JP3564642B2 - 通電加熱食品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、予め定められた所定温度に調温調整された食品材料と導電液を収容し、導電液に対し通電を施して導電液の加熱昇温作用および通電作用により食品材料を略一定の通電加熱時間のもとで略均一な加熱仕上がり状態になるよう通電加熱処理して高品質の通電加熱食品を容易に製造することができる通電加熱食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内側に一対の対向電極を配設し、かつ内部に導電液を収容した絶縁性容器内に含塩状態の食品材料を冠水状態のもとに収容し、次いで前記絶縁性容器を一方に向け移動せしめるとともに、その移動過程中において対向電極間に亘り導電液を介し食品材料に通電を施して熟熱殺菌した通電加工食品の製造方法および食品材料を収容した複数の絶縁性収容籠を吊持移動レールにより順次絶縁性容器内に収容した導電液中を冠水状態のもとに通過せしめる過程で食品材料に対し自動的に通電作用を施して熟熱殺菌された通電加工食品を量産する通電加工食品の製造方法は、さきに本発明者が開発した特開昭63−296671号公報および特開昭63−296672号公報に記載されて公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従前のこの種、通電加工食品の製造方法においては、食品材料および通電加熱の媒体として使用する導電液については、もっぱら、塩分濃度の調整による導電率の変化調整のみに注意が払われ、食品材料および導電液の温度調整については具体的な手段が施されていなかった。
そのため、例えばハム、ソーセージ等の食品材料を通電加熱する場合、その原材料を冷蔵庫から出し、ケーシング等に充填する等の準備中において、その食品材料温度が例えば10℃〜15℃以上に高くならないよう配慮しながら行っていたが、その作業が手作業に頼ることが多いばかりか、作業場の配置状況等によって、通電加熱直前における食品材料の温度が例えば5℃であったり10℃あるいは15℃と均一性が得られない。
さらに、食品材料と導電液の塩分濃度に差異がある場合、それぞれに対し略同等の通電量を流すことができず、塩分濃度が高い方の昇温が早く食品材料の所定の通電加熱完了温度と導電液の温度が所定時間内に同時に到達せしめることができない場合があった。
また一方、導電液自体の温度も室温や気温等の変化の影響を受けやすく、導電液についても正確な温度管理を常時行っていなかったものである。
そのため、通電加熱処理工程において、通電加熱完了時間にバラつきが生じ、一定の通電加熱時間内に均一な加熱仕上がりができないため高品質の製品を年間を通して安定して製造することができないという問題点があった。
【0004】
そこで本発明者は、前記問題点を解決するために、ジュール加熱の原理を応用して通電加熱する際に、食品材料あるいは導電液がもつ電気の通り易さの目安として塩分濃度を調整して得られた導電率値が温度によりどのように変化するものであるかをNaCl1.0%溶液およびNaCl1.3%溶液について実験を行ったところ、図2の結果を得た。
図2によれば、NaCl1.3%溶液の導電率は5℃の時14mS/cm、30℃の時25mS/cmに対し、NaCl1.0%溶液は5℃の時11mS/cm、30℃の時20mS/cmとなり、略同様な導電率の変化を示した。
したがって、図2より塩分濃度が高いもの程、温度に比例して導電率が大きくなることがわかる。
【0005】
また、食品材料の塩分濃度と導電液の塩分濃度をそれぞれ略同等(例えば1.3%)に調整し、通電加熱を両者とも同一温度(例えば5℃)から開始して通電加熱完了温度(例えば70℃)に到達するまでの変化の実験を行ったところ、図3の結果が得られた。
そこで、図3を検討してみると、通電開始初期における両者の通電量は略等しく通電が施され、その結果、加熱完了温度(例えば70℃)に到達するまで両者は略同じ昇温速度をもって加熱されることがわかる。
したがって、図3より食品材料および導電液の温度を略同等に調整し、かつ両者の塩分濃度(導電率)を略同等とした場合には両者は通電初期から通電加熱完了するまで略同等の昇温速度をもって加熱されるので、食品材料は、その中心部も外周部も略平均に通電加熱され略一定の通電加熱時間のもとで均一に加熱仕上げされた高品質の製品が得られることになる。
【0006】
また、食品材料と導電液の導電率が異なる場合、例えば食品材料の塩分濃度1.3%より薄い塩分濃度1.0%の導電液を使用し、食品材料の温度を5℃に調整し、導電液の温度を15℃に予め調整して通電加熱処理した場合における両者の昇温変化について実験を行ったところ図4が得られた。
そこで、図4を検討してみると、塩分濃度1.3%の食品材料の温度を5℃に調整した場合には、図2に示されたようにその導電率が14mS/cmに、また、塩分濃度1.0%の導電液の温度を15℃に調整した場合には、その導電率は同じく14mS/cmとなる。こうして両者を略同等の導電率値に調整した状態のもとで交流の通電を開始すると両者に略均等に電流が流れて加熱昇温する。そして、導電液温度よりも10℃低温の食品材料は導電液より塩分濃度が1.3%と濃いので、温度上昇にともない導電率は導電液の導電率よりも増加するので昇温速度が早くなる。
一方、塩分濃度の薄い導電液は温度上昇にともない導電率の増加の度合が少なく、すなわち昇温速度がゆるやかとなりながら所定時間(例えば10分)経過後に両者はともに通電加熱完了温度(例えば70℃)に到達することが確認された。
つまり、図4から明らかなように、食品材料と導電液との間に導電率(塩分濃度)に相違があっても、通電初期に両者を流れる電流量は略均等に流れて所定時間経過後には所定の通電加熱完了温度に両者とも同時に到達するので、食品材料は中心部も外周部も略均一な通電加熱仕上がりとなる。
【0007】
また、上述の図4とは反対に食品材料の塩分濃度が薄く導電液の塩分濃度が濃い場合、例えば食品材料の塩分濃度1.0%より濃い塩分濃度1.3%の導電液を使用し、食品材料の温度を15℃に調整し、導電液の温度を5℃に予め調整して通電加熱処理した場合における両者の温度変化について実験を行ったところ図5が得られた。
そこで、図5を検討してみると、塩分濃度1.0%の食品材料の温度を15℃に調整した場合には、図2に示されたように、その導電率が14mS/cmに、また塩分濃度1.3%の導電液の温度を5℃に調整した場合には、その導電率は同じく14mS/cmとなる。こうして両者を略同等の導電率値に調整した状態のもとで交流の通電を開始すると両者に略均等に電流が流れて加熱昇温する。そして、食品材料の温度よりも10℃低温の導電液は食品材料より塩分濃度が1.3%と濃いので、温度上昇にともない導電率は食品材料よりも増加するので昇温速度が早くなる。
一方、塩分濃度の薄い食品材料は温度上昇にともない導電率の増加の度合が少なく、すなわち昇温速度がゆるやかとなりながら所定時間(例えば10分)経過後に両者はともに通電加熱完了温度(例えば70℃)に到達することが確認された。
つまり、図5から明らかなように、通電開始時に食品材料と導電液との間に導電率(塩分濃度)に相違があっても、両者を流れる電流量は略均等に流れ所定時間経過後には所定の通電加熱完了温度に両者とも同時に到達するので、食品材料は中心部も外周部も略均一な加熱仕上がりとなる。
【0008】
以上のことから、温度を15℃にした塩分濃度1.0%の導電液と、温度を5℃に昇温した塩分濃度1.3%の食品材料とは略同じ導電率(14mS/cm)であることから、たとえ導電液の塩分濃度が薄く導電率の低い導電液であっても、液温度を高くして導電率値が略同等となるように所定温度に予め調整すれば、塩分の添加量の少ない導電液を使用しても通電初期に塩分濃度の濃い溶液と略同じ導電率値が得られることが理解されるものである。
また、温度を5℃にした塩分濃度1.3%の導電液と、温度を15℃にした塩分濃度1.0%の食品材料とは略同じ導電率(14mS/cm)であることから、たとえ食品材料の塩分濃度が導電液の塩分濃度よりも薄い場合であっても、導電液の液温度を低くして、食品材料と略同等の導電率値となるように、所定温度に予め調整すれば、塩分の添加量が少ない食品材料を使用しても、通電初期において塩分濃度を略同等とした場合と同じ導電率値が得られる。
こうして、たとえ食品材料と導電液の塩分濃度が異なり、導電率に差があってもそれぞれの温度を適正な温度に調温調整して導電率値を調整せしめれば、正確な通電加熱処理を常時適確に行えることになる。
してみれば、例えば近年の低塩分志向により減塩食品を得たい場合は、減塩食品材料の塩分濃度よりさらに薄い塩分の使用量を減じた導電液を使用しても、あるいは、減塩食品材料の塩分濃度より濃い導電液を使用した場合にあっても、通電開始時より減塩食品材料および導電液に対し略同等の通電量を施すことができ、一定の通電加熱時間で製品の仕上がりの良好な減塩食品が得られると同時に塩分使用量の総量を減少させることにより、製造原価の削減も図れるものである。
【0009】
本発明は、食品材料と、食品材料とともに収容される導電液を、食品材料よりも薄い塩分濃度として食品材料よりも高い温度にするかまたは濃い塩分濃度として低い温度に調整した後、導電液に対し通電を施して導電液の加熱昇温作用および通電作用により所定時間経過後に両者は共に通電加熱完了温度に到達すように食品材料を通電加熱処理せしめて、前記食品材料を一定の通電加熱時間のもとで均一に加熱仕上げされるようにし、もって高品質の製品を安定して製造することができ、併せて使用済導電液の温度および導電率を調温調整して再使用することができる通電加熱食品の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の通電加熱食品の製造方法においては、第1項の方法を、食品材料と、食品材料とともに収容される導電液に通電を施して食品材料を通電加熱処理せしめる通電加熱食品の製造方法において、食品材料よりも薄い塩分濃度とした導電液を、食品材料よりも高い温度に調整した後、導電液に対し通電を施して導電液の加熱昇温作用および通電作用により所定時間経過後に両者は共に通電加熱完了温度に到達すように食品材料を通電加熱処理したものである。
【0011】
第2項の方法を、食品材料と、食品材料とともに収容される導電液に通電を施して食品材料を通電加熱処理せしめる通電加熱食品の製造方法において、食品材料よりも濃い塩分濃度とした導電液を、食品材料よりも低い温度に調整した後、導電液に対し通電を施して導電液の加熱昇温作用および通電作用により所定時間経過後に両者は共に通電加熱完了温度に到達すように食品材料を通電加熱処理したものである。
【0012】
第3項の方法を、通電加熱処理後の使用済導電液は、その一部または全部を廃液処理した後、導電率を再び調整するとともに、その温度も予め定められた所定温度に調整した後、再使用したものである。
【0013
【作用】
図1において、塩分濃度を1.3%に調整した未加熱の食品材料例えばハム(以下「ハム」と称する)を通電加熱処理して通電加熱食品を製造する場合について説明する。
予め準備された塩分濃度を1.3%に調整した未加熱のハムを調温室に搬入する。
さすれば、調温室内に搬入されたハムは搬送しながら、または調温室内に集積した状態のもとで、ハムの中心部から外周部までが予め定められた任意の所定温度(例えば0℃〜15℃)、本実施例においては5℃に略均一な温度分布となるよう調温調整される。
【0014
一方、導電液調整装置においてハムの塩分濃度と略同等の塩分濃度例えば1.3%に調整され、しかもハムの調整温度と略同等の温度5℃に調温調整された導電液を別個に準備する。
【0015
次いで、略同等の塩分濃度を有し、略同等温度に予め調温調整されたハムおよび導電液をともに通電加熱装置の通電槽に搬入し、一対の電極より導電液に対し通電を施せば、導電液の加熱昇温作用および通電作用によりハムは通電加熱完了温度例えば70℃まで加熱される一方、導電液も図3に示された如くハムの昇温速度と略同じ昇温速度をもって同じ温度に昇温される。
したがって、ハムは一定の通電加熱時間内にその中心部も外周部も略均一な加熱仕上がりとなり、高品質の製品が極く短時間で製造される。
【0016
また、ハムの塩分濃度を1.3%とし、その温度を5℃に調温調整せしめる一方、導電液の塩分濃度を1.0%とし、その温度を15℃に調温調整したものを使用した場合には、図2の記載より明らかなように、塩分濃度1.3%のハムが5℃の時の導電率と、塩分濃度1.0%の導電液が15℃の時の導電率はともに同等の14mS/cmとなり、その状態において一対の電極に印加すれば、ハムと導電液には略同等の通電量が流れ、ジュール熱による加熱昇温が開始され、図4に示された如く塩分濃度の薄い導電液はゆるやかに温度上昇するのに対し塩分濃度の濃いハムは導電液よりもやや早い温度上昇をしながら昇温するので、当初両者間に10℃の温度差があっても通電加熱完了温度(例えば70℃)には略同一時間で到達することになるばかりか、その時のハムの温度は導電液と同じ温度に昇温されることから、ハムの中心部も外周部も略均一な加熱仕上がりとなる。
【0017
また、ハムの塩分濃度を1.0%とし、その温度を15℃に調温調整せしめる一方、導電液の塩分濃度を1.3%とし、その温度を5℃に調温調整したものを使用した場合には、図2の記載より明らかなように、塩分濃度1.0%のハムが15℃の時の導電率と、塩分濃度1.3%の導電液が5℃の時の導電率はともに同等の14mS/cmとなり、その状態において一対の電極に印加すれば、ハムと導電液には略同等の通電量が流れ、ジュール熱による加熱昇温が開始され、図5に示した如く塩分濃度の薄いハムはゆるやかに温度上昇するのに対し塩分濃度の濃い導電液はハムよりもやや早い温度上昇をしながら昇温するので、当初両者間に10℃の温度差があっても通電加熱完了温度(例えば70℃)には略同一時間で到達することになるばかりか、その時のハムの温度は導電液と同じ温度に昇温されることから、ハムの中心部も外周部も略均一な加熱仕上がりとなる。
【0018
したがって、食品材料を減塩食品とするために塩分濃度を通常より薄めた食品とし、しかも導電液の塩分濃度をさらに薄くした減塩状態のものであっても、あるいは導電液の塩分濃度が濃い場合であっても最終的に略均一に加熱仕上げされ、ムラのない高品質の通電加熱食品を安定して製造することができる。
【0019
以上のようにして、全体が略均一な加熱仕上がりのハムが通電加熱食品として得られたら、通電槽より搬出し、冷却室において速やかに冷却し、さらに乾燥室において乾燥処理すれば高品質の製品が得られる。
【0020
一方、通電槽内にとり残された使用済導電液は廃液処理装置に回収された後、導電液調温調整装置に給液され、ここで所定の導電率(塩分濃度)および温度に調整され、新鮮な導電液となって通電槽に供給され、再使用されるものである。
【0021
【実施例】
本発明に係る通電加熱食品の製造方法を実施させるための実施例を図1の製造工程図に基づき説明する。
図1において、Aは、ハム、ソーセージ、ウインナーソーセージ、ハンバーグ、食肉塊、擂潰肉、かまぼこ、つみれ、その他の擂身材料、植物性材料、その他の混合材料等からなる食品材料であって、前記食品材料Aは未包装状態あるいは、透水性または透湿性の包装材(例えば、布、ネット、ファイブラスケーシング、セルロースケーシング、コラーゲンケーシング、羊腸、多孔フィルム等)内に充填したもの、あるいは絶縁性の包装材(例えば、塩化ビニリデンフィルム、ナイロンフィルム等)内に収納したものであってもよく、さらには調理済密封包装食品等であってもよい。本実施例では、ファイブラスケーシングに充填したハムが示されている。
1は、搬送されながら、または集積した状態のもとで、食品材料Aの中心部から外周部までが、予め定められた任意の所定温度例えば0℃〜15℃となるよう略均一な温度分布に調温調整するための調温室であって、該調温室1には、熱交換器、送風機構(いずれも図示せず)および温度センサ2を備えており、温度センサ2の検出制御により調温室1内を所定温度に恒温維持できるように構成されている。
なお、食品材料Aを調温室1に搬入する前にくん煙処理を施したり、調温室1内に搬入した食品材料Aに対し調温と同時にくん煙処理を施せば、くん香風味の食品材料Aが容易に得られる。また、調温室1をくん液が収容された液くん槽とし、前記くん液を熱交換器等の調温手段により所定温度に調温調整できるようにすれば、食品材料Aを液くん処理する過程で任意の所定温度に調温調整せしめることができる。
3は、食品材料Aを通電による導電液Bの加熱昇温作用および通電作用により通電加熱処理することができる通電加熱装置であって、前記通電加熱装置3は、上面を開放あるいは被蓋した有底筺状を呈する絶縁性の通電槽4と、通電槽4の内面に対向して配設された一対の電極5,6と、食品材料Aの中心温度を検出する温度センサ7とにより構成されている。Bは、通電槽4内に収容された導電液である。8は、通電槽4内において使用された以後の使用済導電液を回収管9を経て回収し、使用済導電液中に混入した油脂分を分離除去するとともに、不純物等の除去や除菌作用を営ませたり、不要な塩分の除去または濃縮等をすることができる廃液処理装置であって、前記廃液処理装置8は例えばイオン交換樹脂、限外ろ過膜あるいは浸透性膜等の膜分離装置またはその他のろ過装置等であって、上述の目的を達成できるものであれば、その構成は任意のものであってもよい。10は、廃液処理装置8において処理された導電液を所定の導電率(塩分濃度)および所定温度に調温調整して新鮮導電液として再使用することができる導電液調温調整装置であって、前記導電液調温調整装置10には、導電液温度を制御する熱交換器(図示せず)を備えているほか、導電液の導電率を検出する導電率センサ11と、液温度を検出する温度センサ12と、導電率調整用の例えば塩水を補給する補給管13を備えている。なお、導電液調温調整装置10は接続管14を介して廃液処理装置8に、また給液管15を介して通電槽4にそれぞれ接続されているものである。
16は、通電加熱処理された食品材料を速やかに常温まで冷却するための冷却室であって、前記食品材料の冷却手段は水シャワ(図示せず)、その他適当な手段を採用する。17は、冷却された食品材料を送風手段、その他適宜の手段により乾燥せしめて高品質の通電加熱製品Cを得ることができる乾燥室である。
【0022
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような方法を有するので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0023】
請求項1または2に記載された発明によれば、食品材料と、食品材料とともに収容される導電液を、食品材料よりも薄い塩分濃度として食品材料よりも高い温度にするかまたは濃い塩分濃度として低い温度に調整した後、導電液に対し通電を施して導電液の加熱昇温作用および通電作用により所定時間経過後に両者は共に通電加熱完了温度に到達すように食品材料を通電加熱処理せしめて、前記食品材料を一定の通電加熱時間のもとで均一に加熱仕上げされるようにしたことにより、均一な加熱仕上がりと、通電加熱時間にバラつきのない安定した製造工程を連続して営ませ、高品質の製品を安定して製造することができる。
【0024
請求項記載の方法によれば、通電加熱処理後の使用済み導電液は、回収して廃液処理した後、導電率を再び調整するとともに、その温度を予め定められた所定温度に調整した後再使用できるので、使用済み導電液は毎回廃棄することなく、浄化処理してから常に予め定められた所定温度に調温調整されて、しかも導電率も調整された新鮮導電液として使用することにより廃液公害の発生を未然に防止できるばかりか、大量生産工程における品質の安定化、さらには製造コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施させるための一部を縦断した製造工程図である。
【図2】導電液の温度と導電率との関係を示す特性図である。
【図3】導電液と食品材料に対する通電時間と温度上昇の関係を示す特性図である。
【図4】導電液と食品材料に対する通電時間と温度上昇の関係を示す特性図である。
【図5】導電液と食品材料に対する通電時間と温度上昇の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 調温室
2 温度センサ
3 通電加熱装置
4 通電槽
5,6 一対の電極
7 温度センサ
8 廃液処理装置
10 導電液調温調整装置
11 導電率センサ
12 温度センサ
13 補給管
16 冷却室
17 乾燥室
A 食品材料
B 導電液
C 製品

Claims (3)

  1. 食品材料と、食品材料とともに収容される導電液に通電を施して食品材料を通電加熱処理せしめる通電加熱食品の製造方法において、食品材料よりも薄い塩分濃度とした導電液を、食品材料よりも高い温度に調整した後、導電液に対し通電を施して導電液の加熱昇温作用および通電作用により所定時間経過後に両者は共に通電加熱完了温度に到達すように食品材料を通電加熱処理したことを特徴とする通電加熱食品の製造方法。
  2. 食品材料と、食品材料とともに収容される導電液に通電を施して食品材料を通電加熱処理せしめる通電加熱食品の製造方法において、食品材料よりも濃い塩分濃度とした導電液を、食品材料よりも低い温度に調整した後、導電液に対し通電を施して導電液の加熱昇温作用および通電作用により所定時間経過後に両者は共に通電加熱完了温度に到達すように食品材料を通電加熱処理したことを特徴とする通電加熱食品の製造方法。
  3. 通電加熱処理後の使用済導電液は、その一部または全部を廃液処理した後、導電率を再び調整するとともに、その温度も予め定められた所定温度に調整した後、再使用することを特徴とする請求項1または2記載の通電加熱食品の製造方法。
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