JP3563144B2 - 貼り合わせsoi基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はSOI基板の製造方法に係り、特に、貼り合わせ単結晶シリコン基板中に絶縁層を形成するSOI基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バルク状の半導体基板に集積回路を作り込むよりも、絶縁材料上に設けられた薄い半導体層に各種の素子を形成するほうが、素子特性や素子間分離の点で有利である。このような見地から、単結晶シリコン基板上にSiO2 の絶縁膜を介して素子形成のためのシリコン単結晶層を設けたSOI基板が用いられている。
【0003】
上記SOI基板の製造方法としては、少なくとも二枚のシリコン基板のうちの一方のシリコン基板を酸化して表面酸化膜を形成し、この表面酸化膜を挟んで他方のシリコン基板を重ねて貼り合わせることにより、単結晶シリコン基板中に絶縁層を形成する方法がある。この方法は、鏡面研磨した2枚の単結晶シリコン基板に親水性を持たせ、清浄な室温雰囲気中で接触させた後、800〜1100℃の熱処理を加えることによって貼り合わせるものである。貼り合わせに当たり、一般的には一方の基板に予め酸化膜を形成しておくことにより、単結晶シリコン基板内にSiO2 の絶縁膜が埋め込み酸化膜として形成される。
【0004】
貼り合わせSOI基板を製造する場合、表面酸化膜を形成したシリコン基板側を研磨して表面活性シリコン層を形成するか、あるいは、酸化膜を形成していない単結晶シリコン基板側を研磨して表面活性シリコン層を形成するかの、いずれかが採用される。図6(a)および(b)に示すように、第1の単結晶シリコン基板1に表面酸化膜3を形成し、表面酸化膜のない第2の単結晶シリコン基板2と貼り合わせた後、図6(c1)に示すように前記第1の単結晶シリコン基板1の表面を研磨加工して薄膜化し、これを表面活性シリコン層4とする。これにより埋め込み酸化膜5を有する貼り合わせSOI基板6が完成する。この場合のベース側基板は第2の単結晶シリコン基板2で、表面活性シリコン層側基板は第1の単結晶シリコン基板1である。また、他の方法は、第1の表面酸化単結晶シリコン基板1と第2の単結晶シリコン基板2とを貼り合わせた後、同図(c2)に示すように、第2の単結晶シリコン基板2の表面を研磨加工し、これを薄膜化して表面活性シリコン層4を形成することにより、埋め込み酸化膜5を有する貼り合わせSOI基板6が完成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
貼り合わせによってSOI基板中に埋め込み酸化膜を形成する場合、次の問題点が発生する。
(1)貼り合わせ面の接着強度が酸素イオンを打込み注入してシリコン内部に埋め込み酸化膜を形成するSIMOX基板に比べると低い。特に、接合面に気泡などによる未接合部分が残ると接着強度が低下する。
(2)表面活性シリコン層を表面酸化膜を形成したシリコン基板側を研磨して形成する方法(図6(c1)及び(d1)参照)では、シリコン基板の表裏面に予め形成された表面酸化膜3の片側を研磨除去するため、酸化膜層とシリコン層との熱膨張係数の相違により、図6(d1)に示すように貼り合わせSOI基板6が反るという問題が発生する。特に、貼り合わせ界面の酸化膜すなわち表面活性シリコン層側の単結晶シリコン基板1の表面酸化膜厚が500nm以上と厚い場合には、基板の反りは40μm程度に大きくなる。一方、膜厚が100nm以下の薄い酸化膜を介して貼り合わせを行った従来の基板では、基板の反りは比較的小さくできるものの、貼り合わせの際に基板の表面に0.1μm以上のパーティクルが付着すると接着強度が低下する。さらに、貼り合わせ界面の酸化膜厚より大きなパーティクルは、ボイドの発生源となる。
(3)酸化膜を形成していない単結晶シリコン基板側を研磨して形成する方法(図6(c2)及び(d2)参照)では、第1の単結晶シリコン基板1の表裏面に表面酸化膜を残存させた状態で貼り合わせSOI基板が形成されるため、表面酸化膜を厚くしても基板の反りが小さくなるものの、埋め込み酸化膜と活性シリコン層との貼り合わせに際しての不純物の混入により貼り合わせ界面9では、その界面準位密度が1×1012/cm2 eVと大きくなる。この界面準位密度は、第1の単結晶シリコン基板1の表面酸化膜の膜厚を変えて貼り合わせても低減できない。このため、表面活性シリコン層4中に形成した素子(例えばMOS型FET)の電気特性は劣化する。MOS型FETにおいては、例えばソース、ドレイン間の設定電圧に対するしきい値電圧の制御性が劣化するという問題を生じる。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたもので、第1には、貼り合わせ面の接着強度が高いSOI基板の提供を目的とする。第2には、貼り合わせの際に薄い酸化膜の場合においても、さらに基板表面の酸化膜厚より大きなパーティクルが付着した場合においても、貼り合わせ面での接着強度を低下させることがなく、かつ、貼り合わせ界面のボイドを低減させることができるような貼り合わせSOI基板の製造方法を提供することを目的としている。また、第3には、反りが少なく貼り合わせ界面の界面準位密度を単結晶シリコン基板を熱酸化して形成される熱酸化膜とそのシリコン基板との界面に発生する界面準位密度の値まで低減させることができるような貼り合わせSOI基板の製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は予めシリコン基板内部に埋め込まれた酸化膜を形成したSOI基板を対象として、この基板を高温酸化処理することにより、埋め込み酸化膜厚が増大する現象を見出したことによって実現されたものである。表面の単結晶シリコン層の厚さが320nm、埋め込み酸化膜の厚さが89nmのSOI基板を対象とし、この基板を1350℃、不活性ガス中に流量比(以下同じ)で70%O2 の酸素雰囲気中に置き、表面の単結晶シリコン層を約180nm酸化させる処理を行ったところ、埋め込み酸化膜は118nmに厚膜化する現象(以降では増膜作用または増膜効果と称す)が見られた。
【0008】
そこで、SOI基板表面に形成される熱酸化膜の厚さが一定となるような条件で酸化温度条件を変えて各酸化温度に対する埋め込み酸化膜の増加量を求めたところ、図3に示すように、酸化温度が上昇するに従って埋め込み酸化膜の膜厚が増加することが確認された。増膜作用は1150℃以上で確認された。同様に、図4は酸化時間を4時間に固定し、O2 濃度を70%に固定した場合である。これらの図において、横軸の酸化温度は絶対温度の逆数の104 倍の数値で表されている。なお、各図の上部に摂氏の温度を併記している。図4においても明らかなように、酸化温度の上昇に伴って埋め込み酸化膜厚の増加量も増大する。酸化温度が1100℃以下では埋め込み酸化膜厚の増加量も僅かであり、あるいは酸化時間を実用的な長さ、例えば4時間とすると、その増加量は検出レベル以下で、厚膜化の効果がないが、酸化温度が1350℃に上昇させると埋め込み酸化膜厚の増加量は約30nmとなる。
【0009】
従来技術による単結晶シリコン基板の埋め込み酸化膜厚が80〜90nmであるのに対し、本発明を適用して1350℃で酸化処理し、表面酸化膜厚を約400nmとした場合には埋め込み酸化膜厚が100〜120nmに増加することが確認できる。従って、増膜効果を得るためには少なくとも1150℃以上の温度条件を必要とし、これはアニール処理温度に匹敵している。また、上限温度はシリコンの融点が1412℃であるため、これより低い温度条件とする必要がある。
【0010】
また、酸素雰囲気の酸素濃度の影響は基本的には高い濃度が増膜作用に寄与すると考えられることから、アニール処理後に1350℃の温度条件で4時間の酸化処理による異なる酸素分圧による埋め込み酸化膜厚の増加量を実験的に求めたところ、図5に示すような特性線図が得られた。これによれば、1%O2 の濃度以上のときに増膜効果が得られることが理解でき、0.5%O2濃度では増膜分は非常に少なく、また、界面の凹凸との差異が判別できないので、1%O2の濃度以上で増膜効果が得られるものと考えられる。これは、雰囲気中の酸素が、少なくとも表面の単結晶シリコン層や基板の単結晶シリコン層から内部に拡散され、埋め込み酸化膜の界面部へSiO2 が滞留積層されるには、基本的に温度条件を主因子として調整することができるので、前記シリコン層への拡散に必要な最低限の濃度としては上記1%O2 の濃度以上を要するものと考えられる。もちろん所定の高温下で酸素濃度を因子として増膜作用を行わせることができることは図5から理解できる。
【0011】
そこで、本発明は、貼り合わせSOI基板を高温酸化処理することによる埋め込み酸化膜の増膜作用を利用すれば、埋め込み酸化膜とシリコンの接合面に気泡などにより残留した未接合部分による接着強度の低下の問題や、埋め込み酸化膜の膜厚が100nm以下とされている貼り合わせSOI基板での貼り合わせの際に基板の表面に付着したパーティクルによる接着強度の低下の問題の解決、あるいは、貼り合わせ界面の酸化膜厚より大きなパーティクルの付着によるボイドの発生の低減ができるとの知見を得てなされたものである。また、貼り合わせSOI基板を製造するに際して、表面活性シリコン層を酸化膜を形成しない側の単結晶シリコン基板を研磨することで、反りの少ないSOI基板として形成しておき、この様なSOI基板を高温酸化処理することによる埋め込み酸化膜の増膜作用を利用すれば、貼り合わせによって形成された埋め込み酸化膜と活性シリコン層との界面を、酸化膜の増膜作用によって酸化膜内部に埋め込み、電気的特性に影響を与える実際の界面位置を厚膜化された酸化膜と表面活性シリコン層との間に形成することができる。このため、貼り合わせの際に生じる反りを低減しつつ、表面活性シリコン層と埋め込み酸化膜との界面に発生する界面準位密度が高くなるのを低減できるとの知見を得たものである。
【0012】
すなわち、貼り合わせSOI基板を高温酸化することにより、埋め込み酸化膜が厚膜化し、接着不良部やボイド部分を増膜作用で埋め込み、酸素が界面シリコンと結合して界面接着強度を増大させることができるのである。さらに、シリコン基板同志の貼り合わせの後、表面酸化が施されていない側の単結晶シリコン基板側を研磨することによって、SOI基板の表面活性シリコン層を形成した後に、この基板を高温酸化処理を行うことによりシリコン基板の内部に埋め込まれた酸化膜厚を増大させ、この増膜作用によって新たに形成される埋め込み酸化膜と表面活性シリコン層との界面位置を貼り合わせ面位置からずらした位置に変化させるようにするものである。これによって貼り合わせの際に付着したパーティクル等に起因する界面準位密度の増大部分を埋め込み酸化膜内部に取り込むことができ、シリコン基板内部で成長した酸化膜表面との間に新たに界面が形成される。これによってSOI基板の界面準位密度が低減することができる。
【0013】
このようなことから、本発明に係わるSOI基板の製造方法は、まず、少なくとも二枚のシリコン基板のうちの一方のシリコン基板に酸化膜を施し、この酸化膜を挟んでシリコン基板を重ねた貼り合わせSOI基板を製造した後、当該貼り合わせ基板を上述したように1150℃以上、単結晶シリコン基板の融点未満の高温酸素雰囲気中で酸化処理を行うようにしたものである。これにより、高温雰囲気中で前記基板を酸化処理することによって埋め込み酸化膜が厚膜化され、パーティクル付着等による埋込絶縁層の欠陥部分の補修作用を行わせるので、界面接着強度を増すとともに、絶縁耐圧強度を向上させることができる。この場合において、前記高温酸化処理は、アニール時の酸素濃度より高い濃度の酸素ガス雰囲気中で行うようにすればよい。特に、上記の貼り合わせSOI基板の製造方法において、膜厚100nm以下の表面酸化膜を有するベース側単結晶シリコン基板と、表面酸化膜のない表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板とを貼り合わせた場合には、貼り合わせの際に基板の表面に0.1μm以上のパーティクルが付着しても、高温雰囲気中で前記基板を酸化処理することによって埋め込み酸化膜を厚膜化することにより、パーティクル付着により埋込絶縁層の欠陥部分の補修作用を行わせ、接着強度の低下を防止できる。
【0014】
また、表面酸化単結晶シリコン基板と単結晶シリコン基板とを貼り合わせ接合することによる埋め込み酸化膜を設け、前記単結晶シリコン基板側を研磨してこれを表面活性シリコン層とするSOI基板を形成し、このSOI基板を高温酸素雰囲気中で酸化処理を行うことにより埋め込み酸化膜を厚膜化し、表面活性シリコン層と埋め込み酸化膜との界面を貼り合わせ面から移動形成するように形成したものである。高温酸化処理対象のSOI基板としては、表面酸化膜を形成した単結晶シリコン基板と、酸化していない単結晶シリコン基板とを貼り合わせた後、酸化していない単結晶シリコン基板側を研磨して表面活性シリコン層とすることで、予め反りのないSOI基板とする。そして、このSOI基板を高温雰囲気中で酸化処理を行うことによって、基板の内部に埋め込まれている貼り合わせ酸化膜が厚膜化し、この厚膜化した酸化膜により貼り合わせ面が埋め込み酸化膜の内部に取り込まれ、製造後の埋め込み酸化膜の界面準位密度を低減することができる。
この場合においても、前記高温酸化処理温度は上述したように1150℃以上、単結晶シリコン基板の融点未満の範囲内に保つようにすればよく、前記高温酸化処理は、アニール時の酸素濃度より高い濃度の酸素ガス雰囲気中で行うようにすればよい。
【0015】
【作用】
上記構成によれば、貼り合わせSOI基板の製造に当たり、シリコン基板のうちの一方のシリコン基板に酸化膜を施した表面酸化膜を有するベース側単結晶シリコン基板と、表面酸化膜のない表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板とを貼り合わせたSOI基板に、1150℃以上の高温酸化処理を施すことにしたので、従来の表面酸化膜の上に更に埋め込み酸化膜が増加形成され、酸化膜厚が高温酸化処理前よりも厚くなる。貼り合わせ時にピンホールや基板表面の酸化膜厚より大きなパーティクルが付着してボイドが発生したSOI基板であっても、前記埋め込み酸化膜厚の増加によりボイドが低減するとともに、酸素が界面部分でシリコンと結合し、貼り合わせ界面の接着強度をバルク並みに増大させることができる。さらに、表面活性シリコン層を形成するための研磨を単結晶シリコン基板に対して行うことで形成されたSOI基板では、表面活性シリコン層側と反対側の基板の面に表面酸化膜が形成された構造となり、埋め込み酸化膜と上記表面酸化膜とで挟まれたSOI基板のベースとなるシリコン層の表裏面には応力差が発生せず、その結果該SOI基板の反りが低減される。このようなSOI基板を1150℃以上の高温酸化処理を施すことにしたので、前記SOI基板の表面すなわち表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板の上面に新たに表面酸化膜が形成され、また、ベース側単結晶シリコン基板の下面にある酸化膜上にも酸化膜が積層形成される。同時に、埋め込み酸化膜への増膜作用により、埋め込み酸化膜が成長厚膜化する。製造されたSOI基板の反りはバルク並みに小さくなるとともに、前記高温酸化処理により埋め込み酸化膜の上に更に埋め込み酸化膜が増加形成されため、貼り合わせ面がその内部に埋め込まれ、貼り合わせ面に付着したパーティクル等は内部に取り込まれる。これによって埋め込み酸化膜と活性シリコン層との間の界面準位密度をバルクと同等の値まで低下させることができる。
【0016】
【実施例】
以下に、本発明に係る貼り合わせSOI基板の製造方法の実施例1について、図面を参照して説明する。図1は、SOI基板の製造方法について、製造工程順に示した基板の断面模式図である。まず、図1(a)に示すように、表面活性シリコン層側となる単結晶シリコン基板2およびベース側となる単結晶シリコン基板1をそれぞれ鏡面研磨し、ベース側単結晶シリコン基板1にたとえば1000℃、2時間の酸化処理を施して、表面に厚さ100nm程度の表面酸化膜3を形成する。次に、図1(b)に示すように、表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板2をベース側単結晶シリコン基板1の上に載せ、常温で貼り合わせる。その後、たとえば1100℃、2時間のアニールを行い、表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板2とベース側単結晶シリコン基板1との貼り合わせを完了する。次に、図1(c)に示すように、貼り合わせた表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板2の表面を研磨し、厚さ1.0μm程度に薄膜化することによって活性層4が形成される。また、貼り合わせ界面に残った酸化膜は埋め込み酸化膜5となる。これらの工程を経て、貼り合わせSOI基板6が完成する。ここまでは従来と同じ製造工程である。なお、貼り合わせSOI基板6の裏面の表面酸化膜は100nm程度と薄いため、図1(c)では、研磨後の貼り合わせSOI基板の洗浄で除去された例を示した。
【0017】
図1(d)は高温酸化工程で、O2 ガス濃度が1%を超え、100%以下の雰囲気内で上記貼り合わせSOI基板6を酸化処理する。酸化温度は1150℃以上、貼り合わせSOI基板の融点未満の温度とし、数時間加熱する。高温酸化処理により、埋め込み酸化膜5の界面に埋め込み酸化膜厚の増加分7が形成される。なお、8は前記高温酸化処理によって生じた表面酸化膜である。
【0018】
次に、本発明を適用した一実験例について述べる。
(1)基板酸化:
鏡面研磨したベース側単結晶シリコン基板を1000℃で2時間酸化処理し、100nmの酸化膜を形成させて酸化膜付き基板とした。
(2)貼り合わせ:
前記酸化膜付きベース側単結晶シリコン基板と、鏡面研磨した表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板とを貼り合わせた。
(3)アニール:
貼り合わせた2枚の単結晶シリコン基板を1100℃で2時間アニールし、貼り合わせを完了した。
(4)片面薄膜加工:
前記表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板の表面を研磨し、その表面活性シリコン層が1.0μmとなるように薄膜加工した。
(5)高温酸化処理:
濃度70%のO2 ガス雰囲気内で温度1350℃、3時間の酸化処理を行った。SOI基板の表面の酸化膜厚は410nmとなり、埋め込み酸化膜厚は28nm増加した。
【0019】
上記高温酸化処理を行ったSOI基板について、接着強度の測定とボイド発生率の調査を行ったところ、下記の結果を得た。
(1)接着強度:
高温酸化処理を行わない従来の技術によるSOI基板では接着強度が500kg/cm2 であったが、前記SOI基板に本発明による高温酸化処理を追加した場合は接着強度が800kg/cm2 に増大し、バルクと同等の強度となった。
(2)ボイド発生率:
従来の技術によるSOI基板では、枚数比率で約50%の基板にボイドが発生していたが、これらの基板に高温酸化処理を施すことによりボイド発生率は約1%に低下した。
なお、SOI基板の高温酸化処理において酸化温度を1100℃以下にすると、埋め込み酸化膜厚の増加は僅かであり、厚膜化およびボイド低減効果は認められなかった。
【0020】
次に、本発明に係る貼り合わせSOI基板の製造方法の実施例2について、図面を参照して説明する。図2は、SOI基板の製造方法について、製造工程順に示した基板の断面模式図である。まず、図2(a)に示すように、表面活性シリコン層側となる単結晶シリコン基板2およびベース側となる単結晶シリコン基板1をそれぞれ鏡面研磨し、前記ベース側単結晶シリコン基板1に例えば1100℃、2時間のウエット酸化処理を施して、厚さ1000nm程度の表面酸化膜3を形成する。次に、図2(b)に示すように、表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板1を、表面酸化膜3を施したベース側単結晶シリコン基板2の上に載せ、常温で貼り合わせる。その後、たとえば1100℃、2時間のアニールを行い、表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板2とベース側単結晶シリコン基板1との貼り合わせを完了する。次に、図2(c)に示すように、貼り合わせた表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板2の表面を研磨し、厚さ1.0μm程度に薄膜化することによって表面活性シリコン層4が形成される。また、貼り合わせ界面に残った酸化膜は埋め込み酸化膜5となる。これらの工程を経て、基礎的な貼り合わせSOI基板6が完成する。ここまでは従来と同じ製造工程である。
【0021】
図2(d)は高温酸化工程で、O2 ガス濃度が1%を超え、100%以下の雰囲気内で上記貼り合わせSOI基板6を酸化処理する。酸化温度は1150℃以上、貼り合わせSOI基板の融点未満の温度とし、数時間加熱する。高温酸化処理により、埋め込み酸化膜5の上面に埋め込み酸化膜厚の増加分7が形成される。また、前記貼り合わせSOI基板6の上下面には表面酸化膜8が形成される。
【0022】
次に、この第2実施例を適用した一実験例について述べる。
(1)基板酸化:鏡面研磨したベース側単結晶シリコン基板1を1100℃で2時間ウエット酸化処理し、1.0μmの表面酸化膜を形成させて酸化膜付き基板とした。
(2)貼り合わせ:前記酸化膜付きのベース側単結晶シリコン基板1と、鏡面研磨した表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板2とを貼り合わせた。
(3)アニール:貼り合わせた2枚の単結晶シリコン基板を1100℃で2時間アニールし、貼り合わせを完了した。
(4)片面薄膜加工:前記活性層側基板2の表面を研磨し、表面活性シリコン層が1.0μmとなるように薄膜加工した。
(5)高温酸化処理:濃度70%のO2 ガス雰囲気内で温度1150℃、6時間の酸化処理を行った。SOI基板の表面の酸化膜厚は350nmとなり、埋め込み酸化膜厚は5nm増加した。
【0023】
上記高温酸化処理を行ったSOI基板について、反りおよび界面準位密度の測定を行ったところ、下記の結果を得た。
(1)反り:本発明による高温酸化処理を追加した場合は反りが5μm(バルク並)になった。
(2)界面準位密度:反りを小さくするため、ベース側基板に酸化処理を施して貼り合わせた従来の技術によるSOI基板の界面準位密度は1×1012/cm2 eVであったが、本発明による製造方法を用いた場合は界面準位密度が1×1010
/cm2 eVに低下した。
このように、反り、界面準位密度ともにバルクと同等の値に低減させることができた。なお、SOI基板の高温酸化処理において酸化温度を1100℃以下にすると、埋め込み酸化膜厚の増加は殆ど見られず、界面準位密度低減効果は認められなかった。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シリコン基板のうちの一方のシリコン基板に酸化膜を施し、この酸化膜を挟んでシリコン基板を重ねて貼り合わせた後に、1150℃以上、融点未満の高温酸化処理を施すことにしたので、前記SOI基板の埋め込み酸化膜の上に更に埋め込み酸化膜が形成され、埋め込み酸化膜厚が高温酸化処理前よりも厚くなる。これにより、貼り合わせ時に基板表面の酸化膜厚より大きなパーティクルが付着してボイドが発生したSOI基板であっても、前記埋め込み酸化膜厚の増加によりボイドが低減するとともに、貼り合わせ界面の接着強度をバルクと同等の強度まで増大させることができる。従って、薄い埋め込み酸化膜であることが望ましい貼り合わせSOI基板の場合、従来から問題となっていた貼り合わせ界面の接着強度の低下とボイドの発生とを解決することができる。
【0025】
また、貼り合わせSOI基板の製造に当たり、貼り合わせた基板に対し、表面酸化膜を施さない側の単結晶シリコン層を研磨して表面活性シリコン層を形成してこれを基礎的なSOI基板とし、当該SOI基板を1150℃以上、融点未満の高温酸化処理を施すことにしたので、前記SOI基板の内部に埋め込まれた酸化膜の貼り合わせ界面上に酸化膜が増加形成されるので、貼り合わせ界面準位密度をバルクと同等の値まで低下させることが可能となる。そして同時に基板の反りをバルク並みに抑制することができる。従って、厚い埋め込み酸化膜であることが望ましい貼り合わせSOI基板の場合、従来から問題となっていた基板の反りと高い界面準位密度とを大幅に低減させることができ、品質の良いSOI基板の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SOI基板の製造方法について、第1実施例を製造工程順に示した基板の断面模式図で、(a)は鏡面研磨および酸化、(b)は貼り合わせ、(c)は研磨、(d)は高温酸化の各工程を示す。
【図2】SOI基板の製造方法について、第2実施例を製造工程順に示した基板の断面模式図で、(a)は鏡面研磨および酸化、(b)は貼り合わせ、(c)は研磨、(d)は高温酸化の各工程を示す。
【図3】高温酸化工程において、表面のシリコン単結晶層を約180nm酸化した場合の酸化温度と埋め込み酸化膜厚増加量との相関を示す図である。
【図4】高温酸化工程において、酸化時間を4時間に固定し、O2 濃度を70%とした場合の酸化温度と埋め込み酸化膜厚増加量との相関を示す図である。
【図5】高温酸化工程における酸素分圧に対する埋め込み酸化膜厚増加量との相関を示す図である。
【図6】厚い表面酸化膜を有する表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板と酸化膜のないベース側単結晶シリコン基板とを貼り合わせた場合に、SOI基板に発生する反りの状態を説明する断面模式図((a)、(b)、(c1)及び(d1))、または表面酸化膜を有するベース側単結晶シリコン基板と酸化膜のない表面活性シリコン層側単結晶シリコン基板とを貼り合わせた場合で、貼り合わせ界面が表面活性シリコン層側に位置することを説明する断面模式図((a)、(b)、(c2)及び(d2))であって、(a)は鏡面研磨および酸化、(b)は貼り合わせ、(c1)及び(c2)は研磨、(d1)(d2))は研磨後の状態を示す。
【符号の説明】
1 表面酸化単結晶シリコン基板
2 単結晶シリコン基板
3,8 表面酸化膜
4 表面活性シリコン層
5 埋め込み酸化膜
6 貼り合わせSOI基板
7 埋め込み酸化膜厚増加分
9 表面活性シリコン層と埋め込み酸化膜との界面
Claims (2)
- 表面酸化単結晶シリコン基板と単結晶シリコン基板とを貼り合わせ接合することにより埋め込み酸化膜を設け、前記単結晶シリコン基板側を研磨してこれを表面活性シリコン層とするSOI基板を形成し、このSOI基板を1150℃以上、単結晶シリコン基板の融点温度未満の酸素雰囲気中で酸化処理を行うことにより埋め込み酸化膜を成長させ、表面活性シリコン層と埋め込み酸化膜との界面を貼り合わせ面から移動形成することを特徴とする貼り合わせSOI基板の製造方法。
- 請求項1に記載の貼り合わせSOI基板の製造方法において、一方のシリコン基板の表面に形成した酸化膜を予め100nm以下にして他方のシリコン基板を貼り合わせたSOI基板としたことを特徴とする貼り合わせSOI基板の製造方法。
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