JP3562662B2 - 多重巻金属管の製造方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、フープ材(金属帯材)を巻込んでろう付けにて多重巻金属管を製造する方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
多重巻金属管の製造方法として、一表面の全面に銅ろう材が施されたフープ材(金属帯材)を成形装置にて管体に塑性変形し、その多重巻管体の壁間にあるろう材を加熱装置にて溶融した後、その溶融したろう材を冷却装置にて凝固して製品化する方法がある。この方法における多重巻金属管のろう材を溶融させる手段としては、電気炉を使用する方法と通電による抵抗発熱方式による方法がある。電気炉による方法は、成形装置にて多重巻に成形された金属管をある定寸の長さに切断し、その所定長さの多重巻金属管を順次電気炉に送りろう材を溶融する方法であり、通電による抵抗発熱方式は、成形装置から連続して出てくる管体の長さ方向に互いに間隔をおいて設けられた2つの電極を介して管体に通電し、この管体の抵抗発熱によりろう材を溶融し連続的にろう付けを行う方法である(米国特許第2746141号明細書、西ドイツ国特許第813839号明細書等参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の多重巻金属管の製造方法には、以下に示す問題点があった。
すなわち、多重巻成形工程において、成形装置に組込まれた成形工具の摩耗、コイル上に巻回された長尺(通常1000m以上)のフープ材の機械的性質や寸法変化等により、多重巻壁間に隙間が生じたり、内外のシーム部が剥離したりする場合がある。このような状態の多重巻金属管の場合は、ろう付けしても巻壁間にろう材層が密着しない空隙部が所々にできる場合があり密着性が劣るとともに、シーム部の密着性も悪く、配管としての機能が得られず、不良品として処理せざるを得なかった。
また、従来法により製造された多重巻金属管は巻壁間にろう付層が存在しない空隙部ができる場合があり密着性が劣るとともに、外シーム部には段差が生じるためゴムホースやOリングなどの挿入使用時の管外周表面とのシール性が要求される場合に品質的に問題となる可能性があった。
【0004】
さらに、従来の方法は、成形工程で生じる多重巻壁間の隙間を解消する手段がないため、フープ材の機械的性質、例えばスプリングバック等を考慮して材料を選択しなければならず、材料の選択幅が狭く、通常1000m以上の長さを有するフープ材の各寸法のバラツキは補正されることなくそのまま成形されていた。さらに、成形工程で生じる多重巻壁間の隙間を考慮すると、多量のろう材を必要とし銅等のろう材コストが高くつく上、ろう材としての銅層も厚くなり、銅層の増大に伴う脆化の問題も発生する可能性がありあまり好ましいものではなかった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたもので、例え長尺のフープ材の各寸法のバラツキがあっても加熱によってそれを補正して成形するため、多重巻壁間およびシーム部の密着性が極めて良好な高品質の多重巻金属管の製造が可能であり、また材料の選択幅を向上できる上、銅層に伴う脆化を減少しかつろう材の使用量を低減できる多重巻金属管の製造方法およびそれを実施するための装置を提案しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多重巻金属管の製造方法は、多重巻に成形され移送されている管体の壁間にあるろう材の少なくとも外周側が加熱により流動可能な温度にある時、前記管体の移送速度を変えて該管体に管軸方向の引張力を付与することにより前記壁を相互に径方向に圧接させ、次いで冷却することを特徴とする。この場合のろう材の流動可能温度は、使用するろう材とフープ材の材質に応じて設定する。また、冷却に際しては、径方向の圧接後に可及的速やかに一次冷却し、続いて二次冷却することを特徴とする。また、管体の加熱手段としては、ろう付け炉、抵抗加熱装置、または高周波加熱装置で行うことを特徴とし、かつ抵抗加熱装置の場合は、直流電源を用いることを特徴とする。さらに、前記管軸方向の引張りの直前または直後の少なくとも一方でさらに前記管体の外周面を径方向の外方より均一に押圧せしめることを特徴とする。
【0007】
また、この発明方法を実施するための装置としては、フープ材を多重巻管体に成形する成形装置と、多重巻管体の壁間にあるろう材を溶融する加熱装置と、溶融したろう材を凝固して管体を冷却する冷却装置と、前記加熱装置と冷却装置まで前記管体を移送する手段を備えた多重巻金属管製造装置において、前記ろう材が流動状態にある時前記管体を管軸方向に引張り前記壁が相互に径方向に圧接するよう前記移送装置の移送速度可変手段を前記加熱装置内から冷却装置入口までの間に設けたことを特徴とする。また、この装置における移送速度可変手段は、1組以上の管体押えロールと、該押えロールの下流側に隣接する1組のピンチロールとからなり、該ピンチロールの径を前記押えロールの径より大とするかあるいは回転速度を高くする手段を用いることを特徴とし、さらに、前記冷却装置は、前記ろう材をその凝固点付近まで急冷却する一次冷却手段と、前記管体を室温付近まで冷却する二次冷却手段とからなり、前記一次冷却手段は前記移送速度可変手段の直後に、多重巻管体の外周面を冷却するように配置した冷媒噴射ノズルであることを特徴とする。また、前記1組の管体押えロールには3個構成のものを用い、かつ押えロールの溝の曲率は、多重巻管体の外径の曲率と同等または僅かに小さいことを特徴とする。また、前記移送速度可変手段の直前または直後の少なくとも一方に多重巻管体の外方より均一に押圧せしめる手段をさらに設けたことを特徴とし、さらに前記押圧手段は1組以上の押えロールまたはダイスからなることを特徴とするものであり、さらに前記押圧手段を前記一次冷却手段として使用することを特徴とするものである。
【0008】
【作用】
本発明では、多重巻に成形された管体の壁間にあるろう材の少なくとも外周側が加熱により流動可能な温度にある時、1組以上の管体押えロールと該押えロールの下流側に隣接する1組のピンチロールとからなる移送速度可変手段により、前記管体の移送速度を変えて管体に管軸方向の引張力を付与することにより、管体に縮径力が発生し、ろう材が加熱され流動性が得られた溶融状態で壁間が圧接されるので、各壁の間におけるろう付層が存在しない空隙が減少するとともに、ろう材が圧接により押出され外シーム部が充填されて段差が減少ないし埋められる。また、多重巻金属管の最外部の壁の一端側が押圧されるため、好ましくは外部より強制的に押圧される結果、例え長尺のフープ材の各寸法にバラツキがあっても内側の壁と馴染んで外シーム部の剥離が防止され当該部分の密着性が向上する。
なお、ろう材は管体が少なくともピンチロールと当接する位置において流動可能な状態となっていれば充分であって、管体押えロール通過時においては必ずしも流動可能な状態である必要はない。換言すると、管体押えロールは、加熱前ないし加熱中の位置に配設することもできる。
【0009】
前記移送速度可変手段の直後に、多重巻管体の外周面を冷却するように冷媒噴射ノズルを配置して一次冷却手段とすると、流動可能な温度にあるろう材は該ろう材の凝固点付近まで急冷却されるため、溶融したろう材のタレ(ろうダレ)が防止され、かつ壁間の圧接状態が維持されるとともに母材の結晶粒の成長も抑制することができる。
【0010】
本発明において、ろう材の流動可能な温度としては、例えば銅および銅合金をベースにした銅ろうは800〜1200℃、ニッケルろう(NiーP系)は875〜890℃、アルミニウムろう(標準型)は500〜600℃等である。
【0011】
また、フープ材としては、鉄(SPCC等)、ステンレス(SUS304、SUS316等)、銅(C1220R、C2600R、NCuR等)、アルミニウム(A3003、A5052等)等がある。
【0012】
なお、管体の加熱温度は、使用するろう材およびフープ材に応じて、ろう材の流動性が得られ、かつ母材(フープ材)の急激な劣化を招かないように設定する。
【0013】
本発明では、多重巻金属管は径方向の圧接後に可及的速やかに急冷却(一次冷却)されるので、ろうダレを防止でき、壁間の圧接状態が維持されるとともに結晶粒の成長を抑制できる。
【0014】
また、本発明では、加熱により母材の応力を解除した後、または解除しつつ再度壁間を圧接するため、スプリングバック等の機械的性質を考慮して材料を選択する必要がなくなるとともに、例え長尺のフープ材の各寸法にバラツキがあっても多重巻管の壁間の密着状況が良好で高品質の多重巻管が製造可能である。
【0015】
さらに、多重巻金属管の各壁間が径方向に圧接した状態でろう付けされるため、ろう材を薄くでき、ろう材の使用量を低減できるとともに、ろう材の鉄素地への拡散が減少するため母材の脆化を防止できる。
【0016】
【実施例】
図1は本発明の一実施例装置を示す概略図、図2は同上装置における3個構成の管体押えロールを拡大して示す概略図であり、1は多重巻成形装置、2は管体移送用ローラ、3は加熱装置、4は冷却装置、5は通電ロール(回転電極)、6は直流電源、7は管体押えロール、8はピンチロール、9は冷媒噴射ノズル、10はフープ材(金属帯鋼)、11は多重巻管体である。
【0017】
ここで、多重巻成形装置1は例えば多数段の成形用ロール1−1で構成されており、アンコイラ(図示せず)より巻き戻されるフープ材10を連続的に円筒状に成形する構造となっている。また、加熱装置3は例えばライン方向に適当な間隔を隔てて配置した複数対の通電ロール(回転電極)5による抵抗発熱方式を採用する。この加熱装置の内部は非酸化性雰囲気または還元性ガス雰囲気となっている。
【0018】
管体押えロール7およびピンチロール8は、管体の移送速度を変える手段であり、このうち管体押えロール7は図2に示すごとく例えば、1組3個のロール7−1からなる3ロール型で、成形装置1にて成形された多重巻管体11の外周面を径方向の外方より均一に押圧する構造となっている。この管体押えロール7の溝の曲率は、多重巻管体の外周の曲率すなわち多重巻成形装置1の最終ロールと同等もしくは僅かに小さく設定する。これは多重巻管体に対し均一に押圧力を作用せしめるためである。一方、ピンチロール8は前記管体押えロール7の下流側に適当な間隔を隔てて隣接設置され、このロール径を管体押えロール7より大径とするか、または回転速度を変えることにより管体押えロール7との間で当該管体に管軸方向の引張力が作用するようになっている。なお、ピンチロール8も管体押えロール7同様に3ロール型とすることが好ましい。このように管体に管軸方向の引張力が作用することにより、管体に縮径力が発生し、ろう材が加熱され流動性が得られた溶融状態で壁間が圧接される。
【0019】
上記管体押えロール7およびピンチロール8の設置位置は、多重巻管体の壁間のろう材が溶融状態にある間に多重巻管体の壁を径方向に圧接させなければならないため、加熱装置3内から冷却装置4の入口側の間とするが、図1のように必ずしも最終通電ロール5の直後である必要はなく、例えば最終通電ロール5とその前段の通電ロール5との間に設置しても同様の作用効果が得られる。
なお、多重巻管体を径方向の圧接後に可及的速やかに冷却する一次冷却手段として、ピンチロール8の直後にノズル9を設けてこのノズルより冷媒を噴射して多重巻管の外周面を急冷却することができ、このノズルにより溶融状態にあるろう材を該ろう材の凝固点付近まで、好ましくは凝固点以下まで急冷却される。
【0020】
冷却装置3は管体押えロール7またはピンチロール8の下流側に設置され、溶融状態にあるろう材を該ろう材の凝固点付近までまで急冷却するとともに、多重巻管体の外周を均一に冷却できるように多数の冷媒噴射ノズル(図示せず)が配置された構造となっている。具体的には、例えば内周に多数のノズル孔を設けた冷却ジャケット型となし、その中を通る多重巻管体に対し前記ノズル孔より冷媒が吹きつけられる構造のものを用いる。冷媒としては、主として不活性ガスや還元性ガス等の気体を用いるが熱媒体油や水等の液体も用いることができる。
なお、冷却装置としては、冷媒ノズルからなる一次冷却手段と、管体押えロール7またはピンチロール8の下流側に設置された冷却装置からなる二次冷却手段とから構成することが好ましいが、冷却装置3においてろう材の凝固点付近までの急冷却と多重巻管の冷却とを行うようにすることもできる。
【0021】
上記構成の多重巻管製造装置において、少なくとも一表面の巻回時に重合面となる部分、好ましくは全面に例えば銅ろう材が施されたフープ材(SPCC)10はアンコイラ(図面省略)から巻き戻されて多重巻成形装置1にて例えば二重壁を有する管体に成形され、管体移送用ローラ2にて所定の速度で移送されながら加熱装置3に導入される。加熱装置3では、直流電源6より複数の通電ロール5を介して管体に通電し、この管体の抵抗発熱により壁間にあるろう材が溶融する。この時の温度はろう材が銅であるため1080〜1200℃である。
【0022】
続いて、このろう材が溶融している状態で管体押えロール7とピンチロール8との間で当該管体に管軸方向の引張力を付与する。これにより多重巻管体の各壁が相互に径方向に圧接される。この時、各壁間のろう材は未だ溶融状態にあるため壁間に広がり、ろう材が存在しない空隙が減少するとともに、外シーム部にろう材が押出されて当該部分がろう材で埋まることにより段差が減少ないし無くなる。同時に、この多重巻管体の最外部の壁の一端側(シーム部側)は、径方向の圧接により内側の壁と馴染んで密着し、外シーム部の剥離が防止される。
【0023】
また多重巻管体11は、好ましくはピンチロール8の直後に配置されている冷媒噴射ノズル9により一次冷却され、溶融状態のろう材はろう材の凝固点付近、好ましくは凝固点以下まで急冷却される。このような一次冷却効果によりろうダレが防止され壁間の圧接状態が維持されると共に結晶粒の成長が抑制される。
一方加熱装置を出た加熱管体11はピンチロール8の下流側に配置されている冷却装置4により二次冷却されることにより、多重巻管体の外周面が冷却され各壁間のろう材が完全に凝固しろう付が完了する。
【0024】
上記の多重巻管製造装置により製造された本発明の多重巻管は、各壁の間におけるろう付層が存在しない空隙のない密着性良好な薄いろう付層が得られ、かつ外シーム部がろう材で充填されて段差が埋められ全外周面がほぼ平滑に形成された高品質のものが得られる。
【0025】
また、他の実施例として、本発明では図3に示すごとく、前記管体押えロール7およびピンチロール8とからなる管体移送速度可変手段の直前または直後、すなわち管体押えロール7の直前またはピンチロール8の直後に、例えば前記管体押えロール7と同じ3ロール型の押えロール12、または図4に示すダイス15等の押圧手段を配設する。そうすることにより、各壁の間におけるろう付層が存在しない空隙をより少なくすることができる上、外シーム部の段差をより解消することができる。
さらに、押えロール12またはダイス15を水冷構造とすることにより、この押圧手段をろう材を凝固点付近、好ましくは凝固点以下まで急冷却する一次冷却手段に供することができる。
【0026】
なお、多重巻管体の加熱手段としては、前記の抵抗発熱方式に替えて、図5に示すごとく、高周波加熱コイル13を採用してもよい。この場合、通電ロールは必要ないため、加熱装置の入口にはガイドロール14を設けるのみでよい。さらに、多重巻管体の加熱手段としては、特公昭29−4613号等で知られている一般的な加熱炉をろう付け炉として使用してもよい。
【0027】
さらに、上記実施例は、フープ材10から多重巻金属管を製造するまで、多重巻管体の成形、ろう材の溶融、およびろう材の冷却が連続的に行われる装置を示したが、図6に示すように、多重巻管体11を成形した後、定尺切断し、該定尺切断された管体を送込みロール16により加熱装置3に送込んでろう材を溶融し、次いで冷却装置4で溶融ろう材を冷却、凝固するよう構成することもできる。図6による実施例では、従来の多重巻管体成形装置を用いて高速で効率的に成形され定尺切断された管体を、複数個併設した本発明に係る多重巻金属管製造装置により大量生産することができるため、生産性を大幅に向上させることが可能となる。
【0028】
また、上記各実施例ではろう材が流動可能な状態となってから管体押えロール7およびピンチロール8により当該管体に管軸方向の引張力を付与して多重巻管体の壁を径方向に圧接する例を示したが、図7および図8のように管体11を加熱する前または加熱中の位置に管体押えロール7を配置し、かつこの加熱によってろう材が流動可能な状態になる位置にピンチロール8を設け、これを管体と当接せしめるよう構成することもできる。すなわち、図7のように高周波加熱コイル13の上流側に管体押えロール7を設け、一方該コイルの下流側にピンチロール8を配置する。したがって、ろう材は、管体押えロールを通過するときには固体状態ないし軟化状態であるが、高周波加熱コイル13を通過して流動可能な状態となりピンチロール8により引張力を付与されることとなる。また、図8のように抵抗発熱体により輻射・対流加熱するろう付け炉の場合には、抵抗加熱体17の間に管体押えロール7を設け、抵抗加熱体の下流側にピンチロール8を設け、ろう材が軟化した状態で管体11が押えロール7と当接し、さらにろう材が加熱され溶融した状態でピンチロール8と当接させる。このようにろう材が流動可能な状態となった時、少なくともピンチロールと当接させることが肝要である。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明によれば、以下に記載する効果を奏する。
(1)外シーム部がろう材で充填されて段差が埋められ全外周面がほぼ平滑に形成された多重巻金属管が得られるため、この多重巻金属管に例えば樹脂チューブやOリング等を外嵌した場合にそれらの内周面との間に隙間を生ぜずシール性の高い多重巻金属管が得られる。
(2)ろう材が溶融している状態で壁間が圧接されるので、各壁の間におけるろう付層が存在しない空隙の少ない密着性良好な多重巻金属管が得られる。
(3)多重巻成形工程において成形工具の摩耗、フープ材の機械的性質や寸法のバラツキ等により多重巻壁間に隙間が生じても、内外のシーム部の剥離が防止される。
(4)多重巻管体の一次冷却を、径方向の圧接後に可及的速やかに行うため、ろうダレが防止されて平滑な外表面が得られ、後のめっき処理等が容易となり、かつ壁間の圧接状態が維持され結晶粒の成長が抑制される。
(5)加熱により、成形による母材の残留応力を解除した後、または解除しつつ再度壁間を圧接するため、スプリングバック等の機械的性質やフープ材の各寸法のバラツキ等を考慮して材料を選択する必要がなくなり、材料の選択幅を向上できる。
(6)多重巻金属管の各壁間が径方向に圧接した状態でろう付けされるため、ろう材を薄くできろう材の使用量を低減でき、従ってろう材層の増大に伴う脆化を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】同上装置における3個構成の管体押えロールを拡大して示す概略図である。
【図3】同上装置における管体圧接部の他の実施例を示す概略図である。
【図4】同上装置における管体押圧手段としてのダイスを示す縦断側面図である。
【図5】同上装置における多重巻管体の他の加熱手段を示す概略図である。
【図6】本発明装置の他の実施例の要部を示す概略図である。
【図7】本発明装置のさらに他の実施例の要部を示す概略図である。
【図8】本発明装置のさらに別の実施例の要部を示す概略図である。
【符号の説明】
1 多重巻成形装置
2 管体移送用ロール
3 加熱装置
4 冷却装置
5 通電ロール(回転電極)
6 直流電源
7 管体押えロール
8 ピンチロール
9 冷媒噴射ノズル
10 フープ材
11 多重巻管体
12 押えロール
13 高周波加熱コイル
14 ガイドロール
15 ダイス
16 送込みロール
17 抵抗発熱体
Claims (14)
- 多重巻に成形され移送されている管体の壁間にあるろう材の少なくとも外周側が加熱により流動可能な温度にある時、管体の移送速度を変えて該管体に管軸方向の引張力を付与することにより前記壁を相互に径方向に圧接させ、次いで冷却することを特徴とする多重巻金属管の製造方法。
- 前記径方向の圧接と同時または可及的速やかに一次冷却し、続いて二次冷却することを特徴とする請求項1記載の多重巻金属管の製造方法。
- 前記径方向の圧接と同時または可及的速やかに行う一次冷却により、前記した流動可能な状態にあるろう材を該ろう材の凝固点付近まで急冷却することを特徴とする請求項2記載の多重巻金属管の製造方法。
- 前記加熱は、ろう付け炉、抵抗加熱装置、または高周波加熱装置で行うことを特徴とする請求項1記載の多重巻金属管の製造方法。
- 前記抵抗加熱装置では、直流電源を用いることを特徴とする請求項4記載の多重巻金属管の製造方法。
- 前記管軸方向の引張の直前または直後の少なくとも一方でさらに前記管体の外周面を径方向の外方より均一に押圧せしめることを特徴とする請求項1記載の多重巻金属管の製造方法。
- フープ材を多重巻管体に成形する成形装置と、多重巻管体の壁間にあるろう材を溶融する加熱装置と、溶融したろう材を凝固して冷却する冷却装置と、前記加熱装置と冷却装置まで前記管体を移送する手段を備えた多重巻金属管製造装置において、前記ろう材が流動状態にある時前記管体を管軸方向に引張り前記壁が相互に径方向に圧接するよう前記移送装置の移送速度可変手段を前記加熱装置内から冷却装置入口までの間に設けたことを特徴とする多重巻金属管の製造装置。
- 前記移送速度可変手段は、1組以上の管体押えロールと、該押えロールの下流側に隣接する1組のピンチロールとからなり、該ピンチロールの径を前記押えロールの径より大とするかあるいは回転速度を高くする手段を用いることを特徴とする請求項7記載の多重巻金属管の製造装置。
- 前記1組の管体押えロールまたはピンチロールは、3個構成となしていることを特徴とする請求項8記載の多重巻管の製造装置。
- 前記管体押えロールの溝の曲率は、多重巻管体の外径の曲率と同等または僅かに小さいことを特徴とする請求項7記載の多重巻管の製造装置。
- 前記冷却装置は、前記ろう材をその凝固点付近まで急冷却する一次冷却手段と、前記管体を室温付近まで冷却する二次冷却手段とからなり、前記一次冷却手段は、前記移送速度可変手段の直後に、多重巻管体の外周面を急冷却するように配置した冷媒噴射ノズルであることを特徴とする請求項7または8記載の多重巻管の製造装置。
- 前記移送速度可変手段の直前または直後の少なくとも一方に多重巻管体の外方より均一に押圧せしめる押圧手段をさらに設けたことを特徴とする請求項7または8記載の多重巻管の製造装置。
- 前記押圧手段は、1組以上の押えロールまたはダイスからなることを特徴とする請求項12記載の多重巻管の製造装置。
- 前記押圧手段を前記一次冷却手段として用いたことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか1項記載の多重巻管の製造装置。
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