JP3864886B2 - Soiウエーハ - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン注入したウエーハを結合及び分離してSOIウエーハを製造する方法(スマートカット法とも呼ばれている)で得られたSOI(Silicon On Insulator)構造ウエーハに関し、活性SOI層の膜厚均一性に優れたSOIウエーハの製造方法及び活性SOI層の膜厚均一性に優れたSOIウエーハに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、SOIウエーハの製造方法として、イオン注入したウエーハを結合及び分離してSOIウエーハを製造する方法(以後、イオン注入分離法と呼ぶことがある)が新たに注目されている。この方法は、例えば図3(a)〜(h)に示すように、SOI層を形成するボンドウエーハ2と支持基板となるベースウエーハ1の二枚のシリコンウエーハのうち(図3(a))、少なくとも一方に酸化膜を形成すると共に(図3(b))、ボンドウエーハ2に水素イオンまたは希ガスイオンを注入し、該ボンドウエーハ内部に微小気泡層(封入層)4を形成させた後(図3(c))、該イオンを注入した方の面を酸化膜を介してベースウエーハ1と密着させ(図3(d))、その後熱処理を加えて微小気泡層を劈開面(剥離面)としてボンドウエーハ2を薄膜状に分離し(図3(e))、さらに熱処理を加えて強固に結合して(図3(f))、鏡面研磨を施し(図3(g))、SOIウエーハとする技術(特開平5−211128号参照)である(図3(h))。
【0003】
上記方法でSOIウエーハを製造する方法としては、ボンドウエーハとベースウエーハのうちどちらに酸化膜を形成するかによって、図3(A)に示すようなべースウエーハ1に酸化膜を形成するA法と、図3(B)に示すようなボンドウエーハ2に酸化膜を形成するB法とに大別されるが、予めボンドウエーハに酸化膜を形成しておくB法が主流である。
【0004】
その理由として1つは、イオンを注入するボンドウエーハに酸化膜が形成されていないと、チャネリング効果によりイオンの注入深さのバラツキが大きくなり、その結果、SOI層の膜厚均一性が低下してしまうからである。
ここで、チャネリング効果とは、結晶性の物質の結晶軸に平行にイオンを入射すると、結晶原子の隙間を蛇行しながらイオンが通り抜けていく現象をいい、非平行の入射に比べて、イオンの注入深さのバラツキが大きくなる。シリコンウエーハの場合は、その表面は特定の方位(例えば〈100〉など)に加工されているので、この現象が発生しやすく、酸化膜を形成することによりこのチャネリング効果を抑えることが好ましい。
【0005】
ボンドウエーハに酸化膜を形成するもう1つの理由は、ボンドウエーハに酸化膜を予め形成しておけば、その結合界面に取り込まれた不純物(雰囲気中のボロンやイオン注入による金属汚染物)が活性層(SOI層)に拡散するのを抑制することができ、SOI層の結晶性や電気特性の劣化を防止できるからである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、イオン注入分離法を行う場合のイオン注入深さのバラツキ(標準偏差)は、前述のチャネリング効果が発生しなければ、バラツキσ=0.4nmを得ることができる。すなわち、3σ=1.2nmであり、目標注入深さ±1.2nm以内にほとんど全てのイオンが注入されることになるので、イオン注入分離法によればSOI層の目標膜厚±1.5nm以下の優れた膜厚均一性を有する超薄膜SOIウエーハが得られるはずである。
【0007】
しかし、前述の理由によりイオンを注入するボンドウエーハに酸化膜を形成すると、形成される酸化膜もその膜厚にバラツキを有しているため、この酸化膜を通してシリコン中に注入されるイオンもその注入深さに影響を受ける。
【0008】
例えば、SOIウエーハの埋め込み酸化膜の厚さとして400nmが必要な場合、この酸化膜を通常の量産レベルでの酸化条件を用いて形成すると、酸化膜厚のバラツキ(標準偏差)は、σ=2.0nm程度しか得られない。また、生産性を無視して酸化条件を厳密にコントロールしてもσ=1.0nm前後が限界である。したがって、従来は、ボンドウエーハに酸化膜を形成して製造されたSOIウエーハのSOI層の膜厚均一性としては、目標膜厚±3nm程度が限界であった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、SOIウエーハにおけるボンドウエーハの酸化膜の膜厚のバラツキが、SOI層の膜厚均一性に与える影響を最小限に抑え、SOI層の膜厚均一性が著しく改善されたSOIウエーハの製造方法及びSOIウエーハを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、SOI層を形成するボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハのうち、少なくともボンドウエーハに酸化膜を形成し、該酸化膜を通して水素イオンまたは希ガスイオンを注入し、ボンドウエーハ内部に微小気泡層(封入層)を形成させた後、該イオン注入した方の面を前記ベースウエーハと密着させ、その後熱処理を加えて微小気泡層を劈開面(剥離面)としてボンドウエーハを薄膜状に分離するSOIウエーハの製造方法であって、前記ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さのバラツキが、前記イオン注入による注入深さのバラツキよりも小さくなるようにすることを特徴とするSOIウエーハの製造方法である。
【0011】
このように、ボンドウエーハに予め酸化膜を形成するSOIウエーハの製造方法において、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さのバラツキが、イオン注入深さのバラツキよりも小さくなるようにすれば、酸化膜の厚さのバラツキがSOI層の膜厚均一性に与える影響を最小限に抑えることができ、SOI層の膜厚均一性が改善されたSOIウエーハを製造することができる。
なお、ここでいうバラツキとは、標準偏差のことを示す。
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、SOI層を形成するボンドウエーハと支持基板となるベースウエーハのうち、少なくともボンドウエーハに酸化膜を形成し、該酸化膜を通して水素イオンまたは希ガスイオンを注入し、ボンドウエーハ内部に微小気泡層(封入層)を形成させた後、該イオン注入した方の面を前記ベースウエーハと密着させ、その後熱処理を加えて微小気泡層を劈開面(剥離面)としてボンドウエーハを薄膜状に分離するSOIウエーハの製造方法であって、前記ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さのバラツキが、前記イオン注入による注入深さのバラツキよりも小さくなるように、前記ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さを設定することを特徴とするSOIウエーハの製造方法である。
【0013】
このように、ボンドウエーハに予め酸化膜を形成するSOIウエーハの製造方法において、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さのバラツキが、イオン注入深さのバラツキよりも小さくなるように、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さを設定すれば、酸化膜の厚さのバラツキが、イオン注入深さのバラツキに与える影響を最小限に抑えることができ、SOI層の膜厚均一性が改善されたSOIウエーハを製造することができる。
【0014】
この場合、ボンドウエーハと密着させるベースウエーハに予め酸化膜を形成し、該ベースウエーハに形成する酸化膜の厚さは、ボンドウエーハに形成させた酸化膜と合わせて、SOIウエーハの所望とされる厚さの埋め込み酸化膜を形成するようにすることが好ましい。
【0015】
このように、ベースウエーハにも予め酸化膜を形成しておき、ベースウエーハに形成した酸化膜の厚さとボンドウエーハに形成した酸化膜の厚さとを合わせて、SOIウエーハの所望とされる厚さの埋め込み酸化膜を形成するようにすれば、容易に所望とされる厚さの埋め込み酸化膜を得ることができ、酸化膜厚が不足するようなことがないし、ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキがSOI層の膜厚均一性に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0016】
この場合、前記ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さを10〜100nmとすることが好ましい。
【0017】
これは、酸化膜厚のバラツキとイオン注入深さのバラツキは、使用する装置やイオンの注入条件、酸化膜形成時の酸化条件により異なるものではあるが、現在の量産レベルで用いられる装置では、酸化膜厚のバラツキをイオン注入深さのバラツキより小さくするためには、ボンドウエーハに形成する酸化膜厚を100nm以下とすることが好ましいからである。また、酸化膜により、前述のチャネリング効果を防止するためには、少なくとも10nmの膜厚が必要とされるので、酸化膜厚は10nm以上であることが好ましい。
【0018】
そして、前記に記載の製造方法で製造されたSOIウエーハは、埋め込み酸化膜の厚さが厚いものであってもSOI層の膜厚均一性が高いSOIウエーハである。
【0019】
また、少なくともSOI層と埋め込み酸化膜とベースウエーハとから成る貼り合わせSOIウエーハであって、前記埋め込み酸化膜内または埋め込み酸化膜とベースウエーハとの境界に貼り合わせ面を有し、前記SOI層の膜厚均一性が±1.5nm以下であることを特徴とする貼り合わせSOIウエーハは、イオン注入分離法によって2枚のウエーハを貼り合わせて製造されたSOIウエーハにおいて、SOI層の膜厚均一性が±1.5nm以下という高い膜厚均一性を有するため、作製されるデバイス特性を向上できるとともにデバイス設計上の自由度も広がる。
【0020】
以下、本発明についてさらに詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
SOIウエーハを製造するにあたり、SOIウエーハに必要な厚さの埋め込み酸化膜を得ようとすると、通常の量産レベルでの酸化条件では、ウエーハに形成される酸化膜の厚さのバラツキは、イオン注入深さのバラツキに比べて極めて大きなものとなり、SOI層の膜厚均一性に大きな影響を与える。
【0021】
通常酸化膜厚のバラツキは、酸化膜厚が大きいほど大きくなる。そこで、本発明の発明者は、イオン注入による注入深さのバラツキよりも、酸化膜厚のバラツキが小さくなるように、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さを薄くすることにし、SOIウエーハに必要な埋め込み酸化膜厚の残りはベースウエーハ側に形成し、ボンドウエーハとベースウエーハの酸化膜を合わせて所望の厚さの埋め込み酸化膜を得ることを着想した。
【0022】
例えば、SOIウエーハ製造に使用しているイオン注入装置の注入深さのバラツキが0.4nmであり、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さのバラツキが0.4nm以下となる酸化膜厚の境界が100nmの場合、ボンドウエーハに形成する酸化膜厚として100nm以下の酸化膜厚を選択すればよい。
この場合、仮にボンドウエーハ酸化膜厚を40nmとし、SOIウエーハとして必要な埋め込み酸化膜の厚さが400nmであるとすると、40nmをボンドウエーハに形成した後にイオンを注入し、残りの360nmをベースウエーハに形成した後、両ウエーハを結合すればよい。
【0023】
本発明では、酸化膜厚のバラツキとイオン注入深さのバラツキとの関係が重要となる。そこで、本発明の発明者は、酸化膜厚のバラツキとイオン注入深さのバラツキについて調査を行った。
【0024】
酸化膜の膜厚のバラツキは、通常の量産レベルの酸化条件により、実際にウエーハに数種類の膜厚の酸化膜を形成し、それぞれ膜厚の面内分布から標準偏差を求めた。その結果、図2のライン(a)に示すような酸化膜厚と酸化膜厚のバラツキの関係を得ることができた。
【0025】
イオン注入深さのバラツキは、酸化膜の影響を排除するために酸化膜のないウエーハに、通常用いられる装置によりイオン注入を行い、チャネリング現象を避けるために注入角を数度傾けてイオン注入をした後、酸化膜を形成したウエーハと結合し、500℃程度で剥離熱処理してSOIウエーハを製造し、そのSOI層の膜厚の面内分布を測定することにより求めた。そして、異なる注入エネルギーでイオンを注入することにより複数のSOIウエーハを製造して同様の測定を行い、図2のライン(b)に示すようなイオン注入深さとそのバラツキの関係を得ることができた。
【0026】
これらの酸化膜厚のバラツキとイオン注入深さのバラツキの変化の様子を図2において比較してみると、黒丸のプロットで示した図2のライン(a)より、酸化膜厚のバラツキは、ウエーハに形成される酸化膜厚に比例して増大することが判る。一方、白丸のプロットで示した図2のライン(b)より、イオン注入深さのバラツキは、イオン注入深さが深くなってもさほど変化せず、0.4〜0.6nm程度の値であることが判る。
【0027】
これらの関係より、ボンドウエーハに形成すべき適切な酸化膜厚を決定することができる。
すなわち、図2の関係は、現在の量産レベルで用いられる装置や条件での関係を示したものであるが、イオン注入深さのバラツキよりも酸化膜厚のバラツキを小さくするためには、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さは100nm以下が適切であることが判る。
【0028】
ボンドウエーハの酸化膜の厚さが薄くなればなるほど酸化膜厚のバラツキは小さなものとなり、酸化膜厚のバラツキがイオン注入深さに与える影響は小さなものとなるが、ボンドウエーハに酸化膜を設ける理由の一つであるチャネリング効果の発生防止のためには、少なくとも10nmの酸化膜厚が必要となるため、実際にSOIウエーハを製造する場合には、ボンドウエーハに形成する酸化膜厚は10〜100nmが好ましい。
【0029】
この場合、イオン注入装置あるいは酸化膜形成条件その他の条件の違いにより酸化膜の厚さのバラツキ、イオン注入深さのバラツキが変ったとしても、上記と同様にして、両者のバラツキを求めて、酸化膜の厚さのバラツキをイオン注入深さのバラツキより小さくするようにすればよい。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、図1は本発明のSOIウエーハを製造する方法によるSOIウエーハの製造工程の一例を示すフロー図である。
【0031】
まず、図1のイオン注入分離法において、工程(a)では、2枚の鏡面ウエーハを準備するものであり、デバイスの仕様に合った基台となるベースウエーハ1とSOI層8となるボンドウエーハ2を準備する。
【0032】
次に工程(b)では、そのうちのボンドウエーハ2を熱酸化し、その表面に10〜100nmの厚さの酸化膜3を形成する。前述のように、この酸化膜厚がこの範囲の値であれば、イオン注入深さのバラツキよりも小さくすることができ、後にSOI層8の厚さを均一化することが可能となる。
【0033】
一方、工程(c)では、ベースウエーハ1を熱酸化し、その表面に酸化膜5を形成し、このベースウエーハに形成する酸化膜5の厚さは、ボンドウエーハに形成させた酸化膜3と合わせて、SOIウエーハの所望とされる厚さの埋め込み酸化膜9を形成するようにする。この場合、もしボンドウエーハに形成した酸化膜3の厚さのみで、SOIウエーハの埋め込み酸化膜の所望とされる厚さが得られるのであれば、ベースウエーハに酸化膜を形成する必要はなく、この工程(c)は省略される。
【0034】
工程(d)では、表面に酸化膜を形成したボンドウエーハ2の片面に対して水素イオンまたは希ガスイオンを注入し、イオンの平均進入深さにおいて表面に平行な微小気泡層(封入層)4を形成させるもので、この進入温度は25〜450℃が好ましい。
【0035】
工程(e)は、水素イオンまたは希ガスイオンを注入したボンドウエーハ2のイオン注入面に、ベースウエーハ1を酸化膜3あるいは酸化膜3及び酸化膜5を介して重ね合せて密着させる工程であり、常温の清浄な雰囲気下で2枚のウエーハの表面同士を接触させることにより、接着剤等を用いることなくウエーハ同士が接着する。
【0036】
次に、工程(f)は、封入層4を境界として剥離することによって、剥離ウエーハ6とSOIウエーハ7(SOI層8+埋め込み酸化膜9+ベースウエーハ1)に分離する剥離熱処理工程で、例えば不活性ガス雰囲気下約500℃以上の温度で熱処理を加えれば、結晶の再配列と気泡の凝集とによって剥離ウエーハ6とSOIウエーハ7とに分離される。
【0037】
そして、工程(g)では、前記工程(e)(f)の密着工程および剥離熱処理工程で密着させたウエーハ同士の結合力では、そのままデバイス工程で使用するには弱いので、結合熱処理としてSOIウエーハ7に高温の熱処理を施し結合強度を十分なものとする。この熱処理は例えば不活性ガス雰囲気下、1050℃〜1200℃で30分から2時間の範囲で行うことが好ましい。
なお、工程(f)の剥離熱処理と工程(g)の結合熱処理を連続的に行ったり、また、工程(f)の剥離熱処理と工程(g)の結合熱処理を同時に兼ねるものとして行ってもよい。
【0038】
次に、工程(h)は、タッチポリッシュと呼ばれる研磨代の極めて少ない鏡面研磨の工程であり、SOI層8の表面である劈開面(剥離面)に存在する結晶欠陥層の除去と表面粗さを除去する工程である。
【0039】
以上の工程を経て、所望の厚さの埋め込み酸化膜9を有し、膜厚均一性の高いSOI層8を有する高品質のSOIウエーハ7を製造することができる(工程(i))。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
導電型がp型で抵抗率が20Ω・cm、直径が150mmのシリコン鏡面ウエーハを2枚準備した。図1(a)〜(f)にしたがい、ボンドウエーハを剥離して、SOIウエーハを得た。主な条件は以下の通りである。
1)ベースウエーハの酸化膜厚:350nm
2)ボンドウエーハの酸化膜厚:50nm
3)ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキ:σ=0.25nm
4)イオン注入条件:H+ イオン、注入エネルギー 80keV
注入線量 8×1016/cm2
5)イオン注入深さ:700nm(SOI層膜厚+ボンドウエーハ酸化膜厚)
6)イオン注入深さのバラツキ:σ=0.4nm
【0041】
本実施例1では、イオン注入深さのバラツキσ=0.4nmに比べて、ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキはσ=0.25nmと小さいものとなっている。尚、ボンドウエーハの酸化膜厚は、反射分光法により面内を2mmピッチで数千点測定した。そして、埋め込み酸化膜厚は400nmとなるように条件を設定した。
上記の条件により2枚のウエーハを合わせた後(図1(e))、N2 ガス雰囲気下、500℃×30分の剥離熱処理(図1(f))を行った。
【0042】
この剥離工程後のSOIウエーハのSOI層の膜厚のバラツキを測定し、膜厚均一性を求めた。膜厚測定は、反射分光法で行い、SOIウエーハの面内を2mmピッチで数千点測定した。
【0043】
測定の結果、バラツキσの測定値は、σ=0.47nmであり、3σ=1.41nmより、SOI層膜厚はおよそ650nm±1.41nmであり、従来のSOIウエーハの目標膜厚±3nmに比べて、SOI層の膜厚均一性は格段に向上したものとなった。
【0044】
(実施例2)
導電型がp型で抵抗率が20Ω・cm、直径が150mmのシリコン鏡面ウエーハを2枚準備した。図1(a)〜(f)にしたがい、ボンドウエーハを剥離して、SOIウエーハを得た。主な条件は以下の通りである。
1)ベースウエーハの酸化膜厚:360nm
2)ボンドウエーハの酸化膜厚:40nm
3)ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキ:σ=0.20nm
4)イオン注入条件:H+ イオン、注入エネルギー 39keV
注入線量 8×1016/cm2
5)イオン注入深さ:340nm(SOI層膜厚+ボンドウエーハ酸化膜厚)
6)イオン注入深さのバラツキ:σ=0.4nm
【0045】
本実施例2では、イオン注入深さのバラツキσ=0.4nmに比べて、ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキはσ=0.20nmと小さいものとなっている。ボンドウエーハの酸化膜厚測定は実施例1と同様に行った。そして、埋め込み酸化膜厚は400nmとなるように条件を設定した。
上記の条件により2枚のウエーハを合わせた後(図1(e))、N2 ガス雰囲気下、500℃×30分の剥離熱処理(図1(f))を行った。
【0046】
この剥離工程後のSOIウエーハのSOI層膜厚のバラツキを実施例1と同様に測定した。
測定の結果、バラツキσの測定値は、σ=0.45nmであり、3σ=1.35nmより、SOI層膜厚はおよそ300nm±1.35nmであり、従来のSOIウエーハの目標膜厚±3nmに比べて、SOI層の膜厚均一性は格段に向上したものとなった。
【0047】
(実施例3)
導電型がp型で抵抗率が20Ω・cm、直径が150mmのシリコン鏡面ウエーハを2枚準備した。図1(a)〜(f)にしたがい(ただし、(c)を除く)、ボンドウエーハを剥離して、SOIウエーハを得た。主な条件は以下の通りである。
1)ベースウエーハの酸化膜厚:酸化膜なし
2)ボンドウエーハの酸化膜厚:50nm
3)ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキ:σ=0.25nm
4)イオン注入条件:H+ イオン、注入エネルギー 20keV
注入線量 8×1016/cm2
5)イオン注入深さ:180nm(SOI層膜厚+ボンドウエーハ酸化膜厚)
6)イオン注入深さのバラツキ:σ=0.4nm
【0048】
本実施例3では、イオン注入深さのバラツキσ=0.4nmに比べて、ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキはσ=0.25nmと小さいものとなっている。そして、埋め込み酸化膜厚は50nmとなるように条件を設定したため、ベースウエーハには酸化膜を形成しなかった。酸化膜厚測定は実施例1と同様に行った。
上記の条件により2枚のウエーハを合わせた後(図1(e))、N2 ガス雰囲気下、500℃×30分の剥離熱処理(図1(f))を行った。
【0049】
この剥離工程後のSOIウエーハのSOI層膜厚のバラツキを実施例1と同様に測定した。
測定の結果、バラツキσの測定値は、σ=0.47nmであり、3σ=1.41nmより、SOI層膜厚はおよそ130nm±1.41nmであり、従来のSOIウエーハの目標膜厚±3nmに比べて、SOI層の膜厚均一性は格段に向上したものとなった。
【0050】
(比較例)
導電型がp型で抵抗率が20Ω・cm、直径が150mmのシリコン鏡面ウエーハを2枚準備した。従来の製造方法である図3(B)にしたがい、ボンドウエーハを剥離して、SOIウエーハを得た。主な条件は以下の通りである。
1)ベースウエーハの酸化膜厚:酸化膜なし
2)ボンドウエーハの酸化膜厚:400nm
3)ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキ:σ=2.0nm
4)イオン注入条件:H+ イオン、注入エネルギー 80keV
注入線量 8×1016/cm2
5)イオン注入深さ:700nm(SOI層膜厚+ボンドウエーハ酸化膜厚)
6)イオン注入深さのバラツキ:σ=0.4nm
【0051】
本比較例では、イオン注入深さのバラツキσ=0.4nmに比べて、ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキはσ=2.0nmと大きなものとなっている。そして、埋め込み酸化膜厚は400nmとなるようにし、すべての酸化膜をボンドウエーハに形成し、ベースウエーハには酸化膜を形成しなかった。酸化膜厚は実施例1と同様に測定した。
上記の条件により2枚のウエーハを合わせた後(図3(d))、N2 ガス雰囲気下、500℃×30分の剥離熱処理(図3(e))を行った。
【0052】
この剥離工程後のSOIウエーハのSOI層膜厚のバラツキを実施例1と同様に測定した。
測定の結果、バラツキσの測定値は、σ=2.04nmであり、3σ=6.12nmより、SOI層膜厚はおよそ300nm±6.12nmであり、イオン注入深さのバラツキσ=0.4nmから期待されるSOIウエーハの目標膜厚±1.5nmに比べて、SOI層の膜厚均一性は劣悪なものとなった。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0054】
例えば、本発明のSOIウエーハの製造工程は、図1に示したものに限定されるものではなく、この工程には、洗浄、熱処理等の他の工程が付加されることもあるし、あるいは一部工程順の入れ替え、省略等が目的に応じて適宜行うことができるものである。
【0055】
また、上記説明では、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さのバラツキをイオン注入深さのバラツキより小さくする方法として、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さを薄くする場合を中心に説明したが、本発明はこれに限定されず、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さのバラツキをイオン注入深さのバラツキより小さくするようにすれば、酸化膜の厚さ以外の他の条件を変更することにより行ってもよい。例えば、酸化膜の厚さ以外の酸化膜形成条件を変更することにより、ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さのバラツキをイオン注入深さのバラツキより小さくすることができるのであれば、その方法で行ってもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、厚い埋め込み酸化膜が必要なSOIウエーハであっても、ボンドウエーハの酸化膜厚のバラツキが、活性SOI層のバラツキに与える影響が少なくなるため、SOI層の膜厚均一性が極めて良好なSOIウエーハを製造することができる。そして、SOI層の膜厚のバラツキの低減によりデバイス特性が向上するとともにデバイス設計上の自由度が広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(i)は、本発明のSOIウエーハの製造方法によるSOIウエーハの製造工程の一例を示すフロー図である。
【図2】酸化膜厚のバラツキとイオン注入深さのバラツキの変化の様子を重ねて示した図であり、ライン(a)は酸化膜厚とそのバラツキの関係を示したものであり、ライン(b)はイオン注入深さとそのバラツキの関係を示したものである。
【図3】(a)〜(h)は、イオン注入分離法によるSOIウエーハの製造工程の例を示すフロー図であり、(A)はベースウエーハに酸化膜が形成される場合であり、(B)はボンドウエーハに酸化膜が形成される場合を示している。
【符号の説明】
1…ベースウエーハ、 2…ボンドウエーハ、 3…酸化膜、
4…微小気泡層(封入層)、 5…酸化膜、 6…剥離ウエーハ、
7…SOIウエーハ、 8…SOI層、 9…埋め込み酸化膜。

Claims (2)

  1. イオン注入分離法によってSOI層を形成するボンドウエーハとベースウエーハを貼り合わせて製造され、少なくともSOI層と埋め込み酸化膜とベースウエーハとから成る貼り合わせSOIウエーハであって、前記ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さのバラツキが、前記酸化膜を通してのイオン注入による注入深さのバラツキよりも小さくなるように、前記ボンドウエーハに形成する酸化膜の厚さを設定することによって製造されたものであり、前記埋め込み酸化膜内または埋め込み酸化膜とベースウエーハとの境界に貼り合わせ面を有し、前記SOI層の膜厚均一性が±1.5nm以下であることを特徴とする貼り合わせSOIウエーハ。
  2. 前記貼り合わせ面とSOI層との間の埋め込み酸化膜の膜厚が100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の貼り合わせSOIウエーハ。
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