後、図1(B)に示すようにA室側から壁パネルP1をスタッドSやカバー13の面に当てて貼り、B室側から壁パネルP2をスタッドSやカバー13の面に当てて貼る。これで、A室21とB室23の間の間仕切りが完了である。模様替えのために壁面下地材を取り外すときは、壁パネルPをはがした後、振れ止め11やスタッドSを外せば間仕切り壁がなくなる。なお、壁パネルのスタッドSへの係止方法については図6を参照して後述する。
【0020】
図5は、本発明の他の1実施例に係る壁面下地材の振れ止め及びアジャスターボルト(戸境壁用)の構成を示す図である。(A)は正面図であり、(B)は平面図である。
この例の特徴は、振れ止め31に3本のアジャスターボルト33が付いていることである。アジャスターボルト33は、振れ止め31に溶接固定されたナット33bにネジ込まれている。アジャスターボルト33の頭33aは塩化ビニル製のキャップでくるまれている。
【0021】
コンクリート壁35のように表面に凹凸がある躯体に壁面下地材を組み付ける際には、このアジャスターボルト33を回して、その頭33aの突き出し長さを変え、ちょうど頭33aが躯体面に当たるように調整する。このようにすることによって振れ止め31がちょうどほどよく躯体面35にサポートされるようにできる。
【0022】
図6は、スタッドへの壁パネルの係止部の詳細構造を示す平面断面図である。スタッドSの前後方向の面Sdには、2枚の壁パネルP1、P2の端部の裏面が当接している。両壁パネルP1、P2のエッジは、スタッドSのクリップ係止溝Sbのエッジよりやや外側に位置する。この状態で、クリップ53をクリップ係止溝Sb内に嵌め込み、クリップ係止溝の奥でネジ55を用いて止める。クリップ53は、スタッドのクリップ係止溝Sbにまで達する奥深いコの字状部53aと、その先に左右に広がるパネル押え部53bとからなるアルミ型材である。パネル押え部53bは、壁パネルP1、P2のエッジ部表面に当接してパネルを押さえる。クリップ53の表面は装飾用の嵌め込み式のモール51でカバーして美感を保つ。なお、左右に並ぶ2つのスタッドS間の間隔は振れ止め11によって正確に決まるので、壁パネルP1、P2のエッジは、スタッドのクリップ係止溝の直近に正しく位置決めされる。壁パネルPを外す時は、まずモール51を外して、ネジ55を抜いてクリップ53を外せば、パネルPは簡単に外れる。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1態様の壁面下地材は、振れ止めが、スタッドよりも前後方向の幅が狭い、断面が横方向で実質的に均一なコの字状の部材からなるので、振れ止めの幅を比較的狭くして重量低減を図ることができる。また振れ止めの形状を単純な形として、薄鋼板のプレス加工等により低コストで製造可能である。
本発明の第2態様の壁面下地材は、スタッドが箱形の横断面形状を有するとともに、横方向側壁に開けられた振れ止め係止穴を有し、振れ止めが、スタッドの振れ止め係止穴下部の側壁と噛み合う切欠部を有するので、振れ止めをスタッドに取付ける際は、スタッドの振れ止め係止穴に振れ止めの端部を差し込んで、振れ止めの切欠部をスタッドの振れ止め係止穴下部の側壁と噛み合わせるだけで済む。
本発明の第3態様の壁面下地材は、振れ止めに、前後方向の出入を調整できるアジャスター機構が設けられているので、凹凸のある躯体表面にもしっかりと壁面下地材を固定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る壁面下地材(間仕切り壁用)の全体構成を示す図である。(A)は斜視図であり、(B)は平面断面図である。
【図2】スタッドの詳細を示す図である。(A)は側面図であり、(B)は断面図である。
【図3】振れ止めの詳細を示す図である。(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図4】カバーの詳細を示す図であって、(A)は断面図、(B)は正面図である。
【図5】本発明の他の1実施例に係る壁面下地材の振れ止め及びアジャスターボルト(戸境壁用)の構成を示す図である。(A)は正面図であり、(B)は平面図である。
【図6】スタッドへの壁パネルの係止部の詳細構造を示す平面断面図である。
【符号の説明】
1 壁面下地材(間仕切り用) 11 振れ止め
13 カバー 13a、13g 脚
13b、13e 側壁 13c、13f 係合突起
13d 壁面
21 A室 23 B室
31 振れ止め 33 アジャスターボルト
33a 頭 33b ナット
35 コンクリート壁
51 突き合わせモール 53 クリップ
55 ネジ
P1 A室側壁パネル P2 B室側壁パネル
P3 壁パネル
S スタッド
Sa 振れ止め係止穴 Sb クリップ係止溝
Rt 上レール Rb 下レール
Claims (4)
- 部屋の壁面を構成する壁パネルを取り付けるための下地材であって; 壁パネルの横幅に対応するピッチで縦方向に延びるように複数本設けられるスタッドと、
隣り合う2本のスタッド間に掛け渡される振れ止めと、
上記スタッドに係止される壁パネル固定用のクリップと、
を具備し;
上記スタッドは、断面が中空H字形であり、その前後方向の面の中央には上下に長く延びるクリップ係止溝が設けられているとともに、横方向側壁には振れ止め係止穴が設けられており、
上記クリップは、上記スタッドのクリップ係止溝にまで達するとともにネジで上記スタッドに係止される奥深いコの字状部と、その先に左右に広がるパネル押え部とからなり、
上記振れ止めが、上記スタッドよりも前後方向の幅が狭い部材からなるとともに、上記スタッドの振れ止め係止穴下部の側壁と噛み合う切欠部を有することを特徴とする壁面下地材。 - 上記振れ止めに前後方向幅がスタッドと等しいカバーが係止され、
該カバーが、コの字状の縦断面形状を有し、このコの字部を広げて上記振れ止めの上下縁に嵌め込まれることを特徴とする請求項1記載の壁面下地材。 - 上記カバーのコの字状部の内側面に、上記振れ止めと係合する突起が形成されていることを特徴とする請求項2記載の壁面下地材。
- 上記振れ止めに、前後方向の出入を調整できるアジャスター機構が設けられていることを特徴とする請求項1記載の壁面下地材。
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-
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- 1998-01-23 JP JP02669698A patent/JP3565401B2/ja not_active Expired - Fee Related
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