JP3561952B2 - ディーゼルエンジンのトルク制御装置 - Google Patents
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- F02B3/00—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
- F02B3/06—Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はディーゼルエンジンのトルク制御装置に係り、詳しくは、燃料噴射量を制御することにより、自動車等の車両におけるディーゼルエンジン出力を駆動輪へ伝達する駆動系のねじり振動を抑制するためのトルク制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等の車両を急速に加速した場合には、エンジンの出力トルクが急激に変化して、エンジン出力を駆動輪へ伝達するための駆動系にねじり振動が生じ、車両に加わる加速度が波状に変動することが知られている。このため、運転者が急速に加速しようとした場合には、駆動系のねじり振動によって車両が前後に振動し、乗員に不快感を与えるおそれが生じるおそれあった。
【0003】
上記のねじり振動を抑制するための技術として、例えば特開昭60−26142号公報に開示されたものが知られている。この技術では、ディーゼルエンジンにおいて、例えばエンジン回転数の変動量が検出され、それをもって駆動系のねじり振動量とされ、そして、その振動量の変化率に応じて、エンジントルクが、燃料噴射量の補正或いは燃料噴射時期の補正により、ねじり振動が低減される側に一定期間中制御される。ディーゼルエンジンにおいては、上記トルクの制御に際し、燃料噴射量の補正或いは燃料噴射タイミングの補正が行われる。これらの補正により出力トルクが制御される。すなわち、ねじり振動量が大きいときには、トルクを低減するべく、燃料噴射量が少なくなるよう制御される。そして、かかるトルク制御により、ねじり振動によるトルク変動が相殺され、もって上記の不具合が抑制されうる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来技術において、特に、燃料噴射量の制御にてトルク制御を行う場合においては、最終燃料噴射量が、スモーク排出抑制のために設定され全負荷時に相当する最大燃料噴射量となったとき、すなわち、基本燃料噴射量が最大燃料噴射量にてガードされるときに上記噴射量制御を行う場合には、噴射量増量側への制御を行うことが実質上困難であった。これは、最終燃料噴射量が最大燃料噴射量となったとき(計算上最終燃料噴射量が最大燃料噴射量以上となったとき)において、さらに噴射量が増量側に制御された場合には、スモークが発生してしまうからである。従って、上記従来技術において最終燃料噴射量が最大燃料噴射量となった場合にスモークの発生を防止するためには、実質上噴射量減量側への制御しか行うことができなかった。その結果、ねじり振動低減のための十分な噴射量制御(トルク制御)を行うことができない場合が生じ、ひいては車両振動を確実に低減できないおそれが生じていた。
【0005】
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ねじり振動量に基づき、燃料噴射量を制御することによりトルク制御を行うディーゼルエンジンのトルク制御装置において、算出された最終燃料噴射量が最大燃料噴射量を上回る場合であっても、スモークの発生を招くことなく、増量側、減量側のいずれにおいても噴射量制御を行うことができ、もって、車両振動を確実に低減することの可能なディーゼルエンジンのトルク制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明においては、図1に示すように、ディーゼルエンジンM1の駆動系M2のねじり振動量を検出するねじり振動量検出手段M3と、前記ディーゼルエンジンM1に燃料を噴射するとともに、その噴射量を調整することにより前記ディーゼルエンジンM1のトルクを調整可能な燃料噴射手段M4と、前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量に基づき、前記トルクを調整するための前記燃料噴射量の補正量を算出する補正量算出手段M5と、前記ディーゼルエンジンM1の負荷及び回転数を含む運転状態を検出するための運転状態検出手段M6と、前記運転状態検出手段M6の検出結果に基づき、基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段M7と、前記運転状態検出手段M6の検出結果に基づき、前記ディーゼルエンジンM1からのスモーク排出抑制のために設定される最大燃料噴射量を算出する最大燃料噴射量算出手段M8と、前記基本燃料噴射量算出手段M7により算出された基本燃料噴射量と前記補正量算出手段M5により算出された補正量とに基づき最終燃料噴射量を算出する最終燃料噴射量算出手段M9と、前記最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量に基づき、前記燃料噴射手段M4を制御して燃料噴射量を制御する第1の噴射量制御手段M10とを備えたディーゼルエンジンのトルク制御装置において、前記最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量が前記最大燃料噴射量を上回るとき、該最大燃料噴射量から前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量に基づいて算出された所定量だけ減量した上で前記補正量に基づき補正した値を補正後最大燃料噴射量として設定する補正後最大燃料噴射量設定手段M11と、前記補正後最大燃料噴射量設定手段M11により、補正後最大燃料噴射量が設定された場合には、該補正後最大燃料噴射量に基づき、前記燃料噴射手段M4を制御して燃料噴射量を制御する第2の噴射量制御手段M12とを備え、前記補正後最大燃料噴射量は前記最大燃料噴射量を上回らないことをその要旨としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載のディーゼルエンジンのトルク制御装置において、前記補正後最大燃料噴射量設定手段M11による補正後最大燃料噴射量の設定に際し、前記所定量は、前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量の大きさに応じて可変とすることをその要旨としている。
【0008】
【作用】
上記の請求項1に記載の発明によれば、図1に示すように、ねじり振動量検出手段M3により、ディーゼルエンジンM1の駆動系M2のねじり振動量が検出される。また、燃料噴射手段M4により、ディーゼルエンジンM1に燃料が噴射されるとともに、その噴射量が調整される。この調整により、ディーゼルエンジンM1のトルクが調整されうる。ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量に基づき、補正量算出手段M5では、前記トルクを調整するための燃料噴射量の補正量が算出される。また、運転状態検出手段M6により、ディーゼルエンジンM1の負荷及び回転数を含む運転状態が検出される。この運転状態検出手段M6の検出結果に基づき、基本燃料噴射量算出手段M7では基本燃料噴射量が算出される。また、運転状態検出手段M6の検出結果に基づき、最大燃料噴射量算出手段M8では、ディーゼルエンジンM1からのスモーク排出抑制のために設定される最大燃料噴射量が算出される。さらに、最終燃料噴射量算出手段M9により、上記算出された基本燃料噴射量と前記補正量算出手段M5により算出された補正量とに基づき最終燃料噴射量が算出される。そして、最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量に基づき、第1の噴射量制御手段M10により、燃料噴射手段M4が制御され燃料噴射量が制御される。従って、基本的には、該燃料噴射量が制御されることによりトルク制御が行われることとなり、ねじり振動によるトルク変動が相殺され、車両が前後に振動したりするのが抑制される。
【0009】
また、本発明によれば、最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量が前記最大燃料噴射量を上回るとき、該最大燃料噴射量から前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量に基づいて算出された所定量だけ減量した上で前記補正量に基づき補正した値が、補正後最大燃料噴射量設定手段M11により、補正後最大燃料噴射量として設定される。そして、この補正後最大燃料噴射量設定手段M11により補正後最大燃料噴射量が設定された場合には、第2の噴射量制御手段M12により、補正後最大燃料噴射量に基づき燃料噴射手段M4が制御されて燃料噴射量が制御される。
【0010】
このため、補正後最大燃料噴射量が最大燃料噴射量を上回らず、しかも、ねじり振動量に基づき算出された補正量は常に補正後最大燃料噴射量に反映されうることとなる。従って、最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量が前記最大燃料噴射量を上回ったとしても、噴射量増量側へのトルク補正も行われうる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の作用に加えて、さらに、前記補正後最大燃料噴射量設定手段M11による補正後最大燃料噴射量の設定に際し、前記所定量は、前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量の大きさに応じて可変とされる。
【0012】
このため、ねじり振動による車両の振動が抑制されるのは勿論のこと、そのときどきにおいて、前記所定量の減量分が大きすぎて噴射量が少なすぎることとなってしまうのが回避される。つまり、ねじり振動量が比較的小さくなった場合には、その小さい振動量に見合ったトルク制御が行われるとともに、加速にとって必要な燃料噴射量は十分に確保されうる。
【0013】
【実施例】
(第1実施例)
以下、本発明をディーゼルエンジンのトルク制御装置に具体化した第1実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図2はこの実施例において、車両に搭載されたディーゼルエンジンのトルク制御装置を示す概略構成図であり、図3は燃料噴射手段としての分配型燃料噴射ポンプ1を示す断面図である。燃料噴射ポンプ1はディーゼルエンジン2のクランクシャフト40にベルト等を介して駆動連結されたドライブプーリ3を備えている。そして、そのドライブプーリ3の回転によって燃料噴射ポンプ1が駆動され、ディーゼルエンジン2の各気筒(この場合は4気筒)毎に設けられた各燃料噴射ノズル4に燃料が圧送されて燃料噴射が行われる。また、本実施例では、クランクシャフト40等により駆動系が構成されている。
【0015】
燃料噴射ポンプ1において、ドライブプーリ3はドライブシャフト5の先端に取付けられている。また、そのドライブシャフト5の途中には、べーン式ポンプよりなる燃料フィードポンプ(この図では90度展開されている)6が設けられている。さらに、ドライブシャフト5の基端側には円板状のパルサ7が取付けられている。このパルサ7の外周面には、ディーゼルエンジン2の気筒数と同数の、すなわち、この場合4個の切歯が等角度間隔で形成され、更に各切歯の間には14個ずつ(合計で56個)の突起が等角度間隔で形成されている。そして、ドライブシャフト5の基端部は図示しないカップリングを介してカムプレート8に接続されている。
【0016】
パルサ7とカムプレート8との間には、ローラリング9が設けられ、同ローラリング9の円周に沿ってカムプレート8のカムフェイス8aに対向する複数のカムローラ10が取付けられている。カムフェイス8aはディーゼルエンジン2の気筒数と同数だけ設けられている。また、カムプレート8はスプリング11によって常にカムローラ10に付勢係合されている。
【0017】
カムプレート8には燃料加圧用プランジャ12の基端が一体回転可能に取付けられ、それらカムプレート8及びプランジャ12がドライブシャフト5の回転に連動して回転される。すなわち、ドライブシャフト5の回転力が図示しないカップリングを介してカムプレート8に伝達されることにより、カムプレート8が回転しながらカムローラ10に係合して、気筒数と同数だけ図中左右方向へ往復駆動される。また、この往復駆動に伴ってプランジャ12が回転しながら同方向へ往復駆動される。つまり、カムプレート8のカムフェイス8aがローラリング9のカムローラ10に乗り上げる過程でプランジャ12が往動(リフト)され、その逆にカムフェイス8aがカムローラ10を乗り下げる過程でプランジャ12が復動される。
【0018】
プランジャ12はポンプハウジング13に形成されたシリンダ14に嵌挿されており、プランジャ12の先端面とシリンダ14の底面との間が高圧室15となっている。また、プランジャ12の先端側外周には、ディーゼルエンジン2の気筒数と同数の吸入溝16と分配ポート17が形成されている。また、それら吸入溝16及び分配ポート17に対応して、ポンプハウジング13には分配通路18及び吸入ポート19が形成さている。
【0019】
そして、ドライブシャフト5が回転されて燃料フィードポンプ6が駆動されることにより、図示しない燃料タンクから燃料供給ポート20を介して燃料室21内へ燃料が供給される。また、プランジャ12が復動されて高圧室15が減圧される吸入行程中に、吸入溝16の一つが吸入ポート19に連通することにより、燃料室21から高圧室15へと燃料が導入される。一方、プランジャ12が往動されて高圧室15が加圧される圧縮行程中に、分配通路18から各気筒毎の燃料噴射ノズル4へ燃料が圧送されて噴射される。
【0020】
ポンプハウジング13には、高圧室15と燃料室21とを連通させる燃料溢流(スピル)用のスピル通路22が形成されている。このスピル通路22の途中には、高圧室15からの燃料スピルを調整するための電磁スピル弁23が設けられている。この電磁スピル弁23は常開型の弁であり、コイル24が無通電(オフ)の状態では弁体25が開放されて高圧室15内の燃料が燃料室21へスピルされる。また、コイル24が通電(オン)されることにより、弁体25が閉鎖されて高圧室15から燃料室21への燃料のスピルが止められる。このため、本実施例では、この電磁スピル弁23が狭義のトルク調整手段を構成しているといえる。
【0021】
従って、電磁スピル弁23の通電時間を制御することにより、同弁23が閉弁・開弁制御され、高圧室15から燃料室21への燃料のスピル調整が行われる。そして、プランジャ12の圧縮行程中に電磁スピル弁23を開弁させることにより、高圧室15内における燃料が減圧されて、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が停止される。つまり、プランジャ12が往動しても、電磁スピル弁23が開弁している間は高圧室15内の燃料圧力が上昇せず、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が行われない。また、プランジャ12の往動中に、電磁スピル弁23の閉弁・開弁の時期を制御することにより、燃料噴射ノズル4からの噴射終了が調整されて燃料噴射量が制御される。
【0022】
ポンプハウジング13の下側には、燃料噴射時期を制御するためのタイマ装置(この図では90度展開されている)26が設けられている。このタイマ装置26は、ドライブシャフト5の回転方向に対するローラリング9の位置を変更することにより、カムフェイス8aがカムローラ10に係合する時期、すなわちカムプレート8及びプランジャ12の往復駆動時期を変更するためのものである。
【0023】
タイマ装置26は制御油圧により駆動されるものであり、タイマハウジング27と、同ハウジング27内に嵌装されたタイマピストン28と、同じくタイマハウジング27内一側の低圧室29にてタイマピストン28を他側の加圧室30へ押圧付勢するタイマスプリング31等とから構成されている。そして、タイマピストン28はスライドピン32を介してローラリング9に接続されている。
【0024】
タイマハウジング27の加圧室30には、燃料フィードポンプ6により加圧された燃料が導入されるようになっている。そして、その燃料圧力とタイマスプリング31の付勢力との釣り合い関係によってタイマピストン28の位置(以下、「タイマピストン位置」という)が決定される。また、そのタイマピストン位置が決定されることにより、ローラリング9の位置が決定され、カムプレート8を介してプランジャ12の往復動タイミングが決定される。
【0025】
タイマ装置26の制御油圧として作用する燃料圧力を調整するために、タイマ装置26にはタイマ制御弁(TCV)33が設けられている。すなわち、タイマハウジング27の加圧室30と低圧室29とが連通路34によって連通されており、同連通路34の途中にTCV33が設けられている。このTCV33は、デューティ制御された通電信号によって開閉制御される電磁弁であり、同TCV33の開閉制御によって加圧室30内の燃料圧力が調整される。そして、その燃料圧力の調整によって、プランジャ12のリフトタイミングが制御され、各燃料噴射ノズル4からの燃料噴射時期が制御される。
【0026】
ローラリング9の上部には、電磁ピックアップコイルよりなるねじり振動量検出手段としての回転数センサ35が、パルサ7の外周面に対向して取付けられている。この回転数センサ35はパルサ7の突起等が横切る際に、それらの通過を検出してエンジン回転数NEに相当するタイミング信号、すなわち一定のクランク角度(11.25°CA)毎のエンジン回転パルスを出力する。また、この回転数センサ35は、そのエンジン回転パルス毎の瞬時回転数を検出する。さらに、この回転数センサ35は、ローラリング9と一体であるため、タイマ装置26の制御動作に関わりなく、プランジャリフトに対して一定のタイミングで基準となるタイミング信号を出力する。
【0027】
次に、ディーゼルエンジン2について説明する。この実施例において、ディーゼルエンジン2は図示しないマニュアルトランスミッションに駆動連結されている。このディーゼルエンジン2ではシリンダボア41、ピストン42及びシリンダヘッド43によって各気筒毎に対応する主燃焼室44がそれぞれ形成されている。また、それら各主燃焼室44に連通する副燃焼室45が各気筒毎に対応して設けられている。そして、各副燃焼室45には、各燃料噴射ノズル4から噴射される燃料が供給されるようになっている。また、各副燃焼室45には、始動補助装置としての周知のグロープラグ46がそれぞれ取り付けられている。
【0028】
ディーゼルエンジン2には、吸気通路47及び排気通路48がそれぞれ設けられている。また、その吸気通路47には過給機を構成するターボチャージャ49のコンプレッサ50が設けられ、排気通路48にはターボチャージャ49のタービン51が設けられている。また、排気通路48には、過給圧PiMを調節するウェイストゲートバルブ52が設けられている。周知のようにこのターボチャージャー49は、排気ガスのエネルギーを利用してタービン51を回転させ、その同軸上にあるコンプレッサ50を回転させて吸入空気を昇圧させる。この作用により、密度の高い混合気を主燃焼室44へ送り込んで燃料を多量に燃焼させ、ディーゼルエンジン2の出力を増大させるようになっている。
【0029】
また、ディーゼルエンジン2には、排気通路48内の排気の一部を吸気通路47の吸入ポート53へ還流させるEGR通路54が設けられている。そして、そのEGR通路54の途中には、ダイヤフラム式のエキゾーストガスリサーキュレイションバルブ(EGRバルブ)55が設けられている。さらに、そのEGRバルブ55を負圧の導入調節によって開度調節させるために、デューティ制御された通電信号により開度調節されるエレクトリックバキュームレギュレーティングバルブ(EVRV)56が設けられている。そして、このEVRV56の作動により、EGRバルブ55の開度が調節され、この調節により、EGR通路54を通じて排気通路48から吸気通路47へ導かれるEGR量が調節される。
【0030】
さらに、吸気通路47の途中には、アクセルペダル57の踏込量に連動して開閉されるスロットルバルブ58が設けられている。また、そのスロットルバルブ58に平行してバイパス通路59が設けられ、同バイパス通路59にはバイパス絞り弁60が設けられている。このバイパス絞り弁60は、二つのVSV61,62の制御によって駆動される二段式のダイヤフラム室を有するアクチュエータ63によって開閉制御される。このバイパス絞り弁60は各種運転状態に応じて開閉制御されるものである。例えば、アイドル運転時には騒音振動等の低減のために半開状態に制御され、通常運転時には全開状態に制御され、更に運転停止時には円滑な停止のために全閉状態に制御される。
【0031】
そして、上記のように燃料噴射ポンプ1及びディーゼルエンジン2に設けられた電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46、EVRV56及び各VSV61,62は電子制御装置(以下単に「ECU」という)71にそれぞれ接続され、同ECU71によってそれらの駆動タイミングが制御される。この実施例では、ECU71によって補正量算出手段、基本燃料噴射量算出手段、最大燃料噴射量算出手段、最終燃料噴射量算出手段、第1の噴射量制御手段、補正後最大燃料噴射量設定手段及び第2の噴射量制御手段が構成され、場合によってはねじり振動量検出手段、運転状態検出手段が構成される。
【0032】
ディーゼルエンジン2の運転状態検出手段を構成するセンサとしては、前述した回転数センサ35に加えて、以下の各種センサが設けられている。すなわち、吸気通路47の入口に設けられたエアクリーナ64の近傍には、吸気温度THAを検出する吸気温センサ72が設けられている。また、スロットルバルブ58の開閉位置から、ディーゼルエンジン2の負荷に相当するアクセル開度ACCPを検出するアクセルセンサ73が設けられている。吸入ポート53の近傍には、ターボチャージャ49によって過給された後の吸入空気圧力、すなわち過給圧PiMを検出する吸気圧センサ74が設けられている。さらに、ディーゼルエンジン2の冷却水温THWを検出する水温センサ75が設けられている。また、クランクシャフト40の回転基準位置、例えば特定気筒の上死点に対するクランクシャフト40の基準位置信号を出力するクランク角センサ76が設けられている。更にまた、図示しないトランスミッションには、そのギアの回転によって回されるマグネット77aによりリードスイッチ77bをオン・オフさせて車両速度(車速)SPを検出する車速センサ77が設けられている。
【0033】
ECU71には上述した各センサ35,72〜77がそれぞれ接続されている。そして、ECU71は各センサ35,72〜77から出力される検出信号に基づき、電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46EVRV56及びVSV61,62等を好適に制御する。
【0034】
次に、前述したECU71の構成について、図4のブロック図に従って説明する。ECU71は中央処理装置(CPU)81、所定の制御プログラム及びマップ等を予め記憶した読み出し専用メモリ(ROM)82、CPU81の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)83、予め記憶されたデータを保存するバックアップRAM84等を備えている。そして、ECU71は、これら各部と入力ポート85及び出力ポート86等とをバス87によって接続した論理演算回路として構成されている。
【0035】
入力ポート85には、前述した吸気温センサ72、アクセルセンサ73、吸気圧センサ74及び水温センサ75が、各バッファ88,89,90,91、マルチプレクサ93及びA/D変換器94を介して接続されている。同じく、入力ポート85には、前述した回転数センサ35、クランク角センサ76及び車速センサ77が、波形整形回路95を介して接続されている。そして、CPU81は入力ポート85を介して入力される各センサ35,72〜77等の検出信号を入力値として読み込む。また、出力ポート86には各駆動回路96,97,98,99,100,101を介して電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46、EVRV56及びVSV61,62等が接続されている。
【0036】
そして、CPU81は各センサ35,72〜77から読み込んだ入力値に基づき、電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46、EVRV56及びVSV61,62等を好適に制御する。
【0037】
次に、前述したECU71により実行されるトルク制御(燃料噴射量制御)の処理動作について図5〜10に従って説明する。
図5に示すフローチャートは、ECU71により実行される各処理のうち、燃料噴射量制御を行う際に使用される、ねじり振動量の大きさに相当する最大回転数変化量DLNEmax を決定するための「最大回転数変化量決定ルーチン」であって所定時間毎の定時割り込みで実行される。
【0038】
処理がこのルーチンへ移行すると、先ずステップ101において、ECU71は、回転数センサ35の検出値に基づき、エンジン回転数NE、回転位置信号CNIRQを読み込むとともに、ROM82に予め記憶された前回エンジン回転数NEOL、トルク制御実行フラグF及び予備最大回転数変化量DLNEmax 0を読み込む。このトルク制御実行フラグFは、別途のルーチンによって決定されるものであり、トルク制御を行う必要があると判定されたときには「1」に、そうでないときには「0」に設定される。上記トルク制御実行フラグFが「1」に設定される際の条件としては、例えば(1)当該車両がマニュアルトランスミッション車であること、(2)始動時以外であること、(3)エンジン回転数NEが所定の範囲内にあること、(4)冷却水温THWが所定値以上であること、(5)現在走行中であること、(6)アイドル状態が解除されてからの経過時間が所定時間以内であること、(7)アイドル状態でないこと、(8)車速SPに対するエンジン回転数NEの比からギヤ位置を推定したもの(NVR)が所定範囲内にあること、(9)レーシング時以外であること、等の種々の条件のうち、複数又は単数の任意の条件が選択されうる。
【0039】
次に、ステップ102においては、トルク制御実行フラグFが「1」であるか否かを判定する。そして、該フラグFが「0」の場合には、トルク制御を実行する必要がないものと判断して、ステップ103へ移行し、最大回転数変化量DLNEmax を「0」に設定する。また、続くステップ104において、今回読み込んだエンジン回転数NEを前回エンジン回転数NEOLとして設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0040】
一方、ステップ102において、トルク制御実行フラグFが「1」の場合には、トルク制御を実行する必要があるものと判断して、ステップ105へ移行し、回転位置信号CNIRQが例えば「2」であるか否かを判断する。すなわち、所定の検出時期が到来したか否かを判断する。但し、上記「2」の数値については何ら限定されるものではない。そして、回転位置信号CNIRQが「2」でない場合には、以降の処理を行う必要がないものとして、その後の処理を一旦終了する。
【0041】
また、回転位置信号CNIRQが「2」の場合には、次のステップ106において、今回読み込んだエンジン回転数NEから前回エンジン回転数NEOLを減算した値を回転数変化量DLNEとして設定する。
【0042】
次に、ステップ107においては、今回算出した回転数変化量DLNEが、予備最大回転数変化量DLNEmax 0よりも大きいか否かを判断する。そして、回転数変化量DLNEが、予備最大回転数変化量DLNEmax 0よりも大きい場合には、ステップ108において、今回の回転数変化量DLNEを予備最大回転数変化量DLNEmax 0として設定する。従って、図6に示すように、ねじり振動が発生した場合に、微細な時間の経過とともに回転数変化量DLNEは、当初徐々に増大してゆくのであるが、その度ごとに予備最大回転数変化量DLNEmax 0は増大更新されてゆく。また、回転数変化量DLNEのピークを超えたときには、経験上、そのピークを上回ることがほとんどないことが分かっている。このため、今回読み込まれた回転数変化量DLNEが、増大更新された予備最大回転数変化量DLNEmax 0よりも大きくなることがなくなる。かかる場合には、ステップ109へ移行し、カウンタのカウント値Nを「1」ずつインクリメントする。
【0043】
そして、ステップ108又はステップ109から移行して、ステップ110においては、カウント値Nが、予め定められた所定値Na以上となったか否かを判断する。そして、未だ、カウント値Nが所定値Na以上となっていない場合には、ステップ104において、今回読み込んだエンジン回転数NEを前回エンジン回転数NEOLとして設定し、その後の処理を一旦終了する。また、カウント値Nが所定値Na以上となった場合には、本制御中において今後、回転数変化量DLNEが予備最大回転数変化量DLNEmax 0を超えることはないものと判断して、ステップ111へ移行する。
【0044】
そして、ステップ111においては、予備最大回転数変化量DLNEmax 0を最大回転数変化量DLNEmax として設定する。また、次のステップ112においては、カウント値Nを「0」にクリヤする。そして、最後にステップ104に移行して今回読み込んだエンジン回転数NEを前回エンジン回転数NEOLとして設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0045】
以上のように、この「最大回転数変化量決定ルーチン」においては、そのときどき毎に算出された回転数変化量DLNE等により、ねじり振動の一回目のピークに基づいて、最大回転数変化量DLNEmax が決定される。
【0046】
次に、上記の如く決定された最大回転数変化量DLNEmax 等に基づき、トルク制御を行うべく最終燃料噴射量を算出するための処理について説明する。
図7に示すフローチャートはECU71により実行される各処理のうち、トルク制御を行うべく最終燃料噴射量を算出するための「最終燃料噴射量算出ルーチン」を示すものであって所定時間毎の定時割り込みで実行される。
【0047】
処理がこのルーチンへ移行すると、先ずステップ201において、ECU71は、前記「最大回転数変化量決定ルーチン」で算出された最新の回転数変化量DLNE及び同ルーチンで決定された最大回転数変化量DLNEmax を読み込むとともに、トルク制御実行フラグFを読み込む。また、これとともに、別途のルーチンで算出された基本燃料噴射量QBASE及び最大燃料噴射量QFULLを読み込む。なお、基本燃料噴射量QBASEの算出は、先に読み込まれたエンジン回転数NE及びアクセル開度ACCP等に基づいて行われる。すなわち、この基本燃料噴射量QBASEは、エンジン回転数NE及びアクセル開度ACCP等をパラメータとする予め定められたマップを参照して算出される。また、基本燃料噴射量QBASEの算出に際しては、必要に応じて冷却水温THW、アクセル開度ACCP及びエンジン回転数NE等の各値に基づき、低温始動増量補正、加速増量補正及び減速増量補正等が行われる。さらに、最大燃料噴射量QFULLは、エンジン回転数NE等に基づき、予め定めたマップを参照して求められる。
【0048】
次に、ステップ202において、トルク制御実行フラグFが「1」であるか否かを判定する。そして、該フラグFが「1」の場合には、トルク制御を実行する必要があるものと判断して、ステップ203へ移行する。ステップ203においては、今回読み込んだ回転数変化量DLNEに基づき補正量QACC2 を算出する。すなわち、この補正量QACC2 は、図8に示すマップが参照されることにより算出される。そして、例えば回転数変化量DLNEが「0」のときには補正量QACC2 が「0」に設定され、回転数変化量DLNEがマイナス側に大きくなれば補正量QACC2 がプラス側に大きく設定され、さらに、回転数変化量DLNEがプラス側に大きくなれば補正量QACC2 がマイナス側に大きく設定される。
【0049】
次に、ステップ204において、現在、最終燃料噴射量QFINとして補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用しているか否かを判断する。そして、補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用している場合には、ステップ205において、今回読み込んだ最大回転数変化量DLNEmax に基づき、減算補正量QFULLKを算出する。この減算補正量QFULLKは、図9に示すマップが参照されることにより算出される。本実施例では、最大回転数変化量DLNEmax の増大に伴って、減算補正量QFULLKも大きくなるよう設定されている。
【0050】
続いて、ステップ206においては、今回読み込んだ最大燃料噴射量QFULLと、その最大燃料噴射量QFULLからステップ205で算出した減算補正量QFULLKを減算し、その値に今回算出した補正量QACC2 を加算した値(QFULL−QFULLK+QACC2 )とを比較する。そして、そのうちの小さい方を補正後最大燃料噴射量QFULLαとして設定する。
【0051】
一方、ステップ204において、現在、最終燃料噴射量QFINとして補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用していない場合には、パーシャル噴射量QGOVを使用しているものと判断してステップ207へ移行する。ステップ207においては、今回読み込んだ基本燃料噴射量QBASEに今回算出した補正量QACC2 を加算した値を新たなパーシャル噴射量QGOVとして設定する。
【0052】
そして、ステップ206又はステップ207から移行して、ステップ208においては、今回算出した補正後最大燃料噴射量QFULLα及びパーシャル噴射量QGOVのうち、いずれか小さい方を最終燃料噴射量QFINとして設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0053】
以上のように、この「最終燃料噴射量算出ルーチン」においては、最終燃料噴射量QFINが算出されるに際し、基本燃料噴射量QBASEに対して、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされることにより、パーシャル噴射量QGOVが算出される。また、補正後最大燃料噴射量QFULLαが算出されるに際しては、最大燃料噴射量QFULLに対して、最大回転数変化量DLNEmax に基づく減算補正量QFULLKが減算された上で、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされる。そして、補正後最大燃料噴射量QFULLα及びパーシャル噴射量QGOVのうち、いずれか小さい方が最終燃料噴射量QFINとしてされる。
【0054】
さて、車両を急速に加速しようと、アクセルペダル57を踏み込んだ場合には、ディーゼルエンジン1の出力トルクが急激に変化して、出力を駆動輪へ伝達するためのクランクシャフト40等の駆動系にねじり振動が生じる。しかし、本実施例によれば、上記補正量QACC2 分だけ補正がなされることにより、トルク制御が行われる。このため、ねじり振動によるトルク変動が相殺され、車両が前後に振動したりするのが抑制される。
【0055】
また、本実施例によれば、図10に示すように、補正後最大燃料噴射量QFULLαが使用されている場合には、最大燃料噴射量QFULLに対して、最大回転数変化量DLNEmax に基づく減算補正量QFULLKが減算された上で、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされる。すなわち、最大燃料噴射量FULLに対し補正量QACC2 を単に考慮しただけの値が最大燃料噴射量QFULLを上回ったとしても、減算補正量QFULLKが減算されている。このため、補正量QACC2 による噴射量増量側への補正が行われなかった従来技術とは異なり(図の下側)、補正量QACC2 による噴射量増量側への補正が行われたとしても、最終燃料噴射量QFINが最大燃料噴射量FULLを上回ることがない。従って、過大な燃料噴射量に起因して、スモークが発生するのを防止することができる。
【0056】
しかも、補正量QACC2 分を考慮したとしても最終燃料噴射量QFINが最大燃料噴射量FULLを上回ることがないことから、ねじり振動量に基づき算出された補正量QACC2 は常に最終燃料噴射量QFINに反映されうる。そのため、増量側、減量側のいずれにおいても噴射量制御を行うことができ、もって、車両振動を確実に低減することができる。
【0057】
(第2実施例)
次に、本発明を同じく内燃機関としてのディーゼルエンジンのトルク制御装置に具体化した第2実施例を図11〜図13に基づいて説明する。但し、本実施例における構成は、前述した第1実施例とほぼ同様であるため、同一の部材については同一の名称及び符号を付すものとして、以下には、作用効果上の相違点を中心に説明する。
前記第1実施例においては、最終燃料噴射量QFINを算出するに際し、最大回転数変化量DLNEmax に基づく一定の減算補正量QFULLKが減算された上で、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされていた。これに対し、本実施例では、上記減算補正量QFULLKの代わりに、そのときどきのねじり振動量の大きさに応じて変動する減算用可変所定量たる最大補正量QACC2maxが採用されているという点で大きく異なっている。
【0058】
すなわち、図11に示すフローチャートは、ECU71により実行される各処理のうち、第2実施例におけるトルク制御を行うために最終燃料噴射量を算出するための「最終燃料噴射量算出ルーチン」を示すものであって所定時間毎の定時割り込みで実行される。但し、ここで示す各処理において、第1実施例の処理と同様の処理を行う部分については、その説明が簡略化される。
【0059】
処理がこのルーチンへ移行すると、前述したステップ201〜ステップ204の処理を行う。すなわち、ECU71は、最大回転数変化量DLNEmax 、トルク制御実行フラグF、基本燃料噴射量QBASE及び最大燃料噴射量QFULLを読み込む(ステップ201)。次に、トルク制御実行フラグFが「1」であるか否かを判定し(ステップ202)、該フラグFが「1」の場合には、回転数変化量DLNEに基づき補正量QACC2 を算出する(ステップ203)。さらに、現在、最終燃料噴射量QFINとして補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用しているか否かを判断する(ステップ204)。そして、補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用している場合には、ステップ301へ移行する。
【0060】
ステップ301においては、減量すべき所定量に該当する最大補正量QACC2maxを算出する。ここで、この最大補正量QACC2maxを算出するための処理について説明する。図12は、ECU71により実行される最大補正量QACC2maxを算出するための「最大補正量サブルーチン」を示すフローチャートであって、所定時間毎の定時割り込みで実行される。処理がこのルーチンに移行すると、ECU71は、先ずステップ401において、前記ルーチンで算出された補正量QACC2 を読み込む(ステップ203参照)とともに、既に記憶されている前回補正量QACC2 OLを読み込む。
【0061】
次に、ステップ402において、今回読み込んだ補正量QACC2 の絶対値が、今回読み込んだ前回補正量QACC2 OL以上であるか否かを判断する。そして、補正量QACC2 の絶対値が前回補正量QACC2 OL以上の場合には、ステップ403において、その補正量QACC2 の絶対値を予備最大補正量QACC2 Kとして設定し、記憶する。また、続くステップ404において、今回読み込んだ補正量QACC2 の絶対値を前回補正量QACC2 OLとして記憶し、その後の処理を一旦終了する。
【0062】
一方、前記ステップ402において、補正量QACC2 の絶対値が前回補正量QACC2 OL未満となった場合には、ステップ405において、現時点での予備最大補正量QACC2 Kを最大補正量QACC2maxとして設定する。そして、前記ステップ404へ移行し、今回読み込んだ補正量QACC2 の絶対値を前回補正量QACC2 OLとして記憶し、その後の処理を一旦終了する。
【0063】
このようにして、「最大補正量サブルーチン」においては、図13に示すように、そのときどきのねじり振動量の大きさ、つまり、回転数変化量DLNEに応じて最大補正量QACC2maxが更新されてゆく。すなわち、ねじり振動量の大きさが小さくなるに従って、最大補正量QACC2maxも小さくなるよう設定されてゆく。
【0064】
さて、説明を図11の「最終燃料噴射量算出ルーチン」に戻すと、ECU71は、上記の「最大補正量サブルーチン」(ステップ301)において最大補正量QACC2maxを算出した後、ステップ302へと移行する。ステップ302においては、今回読み込んだ最大燃料噴射量QFULLと、その最大燃料噴射量QFULLからステップ301で算出した最大補正量QACC2maxを減算し、その値に今回算出した補正量QACC2 を加算した値(QFULL−QACC2max+QACC2 )とを比較する。そして、そのうちの小さい方を補正後最大燃料噴射量QFULLαとして設定する。
【0065】
一方、ステップ204において、現在、最終燃料噴射量QFINとして補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用していない場合には、第1実施例と同様、パーシャル噴射量QGOVを使用しているものと判断する。そして、ステップ207において、今回読み込んだ基本燃料噴射量QBASEに今回算出した補正量QACC2 を加算した値を新たなパーシャル噴射量QGOVとして設定する。
【0066】
そして、ステップ302又はステップ207から移行して、ステップ208においては、今回算出した補正後最大燃料噴射量QFULLα及びパーシャル噴射量QGOVのうち、いずれか小さい方を最終燃料噴射量QFINとして設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0067】
以上のように、第2実施例の「最終燃料噴射量算出ルーチン」においては、最終燃料噴射量QFINが算出されるに際し、基本燃料噴射量QBASEに対して、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされることにより、パーシャル噴射量QGOVが算出される。また、補正後最大燃料噴射量QFULLαが算出されるに際しては、最大燃料噴射量QFULLに対して、ねじり振動量に相当する回転数変化量DLNEに基づく最大補正量QACC2maxが減算された上で、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされる。そして、補正後最大燃料噴射量QFULLα及びパーシャル噴射量QGOVのうち、いずれか小さい方が最終燃料噴射量QFINとして設定される。
【0068】
ここで、本実施例では、図13に示すように、減算される最大補正量QACC2maxは、そのときどきのねじり振動量の大きさ、つまり、回転数変化量DLNE及び補正量QACC2 に応じて最大補正量QACC2maxが更新されてゆく。すなわち、ねじり振動量の大きさが小さくなるに従って、最大補正量QACC2maxも小さくなる。このため、上記第1実施例で説明した作用効果を奏するのは勿論のこと、そのときどきにおける最大補正量QACC2maxの減量分が大きすぎて最終燃料噴射量QFINが少なすぎることとなってしまうのが回避される。つまり、ねじり振動量が比較的小さくなった場合には、その小さい振動量に見合ったトルク制御が行われるとともに、加速にとって必要な燃料噴射量は十分に確保されうることとなる。その結果、ねじり振動に起因する車両の振動を確実に抑制することができるとともに、車両の高出力特性を最大限に確保することができる。
【0069】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、例えば次の如く構成してもよい。
(1)前記各実施例では、回転数変化量DLNEに対する補正量QACC2 の関係を図8のようにしたが、この関係はかならずしも直線状でなくてもよい。
【0070】
(2)前記第1実施例では、最大回転数変化量DLNEmax に対する減算補正量QFULLKの関係を図9のようにしたが、この関係もかならずしも直線状でなくてもよい。
【0071】
(3)前記第2実施例においては、最大補正量QACC2maxを算出し、それをの減量分として最終燃料噴射量QFINに反映させる構成としたが、減量分がねじり振動量に応じて経時的に直線状又は曲線状にリニアに減少してゆくような構成としてもよい。かかる構成とすることにより、最終燃料噴射量QFINが連続的に変化することとなり、円滑な噴射量制御が実行されうる。
【0072】
(4)前記実施例において、最大回転数変化量DLNEmax は、そのときどき毎に算出された回転数変化量DLNE等により、ねじり振動の一回目のピークに基づいて決定されていた(図6参照)が、最大回転数変化量DLNEmax を決定するに際しては、その外にも種々の方法により決定することができる。例えば、一回目のねじり振動の正及び負側の最大振幅を最大回転数変化量DLNEmax としてもよいし、一回目のねじり振動の負側の最大振幅を最大回転数変化量DLNEmax としてもよい。また、二回目のねじり振動の正側の最大振幅を最大回転数変化量DLNEmax としてもよい。この場合には、車両振動の発生時間との相関関係が高まり、より正確な制御を行うことも可能となる。
【0073】
また、ねじり振動量を検出するための手段としては、回転数変化量DLNE以外のパラメータに基づいて検出するようにしてもよい。
特許請求の範囲の各請求項に記載されないものであって、上記実施例から把握できる技術的思想について以下にその効果とともに記載する。
【0074】
(a)請求項2に記載のディーゼルエンジンのトルク制御装置において、前記所定量は、前記ねじり振動量検出手段により検出されたねじり振動量の大きさの経時的な減衰に伴って連続的に小さくなってゆくことを特徴とする。このような構成とすることにより、より円滑な噴射量制御が実行されうる。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ねじり振動量に基づき、燃料噴射量を制御することによりトルク制御を行うディーゼルエンジンのトルク制御装置において、算出された最終燃料噴射量が最大燃料噴射量を上回る場合であっても、スモークの発生を招くことなく、増量側、減量側のいずれにおいても噴射量制御を行うことができ、もって、車両振動を確実に低減することができるという優れた効果を奏する。
【0076】
また、特に、請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、ねじり振動量が比較的小さくなった場合には、その小さい振動量に見合ったトルク制御が行われるとともに、加速にとって必要な燃料噴射量は十分に確保されうる。その結果、ねじり振動に起因する車両の振動を確実に抑制することができるとともに、車両の高出力特性を最大限に確保することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な概念構成を説明する概念構成図である。
【図2】本発明を具体化した第1実施例におけるディーゼルエンジンのトルク制御装置を示す概略構成図である。
【図3】第1実施例において、ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプを示す断面図である。
【図4】第1実施例において、ECUの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施例において、ECUにより実行される「最大回転数変化量決定ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施例において、ねじり振動が発生したときの時間に対する回転数変化量の関係を示すグラフである。
【図7】第1実施例において、ECUにより実行される「最終燃料噴射量算出ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施例において、回転数変化量に対する補正量の関係を定めたマップである。
【図9】第1実施例において、最大回転数変化量に対する減量補正量の関係を定めたマップである。
【図10】第1実施例において、時間の経過に対する最終燃料噴射量等の関係を従来技術と比較しつつ説明するためのタイミングチャートである。
【図11】本発明を具体化した第2実施例において、ECUにより実行される「最終燃料噴射量算出ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施例において、ECUにより実行される「最大補正量算出サブルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施例において、時間の経過に対するエンジン回転数、回転数変化量、補正量、最大補正量及び最終補正量の関係を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…燃料噴射手段を構成する燃料噴射ポンプ、2…ディーゼルエンジン、35…ねじり振動量検出手段及び運転状態検出手段を構成する回転数センサ、40…駆動系を構成するクランクシャフト、71…補正量算出手段、基本燃料噴射量算出手段、最大燃料噴射量算出手段、最終燃料噴射量算出手段、第1の噴射量制御手段、修正後最終燃料噴射量設定手段及び第2の噴射量制御手段、場合によってはねじり振動量検出手段、運転状態検出手段を構成するECU、72…運転状態検出手段を検出する吸気温センサ、73…運転状態検出手段を検出するアクセルセンサ、74…運転状態検出手段を検出する吸気圧センサ、75…運転状態検出手段を検出する水温センサ、76…運転状態検出手段を検出するクランク角センサ、77…運転状態検出手段を検出する車速センサ。
【産業上の利用分野】
本発明はディーゼルエンジンのトルク制御装置に係り、詳しくは、燃料噴射量を制御することにより、自動車等の車両におけるディーゼルエンジン出力を駆動輪へ伝達する駆動系のねじり振動を抑制するためのトルク制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等の車両を急速に加速した場合には、エンジンの出力トルクが急激に変化して、エンジン出力を駆動輪へ伝達するための駆動系にねじり振動が生じ、車両に加わる加速度が波状に変動することが知られている。このため、運転者が急速に加速しようとした場合には、駆動系のねじり振動によって車両が前後に振動し、乗員に不快感を与えるおそれが生じるおそれあった。
【0003】
上記のねじり振動を抑制するための技術として、例えば特開昭60−26142号公報に開示されたものが知られている。この技術では、ディーゼルエンジンにおいて、例えばエンジン回転数の変動量が検出され、それをもって駆動系のねじり振動量とされ、そして、その振動量の変化率に応じて、エンジントルクが、燃料噴射量の補正或いは燃料噴射時期の補正により、ねじり振動が低減される側に一定期間中制御される。ディーゼルエンジンにおいては、上記トルクの制御に際し、燃料噴射量の補正或いは燃料噴射タイミングの補正が行われる。これらの補正により出力トルクが制御される。すなわち、ねじり振動量が大きいときには、トルクを低減するべく、燃料噴射量が少なくなるよう制御される。そして、かかるトルク制御により、ねじり振動によるトルク変動が相殺され、もって上記の不具合が抑制されうる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来技術において、特に、燃料噴射量の制御にてトルク制御を行う場合においては、最終燃料噴射量が、スモーク排出抑制のために設定され全負荷時に相当する最大燃料噴射量となったとき、すなわち、基本燃料噴射量が最大燃料噴射量にてガードされるときに上記噴射量制御を行う場合には、噴射量増量側への制御を行うことが実質上困難であった。これは、最終燃料噴射量が最大燃料噴射量となったとき(計算上最終燃料噴射量が最大燃料噴射量以上となったとき)において、さらに噴射量が増量側に制御された場合には、スモークが発生してしまうからである。従って、上記従来技術において最終燃料噴射量が最大燃料噴射量となった場合にスモークの発生を防止するためには、実質上噴射量減量側への制御しか行うことができなかった。その結果、ねじり振動低減のための十分な噴射量制御(トルク制御)を行うことができない場合が生じ、ひいては車両振動を確実に低減できないおそれが生じていた。
【0005】
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ねじり振動量に基づき、燃料噴射量を制御することによりトルク制御を行うディーゼルエンジンのトルク制御装置において、算出された最終燃料噴射量が最大燃料噴射量を上回る場合であっても、スモークの発生を招くことなく、増量側、減量側のいずれにおいても噴射量制御を行うことができ、もって、車両振動を確実に低減することの可能なディーゼルエンジンのトルク制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明においては、図1に示すように、ディーゼルエンジンM1の駆動系M2のねじり振動量を検出するねじり振動量検出手段M3と、前記ディーゼルエンジンM1に燃料を噴射するとともに、その噴射量を調整することにより前記ディーゼルエンジンM1のトルクを調整可能な燃料噴射手段M4と、前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量に基づき、前記トルクを調整するための前記燃料噴射量の補正量を算出する補正量算出手段M5と、前記ディーゼルエンジンM1の負荷及び回転数を含む運転状態を検出するための運転状態検出手段M6と、前記運転状態検出手段M6の検出結果に基づき、基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段M7と、前記運転状態検出手段M6の検出結果に基づき、前記ディーゼルエンジンM1からのスモーク排出抑制のために設定される最大燃料噴射量を算出する最大燃料噴射量算出手段M8と、前記基本燃料噴射量算出手段M7により算出された基本燃料噴射量と前記補正量算出手段M5により算出された補正量とに基づき最終燃料噴射量を算出する最終燃料噴射量算出手段M9と、前記最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量に基づき、前記燃料噴射手段M4を制御して燃料噴射量を制御する第1の噴射量制御手段M10とを備えたディーゼルエンジンのトルク制御装置において、前記最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量が前記最大燃料噴射量を上回るとき、該最大燃料噴射量から前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量に基づいて算出された所定量だけ減量した上で前記補正量に基づき補正した値を補正後最大燃料噴射量として設定する補正後最大燃料噴射量設定手段M11と、前記補正後最大燃料噴射量設定手段M11により、補正後最大燃料噴射量が設定された場合には、該補正後最大燃料噴射量に基づき、前記燃料噴射手段M4を制御して燃料噴射量を制御する第2の噴射量制御手段M12とを備え、前記補正後最大燃料噴射量は前記最大燃料噴射量を上回らないことをその要旨としている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載のディーゼルエンジンのトルク制御装置において、前記補正後最大燃料噴射量設定手段M11による補正後最大燃料噴射量の設定に際し、前記所定量は、前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量の大きさに応じて可変とすることをその要旨としている。
【0008】
【作用】
上記の請求項1に記載の発明によれば、図1に示すように、ねじり振動量検出手段M3により、ディーゼルエンジンM1の駆動系M2のねじり振動量が検出される。また、燃料噴射手段M4により、ディーゼルエンジンM1に燃料が噴射されるとともに、その噴射量が調整される。この調整により、ディーゼルエンジンM1のトルクが調整されうる。ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量に基づき、補正量算出手段M5では、前記トルクを調整するための燃料噴射量の補正量が算出される。また、運転状態検出手段M6により、ディーゼルエンジンM1の負荷及び回転数を含む運転状態が検出される。この運転状態検出手段M6の検出結果に基づき、基本燃料噴射量算出手段M7では基本燃料噴射量が算出される。また、運転状態検出手段M6の検出結果に基づき、最大燃料噴射量算出手段M8では、ディーゼルエンジンM1からのスモーク排出抑制のために設定される最大燃料噴射量が算出される。さらに、最終燃料噴射量算出手段M9により、上記算出された基本燃料噴射量と前記補正量算出手段M5により算出された補正量とに基づき最終燃料噴射量が算出される。そして、最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量に基づき、第1の噴射量制御手段M10により、燃料噴射手段M4が制御され燃料噴射量が制御される。従って、基本的には、該燃料噴射量が制御されることによりトルク制御が行われることとなり、ねじり振動によるトルク変動が相殺され、車両が前後に振動したりするのが抑制される。
【0009】
また、本発明によれば、最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量が前記最大燃料噴射量を上回るとき、該最大燃料噴射量から前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量に基づいて算出された所定量だけ減量した上で前記補正量に基づき補正した値が、補正後最大燃料噴射量設定手段M11により、補正後最大燃料噴射量として設定される。そして、この補正後最大燃料噴射量設定手段M11により補正後最大燃料噴射量が設定された場合には、第2の噴射量制御手段M12により、補正後最大燃料噴射量に基づき燃料噴射手段M4が制御されて燃料噴射量が制御される。
【0010】
このため、補正後最大燃料噴射量が最大燃料噴射量を上回らず、しかも、ねじり振動量に基づき算出された補正量は常に補正後最大燃料噴射量に反映されうることとなる。従って、最終燃料噴射量算出手段M9により算出された最終燃料噴射量が前記最大燃料噴射量を上回ったとしても、噴射量増量側へのトルク補正も行われうる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の作用に加えて、さらに、前記補正後最大燃料噴射量設定手段M11による補正後最大燃料噴射量の設定に際し、前記所定量は、前記ねじり振動量検出手段M3により検出されたねじり振動量の大きさに応じて可変とされる。
【0012】
このため、ねじり振動による車両の振動が抑制されるのは勿論のこと、そのときどきにおいて、前記所定量の減量分が大きすぎて噴射量が少なすぎることとなってしまうのが回避される。つまり、ねじり振動量が比較的小さくなった場合には、その小さい振動量に見合ったトルク制御が行われるとともに、加速にとって必要な燃料噴射量は十分に確保されうる。
【0013】
【実施例】
(第1実施例)
以下、本発明をディーゼルエンジンのトルク制御装置に具体化した第1実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図2はこの実施例において、車両に搭載されたディーゼルエンジンのトルク制御装置を示す概略構成図であり、図3は燃料噴射手段としての分配型燃料噴射ポンプ1を示す断面図である。燃料噴射ポンプ1はディーゼルエンジン2のクランクシャフト40にベルト等を介して駆動連結されたドライブプーリ3を備えている。そして、そのドライブプーリ3の回転によって燃料噴射ポンプ1が駆動され、ディーゼルエンジン2の各気筒(この場合は4気筒)毎に設けられた各燃料噴射ノズル4に燃料が圧送されて燃料噴射が行われる。また、本実施例では、クランクシャフト40等により駆動系が構成されている。
【0015】
燃料噴射ポンプ1において、ドライブプーリ3はドライブシャフト5の先端に取付けられている。また、そのドライブシャフト5の途中には、べーン式ポンプよりなる燃料フィードポンプ(この図では90度展開されている)6が設けられている。さらに、ドライブシャフト5の基端側には円板状のパルサ7が取付けられている。このパルサ7の外周面には、ディーゼルエンジン2の気筒数と同数の、すなわち、この場合4個の切歯が等角度間隔で形成され、更に各切歯の間には14個ずつ(合計で56個)の突起が等角度間隔で形成されている。そして、ドライブシャフト5の基端部は図示しないカップリングを介してカムプレート8に接続されている。
【0016】
パルサ7とカムプレート8との間には、ローラリング9が設けられ、同ローラリング9の円周に沿ってカムプレート8のカムフェイス8aに対向する複数のカムローラ10が取付けられている。カムフェイス8aはディーゼルエンジン2の気筒数と同数だけ設けられている。また、カムプレート8はスプリング11によって常にカムローラ10に付勢係合されている。
【0017】
カムプレート8には燃料加圧用プランジャ12の基端が一体回転可能に取付けられ、それらカムプレート8及びプランジャ12がドライブシャフト5の回転に連動して回転される。すなわち、ドライブシャフト5の回転力が図示しないカップリングを介してカムプレート8に伝達されることにより、カムプレート8が回転しながらカムローラ10に係合して、気筒数と同数だけ図中左右方向へ往復駆動される。また、この往復駆動に伴ってプランジャ12が回転しながら同方向へ往復駆動される。つまり、カムプレート8のカムフェイス8aがローラリング9のカムローラ10に乗り上げる過程でプランジャ12が往動(リフト)され、その逆にカムフェイス8aがカムローラ10を乗り下げる過程でプランジャ12が復動される。
【0018】
プランジャ12はポンプハウジング13に形成されたシリンダ14に嵌挿されており、プランジャ12の先端面とシリンダ14の底面との間が高圧室15となっている。また、プランジャ12の先端側外周には、ディーゼルエンジン2の気筒数と同数の吸入溝16と分配ポート17が形成されている。また、それら吸入溝16及び分配ポート17に対応して、ポンプハウジング13には分配通路18及び吸入ポート19が形成さている。
【0019】
そして、ドライブシャフト5が回転されて燃料フィードポンプ6が駆動されることにより、図示しない燃料タンクから燃料供給ポート20を介して燃料室21内へ燃料が供給される。また、プランジャ12が復動されて高圧室15が減圧される吸入行程中に、吸入溝16の一つが吸入ポート19に連通することにより、燃料室21から高圧室15へと燃料が導入される。一方、プランジャ12が往動されて高圧室15が加圧される圧縮行程中に、分配通路18から各気筒毎の燃料噴射ノズル4へ燃料が圧送されて噴射される。
【0020】
ポンプハウジング13には、高圧室15と燃料室21とを連通させる燃料溢流(スピル)用のスピル通路22が形成されている。このスピル通路22の途中には、高圧室15からの燃料スピルを調整するための電磁スピル弁23が設けられている。この電磁スピル弁23は常開型の弁であり、コイル24が無通電(オフ)の状態では弁体25が開放されて高圧室15内の燃料が燃料室21へスピルされる。また、コイル24が通電(オン)されることにより、弁体25が閉鎖されて高圧室15から燃料室21への燃料のスピルが止められる。このため、本実施例では、この電磁スピル弁23が狭義のトルク調整手段を構成しているといえる。
【0021】
従って、電磁スピル弁23の通電時間を制御することにより、同弁23が閉弁・開弁制御され、高圧室15から燃料室21への燃料のスピル調整が行われる。そして、プランジャ12の圧縮行程中に電磁スピル弁23を開弁させることにより、高圧室15内における燃料が減圧されて、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が停止される。つまり、プランジャ12が往動しても、電磁スピル弁23が開弁している間は高圧室15内の燃料圧力が上昇せず、燃料噴射ノズル4からの燃料噴射が行われない。また、プランジャ12の往動中に、電磁スピル弁23の閉弁・開弁の時期を制御することにより、燃料噴射ノズル4からの噴射終了が調整されて燃料噴射量が制御される。
【0022】
ポンプハウジング13の下側には、燃料噴射時期を制御するためのタイマ装置(この図では90度展開されている)26が設けられている。このタイマ装置26は、ドライブシャフト5の回転方向に対するローラリング9の位置を変更することにより、カムフェイス8aがカムローラ10に係合する時期、すなわちカムプレート8及びプランジャ12の往復駆動時期を変更するためのものである。
【0023】
タイマ装置26は制御油圧により駆動されるものであり、タイマハウジング27と、同ハウジング27内に嵌装されたタイマピストン28と、同じくタイマハウジング27内一側の低圧室29にてタイマピストン28を他側の加圧室30へ押圧付勢するタイマスプリング31等とから構成されている。そして、タイマピストン28はスライドピン32を介してローラリング9に接続されている。
【0024】
タイマハウジング27の加圧室30には、燃料フィードポンプ6により加圧された燃料が導入されるようになっている。そして、その燃料圧力とタイマスプリング31の付勢力との釣り合い関係によってタイマピストン28の位置(以下、「タイマピストン位置」という)が決定される。また、そのタイマピストン位置が決定されることにより、ローラリング9の位置が決定され、カムプレート8を介してプランジャ12の往復動タイミングが決定される。
【0025】
タイマ装置26の制御油圧として作用する燃料圧力を調整するために、タイマ装置26にはタイマ制御弁(TCV)33が設けられている。すなわち、タイマハウジング27の加圧室30と低圧室29とが連通路34によって連通されており、同連通路34の途中にTCV33が設けられている。このTCV33は、デューティ制御された通電信号によって開閉制御される電磁弁であり、同TCV33の開閉制御によって加圧室30内の燃料圧力が調整される。そして、その燃料圧力の調整によって、プランジャ12のリフトタイミングが制御され、各燃料噴射ノズル4からの燃料噴射時期が制御される。
【0026】
ローラリング9の上部には、電磁ピックアップコイルよりなるねじり振動量検出手段としての回転数センサ35が、パルサ7の外周面に対向して取付けられている。この回転数センサ35はパルサ7の突起等が横切る際に、それらの通過を検出してエンジン回転数NEに相当するタイミング信号、すなわち一定のクランク角度(11.25°CA)毎のエンジン回転パルスを出力する。また、この回転数センサ35は、そのエンジン回転パルス毎の瞬時回転数を検出する。さらに、この回転数センサ35は、ローラリング9と一体であるため、タイマ装置26の制御動作に関わりなく、プランジャリフトに対して一定のタイミングで基準となるタイミング信号を出力する。
【0027】
次に、ディーゼルエンジン2について説明する。この実施例において、ディーゼルエンジン2は図示しないマニュアルトランスミッションに駆動連結されている。このディーゼルエンジン2ではシリンダボア41、ピストン42及びシリンダヘッド43によって各気筒毎に対応する主燃焼室44がそれぞれ形成されている。また、それら各主燃焼室44に連通する副燃焼室45が各気筒毎に対応して設けられている。そして、各副燃焼室45には、各燃料噴射ノズル4から噴射される燃料が供給されるようになっている。また、各副燃焼室45には、始動補助装置としての周知のグロープラグ46がそれぞれ取り付けられている。
【0028】
ディーゼルエンジン2には、吸気通路47及び排気通路48がそれぞれ設けられている。また、その吸気通路47には過給機を構成するターボチャージャ49のコンプレッサ50が設けられ、排気通路48にはターボチャージャ49のタービン51が設けられている。また、排気通路48には、過給圧PiMを調節するウェイストゲートバルブ52が設けられている。周知のようにこのターボチャージャー49は、排気ガスのエネルギーを利用してタービン51を回転させ、その同軸上にあるコンプレッサ50を回転させて吸入空気を昇圧させる。この作用により、密度の高い混合気を主燃焼室44へ送り込んで燃料を多量に燃焼させ、ディーゼルエンジン2の出力を増大させるようになっている。
【0029】
また、ディーゼルエンジン2には、排気通路48内の排気の一部を吸気通路47の吸入ポート53へ還流させるEGR通路54が設けられている。そして、そのEGR通路54の途中には、ダイヤフラム式のエキゾーストガスリサーキュレイションバルブ(EGRバルブ)55が設けられている。さらに、そのEGRバルブ55を負圧の導入調節によって開度調節させるために、デューティ制御された通電信号により開度調節されるエレクトリックバキュームレギュレーティングバルブ(EVRV)56が設けられている。そして、このEVRV56の作動により、EGRバルブ55の開度が調節され、この調節により、EGR通路54を通じて排気通路48から吸気通路47へ導かれるEGR量が調節される。
【0030】
さらに、吸気通路47の途中には、アクセルペダル57の踏込量に連動して開閉されるスロットルバルブ58が設けられている。また、そのスロットルバルブ58に平行してバイパス通路59が設けられ、同バイパス通路59にはバイパス絞り弁60が設けられている。このバイパス絞り弁60は、二つのVSV61,62の制御によって駆動される二段式のダイヤフラム室を有するアクチュエータ63によって開閉制御される。このバイパス絞り弁60は各種運転状態に応じて開閉制御されるものである。例えば、アイドル運転時には騒音振動等の低減のために半開状態に制御され、通常運転時には全開状態に制御され、更に運転停止時には円滑な停止のために全閉状態に制御される。
【0031】
そして、上記のように燃料噴射ポンプ1及びディーゼルエンジン2に設けられた電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46、EVRV56及び各VSV61,62は電子制御装置(以下単に「ECU」という)71にそれぞれ接続され、同ECU71によってそれらの駆動タイミングが制御される。この実施例では、ECU71によって補正量算出手段、基本燃料噴射量算出手段、最大燃料噴射量算出手段、最終燃料噴射量算出手段、第1の噴射量制御手段、補正後最大燃料噴射量設定手段及び第2の噴射量制御手段が構成され、場合によってはねじり振動量検出手段、運転状態検出手段が構成される。
【0032】
ディーゼルエンジン2の運転状態検出手段を構成するセンサとしては、前述した回転数センサ35に加えて、以下の各種センサが設けられている。すなわち、吸気通路47の入口に設けられたエアクリーナ64の近傍には、吸気温度THAを検出する吸気温センサ72が設けられている。また、スロットルバルブ58の開閉位置から、ディーゼルエンジン2の負荷に相当するアクセル開度ACCPを検出するアクセルセンサ73が設けられている。吸入ポート53の近傍には、ターボチャージャ49によって過給された後の吸入空気圧力、すなわち過給圧PiMを検出する吸気圧センサ74が設けられている。さらに、ディーゼルエンジン2の冷却水温THWを検出する水温センサ75が設けられている。また、クランクシャフト40の回転基準位置、例えば特定気筒の上死点に対するクランクシャフト40の基準位置信号を出力するクランク角センサ76が設けられている。更にまた、図示しないトランスミッションには、そのギアの回転によって回されるマグネット77aによりリードスイッチ77bをオン・オフさせて車両速度(車速)SPを検出する車速センサ77が設けられている。
【0033】
ECU71には上述した各センサ35,72〜77がそれぞれ接続されている。そして、ECU71は各センサ35,72〜77から出力される検出信号に基づき、電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46EVRV56及びVSV61,62等を好適に制御する。
【0034】
次に、前述したECU71の構成について、図4のブロック図に従って説明する。ECU71は中央処理装置(CPU)81、所定の制御プログラム及びマップ等を予め記憶した読み出し専用メモリ(ROM)82、CPU81の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)83、予め記憶されたデータを保存するバックアップRAM84等を備えている。そして、ECU71は、これら各部と入力ポート85及び出力ポート86等とをバス87によって接続した論理演算回路として構成されている。
【0035】
入力ポート85には、前述した吸気温センサ72、アクセルセンサ73、吸気圧センサ74及び水温センサ75が、各バッファ88,89,90,91、マルチプレクサ93及びA/D変換器94を介して接続されている。同じく、入力ポート85には、前述した回転数センサ35、クランク角センサ76及び車速センサ77が、波形整形回路95を介して接続されている。そして、CPU81は入力ポート85を介して入力される各センサ35,72〜77等の検出信号を入力値として読み込む。また、出力ポート86には各駆動回路96,97,98,99,100,101を介して電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46、EVRV56及びVSV61,62等が接続されている。
【0036】
そして、CPU81は各センサ35,72〜77から読み込んだ入力値に基づき、電磁スピル弁23、TCV33、グロープラグ46、EVRV56及びVSV61,62等を好適に制御する。
【0037】
次に、前述したECU71により実行されるトルク制御(燃料噴射量制御)の処理動作について図5〜10に従って説明する。
図5に示すフローチャートは、ECU71により実行される各処理のうち、燃料噴射量制御を行う際に使用される、ねじり振動量の大きさに相当する最大回転数変化量DLNEmax を決定するための「最大回転数変化量決定ルーチン」であって所定時間毎の定時割り込みで実行される。
【0038】
処理がこのルーチンへ移行すると、先ずステップ101において、ECU71は、回転数センサ35の検出値に基づき、エンジン回転数NE、回転位置信号CNIRQを読み込むとともに、ROM82に予め記憶された前回エンジン回転数NEOL、トルク制御実行フラグF及び予備最大回転数変化量DLNEmax 0を読み込む。このトルク制御実行フラグFは、別途のルーチンによって決定されるものであり、トルク制御を行う必要があると判定されたときには「1」に、そうでないときには「0」に設定される。上記トルク制御実行フラグFが「1」に設定される際の条件としては、例えば(1)当該車両がマニュアルトランスミッション車であること、(2)始動時以外であること、(3)エンジン回転数NEが所定の範囲内にあること、(4)冷却水温THWが所定値以上であること、(5)現在走行中であること、(6)アイドル状態が解除されてからの経過時間が所定時間以内であること、(7)アイドル状態でないこと、(8)車速SPに対するエンジン回転数NEの比からギヤ位置を推定したもの(NVR)が所定範囲内にあること、(9)レーシング時以外であること、等の種々の条件のうち、複数又は単数の任意の条件が選択されうる。
【0039】
次に、ステップ102においては、トルク制御実行フラグFが「1」であるか否かを判定する。そして、該フラグFが「0」の場合には、トルク制御を実行する必要がないものと判断して、ステップ103へ移行し、最大回転数変化量DLNEmax を「0」に設定する。また、続くステップ104において、今回読み込んだエンジン回転数NEを前回エンジン回転数NEOLとして設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0040】
一方、ステップ102において、トルク制御実行フラグFが「1」の場合には、トルク制御を実行する必要があるものと判断して、ステップ105へ移行し、回転位置信号CNIRQが例えば「2」であるか否かを判断する。すなわち、所定の検出時期が到来したか否かを判断する。但し、上記「2」の数値については何ら限定されるものではない。そして、回転位置信号CNIRQが「2」でない場合には、以降の処理を行う必要がないものとして、その後の処理を一旦終了する。
【0041】
また、回転位置信号CNIRQが「2」の場合には、次のステップ106において、今回読み込んだエンジン回転数NEから前回エンジン回転数NEOLを減算した値を回転数変化量DLNEとして設定する。
【0042】
次に、ステップ107においては、今回算出した回転数変化量DLNEが、予備最大回転数変化量DLNEmax 0よりも大きいか否かを判断する。そして、回転数変化量DLNEが、予備最大回転数変化量DLNEmax 0よりも大きい場合には、ステップ108において、今回の回転数変化量DLNEを予備最大回転数変化量DLNEmax 0として設定する。従って、図6に示すように、ねじり振動が発生した場合に、微細な時間の経過とともに回転数変化量DLNEは、当初徐々に増大してゆくのであるが、その度ごとに予備最大回転数変化量DLNEmax 0は増大更新されてゆく。また、回転数変化量DLNEのピークを超えたときには、経験上、そのピークを上回ることがほとんどないことが分かっている。このため、今回読み込まれた回転数変化量DLNEが、増大更新された予備最大回転数変化量DLNEmax 0よりも大きくなることがなくなる。かかる場合には、ステップ109へ移行し、カウンタのカウント値Nを「1」ずつインクリメントする。
【0043】
そして、ステップ108又はステップ109から移行して、ステップ110においては、カウント値Nが、予め定められた所定値Na以上となったか否かを判断する。そして、未だ、カウント値Nが所定値Na以上となっていない場合には、ステップ104において、今回読み込んだエンジン回転数NEを前回エンジン回転数NEOLとして設定し、その後の処理を一旦終了する。また、カウント値Nが所定値Na以上となった場合には、本制御中において今後、回転数変化量DLNEが予備最大回転数変化量DLNEmax 0を超えることはないものと判断して、ステップ111へ移行する。
【0044】
そして、ステップ111においては、予備最大回転数変化量DLNEmax 0を最大回転数変化量DLNEmax として設定する。また、次のステップ112においては、カウント値Nを「0」にクリヤする。そして、最後にステップ104に移行して今回読み込んだエンジン回転数NEを前回エンジン回転数NEOLとして設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0045】
以上のように、この「最大回転数変化量決定ルーチン」においては、そのときどき毎に算出された回転数変化量DLNE等により、ねじり振動の一回目のピークに基づいて、最大回転数変化量DLNEmax が決定される。
【0046】
次に、上記の如く決定された最大回転数変化量DLNEmax 等に基づき、トルク制御を行うべく最終燃料噴射量を算出するための処理について説明する。
図7に示すフローチャートはECU71により実行される各処理のうち、トルク制御を行うべく最終燃料噴射量を算出するための「最終燃料噴射量算出ルーチン」を示すものであって所定時間毎の定時割り込みで実行される。
【0047】
処理がこのルーチンへ移行すると、先ずステップ201において、ECU71は、前記「最大回転数変化量決定ルーチン」で算出された最新の回転数変化量DLNE及び同ルーチンで決定された最大回転数変化量DLNEmax を読み込むとともに、トルク制御実行フラグFを読み込む。また、これとともに、別途のルーチンで算出された基本燃料噴射量QBASE及び最大燃料噴射量QFULLを読み込む。なお、基本燃料噴射量QBASEの算出は、先に読み込まれたエンジン回転数NE及びアクセル開度ACCP等に基づいて行われる。すなわち、この基本燃料噴射量QBASEは、エンジン回転数NE及びアクセル開度ACCP等をパラメータとする予め定められたマップを参照して算出される。また、基本燃料噴射量QBASEの算出に際しては、必要に応じて冷却水温THW、アクセル開度ACCP及びエンジン回転数NE等の各値に基づき、低温始動増量補正、加速増量補正及び減速増量補正等が行われる。さらに、最大燃料噴射量QFULLは、エンジン回転数NE等に基づき、予め定めたマップを参照して求められる。
【0048】
次に、ステップ202において、トルク制御実行フラグFが「1」であるか否かを判定する。そして、該フラグFが「1」の場合には、トルク制御を実行する必要があるものと判断して、ステップ203へ移行する。ステップ203においては、今回読み込んだ回転数変化量DLNEに基づき補正量QACC2 を算出する。すなわち、この補正量QACC2 は、図8に示すマップが参照されることにより算出される。そして、例えば回転数変化量DLNEが「0」のときには補正量QACC2 が「0」に設定され、回転数変化量DLNEがマイナス側に大きくなれば補正量QACC2 がプラス側に大きく設定され、さらに、回転数変化量DLNEがプラス側に大きくなれば補正量QACC2 がマイナス側に大きく設定される。
【0049】
次に、ステップ204において、現在、最終燃料噴射量QFINとして補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用しているか否かを判断する。そして、補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用している場合には、ステップ205において、今回読み込んだ最大回転数変化量DLNEmax に基づき、減算補正量QFULLKを算出する。この減算補正量QFULLKは、図9に示すマップが参照されることにより算出される。本実施例では、最大回転数変化量DLNEmax の増大に伴って、減算補正量QFULLKも大きくなるよう設定されている。
【0050】
続いて、ステップ206においては、今回読み込んだ最大燃料噴射量QFULLと、その最大燃料噴射量QFULLからステップ205で算出した減算補正量QFULLKを減算し、その値に今回算出した補正量QACC2 を加算した値(QFULL−QFULLK+QACC2 )とを比較する。そして、そのうちの小さい方を補正後最大燃料噴射量QFULLαとして設定する。
【0051】
一方、ステップ204において、現在、最終燃料噴射量QFINとして補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用していない場合には、パーシャル噴射量QGOVを使用しているものと判断してステップ207へ移行する。ステップ207においては、今回読み込んだ基本燃料噴射量QBASEに今回算出した補正量QACC2 を加算した値を新たなパーシャル噴射量QGOVとして設定する。
【0052】
そして、ステップ206又はステップ207から移行して、ステップ208においては、今回算出した補正後最大燃料噴射量QFULLα及びパーシャル噴射量QGOVのうち、いずれか小さい方を最終燃料噴射量QFINとして設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0053】
以上のように、この「最終燃料噴射量算出ルーチン」においては、最終燃料噴射量QFINが算出されるに際し、基本燃料噴射量QBASEに対して、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされることにより、パーシャル噴射量QGOVが算出される。また、補正後最大燃料噴射量QFULLαが算出されるに際しては、最大燃料噴射量QFULLに対して、最大回転数変化量DLNEmax に基づく減算補正量QFULLKが減算された上で、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされる。そして、補正後最大燃料噴射量QFULLα及びパーシャル噴射量QGOVのうち、いずれか小さい方が最終燃料噴射量QFINとしてされる。
【0054】
さて、車両を急速に加速しようと、アクセルペダル57を踏み込んだ場合には、ディーゼルエンジン1の出力トルクが急激に変化して、出力を駆動輪へ伝達するためのクランクシャフト40等の駆動系にねじり振動が生じる。しかし、本実施例によれば、上記補正量QACC2 分だけ補正がなされることにより、トルク制御が行われる。このため、ねじり振動によるトルク変動が相殺され、車両が前後に振動したりするのが抑制される。
【0055】
また、本実施例によれば、図10に示すように、補正後最大燃料噴射量QFULLαが使用されている場合には、最大燃料噴射量QFULLに対して、最大回転数変化量DLNEmax に基づく減算補正量QFULLKが減算された上で、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされる。すなわち、最大燃料噴射量FULLに対し補正量QACC2 を単に考慮しただけの値が最大燃料噴射量QFULLを上回ったとしても、減算補正量QFULLKが減算されている。このため、補正量QACC2 による噴射量増量側への補正が行われなかった従来技術とは異なり(図の下側)、補正量QACC2 による噴射量増量側への補正が行われたとしても、最終燃料噴射量QFINが最大燃料噴射量FULLを上回ることがない。従って、過大な燃料噴射量に起因して、スモークが発生するのを防止することができる。
【0056】
しかも、補正量QACC2 分を考慮したとしても最終燃料噴射量QFINが最大燃料噴射量FULLを上回ることがないことから、ねじり振動量に基づき算出された補正量QACC2 は常に最終燃料噴射量QFINに反映されうる。そのため、増量側、減量側のいずれにおいても噴射量制御を行うことができ、もって、車両振動を確実に低減することができる。
【0057】
(第2実施例)
次に、本発明を同じく内燃機関としてのディーゼルエンジンのトルク制御装置に具体化した第2実施例を図11〜図13に基づいて説明する。但し、本実施例における構成は、前述した第1実施例とほぼ同様であるため、同一の部材については同一の名称及び符号を付すものとして、以下には、作用効果上の相違点を中心に説明する。
前記第1実施例においては、最終燃料噴射量QFINを算出するに際し、最大回転数変化量DLNEmax に基づく一定の減算補正量QFULLKが減算された上で、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされていた。これに対し、本実施例では、上記減算補正量QFULLKの代わりに、そのときどきのねじり振動量の大きさに応じて変動する減算用可変所定量たる最大補正量QACC2maxが採用されているという点で大きく異なっている。
【0058】
すなわち、図11に示すフローチャートは、ECU71により実行される各処理のうち、第2実施例におけるトルク制御を行うために最終燃料噴射量を算出するための「最終燃料噴射量算出ルーチン」を示すものであって所定時間毎の定時割り込みで実行される。但し、ここで示す各処理において、第1実施例の処理と同様の処理を行う部分については、その説明が簡略化される。
【0059】
処理がこのルーチンへ移行すると、前述したステップ201〜ステップ204の処理を行う。すなわち、ECU71は、最大回転数変化量DLNEmax 、トルク制御実行フラグF、基本燃料噴射量QBASE及び最大燃料噴射量QFULLを読み込む(ステップ201)。次に、トルク制御実行フラグFが「1」であるか否かを判定し(ステップ202)、該フラグFが「1」の場合には、回転数変化量DLNEに基づき補正量QACC2 を算出する(ステップ203)。さらに、現在、最終燃料噴射量QFINとして補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用しているか否かを判断する(ステップ204)。そして、補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用している場合には、ステップ301へ移行する。
【0060】
ステップ301においては、減量すべき所定量に該当する最大補正量QACC2maxを算出する。ここで、この最大補正量QACC2maxを算出するための処理について説明する。図12は、ECU71により実行される最大補正量QACC2maxを算出するための「最大補正量サブルーチン」を示すフローチャートであって、所定時間毎の定時割り込みで実行される。処理がこのルーチンに移行すると、ECU71は、先ずステップ401において、前記ルーチンで算出された補正量QACC2 を読み込む(ステップ203参照)とともに、既に記憶されている前回補正量QACC2 OLを読み込む。
【0061】
次に、ステップ402において、今回読み込んだ補正量QACC2 の絶対値が、今回読み込んだ前回補正量QACC2 OL以上であるか否かを判断する。そして、補正量QACC2 の絶対値が前回補正量QACC2 OL以上の場合には、ステップ403において、その補正量QACC2 の絶対値を予備最大補正量QACC2 Kとして設定し、記憶する。また、続くステップ404において、今回読み込んだ補正量QACC2 の絶対値を前回補正量QACC2 OLとして記憶し、その後の処理を一旦終了する。
【0062】
一方、前記ステップ402において、補正量QACC2 の絶対値が前回補正量QACC2 OL未満となった場合には、ステップ405において、現時点での予備最大補正量QACC2 Kを最大補正量QACC2maxとして設定する。そして、前記ステップ404へ移行し、今回読み込んだ補正量QACC2 の絶対値を前回補正量QACC2 OLとして記憶し、その後の処理を一旦終了する。
【0063】
このようにして、「最大補正量サブルーチン」においては、図13に示すように、そのときどきのねじり振動量の大きさ、つまり、回転数変化量DLNEに応じて最大補正量QACC2maxが更新されてゆく。すなわち、ねじり振動量の大きさが小さくなるに従って、最大補正量QACC2maxも小さくなるよう設定されてゆく。
【0064】
さて、説明を図11の「最終燃料噴射量算出ルーチン」に戻すと、ECU71は、上記の「最大補正量サブルーチン」(ステップ301)において最大補正量QACC2maxを算出した後、ステップ302へと移行する。ステップ302においては、今回読み込んだ最大燃料噴射量QFULLと、その最大燃料噴射量QFULLからステップ301で算出した最大補正量QACC2maxを減算し、その値に今回算出した補正量QACC2 を加算した値(QFULL−QACC2max+QACC2 )とを比較する。そして、そのうちの小さい方を補正後最大燃料噴射量QFULLαとして設定する。
【0065】
一方、ステップ204において、現在、最終燃料噴射量QFINとして補正後最大燃料噴射量QFULLαを使用していない場合には、第1実施例と同様、パーシャル噴射量QGOVを使用しているものと判断する。そして、ステップ207において、今回読み込んだ基本燃料噴射量QBASEに今回算出した補正量QACC2 を加算した値を新たなパーシャル噴射量QGOVとして設定する。
【0066】
そして、ステップ302又はステップ207から移行して、ステップ208においては、今回算出した補正後最大燃料噴射量QFULLα及びパーシャル噴射量QGOVのうち、いずれか小さい方を最終燃料噴射量QFINとして設定し、その後の処理を一旦終了する。
【0067】
以上のように、第2実施例の「最終燃料噴射量算出ルーチン」においては、最終燃料噴射量QFINが算出されるに際し、基本燃料噴射量QBASEに対して、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされることにより、パーシャル噴射量QGOVが算出される。また、補正後最大燃料噴射量QFULLαが算出されるに際しては、最大燃料噴射量QFULLに対して、ねじり振動量に相当する回転数変化量DLNEに基づく最大補正量QACC2maxが減算された上で、そのときどきの回転数変化量DLNEに応じた補正量QACC2 分だけ補正がなされる。そして、補正後最大燃料噴射量QFULLα及びパーシャル噴射量QGOVのうち、いずれか小さい方が最終燃料噴射量QFINとして設定される。
【0068】
ここで、本実施例では、図13に示すように、減算される最大補正量QACC2maxは、そのときどきのねじり振動量の大きさ、つまり、回転数変化量DLNE及び補正量QACC2 に応じて最大補正量QACC2maxが更新されてゆく。すなわち、ねじり振動量の大きさが小さくなるに従って、最大補正量QACC2maxも小さくなる。このため、上記第1実施例で説明した作用効果を奏するのは勿論のこと、そのときどきにおける最大補正量QACC2maxの減量分が大きすぎて最終燃料噴射量QFINが少なすぎることとなってしまうのが回避される。つまり、ねじり振動量が比較的小さくなった場合には、その小さい振動量に見合ったトルク制御が行われるとともに、加速にとって必要な燃料噴射量は十分に確保されうることとなる。その結果、ねじり振動に起因する車両の振動を確実に抑制することができるとともに、車両の高出力特性を最大限に確保することができる。
【0069】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、例えば次の如く構成してもよい。
(1)前記各実施例では、回転数変化量DLNEに対する補正量QACC2 の関係を図8のようにしたが、この関係はかならずしも直線状でなくてもよい。
【0070】
(2)前記第1実施例では、最大回転数変化量DLNEmax に対する減算補正量QFULLKの関係を図9のようにしたが、この関係もかならずしも直線状でなくてもよい。
【0071】
(3)前記第2実施例においては、最大補正量QACC2maxを算出し、それをの減量分として最終燃料噴射量QFINに反映させる構成としたが、減量分がねじり振動量に応じて経時的に直線状又は曲線状にリニアに減少してゆくような構成としてもよい。かかる構成とすることにより、最終燃料噴射量QFINが連続的に変化することとなり、円滑な噴射量制御が実行されうる。
【0072】
(4)前記実施例において、最大回転数変化量DLNEmax は、そのときどき毎に算出された回転数変化量DLNE等により、ねじり振動の一回目のピークに基づいて決定されていた(図6参照)が、最大回転数変化量DLNEmax を決定するに際しては、その外にも種々の方法により決定することができる。例えば、一回目のねじり振動の正及び負側の最大振幅を最大回転数変化量DLNEmax としてもよいし、一回目のねじり振動の負側の最大振幅を最大回転数変化量DLNEmax としてもよい。また、二回目のねじり振動の正側の最大振幅を最大回転数変化量DLNEmax としてもよい。この場合には、車両振動の発生時間との相関関係が高まり、より正確な制御を行うことも可能となる。
【0073】
また、ねじり振動量を検出するための手段としては、回転数変化量DLNE以外のパラメータに基づいて検出するようにしてもよい。
特許請求の範囲の各請求項に記載されないものであって、上記実施例から把握できる技術的思想について以下にその効果とともに記載する。
【0074】
(a)請求項2に記載のディーゼルエンジンのトルク制御装置において、前記所定量は、前記ねじり振動量検出手段により検出されたねじり振動量の大きさの経時的な減衰に伴って連続的に小さくなってゆくことを特徴とする。このような構成とすることにより、より円滑な噴射量制御が実行されうる。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ねじり振動量に基づき、燃料噴射量を制御することによりトルク制御を行うディーゼルエンジンのトルク制御装置において、算出された最終燃料噴射量が最大燃料噴射量を上回る場合であっても、スモークの発生を招くことなく、増量側、減量側のいずれにおいても噴射量制御を行うことができ、もって、車両振動を確実に低減することができるという優れた効果を奏する。
【0076】
また、特に、請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加えて、ねじり振動量が比較的小さくなった場合には、その小さい振動量に見合ったトルク制御が行われるとともに、加速にとって必要な燃料噴射量は十分に確保されうる。その結果、ねじり振動に起因する車両の振動を確実に抑制することができるとともに、車両の高出力特性を最大限に確保することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な概念構成を説明する概念構成図である。
【図2】本発明を具体化した第1実施例におけるディーゼルエンジンのトルク制御装置を示す概略構成図である。
【図3】第1実施例において、ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプを示す断面図である。
【図4】第1実施例において、ECUの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施例において、ECUにより実行される「最大回転数変化量決定ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図6】第1実施例において、ねじり振動が発生したときの時間に対する回転数変化量の関係を示すグラフである。
【図7】第1実施例において、ECUにより実行される「最終燃料噴射量算出ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施例において、回転数変化量に対する補正量の関係を定めたマップである。
【図9】第1実施例において、最大回転数変化量に対する減量補正量の関係を定めたマップである。
【図10】第1実施例において、時間の経過に対する最終燃料噴射量等の関係を従来技術と比較しつつ説明するためのタイミングチャートである。
【図11】本発明を具体化した第2実施例において、ECUにより実行される「最終燃料噴射量算出ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施例において、ECUにより実行される「最大補正量算出サブルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施例において、時間の経過に対するエンジン回転数、回転数変化量、補正量、最大補正量及び最終補正量の関係を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1…燃料噴射手段を構成する燃料噴射ポンプ、2…ディーゼルエンジン、35…ねじり振動量検出手段及び運転状態検出手段を構成する回転数センサ、40…駆動系を構成するクランクシャフト、71…補正量算出手段、基本燃料噴射量算出手段、最大燃料噴射量算出手段、最終燃料噴射量算出手段、第1の噴射量制御手段、修正後最終燃料噴射量設定手段及び第2の噴射量制御手段、場合によってはねじり振動量検出手段、運転状態検出手段を構成するECU、72…運転状態検出手段を検出する吸気温センサ、73…運転状態検出手段を検出するアクセルセンサ、74…運転状態検出手段を検出する吸気圧センサ、75…運転状態検出手段を検出する水温センサ、76…運転状態検出手段を検出するクランク角センサ、77…運転状態検出手段を検出する車速センサ。
Claims (2)
- ディーゼルエンジンの駆動系のねじり振動量を検出するねじり振動量検出手段と、
前記ディーゼルエンジンに燃料を噴射するとともに、その噴射量を調整することにより前記ディーゼルエンジンのトルクを調整可能な燃料噴射手段と、
前記ねじり振動量検出手段により検出されたねじり振動量に基づき、前記トルクを調整するための前記燃料噴射量の補正量を算出する補正量算出手段と、
前記ディーゼルエンジンの負荷及び回転数を含む運転状態を検出するための運転状態検出手段と、
前記運転状態検出手段の検出結果に基づき、基本燃料噴射量を算出する基本燃料噴射量算出手段と、
前記運転状態検出手段の検出結果に基づき、前記ディーゼルエンジンからのスモーク排出抑制のために設定される最大燃料噴射量を算出する最大燃料噴射量算出手段と、
前記基本燃料噴射量算出手段により算出された基本燃料噴射量と前記補正量算出手段により算出された補正量とに基づき最終燃料噴射量を算出する最終燃料噴射量算出手段と、
前記最終燃料噴射量算出手段により算出された最終燃料噴射量に基づき、前記燃料噴射手段を制御して燃料噴射量を制御する第1の噴射量制御手段と
を備えたディーゼルエンジンのトルク制御装置において、
前記最終燃料噴射量算出手段により算出された最終燃料噴射量が前記最大燃料噴射量を上回るとき、該最大燃料噴射量から前記ねじり振動量検出手段により検出されたねじり振動量に基づいて算出された所定量だけ減量した上で前記補正量に基づき補正した値を補正後最大燃料噴射量として設定する補正後最大燃料噴射量設定手段と、
前記補正後最大燃料噴射量設定手段により、補正後最大燃料噴射量が設定された場合には、該補正後最大燃料噴射量に基づき、前記燃料噴射手段を制御して燃料噴射量を制御する第2の噴射量制御手段とを備え、前記補正後最大燃料噴射量は前記最大燃料噴射量を上回らないことを特徴とするディーゼルエンジンのトルク制御装置。 - 請求項1に記載のディーゼルエンジンのトルク制御装置において、
前記補正後最大燃料噴射量設定手段による補正後最大燃料噴射量の設定に際し、前記所定量は、前記ねじり振動量検出手段により検出されたねじり振動量の大きさに応じて可変とすることを特徴とするディーゼルエンジンのトルク制御装置。
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