JP2012075360A - 魚介類成形加工食品 - Google Patents

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勝則 宮本
Tomokazu Shimada
朋和 島田
Sho Machida
翔 町田
Yasuki Taguchi
靖希 田口
Kazuyuki Kudo
和幸 工藤
Itaru Watanabe
至 渡辺
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Abstract

【課題】魚介類生肉について加熱処理による蛋白変性を起こさせず、しかも魚介類生肉片同士を一体化して取り扱いやすい加熱加工食品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】魚介類生肉片の集合物を素材とし、魚介類生肉の食感を維持できるようにミオシン重鎖を残存させてジュール加熱の利用により加熱成形した魚介類成形加工食品とする。分子量200kDa付近に主たる分子量分布域を有するミオシン重鎖を含有して粒状魚介類生肉の食感が残るように、50〜100℃で5秒〜10分間のジュール加熱を利用して加熱成形し、次いでプロテアーゼの活性温度以下に急冷する魚介類成形加工食品の製造方法。
【選択図】なし

Description

この発明は、エビなどの魚介類を素材とし、寿司ネタやフライその他に汎用性のある食品素材として利用できる魚介類成形加工食品およびその製造方法に関する。
一般に、食品産業において加熱対象物に直接に電流を流すようにして電圧をかけ、いわゆる通電加熱をする加熱方法が知られている。
例えばパイプで搬送可能な程度に流動性を有する食品材料、固−液混合食品材料またはゲル状食品材料について、調理や殺菌処理などの必要上の加熱するために、パイプで搬送しながら連続的に通電し、ジュール熱によって加熱する装置が知られている(特許文献1)。
また、魚肉のすり身または魚肉落とし身と共に大豆蛋白を魚類蛋白の代替物として配合し、このようなすり身材料に対してジュール加熱することにより、すり身に弾性やしなやかさを向上させることが記載されている(特許文献2)。
また、ハム、ソーセージなどの食肉類加工製品を製造する際に、30mm以上のブロック状原料を含んで流動性のある原料に保形性を付与するために、圧送しながらジュール加熱することにより、蛋白変性温度以下まで予備加熱し、その後、マイクロ波加熱によって食肉類の表面を熱変性させて保形することが知られている(特許文献3)。
また、一般的な「湯引き」と称される加熱調理法として、魚が白くなるまでサッと熱湯に潜らせて、すぐに冷却することにより身を引き締めて生の食感を引き立てる加熱調理法が周知である。
特公平5−33024号公報 特開2010−68786号公報 特許第3709479号公報
しかし、特許文献1に記載された加熱装置では、流動性を有する食品材料に対して均一な加熱を行なえるが、魚介類の肉に対してどのような条件で加熱すれば、特定の蛋白質を熱分解せず、食感および保存性を改善できたかについては、未だ解明されていなかった。
また、特許文献2に記載された発明では、練り製品のすり身の坐りを整えるために、25〜40℃を目安として予備加熱し、その後は、ゲル化温度帯にまで昇温し、その後は蒸煮、焼き、湯煮、油で揚げるなどの加熱を行なうことが記載されているが、生の食感を引き立てる手段は開示されていない。
また、特許文献3に記載された発明では、ハム、ソーセージなどのブロック状素材を含む食肉加工原料に対する予備加熱の手段として、蛋白変性温度以下の40℃程度に昇温させているが、この程度の昇温は加熱処理の効率改善に過ぎないため、魚介類の肉に転用しても食感を改善できないばかりか、予備加熱後に本加熱をしなければ保存性も損なわれることは明らかであるから、本願の発明のように魚介類生肉の食感を維持できるような加熱処理技術として参考にできるものではなかった。
ところで、エビ、イカ、タコ、貝柱などのように魚介類の筋肉質の部分(身とも称される)の食感が賞用される食品素材について、近年、寿司やサンドイッチの具材、海鮮サラダ、オードブル、フライ、天ぷらの具材、その他の汎用性が見出され、さらには身を引き締めて生の食感を引き立てた半生製品の利用価値も高まっている。
しかし、料理店などで利用できる魚介類生肉の半生製品は、鮮度を保持することが容易ではなく、また惣菜などの食品産業上の製品と同様な扱いやすさも要望され、汎用性と扱いやすさを同時に向上させることはできなかった。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、魚介類生肉について加熱処理により鮮度低下を招くような蛋白変性を起こさせることなく、しかも魚介類生肉片の集合物を確実に一体化でき、鮮度の良い、いわゆるプリプリとした歯応えのある生に近い食感で賞用される魚介類成形加工食品とし、またはそのような魚介類成形加工食品を効率よく製造することである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、魚介類生肉片の集合物を素材とし、魚介類生肉の食感を維持できるようにミオシン重鎖を残存させてジュール加熱の利用により加熱成形してなる魚介類成形加工食品としたのである。
上記したように構成されるこの発明の加工食品は、魚介類生肉片の集合物からなる素材を加熱成形する際、ジュール加熱によって所定の温度条件および加熱時間の条件で行なうことにより、ミオシン重鎖が充分に残存し、これにより魚介類生肉に近い食感を維持できるようになる。
すなわち、後述する試験結果からも明らかなように、ジュール加熱を利用して魚介類生肉片の集合物を加熱すると、短時間のうちに70℃以上まで昇温するため、プロテアーゼで蛋白質が分解する温度帯での滞留時間が非常に短い。
そのため、魚介類生肉中のプロテアーゼで多くの蛋白質は酵素分解されることなく、また凝固するなどの肉質の弾性低下の影響を受けずに、生に近い状態のまま、一気に蛋白質の熱変性を所要の程度まで進めることができる。
このようにすると、ミオシン重鎖についても酵素および熱による分解または凝固することなく、生に近い状態で存在させうるので、食感の低下を招くような蛋白変性を起こさせることがなく、しかも魚介類生肉片の集合物を確実に一体化成形でき、これにより鮮度の良いプリプリとした食感のある半生状態の賞用される魚介類成形加工食品となる。
上記した作用効果を奏するために、好ましい魚介類成形加工食品は、分子量200kDa付近に分子量分布の最大値を有するミオシン重鎖を含有するものである。
このようなミオシン重鎖は、後述する「蛋白質の電気泳動による分子量分布の確認試験」に記載される条件によって検出可能である。
上記した魚介類生肉は、エビの剥き身またはその切り身であるものを採用することが、上記した作用効果を確実に奏させるために好ましい。
上記した魚介類生肉片の集合物に用いる肉片は、最大径3〜100mmの魚介類生肉片であることがミオシン重鎖を充分に残存させて、魚介類生肉の食感を維持できるようにするために好ましい。
また、上記した魚介類成形加工食品を効率よく得るためには、魚介類生肉片の集合物を素材とし、分子量200kDa付近に主たる分子量分布域を有するミオシン重鎖を含有して魚介類生肉に近い食感が残るように、50〜100℃、好ましくは70〜90℃で5秒〜10分間程度のジュール加熱を利用して加熱成形し、次いでプロテアーゼの活性温度以下に急冷することからなる魚介類成形加工食品の製造方法とすることができる。
上記所定温度で所定時間のジュール加熱により加熱成形することで、短時間に所定温度以上まで昇温するため、プロテアーゼで蛋白質が分解する温度帯での滞留時間が非常に短くなり、また蛋白質が凝固するなどの弾性の低下がなく、その後にプロテアーゼの活性温度以下に急冷することにより、生の状態に近いままで一気に蛋白質の熱変性を所要の程度まで進め、かつそのまま維持することができる。
魚介類生肉が、エビの剥き身またはその切り身である上記の魚介類成形加工食品の製造方法を採用することにより、生のエビのぷりぷりとした食感が得られ、しかも調理に取り扱いやすく、例えば棒状に成形された魚介類成形加工食品が効率よく製造できる。
この発明は、魚介類生肉片の集合物を素材とし、魚介類生肉の食感を維持できるようにミオシン重鎖を残存させてジュール加熱の利用により加熱成形したので、魚介類生肉について加熱処理により鮮度低下を招くような蛋白変性を起こさせることなく、しかも魚介類生肉片の集合物を確実に一体化でき、鮮度の良い、いわゆるプリプリとした食感で賞用される魚介類成形加工食品となる利点がある。
また、上記の魚介類成形加工食品の製造方法の発明は、所定温度で所定時間だけ魚介類生肉片の集合物に対してジュール加熱を利用して加熱成形し、次いで急冷するので、上記した利点のある魚介類成形加工食品が得られ、しかも効率よく製造できる利点がある。
加熱条件毎のエビ肉蛋白質の電気泳動によるバンドパターンを示す図面代用写真 加熱条件毎のエビ肉蛋白質の電気泳動によるバンドパターンを示す図面代用写真 エビ肉に対する加熱保持時間とゼリー強度との関係を示す図表 エビ肉に対する加熱温度とゼリー強度との関係を示す図表 加熱されたエビ肉のゼリー強度を加熱方法毎に示す図表 ジュール加熱と水中でのボイル加熱によるエビ肉の加熱時間と中心温度との関係を示す図表
この発明の実施形態である魚介類成形加工食品は、魚介類生肉片の集合物を素材とし、魚介類生肉の食感を維持できるように、分子量200kDa付近に分子量分布の最大値を有するミオシン重鎖を残存させてジュール加熱を利用して加熱成形する。
この発明に用いる魚介類生肉は、タイ、スズキ、マグロ、鮭などの魚類またはホタテ、アワビなどの貝類や特に貝柱部分もしくはタコ、イカなどの軟体動物やエビ、カニなどの甲殻類などを含む水産動物の主として筋肉からなる可食部としての生肉類であり、すなわち水産動物の食用生肉である。
このような魚介類生肉は、食品製造の便宜上または調理の適正などに応じて適当な大きさの定形または不定形の粒状片に裁断しておき、これを多数集めて容器内などに集合させたものを成形用の素材として用いる。
このような魚介類生肉片は、それらを多数寄せ集めた集合物として使用するものであるから、素材に応じた新鮮な生の食感を維持できるように大きさや形状を調整し、また連続的な処理が便宜できるように流動性をもたせるためにも粒径や形状を調整することが好ましい。
例えば、個体の大きさが比較的小型のエビ類や小魚(稚魚も含む)などでは、1個体そのものまたは外皮その他の非可食部を取り除いた1個体分の可食部を1つの魚介類生肉片として取り扱うこともできる。
そのような理由から魚介類生肉片は、最大径3〜100mm程度の大きさであることが好ましい。上記所定範囲未満の小径片では、食感として歯応えが充分になくなるため、新鮮な生の食感をもたせることが難しく、また上記所定範囲を越える大径片では多数片を集合させて押出成形や注型成形によって効率よく成形することが困難になるので好ましくない。このような傾向から、より好ましい魚介類生肉片の最大径は、5〜80mm、さらに好ましくは10〜60mmである。
集合物の成形手段としては、押出成形や注型成形を採用することができるが、その成形の際には、素材の加熱を伴うことが好ましく、すなわち加熱成形を採用する。
成形体の形状は、特に限定されることなく、例えば円柱、角柱などの棒状その他の押出成形可能な形状、または球状や多面体または塊状などの不定形状もしくは食品形態としてよく知られた周知形状であってもよい。
これらの素材を対象とする加熱成形に採用されるジュール加熱を利用した加熱手段としては、ジュール加熱を必須の加熱手段とし、必要に応じて、ボイル加熱やフライ加熱や蒸気加熱などの他の周知な加熱手段を併用することもできる。
このジュール加熱またはジュール加熱を伴う複合加熱または複数段階の加熱を、所定の条件で成形と同時、またはその前後に行なうことによって、魚介類生肉片の集合物の各片同士を接着一体化し、成形された加熱加工食品を得る。
ジュール加熱は、例えば配管内を移送しながら通電加熱する周知の手段を採用することができる。
その際、移送に用いる配管の下流側には、例えば押出し成形用のゲートを備えた成形管を接続し、かつ上流側には流動性のある魚介類生肉片の集合物が適当な速度で供給されるように、ポンプまたは回転スクリュー管を具備したいわゆる素材供給ラインが接続される。
そして、前記した移送用の配管の一部には、管径と同径のリング状の電極を食品衛生法に準拠したチタンなどの材質で作製すると共に所定間隔に配置し、魚介類生肉片の集合物が移送される際にこれらの電極に跨るようになると、魚介類生肉片の集合物中に電流が流れて自己発熱する。
または、リング状の電極に代えて、一対の長板状の電極を移送用の配管の内面に沿わせて配管の長手方向に沿って延びるように配置し、このような対面電極間を魚介類生肉片の集合物が移送される際に、集合物中に電流が流れて自己発熱するようにしてもよい。
他にもバッチ式に加熱処理を行なう場合などには、容器内の対面する位置に一対の電極を設け、これら両電極面に接するように被加熱食品素材を収容して加熱処理してもよい。
ジュール加熱に用いる電源の周波数は、50Hzまたは60Hzなどの他、魚介類生肉片の集合物の塩分濃度に応じて通電性を調整してもよく、またこの発明の実施例等のように20kHzなどの高周波に調整してもよく、そのためにはパワーユニットを設けて電圧、電流、周波数を適宜に調節し、加熱温度や通電性を適宜に調整すればよい。
また、加熱時間は、リング状の電極の配置や、魚介類生肉片の集合物の移送速度をポンプや回転スクリュー管の回転速度で調整することができる。
このようにすれば、50〜100℃、好ましくは70〜95℃で5秒〜10分間という適切な所定温度、所定時間のジュール加熱を利用して上記素材を加熱成形することができる。
次いで、プロテアーゼの活性温度以下に急冷するには、ジュール加熱部分より下流側の配管に、冷水などの冷媒が供給される銅管などに接触させるように熱交換装置付きの配管を接続すればよい。
このようにして魚介類生肉に近い食感を維持できるように、ミオシン重鎖を残存させてジュール加熱し、得られた加熱後に半生状態となったエビ肉などの魚介肉は、電気泳動のバンドパターンで示される分子量200kDaのミオシン蛋白バンドを示すものになる。さらに、100kDa以下の低分子量蛋白質バンドを示さないものであることを確認できれば、充分に所期した品質になっている魚介類生肉片の一体的集合物を用いた加熱加工食品であるといえる。
[実施例1、比較例1〜6]
[素材の調製および加熱処理]
先ず、凍結状態のエビ(ブラックタイガー)を充分量の流水で解凍し、水切りした後、エビ100質量部に対し、アルカリ製剤1.5質量部、塩化ナトリウム1.5質量部、水47質量部の混合物を添加することによりエビの50%量の加水を行ない、さらに温度が上昇しないようにカッターで3分間カッティングし、真空ミキサーで5分間、脱気・混合することにより、流動性のあるエビ肉集合物を成形加工食品の素材として調製した。なお、上記アルカリ製剤は、炭酸ナトリウム、焼成カルシウム、クエン酸ナトリウム等から選ばれる無機アルカリ塩を一種以上含む市販の食品用アルカリ製剤を使用可能である。
得られた素材を折径(チューブを折り畳んだ状態の幅方向の寸法)56mmの塩化ビニル樹脂製ケーシングに200g充填し、円柱状のエビ肉片の集合物を作製し、これを実施例1については、ジュール加熱により中央部中心温度が約90秒で75℃になるように加熱し、比較例1〜3については、100℃の熱水で15分間加熱し、比較例4〜6については、75℃の熱水で35分間加熱した。
上記加熱直後に速やかに冷水で冷却し、次いで実施例1については、円柱状の長手方向中央部の中心部分を3g採取し、比較例1〜3については、円柱状の長手方向中央部の中心部分(比較例1、4)、長手方向一端より1/4長中央部寄りの中心部分(比較例2、5)、長手方向一端の中心部分(比較例3、6)をそれぞれ3g採取した。
[蛋白質の電気泳動による分子量分布の確認試験]
各サンプル3gに蛋白質を抽出するための抽出液(0.6M KCl、0.1M KHPO、10mM Na・10HO、1mM MgCl)12mLを添加し、ホモジナイズ後、遠心分離した。
次に、電気泳動サンプルを以下の手順で調製した。
前記上清液と同量のサンプルバッファー(8M 尿素、2%SDS、25% グリセリンを含む20mM Tris−HCl緩衝液pH8.0)を添加後、ジチオトレイトール(DTT:最終10mM)を添加し、100℃5分間、各サンプルを加熱した。
前記上清液をミクロビュレット法によりタンパク定量を行い、各サンプルのタンパク濃度を算出した。各サンプルともに、8μgのタンパク濃度となるように調整し、ゲル条件5−20%グラジエントゲルを使用し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行なった。
そして、ゲルを50%メタノール・10%酢酸溶液で固定し、CBB溶液でゲル染色し、7%酢酸溶液でゲルを脱色し、これをバンドパターンで示す図面代用写真として図1に示した。
図1中の[1]は、実施例1の結果を示し、(1)〜(6)は比較例1〜6を示し、Mは分子量マーカーであり、(生)の文字は非加熱の生の状態のエビ肉蛋白質の電気泳動によるバンドパターンを示すブランクを示している。
図1のバンドパターンからも明らかなように、75℃または100℃まで加熱された被加熱エビ肉の比較例1〜6は、分子量200kDa付近に主たる分子量分布域を有するミオシン重鎖が含まれていなかったが、ジュール加熱により75℃に短時間で加熱された実施例1は、生の状態と同じバンドパターンを示した。
[実施例2〜12、比較例7、8]
実施例1において、素材の調製を行なう際に、いずれもジュール加熱により中央部の中心温度が75℃で5秒(実施例2)、75℃で2分間(実施例3)、75℃で5分間(実施例4)、75℃で10分間(実施例5)、75℃で30分間(比較例7)になるように加熱し、または同温度が80℃で5秒(実施例6)、80℃で2分間(実施例7)、80℃で5分間(実施例8)、80℃で10分間(実施例9)、80℃で30分間(比較例8)になるように加熱し、または同温度が85℃で5秒(実施例10)、85℃で2分間(実施例11)、85℃で5分間(実施例12)になるように加熱したこと以外は、実施例1と全く同様にして[素材の調製および加熱処理]並びに[蛋白質の電気泳動による分子量分布の確認試験]を行ない、これらの結果を図2(a)(b)に示した。
なお、Mは分子量マーカーであり、(生)の文字は非加熱の生の状態のエビ肉蛋白質の電気泳動によるバンドパターンを示すブランクを示している。
図2のバンドパターンからも明らかなように、ジュール加熱によって75℃、80℃で30分間加熱された被加熱エビ肉の比較例7、8は、分子量200kDa付近に主たる分子量分布域を有するミオシン重鎖が含まれていなかったが、ジュール加熱により75℃、80℃で5秒〜10分間のジュール加熱された実施例2〜9または、ジュール加熱により85℃で5秒〜5分間のジュール加熱された実施例10〜12は、生のエビ肉と同様なバンドパターンであり、特に分子量200kDa付近に主たる分子量分布域を有するミオシン重鎖を含有するものと認められた。
また、実施例2〜12および比較例7、8について、レオメータによりゼリー強度を測定し、その結果を図3(a)、(b)、(c)、(d)に示した。なお、図中の[2]〜[12]は実施例2〜12を示し、()、()は比較例7、8を示している。
図3の結果からも明らかなように、分子量200kDa付近に主たる分子量分布域を有するミオシン重鎖を含有していない比較例7、8については、ミオシン重鎖の含有が認められる実施例2〜12に比べて相対的にゼリー強度が低く、実際の食感もエビの生の剥き身または切り身に特有のプリプリした食感は損なわれているものと認められた。
これに対して実施例2〜12は比較例7、8に比べて相対的にゼリー強度が低く、実際に食したところ、エビの生の剥き身または切り身に特有のプリプリした食感も認められた。
[実施例13〜15、比較例9、10]
実施例1において素材の調製を行なう際に、ジュール加熱により中央部の中心温度が60℃(比較例9)、65℃(比較例10)、70℃(実施例13)、80℃(実施例14)、90℃(実施例15)で5秒間加熱したこと以外は、実施例1と全く同様にして[素材の調製および加熱処理]並びにレオメータによるゼリー強度の測定試験を行ない、その結果を図4に示した。
図4の結果からも明らかなように、ジュール加熱処理によって70℃以上の短時間加熱を行なうことにより、ゼリー強度で評価できる生肉の弾力のある食感のあるものが得られたと認められる。
[実施例16、比較例11〜13]
実施例1において素材の調製を行なう際に、ジュール加熱により中央部の中心温度が75℃で5秒間(実施例16)、水煮(ボイル)により中央部の中心温度が75℃で15分(比較例11)、スチーム加熱(クック)により中央部の中心温度が100℃で15分(比較例12)、真空調理(素材を真空パックに入れ、機械的に脱気し密封された真空パックをスチーム加熱すること)により中央部の中心温度が75℃で30分(比較例13)加熱したこと以外は、実施例1と全く同様にして[素材の調製および加熱処理]並びにレオメータによるゼリー強度の測定試験を行ない、その結果を図5に示した。
図5の結果からも明らかなように、ジュール加熱での短時間加熱を行なった実施例16だけが、440g・cmという高いゼリー強度であって、生肉の弾力のある食感のあるものが得られたと認められる。
一方、ボイル加熱、スチーム加熱(図中「クック」と称する)または真空調理により加熱された比較例11〜13は、実施例に比べてゼリー強度が低く、またこれらは加熱時間が長すぎて蛋白質は完全に加熱変性した状態にあるものと認められ、生様または生に近い弾力のある食感は得られないものであった。
また、参考実験として、実施例16および比較例11については、加熱する際に素材の中心温度を加熱時間に応じて測定(実施例16では加熱開始から90秒間、比較例11では約10分間)することにより、これらの関係を調べ、その結果を図6に示した。
図6の結果からも明らかなように、ジュール加熱によれば、昇温の過程においてプロテアーゼが活性化しその影響を受けやすい温度帯(およそ30〜70℃)の経過に要する時間が40秒程度と短かった。
一方、水煮(ボイル)による加熱では、前記温度帯域の通過に6分程度を要しており、昇温の過程においてプロテアーゼが活性化しその影響を受けやすいものと考えられた。

Claims (6)

  1. 魚介類生肉片の集合物を素材とし、魚介類生肉の食感を維持できるようにミオシン重鎖を残存させてジュール加熱の利用により加熱成形してなる魚介類成形加工食品。
  2. 上記魚介類成形加工食品は、分子量200kDa付近に分子量分布の最大値を有するミオシン重鎖を含有してなる請求項1に記載の魚介類成形加工食品。
  3. 魚介類生肉片が、エビの剥き身またはその切り身である請求項1または2に記載の魚介類成形加工食品。
  4. 魚介類生肉片が、最大径3〜100mmの魚介類生肉片である請求項1〜3のいずれかに記載の魚介類成形加工食品。
  5. 魚介類生肉片の集合物を素材とし、分子量200kDa付近に主たる分子量分布域を有するミオシン重鎖を含有して魚介類生肉の食感が残るように、50〜100℃で5秒〜10分間のジュール加熱を利用して加熱成形し、次いでプロテアーゼの活性温度以下に急冷することからなる魚介類成形加工食品の製造方法。
  6. 魚介類生肉片が、エビの剥き身またはその切り身である請求項5に記載の魚介類成形加工食品の製造方法。
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