JP4100767B2 - 多重巻ステンレス鋼管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステンレス鋼板からなるフープ材を巻込んでろう付けにて製造する多重巻ステンレス鋼管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に多重巻金属管は、表面にろう材が施されたフープ材(金属帯材)を成形装置にて管体に塑性変形し、その多重巻管体を壁間にあるろう材を加熱装置にて溶融した後、その溶融したろう材を冷却装置にて凝固して製品化される。しかるに多重巻ステンレス鋼管の場合は、ステンレス鋼板に直接銅めっきを施すことは非常に困難であるため、一般的にはステンレス鋼板表面にNiめっきを施し、そのNiめっき層の上にCuめっきを施したステンレス鋼板をフープ材として用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の多重巻ステンレス鋼管には、以下に示す問題点があった。
すなわち、ステンレス鋼板表面とCuめっき層との間にNiメッキ層を介在させたステンレス鋼板をフープ材として用いた場合には、加熱装置にてろう付けする際CuとNiが合金化してしまい、塑性加工を施す配管部品として利用できないという難点があった。
【0004】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みなされたもので、CuとNiの合金化を防止し、延性を有するろう付層を保持し得る多重巻ステンレス鋼管を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る多重巻ステンレス鋼管は、表面にろう材が施されたステンレス鋼板からなるフープ材を管体に塑性変形し、その多重巻管体の壁間にあるろう材を溶融した後、その溶融したろう材を冷却して製造する多重巻ステンレス鋼管であって、フープ材として表面にNiめっきを施し、該Niめっきの上にFe層を形成し、さらに該Fe層の上にCuめっきを施したステンレス鋼板を用い、かつ多重巻に成形された管体の壁間に存在する前記Ni層、Fe層およびCu層が拡散して接合してなることを特徴とするものである。
【0006】
すなわち、本発明はNiとCuの直接の合金化を防止するために、Ni層とCu層の間にFe層を介在させたことを特徴とするもので、このようにNi層とCu層の間にFe層を介在させた場合には、多重巻管体の壁間にNi層、Fe層およびCu層に加えて、3つの拡散層すなわちSUSーNi拡散層、FeーNi拡散層およびFeーCu拡散層が形成される。したがって、本発明ではNiとCuの直接の合金化が防止されることとなる。
【0007】
なお、本発明に係る多重巻ステンレス鋼管を製造する方法としては、フープ材を成形装置にて管体に塑性変形し、その多重巻管体の壁間にあるろう材が加熱装置にて溶融状態にある時、当該管体に対し径方向の内方あるいは外方より均一に押圧するか、または前記管体を軸方向に引張って多重巻壁を相互に圧接させ、ついで冷却装置にて凝固して製品化する方法を採用することができる。前記成形装置はフープ材の案内ロール、多重巻に成形する成形ロールおよび仕上整型ロールが順次配置され、さらにフープ材の案内ロール側からスイマ付きロッドが配置されて構成されたものが一般的である。ここで、多重巻管体に対し径方向の内方あるいは外方より均一に押圧力を付与するか、または前記管体を軸方向に引張って軸方向の引張力を付与するのは、壁間におけるろう付け層が存在しない空隙部を可及的になくすためと、フープ材に寸法上のバラツキがあっても外シーム部の密着性を向上させるためである。この手段としては、例えば管体に内装されたプラグまたはメカニカル拡管ヘッドによる方法や押圧ロールを用いる方法、あるいは管体の移送速度を変えて該管体に管軸方向の引張力を付与することにより多重壁を相互に径方向に圧接させる方法などがある。
【0008】
本発明に係る多重巻ステンレス鋼管は、Ni層とCu層の間にFe層を介在させたことによりNiとCuの直接の合金化を防止することができ、延性を有するろう付層を保持することができることとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る多重巻ステンレス鋼管のフープ材(ろう付け前)の断面構造の一部を拡大して示す縦断側面図、図2は同上のフープ材を用いたろう付け後の多重巻ステンレス鋼管の一部の断面構造を拡大して示す概略側面図、図3は同上の多重巻ステンレス鋼管製造装置の全体構成例を示す概略図である。なおここでは二重巻ステンレス鋼管を例にとり説明する。
【0010】
本発明に係る二重巻ステンレス鋼管のフープ材は図1にその断面構造を示すごとく、ステンレス母材1−1の両面にNiめっきを施してNiめっき層1ー2を形成し、ついでこのNiめっき層1ー2の上にFe層1−3を形成し、さらに該Fe層1−3の上にCuめっきを施してCuめっき層1−4を形成してろう材を構成する。
【0011】
次に上記フープ材1を用いて二重巻ステンレス鋼管を製造する装置について説明する。
図3に示す二重巻成形装置11は、二重巻管に形成されるフープ材1を成形工程に案内する案内ロール11−1、フープ材1を板状から二重巻管に成形する多数の対の造管または成形ロール11−2および仕上整型ロール11−3が順次配置され、かつ前記案内ロール11−1側からスイマ付きロッド11−4が配置された構成となしている。
【0012】
加熱装置12は、例えばライン方向に適当な間隔を隔てて配置した複数の通電ロール(回転電極)12−1による抵抗発熱方式を採用する。この加熱装置の内部は非酸化性雰囲気または還元性ガス雰囲気となっている。
【0013】
また、二重巻壁を相互に径方向に圧接する手段としての押圧ロール13は、前記成形装置11にて成形された二重巻管体15の外周面を径方向の外方より均一に押圧する構造となっており、その設置位置は二重巻管体15の壁間のろう材が溶融状態にある間に加圧しなければならないため、加熱装置12内から冷却装置14の入口側とする。
【0014】
冷却装置14は、加熱装置の直後に設置され、二重巻管体15の外周を均一かつ速やかに冷却できるように多数の冷媒噴射ノズル(図示せず)が配置された構造となっている。具体的には、例えば内周に多数のノズル孔を設けた冷却ジャケット型となし、その中を通る二重巻管体に対し前記ノズル孔より冷媒が吹きつけられる構造のものを用いる。冷媒としては、主としてガスなどの気体を用いるが水などの液体も用いることができる。
【0015】
また、二重巻管体15を可及的に速やかに冷却する一次冷却手段としては、前記圧接用押圧ロール13の直後にノズル16を設け、このノズルにより冷媒を噴射してろう材を凝固点付近まで急冷することもできる。
【0016】
このように冷却装置としては、ノズル16からなる一次冷却手段と、該ノズルの下流側に設置された冷却装置14からなる二次冷却手段とで構成することが好ましいが、冷却装置14においてろう材の凝固点付近までの急冷却と二重巻管体の冷却を行うようにすることもできる。
【0017】
上記構成の多重巻管製造装置において、ステンレス母材1−1の両面にNiめっき層1ー2、Fe層1−3およびCuめっき層1−4を形成したフープ材1は、アンコイラ(図面省略)から巻き戻されて多重巻成形装置11にて二重壁を有する管体15に成形され、加熱装置12に導入される。加熱装置12では、直流電源より複数の通電ロール12−1を介して管体に通電し、この管体の抵抗発熱により壁間にあるNiめっき層1ー2、Fe層1−3の拡散が進行し、かつCuめっき層1−4が溶融している状態となるまで加熱する。加熱装置12を出た二重巻管体15は、冷却装置14により冷却されることにより各壁間のろう付けおよび拡散が完了する。
【0018】
上記装置により製造された本発明の二重巻ステンレス鋼管は、その断面構造の一部を図2に拡大して示すごとく、内側壁と外側壁との間にはSUSーNi拡散層1−12、Niめっき層1ー2、FeーNi拡散層1−13、Feめっき層1−3、FeーCu拡散層1−14およびCuめっき層1−4からなる内管側と外管側のろう材層がそれぞれのCuめっき層1−4を境にして相重なるように形成されている。また、管内周面と外周面には、SUSーNi拡散層1−12、Niめっき層1ー2、FeーNi拡散層1−13、Feめっき層1−3、FeーCu拡散層1−14およびCuめっき層1−4からなるろう材層がそれぞれ形成されている。
【0019】
なお、多重巻管体の加熱手段としては、前記の抵抗発熱方式に替えて高周波加熱コイルを採用してもよく、また一般的な加熱炉をろう付け炉として使用してもよい。
【0020】
また、図示していないが、加熱装置の直後に押えロールを設けた場合には、二重巻管体の最外部の壁の一端側(シーム部側)は、この押えロールにより外部より強制的に押圧されるので、内側の壁と馴染んで密着し、外シーム部の剥離が防止されるので好ましい。
【0021】
上記のごとく本発明の二重巻ステンレス鋼管は、Ni層とCu層の間にFe層を介在させてFeーNi拡散層とFeーCu拡散層を形成させることによってNiとCuの直接の合金化を防止することができるので、延性を有するろう付層を保持し得る品質良好なものとなる。これは二重巻ステンレス鋼管以外の多重巻ステンレス鋼管においても同様であることはいうまでもない。
【0022】
【実施例】
フープ材として、厚さ0.35mmのSUS304Lの板材の両面に、まず膜厚0.05μmのNiめっき層と、その上に膜厚2μmのFe層と、さらに該Fe層の上に5μmのCuめっき層を形成したステンレス鋼板を用い、図3に示す多重巻ステンレス鋼管製造装置により直径4.76mm、厚さ0.7mmの二重巻成形した後、該管体に直接通電により4秒間、1150℃の加熱処理を施し、しかる後冷却装置により1分間冷却して製品としての二重巻ステンレス鋼管を得た。
得られた二重巻ステンレス鋼管は、延性を有するろう付層を保持し得る品質良好なものであった。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したごとく、本発明に係る多重巻ステンレス鋼管は、Ni層とCu層の間にFe層を介在させたことによりNiとCuの直接の合金化を防止することができ、延性を有するろう付層を保持し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多重巻ステンレス鋼管のフープ材(ろう付け前)の断面構造の一部を拡大して示す縦断側面図である。
【図2】同上のフープ材を用いたろう付け後の多重巻ステンレス鋼管の一部の断面構造を拡大して示す概略側面図である。
【図3】同上の多重巻ステンレス鋼管製造装置の全体構成例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 フープ材
1−1 ステンレス鋼板
1−2 Niめっき層
1−3 Feめっき層
1−4 Cuめっき層
1−12 SUSーNi拡散層
1−13 FeーNi拡散層
1−14 FeーCu拡散層
11 多重巻成形装置
11−1 案内ロール
11−2 成形ロール
11−3 仕上整型ロール
11−4 スイマ付きロッド
12 加熱装置
13 押圧ロール
14 冷却装置
15 二重巻管体
Claims (1)
- 表面にろう材が施されたステンレス鋼板からなるフープ材を管体に塑性変形し、その多重巻管体の壁間にあるろう材を溶融した後、その溶融したろう材を冷却して製造する多重巻ステンレス鋼管であって、フープ材として表面にNiめっきを施し、該Niめっきの上にFe層を形成し、さらに該Fe層の上にCuめっきを施したステンレス鋼板を用い、かつ多重巻に成形された管体の壁間に存在する前記Ni層、Fe層およびCu層が拡散して接合してなることを特徴とする多重巻ステンレス鋼管。
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ID=16268118
Family Applications (1)
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1998
- 1998-06-22 JP JP19105398A patent/JP4100767B2/ja not_active Expired - Fee Related
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