JPH07289171A - タンパク質ゲル状食品の製造法および製造された食品 - Google Patents

タンパク質ゲル状食品の製造法および製造された食品

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JPH07289171A
JPH07289171A JP6121670A JP12167094A JPH07289171A JP H07289171 A JPH07289171 A JP H07289171A JP 6121670 A JP6121670 A JP 6121670A JP 12167094 A JP12167094 A JP 12167094A JP H07289171 A JPH07289171 A JP H07289171A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 タンパク質原料をアルカリで溶解し、pH置
換によりゲル化させることからなるタンパク質ゲル状食
品の製造法において、タンパク質原料として加熱処理し
たアミ類のタンパク質を使用する。アミ類は好ましくは
オキアミである。タンパク質原料をアルカリで溶解して
pH10以上のアルカリ可溶タンパク質液とし、そのp
HをpH8〜3の中性から酸性の範囲に置換してタンパ
ク質をゲル化させる。可食性ケーシングを使用してpH
置換する。澱粉および/または食物繊維を添加してpH
置換する。得られたゲル状食品を酸または塩あるいはそ
の両方を含有する溶液に浸漬してゲルの物性を制御す
る。これらの製造方法により製造されたタンパク質ゲル
状食品。 【効果】 オキアミホール等その他の広範な形態の加熱
オキアミ原料から、オキアミタンパク質ゲル状食品を提
供することが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アミ類、好ましくはオ
キアミタンパク質からゲル状食品を製造する方法および
その方法によって製造される食品に関するものである。
さらに詳しくは、本発明は加熱処理したアミ類、好まし
くはオキアミを原料としてタンパク質ゲル状食品を製造
する方法およびその方法によって製造される食品に関す
るものである。本発明でいうアミ類とは、分類学上のア
ミ類およびオキアミ類を包含した俗称である。
【0002】
【従来の技術】南極オキアミは地球上の最後のタンパク
資源と言われ、海洋に残された未利用資源の中でも、そ
の膨大な資源量と高い栄養性が注目されている。現在の
オキアミ製品は約60%が殻付きの凍結品「生冷凍品」
として餌飼料に、約30%は煮熟後凍結した「煮熟冷凍
品」として、かき揚げ天ぷら、冷凍食品素材および練り
製品等に使用されている。また、これらに比較して生産
量は少ないが脱穀後凍結した「生むき身冷凍品」と煮熟
凍結後脱穀した「煮熟むき身」があり、食用に使用され
ている。しかし、これらの生産量の全製品に占める割合
は非常に少ない。
【0003】オキアミタンパク質は、それに含まれるタ
ンパク質分解酵素活性が非常に強く、またタンパク質そ
のものが水産物の中では最も不安定であるため、タンパ
ク質が非常に変性し易い。そのため、魚肉すりみのよう
なゲル形成機能を保持した食品素材への加工処理技術は
いまだ実用化に至っていない。現状では、ムキ身等を副
原料とした食品がいくらか生産されているだけであり、
オキアミ食用化技術の開発が要望されている。
【0004】特開平3−216170号公報には、オキ
アミ生むき身冷凍品からのタンパク質ゲル状食品の製造
法が示されている。従来の食肉練り製品等の製造原理
は、原料肉およびすりみが未変性であること、あるいは
プロテアーゼ類等のゲル形成阻害因子が存在しないこと
が要求されるのに対し、上記公報に示された製造法は、
これらの制約を受けることなく、原料肉を利用できると
いうタンパク質ゲル状食品の製造法である。
【0005】しかし、上記特開平3−216170号公
報に記載の方法では、オキアミの頭部、内蔵、尾部、殻
等を除去した生むき身からはタンパク質ゲル状食品が得
られるが、生むき身ではなく漁獲時のままの形態の殻付
きオキアミ(以下、オキアミホールと称することもあ
る。)を原料とした場合、ゲル形成しない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】オキアミホールを原料
とした場合、ゲル形成しない。製造工程中のアルカリ抽
出処理によって大部分のタンパク質、プロテアーゼ類等
は変性、失活すると思われるが、生むき身以外の原料、
例えばオキアミホールの場合、内蔵由来のプロテアーゼ
類等、生むき身に比較して大量のゲル形成阻害因子が存
在する場合、アルカリ処理で変性、失活しないゲル形成
阻害因子が残存し、ゲル形成しないものと考えられる。
【0007】本発明の目的は、オキアミ食用化技術の開
発実用化の見地から生産性の非常に低いオキアミ生むき
身に制限されることなく、オキアミホールおよびその他
の形態のオキアミ原料からタンパク質ゲル状食品を製造
する方法、また、その方法によって製造されたタンパク
質ゲル状食品を提供することにある。さらに、オキアミ
類に限らずアミ類についても同様に適用することができ
る。したがって、本発明の目的は、分類学上のオキアミ
類およびアミ類を包含した俗称のアミ類のタンパク質ゲ
ル状食品の製造法および製造された食品を提供すること
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】以下、本発明をオキアミ
を例に挙げて説明する。オキアミ生むき身にアルカリ溶
液を添加、磨砕してタンパク質を変性、可溶化して得ら
れたアルカリ可溶タンパク質液のpHを中性から酸性の
範囲に置換するとタンパク質はゲル化する。しかし、オ
キアミホールを原料とした場合、同様の操作を実施して
もゲル化しない。この現象は、生むき身に比較して、生
ホールは内蔵由来のプロテアーゼ等のゲル形成阻害因子
が大量に存在するため、アルカリ処理によっても変性、
失活しないゲル形成阻害因子が残存し、ゲル形成を阻害
するものと考えられる。
【0009】プロテアーゼ等を変性、失活させる処理方
法として、加熱処理が考えられる。そこで、本発明者
は、まずオキアミむき身を加熱処理した後、次にアルカ
リ抽出、pH置換という操作を実施した結果、加熱した
むき身から良好な弾力を有するタンパク質ゲルが得られ
ることを見いだした。生むき身からは、上記公報に記載
されたように良好なタンパク質ゲルが得られるわけだ
が、加熱処理したむき身からも良好なタンパク質ゲルが
得られたという事実は、加熱処理は原料のゲル形成能を
阻害しないことを意味する。
【0010】そこで前記目的を達成するために、すなわ
ちオキアミ生むき身に制限されることなくオキアミホー
ル等広範な原料を利用して、オキアミタンパク質ゲル状
食品を提供するために、本発明者が検討した結果、加熱
処理した原料を利用することにより、オキアミホール等
広範な原料から良好なタンパク質ゲル状食品を製造する
ことができ、本発明を完成するに至った。本発明は、原
料として加熱処理したオキアミを利用することにより、
生産性の非常に低い生むき身に制限されることなくオキ
アミタンパク質ゲル状食品の製造を可能にしたものであ
る。
【0011】本発明で使用するオキアミ(節足動物門甲
殻綱軟甲亜綱ホンエビ上目オキアミ目)としては、南極
オキアミが好ましいが、これに限定されない。日本近海
などで漁獲されるアミ類(節足動物門甲殻綱軟甲亜綱フ
クロエビ上目アミ目)に属する動物も利用可能である。
【0012】本発明によれば、加熱処理したオキアミ原
料の形態は制限されることなく適用可能である。具体的
には、ホール、落身、ペースト、むき身等が挙げられる
が、オキアミタンパク質を加熱した原料であればこれら
の形態に限られるわけではない。
【0013】加熱処理は、未加熱原料中に存在するプロ
テアーゼ等、ゲル形成阻害因子を変性、失活させる目的
で実施する。加熱方法、加熱温度、加熱時間等の条件
は、加熱前の原料におけるゲル形成阻害因子の存在の程
度、すなわち使用する加熱前の原料が、原料の製造工程
において、プロテアーゼ等ゲル形成阻害因子をどの程度
含有しているかによる。例えば、オキアミホールの場
合、80〜90℃以上で5〜10分ボイルすれば良い。
また、加熱した条件の冷凍品、さらにこれを再加熱した
ものも良好ゲル形成能を示す。
【0014】加熱したオキアミ原料に、最終pHが10
以上になるようにアルカリ溶液を添加し、これを磨砕装
置あるいは撹拌装置を用いて磨砕あるいは撹拌すること
により、アルカリ可溶タンパク質液を調製する。アルカ
リ溶液に使用されるアルカリ化合物は特に制限はない
が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが好ましい
化合物として例示される。添加するアルカリ溶液の種
類、濃度および容量を変えることにより、得られるタン
パク質ゲルの物性は異なる。したがってアルカリ添加条
件を制限することにより、ゲルの物性を制御することが
できる。ただし、タンパク質濃度がうす過ぎると、ゲル
化しにくいためタンパク濃度は、一定濃度以上必要であ
る。
【0015】次に、アルカリ可溶タンパク質液は好まし
くは透析用チューブに詰められ、酸性から中性の範囲の
pH置換液に対して透析される。具体的にはpH3から
8程度のpH置換液が使用される。この操作により、タ
ンパク質抽出液のpH置換が徐々に行われ、タンパク質
ゲルが形成される。
【0016】透析操作で使用される透析用チューブとし
ては種々のものが挙げられる。セルロースチューブやセ
ロハンケーシング以外に、コラーゲンケーシングや羊腸
ケーシング、豚腸ケーシング等可食性の人工あるいは天
然ケーシングが使用可能である。一般に、このような食
品産業で広く使用されている低コストのケーシングを使
用できることは、食品産業上有益である。また、羊腸ケ
ーシングを使用することによりケーシングに結着したオ
キアミタンパク質ゲル状食品を製造することができる。
【0017】pH置換工程において、鋳型とセロハンを
使用すれば、板状ゲルの成形が可能である。具体的に
は、木枠等の鋳型の両面にセロハンを張り付け、アルカ
リ可溶タンパク質液を鋳型に流し込み、pH置換液中に
浸漬して、pH置換を行えば、板状のタンパク質ゲルが
製造できる。
【0018】pH置換液としては、各種の酸溶液あるい
は塩類溶液が使用可能であるが、最終製品のゲルのpH
を制御できるという点から、所定のpHの緩衝作用を示
す液を使用することが望ましい。
【0019】本発明の製造法において得られるオキアミ
タンパク質ゲル状食品は、そのままあるいは調理してか
ら食することができる。加熱調理時あるいは保存中にゲ
ルから離水が見られ、ゲルの物性に影響を与えるが、ゲ
ル製造工程におけるアルカリ添加時に、澱粉等の離水防
止剤を添加することにより、最終製品のゲルの離水を低
減、防止して、加熱調理後のゲルの食感を改良、あるい
は、保存中のゲルの食感を保持することができる。
【0020】離水防止剤としては、澱粉、食物繊維、カ
ードラン等種々のものが挙げられるが、最も一般的には
澱粉が挙げられる。その最終製品中の含有量は、ゲルの
食感を考慮して決定する必要があるが、アルカリ可溶タ
ンパク質液に対して5〜20%程度が好ましく、ゲルの
食感を変えることなく離水を低減、防止できる。5%未
満では離水を防止して食感を改良するという効果が発現
しにくく、一方、20%以上になると、澱粉特有の粘り
気のある食感となる。澱粉の種類は、タピオカデンプ
ン、バレイショデンプン、小麦デンプンおよび種々の化
工澱粉等どのような澱粉を用いても良い。
【0021】なお、本発明のオキアミタンパク質ゲル状
食品には、澱粉、食物繊維、種々の糖類(蔗糖、果糖、
オリゴ糖等)、調味料、着色料、フレーバー類、増粘
剤、その他の糊料(CMC,デキストリンなど)、機能
性食品素材等、その他の食品添加物を含有させることは
任意である。
【0022】また、本発明により得られたオキアミタン
パク質ゲルを、酢酸、クエン酸、リンゴ酸等の酸溶液お
よひ食塩水をはじめ種々の塩溶液あるいは酸や塩の両方
を含む溶液や調味液に浸漬して、吸水や脱水させること
により、ゲルの物性を改良あるいは制御することができ
る。
【0023】本発明のオキアミタンパク質ゲル状食品
は、そのまま食しても良いが保存食品とするためには、
レトルトパウチパック加熱殺菌(115〜125℃、2
0〜30分程度)すれば良い。
【0024】本発明のオキアミタンパク質ゲル状食品
は、低脂肪、低カロリーの高タンパク質ゲルである。
【0025】
【実施例】本発明を実施例によって説明する。本発明は
この実施例によって何ら限定されない。
【0026】実施例1 オキアミ生むき身(−25℃冷凍品)を60℃、80℃
および100℃の3つの温度試験区においてそれぞれ湯
浴中で5分間ボイルした後、10分間水道水で冷却し
た。3試験区とも、それぞれ加熱したオキアミむき身1
00gに対し0.4規定水酸化ナトリウム溶液150g
を加え、ホモジナイズ調製した。これを充填径16mm
の透析用セルロースチューブに詰め0.1モル濃度のリ
ン酸緩衝液(pH7.0)に対して5℃17時間透析
し、pH置換を行った。その結果、3試験区とも均質で
弾力のある白色ゲル、それぞれ約230gを得た。得ら
れたゲルをそのまま食したところ、プリンとゆで卵白身
の中間的な、独得の食感を有し、低オキアミ臭、味であ
った。ゲルの性状を表1に示した。このように加熱した
原料から良好なゲルを得ることができた。
【0027】
【表1】
【0028】表1に示したゲルの食感は、硬さを官能的
に判定したものであり、非加熱生むき身から得られたゲ
ルの硬さをコントロールとして(+)を表示、(+)よ
りも硬いゲルを(++),(+++)と表示した。
【0029】実施例2 オキアミホールをボイル後凍結した「ボイルホール冷凍
品」を、凍結状態のまま細切し、ホール100gに対し
0.4規定水酸化ナトリウム溶液150gを加え、ホモ
ジナイズした。1時間放置後、遠心分離して不溶物を除
去し、アルカリ可溶タンパク液100gを調製した。こ
れを充填径13mmのセロハンチューブに詰め、0.1
モル濃度リン酸緩衝液(pH5.0)に対して5℃で1
7時間透析し抽出液のpH置換を行った。その結果、水
分含量94.4%、pH6.5の均質で弾力のある淡ピ
ンク色ゲル95gを得た。一方、生ホール冷凍品を用い
て、加熱処理せずに同様の操作を行った結果は、ゲル形
成しなかった。このように、生むき身以外の原料であ
る、加熱したオキアミホールから、オキアミタンパク質
ゲル状物を得ることができた。
【0030】実施例3 「ボイルホール冷凍製品」を凍結状態のまま細切し、沸
騰水中で10分間ボイルして、残存するプロテアーゼ等
のゲル形成阻害因子を失活、変性させた。10分間水道
水で冷却後、ホール100gに対し0.4規定水酸化ナ
トリウム溶液150gを加えホモジナイズした。1時間
放置後、遠心分離して不溶物を除去し、アルカリ可溶タ
ンパク質液120gを得た。これを充填径13mmのセ
ロハンチューブに詰め、0.1モル濃度リン酸緩衝液
(pH5.0)に対して、5℃で17時間透析し抽出液
のpH置換を行った。その結果、水分含量94.8%、
pH6.3の均質で弾力のある淡ピンク色を示すゲル3
0gを得た。
【0031】実施例4 オキアミ生ホール(−25℃冷凍品)を凍結状態のまま
細切し、沸騰水中で10分間ボイルして、プロテアーゼ
等のゲル形成阻害因子を失活、変性させた。10分間水
道水で冷却後、ホール100gに対し0.4規定水酸化
ナトリウム溶液150gを加え、ホモジナイズした。1
時間放置後遠心分離して不溶物を除去し、アルカリ可溶
タンパク質抽出液85gを得た。これを充填径13mm
のセロファンチューブに詰め、0.1モル濃度リン酸緩
衝液(pH5.0)に対して5℃17時間透析し、抽出
液のpH置換を行った。その結果、水分含量95.4
%、pH6.5の均質な淡ピンク色ゲル65gを得た。
また対照として、非加熱の生ホールを用いて同様の操作
を行ったが、ゲルを形成しなかった。このように、ゲル
形成阻害因子が最も大量に存在するホールであるが、加
熱処理することにより、ゲル形成性を示した。
【0032】実施例5 オキアミ生むき身(−25℃、冷凍品)を半解凍状態で
細切し、表2の配合に準じて原材料を混合、ホモジナイ
ズし、1時間放置してデンプン含有量が異なるアルカリ
変性タンパク質抽出液をそれぞれ得た。これを充填径1
6mmのセロファンチューブに詰め、0.1モル濃度リ
ン酸緩衝液(pH7.0)に対して5℃で17時間透析
し、抽出液のpH置換を行った。その結果弾力のある、
デンプン含有量の異なる白色のゲルをそれぞれ得た。
【0033】
【表2】
【0034】表2に示した澱粉含有率の異なるそれぞれ
のゲルを、パック詰めにして、100℃5分間加熱し、
加熱直後の離水率を調べた。次に、これらの加熱ゲルを
5℃で5日間保存し、保存中の離水率を調べた。結果を
表3に示した。
【0035】
【表3】 なお、5℃、5日間保存後の離水率は、加熱直後および
保存中の総離水率の値である。
【0036】表3中の符号の意味は次の通りである。 ※1:コントロール(非加熱ゲルに比較して硬い) ※2:ボソボソ感が気になる。 ※3:デンプンの食感気にならず、均質でゼリー食品ら
しい食感 ※4:モチモチしたデンプンの食感を示すが、均質でゼ
リー食品らしい食感
【0037】表3に示した結果のように、デンプンを添
加することにより、ゲルからの離水を著しく低減、防止
して、加熱調理後のゲルの食感の改良、および保存中の
ゲルの食感を保持することができる。最終製品中のデン
プン含有量は、ゲルの食感を考慮して決定する必要があ
るが、アルカリ可溶タンパク質液に対して5〜20%程
度の添加量で、オキアミタンパクゲルの食感を損なうこ
となく離水を低減、防止できる。デンプン添加率15〜
20%では、デンプン特有の粘り気のある食感を少し感
じるが、均質で弾力のある食感を保持している。最終製
品の用途に応じて、ゲルの食感を考慮した上で、デンプ
ン添加率を決定すればよい。
【0038】実施例6 オキアミ生むき身(−25℃冷凍品)を半解凍状態で細
切し、生むき身100gに対して0.4規定水酸化ナト
リウム溶液150gを加え、ホモジナイズ後1時間放置
してpH13のアルカリ可溶タンパク質液250gを調
製した。これを充填径15mmの可食性コラーゲンケー
シングに詰め、0.1モル濃度リン酸緩衝液(pH7.
0)に対して、5℃で17時間透析し抽出液のpH置換
を行った。その結果、弾力のあるオキアミタンパクゲル
245gを得た。
【0039】実施例7 透析用ケーシングとして羊腸ケーシングを用いて、実施
例6と同様の操作を行った。その結果、可食性の羊腸ケ
ーシングに接着した弾力のあるオキアミタンパクゲル2
35gを得た。
【0040】実施例8 オキアミ生むき身(−25℃冷凍品)を半解凍状態で細
切し、沸騰水中で5分間ボイルした後、10分間水道水
で冷却したむき身100gに対し0.4規定水酸化ナト
リウム溶液150gを加え、ホモジナイズ後、1時間放
置してアルカリ可溶タンパク質液250gを調製した。
次に、10cm×20cm、厚さ1cmの木枠の片面一
面にセロファンを張り付け、木枠の中にアルカリ可溶タ
ンパク質液を流し込み、もう一方の片側面に、流し込ん
だアルカリ可溶蛋白質液と接着するように、セロファン
を張り付け、両面のセロファンがはがれないようにし
て、0.1モル濃度リン酸緩衝液(pH7.0)に対し
て、5℃で17時間透析し抽出液のpH置換を行った。
その結果、板状に成型された弾力のある白色のオキアミ
タンパクゲルを得た。
【0041】実施例9 オキアミ生むき身(−25℃、冷凍品)を半解凍状態で
細切し、生むき身100gに対して0.4規定水酸化ナ
トリウム溶液150gを加え、ホモジナイズ後1時間放
置してpH13のアルカリ可溶タンパク質液を調製し
た。これを充填径16mmのセロファンチューブに詰
め、0.1モル濃度リン酸緩衝液(pH7.0)に対し
て、5℃で17時間透析し、抽出液のpH置換を行い、
弾力のある白色のオキアミタンパクゲル240gを得
た。得られたゲルを、ゲル10倍量の3%食塩水に浸
漬、継時的にサンプリングし、ゲルの食感と水分含量の
変化を調べた。また、得られたゲルをパックして、10
0℃で5分間加熱した。加熱ゲルについても同様の操作
を行い、ゲルの継時的な物性変化を調べた。結果を表4
に示した。
【0042】
【表4】
【0043】表4に示したゲルの食感は、硬さを官能的
に判定したものであり、浸漬前(0hr)のゲルの硬さ
をコントロールとして(+)を表示、(+)よりも硬い
ゲルを(++)(+++)と表示した。
【0044】表4に示したように浸漬時間の経過と共
に、ゲルは脱水による収縮が進み、浸漬時間2〜3時間
で歯応えの強い硬いゲルへと変化した。生ゲル、加熱ゲ
ルとも同様の傾向が見られた。また、食塩水に限られる
わけではなく、種々の調味液においても、塩を含有する
ものであれば、ゲルを浸漬することにより、歯応えの強
い食感をもつゲルへと変化させることができる。用途を
考慮し、ゲルの物性を制御することが可能である。
【0045】実施例10 実施例9と同様の方法により、弾力のある白色のオキア
ミタンパクゲルを得た。得られたゲルをパックして10
0℃で5分間加熱した。また、市販のグレープフルーツ
ジュースにクエン酸、砂糖、フレーバーを添加しグレー
プフルーツ風味の調味液を調製し、この調味液に先に得
られた加熱ゲルを5℃、12hr浸漬した。浸漬後のゲ
ルは、調味液中に含まれる酸や塩の影響で歯応えの強い
食感に変化しており、非常に美味なデザート風タンパク
質ゲル状食品であった。
【0046】参考例 オキアミタンパク質ゲルのSDS−ポリアクリルアミド
電気泳動分析 表5に示した原料および加熱処理した原料それぞれ10
0gに対して0.4規定水酸化ナトリウム150gを加
え、ホモジナイズ後1時間放置して遠心分離で不溶物を
除去してアルカリ可溶タンパク質液を調製した。これら
をそれぞれ充填径16mmの透析用セルロースチューブ
に詰め、0.1モル濃度リン酸緩衝液(pH7.0)に
対して5℃、17時間透析してpH置換を行った。表5
に示すように、生むき身冷凍製品、ボイルホール冷凍製
品および生ホール冷凍製品をボイルしたものからは弾力
のあるゲルが得られたが、加熱処理しない生ホール冷凍
製品を用いた場合はゾル状態でゲル形成しなかった。
【0047】
【表5】
【0048】表5に示したそれぞれの原料から得られた
ゲルおよびゾル(水溶状態)のSDS−ポリアクリルア
ミド電気泳動分析を行った。そのパターンを図1に示し
た。
【0049】ゲル形成しなかった生ホール冷凍品由来ゾ
ル(レーン6)の電気泳動パターンから、プロテアーゼ
等が働いて、ミオシンが分解していることが確認でき
た。一方、ボイルホール冷凍製品由来ゲル(レーン
4)、および生ホール冷凍製品をボイル処理した原料由
来ゲル(レーン5)の電気泳動パターンからは、生むき
身由来ゲルと同様にミオシンが分解されずに残存してい
ることた確認できた。
【0050】
【発明の効果】従来、オキアミタンパク質は、内蔵由来
あるいは内因性のプロテアーゼ等のゲル形成阻害因子が
存在するため、またオキアミタンパク質自身も非常に不
安定で変性し易いため、魚肉練り製品等の良好なゲル状
食品の製造は産業上、実用化されていない。本発明によ
れば、生のオキアミ原料を加熱処理してプロテアーゼ等
ゲル形成阻害因子を失活、変性した後、アルカリ抽出、
pH置換することにより生産性の非常に低いオキアミ生
むき身に制限されることなく、オキアミホール等その他
の広範な形態の加熱オキアミ原料から、オキアミタンパ
ク質ゲル状食品を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】表5に示したそれぞれの原料から得られたゲル
およびゾル(水溶状態)のSDS−ポリアクリルアミド
電気泳動分析のパターンを示す図面である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質原料をアルカリで溶解し、p
    H置換によりゲル化させることからなるタンパク質ゲル
    状食品の製造法において、タンパク質原料として加熱処
    理したアミ類のタンパク質を使用することを特徴とする
    製造法。
  2. 【請求項2】 アミ類がオキアミである請求項1記載の
    タンパク質ゲル状食品の製造法。
  3. 【請求項3】 タンパク質原料をアルカリで溶解してp
    H10以上のアルカリ可溶タンパク質液とし、そのpH
    をpH8〜3の中性から酸性の範囲に置換してタンパク
    質をゲル化させる請求項1または請求項2記載のタンパ
    ク質ゲル状食品の製造法。
  4. 【請求項4】 可食性ケーシングを使用してpH置換す
    る請求項1、請求項2または請求項3記載のタンパク質
    ゲル状食品の製造法。
  5. 【請求項5】 澱粉および/または食物繊維を添加して
    pH置換する請求項1、請求項2、請求項3または請求
    項4記載のタンパク質ゲル状食品の製造法。
  6. 【請求項6】 得られたゲル状食品を酸または塩あるい
    はその両方を含有する溶液に浸漬してゲルの物性を制御
    する請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請
    求項5記載のタンパク質ゲル状食品の製造法。
  7. 【請求項7】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5または請求項6記載の製造法により製造さ
    れたタンパク質ゲル状食品。
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