JP4552244B2 - 鋼管の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温間成形溶接鋼管の製造方法に関し、とくに、鋼管シーム部に生じる余盛を平滑化した電縫鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶接鋼管は、鋼板または鋼帯を管状に成形しその継目を溶接したもので、小径から大径まで各種の製造法によりつくられているが、主な製造法として、電気抵抗溶接(電縫)、鍛接、電弧溶接によるものが挙げられる。
小径〜中径鋼管用としては、高周波電流を利用した電気抵抗溶接法(電気抵抗溶接鋼管、電縫管)が主として利用されている。この方法は、連続的に帯鋼を供給し、成形ロールで管状に成形してオープン管とし、続いて高周波電流によりオープン管の両エッジ部端面を管材の融点以上に加熱した後、スクイズロールで両エッジ部端面を衝合溶接して製品管を製造する方法である(例えば、第3版鉄鋼便覧第III 巻(2)1056〜1092頁)。
【0003】
電縫鋼管を製造するに際し、オープンシーム部端面を鋼の融点以上に加熱するため、スクイズロールにて加圧・溶接すると、溶融した溶鋼がシーム部の管内外面に余盛を形成する。このような管内外面の余盛(ビード)は、ほとんどがビード切削用バイトにより切削されて除去されていた。
しかし、余盛の大きさは製品毎に微妙に相違し、余盛切削のためバイト切削量の調整が必要となる。余盛り切削量の調整、すなわち、バイト高さの調整は、かなりの時間を必要とし、操業を停止して行っている。また、切削用バイトは消耗品であり、所定切削長ごとに交換する必要があり、その際は製造ラインの停止を余儀なくされる。また、高速造管では切削用バイトの寿命も短く交換頻度が高い。
【0004】
このようなことから、ビード切削がネックとなって、高速造管ができないため、生産性が低いという問題があった。さらに、内面の平滑度を厳しく要求される用途に使用される鋼管では、余盛を切削するだけでは十分な平滑度が得られないという問題があった。
この問題に対しては、例えば、特公平1−42768 号公報、特公平2−29439 号公報、特開昭62−137184号公報、特開平10−296493号公報等に、溶接後シーム部が高温状態にあるうちに内面ビードを圧延により圧潰する技術が提案されている。これらの技術は、管内に内面圧延ロール、管外にガイドロールを配置し、内面圧延ロールとガイドロール間にシーム部を通して圧延することにより内面ビードを圧潰しようとするものである。
【0005】
この鋼管の内面ビードを圧延するための内面ビード圧延装置は、管内に配置されるロール保持台車と、このロール保持台車で保持されて内面ビードを押圧する内面圧延ロールと、シーム部を介して内面圧延ロールに対抗するガイドロールとを有する。
しかし、上記した電縫管の製造方法では、鋼管の製品寸法に合わせたロールを用いなければならず、小ロット多品種生産に対応できないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電縫管のなかでも、常温では成形しにくい肉厚の厚い鋼管の製造には、帯鋼の成形を温間で行う温間成形が適用されることがある。しかし、肉厚の厚い帯鋼を使用するため、オープン管シーム部端面を融点以上に加熱しスクイズロールにて加圧・溶接すると、大きな余盛(ビード)が形成される。したがって、上記した内面ビードを圧潰する技術を適用し、これら余盛(ビード)を平滑化するためには、大きな耐荷重、剛性を備えたビード平滑化装置を必要とする。しかし、小径管の内面圧延では、スペース上の制約から、内面ロールのロール幅を十分大きくすることができないこと、大きな耐荷重、剛性を備えたビード平滑化装置を管内に装入し難いことから、余盛を十分に圧潰できないという問題があった。
【0007】
また、温間成形では、切削用バイトの高さ調整のために、途中で操業を停止すると、鋼板(鋼帯)の温度低下が著しく、その後の操業が困難なものとなり、さらに大きな歩留り低下に至る。
また、特開平10−71422 号公報には、帯鋼を温間でオープン管に成形し、オープン管シーム部端面を1300℃以上融点未満に加熱し、スクイズロールで固相圧接し、ついで圧接近傍の増肉部分を管内外に設置された圧延ロールにより圧延する鋼管の製造方法が提案されている。しかし、この方法では、圧接した際に、両端面の増肉差が生じる場合があり、それがそのまま内面圧延ロールで圧延されると内面ウエルドラインとなる場合があった。この両端面の増肉差は、鋼のスリット時に歯の劣化、クリアランス過大などの理由により発生する端面の過大スリットだれ、あるいは両端面のだれが非対称であること、さらにオープンパイプ成形時に帯のローリングが発生し、端面がフィンパスのフィン部に偏ってあたってしまうこと等に依るものと考えられる。この内面ウエルドラインは後工程の絞り圧延工程で内面の深い疵の原因となったり、さらに曲げ加工、バルジ加工などの2次成形をした場合に割れの原因となる。
【0008】
本発明は、上記した従来技術の問題を有利に解決し、温間成形の鋼管製造において、途中での操業を停止する必要もなく、高い生産性で、鋼管の製造を可能とし、さらに、小ロット多品種生産にも対応できる、鋼管の製造方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するため、温間成形の鋼管製造方法における生産性向上および内面シーム部の形状改善について鋭意検討した。その結果、生産性向上には、途中での操業停止を行わないことが肝要であり、そのためには、ビード切削は精度高く行うことをせず、精度を必要としない軽度のビード切削とすることがよいことに思い至った。用途によっては軽度のビード切削だけでも十分であり、精度を必要としない軽度のビード切削であれば、バイト高さの調整のため操業を停止する必要もない。また、必要に応じて、軽度のビード切削と、内面ビード圧延を組み合わせれば、途中での操業停止を行うことなく、シーム部の平滑化をより精度よく行うことが可能となることに想到した。
【0010】
スクイズロールで加圧・溶接されたのちに形成される余盛は、溶融した管材料が凝固して形成する部分(余盛)に加えて、溶融はしないが高温に加熱され加圧され押し出された部分により形成される部分(余盛)もある。ビード切削で残された余盛は、必要に応じてその後のビード圧延により圧潰することができることから、ビード切削は溶融・凝固して形成された部分(余盛)を切削する、軽度で精度の低い切削で十分である。また、溶融・凝固して形成された部分の切削に加えて、増肉した部分の1部または大部分を切削しても何ら不都合はない。
【0011】
また、スクイズロールで加圧・固相圧接されたのちに形成される余盛は、溶融はしないが高温に加熱され加圧されて押し出されたものであり、前記したような理由で発生した両端面の増肉差により山頂部には目違いが生じている部分もある。ビード切削ではこれら目違い部分、あるいは微小な割れ部分を切削する、軽度で精度の低い切削で十分であり、残された余盛を必要に応じてビード圧延により圧延することで平滑性をだす。但し、切削は増肉部の大部分を切削しても何ら不都合はない。
【0012】
本発明は、このような考えに基づいて、完成されたものである。
すなわち、第1の本発明は、帯鋼を800 ℃以下の温度範囲に加熱した後、成形ロール群により連続的に成形し、オープン管とし、該オープン管の両エッジ部端面を融点以上に加熱し、スクイズロールで衝合溶接する鋼管の製造方法において、前記衝合溶接後に内外ビードの溶融凝固した部分、あるいはさらに増肉部分の一部を除去するビード除去処理を行い、さらにビード圧延を施すことを特徴とする鋼管の製造方法であり、また、本発明では、ビード圧延後、さらに絞り圧延を施、また、前記絞り圧延は、850〜900℃の温度域で行い、且つ、歪速度1s -1 以上での圧下率が30%以上になるように行う。
【0013】
また、第2の本発明は、帯鋼を800 ℃以下の温度範囲に加熱した後、成形ロール群により連続的に成形し、オープン管とし、該オープン管の両エッジ部をキュリー点以上の温度にエッジ予熱した後に、該両エッジ部の端面を融点以上に加熱し、スクイズロールで衝合溶接する鋼管の製造方法において、前記衝合溶接後に内外ビードの溶融凝固した部分、あるいはさらに増肉部分の一部を除去するビード除去処理を行い、さらにビード圧延を施すことを特徴とする鋼管の製造方法であり、また、本発明では、ビード圧延後、さらに絞り圧延を施、また、前記絞り圧延は、850〜900℃の温度域で行い、且つ、歪速度1s -1 以上での圧下率が30%以上になるように行う。
【0014】
また、第3の本発明は、帯鋼を800 ℃以下の温度範囲に加熱した後、成形ロール群により連続的に成形し、オープン管とし、該オープン管をキュリー点以上の温度にエッジ予熱した後に、該両エッジ部の端面を1300℃以上、融点未満に加熱し、スクイズロールで衝合溶接する鋼管の製造方法において、前記衝合溶接後の内面の増肉部分を除去するビード除去処理を行い、さらにビード圧延を施すことを特徴とする鋼管の製造方法であり、また、本発明では、ビード圧延後、さらに絞り圧延を施、また、前記絞り圧延は、850〜900℃の温度域で行い、且つ、歪速度1s -1 以上での圧下率が30%以上になるように行う。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明では、帯鋼の成形に先立って、アンコイラから払いだされた帯鋼を800 ℃以下の温間の温度範囲に加熱する。
加熱は、加熱炉を用いる方法、誘導コイルを用いる誘導加熱方法、通電による抵抗加熱方法、加熱炉と誘導コイルを組み合わせて用いる方法のいずれも好適に適用できる。
【0016】
帯鋼の加熱は、800 ℃以下とする。800 ℃を超える加熱は、ミクロ組織の粗大化を生じ、また、帯鋼表面に多量のスケールが生成して鋼管のシーム品質および表面肌がともに劣化する。一方、加熱温度が300 ℃未満では、変形抵抗が増加し、成形荷重が大きくなり成形性が低下する。このため、加熱温度は、300 ℃以上800 ℃以下とするのが望ましい。さらに好ましくは、400 〜600 ℃である。
【0017】
加熱された帯鋼は、複数の成形ロールにより連続的に成形されオープン管となる。成形は通常公知の複数の成形ロールによる加工方法が好適に適用できる。
なお、帯鋼加熱に加えて、オープン管となったのち管全体を加熱してもよい。
ついで、オープン管の両エッジ部を融点以上に加熱する。加熱方法は誘導加熱とするのが好ましいが、高周波電流による抵抗加熱としてもよい。
【0018】
エッジ加熱は、大気中あるいは、大気中より酸素濃度を低減された雰囲気中(シールド雰囲気中)いずれでもよいが、シーム品質の点からはシールド雰囲気中が好ましい。
エッジ加熱の温度が融点未満では、エッジ部端面の接合が不十分となりシーム品質が劣化する。
【0019】
両エッジ部を融点以上に加熱されたオープン管は、スクイズロールで両エッジ部を衝合・圧接され、溶接される。エッジ部端面の温度が管材の融点を超えるため、溶融した鋼が衝合溶接時に凝固し管内外に余盛(溶融凝固した部分)を形成する。溶融した鋼以外も高温に加熱された管材が圧接により管内外に押し出され部分(余盛)も形成される。
【0020】
エッジ加熱および溶接は、大気中あるいは、大気中より酸素濃度を低減された雰囲気中(シールド雰囲気中)のいずれでもよいが、シーム品質の点からはシールド雰囲気中が好ましい。
なお、本発明では、エッジ部の加熱・溶接を行う前に両エッジを予熱してもよい。エッジ予熱は誘導加熱コイルによる誘導加熱方式とするのが好ましいが、高周波電流による抵抗加熱としてもよい。このエッジ予熱によりエッジ部の温度をキュリー点以上、好ましくは1300℃未満とする。鋼をキュリー点以上に加熱すると、鋼は強磁性体から常磁性体へ磁気変態し、比透磁率が1に近い値になる。一方で誘導電流はキュリー点以上に加熱することで浸透深さが大きくなるために、被圧接面内の温度分布が均一化する方向に向かう。そこで、エッジ部の予加熱温度の下限をキュリー点以上とする。
【0021】
加熱エネルギー効率の観点からは、キュリー点以上1300℃未満の温度で行うのが好ましいが、1300℃以上としても何ら不都合はない。しかし、この段階で一気に昇温すると角部のみが融点となり、接合時にビードが発生するために高速造管ができなくなる場合がある。このため、エッジ予熱は1300℃未満で行うのが好ましい。また、エッジ予熱は大気中、あるいは大気より酸素濃度を低減された雰囲気中(シールド雰囲気中)のいずれでもよいがシーム品質の点からはシールド雰囲気中のほうが好ましい。
【0022】
また、本発明では衝合溶接に代えて、衝合圧接(固相圧接)により鋼管としてもよい。衝合圧接により鋼管とする場合には、オープン管の両エッジ部を圧接する前に両エッジ部を予熱する。エッジ予熱は、誘導加熱コイルによる誘導加熱方式とするのが好ましいが、高周波電流による抵抗加熱方式としてもよい。このエッジ予熱により両エッジ部の温度をキュリー点以上、好ましくは1300℃未満とする。さらに、エッジ予熱は大気中、あるいは大気より酸素濃度を低減された雰囲気中(シールド雰囲気中)のいずれでもよいがシーム品質の点からはシールド雰囲気中のほうが好ましい。
【0023】
ついで、オープン管の両エッジ部を1300℃以上、融点未満に加熱するエッジ加熱を行う。エッジ加熱の温度が1300℃未満ではエッジ部両端の接合が不十分となりシーム品質が劣化する。また、加熱温度が管材の融点を超えると固相圧接の利点の1つであるシーム部の延性が低下するために、固相圧接が可能な1300℃以上、融点未満とする。なお、好ましくは1350℃以上、融点未満である。より好ましくは1400℃以上、融点未満である。
【0024】
本発明でいう固相圧接では、エッジ加熱温度が固相域の温度であることが望ましいが、若干の液相が存在する融点未満の固液2相域でも何ら不都合はない。なお、エッジ加熱は誘導加熱コイルによる誘導加熱方式とするのが好ましいが、高周波電流による抵抗加熱方式としてもよい。また、エッジ加熱は大気中、あるいは大気より酸素濃度を低減された雰囲気中(シールド雰囲気中)のいずれでもよいがシーム品質の点からはシールド雰囲気中とするのが好ましい。
【0025】
本発明では、このような余盛のうち、溶融・凝固により管内外に形成された部分あるいはさらにスクイズロールによる衝合加圧により形成された増肉部分の1部または大部分、またはスクイズロールの衝合・圧接により形成された増肉部分を、ビード切削により除去する。この除去する処理をビード除去処理と総称する。内外余盛の除去は、切削、研磨等の加工設備を備えたビード除去装置により行うのが好ましい。余盛の切削量は精度よく行う必要はなく、その後なされるビード圧延により余盛が圧潰され、容易に平滑化することができればよい。したがって、バイト高さの微妙な調整を必要としない。よって、操業の停止を行う必要もない。
【0026】
ビード切削を行ったのち、本発明ではさらにビード圧延を行う。
ビード圧延は、管内に配置されるロール保持台車と、このロール保持台車で保持されて内面ビードを押圧する内面圧延ロールと、シーム部を介して内面圧延ロールに対抗するガイドロールとを有するビード圧延装置に管を通して行うのが好ましい。これにより、管内外に形成された余盛は精度よく平滑化される。
【0027】
本発明では、温間に加熱され、衝合溶接あるいは衝合圧接され、余盛または増肉部分を除去および平滑化されたのち、直ちにあるいは均熱処理を施されたのち、絞り圧延を施され、製品管とされる。
なお、鋼管絞り圧延後の製品管の寸法精度を確保する観点からは、溶接後あるいは圧接後、鋼管を絞り圧延する前に加熱、冷却等により、管円周方向の温度差を20℃以下にする均熱処理を施すことが好ましい。この均熱処理は、加熱手段、冷却手段を備えた鋼管均熱装置で行うのが好ましい。加熱手段は、加熱炉、誘導加熱等が好適であり、冷却手段は、水、ガス等の流体噴射が好ましい。
【0028】
絞り圧延温度は、850〜900℃の温度範囲とし、Ar3変態点〜(Ar3 変態点+100 ℃)の温度範囲とするのが好ましい。絞り圧延温度がAc3 変態点未満では圧延荷重が高くなり過ぎ、一方、絞り圧延温度が(Ar3 変態点+100 ℃)を超えると、強度、延性低下や管形状不良を発生させたり、さらに、酸化スケールの発生が著しくなって表面品質を低下させる。なお、より好ましくは、Ar3 変態点〜(Ar3 変態点+50℃)である。
【0029】
り圧延は、上記温度範囲内で、歪速度1s-1以上での圧下率が30%以上になるように行うのが機械的特性の観点から好ましい。30%以上の圧下率は、1パスで稼いでも複数パスで稼いでもよい。ただし、複数パスの場合は、1パスあたりの圧下率を10%以上とすることが好ましい。なお、圧下率、歪速度は、次式で定義される。
【0030】
圧下率i ={(li-1 −li )/li-1 }×100 (%)
歪速度i ={(li-1 −li )/li-1 }/ti
i :i番目のスタンドで圧下した後のパイプ肉厚中心で測定した周長
i :i番目のスタンドでの圧下に要した時間
絞り圧延後の冷却は、圧延終了後、0.5 秒以内に30℃/s以上の冷却速度とするのが好ましい。冷却終了温度は、鋼管の化学成分、必要強度等に応じて適宜決定される。さらに好ましい冷却速度は、50℃/s以上である。
【0031】
得られた製品管は、切断機により所定の寸法に切断され、管矯正装置で矯正されるか、あるいは管矯正装置で矯正されたのちコイル状に巻き取られる。
図1に本発明の実施に好適な鋼管製造設備列を示す。
図1(a)において、1は帯鋼、11は帯鋼を払いだすアンコイラ、12は先行する帯鋼の後端部と後行する帯鋼の先端部を接続する接合装置(中継ぎ溶接機)、13は帯鋼を貯えるルーパ(アキュムレータ)、2は帯鋼を加熱する帯鋼加熱装置、3は成形ロール群からなる成形加工装置、5はエッジ加熱装置、6はスクイズロール、7はオープン管、8は鋼管、16は製品管、18は切断機、19は管矯正装置、20は温度計、14はビード除去装置、15はビード圧延装置である。
【0032】
図1(b)において、図1(a)に加えて、ビード圧延装置15の出側で、切断機18の入側に、絞り加工装置21を設けた鋼管製造設備列を示す。なお、図1(a)と同一または相当部分には同じ符号を付した。
図1(c)は、図1(b)に加えてスクイズロール6の出側で絞り圧延装置21の入側に鋼管均熱装置22を設けた鋼管製造設備列を示す。なお、図1(b)と同一または相当部分には同じ符号を付した。
【0033】
アンコイラ11は、コイル状に巻かれた帯鋼1を巻き戻しながら供給する装置で、マンドレル、ガイド等からなる。
中継ぎ溶接機12は、コイル単位で払いだされる帯鋼1をラインに連続供給するために、払いだされた先行コイルの後端部と払いだされつつある後行コイルの先端部を溶接して継ぐ装置である。これには、電極、クランプ装置等からなるフラッシュバット溶接機が適する。
【0034】
アキュムレータ13は、中継ぎ溶接機15で帯鋼1を接合している際に、ラインを停止せず連続運転するために必要な量の帯鋼を貯える装置である。
加熱装置2は、帯鋼1を所定の温度に加熱する設備であり、ガス燃焼式連続加熱炉、帯鋼用インダクションヒータのいずれかを適用するのが好ましい。板厚、通板スピードの範囲が広い場合は、これらの両方を設置するほうが帯鋼1の温度をより高精度に制御できて好ましい。
【0035】
成形加工装置3は、帯鋼1を円筒形に連続成形し、帯鋼1の幅両端面を対向させてオープン管7を作る設備である。この設備は複数の成形スタンド、成形ロール等からなり、ブレークダウン方式あるいはケージ方式のものが代表的であるが、他の方式でも一向に差し支えない。
エッジ予熱装置4は、オープン管7エッジ部を予熱する装置であり、誘導加熱装置が好ましい。
【0036】
エッジ加熱装置5は、オープン管7エッジ部を高周波電流により融点以上の温度域に加熱できる設備であり、誘導加熱装置が好ましい。
なお、オープン管7エッジ部は、雰囲気調整用のシールド装置13によりシールド雰囲気(非酸化性雰囲気)に保持するのが好ましい。
スクイズロール6は、ハウジング等に支持されて、エッジ加熱されたオープン管7両エッジ部を衝合し、円周方向に圧縮力を加えて圧接する設備である。
【0037】
ビード除去装置14は、圧接の際に管シーム部に形成した余盛を、研削あるいは切削等により除去する設備で、研削砥石あるいは切削バイト等からなるものが好ましい。
ビード圧延装置15は、ビード除去装置14で除去できなかった余盛または増肉部分を平滑化する設備であり、図2に好適例を示すように、管内に配置されるロール保持台車31と、このロール保持台車31で保持されて内面ビード8bを押圧する内面圧延ロール32と、シーム部8aを介して内面圧延ロール32に対抗するガイドロール33とを有するものとするのが好ましい。34は車輪、35は摺動部、39は台車冷却用の通水路、8は管(鋼管)、8a はシーム部、311 はサポートロール、330 は台車連結管である。搨動部35に、潤滑性皮膜36を形成するのが好ましい。潤滑性皮膜としては、グラファイト、BN、あるいはそれらの混合、MoS2等の固体潤滑皮膜あるいはCr3C2B分散型Ni-Cr 合金、Mo2NiB2 等の溶射皮膜とするのが好ましい。なお、内面圧延ロール32、ロール保持台車31、車輪34はセラミックス等の耐熱性材料とするのが好ましい。
【0038】
鋼管加熱均熱装置22は、ガス燃焼式連続加熱炉、管用インダクションヒータおよび管用クーラからなり、絞り圧延温度を適宜Ac3 変態点以上に加熱する目的、ならびに、下流で絞り加工する際に偏肉の発生を回避する観点から、溶接後の鋼管8の円周方向温度分布を均一化するためにシーム周辺の高温部を冷却しあるいは低温部を加熱する目的で設置された設備である。この設備の管用インダクションヒータ部および管用クーラ部は、例えば、冷却水用の配管、ヘッダ、スプレーノズル等からなる水スプレー冷却装置、および誘導加熱装置で構成できる。
【0039】
絞り加工装置21は、適正な温度域で多スタンドを用いて鋼管8外径を連続的に圧下(絞り圧延)し、所定の製品外径を有する鋼管を得る設備であり、ロール(孔型圧延ロール)をハウジング内に円周方向に複数本配置してなるスタンド(絞り圧延機)を、複数基タンデムに配列して構成される。これには、3ロール式のストレッチレデューサ、2ロール式のサイザ等が適用可能である。
【0040】
直近急冷装置23は、冷却水用の配管、ヘッダ、スプレーノズル等からなる水冷却装置である。この装置には、冷却水が前方に流れないようにガスジェット等の水切り装置、および発生した水蒸気が前後の温度計による計測に影響しないように排気装置を併設することが望ましい。なお、直近冷却装置23は絞り加工装置の最後尾スタンドの直後に設置される。
【0041】
切断機18は、絞り圧延後の鋼管8を、走間で所定の長さに切断する設備であり、これには例えば、円盤鋸歯等からなるロータリーホットソーが適用できる。
管矯正装置19は、切断後の鋼管8の曲がりを矯正する設備である。これには例えば、複数個の上下対向ローラ等からなる縦型傾斜ローラ式矯正機が適用できる。なお、図1では管矯正装置19をオンラインに設けているが、オフラインに設けてもよい。
【0042】
【実施例】
図1(a)、(c)に示す製造設備列を用いて以下に述べる条件で製品管(146 mmφ×肉厚2.9 mm)を製造した。
表1に示す組成の帯鋼1を帯鋼加熱装置2で表2に示す条件で加熱した後、成形加工装置3により成形しオープン管7とした。オープン管両エッジ部にエッジ加熱装置5により表2に示す条件でエッジ加熱(一部エッジ予熱を含む)を施し、スクイズロール6で衝合溶接あるいは衝合圧接し、さらにビード除去装置14により管内外での余盛を一部除去し、さらにビード圧延装置15により余盛を圧潰し平滑化して鋼管8とした。なお、一部の鋼管では、増肉部分の一部までを除去した。一部の鋼管8については、さらに絞り加工装置21で表2に示す条件で絞り圧延し、製品管16とした。なお、比較例として、余盛切削(ビード除去処理)なしのものも加えた。
【0043】
これら製品管16の強度、伸び、管形状(シーム部の厚さ等の形状)および生産性を調査した。生産性は余盛除去をビード切削のみで行った場合の製品管生産量を100 として、これに対する比較で評価した。シーム部形状は、○(良好)、△(許容できる)、×(不良)の三段階で評価した。その結果を表2に併記する。
【0044】
【表1】
Figure 0004552244
【0045】
【表2】
Figure 0004552244
【0046】
本発明例は、強度、延性に優れ、かつシーム部の形状も良好で、かつ操業を停止することなく、高い生産性で鋼管を製造できた。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、強度、延性に優れ、かつシーム部の形状が良好な鋼管が、生産性高く製造できる。また、本発明によれば、高速の絞り圧延も可能になるために生産性が向上し、また、絞り圧延により、小ロット多サイズの生産にも対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施に好適な鋼管製造設備列の一例を示す説明図である。
【図2】 本発明の実施に好適なビード圧延装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 帯鋼
2 帯鋼加熱装置
3 成形加工装置
4 エッジ予熱装置
5 エッジ加熱装置
6 スクイズロール(圧接装置)
7 オープン管
8 鋼管
8a シーム部
8b 内面ビード(余盛)
11 アンコイラ
12 帯鋼の接合装置(中継ぎ溶接機)
14 ビード除去装置
15 ビード圧延装置
16 製品管
17 ルーパ(アキュムレータ)
18 切断機
19 管矯正装置
20 温度計
21 絞り加工装置
22 鋼管加熱灼熱装置
23 直近冷却装置
31 ロール保持台車
32 内面圧延ロール
33 ガイドロール
34 車輪
35 摺動部
36 皮膜(潤滑性皮膜)
39 通水路
311 サポートロール
330 台車連結管

Claims (5)

  1. 帯鋼を800 ℃以下の温度範囲に加熱した後、成形ロール群により連続的に成形し、オープン管とし、該オープン管の両エッジ部端面を融点以上に加熱し、スクイズロールで衝合溶接する鋼管の製造方法において、前記衝合溶接後に内外ビードの溶融凝固した部分を除去するビード除去処理を行い、該ビード除去処理についでビード圧延を行い、該ビード圧延後さらに絞り圧延を施し、該絞り圧延を、850〜900℃の温度域で行い、且つ、歪速度1s -1 以上での圧下率が30%以上になるように行うことを特徴とする鋼管の製造方法。
  2. 帯鋼を800 ℃以下の温度範囲に加熱した後、成形ロール群により連続的に成形し、オープン管とし、該オープン管の両エッジ部端面を融点以上に加熱し、スクイズロールで衝合溶接する鋼管の製造方法において、前記衝合溶接後に内外ビードの溶融凝固した部分、さらに増肉部分の一部を除去するビード除去処理を行い、該ビード除去処理についでビード圧延を行い、該ビード圧延後さらに絞り圧延を施し、該絞り圧延を、850〜900℃の温度域で行い、且つ、歪速度1s -1 以上での圧下率が30%以上になるように行うことを特徴とする鋼管の製造方法。
  3. 帯鋼を800 ℃以下の温度範囲に加熱した後、成形ロール群により連続的に成形し、オープン管とし、該オープン管の両エッジ部をキュリー点以上の温度にエッジ予熱した後に、該両エッジ部の端面を融点以上に加熱し、スクイズロールで衝合溶接する鋼管の製造方法において、前記衝合溶接後に内外ビードの溶融凝固した部分を除去するビード除去処理を行い、該ビード除去処理についでビード圧延を行い、該ビード圧延後さらに絞り圧延を施し、該絞り圧延を、850〜900℃の温度域で行い、且つ、歪速度1s -1 以上での圧下率が30%以上になるように行うことを特徴とする鋼管の製造方法。
  4. 帯鋼を800 ℃以下の温度範囲に加熱した後、成形ロール群により連続的に成形し、オープン管とし、該オープン管の両エッジ部をキュリー点以上の温度にエッジ予熱した後に、該両エッジ部の端面を融点以上に加熱し、スクイズロールで衝合溶接する鋼管の製造方法において、前記衝合溶接後に内外ビードの溶融凝固した部分、さらに増肉部分の一部を除去するビード除去処理を行い、該ビード除去処理についでビード圧延を行い、該ビード圧延後さらに絞り圧延を施し、該絞り圧延を、850〜900℃の温度域で行い、且つ、歪速度1s -1 以上での圧下率が30%以上になるように行うことを特徴とする鋼管の製造方法。
  5. 帯鋼を800 ℃以下の温度範囲に加熱した後、成形ロール群により連続的に成形し、オープン管とし、該オープン管の両エッジ部をキュリー点以上の温度にエッジ予熱した後に、該両エッジ部の端面を1300℃以上、融点未満に加熱し、スクイズロールで衝合圧接する鋼管の製造方法において、前記衝合圧接後の内面の増肉部分を除去するビード除去処理を行い、該ビード除去処理についでビード圧延を行い、該ビード圧延後さらに絞り圧延を施し、該絞り圧延を、850〜900℃の温度域で行い、且つ、歪速度1s -1 以上での圧下率が30%以上になるように行うことを特徴とする鋼管の製造方法。
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