JP3564129B2 - 拡散スペクトル・ノイズをキャンセルする方法及び装置 - Google Patents

拡散スペクトル・ノイズをキャンセルする方法及び装置 Download PDF

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Description

産業上の利用可能性
本発明は拡散スペクトル信号を用いる通信システムに関し、特に、通信チャネルにおける拡散スペクトル・ノイズをキャンセルする方法および装置に関する。
背景技術
一般に通信システムの目的は、ある地点に配置されたソースから一定距離離れた別の地点に位置するユーザ目的地に情報ベアリング(bearing)信号を伝送することである。通信システムは一般に3つの基本的な要素すなわち送信機、チャネルおよび受信機から構成される。送信機はそのチャネルでメッセージ信号を送信するために適切な形式に処理する機能を有する。このメッセージ信号の処理過程は変調と呼ばれる。チャネルの機能は送信機出力と受信機入力との間の物理的な結合を提供することである。受信機の機能はその受信信号を処理することであり、元のメッセージ信号の評価を形成する。この受信信号の処理過程は復調と呼ばれる。
チャネルには2種類存在し、これらは一局対一局チャネル(point−to point chanel)およびブロードキャスト・チャネル(broadcast chanel)である。一局対一局チャネルは例えば、有線(ローカル電話伝送など),マイクロ波リンク,光ファイバを含む。これとは対照的に、ブロードキャスト・チャネルでは、多くの受信局が単独の送信機から同時に受信することが可能である(ローカル・テレビジョンおよび無線局)。
アナログおよびディジタル伝送方式は、通信チャネル上でメッセージ信号を伝送するために使用される。ディジタル方式を用いると、アナログ方式に対して以下の利点があるが、これらに限定されるものではない。すなわち、チャネル・ノイズおよび干渉に対する耐久性あるいは信頼性が増加すること,異なる種類のメッセージ信号を伝送する際に共通フォーマットを使用できること,符号化(encryption)を利用することによって通信の安全性が増加することである。
これらの利点は、伝送(チャネル)帯域幅を増加することおよびシステムの複雑さを増加することを犠牲にして得られる。しかしながら、大規模集積化(VLSI)技術を用いることによって、ハードウェアを構築する非常に効率的な方法が発達してきた。
通信チャネル上でメッセージ信号を伝送するために用いられる1つのディジタル伝送方式として、パルス・コード変調(PCM:pulse code modulation)がある。PCMではメッセージ信号はサンプルされ、量子化され、その後符号化される。そのサンプリング操作は、一定の時間間隔の各瞬間にサンプルされたシーケンスによって、そのメッセージ信号を表現することを可能にする。量子化は、各サンプルの振幅を、有限個の表示レベルから選択された最も近い値に整える。サンプリングと量子化を組み合わせると、メッセージ信号を伝送するためにコード(バイナリ・コード等)を用いることを可能にする。他のディジタル伝送方式も、通信チャネル上でメッセージ信号を伝送するために同様な方法を使用する。
バンドが制限されたチャネルにおいてメッセージ信号がディジタル的に伝送されるとき、インターシンボル干渉(intersymbol interference)として知られるタイプの干渉が生じる。インターシンボル干渉の影響は、もしそれが制御できないものであれば、ディジタル・データを誤りなしにそのチャネル上で伝送することができるレートを極めて制限することになる。インターシンボル干渉の影響を制御する補正(cure)は、バイナリ・シンボル1または0を表現する伝送パルスを注意深く整形することによって制御される。
さらに、バンドパス通信チャネル上でメッセージ信号(アナログまたはディジタル)を伝送するため、メッセージ信号は、そのチャネルで効率的に伝送するのに適切な形式に処理する必要がある。メッセージ信号の変換は、変調と呼ばれる処理過程によって達成される。この過程はメッセージ信号に付随する搬送波のいくつかのパラメータを変化させることを含むが、これはメッセージ情報が保護されて割り当てられたチャネル帯域幅で変調された搬送波のスペクトルが含まれるように行われる。これに対応して受信機は、チャネルを介して伝播した後の減衰した伝送信号の形式から元の信号を再生(re−create)する必要がある。再生は復調と呼ばれる処理過程によって行われ、その過程は送信機において用いられる変調過程と逆のものである。
効率的な送信を提供することに加えて、変調過程を行うことについて他の理由がある。特に、変調を行うと、多重化すなわち通信チャネル上でいくつかのメッセージ・ソースから信号を同時送信することが可能である。また変調は、ノイズおよび干渉に対して鈍感な(less susceptible)形式にメッセージ信号を変換するためにも用いられる。
一般にチャネルを介して伝播する場合に伝送信号が歪むのは、そのチャネルの周波数応答における非線形性および不完全性(imperfection)のためである。他の歪みの原因は、チャネルを介する伝送路において受信信号に加えられるノイズおよび干渉である。ノイズおよび歪みは、通信システムを設計する際2つの本質的な制限事項となる。
システム内部さらには外部ノイズの原因にはいくつかの種類がある。自然界におけるノイズはランダムであるが、平均電力または平均電力のスペクトル分布のような統計的性質を用いて記述することが可能である。
多くの通信システムにおいては、そこで用いられる2つの主要な通信資源(resource)が存在し、それは平均伝送電力およびチャネル帯域幅である。平均伝送電力は、伝送信号の平均電力である。チャネル帯域幅は、そのチャネルが良好な再生度(fidelity)と共に信号を伝送するために用いる周波数範囲を限定する。システム設計の一般的な目的はこれら2つの資源を可能な限り効率的に使用することである。多くのチャネルでは、一方の資源が他方より重要であるとされている。これに対して我々はさらに、通信チャネルを電力制限(power−limited)およびバンド制限(band−limited)に分類する。たとえば、電話回路は代表的なバンド制限チャネルであり、深淵宇宙(deep space)通信リンクまたは衛星通信チャネルは代表的な電力制限である。
伝送電力が重要であるのは、ノイズ特性が規定された受信機に対して、それが送信機および受信機間の許容される分離を決定するからである。すなわち、ノイズ特性が規定され、受信機と送信機との間の距離が規定されている受信機に対して、有効な伝送電力が受信機入力における信号雑音比を決定する。従ってこれは、受信機のノイズに対する振る舞いを決定する。この特性がある一定の設計レベルを越えなければ、そのチャネルにおけるメッセージ信号の伝送は良好なものであるとは考えられない。
さらに、チャネル帯域幅が重要であるのは、メッセージ信号を特徴付ける規定された周波数帯域に対して、チャネル帯域幅はそのチャネル上で多重化することのできるメッセージ信号の数を決定する。すなわち、共通チャネルに分配される必要のある独立メッセージ信号の規定された数に対して、チャネル帯域幅は、認識できる歪を与えることなしに各メッセージ信号の伝送に割り当てられた周波数帯域を決定する。
拡散スペクトル通信システムでは、これらに関連する領域はある特殊な方法で最適化される。拡散スペクトル通信システムでは、変調技術を用いて伝送信号を広範な周波数帯域に拡散する。その周波数帯域は、送出する情報を伝送するために最低限必要な帯域幅より広いものである。例えば振幅変調(AM)にあっては、音声信号はその情報自身の2倍の帯域幅で送出することが可能である。低歪周波数変調(FM)あるいは単側波AM(single sideband AM)のような他の変調形式では、情報自身の帯域幅で伝送することが可能である。これに対して拡散スペクトル・システムは、数キロヘルツの帯域幅のみを有するベースバンド信号(音声チャネルなど)をしばしば採用し、それを数メガヘルツの広い帯域に拡散する。これは送出される情報と共に、広い帯域の符号化信号と共に変調することによって達成される。拡散スペクトル変調を利用することによって、雑音電力が信号電力より高いチャネルにおいてもメッセージ信号を伝送することが可能になる。メッセージ信号の変調および復調は、ノイズのあるチャネルからメッセージ信号の回復をイネーブル(enable)する信号雑音利得を提供する。与えられたシステムに対する信号雑音比が大きくなればなるほど、(1)低い誤り率を有するメッセージ信号を伝送するために必要な帯域幅は小さくなり、(2)与えられた帯域幅に対して低い誤り率を有するメッセージ信号を伝送するために必要な平均伝送電力は低くなる。
拡散スペクトル通信システムには一般に以下の3種類がある:
ビット・レートが情報信号帯域より非常に高いディジタル・コード・シーケンスによるキャリア変調。このようなシステムは「直接シーケンス(direct sequence)」変調システムを呼ばれる。
コード・シーケンスによって記述されるパターンにおいて離散的な増分を与えるキャリア周波数シフト。これらのシステムは「周波数ホッパ(frequency hoppers)」と呼ばれる。送信機は周波数から周波数へいくつかの所定の集合の中でジャンプする。用いられる周波数の順序はコード・シーケンスによって決定される。同様の「時間ホッピング(time hopping)」または「時間周波数ホッピング」は、コード・シーケンスによって決定される遷移時間を有する。
与えられたパルス間隔の間広いバンドにわたってキャリアが掃引されるパルスFMまたは「チャープ(charp)」変調。
情報(メッセージ信号など)はいくつかの方法によってスペクトル信号に包含させることが可能である。1つの方法は、拡散コードを拡散変調に用いる前に情報を拡散コードに加えることである。この方式は直接シーケンスおよび周波数ホッピング・システムにおいて用いることが可能である。送出される情報は拡散コードに加える前にディジタル形式にしておく必要があることに留意すべきである。なぜなら拡散コードの結合は一般にバイナリ・コードであり、モジュロ−2(modulo−2)加算を含むからである。あるいは、情報またはメッセージ信号はそれを拡散する前にキャリアを変調するために使用することも可能である。
したがって、拡散スペクトル通信は2つの性質を有する必要がある。すなわち(1)伝送される帯域幅は送出される情報の帯域幅またはレートより大きいこと、および(2)送出される情報の他いくつかの機能は、その後生じる変調チャネル帯域幅を決定するために使用されることである。
拡散スペクトル通信の本質は、信号の帯域幅を拡張する技術,拡散された信号を伝送する技術,および受信拡散スペクトルを元の情報帯域幅に再マッピング(remapping)することによって所望の信号を再生する技術を含むことである。さらに、この一連の帯域幅の変換を行う処理過程において、拡散スペクトル技術の目的は、そのシステムが雑音のある信号環境であっても低い誤り率を有する情報を伝送できることである。
本発明は拡散スペクトル・システム特にコード分割多重アクセス(CDMA)セルラ無線電話システムの能力を増進させ、雑音のある無線通信チャネルから拡散スペクトル信号を復元する。CDMAセルラ無線通信システムでは、「ユーザ(user)」は同一周波数上にあり、ユーザ特有のコードによってのみ分離される。通信チャネルにおけるこのノイズ干渉レベルは、ユーザによって生成される干渉レベルと付加的なガウス型ノイズ(additibe Gaussian noise)に直接関連し、他の通信システムにおいてみられるような付加的なガウス型ノイズのみではないしたがって、与えられたセルラ領域において相対的に低い付加的なガウス型ノイズと共に同一周波数帯域を同時に利用することができるユーザ数は、動作状態にある全ての「ユーザ」のコード・ノイズによって極めて制限されることとなる。本発明はこの不要なユーザのコード・ノイズの影響を減少させ、与えられたセルラ領域において同時にサービスを受けることが可能なユーザ数をよりいっそう増加させるものである。
発明の開示
本発明によれば拡散スペクトル・ノイズ・キャンセラが提供される。受信された拡散スペクトル信号の第1,第2成分について、受信された位相および受信された振幅が認定される。第2成分は構造的に第1成分と同様であるが、異なる時刻において受信されたこと,異なる経路で伝送されたこと,すなわち異なる位相を有する点で異なる。さらに、拡散スペクトル信号は第1,第2の既知信号を含む。受信信号における拡散スペクトル・ノイズ信号の部分は、受信された位相の第1成分における第1既知信号と共に受信された位相の第2成分における第2既知信号を拡散することによって評価される信号を発生し、第1,第2成分の受信振幅の関数である第2拡散既知信号の積分形式の利得を調整することによってキャンセルされる。そして、受信拡散スペクトル信号の復調された形式から評価された信号を減算することによって、第2既知信号は受信拡散スペクトルから処理される。
【図面の簡単な説明】
図1は従来の拡散スペクトル通信システムを示すものである。
図2は図1に示される従来の拡散スペクトル通信システムにおいて使用するスペクトル拡散ノイズ・キャンセラを有する受信機の内部構造の好適実施例である。
図3は図2に示されるノイズ・キャンセラの好適実施例の動作を要約したフローチャートである。
発明を実施するための最良の形態
図1は従来の拡散スペクトル通信システムであり、例えば1990年6月25日に出願されたGihousen et al.の米国特許番号5,103,459に実質的に開示されている。また、以下の文献にも示されている。“On the System Design Aspects of Code Division Multiple Access(CDMA)Applied to Digital Cellular and Personal Communication Networks",Allen Salmasi and Klein S.Gilhousen,presented at the 41st IEEE Vehicular Technology Conference on May 19−22,1991 in St.Louis,MO,pages 57−62.
従来の拡散スペクトル通信システムでは、トラヒック(traffic)・チャネル・データ・ビット100は、特定のビット・レート(例えば9.6キロビット/秒)でエンコーダ102に入力される。トラヒック・チャネル・データ・ビットはボコーダによってデータに変換された音声,純粋なデータ,またはこれら2種類のデータの組み合わせの何れかを含むことが可能である。エンコーダ102は、固定されたエンコード・レートで入力データ・ビットをデータ・シンボルに畳み込み符号化(convolutionally encode)する。たとえばエンコーダ102は、受信データ・ビット100を固定されたエンコード・レートでエンコードして1つのデータ・ビットを2つのデータ・シンボルにエンコードし、エンコーダ102が19.2キロビット/秒のレートでデータ・シンボルを出力するようにする。エンコーダ102はエンコードを繰返すことによって種々のレートでデータ・ビット100の入力を処理する。このことが起こるのはエンコーダ102が動作するために設定された特定のビット・レートよりデータ・ビット・レートが遅いときである。そしてエンコーダ102は入力データ・ビット100を反復して、入力データ・ビット100はその入力データ・ビット・レートでエンコーダ102内のエンコード素子に提供され、そのエンコード素子は入力データ・ビット・レートで動作するように設計されている。こうして、エンコーダ102はデータ・ビット100がエンコーダ102に入力されるレートに関係なく固定されたレートでデータ・シンボル104を出力する。
データ・シンボル104はその後インターリーバ106に入力される。インターリーバ106は入力データ・シンボル104をインターリーブする。関連するデータ・シンボル104のこのインターリーブは、通信チャネルにおけるバースト・エラーが時間的に分散し、それらがあたかも独立なランダム・エラーであるかのようにデコーダ178が取り扱えるようにする。通信チャネル138の記憶内容(memory)は時間分離と共に減少するので、インターリーブの基礎となる概念はエンコードされたデータ・ビット100における関連するデータ・シンボル104を同時に分離する(すなわち独立にする)ことである。送信ブロックにおけるインターリーブ空間は他のエンコードされたビット100に関連する他のデータ・シンボル104で満たされている。データ・シンボル104を同時に効率的に分離すると記憶内容を有する通信チャネル138を記憶内容のないもの(memoryless)に変換し、その結果ランダム・エラー補正コード(たとえば従来のコードおよびブロック・コード)を用いることを可能にする。最尤推定畳込デコーダ(maximum likehood convolutional decoder)178は、各データ・サンプル176が他のデータ・サンプル176とは独立であると仮定された受信信号におけるデータ・サンプル176のシーケンスに基づいて設定を行うことが可能である。データ・サンプル176の独立性に関するこのような仮定または通信チャネル138の記憶内容が薄いことは、そのような仮定を行わないデコーダにおける最尤推定デコーダ178の特性を改善することができる。インターリーブされたデータ・シンボル108はインタリーバ106によって、それらが排他的OR/乗算器112の1つの入力に入力されたのと同一のデータ・シンボル・レート(たとえば19.2キロシンボル/秒)で出力される。
ロング疑似ノイズ(PN)発生器(long pseudo−noise generator)110は排他的OR/乗算器112の他の入力に動作可能に結合し、データ・シンボル108をスクランブルして通信チャネルにおける通信の安全性を促進する。ロングPN発生器110はロングPNシーケンスを用いて、データ・シンボル108のデータ・シンボル・レートに等しい固定されたレート(たとえば19.2キロシンボル/秒)でユーザに特有のシンボル・シーケンスまたはユーザ拡張コードを発生し、排他的ORゲート112の他の入力に入力される。スクランブルされたデータ・シンボル114は、データ・シンボル108が排他的ORゲート112に入力されるレートに等しい固定されたレート(たとえば19.2キロシンボル/秒)で排他的OR/乗算器112から、排他的OR/乗算器118の1つの入力に出力される。
コード分割チャネル選択発生器116は、特定の所定長さのウォルシュ・コード(Walsh code)を排他的OR/乗算器118の他の入力に提供する。コード分割チャネル選択発生器116は、64X64アダマール行列(Hadamard matrix)から得られる64個のウォルシュ・コード(Walsh code)に対応する64個の直交コードの1つを提供することが可能であり、1つのウォルシュ・コードはその行列の単独の行または列である。排他的OR/乗算器118は、コード分割チャネル発生器116による特定のウォルシュ・コードを用いて、スクランブルされた入力データ・シンボル114をウォルシュ・コード拡散データ・シンボル120に拡散する。「拡散(spreading)」なる語は、入力データ・シンボルを表現するシンボル数を増加させる操作を記述するために用いられることは、当業者にとって明らかであろう。結合器118はたとえば19.2キロビット/秒のレートでスクランブルされたデータ・シンボルのシーケンスを受信することが可能である。各スクランブルされたデータ・シンボル114はウォルシュ拡散コードと共に結合され、各スクランブルされたデータ・シンボル114がそれによって表現され、または単独の64ビット長ウォルシュ拡散コード120に拡散される。その結果、ウォルシュ・コード拡散データ・シンボル120は固定されたチップ・レート(たとえば1.2288メガチップ/秒)で排他的OR/乗算器118から出力される。ここで「チップ(chip)」なる語は、当該技術分野において拡散ディジタル信号のセグメントを表現するときは「ビット」なる語と可換である。
ウォルシュ・コード拡散データ・シンボル120は、2つの排他的OR/乗算器122,128の1つの入力に夫々与えられる。ショートPNシーケンス(short PN sequence)の対(すなわちロングPN発生器110で用いられる長いPNシーケンスに比較して短い)は、IチャネルPN発生器124およびOチャネルPN発生器130により生じるものである。これらのPN発生器124,130は同一のまたは異なるショートPNシーケンスを発生することが可能である。排他的OR/乗算器122,128はさらに、それぞれPN−Iチャネル発生器124およびPN−Qチャネル発生器130によって生成されたショートPNシーケンスと共に、入力ウォルシュ・コード拡散データ120を拡散する。その結果生じるIチャネル・コード拡散シーケンス126およびQチャネル・コード拡散シーケンス132を用いて、正弦波対の電力レベル制御を駆動することによって、直交する正弦波対134を直交位相シフト・キー(QPSK)変調する。その正弦波出力信号を加算し、バンドパス濾波し、無線周波数(RF)に変換し、増幅し、濾波し、そしてアンテナ136から放射して通信チャネル138におけるトラヒック・チャネル・データ・ビット100の送信は終了する。
アンテナ140は拡散スペクトル信号を受信し、アンテナ136から通信チャネル138へ送信される前にトラヒック・チャネル・データ・ビット100に施された一組の操作と同様に、その受信信号を実質的に相補的な(complementary)一組の操作で処理することが可能である。受信された拡散スペクトル信号は、ベースバンド周波数に変換され、濾波され、復調された拡散スペクトル信号144,146にQPSK復調される142。そしてその復調された拡散スペクトル信号144,146は、直交拡散解除(quadrature despread)される。ショートPNシーケンスの対は、IチャネルPN発生器148およびQチャネルPN発生器154によって生じる。これらのPN発生器148,154は、それぞれPNシーケンス124,130と同一のショートPNシーケンスを発生する必要がある。排他的OR/乗算器150,152は、それぞれ入力された復調拡散スペクトル信号144,146を拡散解除する。その結果生じるIチャネル・コード拡散解除シーケンス153およびQチャネル・コード拡散解除シーケンス158は、直交拡散解除データ・サンプル160に提供される。
コード分割チャネル選択発生器164は、特定の所定長さのウォルシュ・コードを排他的OR/乗算器162の入力に与える。コード分割チャネル選択発生器164は発生器116と同様に、64x64アダマール行列から得られる64個のウォルシュ・コードに対応する直交コードの1つを提供することが可能であり、1つのウォルシュ・コードはその行列の単独の行または列であるが、特定のコード伝送を適切に拡散解除するために送信部発生器116が発生するものと同一のウォルシュ・コードを発生する必要がある。排他的OR/乗算器162は、コード分割チャネル発生器164で特定のウォルシュ・コードを用いて、入力された直交拡散解除データ・サンプル160をウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル166に拡散解除される。「拡散解除(despreading)」なる語は、入力を表現するサンプル数を減少させる操作を記述するために用いられるであろうことは当業者にとって明らかであろう。たとえば結合器162は1.2288メガサンプル/秒のレートで拡散解除データ・サンプルのシーケンスを受信することが可能である。64個の一群の拡散解除データ・サンプルは、選択されたウォルシュ拡散解除コード164と共に結合され、64個の一群の拡散解除データ・サンプル160が表現され、または単独のウォルシュ拡散解除データ・サンプル166に拡散解除される。その結果、ウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル166は、固定されたレート(たとえば19.2キロサンプル/秒)で排他的OR/乗算器162から出力される。
ロングPN発生器170は排他的OR/乗算器168の入力に動作可能に結合し、拡散解除データ・サンプル166をスクランブル解除する。ロングPN発生器170はロングPNシーケンスを用いて、ユーザ特有のサンプルのシーケンスまたはユーザ固有の拡散コードを、排他的ORゲート168の他の入力に入力された拡散データ・サンプル166のデータ・サンプルに等しい固定されたレート(たとえば19.2キロサンプル/秒)で発生する。ここでの操作はロングPN発生器110によって発生させたものと同一のロングPNシーケンスを使用し、排他的ORゲート112によって実行されるスクランブル操作の論理的補数(logical complement)である。スクランブルされたデータ・サンプル172は、その拡散解除データ・サンプル166が排他的ORゲート168に入力されたレートに等しい固定されたレート(たとえば19.2キロサンプル/秒)で排他的OR/乗算器168から出力される。
スクランブル解除されたデータ・サンプル172はその後デインターリーバ174に入力される。デインターリーバ174は、インターリーバ106の論理的補数であるようにして入力スクランブル解除データ・サンプル172をインターリーバ解除する。インターリーブ解除されたデータ・サンプル176は、それらが入力されたときと同一のデータ・サンプル・レート(19.2キロサンプル/秒)で、デインターリーバ174から出力される。したがって、最尤推定畳込デコーダ178は、インターリーブ解除されたデータ・サンプル176の入力シーケンスに基づいて決定を行う。最尤推定デコーダ178は、好適にはビダビ(Viterbi)・デコード・アルゴリズムに実質的に同様な最尤推定デコード技術を用いることによって評価されたデータ・ビット180を発生する。
図2は受信機の部分182の好適実施例に係る内部構造を示す図面であり、その受信機は図1に示す従来の拡散スペクトル通信システムにおいて使用するため拡張スペクトル・ノイズ・キャンセラを有する。
以下に述べるように受信機の部分182は、好適には複数の基地局またはセントラル通信サイト(central communication site)をも有するセルラ無線通信システムの移動通信装置において実施される。ここに述べるノイズ・キャンセラを有する特定の受信部の構造182がセントラル通信サイトまたは通信チャネル上の受信信号がマルチ・パス特性であるとして知られる他の同様な通信システムにも容易に応用できることは、当業者にとって明らかであろう。
また、ウォルシュ拡散コード116,164以外の拡散コードを用いてCDMA通信システムにおけるデータ信号を他のものから分離することが可能であることも、当業者にとって明らかであろう。たとえば、PN拡散コードを用いて複数のデータ信号を分離することも可能である。特定のデータ信号は、その特定のデータ信号を拡散するための特定の位相によってオフセットされた特定のPN拡散コードを用いることによって、他のデータ信号から分離することが可能である。たとえば、CDMA拡散スペクトル通信システムにあっては、特定のPN拡散コードを用いて、その通信システムの各チャネルについてPN拡散コードに対して異なったオフセット位相を使用することによって、複数のチャネルを発生することが可能である。さらに、信号の変調方法としては直交位相シフト・キーイング(QPSK)であることが予想される。しかし、本発明が教示することから逸脱することなしに他の変調方式を用いることも可能であることは、当業者によって明らかであろう。好適実施例にあっては、セルラ通信システムに対する通信チャネル138は、900MHzの電磁スペクトル領域にある。しかし本発明が教示することから逸脱することなしに他の電磁スペクトル領域を使用することも可能である。
図示されている受信機の一部分182は、通信チャネルにおけるマルチ・パス・フェージングの影響を減少させるため「レイク(Rake)」受信技術が用いられている。「レイク」受信技術は無線通信の技術分野において良く知られているものである。たとえば、“A Communication Technique for Multipath Channels,"R.Price and P.E.Green,Jr.,Proceedings of the IRE,March 1958,pages 555−570には「レイク」受信機の基本的動作が記述されている。大まかに言えば、「レイク」受信機は受信された信号のマルチ・パス特性を詳細に連続して測定を行うものである。この技術はエコー信号を個々に検出し、相関手法を使用し、そしてこれらのエコー信号を代数的に結合して単独の検出信号にすることによって、選択性フェージングに対する対策を行う。遅延時間と、代数的にそれらを結合する前に検出された種々のエコー信号間の位相とを変化させることによって、インターシンボル干渉を減少させることが可能である。
図1に示す従来の通信システムと同様に、図2において示されるアンテナ140は拡散スペクトル信号を受信し、アンテナ136により通信チャネル138におけるそれらの伝送に先立ってそのトラヒック・チャネル・データ・ビット100に施される一組の操作と同様に、受信信号が一組の相補的な操作で処理されるようにする。受信された拡散スペクトル信号は、異なる拡散スペクトル・チャネルにおけるいくつかの信号を含む複合的な信号(composite signal)である。これらの拡散スペクトル信号の少なくとも1つは既知のパイロット・データ信号である。複合受信拡散スペクトル信号における各々の拡散信号は、1つあるいはそれ以上の基地局から1つあるいはそれ以上の通信経路を通じて、受信機182により受信される。その結果、特定の拡散スペクトル・チャネルにおける各信号は、その通信チャネルにおいて振幅および/または位相が他の信号とは異なるいくつかの成分を有する。好適実施例にあっては、同様なパイロット・データ信号はその通信システムにおいて各基地局から伝送される。しかし、移動通信装置が拡散スペクトル・チャネルから特定の信号を引き出そうとするとき(すなわち復調およびデコード)、これらのパイロット・データ信号はその通信チャネル138において不確定な(nondeterminisutic)ノイズに寄与する。受信機が通信チャネルに関連する特定の情報を獲得し、複合的な拡散スペクトル信号を受信した場合、これらの不要な信号は除去することが可能である。
アンテナ140で受信した拡散スペクトル信号は、ベースバンド周波数に変換され、濾波され、そして、復調された拡散スペクトル信号200にQPSK復調される142。この復調プロセス142の間、受信した拡散スペクトル信号の各成分について、受信位相および受信振幅が認定される。この位相は、他の成分に関連して特定の成分が受信された時刻における瞬間を表わす。振幅は関連する受信信号強度または他の成分に関連する成分の受信精度を表現する。以下の議論において受信された拡散スペクトル信号は、ある特定の拡散スペクトル・チャネルにおける信号を有し、さらにその信号は3成分を有するものと仮定する。これらの信号成分は受信機182の経路において異なる通信チャネル経路に従う。本実施例では、第1成分は主要な供給セル(serving cell)において基地局から伝送され、位相φ1および振幅A1で受信されている。同様に、第2成分は主要な供給セルにおいて基地局によって伝送され、位相φ2および振幅A2で受信されている。最後に第3成分は、2次的な供給セル(例えばソフト・ハンド・オフ状態の間)において基地局によって伝送され、位相φ3および振幅A3で受信されている。
好適実施例である「レイク(Rake)」受信機182にあっては、復調された拡散スペクトル信号200は、各3つの信号成分を処理する個々の受信機の部分に入力される。第1信号成分は、復調された拡散スペクトル信号200を排他的OR結合器202に入力することによって、直交拡散解除(quadrature despread)される。一組のショートPNシーケンスは、IチャネルPN発生器148およびQチャネルPN発生器154(図1に示されている)によって生成される。そのショートPNシーケンスの対は、第1成分の位相φ1で排他的OR結合器202に入力される204。排他的OR結合器202は入力された復調拡散スペクトル信号200を拡散解除する。さらに、排他的OR結合器202は、その結果生じるIチャネル・コード拡散解除シーケンスおよびQチャネル・コード拡散解除シーケンスを直交拡散解除データ・サンプルに結合する206。以上の議論では単独の排他的OR結合器を用いて記述しているが、図1に示す従来の受信機と同様に、2つの排他的OR/乗算器(乗算器150,152)を用いることも可能であることは、当業者にとって明らかであろう。
第1信号成分に対する直交拡散解除データ・サンプル206は、排他的OR/乗算器208に入力される。コード分割チャネル選択発生器164(図1に示されている)は、特定の所定長さのウォルシュ・コード(Wi)を第1信号成分の位相φ1で210、排他的OR/乗算器208の他の入力に提供する。排他的OR/乗算器208は、コード分割チャネル発生器164によって入力された特定のウォルシュ・コード(Wi)210を使用し、入力された直交拡散解除データ・サンプル206をウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル212に拡散解除する。
これらのウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル212は、所定の期間(T)の間データ・サンプル212を積分する積分器214に入力し、入力データ・サンプル信号212の利得を調整する。所定の期間(T)は好適には「レイク」受信機182から得られるデータ・サンプルの所望の出力レートに対応する(例えば19.2キロサンプル/秒出力レートであるとき、T=1/19,200秒である)。入力データ・サンプル212信号の利得は、利得因子g1によって調整され、これは第1信号成分A1の振幅の関数である(g1=f(A1))。この利得因子g1は、3つの信号成分が最大比率結合(maximum ratio combining)をなすように決定される。さらに、入力データ・サンプル212利得は、所定の期間(T)によって除算され、その出力信号216利得が各入力データ・サンプル212に付随する利得をより反映するようにする。この第1信号成分ウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル信号216は、信号プロセッサ220の入力218に最適に切換えることが可能である。積分器214の機能はデータ・サンプル加算回路および乗算器と共に実行されることは、当業者によって明らかであろう。
第2信号成分は、第1信号成分について先に述べたものと同様な方法で、復調された拡散スペクトル信号200から導出することが可能である。この第2信号成分は、復調された拡散スペクトル信号200を排他的OR結合器222に入力することによって、直交拡散解除される。1対のショートPNシーケンスは、IチャネルPN発生器148およびQチャネルPN発生器154(図1に示される)によって生成される。そのショートPNシーケンスの対は、第2成分の位相φ2で排他的OR結合器222に入力される224。排他的OR結合器222は、その入力された拡散スペクトル信号200を拡散解除し、その結果生じるIチャネル・コード拡散解除シーケンスおよびQチャネル・コード拡散解除シーケンスを直交拡散解除データ・サンプル226に結合する。
第2信号成分に対する直交拡散解除データ・サンプル226は、排他的OR/乗算器228に入力される。コード分割チャネル選択発生器164(図1に示されている)は、特定の所定長さのウォルシュ・コード(Wi)を、第2信号成分の位相φ2で、排他的OR/乗算器228の他の入力に提供する。排他的OR/乗算器228は、コード分割チャネル発生器164によって入力される第2信号成分の位相φ2において、特定のウォルシュ・コード(Wi)を用いて、その入力された直交拡散解除データ・サンプルをウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル232に拡散解除する。
これらのウォルシュ・コード拡散解除サンプル232は、所定の期間(T)の間データ・サンプル232を積分する積分器234に入力され、入力データ・サンプル232信号の利得を調整する。入力データ・サンプル232信号の利得は、利得因子g2によって調整され、この因子は第2信号成分の振幅A2の関数である(g2=f(A2))。この利得因子g2は、3つの信号成分の最大比率結合を与えるようにも決定される。さらに、入力データ・サンプル232利得は、所定の期間(T)によって除算され/調整され、出力信号236利得が各入力データ・サンプル232に付随する利得をより反映するようにする。積分器234の出力は、第2信号成分に対するウォルシュ・拡散解除データ・サンプル信号236である。この第2信号成分ウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル信号236は、その信号プロセッサの入力238に任意選択的に切り換えられる。
第3信号成分は、第1および第2信号成分について先に述べたのと同様な方法で、復調された拡散スペクトル信号200から導出することが可能である。第3信号成分は、復調された拡散スペクトル信号200を排他的OR結合器242に入力することによって、直交拡散解除される。一組のショートPNシーケンスは、IチャネルPN発生器148およびQチャネルPN発生器154(図1に示されている)によって生成される。一対のショートPNシーケンスは、第3成分の位相φ3で排他的OR結合器242に入力される244。排他的OR結合器242は、入力された復調拡散スペクトル信号200を拡散解除し、その結果生じるIチャネル・コード拡散解除シーケンスおよびQチャネル・コード拡散解除シーケンスを直交拡散解除データ・サンプル246に結合する。
第3信号成分に対する直交拡散解除データ・サンプル246は、排他的OR/乗算器248に入力される。コード分割チャネル選択発生器164(図1に示されている)は、特定の所定長さのウォルシュ・コード(Wi)を第3信号成分の位相φ3で、排他的OR/乗算器248の他の入力に提供する。その排他的OR/乗算器248は、コード分割チャネル発生器164によって入力される第3信号成分の位相φ3で特定のウォルシュ・コード(Wi)を使用し、入力された直交拡散解除データ・サンプル246をウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル252に拡散解除される。
これらのウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル252は、所定の期間の間データ・サンプル252を積分する積分器254に入力され、入力データ・サンプル252信号の利得を調整する。入力データ・サンプル252信号の利得は、利得因子g3によって調整され、その因子は第3信号成分の振幅A3の関数である(g3=f(A3))。この利得因子g3は、3つの信号成分が最大比率結合をなすように決定される。さらに、入力データ・サンプル252利得は、所定の期間(T)によって除算され/調整され、出力信号256利得が各データ・サンプル252に付随する利得をより反映するようにする。積分器254の出力は、第3信号成分に対するウォルシュ拡散解除データ・サンプル信号256である。この第3信号成分ウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル信号256は、信号プロセッサ200の入力258に任意選択的に切り換えられる。
復調された拡散スペクトル信号200は、さらに2つの成分から成る非決定的なノイズを含む。非決定的なノイズに対するその2つの成分は以下のものである。
(1) 受信機によって復調されない全てのCDMA拡散スペクトル信号。これらは、通信システムの隣接するセルにおける受信機のように同一の通信チャネルを使用するユーザに干渉する多数の低レベル干渉から成る。
(2) 受信機フロント・エンド・ノイズ。通信チャネルがその容量全体で動作するとき、設計により、付加的なノイズは好適には復調拡散スペクトル信号200以下である。
受信機に十分な情報が与えられていれば、この第1拡散スペクトル・ノイズ成分の部分は、復調された拡散スペクトル信号200から取り除くことが可能である。その情報は、先の述べた好適実施例である受信機の成分182と同様な一般の「レイク」受信機に既に与えられているデータのいくつかの部分を含む。この既知のデータには:振幅(例えばA1,A2,A3),各信号成分の位相(例えばφ1,φ2,φ3),通信システムによって用いられるショートPN拡散コード・シーケンス148および154,ならびに受信された特定のチャネルに対するウォルシュ・コード(Wi)が含まれる。これらの既知のデータと共に、受信機の部分182は構成され、所望の信号成分に干渉を与えるパイロット・チャネル・キャリア信号のような他の信号成分に関連するノイズをキャンセルする。
各ウォルシュ・コード・チャネルは一般的に、他のウォルシュ・コード・チャネルに対するいかなるノイズにも寄与しないのは、直交性が維持されるためである。しかし、顕著な遅延拡散(1チップ遅延以上の)が存在するとき、および/または受信機が通信チャネルにおいて2つあるいはそれ以上の送信機の間でハンドオフ状態であるとき、上述したことは必ずしも成立しない。これら他のチャネルがノイズに寄与するまたは所望の通信チャネルにおいて干渉することが可能な状況は、つぎの場合である。すなわち伝送されたキャリアの遅延複製(replica)あるいは他のセルにおいて発生した伝送キャリアが受信機の部分182によって所望の通信チャネルで受信され、かつ、その受信機の部分182が所望の信号と干渉する信号とを区別しないときである。受信機により受信された復調拡散スペクトル信号200により多くの干渉信号が寄与するにつれて、信号雑音比は所定のしきい値付近またはそれ以下に劣化する。
好適実施例に係る通信システムにあっては、主要な供給セルの遅延パイロット信号の複製および他の隣接するセルからのパイロット信号エネルギは、所望の通信チャネルにおけるノイズ全体の約1dBになる。以下のキャンセルする過程を通じて、1dBのノイズのほとんどはキャンセルすることが可能であり、このことは所望の信号に対する信号雑音比を向上させることになる。このキャンセルする手法のいくつかの利点は以下の事項を含む:すなわち、受信信号からの不要なパイロット・チャネル信号干渉を除去することまたは減少させること,増加した受信機の容量に起因する特定のCDMA通信チャネルにおける増加したユーザがその通信チャネルにおいて干渉を処理し得るようにすることである。
第1の評価された干渉信号(以下「第1評価干渉信号」という)は、既知のデータから導出することが可能である。先に発生した第2成分の位相φ2を有するショートPNシーケンスの対は、排他的OR結合器260に入力される224。同様に、先に発生した第1成分の位相φ1を有するショートPNシーケンスの対は、排他的OR結合器260に入力される204。排他的OR結合器260は、第1成分の位相φ1シーケンス204で第2成分の位相φ2シーケンス224を拡散し、その結果生じるIチャネル・コード拡散シーケンスおよびQチャネル・コード拡散シーケンスを直交拡散データ・サンプルに結合する262。
第1評価干渉信号に対する直交拡散データ・サンプル262は、排他的OR/乗算器264に入力される。先に発生した特定の所定長さのウォルシュ・コード(Wi)は、第1信号成分の位相φ1で210、排他的OR/乗算器264の他の入力に提供される。その排他的OR/乗算器264は特定のウォルシュ・コード(Wi)を第1信号成分の位相φ1で210使用し、入力された直交拡散データ・サンプル262をウォルシュ・コード拡散データ・サンプルに拡散する266。
これらのウォルシュ・コード拡散データ・サンプル266は、所定の期間(T)の間データ・サンプル266を積分する積分器268に入力され、その入力されたデータ・サンプル266信号の利得を調整する。入力されたデータ・サンプル266信号の利得は、利得因子g1およびg2の積にマイナス1を乗じたもの(−g1・g2)によって調整され、これらは先に述べたようにそれぞれ第1,第2信号成分の振幅A1,A2の関数である。利得因子−g1・g2は、3つの信号成分の最大比率結合から減算されるように(すなわち負の因子)決定される。さらに、入力データ・サンプル266利得は所定の期間(T)によって調整され、その出力信号270利得が各入力データ・サンプル266に付随する利得をより反映するようにする。積分器268の出力は第1の評価されたウォルシュ拡散解除データ・サンプル干渉信号270である。この第1評価干渉信号270は信号プロセッサ220に任意選択的に切り換えられ、または入力される272。
第2評価干渉信号もまた既知のデータから導出される。先に発生した第3成分の位相φ3を有するショートPNシーケンスの対は、排他的OR結合器280に入力される244。同様に、先に発生した第1成分の位相φ1を有するショートPNシーケンスの対は、排他的OR結合器280に入力される204。排他的OR結合器280は、第1成分の位相φ1シーケンス204で第3成分の位相φ3シーケンス244を拡散し、その結果生じるIチャネル・コード拡散シーケンスおよびQチャネル・コード拡散シーケンスを直交拡散データ・サンプル282に結合する。
評価された干渉信号に対する直交拡散データ・サンプル282は、排他的OR/乗算器284に入力される。先に発生した特定の所定長さのウォルシュ・コード(Wi)は、第1信号成分の位相φ1で210、排他的OR/乗算器284の他の入力に提供される。排他的OR/乗算器284は、特定のウォルシュ・コード(Wi)を第1信号成分の位相φ1で使用し210、入力された直交拡散データ・サンプル282をウォルシュ・コード拡散データ・サンプルに拡散する286。
これらのウォルシュ・コード拡散データ・サンプル286は、所定の期間(T)の間データ・サンプル286を積分する積分器288に入力され、その入力されたデータ・サンプル286信号の利得を調整する。入力データ・サンプル286信号の利得は、利得因子g1およびg3の積にマイナス1を乗じたもの(−g1・g3)によって調整され、これらは先に述べたようにそれぞれ第1,第3信号成分の振幅A1,A3の関数である。その利得因子−g1・g3は、3つの信号成分の最大比率結合から減算されるように(すなわち負の因子)決定される。さらに、入力データ・サンプル286利得は所定の期間(T)によって調整され、その出力信号290利得が各入力データ・サンプル286に付随する利得をより反映するようにする。積分器288の出力は第2の評価されたウォルシュ拡散解除データ・サンプル干渉信号290である。この第2の評価された信号290は、信号プロセッサ220に任意選択的に切り換えられ、または入力される292。
第1,第2評価干渉信号を生成することは、例としてのみなされたものである。この評価干渉信号のプロセスは、十分な情報が与えられている他の干渉信号に対しても使用可能であることは、当業者にとって明らかであろう。
最後に、信号プロセッサ220は好適には、いくつかの信号成分(たとえば、信号成分216,236,256,270,290)を単独のウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル166信号に最大比率結合する。この単独のウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル166信号は、信号プロセッサ220から固定されたレート(たとえば19.2キロサンプル/秒)で出力される。そして、ウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル166信号は好適にはさらに、図1に示すような従来の受信機に類似する方法で処理され、評価されたデータ・ビット180を生成する。
所望の信号から干渉信号の全てをキャンセルすることが望まれない場合もあることは、当業者にとって明らかであろう。干渉信号の信号強度は所望の信号と比較することが可能である。さらに、所望の信号より大きい信号強度を有する不要な干渉信号のみを、複合的な復調された拡散スペクトル信号200から除去すべきである。もしより弱い不要な干渉信号が除去されれば、所望のデータ信号は部分的に劣化するであろう。さらに、拡散スペクトル信号(例えば、その所望の信号)は一般に検出することが可能であり、その信号強度が干渉信号強度より大きい場合に複合的な信号から回復させることが可能である。したがって、複合的な信号から所望の信号以下の信号強度を有する干渉信号を除去することは不必要であり、そのようなことをすれば検出過程を不当に複雑化し、所望の信号の回復時間を増加させることになる。
例えば、3つの信号成分であるウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル信号216,236,256を有する所望の信号の場合、所望の信号成分より強い信号強度を有するならば、干渉するものは、結合された単独のウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル166信号から除去される。たとえば、第1評価信号270は、第3信号成分ウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル信号256以上の信号強度を有することがあり、この場合結合された単独のウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル166信号から除去される。従って、第1評価信号270は信号プロセッサ220の入力272に切り換えられる。これに対して、第2評価信号290は、第3信号成分ウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル信号256以下の信号強度を有することがあり、結合された単独のウォルシュ・コード拡散解除データ・サンプル166信号から除去されるべきではない。したがって、第2評価信号290は信号プロセッサ220の入力292には切り換えられない。本発明の教示するところから逸脱することなしに、他の信号に関する量または通信システム計量(metric)を用いて、いずれの干渉信号を複合拡散スペクトル信号から除去すべきであるかを決定し得ることは、当業者にとって明らかであろう。たとえば、特定の干渉信号をキャンセルすることは、所定のしきい値を積分器214,234,254の調整された利得(g1,g2,g3)の関数と比較することによって決定することが可能である。
好適実施例に係るノイズキャンセラの動作は、図3に示すフローチャートに要約されている。第1,第2成分を有する拡散スペクトル信号は、通信チャネルから受信される300。第1成分は、第2成分とは異なる時刻に受信される。さらに、その受信拡散スペクトル信号は既知信号(たとえば、セルラ通信システム・パイロット・チャネル信号)を含む。受信拡散スペクトル信号の第1,第2成分について、受信した位相(φ1,φ2)および受信した振幅(A1,A2)が、それぞれ認定される302。そして、受信拡散スペクトル信号の第1,第2成分は復調され、最大比率結合される304。さらに評価信号は、以下の段階によって生成される。すなわち、第1成分受信位相(φ1)における既知信号で、第2成分受信位相(φ2)における既知信号を拡散する段階と、第1成分受信位相(φ1)におけるチャネル選択拡散コードで、第2成分受信位相(φ2)における既知信号を拡散する段階と、所定の期間(T)にわたって拡散既知信号を積分する段階と、第1(A1)および第2(A2)成分の受信振幅の関数として、積分された拡散既知信号を調整する段階である。そして、拡散スペクトル・ノイズ信号の部分は、拡散既知信号(g1,g2)の積分された形式の調整された利得が所定のしきい値以上であるときのみ308、復調された拡散スペクトル信号から評価信号を減算する段階を介して、受信拡散スペクトル信号から既知信号を処理することによってキャンセルされる。そして、拡散スペクトル信号の受信プロセスは、既知の拡散コードを用いて受信されたスペクトル信号の処理された復調形式をスクランブル解除する312ことによって完了する。さらに、スクランブル解除された受信拡散スペクトル信号は、所定サイズのブロック内でインターリーブ解除される。最後に、少なくとも1つの評価データ・ビットが、最尤デコード手法を用いることによって生成される316。その手法はインターリーブ解除された受信拡散スペクトル信号から少なくとも1つの評価データを導出するための、ビダビ・デコード・アルゴリズムと実質的に同様なものである。
以上本発明は特定のものについて述べられ、図示されてきたが、本実施例は例示としてのみのためなされたものであり、本発明の精神および目的から逸脱することなしに、各部分の配置,結合さらには方法における種々の改良が本発明に包含されるであろうことは、当業者にとって明らかであろう。たとえば、上述したノイズ・キャンセル手法は、本発明の精神から逸脱することなしに、中間周波数またはベースバンド周波数において実行することも可能であることは、当業者にとって明らかであろう。さらに、上述した好適実施例に係る通信システムの変調器,アンテナ,および復調部分は、無線通信チャネルにおいて伝送される拡散スペクトル信号を対象としていた。しかし、その通信チャネルはまた、電子的データ・バス,有線,光ファイバ・リンクなどの他の通信チャネルでも可能であることは、当業者にとって明らかであろう。

Claims (8)

  1. 拡散スペクトル・ノイズ・キャンセラから構成される装置であって、前記拡散スペクトル・ノイズ・キャンセラは:
    (a)受信した拡散スペクトル信号の第1、第2成分について受信した位相および受信した振幅を認定する認定手段であって、前記第1成分は前記題2成分とは異なり、前記拡散スペクトル信号は第1、第2既知信号を含む認定手段;および
    (b)前記認定手段に動作可能に結合し、前記受信拡散スペクトル信号における拡散スペクトル・ノイズ信号の部分を:
    (i)前記第1成分受信位相における前記第1既知信号前記第2成分受信位相における前記第2既知信号を拡散し、前記第1、第2成分の受信振幅の関数として前記拡散された第2既知信号の積分形式の利得を調整することによって評価信号を生成すること:および
    (ii)前記受信拡散スペクトル信号の復調された形式から前記評価信号を減算することによって前記受信拡散スペクトル信号から前記第2既知信号を処理すること;
    によってキャンセルするノイズ・キャンセル手段;
    から構成されることを特徴とする装置。
  2. 前記拡散された第2既知信号の積分形式の前記調整された利得が所定のしきい値より大きいときのみ、前記拡散スペクトル・ノイズ・キャンセラ・キャンセル手段が、前記受信拡散スペクトル信号から前記第2既知信号を処理することを特徴とする請求項1記載の装置。
  3. 前記拡散スペクトル・ノイズ・キャンセラ・キャンセル手段は、前記第1成分受信位相におけるチャネル選択拡散コード前記第2成分受信位相における前記第2既知信号を更に拡散することによって評価信号を生成することを特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 請求項1記載の装置がさらに:
    (a)前記拡散スペクトル・ノイズ・キャンセラに動作可能に結合し、既知の拡散コードを用いて前記受信拡散スペクトル信号の前記処理された復調形式をスクランブル解除するスクランブル解除手段;
    (b)前記スクランブル解除手段に動作可能に結合され、所定サイズのブロック内で前記スクランブル解除された受信拡散スペクトル信号をインターリーブ解除するインターリーブ解除手段;および
    (c)前記インターリーブ解除手段に動作可能に結合され、前記インターリーブ解除された受信拡散スペクトル信号から少なくとも1つの評価データを導出するため最尤推定デコード手法を用いることによって少なくとも1つの評価データ・ビットを生成するデコード手段:
    から構成されることを特徴とする装置。
  5. 拡散スペクトル信号処理方法であって:
    (a)通信チャネルから第1、第2成分を有する拡散スペクトル信号を受信する段階であって、前記第1成分は前記第2成分とは異なり、前記拡散スペクトル信号は第1、第2既知信号を含む段階;
    (b)受信された拡散スペクトル信号の前記第1、第2成分について受信位相と受信振幅とを認定する段階;
    (c)前記受信拡散スペクトル信号を復調する段階;および
    (d)前記受信拡散スペクトル信号における拡散スペクトル・ノイズ信号の部分を:
    (i)前記第1成分受信位相における前記第1既知信号前記第2成分受信位相における前記第2既知信号を拡散し、所定期間にわたって前記拡散された第2既知信号を積分し、前記第1、第2成分の受信振幅の関数として前記積分され拡散された第2既知信号の利得を調整することによって評価信号を生成し;および
    (ii)前記復調された受信拡散スペクトル信号から前記評価信号を減算することによって前記受信拡散スペクトル信号から前記第2既知信号を処理する;
    ことによってキャンセルする段階;
    から構成されることを特徴とする拡散スペクトル信号処理方法。
  6. 前記キャンセルする段階は、前記拡散された第2既知信号の積分形式の調整された利得が所定のしきい値より大きいときのみ、前記受信拡散スペクトル信号から前記第2既知信号を処理する段階から構成されることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 前記キャンセルする段階は、前記第1成分受信位相におけるチャネル選択拡散コード前記第2成分受信位相における前記拡散された既知信号を更に拡散することによって前記評価信号を生成する段階から構成されることを特徴とする請求項5記載の方法。
  8. 請求項5記載の方法であって:
    (a)既知の拡散コードを用いて前記受信拡散スペクトル信号の前記処理された復調形式をスクランブル解除する段階;
    (b)所定サイズのブロック内で前記スクランブル解除された受信拡散スペクトル信号をインターリーブ解除する段階;および
    (c)前記インターリーブ解除された受信拡散スペクトル信号から少なくとも1つの評価データ・ビットを導出するため最尤推定デコード手法を用いることによって少なくとも1つの評価データ・ビットを生成する段階;
    から更に構成されることを特徴とする請求項5記載の方法。
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