JP2924675B2 - 溶接形鋼の製造方法 - Google Patents

溶接形鋼の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波加熱を用いて溶
接を行う形鋼の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】H形鋼の製造方法には大別して、ロール
圧延による製造方法と各部材の溶接による製造方法があ
る。後者では、薄肉H形鋼の製造が容易であると共に、
異なるフランジ幅や異なるフランジ厚を有するH形鋼の
製造が可能であること等の利点があり、住宅建築用材料
の製造を主体に広く用いられている。
【0003】図5は従来の溶接H形鋼の製造装置の構成
を示す模式図である。図中1−1はウェブとなるべき第
1部材の帯鋼(以下、ウェブ材と記す)、1−2および
1−3はそれぞれフランジとなるべき第2および第3部
材の帯鋼(以下、フランジ材と記す)を表す。図中2−
aおよび2−bはそれぞれ一対のコンタクトチップであ
り、100〜500 kHz 程度の高周波電流を発生する
溶接電源3−aおよび3−bにそれぞれ接続されて成
る。図中4−aおよび4−bは加熱された被溶接部を圧
接するための一対のアップセットロール、C点はコンタ
クトチップ通過点(溶接のための加熱開始点)、D点は
被溶接面の接触点(溶接のための加熱終了点)である。
【0004】図6は従来の溶接H形鋼製造方法における
ウェブ材およびフランジ材の被溶接部の加熱、冷却パタ
ーンを示す図であり、横軸のCおよびD点は図5に示す
位置に対応するものである。
【0005】図5に示す装置では、ウェブ材1−1の両
側エッジ1−1−aおよび1−1−bが、それぞれフラ
ンジ材1−2および1−3の中央部に突き合わされるよ
うに図示しない所定のガイドロールによって導かれる。
溶接電源3−aによって供給された溶接電流は、一対の
コンタクトチップ2−aを経由してウェブ材1−1のエ
ッジ部1−1−aおよびフランジ材1−2の中央部を流
れ、被溶接部が加熱される。また、ウェブ材1−1の他
方のエッジ部1−1−bおよびもう一方のフランジ材1
−3の中央部についても、一対のコンタクトチップ2−
bを経由して溶接電源3−bから供給される電流によっ
て同様に加熱される。加熱された被溶接部は、次いでア
ップセットロール4−aおよび4−bによって圧力を受
けて圧接が行われ、所定の溶接H形鋼5が得られる。
【0006】このような溶接方法は一般に高周波抵抗溶
接法とよばれ、電縫管の製造方法として採用されている
溶接方法と同様の方法である。
【0007】しかしながら、従来の溶接H形鋼の溶接方
法においては、加熱されるべき被溶接面が、ウェブ材側
ではエッジ端であり、フランジ材側ではその幅の中央部
付近であり、非対称の形状であることから、図6に示す
ようにフランジ材1−2および1−3の被溶接部が、ウ
ェブ材1−1の被溶接部に比べて昇温されがたいという
問題がある。
【0008】すなわち、高周波電流には物体の表面を流
れようとする性質、いわゆる表皮効果があり、そのため
ウェブ材1−1のエッジ部1−1−aおよび1−1−b
には電流が集中するが、フランジ材1−2および1−3
では溶接に無関係なエッジ部に電流が分流してしまうた
め、被溶接部に電流が集中しがたく、ウェブ材1−1に
比べてフランジ材1−2および1−3の被溶接部には十
分な熱量が供給されない。
【0009】さらに、ウェブ材1−1では、高周波電流
によって供給された熱量の拡散方向が、エッジ部1−1
−aおよび1−1−bから概略でウェブ材1−1の中央
部方向への一方向である。これに対し、フランジ材1−
2および1−3では、供給された熱量はその中央部から
概略で両側のエッジ部方向に拡散するため、熱量を保持
するのが困難である。
【0010】したがって、フランジ材の被溶接面は十分
な溶融温度に達することなくアップセットロールによる
加圧を受けて溶接されるため、溶接後の接合界面に多量
に酸化物が噛み込まれ、この酸化物が溶接欠陥となって
残留する。しかし、ウェブ材とフランジ材の入熱調整を
個別に実施することは不可能であり、現状ではフランジ
材の温度を上昇させるため、ウェブ材側における入熱過
剰を余儀なくされている。
【0011】このように溶接入熱が過剰である場合、図
6に示したように高周波抵抗溶接法の特性上、ウェブ材
の被溶接部の温度が一旦溶融温度に達した後は、溶接温
度はこれ以上ほとんど上昇せず、溶鋼量を増加させるこ
とに入熱が費やされるため、腐食や応力集中による割れ
等の問題を誘起する過大ビードの発生を招いて、場合に
よってはビード切削が必要となる。さらに、フランジ材
被溶接部の未溶融に起因する溶接欠陥は防止し得ても、
逆にウェブ材過剰溶融のため酸化物生成が著しくなって
同様に溶接欠陥として残留し、品質上好ましくない結果
となる。一方、この酸化物欠陥在留を防止しようとして
アップセット量を増加させると、ウェブ材の座屈や本来
溶接されるべき位置からのずれが生じやすくなる。
【0012】このような問題点を解決する手段が、例え
ば特開昭62−40978号公報および特公昭45−4
0774号公報に示される方法である。前者は、フラン
ジ材のコンタクトチップ位置を溶接点より遠ざけ、この
間に導電体を配置してフランジ材被溶接部への電流集中
を高めて加熱促進を図るものである。後者は、溶接用電
流の供給前に、ウェブ材エッジのコーナ部に相対するフ
ランジ材上の二つの位置を中心としたウェブ材肉厚の1
/3〜1/2の幅を、250〜1050℃となるように
高周波誘導加熱あるいはガス加熱装置のような別熱源を
用いて予熱する方法である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来方法には以
下に述べる問題があり、実用に耐えうる製造方法とはな
り得なかった。
【0014】特開昭62−40978号公報に示される
方法では、たとえフランジ材側でも被溶接部へ電流が集
中したとしても、コンタクトチップを遠ざけて配置する
ために、前述の熱拡散による温度低下がさらに著しくな
ってフランジ材の被溶接部温度を十分に昇温するには至
らず、顕著な改善効果が得られない。
【0015】特公昭45−40774号公報に示される
方法では、ウェブ材エッジの二つのコーナ部に相対する
フランジ材上の位置を中心に、ウェブ材肉厚の1/3〜
1/2の幅をそれぞれ加熱する必要がある。しかし、例
えばこの発明に示されている高周波誘導コイルによっ
て、互いに近接したこのような微小領域をそれぞれ別個
に加熱するためには、極めて幅の狭い高周波誘導コイル
を用いる必要があり、誘導コイル内を通流させる冷却水
流量が不足して短時間で溶損してしまうこと、また磁束
を加熱対象へ集中させるためのコアの配置が困難である
こと等から、現実的に不可能である。また、たとえ可能
であったとしても、少なくとも二つの加熱誘導コイルが
必要となって装置の複雑化を招き、設備費用が高くなる
等必ずしも得策でない。さらに、予熱装置とコンタクト
チップとはある距離を隔てて配置せざるをえないが、実
際にはこの間に熱拡散が生じて、ウェブ材エッジの二つ
のコーナ部に相対するフランジ材上の二つの位置の中心
を最高温度とする温度分布を得ることは困難となる。ガ
ス加熱装置であっても、微小領域のみを加熱することは
さらに困難であり、加えて加熱効率も悪い。
【0016】さらに言えば、上記発明には予熱電源の周
波数は具体的に示されておらず、高周波誘導コイルのご
とき熱源とあることから、用いる電源は溶接用の450
kHz 程度のものと推定されるが、このような電源を用
いる場合、かなりの高温域まで予熱する必要が生じてく
る。これは、前述のように予熱用コイルはコンタクトチ
ップからある距離を隔てて配置せざるをえず、予熱領域
がごく表面近傍に限られる高周波では、熱拡散による温
度低下が大きいためである。ところが上記発明方法で
は、予熱実施による効果を得るためにはコンタクトチッ
プ通過時点でフランジ材温度を250〜1050℃まで
加熱する必要があり、このため、表面変色による見栄え
の悪化あるいはミクロ組織異常、場合によっては一旦溶
融温度に達する等の予熱を行うことによる悪影響が生じ
る。
【0017】以上のように、現実的な設備配置と熱拡散
による予熱幅や予熱温度の変化とを無視した従来の方法
では、低コストで、かつ高品質の溶接H形鋼を製造する
ことは困難と言わざるをえない。
【0018】本発明は、このような事実に鑑みなされた
ものであり、本発明の目的は、低コストで、かつ高品質
の溶接形鋼を製造するための方法を提供することにあ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1) の溶接形鋼の製造方法にある。
【0020】(1)第1部材の帯鋼と第2および/または
第3部材の帯鋼とを連続的に供給しつつ、第1部材の帯
鋼の両側エッジと第2および/または第3部材の帯鋼と
をH字またはT字形状に突き合わせ、高周波電流を通流
して第1部材の帯鋼の被溶接部となる両エッジ端部と第
2および/または第3部材の帯鋼の被溶接部となる中央
部を加熱するとともに、アップセットを加えて溶接する
溶接形鋼の製造方法において、第1部材の帯鋼の肉厚に
相対する第2および/または第3部材上の被溶接部を、
高周波加熱コンタクトチップ通過時点で、500℃を上
限とする温度に、周波数100〜20000Hzの高周
波電流を用いて予熱することを特徴とする溶接形鋼の製
造方法。
【0021】上記の本発明は、次の知見に基づいて完成
させた。すなわち、本発明者らは、第1部材の帯鋼の肉
厚に相対する第2および/または第3部材上の被溶接部
を、高周波加熱コンタクトチップ通過時点で、500℃
を上限とする温度に、周波数100〜20000Hzの
高周波電流を用いて予熱する場合には、溶接用のコンタ
クトチップによる過度な加熱が不要になり、表面変色が
なく、しかも酸化物起因の溶接欠陥が少ない溶接部を有
する形鋼製品が得られることを知見した。
【0022】
【作用】図1および図2に基づいて、本発明の方法とこ
の方法に用いる装置の構成を説明する。
【0023】図1は本発明の溶接H形鋼の製造方法に用
いる装置の構成を示す模式図であり、前記の図5に対応
するものである。図2は本発明の溶接H形鋼製造方法に
おけるウェブ材およびフランジ材の被溶接部の加熱、冷
却パターンを示す図であり、前記の図6に対応するもの
である。図2の横軸の符号A〜Dは図1に示す各A〜D
点に対応している。
【0024】本発明方法においては、溶接のための高周
波加熱が開始される時点、すなわち高周波加熱コンタク
トチップ通過時点で、フランジ材のウェブ材肉厚に相対
する被溶接部の温度が500℃以下となるように予熱す
る。
【0025】これを実現するために、本発明の方法に用
いる装置は、図1に示すように、溶接電源3aおよび
bとコンタクトチップ2aおよび2bとからな
る高周波電流による加熱装置に加えてさらに、このコン
タクトチップ2aおよび2bの上流に、100〜2
0000Hz の周波数を発生させる予熱用電源7aお
よび7bに接続されてなる、フランジ材1−2および
3の被溶接部を予熱する誘導加熱コイル6aおよ
び6bを備える。図1において、A点は誘導加熱コイ
ル6aおよび6bによる予熱開始点、B点はその終
了点、CおよびD点は、図5示すコンタクトチップ通
過点(溶接のための加熱開始点)および被溶接面の接触
点(溶接のための加熱終了点)である。なお、図1にお
いて、その他の装置構成および符号は図5と同じであ
る。
【0026】上記予熱装置によりフランジ材12およ
び13の予熱を行うと、図2に示すように、まずフラ
ンジ材12および13のウェブ材11の肉厚に相
対する被溶接部の温度がA点から上昇し始め、B点で最
高値に達してC点まで順次低下する。C点から従来と同
様の加熱装置(電源3aおよび3b、コンタクトチ
ップ2aおよび2b)により、フランジ材12お
よび13ならびにウェブ材11が加熱されるので、
これらの材料の被溶接部における温度不均一の発生をな
くしたり、緩和したりすることができる。
【0027】上記のフランジ材の予熱を行うことで、溶
接入熱が従来同様であっても、フランジ材の溶接時の温
度は従来方法に比べて高くすることが可能となり、言い
換えれば、図2に示すように、ウェブ材のエッジ部をそ
の溶融温度を超えてまで加熱して過剰な溶融金属を生成
させることなく、フランジ材の被溶接部の十分な昇温が
可能となり、ビード量や溶接欠陥が減少する。
【0028】本発明者らが予熱条件を繰り返し調査し、
好適な予熱温度を求めた結果によれば、C点、すなわち
コンタクトチップ2−aおよび2−bを通過する時点で
のウェブ材肉厚に相対するするフランジ材被溶接部の温
度が500℃以下となるような温度分布とするのが適当
である。
【0029】後述するように、この予熱温度の上限は、
フランジ材の予熱温度が高すぎた場合に、溶接入熱を極
端に低減させることが必要となって必然的にウェブ材側
の入熱も低下し、被溶接部が十分に溶融せずに、酸化物
が溶接部に残留して品質をかえって悪化させることから
決定されている。
【0030】望ましい予熱温度の範囲は100〜250
℃である。100℃未満の予熱では、後述するようにビ
ード断面積低減効果が小さく、一方、250℃を超える
予熱を行うと、大きな出力が必要であるわりには溶接欠
陥の抑制効果が小さくなってくる。
【0031】本発明の方法に用いる装置における予熱用
誘導加熱コイル6aおよび6bに接続された予熱用
電源7aおよび7bは、溶接電源3aおよび3
bとは別の電源であり、100〜20000Hz の電流
を発生させるものである。このような周波数域とする必
要があるのは以下の理由による。
【0032】すなわち、100Hz 未満の周波数では、
被加熱部に起電力を誘起させるために、周波数が低い分
に応じて、誘導加熱コイルに大きな電流を通流する必要
がある。したがって、コイルの冷却が困難になると共
に、当然の結果、コイルから誘導加熱対象へのエネルギ
変換効率が悪く、電力ロスが大きくなる。このため、そ
の分、多大な電源出力が必要となって設備費用が高くな
る上に、フランジ材を予熱するために数百 kWの出力が
必要であることを考慮すると、このようなコイルの冷却
は今日の技術ではほとんど不可能に近い。
【0033】一方、20000Hz を超える周波数で
は、前述のようにごく表面近傍のみが加熱されるため
に、予熱直後の温度をかなり高温化する必要があり、フ
ランジ材のミクロ組織が変化する等の問題が生じる。ま
た、このような高周波電流を発生させる電源としては、
一般的に真空管を使用した電源が用いられるが、このよ
うな電源は元々設備費用が高いことに加えて、周知のよ
うに、半導体を用いる場合に比べてエネルギロスが大き
く、周波数が高い分に応じてコイルから誘導加熱対象へ
のエネルギ変換効率が良好となることを差し引いても、
結局電力ロスが大きい。
【0034】本発明では、フランジ材中央部にウェブ材
を溶接する標準的なH形鋼のみならず、ウェブ材をフラ
ンジ材の中央部から幾分エッジ側の位置に溶接する偏芯
溶接H形鋼を同一ラインで製造する場合でも、フランジ
材上のウェブ材被溶接位置に予熱装置を配置することで
同様の効果が得られる。この場合は、必要に応じて移動
装置を設けておけばよい。さらに、二つのフランジ材と
一つのウェブ材を用いて製造するH形鋼のみならず、各
一つのフランジ材とウェブ材を用いてT形鋼を製造する
場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0035】なお、本発明方法は、特公昭45−407
74号公報に示されるような、ウェブ材エッジのコーナ
部に相対するフランジ材上の点をそれぞれに個別に加熱
することを必須条件とするものではない。
【0036】
【実施例】図1に示す装置を用いて、次の条件で溶接H
形鋼の製造試験を実施し、予熱温度と溶接欠陥の発生量
およびビード断面積との関係を調査した。
【0037】使用した素材は、ウェブ材については幅2
00mm、板厚3.2mm、フランジ材については幅100
mm、板厚4.5mmであり、これらはいずれもC:0.1
6%、Mn:0.80%を含有する炭素鋼である。溶接
条件は速度40m/min 、アップセット量は片側2mmとし
た。本発明方法における溶接入熱は、フランジ材の溶接
温度が予熱を用いない従来方法と同程度の温度になるよ
うに、予熱温度の増加に応じて適宜減少させた。
【0038】予熱装置は周波数1000Hz の誘導加熱
電源とコイルを用い、溶接用コンタクトチップの上流側
3m の位置に配置した。
【0039】図3は、本発明の装置と方法を用いた場合
のフランジ材の被溶接部におけるコンタクトチップ通過
時の温度(予熱温度)と溶接欠陥の発生量およびビード
断面積との関係を、予熱を用いない従来方法を1として
相対比較を行った結果を示す図である。
【0040】溶接欠陥発生量は、図4に示すように、溶
接部の破断の断面観察によって認められた溶接線上の酸
化物欠陥の総長さを測定して求め、ビード断面積は、同
様に断面観察から求めた。
【0041】図3に示すように、フランジ材予熱温度の
上昇と共に、フランジ材を所定の温度まで上昇させる入
熱が少なくて済むため、従来過入熱状態にあったウェブ
材側の入熱が低減してビード発生量は低減する。ウェブ
材側入熱は適正入熱に近づき、溶接欠陥発生量が低減す
る。溶接欠陥発生量は、予熱温度が250℃前後で最小
値となり、これ以上予熱温度を上昇させるとウェブ材側
溶接温度が下がりすぎるため再び溶接欠陥量は増加し始
め、予熱温度が500℃で従来方法とほぼ同程度の溶接
欠陥発生量となり、それ以上では逆に悪化し始める。
【0042】予熱温度が500℃を超えると、予熱部表
面の酸化により表面が変色して見栄えが悪化する等の問
題も生じた。さらには500℃を超えると、フランジ材
においてその中央部の予熱箇所と他の箇所との温度差が
大きくなりすぎ、大きな熱応力が生じて変形し、製品と
しての寸法精度を損なう場合があった。
【0043】図3から、予熱温度が100℃未満の場合
では、ビード断面積低減効果が小さいこと、一方、25
0℃を超える予熱を行うと、大きな出力が必要であるわ
りには溶接欠陥の抑制効果が小さくなってくることがわ
かる。
【0044】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来方法では困
難であったウェブ材側とフランジ材側の加熱不均一が緩
和され、ウェブ材側を過剰入熱とすることなく溶接を施
すことが可能となる。このため、ビード断面積の減少が
可能となると共に、溶接欠陥の発生量も低減される。こ
の結果、ビード切削の工程が不要となると共に、ビード
屑が減少し、溶接不良品の発生が少なくなって歩留りが
向上する。フランジ材の予熱を行うことで溶接後の冷却
速度が緩和されるため、溶接部硬度が低減し、割れ感受
性を低減することができる等の優れた効果も期待でき
る。
【0045】フランジ材の予熱を行うことで溶接後の冷
却速度が緩和されるため、溶接部硬度が低減し、割れ感
受性を低減することができる等の優れた効果も期待でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接H形鋼の製造方法に用いる装置の
構成を示す模式図である。
【図2】本発明の溶接H形鋼製造方法におけるウェブ材
およびフランジ材の被溶接部の加熱、冷却パターンを示
す図である。
【図3】フランジ材の被溶接部における予熱温度と溶接
欠陥の発生量およびビード断面積との関係を示す図であ
る。
【図4】溶接欠陥発生量およびビード断面積の測定方法
を説明する図である。
【図5】従来の溶接H形鋼の製造装置の構成を示す模式
図である。
【図6】従来の溶接H形鋼の製造方法におけるウェブ材
およびフランジ材の被溶接部の加熱、冷却パターンを示
す図である。
【符号の説明】
1−1:ウェブ材、 1−1−a,1−1−b:ウェブ
材のエッジ部、 1−2,1−3:フランジ材、2−a,2−b:コンタ
クトチップ、 3−a,3−b:溶接電源、 4−a,4−b:アップ
セットロール、 5:溶接H形鋼、 6−a,6−b:予熱用
誘導加熱コイル、 7a,7b:予熱用誘導加熱コイル電源、 A:予熱開始点、B:予熱終了点、 C:コンタクトチップ通過点(溶接のための加熱開始
点)、 D:被溶接面の接触点(溶接のための加熱終了点)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−40978(JP,A) 特開 昭62−199274(JP,A) 実開 平1−105079(JP,U) 実開 昭63−71986(JP,U) 特公 昭45−40774(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 13/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1部材の帯鋼と第2および/または第3
    部材の帯鋼とを連続的に供給しつつ、第1部材の帯鋼の
    両側エッジと第2および/または第3部材の帯鋼とをH
    字またはT字形状に突き合わせ、高周波電流を通流して
    第1部材の帯鋼の被溶接部となる両エッジ端部と第2お
    よび/または第3部材の帯鋼の被溶接部となる中央部を
    加熱するとともに、アップセットを加えて溶接する溶接
    形鋼の製造方法において、第1部材の帯鋼の肉厚に相対
    する第2および/または第3部材上の被溶接部を、高周
    波加熱コンタクトチップ通過時点で、500℃を上限と
    する温度に、周波数100〜20000Hzの高周波電
    流を用いて予熱することを特徴とする溶接形鋼の製造方
    法。
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