JPH1147827A - レーザー溶接管の製造方法 - Google Patents

レーザー溶接管の製造方法

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JPH1147827A
JPH1147827A JP9199515A JP19951597A JPH1147827A JP H1147827 A JPH1147827 A JP H1147827A JP 9199515 A JP9199515 A JP 9199515A JP 19951597 A JP19951597 A JP 19951597A JP H1147827 A JPH1147827 A JP H1147827A
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JP
Japan
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angle
rolls
top pressure
open pipe
pipe
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Application number
JP9199515A
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English (en)
Inventor
Katsuyuki Matsuhiro
克之 松廣
Tomotaka Hayashi
智隆 林
Hirotsugu Inaba
洋次 稲葉
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】内面ビード中に断続的に発生し、溶接部の靱性
を著しく劣化させる溶融金属の溶け落ちが原因で生じる
コブ状突起の発生を防ぐことが可能なレーザー溶接管の
製造方法。 【解決手段】素材帯鋼の肉厚をt(mm)、平面視で、
スクイズロール軸心位置に対応するパスライン上の点
と、この点から上流側に50mm離間した位置の帯鋼の
両端2点との合計3点で形成される角度をV角度θ
(°)とした時、式「t×θ<40」を満たす条件でレ
ーザー溶接製管を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー溶接管の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高品質な溶接部が要求される高級溶接管
の製造方法の1つに、レーザー溶接製管法がある。
【0003】レーザー溶接製管法では、オープンパイプ
状に曲げ成形された帯鋼にスクイズロールでアプセット
力を加えて帯鋼の両端面相互を突き合わせ、その突き合
わせ部にレーザービームを照射して溶接製管する。この
時、アプセット力は、通常、オープンパイプ状に曲げ成
形された帯鋼がもとの形状にもどろうとするスプリング
バック力に抗して帯鋼の両端面相互を密接させるか、も
しくは両端面相互間に0.5mm以下のギャップが存在
する程度にされる。
【0004】しかし、アプセット力と溶接部の性能との
間には強い相関があり、単に帯鋼の両端面相互を密接さ
せるか、もしくは両端面相互間に0.5mm以下のギャ
ップが存在する程度のアプセット力を加えるだけでは不
十分なために、このアプセット力を規定する方法が従来
から種々提案されている。
【0005】例えば、特開平8−174249号公報に
は、溶接部に発生するアンダーカットとブローホール、
および溶接金属近傍のメタルフローの過度な立ち上がり
を防ぐために、下記式で定義されるアプセット量Aを
0.1〜1.0mmにする方法が示されている。
【0006】A=DOP−DWP ・・・・ ここで、 DOP:スクイズロール通過前のオープンパイプの外周
長、 DWP:スクイズロール通過後の溶接管の外周長。
【0007】また、特開平8−174253号公報に
は、溶接部に発生するアンダーカットと溶接金属近傍の
メタルフローの過度な立ち上がりを防ぐともに、溶融池
中の酸化物排出を向上させるために、上記式で定義さ
れるアプセット量Aを溶融池幅の0.2〜1.0倍にす
る方法が示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の両公報
に示される方法は、いずれも上記式で定義されるアプ
セット量Aをもってオープンパイプに加えるアプセット
力が規定されているにすぎず、(a) レーザービーム照射
前における帯鋼両端の圧縮変形量、(b) 溶融池に対する
圧縮変形量および(c) 溶接終了後における帯鋼両端の圧
縮変形量の3つの要因が溶接部の品質に及ぼす影響につ
いては全く考慮されていない。
【0009】このため、両公報に示される方法では、同
じアプセット量Aでも、上記(a) 〜(c) のうち、特に
(b) の溶融池に対する圧縮変形量が大きく変動し、溶接
後の管内面ビード中に溶融金属の溶け落ちに起因するコ
ブ状突起が短いピッチで断続的に多発することがあり、
このコブ状突起が発生した部分の靱性が極端に劣り、不
良品が多発するという問題があった。
【0010】本発明は、上記の実状に鑑みてなされたも
ので、その課題は、上記コブ状突起の発生を防ぐことが
できるレーザ溶接管の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次のレ
ーザ溶接管の製造方法にある。
【0012】帯鋼を成形ロール群に通して連続的にオー
プンパイプ状に曲げ成形し、その両端面をスクイズロー
ルスタンドに通して突き合わせ、この突き合わせ部にレ
ーザービームを照射してシーム溶接するレーザー溶接管
の製造方法であって、平面視で、スクイズロールの軸心
位置から上流側に50mm離間した位置におけるオープ
ンパイプ状に曲げ成形された帯鋼の両端2点と、前記ス
クイズロールの軸心位置相互を結ぶ線とパスラインとが
交叉する点の3点で形成されるオープンパイプのV形状
突き合わせ部のV角度θ(゜)を下式を満たす値に設定
してシーム溶接することを特徴とするレーザー溶接管の
製造方法。
【0013】t×θ<80 ここで、 t:帯鋼の肉厚(mm) 上記本発明の方法においては、スクイズロールスタンド
として、左右一対のサイドロールと、このサイドロール
の上方にあってオープンパイプ状に曲げ成形された帯鋼
の両端部を押圧拘束する左右一対のトッププレッシャー
ロールを少なくともパスライン方向に2対設けたものを
用い、トッププレッシャーロール群により、上記のV角
度θの調整を行うのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
をなすに到った知見事項と本発明の方法について詳細に
説明する。
【0015】上記のコブ状突起は、同じ成分組成の帯鋼
を素材とし、予熱温度、製管速度、レーザー出力、アプ
セット量など従来の管理基準を一定に保ってレーザー製
管しても発生する場合があり、コブ状突起が発生した部
分の靭性が著しく劣化することは前述した通りである。
【0016】そこで、本発明者らは、コブ状突起の発生
機構を解明すべく種々検討し、次のことを明らかにし
た。
【0017】図1は、溶融池4の保持形状を示す模式的
横断面で、同図(a)はアプセット力による圧縮変形が
ない場合、同図(a)はアプセット力による圧縮変形が
適度な場合、同図(c)はアプセット力による圧縮変形
が過度な場合、をそれぞれ示している。
【0018】図1(a)に示すように、アプセット力に
よる圧縮変形がない場合の溶融池4は、重力の影響を受
けて全体的に垂れ下がるものの、内外両面の表面張力に
支えられて両者が釣り合う形で保持される。この時、内
外両面の表面張力の釣り合い式は下記式となる。
【0019】 (σ/R1 )+(σ/R2 )=ρgh ・・・ ここで、 σ :表面張力(N・m-1)、 R1 :溶融池外面の曲率半径(m)、 R2 :溶融池内面の曲率半径(m)、 ρ :溶融金属の密度(kg・m-3)、 g :重力加速度(m・s-2)、 h :溶融池の深さ(m)。
【0020】しかし、この図1(a)に示す状態のまま
凝固させると、外面側に肉厚不足欠陥であるアンダーフ
ィルが発生する。
【0021】このため、アプセット力を加えて溶融池4
に適度な圧縮変形を付与し、図1(b)に示すように、
その外面を盛り上げ、この状態で凝固させることによっ
てアンダーフィルの発生を防ぐことが行われる。この
時、溶融池4を保持する力は、外面側が盛り上がるた
め、内面側の表面張力のみになるので、その釣り合い式
は下記式となる。そして、この際に溶融池4が垂れ落
ちずに保持されるのは、「R2 <R1 」になるためであ
る。
【0022】 (σ/R2 )=(σ/R1 )+ρgh ・・・ ところが、付与するアプセット力が不適切で溶融池4に
過度な圧縮変形が加わると、溶融池4の深さhが大きく
なり、これに伴って内外面の曲率半径R2 とR1 が小さ
くなる。しかし、内外面の曲率半径R2 とR1 は、溶融
池4の幅bの1/2未満になることができないので、上
記式の左辺「σ/R2 」と右辺第1項「σ/R1 」に
は上限値が存在することになる。
【0023】従って、過度な圧縮変形を受けた溶融池4
の保持状態を上記式に当てはめると、溶融池4の深さ
hが大きくなるのに伴って式の右辺第2項「ρgh」
のみが大きくなり、下記式の関係になる。
【0024】 (σ/R2 )<(σ/R1 )+ρgh ・・・ この結果、溶融池4を内外面の表面張力の釣り合いで保
持できなくなって、図1(c)に示すように、内面側に
垂れ落ち40が発生する。しかも、この垂れ落ち40
は、これが溶接中に一旦発生すると、溶融池4の長手方
向の表面張力の釣り合い状態を壊すために間欠的に発生
して凝固するようになり、図2に示すように、凝固完了
後の内面ビード中に断続的なコブ状突起Kが形成される
ことをつきとめた。
【0025】そして、内面側に垂れ落ち40が発生した
溶融池4は、図3に示すように、同図の(a)→(b)
→(c)の順、すなわち外表面側から凝固Sが進行し、
溶融金属M中に存在する酸化物などの汚染物質Maの浮
上排出が妨げられる。その結果、凝固完了後の溶接金属
には、同図(d)に示すように、その中央部に汚染物質
Maが残存するのに加え、成分の偏析が発生し、これら
が原因で、内面ビード中のコブ状突起Kの形成された部
分の靱性が極端に劣ることがわかった。
【0026】以上説明したように、溶接製管中の溶融池
4に過大な圧縮変形が加わると、内面ビード中にコブ状
突起Kが断続的に形成され、その部分の靱性は劣化す
る。従って、オープンパイプに加えるアプセット力は、
溶融池4の圧縮変形量が過大にならないように適正に管
理する必要がある。しかし、前記式で定義されるアプ
セット量Aで管理したのでは、コブ状突起Kの発生を確
実に防ぐことのできる圧縮変形量を溶融池4に付与する
ことは、以下に述べる理由によりできない。
【0027】図4は、レーザー溶接製管プロセスにおけ
る溶融池4の圧縮変形挙動を説明する図で、同図(a)
は溶融池4を含む前後の溶接状態を示す模式的平面図、
同図(b)は図(a)中の各過程におけるオープンパイ
プ状に曲げ成形された帯鋼1の両端面E、Eに作用する
応力分布を示す図、同図(c)は図(a)中のH部の圧
縮変形量分布を示す図、同図(d)は図(a)中のW部
の圧縮変形量分布を示す図である。
【0028】図4(a)に示すように、オープンパイプ
状に曲げ成形された帯鋼1は、その両端面E、Eが図示
しないスクイズロールによりその軸心5の位置よりも上
流側の点2で突き合わされる。そして、点2とスクイズ
ロールの軸心5との間においてその突き合わせ部に上方
よりレーザービームを照射されて溶融池4を形成し、こ
の溶融池4が凝固して溶接ビード6になることで溶接が
完了する。
【0029】なお、図4(a)中、符号3は点2と溶融
池4の始端4aとの間にあって帯鋼1の両端面E、Eが
単に接触しているだけの領域、符号4bは溶融池4の終
端、領域3中のW部とH部は、特に変形量が大きい帯鋼
1の両端面E、Eの近傍領域で、前者のW部は後にレー
ザービームの照射を受けて溶融池4になる部分、後者の
H部はレーザービームの照射を受けても溶融池4になら
ない部分、をそれぞれ示している。
【0030】また、図4(c)中の符号ΔXH は上記H
部の最終圧縮変形量、図4(d)中の符号ΔXW はW部
の最終圧縮変形量、符号ΔXP は溶融池4の圧縮変形
量、をそれぞれ示してある。
【0031】図4(b)に明らかなように、帯鋼1の突
き合わせ両端面E、Eに作用する応力は、図4(a)の
点2に対応する位置から作用し始め、領域3においては
素材である帯鋼1の応力−歪み線図に従って圧縮応力が
順次増加する。しかし、この圧縮応力は、溶融池4の領
域に達すると、変形の全てが溶融池4に吸収されるため
に完全に解放されて0(ゼロ)になる。そして、溶融池
4の終端4bに至って両端面E、Eに再び圧縮応力が作
用し始め、スクイズロールの軸心5の位置に到達するま
での間に順次増加した後次第に減少し、その後両端面
E、Eには溶接管のスプリングバック現象によって引張
り応力が作用するようになる。
【0032】一方、上記図4(b)に示す応力分布に対
応し、両端面E、E近傍のうちのH部の変形量は、図4
(c)に示すように、点2に至って増加し始めて一定量
に達した後、この状態で溶融池4の終端4bまで到って
再び増加し始め、スクイズロールの軸心5の位置に到達
するまでの間に最終圧縮変形量△XHになる。
【0033】また、W部の変形量は、図4(d)に示す
ように、点2に至って増加し始めて一定量に達した後、
溶融池4の始端4aに到って再び増加し始め、スクイズ
ロールの軸心5の位置に到って最終圧縮変形量△XW
なる。
【0034】すなわち、溶融池4それ自体の圧縮変形量
は、図4(d)に示すΔXp であるが、これに対して前
述の式で定義されるアプセット量Aは、図4(c)に
示す最終圧縮変形量ΔXH と図4(d)に示す最終圧縮
変形量ΔXW との和である。従って、前述の式で定義
されるアプセット量Aから直ちに溶融池4それ自体の圧
縮変形量ΔXP を推定することは不可能なために、単に
前述の式で定義されるアプセット量Aを規定するだけ
では内面ビード中に断続的に発生するコブ状突起Kの発
生を確実に防ぐことができない。換言すれば、管軸長方
向に安定した靱性を有する溶接部を備えたレーザ溶接管
を安定して製造することは到底できない。
【0035】そこで、本発明者らは、溶融池4それ自体
の圧縮変形量ΔXp に影響を及ぼす制御可能な種々の因
子を変化させ、その時のコブ状突起Kの発生状況を詳細
に調査した結果、次のことを知見した。
【0036】すなわち、溶融池4の圧縮変形量ΔXp
は、図4(a)に示すオープンパイプ状に曲げ成形され
た帯鋼1の両端面E、Eで形成される点2を頂点とする
V角度θ(単位は「°」で、以下同じ)を大きくすると
増加し、逆にV角度θを小さくすると減少するという事
実である。しかし、上記の点2は、素材である帯鋼1の
寸法(特に幅)変動などに起因して溶接製管中に位置変
動するために、実際の製管中に点2を頂点とするV角度
θの制御が不可能である。
【0037】このため、図4(a)中の点5を頂点と
し、この点5から上流側に一定距離、具体的には50m
m離間した位置における帯鋼1の両端2点との合計3点
で形成される角度をV角度θとして管理することにし、
このV角度θを変化させることを試みた。その結果、図
5に示すように、点2を頂点とするV角度θを変化させ
た場合と同様に、点5を頂点とするV角度θをθ1 と大
きくすると溶融池4の圧縮変形量が△XP1に増加し、逆
にV角度θをθ2 と小さく溶融池4の圧縮変形量が△X
P2に減少することを確認した。
【0038】また、コブ状突起Kの発生起因である内面
ビードの垂れ落ち40は、上記式の右辺第2項「ρg
h」が大きくなるためであるが、この右辺第2項の「ρ
gh」値は溶融池4それ自体の圧縮変形量ΔXp に加え
て溶融池4の厚さh、換言すれば被溶接材料である帯鋼
1の肉厚t(単位は「mm」で、以下同じ)に大きく支
配されるという事実である。
【0039】そこで、溶融池4それ自体の圧縮変形量Δ
Xp と帯鋼1の肉厚tがコブ状突起Kの発生有無に及ぼ
す影響を知るべく、次の実験を行った。すなわち、肉厚
tが種々異なる同一幅の帯鋼1を対象に、上記スクイズ
ロールの軸心位置に対応する点5を頂点とし、点5から
上流側に50mm離間した位置におけるオープンパイプ
状に曲げ成形された帯鋼1の両端2点とで形成されるV
角度θを種々変化させてレーザー溶接製管を行った。
【0040】なお、上記以外の条件は、高周波による帯
鋼両端部の予熱温度を1000℃、レーザー出力を25
kW、溶接速度を3〜10m/minとした。
【0041】そして、コブ状突起Kの発生状況を調べた
ところ、図6に示す結果が得られ、この結果から下記
式を満たす条件でレーザー溶接製管を行う場合に限って
コブ状突起Kが発生しないことを知見した。なお、図6
中の×印はコブ状突起Kが発生した場合、○印はコブ状
突起Kが発生しなかった場合を示している。
【0042】t×θ<80 ・・・ ここで、本発明の製造方法においては、製管外径が同じ
場合でも上記のV角度θを素材である帯鋼1の肉厚tに
応じて調整する必要がある。そのための方法としては、
次のいずれかの方法によればよい。
【0043】すなわち、製管外径が比較的小径で、スク
イズロールスタンドが左右一対のスクイズロールのみか
らなる2ロールタイプの場合には、(イ)スクイズロー
ルを孔型溝底部の直径が異なるものに取り替える、
(ロ)少なくとも成形ロール群中の最下流側に位置する
最終フィンパスロールをフィンの幅が異なるものに取り
替える、(ハ)スクイズロールスタンドまたは/および
最終フィンパスロールスタンドをミルのパスライン方向
に位置可変に設けて両スタンド間隔を調整する、などで
ある。
【0044】また、製管外径が比較的大径で、スクイズ
ロールスタンドが左右一対のサイドロールと、このサイ
ドロールの上方にあってオープンパイプ状に曲げ成形さ
れた帯鋼の両端部を押圧拘束する左右一対のトッププレ
ッシャーロールとからなる4ロールタイプの場合には、
上記の(イ)〜(ハ)に加え、(ニ)トッププレッシャ
ーロールを直径の異なるものに取り替える、などであ
る。
【0045】しかし、上記各方法のうち、(イ)、
(ロ)および(ニ)の方法は、寸法の異なるロールを数
多く保有する必要があって工具費が嵩み、製品の製造コ
スト上昇を招く。また、(ハ)の方法は、スクイズロー
ルスタンドまたは/および最終フィンパスロールスタン
ドを位置可変とした特殊な設備になるので設備費が嵩
み、上記と同様に、製品の製造コスト上昇を招く。
【0046】ところが、図7に示すように、左右一対の
サイドロール7、7の上方に左右一対のトッププレッシ
ャーロール8、8をパスライン方向に少なくとも2対設
ける場合には、2対のトッププレッシャーロールのパス
ライン方向の離間距離または/および上流側(図中の左
側)に配置されたトッププレッシャーロール対の押し込
み量を変化させることで、V角度θを調整することがで
きる。
【0047】図8は、図7の要部を拡大して示す模式的
平面図であるが、図において、サイドロール7の下流側
(図中の右側)に配置されたトッププレッシャーロール
8、8を所定の位置に固定する。そして、上流側(図中
の左側))に配置されたトッププレッシャーロール8、
8の押し込み量を、例えば大きくする。
【0048】その結果、帯鋼の両端面E、Eの突き合わ
せV形状は、図中に太実線で示す形状から、太一点鎖線
で示す形状に変化し、頂点5とこの頂点5から上流側に
50mm離間した位置における両端面E、E2点の合計
3点で形成されるV角度θがθ1 からθ2 に小さくな
る。この時、頂点5における帯鋼の両端面E、Eの接触
状態またはギャップは一定であり、レーザービームの照
射点Pにおける帯鋼の両端面E、Eの接触状態またはギ
ャップの変化が可及的に抑制される。また、オープンパ
イプの上下方向直径と水平方向直径は、下流側のトップ
プレッシャーロール8、8によって規定されるので、製
品寸法上の制約からも何らの問題もない。
【0049】なお、この場合におけるV角度θの頂点5
は、図8に示すように、サイドロール7の軸心位置に対
応する位置ではなく、その下流側に配置されるトッププ
レッシャーロール8、8の軸心位置に対応する位置とさ
れる。
【0050】左右一対のトッププレッシャーロール8、
8をパスライン方向に少なくとも2対配置してV角度θ
を調整する場合には、上記(ハ)の方法のうち、スクイ
ズロールスタンド全体を変位させるのに比べて設備費な
どが安価で済む。
【0051】また、一対のみのトッププレッシャーロー
ルを直径の異なるものに取り替えてV角度θを調整する
場合に比べて帯鋼1の両端部をより滑らかに集束させる
ことができる。
【0052】さらに、下流側のトッププレッシャーロー
ル8、8の下流側にトッププレッシャーロール対を配置
する場合には、溶接後にスプリングバック力で離間して
溶接部に生じる微小クラックの発生を抑制防止すること
ができる。
【0053】従って、製管サイズが比較的大径の場合に
は、左右一対のサイドロールに加え、左右一対のトップ
プレッシャーロールをパスライン方向に少なくとも2対
配置したスクイズロールスタンドを用い、サイドロール
の上流側に位置するトッププレッシャーロールの位置を
変位させることでV角度θを調整するのが好ましい。
【0054】
【実施例】米国石油協会規格(API)に規定されるX
65相当の強度を有する炭素鋼からなり、肉厚が9.5
3mmと12.7mmの帯鋼を用い、外径318.5m
mの溶接管を製造するに当たり、本発明で定義するV角
度θを種々変化させてレーザー溶接製管を行った。
【0055】この時、高周波加熱手段を用いて帯鋼の両
端部を1000℃に予熱し、溶接部近傍の管外面をHe
ガス、管内面をArガスを用いてシールドした。また、
レーザー出力は25kWとし、製管速度は板厚9.53
mmの場合10m/min、板厚12.7mmの場合7
m/minとした。
【0056】さらに、溶接後、外面の溶接ビードはミル
中の除去装置を用いて切削除去し、内面ビードについて
はコブ状突起の発生部と非発生部を知る必要があるため
に切削除去しなかった。また更に、外面ビード切削後、
溶接部に焼入れ焼戻しのシーム熱処理を施した。
【0057】次いで、得られた溶接管から、管軸長方向
に20mmピッチで、Vノッチ底が溶接金属の中央に位
置するJIS Z 2202に規定される幅7.5mm
のサブサイズ4号試験片を、コブ状突起の発生部からの
ものにはマーキングを施しながら複数採取した。そし
て、これらの試験片をシャルピー衝撃試験に供し、破面
遷移温度Trs50を調べることで、溶接部の性能評価を行
った。
【0058】図9と図10は、その試験結果の一例を示
し、肉厚が9.53mmの帯鋼を対象に製造して得られ
た溶接管についての詳細図で、図9はV角度θを9゜、
すなわち「θ×t」値を85.77に設定して製造した
溶接管、図10はV角度θを6°、すなわち「θ×t」
値を57.18に設定して製造し溶接管、の結果をそれ
ぞれ示し、コブ状突起の未発生部から採取した試験片の
結果を○印、コブ状突起の発生部から採取した試験片の
結果を▲印で示してある。
【0059】この図9と図10の対比から明らかなよう
に、「θ×t」値を80以上に設定して製造した溶接管
には、内面ビード中にコブ状突起が断続的に多数発生し
ており、その部分の破面遷移温度Trs50は−50℃で、
靱性が著しく劣っている。
【0060】これに対し、「θ×t」値を80以上に設
定して製造した溶接管には、内面ビード中にコブ状突起
が全く発生しておらず、溶接部の破面遷移温度Trs50
−100℃で、靱性に優れている。
【0061】また、詳細図の添付は省略するが、その他
の条件のもとに製造して得られた溶接管についての内面
ビード中のコブ状突起の発生状況と、シャルピー衝撃試
験結果を、製管条件と合わせて表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1から明らかなように、「θ×t」値が
80以上の条件で製造したNo. 4(上記の図9に対応)
とNo. 8の溶接管には、内面ビード中にコブ状突起の発
生が認められ、その部分の破面遷移温度Trs50がいずれ
も−50℃で、溶接管全体としての溶接部の靱性が不芳
であた。
【0064】これに対し、「θ×t」値が80未満の条
件で製造したNo. 1〜3およびNo.5〜7の溶接管に
は、その内面ビード中にコブ状突起の発生が全く認めら
れず、溶接部の靱性は遷移温度がいずれも−95℃以下
で極めて良好であった。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、内面ビード中に発生し
て溶接部の靱性を著しく劣化させるコブ状突起の発生を
確実に防ぐことができる。その結果、溶接部の品質が長
手方向で均一なレーザー溶接管を製造することが可能
で、製品歩留まりが向上する。また、パスライン方向に
左右一対のトッププレッシャーロールを少なくとも2対
配置してV角度θの調整を行う場合には、レーザー溶接
がより安定するほか、工具費や設備費を大幅に低減する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コブ状突起の発生機構を説明するための図で、
同図(a)はアプセット力が0(ゼロ)の場合、であ
る。同図(b)はアプセット力が適正な場合、同図
(c)はアプセット力が過大な場合、を示す図である。
【図2】コブ状突起の発生状態を示す図で、同図(a)
は平面図、同図(b)は縦断面図である。
【図3】コブ状突起発生時における溶融金属の凝固態様
を示す図で、同図(a)は初期の凝固状態、同図(b)
および(c)は中期の凝固状態、同図(d)は凝固完了
状態、を示す図である。
【図4】レーザー溶接製管プロセスにおける溶融池の圧
縮変形挙動を説明する図で、同図(a)は溶融池を含む
前後の溶接状態を示す模式的平面図、同図(b)は図
(a)中の各過程におけるオープンパイプ状に曲げ成形
された帯鋼の両端面E、Eに作用する応力分布を示す
図、同図(c)は図(a)中のH部の圧縮変形量分布を
示す図、同図(d)は図(a)中のW部の圧縮変形量分
布、を示す図である。
【図5】V角度θを定義するためと、V角度θを変化さ
せた場合における上記W部の圧縮変形量分布を示す図
で、同図(a)はV角度θが大きい場合、同図(b)は
図(a)時におけるW部の圧縮変形量分布、同図(c)
はV角度θが小さい場合、同図(d)は図(c)時にお
けるW部の圧縮変形量分布、を示す図である。
【図6】実験結果を示す図で、V角度θと帯鋼の肉厚t
との積と、コブ状突起の発生有無との関係を示す図であ
る。
【図7】V角度θの調整手段の一例を示す図である。
【図8】図7の要部の拡大平面図である。
【図9】本発明で規定する条件を外れる方法に従って製
造された溶接管溶接部の詳細なシャルピー衝撃試験結果
の一例を示す図である。
【図10】本発明の方法に従って製造された溶接管溶接
部の詳細なシャルピー衝撃試験結果の一例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 ;帯鋼、 2 ;両端面E、Eの接触点、 3 ;両端面E、Eの単なる接触領域、 4 ;溶融池、 4a;溶融池4の始端、 4b;溶融池4の終端、 40;垂れ落ち、 5 ;V角度θの頂点、 6 ;溶接ビード、 7 ;サイドロール、 8 ;トッププレッシャーロール、 E ;帯鋼1の端面、 S ;凝固部、 M ;溶融金属部、 Ma;汚染物質、 K ;コブ状突起、 P ;レーザービームの照射点、 θ ;V角度。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】帯鋼を成形ロール群に通して連続的にオー
    プンパイプ状に曲げ成形し、その両端面をスクイズロー
    ルスタンドに通して突き合わせ、この突き合わせ部にレ
    ーザービームを照射してシーム溶接するレーザー溶接管
    の製造方法であって、平面視で、スクイズロールの軸心
    位置から上流側に50mm離間した位置におけるオープ
    ンパイプ状に曲げ成形された帯鋼の両端2点と、前記ス
    クイズロールの軸心位置相互を結ぶ線とパスラインとが
    交叉する点の3点で形成されるオープンパイプのV形状
    突き合わせ部のV角度θ(゜)を下式を満たす値に設定
    してシーム溶接することを特徴とするレーザー溶接管の
    製造方法。 t×θ<80 ここで、 t:帯鋼の肉厚(mm)
  2. 【請求項2】スクイズロールスタンドとして、左右一対
    のサイドロールと、このサイドロールの上方にあってオ
    ープンパイプ状に曲げ成形された帯鋼の両端部を押圧拘
    束する左右一対のトッププレッシャーロールを少なくと
    もパスライン方向に2対設けたものを用い、トッププレ
    ッシャーロール群により、上記のV角度θの調整を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー溶接管の製
    造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100458725B1 (ko) * 2001-08-23 2004-12-03 재단법인 포항산업과학연구원 파이프의 레이저 용접 장치 및 그 방법

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