JP3560383B2 - 多重巻金属管の製造方法およびその装置 - Google Patents

多重巻金属管の製造方法およびその装置 Download PDF

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【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、フープ材(金属帯材)を巻込んでろう付けにて多重巻金属管を製造する方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多重巻金属管の製造方法として、一表面の全面に銅ろう材が施されたフープ材(金属帯材)を成形装置にて壁間が密着するように管体に塑性変形し、その多重巻管体の壁間にあるろう材を加熱装置にて溶融した後、その溶融したろう材を冷却装置にて凝固して製品化する方法がある。この方法における多重巻金属管のろう材を溶融させる手段としては、電気炉を使用する方法と通電による抵抗発熱方式による方法がある。電気炉による方法は、成形装置にて多重巻に成形された金属管をある定寸の長さに切断し、その所定長さの多重巻金属管を順次電気炉に送りろう材を溶融する方法であり、通電による抵抗発熱方式は、成形装置から連続して出てくる管体の長さ方向に互いに間隔をおいて設けられた2つの電極を介して管体に通電し、この管体の抵抗発熱によりろう材を溶融し連続的にろう付けを行う方法である(米国特許第2746141号明細書、西ドイツ国特許第813839号明細書等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の多重巻金属管の製造方法には、以下に示す問題点があった。
すなわち、多重巻成形工程において、成形装置に組込まれた成形工具の摩耗や成形装置の調整不備、コイル上に巻回された長尺(通常1000m以上)のフープ材の機械的性質や寸法変化等により、多重巻壁間に隙間が生じたり、内外のシーム部が剥離したりする場合がある。このような状態の多重巻金属管の場合は、ろう付けしても巻壁間にろう材層が密着しない空隙部が所々にできる場合があり密着性が劣るとともに、シーム部の密着性も悪く、配管としての機能が得られず、不良品として処理せざるを得なかった。
【0004】
さらに、従来の方法は、成形工程で生じる多重巻壁間の隙間を解消する手段がないため、フープ材の機械的性質、例えばスプリングバック等を考慮して材料を選択しなければならず、材料の選択幅が狭く、通常1000m以上の長さを有するフープ材の各寸法のバラツキは補正されることなくそのまま成形されていた。さらに、成形工程で生じる多重巻壁間の隙間を考慮すると、多量のろう材を必要とし銅等のろう材コストが高くつく上、ろう材としての銅層も厚くなり、銅層の増大に伴う脆化の問題も発生する可能性がありあまり好ましいものではなかった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたもので、例え長尺のフープ材の各寸法のバラツキがあっても加熱によってそれを補正して成形するため、多重巻壁間およびシーム部の密着性が極めて良好な高品質の多重巻金属管の製造が可能であり、また材料の選択幅を向上できる多重巻金属管の製造方法およびそれを実施するための装置を提案しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多重巻金属管の製造方法は、多重巻に成形された管体を、該管体の壁間にあるろう材が流動可能な温度未満であってかつ前記管体の母材の軟化点以上に加熱した後、前記多重巻管体の壁を相互に径方向に圧接させ、次いでさらに加熱によりろう材を溶融した後、前記管体を冷却することを特徴とする。
この場合ろう材が流動可能な温度未満であってかつ管体の母材の軟化点以上の温度とは、使用するうろう材とフープ材の材質に応じて適宜設定できる。また、前記多重巻管体の壁を相互に径方向に圧接させるため、前記管体の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧するか、前記管体の内周面を径方向の内方よりほぼ均一に押圧するか、或いは該管体に管軸方向の引張力を付与することを特徴とする。さらに、管体の加熱手段としてはろう付け炉、抵抗加熱装置、または高周波加熱装置で行うことを特徴とし、かつ前記抵抗加熱装置は、直流電源を用いることを特徴とする。
【0007】
また、この発明方法を実施する装置としては、フープ材を多重巻管体に成形する成形装置と、多重巻管体の壁間にあるろう材を溶融する加熱装置と、溶融したろう材を凝固して冷却する冷却装置とを備えた多重巻金属管製造装置において、前記加熱装置は、前記ろう材が流動状態未満であってかつ前記管体の母材の軟化点以上に加熱する一次加熱部分と、前記多重巻管体の壁を相互に径方向に圧接する圧接手段と、前記ろう材を溶融する二次加熱部分とを含むことを特徴とする。またこの装置における圧接手段は管体の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧する手段、前記管体の内周面を径方向の内方よりほぼ均一に押圧する手段、或いは該管体に引張力を付与する手段からなることを特徴とし、前記外方よりほぼ均一に押圧する手段は1組以上の押えロールまたは1以上のダイスからなり、該押えロールに対応する管体の内周面には該内周面を支持する芯金を設けたことを特徴とし、前記内方よりほぼ均一に押圧する手段は前記多重巻管体を拡管するため内装されたプラグまたはメカニカル拡管ヘッドからなり該プラグまたはメカニカル拡管ヘッドの直前または直後に前記管体を外方よりほぼ均一に押圧せしめる押圧手段を設けたことを特徴とし、また管体に管軸方向の引張力を付与する手段は1組以上の管体押えロールと、該押えロールの下流側に配置された1組のピンチロールとからなり、該ピンチロールの径を前記押えロールの径より大とするか或いは回転速度を高くし、該管体押えロールとピンチロールの直前または直後に前記管体を外方よりほぼ均一に押圧せしめる押圧手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明では、多重巻に成形された管体を一次加熱することによって、該管体の壁間にあるろう材が流動可能な温度未満であるが該管体の母材の軟化点以上に加熱された状態で、前記圧接手段により前記壁を相互に径方向に圧接することになるため、成形装置に組み込まれた成形工具の摩耗、コイル状に巻回された長尺のフープ材の機械的性質や各寸法のバラツキ、さらに成形工程による母材の加工硬化などにより、例え常温での管体成形時に管体壁面のろう材層間に空隙が生じていたとしても、各壁の間におけるろう材層は密着して空隙がなくなる。次いで二次加熱により内側の壁が一層馴染んで密着した状態でろう材が溶融して、壁間を流動し、ろう付されるため各壁の間におけるろう付層が存在しない空隙がなくかつ内外シーム部の剥離が防止される。
【0009】
なお、管体の外周面より径方向の外方より押圧する圧接手段としては、例えば通電ロールを用いる方法も考えられるが、通電ロールの場合は、電流を安定的に供給するため銅合金製であり、耐摩耗性が劣る上、高温酸化および高温強度が低いため、多重巻管体の圧接手段に通電ロールを使用した場合には、摩耗や変形により管体の真円度、寸法精度に狂いが生じる上、ロール寿命が極めて短いために実用には供し難い。そのため、この発明では、通電性を考慮することなく、耐摩耗性、高温酸化および高温強度を有する超硬(WC)などの押圧専用ロールまたはダイスを使用できるように、管体の圧接手段を別設する方法をとったのである。
【0010】
ろう材が流動可能な温度未満であってかつ管体の母材の軟化点以上の温度としては、使用するうろう材とフープ材の材質に応じて適宜設定できるが、例えば鉄系(SPCCなど)に対して銅および銅合金をベースにした銅系ろうを使用した場合は600〜800℃以上であって1083℃未満、ステンレス系(SUS304、SUS316など)に対してニッケル系ろうを使用した場合は600〜800℃以上であって890℃未満、アルミニウムおよびアルミニウム合金系(A3003、A5052など)に対してアルミニウムろう(標準型)を使用した場合は150〜450℃以上であって600℃未満等である。
【0011】
なお、管体の母材の軟化点以上、ろう材が流動可能な温度未満の加熱温度に限定した理由は、管体の母材の軟化点未満ではフープ材の機械的性質、例えばスプリングバック等を考慮する必要があり、成形装置に組み込まれた成形工具の摩耗、コイル状に巻回された長尺のフープ材の各寸法のバラツキ、さらに成形工程による母材の加工硬化などにより生じた壁間の空隙の密着が得られず、したがって軟化点以上に加熱して母材を再結晶温度としスプリングバック等を減少して多重巻管体の壁間を密着させるためである。一方、ろう材の流動可能な温度未満とした理由は、ろう材を流動可能な溶融状態とすると内外シーム部よりろう材が流れ出し平滑な表面状況が得られず、また押圧手段が押さえロールやビンチロールによる引張の場合は該ロール外周面にろう材が付着しこれを常時ブラッシングなどにより除去する必要があるからである。以上の理由によって上記温度範囲で一次加熱処理を施した後に圧接手段により壁間を密着させ、その後二次加熱処理によりろう材を溶融させて次の冷却工程に送ることとした。
【0012】
このように、本発明では、加熱により成形工程により生じた母材の残留応力を解除した後、1組以上の加圧成形ロールまたは1つ以上のダイスにより管体の外周面の外方よりほぼ均一に押圧するか、プラグまたはメカニカル拡管ヘッドにより管体の内周面よりほぼ均一に押圧するか、あるいは1組以上の押えロールと1組のピンチロールにより管体に管軸方向の引張力を付与することにより多重巻管体の壁間を圧接し、次いで再度の加熱によりろう材を溶融してろう付けするため、スプリングバック等の機械的性質を考慮して材料を選択する必要がなくなるとともに、例え長尺のフープ材の各寸法にバラツキがあったとしても、また成形装置の調整不備などにより常温での多重巻管体成形時に壁間に空隙があったとしても、多重巻管の壁間および内外シーム部の密着状況が良好で高品質の多重巻管が製造可能である。
【0013】
【実施例】
まず、図1ないし図5は本発明の一実施例装置を示すもので、図1は本発明の一実施例装置を示す概略図、図2は同上装置における多重巻金属管の加圧成形ロールを拡大して示す概略図、図3は同上装置における多重巻金属管の他の圧接手段としてのダイスを拡大して示す縦断側面図であって、1は多重巻成形装置、2は加熱装置、3は冷却装置、4は通電ロール(回転電極)、5は直流電源、6Aは管体の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧する圧接手段としての加圧成形ロール、6Bも同じく管体の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧する圧接手段としてのダイス、10はアンコイラ、11は少なくとも一面にろう材を施したフープ材(金属帯鋼)、12は多重巻管体である。
【0014】
ここで、多重巻成形装置1は例えば多数段の成形用ロール1−1、仕上げ整形ロール1−2等で構成される。アンコイラ10より巻き戻されるフープ材11を連続的に円筒状に成形する構造となっている。また、加熱装置2は例えばライン方向に適当な間隔を隔てて配置した複数対の通電ロール(回転電極)4による抵抗発熱方式を採用し、一次加熱部分2−1と二次加熱部分2−2に分けられている。この加熱装置の内部は非酸化性雰囲気または還元性ガス雰囲気となっている。
【0015】
加熱装置内で分けられて設けられた一次加熱部分2−1はろう材が流動状態未満であってかつ前記管体の母材の軟化点以上に加熱するものであり、一方二次加熱部分2−2は前記ろう材を溶融状態まで加熱するものである。
【0016】
前記一次加熱部分2−1と二次加熱部分2−2との間に配置された加圧成形ロール6Aは例えば図2に示すごとく、1組3個のロール6A−1からなる3ロール型で、成形装置1にて成形された多重巻管体12の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧する構造となっている。この成形ロール6Aの溝の曲率は、多重巻管体の外周の曲率すなわち多重巻成形装置1の最終ロールと同等もしくは僅かに小さく設定する。これは多重巻管体に対しほぼ均一に押圧力を作用せしめるためである。また、この加圧成形ロール6Aは、水冷構造とすることができる。
【0017】
また、ダイス6Bは加圧成形ロール6Aに替えて用いるもので、その構造は図3に示すごとく、加圧成形ロール6Aと同様、成形装置1にて成形された多重巻管体12の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧する構造となっている。このダイスの場合も水冷構造とすることが出来る。
【0018】
冷却装置3は加圧成形ロール6Aまたはダイス6Bの下流側に設置され、溶融状態にあるろう材を該ろう材の凝固点付近まで可及的速やかに冷却するとともに、その後多重巻管体の外周をほぼ均一に冷却するように多数の冷媒噴射ノズル(図示せず)が配置された構造となっている。具体的には、例えば内周に多数のノズル孔を設けた冷却ジャケット型となし、その中を通る多重巻管体に対し前記ノズル孔より冷媒が吹きつけられる構造のものを用いる。冷媒としては、主として不活性ガスや還元性ガス等の気体を用いるが熱媒体油や水等の液体も用いることができる。
【0019】
上記構成の多重巻管製造装置において、少なくとも一表面の巻回時に重合面となる部分、好ましくは全面に例えば銅ろう材が施されたSPCC製のフープ材11はアンコイラ10から巻き戻されて多重巻成形装置1にて例えば二重壁を有する管体に成形され、加熱装置2に導入される。
【0020】
加熱装置2内の、一次加熱部分2−1では直流電源5より複数対の通電ロール4を介して管体に通電し、この管体の抵抗発熱によりろう材が流動可能な温度未満であってかつ前記管体の母材の軟化点以上に加熱される。この時の温度は母材がSPCCでありろう材が銅であるため800〜850℃以上、1083℃未満である。
続いて、前記加熱状態で加圧成形ロール6Aまたはダイス6Bにより多重巻管が径方向の外方よりほぼ均一に押圧され、この押圧により多重巻管の各壁が相互に径方向に圧接される。この時、母材が軟化温度、好ましくは再結晶温度となっているため例え前記成形装置1に組み込まれた成形工具の摩耗や成形装置の調整不備、コイル状に巻回された長尺のフープ材11の機械的性質や各寸法のバラツキ、さらに成形工程による母材の加工硬化などにより、常温での管体成形時に管体壁間に密着しない空隙が生じていたとしても、母材の軟化により多重巻管体12の壁間が圧接され各壁間におけるろう材層は密着して空隙がなくなる。
その後一次加熱部分2−1と同様な加熱装置を有する二次加熱部分2−2により、内側の壁が一層馴染んで密着した状態でろう材は溶融状態となって多重巻管体の壁間に広がり、ろう付されるため各壁間のろう付層が存在しない空隙がなくなり、多重巻管体の内外の壁の一端側(シーム部側)の剥離が防止される。
【0021】
加熱装置2を出た多重巻管体12は、加圧成形ロール6Aまたはダイス6Bの下流側に配置されている冷却装置3によりまず可及的速やかに、その後全体が冷却されることにより多重巻管体の外周面がやがて常温まで冷却され各壁間のろう材が完全に凝固しろう付けが完了する。
【0022】
また、多重巻管体の加熱手段としては、前記の抵抗発熱方式に替えて、図4に示すごとく、高周波加熱コイル15を採用してもよい。この場合、通電ロールは必要ないため、加熱装置2の入口にはガイドロール16を設けるのみでよい。さらに、多重巻管体の加熱手段としては、特公昭29−4613号等で知られている一般的な加熱炉をろう付け炉として使用してもよく、また一次加熱部分2−1と二次加熱部分2−2の加熱手段を同一とすることも、また異なった加熱方式とすることもでき、要は夫々の機能に適したものを選択すればよい。
【0023】
また、前記加圧成形ロール6Aに対応する管体の内周面には、該内周面を支持する手段、例えば図5に示すごとく、ロッド17の先端に装着した芯金18にて支持する手段をさらに付設することができる。このような管体内周面支持手段を設けた場合には、加圧成形ロール6Aによる押圧力が当該管体により有効に作用する。また、芯金18を用いた場合には、この芯金内部に水等を循環させて冷却することもできる。
【0024】
次に、図6ないし図9は本発明の他の実施例装置を示すもので、図6は本発明他の実施例装置の全体構成を示す概略図、図7は同上装置における多重巻管体の圧接手段の他の例を拡大して示す図で、(A)はプラグ、(B)はメカニカル拡管ヘッドをそれぞれ示す。図8は同上装置において多重巻管体の加熱手段を抵抗発熱方式に替えて高周波加熱コイルによる方式を採用した装置を示す概略図、図9は同じく多重巻金属管の圧接手段の直後に押えロールを設けた装置を示す概略図であり、これら実施例では圧接手段を、前記管体の内周面を径方向の内方よりほぼ均一に押圧する手段として構成したものである。すなわち、管体12の内周面を径方向よりほぼ均一に押圧する手段としてプラグ6Cまたはメカニカル拡管ヘッド6Dを設けたものである。
【0025】
図1ないし図5の実施例同様一次加熱部分2−1と二次加熱部分2−2の間に設けたプラグ6Cは、前記案内ロール1−1の上方においてフープ材11のまだ解放している両縁部より多重巻管体12内に挿入された支持ロッド6C−1に装着されており、前記成形装置1にて成形された多重巻管体12の内周面を径方向の内方よりほぼ均一に押圧する構造となっている。また、このプラグ6Cは、水冷構造とすることもできる。
【0026】
次に、メカニカル拡管ヘッド6Dは、プラグ6Cと同様、前記案内ロール1−1の上方においてフープ材11のまだ解放している両縁部より多重巻管体内に挿入されたホーン6D−1の先端に取付けられ、その構造は周知の通り、ホーン内のドローバによって主シリンダと連結されたコーンが、油圧によって軸方向に引かれることによりコーンとジョーの楔作用によってジョーが広がり、ジョーの外側に取付けられたダイが管体を押し広げる機構となっている。
【0027】
この実施例においても加熱装置2内の一次加熱部分2−1では、直流電源より複数対の通電ロール4を介して管体に通電し、この管体12の抵抗発熱により壁間にあるろう材が流動可能な温度未満であってかつ前記管体の母材の軟化点以上に加熱される。続いて、前記加熱状態でプラグ6Cまたはメカニカル拡管ヘッド6Dにより多重巻管が径方向の内方よりほぼ均一に押圧され、この押圧により多重巻管の各壁が相互に径方向に圧接される。この時、母材が再結晶温度となっているためフープ材の各寸法のバラツキや管体成形時に壁面のろう材層間に生じる空隙などがあったとしても、各壁の間におけるろう材層は密着して空隙をなくし、一方プラグ6Cまたはメカニカル拡管ヘッド6Dにより強制的に押圧されるので、壁間が密着される。多重巻管体の最外部の壁の一端側(シーム部側)は密着し、外シーム部の剥離が防止される。その後二次加熱部分2−2により内側の壁が一層馴染んで密着した状態で溶融状態となった各壁間のろう材は多重巻管体12の壁間に流動するため、各壁の間におけるろう付層が存在しない空隙をなくしかつ内外シーム部の剥離が防止される。
【0028】
加熱装置2を出た多重巻管体12は、プラグ6Cまたはメカニカル拡管ヘッド6Dの下流側に配置されている冷却装置3により冷却されることにより各壁間のろう材が完全に凝固しろう付けが完了する。
【0029】
この実施例においても前記装置の多重巻管体の加熱手段として、前記の抵抗発熱方式に替えて、図8に示すごとく、高周波加熱コイル15を採用した場合は、通電ロールは必要ないため、加熱装置の入側及び出側にガイドロール16を設けるのみでよく、さらに、特公昭29−4613号等で知られている一般的な加熱炉をろう付け炉として使用することもできる。
【0030】
また、多重巻管体の圧接用プラグ6Cの直前または直後(図9)に押えロール6´Aを設けた場合には、この押えロール6´Aにより多重巻管体の最外部の壁の一端側(シーム部側)は、この押えロール6´Aにより外部より強制的に押圧されるので、内側の壁と馴染んで密着し、外シーム部の剥離が一層効果的に防止される。
【0031】
さらに図10ないし図12は本発明装置のさらに他の実施例を示すもので、図10は本発明のさらに他の実施例装置の全体構成を示す概略図、図11は本発明のさらに別の実施例の要部を示す概略図、図12は本発明のにさらに別の実施例の要部を示す概略図であって、これら実施例では圧接手段を、前記管体に管軸方向の引張力を付与する手段として構成したものである。すなわち、管体に引張力を付与する手段として管体押えロール6Eとピンチロール6Fを設けた。
【0032】
前記管体に引張力を付与する手段としての管体押えロール6Eおよびピンチロール6Fは、一次加熱部分2−1と二次加熱部分2−2−の間に設けられ、前記多重巻管体12の移送速度を変える手段であり、このうち管体押えロール6Eは例えば、1組3個のロールからなる3ロール型で、成形装置1にて成形された多重巻管体12の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧する構造となっている。
この管体押えロール6Eの溝の曲率は、多重巻管体の外周の曲率すなわち多重巻成形装置1の最終ロールと同等もしくは僅かに小さく設定する。これは多重巻管体に対しほぼ均一に押圧力を作用せしめるためである。一方、ピンチロール6Fは前記管体押えロール6Eの下流側に適当な間隔を隔てて設置され、このロール径を管体押えロール6Eより大径とするか、または回転速度を変えることにより管体押えロール6Eとの間で当該管体に管軸方向の引張力が作用するようになっている。なお、ピンチロール6Fも管体押えロール6E同様に3ロール型とすることが好ましい。
このように管体に管軸方向の引張力が作用することにより、一次加熱部分2−1によりろう材が流動可能な温度未満であってかつ管体12の母材の軟化点以上に加熱された該管体に縮径力が発生し、壁間が圧接される。その後二次加熱部分2−2により壁間にあるろう材が溶融される。
次いで冷却装置3は上記した各実施例同様に管体押えロール6Eまたはピンチロール6Fの下流側に設置され、溶融状態にあるろう材を該ろう材の凝固点付近までまで冷却するとともに、多重巻管体の外周をほぼほぼ均一に冷却できるように多数の冷媒噴射ノズル(図示せず)が配置された構造となっている。
【0033】
また、上記各実施例の他に図11のような加熱装置を用いることができる。すなわち図11では抵抗発熱体により輻射・対流加熱するろう付け炉を用いた例を示し、抵抗加熱体19からなる一次加熱部分2−1と同じく抵抗加熱体19からなる二次加熱部分2−2の間に管体押えロール6Eとピンチロール6Fを設け、一次加熱部分2−1でろう材が流動可能な温度未満であってかつ管体12の母材の軟化点以上に加熱し、次に二次加熱部分2−2でろう材を溶融する。なお6´Aは図9実施例と同様な押えロールであって、この押えロール6´Aにより多重巻管体の最外部の壁の一端側(シーム部側)は、この押えロール6´Aにより外部より強制的に押圧されるので、内側の壁と馴染んで密着し、外シーム部の剥離が防止される。
【0034】
さらに、上記実施例は、フープ材11から多重巻金属管を製造するまで、多重巻管体の成形、ろう材の溶融、およびろう材の冷却が連続的に行われる装置を示したが、図12に示すように、多重巻管体12を成形した後、定尺切断し、該定尺切断された管体を送込みロール14により加熱装置3に送込んでろう材が流動可能な温度未満であってかつ管体の母材の軟化点以上に加熱し、次いで多重巻管体12の壁を相互に圧接した後ろう材を溶融し、その後冷却装置3で溶融ろう材を冷却、凝固するよう構成することもできる。図12による実施例では、従来の多重巻管体成形装置を用いて高速で効率的に成形され定尺切断された管体を、複数個併設した本発明に係る多重巻金属管製造装置により大量生産することができるため、生産性を大幅に向上させることが可能となる。
【0035】
なお、図6ないし図12の実施例において特に説明をしなかった構成及び作用効果は図1ないし図5の実施例と同様である。
また、上記の実施例においては二次加熱部分2−2においてろう材を溶融し、その後冷却装置3に多重巻管体12を導入したが、二次加熱部分2−2によりろう材が流動可能な状態にある時、さらに本発明で説明した加圧成形ロールまたはダイスにより管体の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧したり、プラグまたはメカニカル拡管ヘッドにより前記管体の内周面を径方向の内方よりほぼ均一に押圧したり、或いは押えロールとピンチロールにより該管体に管軸方向の引張力を付与して多重巻管体の壁を相互に径方向に圧接させてもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明によれば、以下に記載する効果を奏する。
(1)加熱により、成形による母材の残留応力を解除した後、再度壁間を圧接するため、スプリングバック等の機械的性質やフープ材の各寸法のバラツキ等を考慮して材料を選択する必要がなくなり、材料の選択幅を向上できる。
(2)多重巻金属管の各壁間が径方向に圧接した後ろう付けされるため、ろう材層を薄くでき、したがってろう材層の増大に伴う脆化を減少しかつろう材の使用量を低減できる。
(3)ろう材流動可能な温度未満であってかつ前記管体の母材の軟化点以上に加熱したのち壁間が圧接されるので、例え常温での管体成形時に管体壁面のろう材層間に空隙があっても、各壁間におけるろう材層は密着して空隙をなくし、次の加熱により内側の壁が一層馴染んで密着した状態で溶融ろう材が壁間を流動してろう付されるので各壁間におけるろう付層が存在しない空隙がなく、密着性良好な多重巻金属管が得られる。
(4)多重巻成形工程において成形工具の摩耗や成形装置の調整不備、フープ材の機械的性質や各寸法のバラツキ等により多重巻壁間に隙間が生じても、ろう付層が存在しない空隙がなく、内外のシーム部の剥離が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】同上装置における多重巻金属管の圧接手段としての加圧成形ロールを拡大して示す概略図である。
【図3】同上装置における多重巻金属管の他の圧接手段としてのダイスを拡大して示す縦断側面図である。
【図4】同上装置における加熱装置の他の実施例を示す概略図である。
【図5】同上装置における多重巻管体の他の加熱手段を示す加熱装置の概略図である。
【図6】この発明の他の実施例装置の全体構成を示す概略図である。
【図7】同上装置における多重巻管体の圧接手段の他の例を拡大して示す図で、(A)はプラグ、(B)はメカニカル拡管ヘッドをそれぞれ示す。
【図8】同上装置において多重巻管体の加熱手段を抵抗発熱方式に替えて高周波加熱コイルによる方式を採用した装置を示す概略図である。
【図9】同じく多重巻金属管の圧接手段の直後に押えロールを設けた装置を示す概略図である。
【図10】この発明のさらに他の実施例装置の全体構成を示す概略図である。
【図11】本発明装置のさらに別の実施例の要部を示す概略図である。
【図12】本発明装置のさらに他の実施例の要部を示す概略図である。
【符号の説明】
1 多重巻成形装置
2 加熱装置
2−1 一次加熱部分
2−2 二次加熱部分
3 冷却装置
4 通電ロール(回転電極)
5 直流電源
6A 加圧成形ロール
6B ダイス
6C プラグ
6D メカニカル拡管ヘッド
6E 管体押えロール
6F ピンチロール
10 アンコイラ
11 フープ材(金属帯鋼)
12 多重巻管体
14 送込みロール
15 高周波加熱コイル
16 ガイドロール
17 ロッド
18 芯金
19 抵抗加熱体

Claims (12)

  1. 多重巻に成形された管体を、該管体の壁間にあるろう材が流動可能な温度未満であってかつ前記管体の母材の軟化点以上に加熱した後、前記多重巻管体の壁を相互に径方向に圧接させ、次いでさらに加熱によりろう材を溶融した後、前記管体を冷却することを特徴とする多重巻金属管の製造方法。
  2. 前記多重巻管体の壁を相互に径方向に圧接させるため、前記管体の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧する工程、前記管体の内周面を径方向の内方よりほぼ均一に押圧する工程、或いは該管体に管軸方向の引張力を付与する工程のうち少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1記載の多重巻金属管の製造方法。
  3. 前記加熱は、ろう付け炉、抵抗加熱装置、または高周波加熱装置のうち少なくとも1つで行うことを特徴とする請求項1記載の多重巻金属管の製造方法。
  4. 前記抵抗加熱装置では、直流電源を用いることを特徴とする請求項3記載の多重巻金属管の製造方法。
  5. フープ材を多重巻管体に成形する成形装置と、多重巻管体の壁間にあるろう材を溶融するまで加熱する加熱装置と、溶融したろう材を凝固して冷却する冷却装置とを備えた多重巻金属管製造装置において、前記加熱装置は、前記ろう材が流動状態未満であってかつ前記管体の母材の軟化点以上に加熱する一次加熱部分と、前記多重巻管体の壁を相互に径方向に圧接する圧接手段と、前記ろう材を溶融する二次加熱部分とを含むことを特徴とする多重巻金属管の製造装置。
  6. 前記圧接手段は管体の外周面を径方向の外方よりほぼ均一に押圧する手段、前記管体の内周面を径方向の内方よりほぼ均一に押圧する手段、或いは該管体に管軸方向の引張力を付与する手段のうち少なくとも1つからなることを特徴とする請求項5記載の多重巻金属管の製造装置。
  7. 前記外方よりほぼ均一に押圧する手段は1組以上の押えロールまたは1以上のダイスからなることを特徴とする請求項6記載の多重巻金属管の製造装置。
  8. 前記押えロールに対応する管体の内周面には、該内周面を支持する芯金をさらに設けたことを特徴とする請求項7記載の多重巻金属管の製造装置。
  9. 前記内方よりほぼ均一に押圧する手段は前記多重巻管体を拡管するため内装されたプラグまたはメカニカル拡管ヘッドからなることを特徴とする請求項6記載の多重巻金属管の製造装置。
  10. 前記プラグまたはメカニカル拡管ヘッドの直前または直後に、前記管体の外周面を外方よりほぼ均一に押圧せしめる押圧手段をさらに設けたことを特徴とする請求項9記載の多重巻金属管の製造装置。
  11. 前記管体に管軸方向の引張力を付与する手段は1組以上の管体押えロールと、該押えロールの下流側に配置された1組のピンチロールとからなり、該ピンチロールの径を前記押えロールの径より大とするか或いは回転速度を高くすることを特徴とする請求項6記載の多重巻金属管の製造装置。
  12. 前記押えロールとピンチロールの直前または直後に、前記管体の外周面を外方よりほぼ均一に押圧せしめる押圧手段をさらに設けたことを特徴とする請求項11記載の多重巻金属管の製造装置。
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