JP3556061B2 - オープン管エッジ部予熱装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オープン管エッジ部予熱装置に関し、詳しくは、両エッジ部を衝合接合され鋼管となるオープン管のエッジ部を予熱するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶接鋼管は、鋼板または鋼帯を管状に成形しその継目を溶接したもので、小径から大径まで各種の製造法によりつくられているが、主な製造法として、電気抵抗溶接(電縫)、鍛接、電弧溶接によるものが挙げられる。
小径〜中径鋼管用としては、高周波誘導加熱を利用した電気抵抗溶接法(電気抵抗溶接鋼管、電縫管)が主として利用されている。この方法は、連続的に帯鋼を供給し、成形ロールで管状に成形してオープン管とし、続いて高周波誘導加熱によりオープン管の両エッジ部端面を鋼の融点以上に加熱した後、スクイズロールで両エッジ部端面を衝合溶接して鋼管を製造する方法である(例えば、第3版鉄鋼便覧第III 巻(2)1056〜1092頁)。
【0003】
上記した高周波誘導加熱を利用した電縫管の製造方法では、オープン管の両エッジ部端面を鋼の融点以上に加熱するため、電磁力の影響により溶鋼が流動し、生成された酸化物が衝合溶接部に噛み込まれペネトレータ等の溶接欠陥あるいは、溶鋼飛散(フラッシュ)が発生しやすいという問題があった。 この問題に対し、例えば、特開平2−299782号公報には、2つの加熱装置を有する電縫鋼管の製造法が提案されている。すなわち、第1の加熱装置でオープン管の両エッジ部の温度をキュリー点以上に加熱し、第2の加熱装置で更に融点以上に加熱し、スクイズロールで両エッジ部を衝合溶接して鋼管を製造する。また、特開平2−299783号公報には、第1の加熱装置で周波数45〜250kHzの電流を流し、両側エッジ部を予熱し、第2の加熱装置で更に融点以上に加熱し、スクイズロールで両エッジ部を衝合溶接して鋼管を製造する電縫管製造装置が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの電縫管製造技術では、エッジ部を均一に加熱することは示唆しているものの、両エッジ部を鋼の融点以上に加熱するため、衝合溶接時に、溶融した鋼が管の内外面に排出されビード(余盛)が形成される。そのため、衝合溶接後に管内外面の溶接ビードの除去が必要であり、ほとんどがビード切削用バイトにより切削されて除去されている。
【0005】
このようなことから、この方法では、
▲1▼ビード切削用バイトの切削量の調整で、材料と時間のロスが発生する。
▲2▼ビード切削用バイトは消耗品であるため、造管速度によって異なるが、3000〜4000mのビード切削長毎にバイトを交換する必要があり、そのため、1時間程度ごとに3〜5分間のバイト交換のためのラインの停止を余儀なくされる。
【0006】
▲3▼特に造管速度が100 m/min を超える高速造管では、ビード切削用バイトの寿命が短く、交換頻度が高い。
など、ビード切削がネックとなり、高速造管ができないため生産性が低いという問題があった。
一方、比較的小径鋼管用として極めて高い生産性を有する鍛接鋼管製造方法がある。この方法は、連続的に供給した帯鋼を加熱炉で1300℃程度に加熱した後、成形ロールで管状に成形してオープン管とし、続いてオープン管の両エッジ部に高圧空気を吹き付けて端面のスケールオフを行った後、ウェルディングホーンにより端面に酸素を吹き付け、その酸化熱で端面を1400℃程度に昇温させてから、鍛接ロールで両エッジ部端面を衝合させ固相接合して鋼管を製造する方法である(例えば、第3版鉄鋼便覧第III 巻(2)1056〜1092頁)。
【0007】
しかし、この鍛接鋼管製造方法では、
▲1▼端面のスケールオフが完全ではないので、鍛接衝合部へのスケール噛込みが発生し、シーム部の強度が母材部に比べてかなり劣る。このため、偏平試験で、電縫鋼管なら偏平高さ比h/D=2t/D(t:板厚)を達成できるのに対し、鍛接鋼管では偏平高さ比h/Dが0.5 程度に劣るものとなる。
【0008】
▲2▼帯鋼を高温に加熱するため、管表面にスケールが生成し表面肌が悪い。
など、造管速度が300m/min 以上と速く生産性は高いが、シーム品質及び表面肌が悪く、JISのSTK等の強度信頼性や表面品質を要求されるものは製造できないという問題があった。
上記問題を有利に解決するには、本発明者らの創案になる固相圧接造管法によるのが好適である。これは、オープン管の端部を融点未満の固相圧接適正温度域(1300℃〜1500℃)に誘導加熱して圧接するという従来にない造管法である。この固相圧接造管法で製造される鋼管は、従来の溶接管のようにビード切削の必要がないので高速造管が可能で生産性が高く、しかも従来の鍛接管の欠点である酸化起因のシーム品質および表面肌の劣化もない。
【0009】
ところが、従来の溶接管製造に使用されている誘導加熱装置および抵抗加熱装置では、以下に述べる欠点があって、固相圧接造管法に適用するには問題がある。
図9(a)、(b)はそれぞれ、一般的な誘導加熱装置、抵抗加熱装置の概念を示す斜視図である。図9において、1はオープン管、2は鋼管、3はエッジ部、4は接合点、5はシーム部、6はワークコイル、16、16Aはコンタクトチップ、7は接合電流経路、8は通材の向きである。なお、図9では相対するエッジ部3の端面を衝合して接合点4を形成する常用のスクイズロール、およびワークコイル6あるいはコンタクトチップ16、16Aの両極に高周波電圧を印加する常用の高周波電源は図示省略する。なお、接合電流経路7中の矢印はある時点での電流の向きを示しており、無論、時間とともにこの向きは交互に逆転する。
【0010】
以下は、図9(a)に示す従来の誘導加熱装置で代表して高周波電流を用いる加熱方法について述べる。本装置では、ワークコイル6とよばれる複数巻きのコイルが、接合点4の上流側近傍でオープン管1が該コイルをくぐり抜けるように配置されただけの簡単な構造である。しかしながら、高周波の表皮効果等によりエッジ部3端面の角部に誘導電流が集中する傾向があり、室温からワークコイル6で誘導加熱したのでは、とくに厚肉管を高速造管するとき端面の角部と面部との温度差が過大となり、角部と面部とを接合点4において同時に固相圧接適正温度域に到達させることができない。
【0011】
エッジ部3の温度不均一は、従来の溶接管においても別観点から問題視されており、この対策として、ワークコイル6の上流に予熱用コイルを設け、エッジ部3を予め加熱しておいてワークコイル6での急速加熱によるエッジ部3端面の角部と面部との温度差を軽減することが知られている(前記特開平2−299782号公報、特開平2−299783号公報参照)。
【0012】
図10は、従来の予熱用コイルの構造の概念を示す斜視図で、(a)は水平ターン型、(b)は垂直ターン型、(c)は鞍型をそれぞれ示し、9は予熱用コイル、7Aは予熱電流経路であり、図9と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。なお、予熱電流経路7A中の矢印はある時点での電流の向きを示しており、時間とともにこの向きが交互に逆転することは接合電流7と同様である。
【0013】
しかしながら、(a)の水平ターン型は、エッジ部3だけでなくそこから少し離れた領域にも誘導電流が密に分布して加熱されるので、加熱効率が非常に悪く、(b)の垂直ターン型は、同じエッジ部3でも予熱用コイル9に近い側の外面ほど誘導電流が密に分布するので、エッジ部3端面内の温度差が大きくなり、(c)の鞍型は、図示のように誘導される予熱電流経路7Aが長くなるため、加熱効率が非常に悪いという欠点がある。
【0014】
これらの欠点があるために、従来の予熱コイルを用いてオープン管1のエッジ部3を加熱しても、ワークコイル6による加熱開始時のエッジ部3端面の角部と面部との温度差の平均化が不十分となり、接合点4においてエッジ部3端面全域を固相圧接適正温度域に持ってくることは困難である。
同様の不均一加熱に起因する問題は固相接合鋼管の製造時だけでなく、電縫管製造時にも重要である。ラインパイプなどの厚肉管では、高周波電流の表皮効果等によりエッジ部3端面の角部に電流が集中する傾向があるため、角部が優先的に溶融し、面部中央部が十分に溶融しないいわゆる冷接といった現象が生じる。肉厚が厚くなるほどこの傾向が大きく、予熱コイルを用いた従来の複合加熱方法を用いても十分な対処が難しかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術の問題に鑑み、本発明は、ビード切削の必要がなく高い生産性が確保できしかもシーム品質および表面肌に優れた鋼管を製造できる固相圧接造管法のみならず電縫管の高速、高品質造管法をも実現可能にするオープン管エッジ部予熱装置を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、オープン管を接合点において接合温度に加熱する本加熱装置の上流に配設され、誘導コイルと、少なくとも二つの磁極をもち前記誘導コイルが巻かれたインダクタと、誘導コイルに高周波電流を通電する高周波電源とを備え、前記インダクタをオープン管外部に配設してその少なくとも一つの磁極をオープン管外部からオープン管のスリット部に臨ませてなることを特徴とするオープン管エッジ部予熱装置である。
【0017】
第2の本発明は、第1の本発明の装置がさらに、インダクタに対応するオープン管内の所定の位置にインピーダを備えたことを要旨とする。
第3の本発明は、第1、第2の本発明の装置がさらに、インダクタの配設区間にオープン管外周を拘束する外周部ガイドロールおよび/またはスリット部を拘束するスリット部ガイドロールを備えたことを要旨とする。なお、外周部ガイドロールとオープン部ガイドロールとは同時に装備されるほうが好ましく、また、外周部ガイドロールのオープン管接触部は非磁性体であることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
第1の本発明によれば、予熱装置を、少なくとも二つの磁極をもち、誘導コイルで発生させた磁力線を集束させるインダクタを備えた装置とし、この装置をオープン管外部からオープン管のスリット部に、インダクタの少なくとも一つの磁極を臨ませて配設したから、インダクタの一磁極と他磁極との間の空間を走る磁力線を、オープン管の相対する両エッジ部近傍に集中的に配分することができ、端面に誘導される電流密度が増大して、誘導加熱効率が大幅に向上することとなり、端面の角部と面部との温度差を小さく保ちながらしかも急速にエッジ部を適温まで予熱できる。
【0019】
なお、本加熱装置としては、図9に示した誘導加熱装置、抵抗加熱装置のほか、レーザビーム装置、電子ビーム装置、プラズマビーム装置等の局所加熱装置も使用できる。
第2の本発明によれば、第1の本発明にさらに、インダクタに対応するオープン管内の所定の位置に、インダクタの磁極間の空間に広がって走る磁力線を集束させるインピーダを備えたので、エッジ部近傍への磁力線集中の制御性がさらに増し、誘導加熱効率がより一層向上する。
【0020】
第1、第2の本発明において、インダクタの磁極をスリット部に臨ませるにあたり、エッジ部両端面の誘起電流密度を互いに等しくするという観点から、相対するエッジ部両端面が当該極から等距離の位置に保たれることが望ましい。
第3の本発明によれば、第1、第2の本発明に、インダクタの配設区間にオープン管外周を拘束する外周部ガイドロールおよび/またはスリット部を拘束するスリット部ガイドロールを付加したので、エッジ部予熱時のオープン管のブレを効果的に防止でき、通管位置管理精度が向上して前記望ましい状況が実現する。これら外周部ガイドロールとスリット部ガイドロールとは同時に装備されるほうが好ましいことは無論である。なお、インダクタの配設区間とは、インダクタ自体が延在する区間だけでなく、インダクタと前後の設備(成形ロール、本加熱装置等)との間の区間をも含む。
【0021】
また、これらの外周部ガイドロール17は、磁極に出入りする磁力線によって電磁誘導されると自身の発熱劣化に加え予熱電流への外乱ともなりかねないので、オープン管と接触する部分は非磁性材料、例えばステンレス鋼あるいはセラミックス等で構成するほうが望ましい。
よって、本発明によれば、オープン管のエッジ部をワークコイルで誘導加熱して端面全域を固相圧接適正温度域に昇温するための昇温開始時の端面温度分布を適正に調えることが可能になり、それにより初めてビード切削の必要がなく高い生産性が確保できしかもシーム品質および表面肌に優れた鋼管を製造できる固相圧接造管法が実現可能となる。また、従来の電縫鋼管製造時においても、冷接やペネトレータの生成といった溶接不良を生じることなく、優れた鋼管を製造可能となる。
【0022】
【実施例】
以下、図1〜図8に本発明の実施例を開示する。これらの実施例では予熱電流経路を図示省略するが、従来の予熱用コイルと本実施例とで同じサイズのオープン管1を同じ電力の高周波電流で誘導加熱する理論計算シミュレーションを行って結果を比較し、本実施例では従来の予熱用コイルに比し、磁力線のエッジ部への集中度が大幅に増し、エッジ部の加熱効率が500 倍以上に向上することが確認された。
【0023】
図1は、第1の実施例の概念を示す斜視図である。図1において、10はスリット部、11は誘導コイル、12はインダクタ、13は磁極、14は磁力線である。なお、図9と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。また、通材の向き8に沿って下流に配置されているワークコイルは図示を省略した。
図1の例は、第1の本発明でインダクタ12が二磁極の場合に該当し、門型(U字形)のインダクタ12の二つの磁極13に誘導コイル11を巻き、両磁極がともにスリット部10に臨む配置形態をとっている。この構成により、磁力線14は、インダクタ12の一磁極〜スリット部10〜オープン管1内〜スリット部10〜インダクタ12の他磁極という経路を辿るので、エッジ部3の近傍に集中する。
【0024】
図2は、第2の実施例の概念を示す斜視図である。図2において、15はインピーダであり、図1と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
図2の例は、図1においてさらにオープン管1内の略中心部にインダクタ12と対面させてインピーダ15を挿入しており、第2の本発明に該当する。この構成により、オープン管1内の磁力線14がインピーダ15に集束されるので、エッジ部3近傍への磁力線14の集中度がさらに高まる。
【0025】
図3は、第3の実施例の概念を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のAA断面図、(c)は(b)の変形例の断面図、(d)は簡易型の断面図であり、図1と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
図3(a)〜(c)の例は、E字形の三磁極のインダクタ12の中央の磁極13に誘導コイル11を巻き、この中央の磁極13をスリット部10に近づけて、両端の磁極13の間をオープン管1が通過するような配置形態をとっており、第1の本発明でインダクタ12を三磁極とし、うち一磁極をスリット部10に臨ませた場合に該当する。この構成により、図3(b)、(c)に示すように、磁力線14は中央の磁極13からスリット部10を貫通し左右に分かれて両端の磁極13に向かう経路を辿るので、エッジ部3の近傍に集中する。図3(d)は、E字形インダクタの両脇の磁極の一方を省略して2磁極型としたものである。予熱条件によっては、このような簡易型も使用できる。
【0026】
図4は、第3の実施例の他の概念を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のAA断面図、(c)、(d)は(b)の変形例の断面図であり、図1と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
図4(a)〜(d)の例は、E字形のインダクタの中央の磁極を省略して、二磁極型としたものであり、両端の磁極13に誘導コイル11を巻き、これら両端の磁極13をオープン管のスリット部10に臨ませて、両端の磁極の間をオープン管1が通過するような配置形態としたものである。予熱条件によっては、このような変形型も使用できる。この構成により、図4(b)、(c)、(d)に示すように両端の磁極間の幅を狭めてオープン管のスリット部10に近づけることにより、磁力線14は両磁極を結ぶ経路を辿るので、エッジ部3の近傍に集中する。
【0027】
さらに、図3、図4に示した第3の実施例でのオープン管1においても、図2に示されるようなインピーダを挿入することにより、オープン管内の磁力線がインピーダに集束されるため、エッジ部近傍への磁力線の集中度がさらに高まる。
図5は、第4の実施例の概念を示す断面図であり、図1と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。図5の(a)はC字形の二磁極のインダクタ12の両磁極に誘導コイル11を巻き、一磁極をスリット部10に臨ませ、他磁極をオープン管1の反対側で一磁極に相対させて配置したもので、第1の本発明に該当する。磁力線14は、インダクタの両磁極を結ぶ経路を辿るので、エッジ部3の近傍に集中する。
【0028】
また、(b)は、(a)と同様の配置のC字形インダクタを二個、磁極側で向き合わせて互いに向き合う磁極同士を共有させたもので、第1の本発明に該当する。磁力線14がインダクタ12の左右に按分されて双ループを描く点で(a)の単ループと相違するが、これも(a)と同様磁力線14をエッジ部3近傍に集中させる効果がある。なお、予熱条件によっては、同図(c)に示すように(a)と同様配置のC字型インダクタ12のスリット部10に臨む磁極13のみに誘導コイル11を巻き、反対側の磁極13の誘導コイル11を省略することができる。同様に、予熱条件によっては、(b)についても同様にスリット部10とは反対側の誘導コイル11の省略が可能である。
【0029】
図6は、第5の実施例の概念を示す斜視図であり、第3の本発明の具体例として示した。図6において、17は外周部ガイドロール、18はスリット部ガイドロールでそのうち18a はスリット部10に嵌合してそのギャップを固定する凸部を胴央にもつフィン付きロール、18b はフィン付きロールの押し力に対する反力用のロールである。なお、図1と同一または相当部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0030】
本図に示すように、この実施例では、インダクタ12の配置区間の要所々々に外周部ガイドロール17を、また、そのやや上流側にフィン付きロール18a と反力用のロール18b とからなるスリット部ガイドロール18を付設している。
図7は、第3の本発明に係る外周部ガイドロールの各種拘束形態を例示する断面図である。同図(a)は2本の外周部ガイドロール17(当然ながらロールプロフィルが管周に沿う形に加工されている)が両脇から、(b)は3本が両脇と下から、(c)は3本が両肩と下から、(d)は4本が四方から、それぞれオープン管1の外周に回転可能に当接して拘束する配置形態を示している。なお、外周部ガイドロール17はここに図示した以外にも例えば5本で5方向から拘束する等々種々の配置形態が採用可能である。このように、外周部ガイドロール17はインダクタの配設区間の要所々々に、一断面当たり複数本、任意の配置形態で配設すればよい。
【0031】
図8は、第3の本発明に係るスリット部ガイドロールの拘束形態を例示する断面図である。このように、フィン付きロール18a の凸部をスリット部10に嵌合し、その反対側の外周を反力用のロール18b で支えるように配置すればよい。反力用のロール18b は図では1本のみ描いているが管周方向に複数本設けてもかまわない。
【0032】
なお、本発明は、これまでに開示した実施例に限定されるものでなく、予熱の程度等各種条件に応じてこれらを種々設計変更し或いは組み合わせて構成されるオープン管エッジ部予熱装置も、本発明に包含されることはいうまでもない。
また、予熱条件に応じて適宜、本発明の予熱装置をオープン管の軸方向に複数配列して使用することもできる。
【0033】
この例を図11、図12に示す。図11はU字形インダクタ、図12はC字形インダクタを通板方向に沿って複数個直列に配設したケースを示している。なお、図11、図12において、6はワークコイル、19はスクイズロールであり、図6と同一または相当部材には同一符号を付し、説明を省略する。図11、図12に例示するように、複数のインダクタ12を配設した場合は、インダクタの誘導コイル11への供給電流の周波数および電流値を、素材板厚、材質、通材速度等に応じて、それぞれのインダクタで異なった値とすることにより、予熱されたエッジ部の温度分布の均一性を高めたり、場合によっては所望の温度分布を得たりすることが容易となる。このような場合、一部のインダクタには、低周波電流を供給すると、前記した効果が一層容易に得られる場合もある。
【0034】
また、インダクタを複数配設することにより、各インダクタの負荷が軽減されるため、冷却が簡単になり、特に、大板厚、高速造管を狙う場合には、単独配設に比して、設備コストの低廉化、設備の長寿命化等のメリットが得られる。
<本発明のオープン管エッジ部予熱装置の予熱性能検証例>
オープン管の両エッジ部を衝合圧接して鋼管とする連続製管ラインにおいて、帯板から成形され初期管体温度600℃に全体加熱されたオープン管を140m/minで通過させながら、エッジ部端面間距離が10mmとなるライン位置でエッジ部予熱を施し、その下流で両エッジ部端面をさらに圧接温度まで誘導加熱し衝合圧接して肉厚6mm、外径130mmの機械構造用鋼管(STKM11A相当)を製管する際に、表1に「発明例」として諸元・誘導条件を示す本発明のオープン管エッジ部予熱装置を用いてエッジ部予熱を行い、誘導コイル通過直後のエッジ部端面を放射温度計で測定して得た予熱後端面平均温度を表1に示す。
【0035】
なお、表1中、「磁心」はインダクタを指す。
また、上記と同じオープン管に対し、発明例に代えて表1に「従来例」として諸元・誘導条件を示す従来の予熱用コイルを用いた場合の予熱後端面平均温度を表1に併せて示す。
なお、表1には、同じ長さをカバーする誘導コイルに同じ周波数・電流値の電流を流した発明例と従来例とを3水準(A,B,C)対比して示し、各装置の形態は表1の対応欄に記入した図番の図面に掲載されている。
【0036】
また、発明例、従来例とも外周部ガイドロールおよびスリット部ガイドロールを使用し、外周部ガイドロールには13Mn非磁性鋼を用いた。
【0037】
【表1】
【0038】
表1からわかるように、予熱後端面平均温度は、従来例Aでは601℃と初期管体温度600℃から1℃しか上昇していないのに対し、発明例Aでは863℃にまで上昇し、また従来例Bに至っては576℃と初期管体温度600℃から逆に4℃低下したのに対し、発明例B1では892℃にまで、発明例B2では923℃にまで、発明例B3では944℃にまで、それぞれ上昇し、また従来例Cでは623℃と従来例の中では最も高い昇温量がえられるものの高々23℃であるのに対し、発明例Cでは964℃にまで上昇した。
【0039】
このように、本発明によれば、従来に比べ格段に効率のよいオープン管エッジ部予熱が可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、オープン管のエッジ部端面全域をワークコイル等の本加熱装置で加熱して固相圧接適正温度域に昇温するための昇温開始時の端面温度分布を適正に調えることが可能になり、それにより初めてビード切削の必要がなく高い生産性が確保できしかもシーム品質および表面肌に優れた鋼管を製造できる固相圧接造管法が実現可能となるという格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の概念を示す斜視図である。
【図2】第2の実施例の概念を示す斜視図である。
【図3】第3の実施例の概念を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のAA断面図、(c)は(b)の変形例の断面図、(d)は簡易型の断面図である。
【図4】第3の実施例の他の概念を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のAA断面図、(c)、(d)は(b)の変形例の断面図である。
【図5】第4の実施例の概念を示す断面図である。
【図6】第5の実施例の概念を示す斜視図である。
【図7】第3の本発明に係る外周部ガイドロールの各種拘束形態を例示する断面図である。
【図8】第3の本発明に係るスリット部ガイドロールの拘束形態を例示する断面図である。
【図9】一般的な誘導加熱装置、抵抗加熱装置の概念を示す斜視図である。
【図10】従来の予熱用コイルの構造の概念を示す斜視図で、(a)は水平ターン型、(b)は垂直ターン型、(c)は鞍型をそれぞれ示す。
【図11】U字形インダクタの複数配設例を示す斜視図である。
【図12】C字形インダクタの複数配設例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 オープン管
2 鋼管
3 エッジ部
4 接合点
5 シーム部
6 ワークコイル
7 接合電流経路
7A 予熱電流経路
8 通材の向き
9 予熱用コイル
10 スリット部
11 誘導コイル
12 インダクタ
13 磁極
14 磁力線
15 インピーダ
16、16A コンタクトチップ
17 外周部ガイドロール
18 スリット部ガイドロール
18a スリット部ガイドロール(フィン付きロール)
18b スリット部ガイドロール(反力用)
19 スクイズロール
Claims (4)
- オープン管を接合点において接合温度に加熱する本加熱装置の上流に配設され、誘導コイルと、少なくとも二つの磁極をもち前記誘導コイルが巻かれたインダクタと、誘導コイルに高周波電流を通電する高周波電源とを備え、前記インダクタをオープン管外部に配設してその少なくとも一つの磁極をオープン管外部からオープン管のスリット部に臨ませてなることを特徴とするオープン管エッジ部予熱装置。
- インダクタに対応するオープン管内の所定の位置にインピーダを備えた請求項1記載のオープン管エッジ部予熱装置。
- インダクタの配設区間にオープン管外周を拘束する外周部ガイドロールおよび/またはスリット部を拘束するスリット部ガイドロールを備えた請求項1または2に記載のオープン管エッジ部予熱装置。
- 外周部ガイドロールのオープン管接触部が非磁性体である請求項3記載のオープン管エッジ部予熱装置。
Priority Applications (11)
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