JP2924716B2 - 溶接管の製造方法 - Google Patents

溶接管の製造方法

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JP2924716B2
JP2924716B2 JP16327895A JP16327895A JP2924716B2 JP 2924716 B2 JP2924716 B2 JP 2924716B2 JP 16327895 A JP16327895 A JP 16327895A JP 16327895 A JP16327895 A JP 16327895A JP 2924716 B2 JP2924716 B2 JP 2924716B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接管の製造方法にか
かわり、特に肉厚外径比(t/D)が1%以下の極薄肉
の溶接管を高周波加熱手段を用いて製造するのに好適な
溶接管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図7は、ロール成形法によって金属帯か
ら高周波加熱手段を用いて溶接管を製造する際の一般的
な従来装置の構成例を示す図である。
【0003】同図において、Hは金属帯で、図示しない
アンコイラおよびレベラーによって巻戻されるとともに
平坦に矯正され、ロール成形機1へ連続的に送給され
る。ロール成形機1は、左右一対の竪ロールからなるガ
イドロール2、上下一対の水平ロールからなるブレーク
ダウンロール3、3、…、左右一対の竪ロールからなる
サイドクラスタロール4、4、…および上下一対の水平
ロールからなるフィンパスロール5、5、…を備えてお
り、金属帯Hをその幅方向に順次曲成し、その両エッジ
部が相対向する断面円形のオープンパイプ状に成形す
る。その後、オープンパイプ状に成形された金属帯H
は、高周波加熱手段12の誘導加熱コイル10によって
その両エッジ部が溶融するまで加熱された後、左右一対
の竪ロールからなるスクイズロール6、6によって側圧
を与えられて両エッジ部の端面間から溶融金属を可及的
に排出させながら衝合溶接される(以下、これを高周波
溶接法という)。
【0004】また、高周波加熱手段を用いて複合熱源溶
接を行う場合には、高周波加熱手段12によって両エッ
ジ部を所定の温度に予熱した後、スクイズロール6の近
傍上方に設けられたTIG、MIGあるいはレーザなど
の適宜な溶融溶接手段(図示省略)を用いて両エッジ部
を溶融させ、スクイズロール6によって側圧を与えられ
て衝合溶接される(以下、これを高周波予熱併用溶融溶
接法という)。
【0005】上記いずれの溶接法による場合も、ロール
成形機1による成形過程中に金属帯Hの両エッジ部の近
傍には、他の部分よりも大きな引張力が作用し、長手方
向に伸び変形する。すなわち、ブレークダウンロール
3、3、…およびサイドクラスタロール4、4、…にお
いては両エッジ部の近傍に引張応力が生じて長手方向に
延伸し、それ以外の部分には圧縮応力が生じて長手方向
に縮小する。また、フィンパスロール5、5、におい
ては、上下一対のロールが金属帯Hの長手方向伸びを幅
方向で一定になるように作用するために両エッジ部7、
7の近傍には圧縮応力が生じ、長手方向の伸び量が平均
伸び量よりも小さくなって長手方向に縮小し、それ以外
の部分8には引張応力が生じ、長手方向の伸び量が平均
伸び量よりも大きくなって長手方向に延伸する。
【0006】この成形過程中における両エッジ部の延伸
・縮小の繰り返しよって、材料の座屈強度が小さい、例
えば肉厚/外径比(t/D)が2%以下の薄肉管を成形
する場合には、その成形過程で両エッジ部が座屈し、い
わゆる縁波が発生する。
【0007】この縁波発生を防止する方法としては、成
形高さを調整するダウンヒル成形法や両エッジ部の座屈
強度を高くするために長手方向に短いピッチで複数のロ
ールを配設して両エッジ部を押圧拘束するケージ成形法
がある。また、成形過程で発生した両エッジ部と他の部
分の歪み差を局部加熱あるいは局部加熱後冷却して熱歪
み差で調整する方法、例えば、ロール成形機による成形
過程中に金属帯の両エッジ部のみを局部加熱する一方、
両エッジ部が相互に衝合した後に金属帯の幅方向全体を
加熱して後、アーク溶接することによって溶接後の管の
溶接部に生じる変形を防止する方法(特公昭61−61
914号公報)がある。さらには、上記の各方法を組み
合わせて金属帯の両エッジ部と他の部分に生じる歪み差
を解消して縁波の発生を防止する方法もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記高周波溶接法ある
いは上記TIG、MIGあるいはレーザなどの適宜な溶
融溶接手段のみによる単なる溶融溶接法で溶接管を製造
する場合、上記t/Dが1%超、2%以下の薄肉管が対
象であるときは、上記した従来の各方法で十分に縁波の
発生を防止することが可能である。
【0009】しかし、上記t/Dが1%以下という極薄
の薄肉管を、上記高周波溶接法あるいは高周波予熱併用
溶融溶接法によって製造しようとする場合、上記従来の
各溶接法を用いても、フィンパスロールの出側では縁波
の発生が生じないにもかかわらず、スクイズロールの直
前で縁波が発生し、溶接不良が多発するという問題があ
った。これは、次の理由による。
【0010】図8は、金属帯Hの両エッジ部7、7を溶
融加熱あるいは予加熱するために高周波電流を金属帯H
に流した場合における高周波電流の流れ方を、誘導方式
を例にとって示す模式図で、同図(a)は平面図、同図
(b)は側面図である。
【0011】また、図9は、上記高周波電流の流れ方に
対応して生じる金属帯Hの変形態様を説明するための模
式図である。
【0012】誘導加熱コイル10より与えられた磁気に
より生じる高周波電流は、図8中に黒塗り矢印で示すよ
うに、誘導加熱コイル10の近傍のオープンパイプ状に
成形された金属帯Hの円周方向に流れて両エッジ部7、
7に集中する。この電流分布に対応して両エッジ部7、
7は高温に加熱されるが、他の部分8はほとんど加熱さ
れないために両エッジ部7、7と他の部分8とに著しい
温度差が生じ、両エッジ部7、7の熱歪みが大きくな
る。
【0013】上記熱歪みの増大に伴って両エッジ部7、
7には、図9中に矢印を付して示す方向の引張応力が作
用し、両エッジ部7、7がこれとは円周方向へ180°
位相したボトム部分9、換言すれば金属帯Hの幅方向中
央部に対して金属帯Hの長手方向に大きく伸びる。この
結果、例えば、図10(a)に示すように両エッジ7、
7の間隔が大きく開いた口開き変形や、図10(b)に
示すように両エッジ7、7が上方に湾曲した反り変形を
起こす。
【0014】すなわち、上記の各変形に際し、その前後
をスクイズロール6と図示しないフィンパスロールとで
形状拘束されているために一定量以上の形状変形ができ
なくなり、両エッジ部7、7に圧縮応力のかかる部分が
生じ、この部分が局部的に座屈変形して縁波が発生する
のである。この現象は、抵抗方式の高周波加熱手段を用
いた場合にも同じである。
【0015】このため、上記高周波溶接法あるいは高周
波予熱併用溶融溶接法によってt/Dが1%以下の極薄
肉管を製造する場合においても、縁波の発生を防止する
ことのできる溶接管の製造方法の開発が望まれていた。
【0016】本発明の目的は、上記の実情に鑑みなされ
たもので、t/Dが1%以下の極薄肉管であっても縁波
が発生することのない高周波加熱手段を用いた高周波溶
接法あるいは高周波予熱併用溶融溶接法による溶接管の
製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記縁波の
発生現象とその防止手段について種々研究を重ね、次の
ことを知見した。
【0018】高周波加熱手段を用いた高周波溶接法ある
いは高周波予熱併用溶融溶接法によってt/Dが1%以
下の極薄肉管を製造する場合に生じる縁波は、従来検討
されていた金属帯の両エッジ部と他の部分の成形量差に
起因して発生する歪み差によるのではなく、高周波溶融
加熱あるいは高周波予加熱のために金属帯に流す高周波
電流が主として両エッジ部のみを加熱するため、両エッ
ジ部と他の部分との間に熱歪み差が生じ、これによって
両エッジ部が金属帯の長手方向に延伸されて縁波が発生
する。しかし、高周波加熱手段の給電部材とスクイズロ
ールとの間に存在するオープンパイプ状に成形された金
属帯のボトム部、すなわち金属帯の幅方向中央部を、両
エッジ部と同等温度に加熱すると、両エッジ部に縁波が
発生するのを防止できること。
【0019】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、その要旨は次の溶接管の製造方法にある。
【0020】金属帯をロール成形機に通してオープンパ
イプ状に成形し、相対向する両エッジ部を、高周波加熱
手段で溶融加熱した後スクイズロールによって衝合溶接
するか、または高周波加熱手段で予熱し、次いで溶融溶
接手段を用いて溶融加熱した後スクイズロールによって
衝合溶接する溶接管の製造方法において、上記高周波加
熱手段の給電部材とスクイズロールとの間で、図1
(b)または図4(b)に示されるように、金属帯の幅
方向中央部に対向配置され、金属帯の長手方向に延在す
る誘導加熱コイルからなる高周波加熱手段(11)、ま
たは図3および図6に示されるように、還状の誘導加熱
コイルの一部が金属帯の幅方向中央部の長手方向に延在
(10a)する高周波加熱手段(10)を用いて、金属
帯の幅方向中央部を、少なくとも下記の式を満たす温
度になるように加熱することを特徴とする溶接管の製造
方法。 0.7≦{(T 1 −T 0 )/(T−T 0 )}≦0.9 ・・・ ただし、T 0 は製管中の雰囲気温度、Tは金属帯の両エ
ッジ部の加熱温度、T 1 は金属帯の幅方向中央部の加熱
温度とする。
【0021】
【作用】図1は、本発明の方法を説明する図で、同図
(a)は平面図、同図(b)は側面図である。
【0022】図において、6はスクイズロール、10は
高周波加熱手段の給電部材である環状の誘導加熱コイ
ル、11は矩形状の誘導加熱コイル、Hは金属帯であ
る。
【0023】矩形状の誘導加熱コイル11は、図に示す
ように、誘導加熱コイル10とスクイズロール6との間
において、図示しないロール成形機によってオープンパ
イプ状に成形された金属帯Hの両エッジ部7、7とは周
方向に180°位相したボトム部9、すなわち幅方向中
央部を局部的に加熱するようにボトム部9に対向配置さ
れている。
【0024】上記の構成において、環状の誘導加熱コイ
ル10を通してスクイズロール6の方向に連続的に送給
される金属帯Hには、誘導加熱コイル10より与えられ
る磁気によって生じる高周波電流が、図1中に黒塗り矢
印で示すように、誘導加熱コイル10に沿って金属帯H
の幅方向にも流れるももの、金属帯Hの両エッジ部7、
7に集中して流れるので、両エッジ部7、7が集中的に
局部加熱される。さらに、矩形状の誘導加熱コイル11
より与えられる磁気によって生じる高周波電流が、図中
に白抜き矢印で示すように、金属帯Hのボトム部9に集
中して流れるので、ボトム部9も局部的に加熱される。
【0025】上記の結果、図2中に矢印を付して示すよ
うに、金属帯Hの両エッジ部7、7とボトム部9とに同
方向の熱歪みが生じ、金属帯H全体がその長手方向に同
時に伸びる。この場合、スクイズロール6の上流側で金
属帯Hを拘束しているロール成形機のフィンパスロール
などの成形ロールと金属帯Hとの間に滑りが起こり、あ
る程度の金属帯Hの長手方向伸びや圧縮変形が成形ロー
ルを超えて前後に吸収されて金属帯H内部の歪み量が開
放もしくは軽減される。つまり、環状の誘導加熱コイル
10とスクイズロール6との間で金属帯Hのボトム部9
に対向配置した矩形状の誘導加熱コイル11によってボ
トム部9を加熱することで、両エッジ部7、7を局部加
熱することにより生じる熱歪みが実質的になくなるか、
もしくは軽減するので、両エッジ部7、7に縁波が発生
しなくなる。
【0026】ここで、ボトム部9の加熱に際しては次の
ことを考慮することが肝要である。
【0027】《加熱量について》加熱量が少なくても効
果は得られるが、両エッジ部7、7に与える「総熱歪み
量+成形による残留歪み量」がボトム部9の加熱による
「総熱歪み量」と釣合ってゼロになるまでは、ボトム部
9の加熱量を大きくするほど縁波発生防止の効果が大き
い。しかし、ボトム部9の「総熱歪み量」が両エッジ部
7、7の「総熱歪み量+成形による残留歪み量」を超え
て過大になると、ボトム部9の伸びの方が逆に大きくな
り、その伸び量差が僅かでも両エッジ部7、7に圧縮応
力が作用するようになって縁波が発生するようになる。
このため、ボトム部9に与える「総熱歪み量」は両エッ
ジ部7、7に与えられる「総熱歪み量+成形による残留
歪み量」以下にする必要がある。
【0028】《加熱範囲について》両エッジ部7、7の
縁波は、両エッジ部7、7を局部加熱することによる熱
歪みと成形による残留歪みとによってオープンパイプ状
に成形された金属帯Hが曲げ変形して生じる。従って、
縁波の発生を防止するには、オープンパイプ状に成形さ
れた金属帯Hの曲げ変形を抑制することが必要になる。
【0029】上記の曲げ変形は、オープンパイプ状に成
形された金属帯Hの長手方向における各幅方向断面の中
立軸、換言すればオープンパイプの管軸心から離れた両
エッジ部7、7とは180°位相のずれた反対側の位
置、すなわち金属帯Hの幅方向中央部であるボトム部9
に近づけば近づいた部分を局部加熱するほど、同じ熱歪
み量でも両エッジ部7、7の局部加熱による熱歪みで両
エッジ部7、7に発生する曲げ変形を軽減させることが
できる。このため、矩形状の誘導加熱コイル11による
ボトム部9の加熱幅は、金属帯Hの幅方向中央を中心と
して、できる限り狭い幅で加熱する方が低熱量で同じ効
果を得ることができる。ただし、ボトム部9の加熱に際
してその加熱幅を大きくして上記中立軸よりも両エッジ
部7、7に近づいた位置を加熱すると、当然のことなが
ら縁波の発生を助長する方向に曲げ変形するので好まし
くないことはいうまでもない。
【0030】また、上記両エッジ部7、7を局部加熱す
ることによる熱歪みと成形による残留歪みとに起因する
曲げ変形の挙動は、歪みを生じている金属帯Hの長手方
向の任意断面でみると、両エッジ部7、7の歪み量とボ
トム部9に与える熱歪み量との関係は、上記幅方向のそ
れと同じである。
【0031】一方、両エッジ部7、7を加熱する環状の
誘導加熱コイル10で生起される高周波電流は、非常に
幅狭く両エッジ部7、7に集中して流れる。このため、
以上のことを考慮した場合の最適なボトム部9の加熱温
度条件としては、両エッジ部7、7と長手方向および幅
方向に同一温度分布を有するようになる。しかし、前述
したように、ボトム部9の方の加熱量が大きいとボトム
部の伸び量が両エッジ部7、7の伸び量よりも大きくな
って縁波が発生するので、実際にはボトム部9の加熱温
度をエッジ部7、7の加熱温度よりも若干低くするか、
あるいはその加熱幅を若干広くするのが望ましい。具体
的には、製管中の雰囲気温度をT0 、ボトム部9の加熱
温度をT1 、両エッジ部7、7の加熱温度をTとした
時、「T1−T0 」値が「T−T0 」値よりも10〜3
0%程度低い値、すなわち、{(T 1 −T 0 )/(T−
0 )}が0.7〜0.9になるように加熱するのが望
ましい。また、ボトム部9の加熱幅については、金属帯
H全幅に対する両エッジ部7、7の加熱幅の合計が2〜
5%程度の場合、そのボトム部9の加熱幅は金属帯H全
幅の3〜10%程度とするのが好ましい。
【0032】なお、環状の誘導加熱コイル10による両
エッジ部7、7の長手方向加熱領域は、誘導加熱コイル
10とスクイズロール6との間(以下、この間を「給電
部材出側」という)だけでなく、通常、ロール成形機の
最終段のフィンパスロール側にも高周波電流パスが形成
されるので、誘導加熱コイル10よりも上流のフィンパ
スロール側(以下、この側を「給電部材入側」という)
に位置する両エッジ部7、7も多少ではあるが加熱され
る。このため、この給電部材入側に位置する両エッジ部
7、7の部分が高温に加熱される恐れのある場合は、そ
の部分に対応する部分のボトム部9を加熱することがで
きる。この場合、給電部材入側に位置する両エッジ部
7、7の加熱量よりも少ない加熱量で加熱すると、両エ
ッジ部7、7に発生する縁波をより効果的に防止するこ
とができる。
【0033】しかし、一般に、高周波加熱手段を用いて
の加熱では、給電部材入側の加熱量は給電部材出側の加
熱量よりも極めて小さく、給電部材入側部のボトム部9
を加熱するこによって得られる縁波発生の防止効果は極
めて少ない。また、給電部材入側部のボトム部9に対し
て両エッジ部7、7の熱歪み量よりも大きな熱歪み量を
与えると逆効果を招くことになる。従って、上記したよ
うに、給電部材入側の両エッジ部7、7の加熱量は元来
少く、これに対応して給電部材入側のボトム部9の加熱
適正範囲も極めて狭いので、この部分のボトム部9を加
熱することによって得られる縁波発生防止効果はほとん
どないから、必ずしも加熱する必要はない。
【0034】以上は、両エッジ部7、7の加熱に給電部
材が環状の誘導加熱コイルである誘導方式の高周波加熱
手段を用い、これとは別にボトム部9の加熱に矩形状の
誘導加熱コイルを用いた場合について説明したが、これ
らは以下に述べるのようなものであっても同じである。
【0035】図3は、両エッジ部7、7を加熱する環状
の誘導加熱コイル10の一部に給電部材出側に突出する
ボトム部9を局部加熱する突出コイル部10aを一体的
に成形し、ボトム部9に高周波電流が積極的に流れるよ
うにしたものである。この場合、高周波電源が1つで済
むという利点がある。
【0036】図4は、抵抗方式の高周波加熱手段を用い
た場合であり、給電部材である2個一対のコンタクトチ
ップ13、13を介して金属帯Hに流される高周波電流
によって両エッジ部7、7が局部加熱される。また、ボ
トム部9は、図1の場合と同様に、スクイズロール6と
コンタクトチップ13、13間に配置された矩形状の誘
導加熱コイル11によって局部加熱される。
【0037】図5は、両エッジ部7、7を局部加熱する
高周波加熱手段が誘導方式ではあるが、その誘導加熱コ
イルが両エッジ部7、7のみに臨む矩形状の垂直型誘導
加熱コイル10’を用いた場合である。この場合、ボト
ム部9の局部加熱は、上記図1または図4に示す場合と
同様、スクイズロール6と垂直型誘導加熱コイル10’
間に配置された矩形状の誘導加熱コイル11によって局
部加熱される。
【0038】なお、図1、図4および図5に示す装置構
成を用いる場合、両エッジ部7、7とボトム部9を異な
る誘導加熱コイルで加熱することになり、この際ボトム
部9の熱歪み量が両エッジ部7、7の「総熱歪み量+成
形による残留歪み量」以下となるように、両者の電流量
バランスを調整する必要があり、このための制御装置が
必要で設備費が嵩む。しかし、前述の図3に示すボトム
部9を局部加熱する突出コイル部10aの大きさを、上
記「T1 −T0 」値が「T−T0 」値よりも10〜30
%程度低い値になるように設計成形した一体型の環状誘
導加熱コイル10を用いる場合には、特別な電流バラン
ス制御装置を必要としないから、この一体型の環状誘導
加熱コイルを用いることが推奨される。
【0039】なお、上記一体型の環状の誘導加熱コイル
10の具体的な一例を示すと、図6に示すとおりであ
る。この場合、その突出コイル部10aの導線間にフェ
ライトなどの磁性酸化物からなる磁束集中部材10bを
配置したものを用いるのがより望ましい。さらに、前述
したことからわかるように、上記突出コイル部10aの
反対側に、給電部材入側のボトム部9を局部加熱するた
めの突出コイル部を形成したものであってもよい。
【0040】またさらに、ボトム部9を高周波加熱手段
を用いることとしたのは、他の加熱手段では必要な部分
に必要な熱量を短時間に供給できないためである。
【0041】
【実施例】フェライト系ステンレス鋼(JIS−SUS
420相当)製の外径50.8mmで、肉厚の種々異な
る(0.5〜1.6mm)薄肉管を対象に、図6に示す
形状寸法で、突出コイル部10aの導線間空間部に外径
8mm、長さ40mmのフェライト製の磁束集中部材1
0bを配置した環状の誘導加熱コイル10をスクイズロ
ール中心から上流側へ120mmの位置にその幅方向中
心が位置するように突出コイル部10aが下流側に位置
するように配置し、スクイズロール中心位置における両
エッジ部温度が1400℃になるように加熱してスクイ
ズロールで0.4mmのアップセット量を付与しつつ製
管速度40m/minで衝合溶接する電縫溶接法によっ
て電縫溶接管を製造するに際し、その製造可否を調査し
た。
【0042】また、比較のために図6に示す誘導加熱コ
イル10から突出コイル部10a(含む磁束集中部材1
0b)を除いては同一形状寸法の誘導加熱コイルを用い
た以外は上記と同一条件で電縫溶接管を製造するに際
し、その製造可否も調査した。
【0043】その実験結果を、表1に示した。
【0044】
【表1】
【0045】表1から明らかなように、本発明の方法に
よった場合には、いずれの肉厚も衝合溶接前において両
エッジ部に縁波は発生せず、何らの問題もなく衝合溶接
することができた。
【0046】これに対し、従来の方法では、肉厚が0.
8mm(t/D=1.57%)以上では、材料自体に剛
性があるために衝合溶接前の両エッジ部に縁波が発生せ
ず、なんらの問題もなく衝合溶接することが可能であっ
た。また、肉厚が0.6mm(t/D=1.18%)で
は、衝合溶接前の両エッジ部に微小な縁波が発生して衝
合溶接が不安定になったが、ビード切削除去することで
一応の製造が可能であった。しかし、肉厚が0.6mm
(t/D=0.98%)では、両エッジ部に縁波が多発
し、衝合溶接することが全くできなかった。なお、高周
波加熱手段によって両エッジ部を加熱しなかった場合
は、従来の方法および本発明の方法ともに、いずれの肉
厚においても縁波は全く発生しなかった。
【0047】なお、上記の実験結果は電縫溶接法によっ
た場合であるが、データの表示は省略するものの、高周
波加熱手段によって金属帯の両エッジ部を所定の温度に
予熱し、その後TIG、MIG、レーザなどの溶融溶接
手段により予熱された両エッジ部を溶融温度に昇温加熱
して衝合溶接する、所謂高周波予熱併用溶融溶接法に適
用した場合にも同様の結果が得られた。
【0048】
【発明の効果】本発明の方法によれば、既存の電縫溶接
管の製造装置にボトム部を加熱する誘導加熱コイルを付
設するか、もしくはその誘導方式の環境の誘導加熱コイ
ルをボトム部を加熱する突出コイル部を形成したものに
取り替えるのみで、従来の電縫溶接法および高周波予熱
併用溶融溶接法では製造できなかった極薄肉の溶接管を
製造することが可能で、その産業上に寄与するところ極
めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によって金属帯を加熱した場合に
おける高周波電流の流れを説明する模式図で、同図
(a)は平面図、同図(b)は側面図である。
【図2】本発明の方法における縁波発生防止の原理を説
明する模式図である。
【図3】本発明の方法に用いる他の誘導加熱コイル例を
示す側面図である。
【図4】本発明の方法に用いるさらに他の誘導加熱コイ
ル例を示す図で、同図(a)は平面図、同図(b)は側
面図である。
【図5】本発明の方法に用いるまた更に他の誘導加熱コ
イル例を示す図で、同図(a)は平面図、同図(b)は
側面図である。
【図6】本発明の実施例で用いた誘導加熱コイルの具体
例を示す図で、同図(a)は側面図、同図(b)は同図
(a)のI−I線矢視断面図である。
【図7】従来の溶接管製造装置の全体構成を示す模式図
である。
【図8】従来の高周波加熱手段によって高周波電流を金
属帯に流した場合における高周波電流の流れ方を誘導方
式を例にとって示す模式図で、同図(a)は平面図、同
図(b)は側面図である。
【図9】従来の高周波加熱手段によって金属帯を加熱し
た場合における金属帯両エッジ部の変形態様を説明する
ための模式図である。
【図10】従来の高周波加熱手段を用いての溶接管製造
時に発生する金属帯の変形例を示す模式図で、同図
(a)は口開き変形を、同図(b)は反り変形を、示す
図である。
【符号の説明】
1:ロール成形機 2:ガイドロール 3:ブレークダウンロール 4:サイドクラス
タロール 5:フィンパスロール 6:スクイズロー
ル 7:エッジ部 8:エッジ部以外
の部分 9:ボトム部 10:環状の誘導加
熱コイル 10a:突出コイル部 10b:磁束集中
部材 10’:垂直型誘導加熱コイル 11:矩形状の誘
導加熱コイル 12:高周波加熱手段 13:コンタクト
チップ H:金属帯

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属帯をロール成形機に通してオープンパ
    イプ状に成形し、相対向する両エッジ部を、高周波加熱
    手段で溶融加熱した後スクイズロールによって衝合溶接
    するか、または高周波加熱手段で予熱し、次いで溶融溶
    接手段を用いて溶融加熱した後スクイズロールによって
    衝合溶接する溶接管の製造方法において、上記高周波加
    熱手段の給電部材とスクイズロールとの間で、金属帯の
    幅方向中央部に対向配置され、金属帯の長手方向に延在
    する誘導加熱コイルからなる高周波加熱手段(11)、
    または還状の誘導加熱コイルの一部が金属帯の幅方向中
    央部の長手方向に延在(10a)する高周波加熱手段
    (10)を用いて、金属帯の幅方向中央部を、少なくと
    も下記の式を満たす温度になるように加熱することを
    特徴とする溶接管の製造方法。 0.7≦{(T 1 −T 0 )/(T−T 0 )}≦0.9 ・・・ ただし、T 0 は製管中の雰囲気温度、Tは金属帯の両エ
    ッジ部の加熱温度、T 1 は金属帯の幅方向中央部の加熱
    温度とする。
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