JPH10235428A - レーザ溶接管の製造方法およびその製造装置 - Google Patents
レーザ溶接管の製造方法およびその製造装置Info
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- JPH10235428A JPH10235428A JP9040257A JP4025797A JPH10235428A JP H10235428 A JPH10235428 A JP H10235428A JP 9040257 A JP9040257 A JP 9040257A JP 4025797 A JP4025797 A JP 4025797A JP H10235428 A JPH10235428 A JP H10235428A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】ミルスケール起因による溶接金属中の酸素濃度
上昇を確実に防ぐことが可能なレーザ溶接管の製造方法
とその製造装置を提供する。 【解決手段】(1)管状に曲成する前のミルスケールが
付着した熱延板に幅方向圧下を加えて両端部の板厚を増
肉させ、しかる後に両端面の板厚が端面近傍の板厚以上
になるように両端面を切削仕上げ成形するレーザ溶接管
の製造方法。 (2)成形ロール群の前段に、熱延板の幅方向に圧下を
加えて両端部の板厚を増肉させる端部板厚増肉手段と、
増肉された熱延板の両端部の端面板厚をその近傍の板厚
以上になるように切削仕上げ成形する端面切削手段を設
けたレーザ溶接管の製造装置。
上昇を確実に防ぐことが可能なレーザ溶接管の製造方法
とその製造装置を提供する。 【解決手段】(1)管状に曲成する前のミルスケールが
付着した熱延板に幅方向圧下を加えて両端部の板厚を増
肉させ、しかる後に両端面の板厚が端面近傍の板厚以上
になるように両端面を切削仕上げ成形するレーザ溶接管
の製造方法。 (2)成形ロール群の前段に、熱延板の幅方向に圧下を
加えて両端部の板厚を増肉させる端部板厚増肉手段と、
増肉された熱延板の両端部の端面板厚をその近傍の板厚
以上になるように切削仕上げ成形する端面切削手段を設
けたレーザ溶接管の製造装置。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面にミルスケー
ルが付着したままの熱延板を素材とするレーザ溶接管の
製造方法、およびその製造装置に関する。
ルが付着したままの熱延板を素材とするレーザ溶接管の
製造方法、およびその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ溶接は、他の溶接方法に比べて熱
源のエネルギ密度が高い。このため、溶け込み深さが大
きく高速溶接が可能であり、しかも総入熱量を少なくで
きるので良好な性能を有する溶接部が得られる。
源のエネルギ密度が高い。このため、溶け込み深さが大
きく高速溶接が可能であり、しかも総入熱量を少なくで
きるので良好な性能を有する溶接部が得られる。
【0003】また、上記高速溶接のさらなる高速化を図
る方法としては、管状に成形された素材である板材の両
端面部を高周波加熱手段によって予熱した後レーザ溶接
する方法、すなわち高周波加熱併用レーザ溶接法と称さ
れる方法がある(例えば特開平2−70379号公報参
照)。
る方法としては、管状に成形された素材である板材の両
端面部を高周波加熱手段によって予熱した後レーザ溶接
する方法、すなわち高周波加熱併用レーザ溶接法と称さ
れる方法がある(例えば特開平2−70379号公報参
照)。
【0004】しかし、レーザ溶接法および高周波加熱併
用レーザ溶接法の溶接ビード幅は、MIGやTIGなど
の一般的な溶融溶接法に比べて遥かに狭い。従って、レ
ーザ溶接および高周波加熱併用レーザ溶接法において
は、溶融金属中に酸化物が溶解した場合、溶融金属の体
積がMIGやTIGなどの一般的な溶融溶接法に比べて
少ないので、溶接金属中の酸素濃度が高くなりやすい傾
向にある。
用レーザ溶接法の溶接ビード幅は、MIGやTIGなど
の一般的な溶融溶接法に比べて遥かに狭い。従って、レ
ーザ溶接および高周波加熱併用レーザ溶接法において
は、溶融金属中に酸化物が溶解した場合、溶融金属の体
積がMIGやTIGなどの一般的な溶融溶接法に比べて
少ないので、溶接金属中の酸素濃度が高くなりやすい傾
向にある。
【0005】一方、溶接管の素材としては、通常、熱延
板が用いられ、圧延ままの非スリット材、もしくは圧延
後にスリッターで所定の板幅に切断されたスリット材が
用いられる。また、一般に、肉厚が6mm以下の薄肉管
用には、圧延(熱延)時に生成する表面のミルスケール
を除去した熱延板が用いられ、肉厚が前記寸法を超える
厚肉管用にはミルスケールが付着したままの熱延板が用
いられることが多い。
板が用いられ、圧延ままの非スリット材、もしくは圧延
後にスリッターで所定の板幅に切断されたスリット材が
用いられる。また、一般に、肉厚が6mm以下の薄肉管
用には、圧延(熱延)時に生成する表面のミルスケール
を除去した熱延板が用いられ、肉厚が前記寸法を超える
厚肉管用にはミルスケールが付着したままの熱延板が用
いられることが多い。
【0006】ところが、上記のような熱延板を素材とす
る溶接管をレーザ溶接法で製造すると、薄肉管の溶接部
品質には何らの問題もないが、厚肉管の溶接部品質が薄
肉管に比べて劣る、具体的には溶接金属中の酸素濃度が
極端に高いという問題があった。しかも、この問題は、
素材の熱延板が圧延ままの非スリット材に限らず、スリ
ット材あるいは圧延ままの非スリット材の幅方向両端面
を製管機中で切削した場合でも同じであった。このた
め、その解決方法の開発が望まれていた。
る溶接管をレーザ溶接法で製造すると、薄肉管の溶接部
品質には何らの問題もないが、厚肉管の溶接部品質が薄
肉管に比べて劣る、具体的には溶接金属中の酸素濃度が
極端に高いという問題があった。しかも、この問題は、
素材の熱延板が圧延ままの非スリット材に限らず、スリ
ット材あるいは圧延ままの非スリット材の幅方向両端面
を製管機中で切削した場合でも同じであった。このた
め、その解決方法の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の実状
に鑑みてなされたもので、その課題は、表面にミルスケ
ールが付着したままの熱延板を素材とするレーザ溶接管
で、その溶接部品質に問題のない製品管を得ることがで
きるレーザ溶接管の製造方法およびその製造装置を提供
することにある。
に鑑みてなされたもので、その課題は、表面にミルスケ
ールが付着したままの熱延板を素材とするレーザ溶接管
で、その溶接部品質に問題のない製品管を得ることがで
きるレーザ溶接管の製造方法およびその製造装置を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)のレーザ溶接管の製造方法、および下記(2)の
レーザ溶接管の製造装置にある。
(1)のレーザ溶接管の製造方法、および下記(2)の
レーザ溶接管の製造装置にある。
【0009】(1)表面にミルスケールが付着したまま
の熱延板を素材とし、この熱延板の幅方向両端面を製管
機中で連続的に切削して端面成形した後管状に曲成し、
次いでその両端面を直接または予熱後にレーザ溶接する
レーザ溶接管の製造方法において、管状に曲成する前の
前記熱延板に幅方向圧下を加えて両端部の板厚を増肉さ
せ、次いで両端面の板厚が端面近傍の板厚以上になるよ
うに増肉部分を切削仕上げ成形することを特徴とするレ
ーザ溶接管の製造方法。
の熱延板を素材とし、この熱延板の幅方向両端面を製管
機中で連続的に切削して端面成形した後管状に曲成し、
次いでその両端面を直接または予熱後にレーザ溶接する
レーザ溶接管の製造方法において、管状に曲成する前の
前記熱延板に幅方向圧下を加えて両端部の板厚を増肉さ
せ、次いで両端面の板厚が端面近傍の板厚以上になるよ
うに増肉部分を切削仕上げ成形することを特徴とするレ
ーザ溶接管の製造方法。
【0010】(2)表面にミルスケールが付着したまま
の熱延板を素材とするレーザ溶接管の製造装置であっ
て、熱延板を管状に曲成する成形ロール群の前段に、熱
延板の幅方向に圧下を加えて両端部の板厚を増肉させる
端部板厚増肉手段を備えるとともに、その後段に増肉さ
れた熱延板の両端部を切断除去してその端面板厚が端面
近傍の板厚以上になるように切削仕上げ成形する端面切
削手段を備えることを特徴とするレーザ溶接管の製造装
置。
の熱延板を素材とするレーザ溶接管の製造装置であっ
て、熱延板を管状に曲成する成形ロール群の前段に、熱
延板の幅方向に圧下を加えて両端部の板厚を増肉させる
端部板厚増肉手段を備えるとともに、その後段に増肉さ
れた熱延板の両端部を切断除去してその端面板厚が端面
近傍の板厚以上になるように切削仕上げ成形する端面切
削手段を備えることを特徴とするレーザ溶接管の製造装
置。
【0011】本発明者らは、数多くの製造実験を重ねる
とともに鋭意調査を行った結果、次のことを知見し、上
記(1)および(2)の発明をなすにいたった。
とともに鋭意調査を行った結果、次のことを知見し、上
記(1)および(2)の発明をなすにいたった。
【0012】すなわち、先ず最初に、表面にミルスケー
ルが付着したままの熱延板を管状に曲成してレーザ溶接
した場合、溶接金属中の酸素濃度を高くする原因の発見
に努めた。
ルが付着したままの熱延板を管状に曲成してレーザ溶接
した場合、溶接金属中の酸素濃度を高くする原因の発見
に努めた。
【0013】その結果、レーザ溶接における前述の特性
上、圧延ままの非スリット材をそのままレーザ溶接する
場合は当然であるが、この非スリット材の両端面に付着
するミルスケールを除去すると同時に端面成形すべくそ
の両端面を製管機中で切削した後にレーザ溶接した場合
は勿論、端面にミルスケールが殆ど付着しないスリット
材をレーザ溶接した場合でも、熱延板の上下両面に付着
したミルスケールが溶接金属中に多量に溶解することが
あり、この時に製品管の溶接金属中の酸素濃度が異常に
高くなることをつきとめた。
上、圧延ままの非スリット材をそのままレーザ溶接する
場合は当然であるが、この非スリット材の両端面に付着
するミルスケールを除去すると同時に端面成形すべくそ
の両端面を製管機中で切削した後にレーザ溶接した場合
は勿論、端面にミルスケールが殆ど付着しないスリット
材をレーザ溶接した場合でも、熱延板の上下両面に付着
したミルスケールが溶接金属中に多量に溶解することが
あり、この時に製品管の溶接金属中の酸素濃度が異常に
高くなることをつきとめた。
【0014】そこで、熱延板の上下両面に付着したミル
スケールが溶接金属中に溶解する原因の究明とその防止
策を見いだすべく製造実験を重ね、鋭意調査を行った。
スケールが溶接金属中に溶解する原因の究明とその防止
策を見いだすべく製造実験を重ね、鋭意調査を行った。
【0015】その結果、素材である熱延板のうち、スリ
ット材は、図6の(a)に示すように、幅方向の両端面
にミルスケールSがほとんど付着することはないが、せ
ん断切断機であるスリッターの切断メカニズムに起因し
てエッジドロップを起こして端部板厚が減少し、両端部
の板厚が薄くなっていること。
ット材は、図6の(a)に示すように、幅方向の両端面
にミルスケールSがほとんど付着することはないが、せ
ん断切断機であるスリッターの切断メカニズムに起因し
てエッジドロップを起こして端部板厚が減少し、両端部
の板厚が薄くなっていること。
【0016】一方、圧延ままの非スリット材は、図6の
(b)に示すように、圧延時にエッジドロップを起こし
て両端部の板厚が薄くなっており、その全周面がミルス
ケールSで覆われている。このため、その両端部は、製
管機中に設けられたエッジミラーなどからなる端面切削
装置により切削されるが、従来は、ほとんどの場合、単
に端面を覆うミルスケールSを除去すればよいとされ、
材料ロスを防ぐためにその切削量をできるだけ少なく
し、図7に示すような形状、すなわち切削後の端面厚さ
を端面近傍の板厚よりも薄くしていること。
(b)に示すように、圧延時にエッジドロップを起こし
て両端部の板厚が薄くなっており、その全周面がミルス
ケールSで覆われている。このため、その両端部は、製
管機中に設けられたエッジミラーなどからなる端面切削
装置により切削されるが、従来は、ほとんどの場合、単
に端面を覆うミルスケールSを除去すればよいとされ、
材料ロスを防ぐためにその切削量をできるだけ少なく
し、図7に示すような形状、すなわち切削後の端面厚さ
を端面近傍の板厚よりも薄くしていること。
【0017】また、材料ロス防止を考慮することなく上
記非スリット材の端面を重切削する場合でも、製管中の
熱延板に極端なキャンバーが生じた場合には、製管機中
に設けられた端面切削装置の追従性が十分でないことに
起因し、両端面が均等に切削されず、いずれか一方の端
面にミルスケールSが残ったままになったり、残らない
にしても切削後の端面厚さが、上記図7に示したのと同
じように、その近傍の板厚よりも薄くなること。
記非スリット材の端面を重切削する場合でも、製管中の
熱延板に極端なキャンバーが生じた場合には、製管機中
に設けられた端面切削装置の追従性が十分でないことに
起因し、両端面が均等に切削されず、いずれか一方の端
面にミルスケールSが残ったままになったり、残らない
にしても切削後の端面厚さが、上記図7に示したのと同
じように、その近傍の板厚よりも薄くなること。
【0018】そして、管状に成形される前の熱延板の端
面厚さがその近傍の板厚よりも小さいと、熱延板を管状
に成形していく工程、特にフィンパススタンドにおいて
その端部が圧縮変形されるが、その圧縮変形量が著しく
なる。その結果、図8に示すように、端面近傍の内外表
面が巻き込まれて管状に曲成後の端面(被溶接端面)の
一部を構成するようになり、これに伴ってミルスケール
Sも同時に端面に巻き込まれ、この端面に巻き込まれた
ミルスケールSが溶融金属中に溶解し、これが原因で溶
接完了後の溶接金属中の酸素濃度が高くなることがわか
った。
面厚さがその近傍の板厚よりも小さいと、熱延板を管状
に成形していく工程、特にフィンパススタンドにおいて
その端部が圧縮変形されるが、その圧縮変形量が著しく
なる。その結果、図8に示すように、端面近傍の内外表
面が巻き込まれて管状に曲成後の端面(被溶接端面)の
一部を構成するようになり、これに伴ってミルスケール
Sも同時に端面に巻き込まれ、この端面に巻き込まれた
ミルスケールSが溶融金属中に溶解し、これが原因で溶
接完了後の溶接金属中の酸素濃度が高くなることがわか
った。
【0019】そこで、端面切削前の熱延板に幅方向の圧
下を加えて両端部の板厚を厚くし、しかる後に端面の厚
さがその近傍の板厚以上になるように切削して管状に曲
成したところ、上記の端面圧縮変形が抑制され、その近
傍の内外表面が管状に曲成された熱延板の端面(被溶接
端面)の一部を構成することがなく、その結果、溶接金
属中にミルスケールが溶解しなくなることを知見した。
下を加えて両端部の板厚を厚くし、しかる後に端面の厚
さがその近傍の板厚以上になるように切削して管状に曲
成したところ、上記の端面圧縮変形が抑制され、その近
傍の内外表面が管状に曲成された熱延板の端面(被溶接
端面)の一部を構成することがなく、その結果、溶接金
属中にミルスケールが溶解しなくなることを知見した。
【0020】また、ミルスケールの残存による溶接金属
の酸素量増加について調査したところ、管状に曲成され
た熱延板の端面(被溶接端面)に付着したミルスケール
の量がわずかな場合でも、溶接金属の酸素量が容易に高
くなることも確認された。
の酸素量増加について調査したところ、管状に曲成され
た熱延板の端面(被溶接端面)に付着したミルスケール
の量がわずかな場合でも、溶接金属の酸素量が容易に高
くなることも確認された。
【0021】また更に、熱延板の上下両面に付着したミ
ルスケールは、溶接時に溶融してもスラグとして溶融金
属の表面に排出されやすく、凝固完了後の溶接金属中に
はほとんど残存することがない。これに対し、溶接時の
溶融金属中に溶融混入した熱延板端面のミルスケール
は、凝固完了後の溶接金属中にそのほぼ全量が残存し、
溶融金属の凝固過程中にスラグとして溶融金属表面には
ほとんど排出されることがないことも確認した。
ルスケールは、溶接時に溶融してもスラグとして溶融金
属の表面に排出されやすく、凝固完了後の溶接金属中に
はほとんど残存することがない。これに対し、溶接時の
溶融金属中に溶融混入した熱延板端面のミルスケール
は、凝固完了後の溶接金属中にそのほぼ全量が残存し、
溶融金属の凝固過程中にスラグとして溶融金属表面には
ほとんど排出されることがないことも確認した。
【0022】なお、特開昭63−299864号公報に
は、スリット材を対象とし、スリッターでの端部板厚減
少の不都合を解消するため、上記の本発明と同様に、素
材の熱延板に幅方向の圧下を加えて両端部の板厚を増肉
させた後に両端面を切削成形する溶接管の製造方法が示
されている。
は、スリット材を対象とし、スリッターでの端部板厚減
少の不都合を解消するため、上記の本発明と同様に、素
材の熱延板に幅方向の圧下を加えて両端部の板厚を増肉
させた後に両端面を切削成形する溶接管の製造方法が示
されている。
【0023】しかし、そこに示される技術は、電縫溶接
管を対象としたものであり、本発明をなすには何らの参
考にもならないものである。すなわち、本発明で対象と
するレーザ溶接管は、管状に成形された熱延板の両端面
である被溶接端面間に形成される溶融金属のほぼ全量が
溶接完了後の溶接金属となって溶接部を構成する。これ
に対し、電縫溶接管は、その製造工程中に前記の被溶接
端面間に形成される溶融金属のほぼ全量が被溶接端面間
から排出される。従って、電縫溶接管では、仮に接合前
の被溶接端面にミルスケールが付着していたとしても、
これが溶接完了後の溶接金属中に溶解することはなく、
ミルスケールによって溶接金属の酸素濃度が上昇すると
いう現象が生じないからである。
管を対象としたものであり、本発明をなすには何らの参
考にもならないものである。すなわち、本発明で対象と
するレーザ溶接管は、管状に成形された熱延板の両端面
である被溶接端面間に形成される溶融金属のほぼ全量が
溶接完了後の溶接金属となって溶接部を構成する。これ
に対し、電縫溶接管は、その製造工程中に前記の被溶接
端面間に形成される溶融金属のほぼ全量が被溶接端面間
から排出される。従って、電縫溶接管では、仮に接合前
の被溶接端面にミルスケールが付着していたとしても、
これが溶接完了後の溶接金属中に溶解することはなく、
ミルスケールによって溶接金属の酸素濃度が上昇すると
いう現象が生じないからである。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
のレーザ溶接管の製造方法およびその製造装置について
詳細に説明する。
のレーザ溶接管の製造方法およびその製造装置について
詳細に説明する。
【0025】図1は、本発明にかかわるレーザ溶接管の
製造装置の全体構成の一例を示す模式的側面図、図2は
その要部の模式的斜視図であり、その全体構成は、通常
の溶接管製造装置とほぼ同様である。
製造装置の全体構成の一例を示す模式的側面図、図2は
その要部の模式的斜視図であり、その全体構成は、通常
の溶接管製造装置とほぼ同様である。
【0026】すなわち、素材である平坦な熱延板Hを順
次幅方向に曲成して管状に成形する成形ロール群1と、
この成形ロール群1で管状に成形された熱延板Hの両端
面を突き合わせるスクイズロール2と、このスクイズロ
ール2で突き合わせられた熱延板Hの突き合わせ部近傍
を予加熱する加熱手段3と、この加熱手段3で予加熱さ
れた突き合わせ部またはその近傍にレーザビーム4aを
照射して溶融溶接するレーザ溶接機4を備えている。
次幅方向に曲成して管状に成形する成形ロール群1と、
この成形ロール群1で管状に成形された熱延板Hの両端
面を突き合わせるスクイズロール2と、このスクイズロ
ール2で突き合わせられた熱延板Hの突き合わせ部近傍
を予加熱する加熱手段3と、この加熱手段3で予加熱さ
れた突き合わせ部またはその近傍にレーザビーム4aを
照射して溶融溶接するレーザ溶接機4を備えている。
【0027】また、上記成形ロール群1の上流側に設け
られ、熱延板Hに幅方向の圧下を加えてその両端部近傍
の板厚を増肉させる端部板厚増肉手段5と、この端部板
厚増肉手段5の下流側にあって熱延板Hの両端面を所定
の形状に切削仕上げ成形する端面切削手段6を備えてい
る。
られ、熱延板Hに幅方向の圧下を加えてその両端部近傍
の板厚を増肉させる端部板厚増肉手段5と、この端部板
厚増肉手段5の下流側にあって熱延板Hの両端面を所定
の形状に切削仕上げ成形する端面切削手段6を備えてい
る。
【0028】なお、図示例の加熱手段3は、カレントト
ランス3a、リード部3bおよび給電子3cとからなっ
ているが、これに代えて誘導加熱コイルを用いたもので
あってもよい。また、この加熱手段3は、通常は溶接速
度、換言すれば製管速度の向上を図るために用いられる
もので、省略してもよい。
ランス3a、リード部3bおよび給電子3cとからなっ
ているが、これに代えて誘導加熱コイルを用いたもので
あってもよい。また、この加熱手段3は、通常は溶接速
度、換言すれば製管速度の向上を図るために用いられる
もので、省略してもよい。
【0029】端部板厚増肉手段5は、図2に示すよう
に、左右一対の円柱状の垂直ロール5a、5aと、この
垂直ロール5a、5aの上流側と下流側に近接配置され
た上下一対の円柱状の水平ロール5b、5bとで構成さ
れている。
に、左右一対の円柱状の垂直ロール5a、5aと、この
垂直ロール5a、5aの上流側と下流側に近接配置され
た上下一対の円柱状の水平ロール5b、5bとで構成さ
れている。
【0030】そして、この端部板厚増肉手段5は、圧延
ままで表面にミルスケールが付着したままであり、非ス
リット材またはスリット材であってその両端部の板厚が
エッジドロップを起こして薄くなっている熱延板Hが通
過する間に、垂直ロール5a、5aでその幅方向に圧下
を加え、その両端部近傍の板厚を増肉させるようになっ
ている。
ままで表面にミルスケールが付着したままであり、非ス
リット材またはスリット材であってその両端部の板厚が
エッジドロップを起こして薄くなっている熱延板Hが通
過する間に、垂直ロール5a、5aでその幅方向に圧下
を加え、その両端部近傍の板厚を増肉させるようになっ
ている。
【0031】具体的には、上記図6の(a)または
(b)に示す形状であった両端部の形状を、図3に示す
ように、それぞれ同図(a)または同図(b)に示すよ
うな端部形状に増肉成形させるようになっている。すな
わち、圧延時またはスリッターによる切断時にエッジド
ロップを起こして薄くなっている端部全ての板厚が幅方
向中央部分の板厚と同等以上になるか、もしくはエッジ
ドロップを起こして薄くなっている端部のうち、少なく
とも端面寄り側部分の板厚が幅方向中央寄り側部分の板
厚よりも厚くなるように増肉成形させるようになってい
る。
(b)に示す形状であった両端部の形状を、図3に示す
ように、それぞれ同図(a)または同図(b)に示すよ
うな端部形状に増肉成形させるようになっている。すな
わち、圧延時またはスリッターによる切断時にエッジド
ロップを起こして薄くなっている端部全ての板厚が幅方
向中央部分の板厚と同等以上になるか、もしくはエッジ
ドロップを起こして薄くなっている端部のうち、少なく
とも端面寄り側部分の板厚が幅方向中央寄り側部分の板
厚よりも厚くなるように増肉成形させるようになってい
る。
【0032】ここで、エッジドロップを起こして板厚の
薄くなった熱延板Hの端部を上記のような形状に増肉成
形するのは、その端面を次に述べる端面切削手段6によ
って本発明で規定する形状に切削仕上げ成形する必要が
あるからである。
薄くなった熱延板Hの端部を上記のような形状に増肉成
形するのは、その端面を次に述べる端面切削手段6によ
って本発明で規定する形状に切削仕上げ成形する必要が
あるからである。
【0033】上記の水平ロール5b、5bは、垂直ロー
ル5a、5aによる幅方向圧下に伴って生じる熱延板H
の上下方向への変形を拘束し、所定の端部増肉成形を可
能ならしめる役目を担うようになっており、その上下ロ
ールの軸間距離は、熱延板Hの板厚に応じて調整設定で
きるようになっている。また、下流側の水平ロール5
b、5bは、図示省略したが、増肉された熱延板Hの両
端部を圧下しないように、その両端部の外径が小さくな
っている。さらに、垂直ロール5a、5aの軸間距離
は、熱延板Hの板幅および付与すべき圧下量に応じて調
整設定できるようになっている。
ル5a、5aによる幅方向圧下に伴って生じる熱延板H
の上下方向への変形を拘束し、所定の端部増肉成形を可
能ならしめる役目を担うようになっており、その上下ロ
ールの軸間距離は、熱延板Hの板厚に応じて調整設定で
きるようになっている。また、下流側の水平ロール5
b、5bは、図示省略したが、増肉された熱延板Hの両
端部を圧下しないように、その両端部の外径が小さくな
っている。さらに、垂直ロール5a、5aの軸間距離
は、熱延板Hの板幅および付与すべき圧下量に応じて調
整設定できるようになっている。
【0034】なお、上記の垂直ロール5a、5aは、図
示例の円柱状に限らず、その軸長方向の中間部外周に、
例えば矩形や台形などの適宜形状の凹状孔型を形成した
ものであってもよい。また、上下一対の水平ロール5
b、5bは、垂直ロール5a、5aの上流側と下流側に
必ずしも設ける必要はなく、垂直ロール5a、5aの対
向軸間に一対のみ設けるようにしてもよい。
示例の円柱状に限らず、その軸長方向の中間部外周に、
例えば矩形や台形などの適宜形状の凹状孔型を形成した
ものであってもよい。また、上下一対の水平ロール5
b、5bは、垂直ロール5a、5aの上流側と下流側に
必ずしも設ける必要はなく、垂直ロール5a、5aの対
向軸間に一対のみ設けるようにしてもよい。
【0035】上記の垂直ロール5a、5aは、その外径
ができるだけ小さいものがよい。その理由は、外径が小
さいほど同じ増肉量を得るために必要な圧下力を小さく
することができ、幅方向圧下時に生じる熱延板Hの上下
方向の変形量が少なくなる。その結果、水平ロール5
b、5bも外径の小さなものよいので、その装置構成を
コンパクト化することができ、設備費の上昇を抑制でき
るからでる。
ができるだけ小さいものがよい。その理由は、外径が小
さいほど同じ増肉量を得るために必要な圧下力を小さく
することができ、幅方向圧下時に生じる熱延板Hの上下
方向の変形量が少なくなる。その結果、水平ロール5
b、5bも外径の小さなものよいので、その装置構成を
コンパクト化することができ、設備費の上昇を抑制でき
るからでる。
【0036】端面切削手段6は、図2に示すように、エ
ッジミラーと称される左右一対の円盤状の回転刃物、具
体的にはその円周面に切刃が均等配設された平フライス
6a、6aで構成されている。
ッジミラーと称される左右一対の円盤状の回転刃物、具
体的にはその円周面に切刃が均等配設された平フライス
6a、6aで構成されている。
【0037】そして、この端面切削手段6は、上記の端
部板厚増肉手段5によってその端部が所定の形状に増肉
成形された熱延板Hが通過する間に、その両端の増肉部
分の一部を切削除去し、熱延板Hが非スリット材の場合
は端面のミルスケールを完全除去するとともにその端面
を所定の形状に、また熱延板Hが非スリット材の場合は
その端面を所定の形状に、切削仕上げするようになって
いる。
部板厚増肉手段5によってその端部が所定の形状に増肉
成形された熱延板Hが通過する間に、その両端の増肉部
分の一部を切削除去し、熱延板Hが非スリット材の場合
は端面のミルスケールを完全除去するとともにその端面
を所定の形状に、また熱延板Hが非スリット材の場合は
その端面を所定の形状に、切削仕上げするようになって
いる。
【0038】具体的には、上記図3の(a)または
(d)に示すような端部形状に増肉成形成形された両端
部を、図4に示すように、それぞれ同図(a)または同
図(b)に示すような端部形状に切削仕上げするように
なっている。すなわち、切削後の端面Eの板厚Teがそ
の近傍の板厚以上になるように切削仕上げするようにな
っている。
(d)に示すような端部形状に増肉成形成形された両端
部を、図4に示すように、それぞれ同図(a)または同
図(b)に示すような端部形状に切削仕上げするように
なっている。すなわち、切削後の端面Eの板厚Teがそ
の近傍の板厚以上になるように切削仕上げするようにな
っている。
【0039】これは、その切削後の端面Eの板厚がTe
がその近傍の板厚よりも小さい、換言すれば最も小さい
と、前述したように、成形ロール群1によって管状に曲
成された場合に端面E近傍の上下面がレーザ溶接直前の
端面の一部を構成し、その端面にミルスケールSが付着
するようになる(図8参照)。その結果、レーザ溶接時
の溶融金属中にミルスケールSが溶解し、溶接完了後の
溶接金属中の酸素濃度が高くなるからである。
がその近傍の板厚よりも小さい、換言すれば最も小さい
と、前述したように、成形ロール群1によって管状に曲
成された場合に端面E近傍の上下面がレーザ溶接直前の
端面の一部を構成し、その端面にミルスケールSが付着
するようになる(図8参照)。その結果、レーザ溶接時
の溶融金属中にミルスケールSが溶解し、溶接完了後の
溶接金属中の酸素濃度が高くなるからである。
【0040】ここで、端面の切削仕上げ形状としては、
上記図4の(a)または(b)の形状に限らず、例え
ば、図5に示すように、その端面Eが熱延板Hの下面に
対して鋭角な形状(同図(a))、または鈍角な形状
(同図(b))としてもよい。しかし、この場合にあっ
てもその端面Eの板厚Teは、上記の条件を満たすもの
でなければならないことはいうまでもない。
上記図4の(a)または(b)の形状に限らず、例え
ば、図5に示すように、その端面Eが熱延板Hの下面に
対して鋭角な形状(同図(a))、または鈍角な形状
(同図(b))としてもよい。しかし、この場合にあっ
てもその端面Eの板厚Teは、上記の条件を満たすもの
でなければならないことはいうまでもない。
【0041】なお、上記の平フライス6a、6aの軸間
距離は、両端部増肉成形後の熱延板Hの板幅および除去
すべき切削量に応じて調整設定できるようになってい
る。
距離は、両端部増肉成形後の熱延板Hの板幅および除去
すべき切削量に応じて調整設定できるようになってい
る。
【0042】また、平フライス6a、6aの上流側に
は、図示省略するが、熱延板Hの両端に当接するローラ
などからなり、平フライス6a、6aの装着架台に連結
された適宜なガイド手段が設けられており、その軸間距
離を保った状態で熱延板Hの蛇行に追従できるようにな
っている。
は、図示省略するが、熱延板Hの両端に当接するローラ
などからなり、平フライス6a、6aの装着架台に連結
された適宜なガイド手段が設けられており、その軸間距
離を保った状態で熱延板Hの蛇行に追従できるようにな
っている。
【0043】さらに、これも図示省略するが、平フライ
ス6a、6aの上下流両側には、熱延板Hのキャンバー
(上下方向反り)を拘束するための上下一対の水平ロー
ルが設けられている。ただし、この水平ロールは、端部
板厚増肉手段5の下流側に端面切削手段6を近接配置す
る場合には、省略してもよい。
ス6a、6aの上下流両側には、熱延板Hのキャンバー
(上下方向反り)を拘束するための上下一対の水平ロー
ルが設けられている。ただし、この水平ロールは、端部
板厚増肉手段5の下流側に端面切削手段6を近接配置す
る場合には、省略してもよい。
【0044】上記の端部板厚増肉手段5による圧下量、
および端面切削装置6による切削量は、素材である熱延
板Hのエッジドロップの程度に応じて種々異なる。従っ
て、その圧下量と切削量は、用いる熱延板Hのエッジド
ロップ程度に応じてその都度決定される。なお、通常の
熱延板で、非スリット材の場合には、端部板厚増肉手段
5による圧下量として幅減少量で4mm程度の圧下を加
えれば上記図3の(a)に示す端部形状にすることがで
き、この端部を端面切削手段によって3mm程度切削す
れば上記図4の(a)に示す端面切削形状にすることが
できる。
および端面切削装置6による切削量は、素材である熱延
板Hのエッジドロップの程度に応じて種々異なる。従っ
て、その圧下量と切削量は、用いる熱延板Hのエッジド
ロップ程度に応じてその都度決定される。なお、通常の
熱延板で、非スリット材の場合には、端部板厚増肉手段
5による圧下量として幅減少量で4mm程度の圧下を加
えれば上記図3の(a)に示す端部形状にすることがで
き、この端部を端面切削手段によって3mm程度切削す
れば上記図4の(a)に示す端面切削形状にすることが
できる。
【0045】ところで、管状に曲成する前に熱延板Hの
端面板厚をその近傍の板厚以上にする方法としては、上
記以外に次の2つの方法が考えられる。
端面板厚をその近傍の板厚以上にする方法としては、上
記以外に次の2つの方法が考えられる。
【0046】すなわち、その1つは、製管機を構成する
アンコイラーの出側、換言すれば端面切削装置の入側に
スキンパス圧延装置を設置して幅方向板厚を均一にして
から端面切削する方法であり、他の1つは、エッジドロ
ップを起こして板厚の薄くなっている端部全てを端面切
削装置で切削除去する方法である。
アンコイラーの出側、換言すれば端面切削装置の入側に
スキンパス圧延装置を設置して幅方向板厚を均一にして
から端面切削する方法であり、他の1つは、エッジドロ
ップを起こして板厚の薄くなっている端部全てを端面切
削装置で切削除去する方法である。
【0047】しかし、前者の方法は、部分的な厚肉部分
をその余の板厚と同じにする厚肉部矯正には適するもの
の、部分的な薄肉部分をその余の板厚と同じにする薄肉
部矯正には適ないので、部分的な薄肉部分であるエッジ
ドロップ部分を完全になくすることができないのに加
え、大がかりなスキンパス圧延装置が必要で設備費が嵩
み、製造コスト上昇の一因となる。また、前述したよう
に、切削後の端面板厚は、必ずしも幅方向中央部の板厚
と等しくする必要がない。従って、この前者の方法は、
これを採用した場合、製造コストの上昇を招くことにな
る。
をその余の板厚と同じにする厚肉部矯正には適するもの
の、部分的な薄肉部分をその余の板厚と同じにする薄肉
部矯正には適ないので、部分的な薄肉部分であるエッジ
ドロップ部分を完全になくすることができないのに加
え、大がかりなスキンパス圧延装置が必要で設備費が嵩
み、製造コスト上昇の一因となる。また、前述したよう
に、切削後の端面板厚は、必ずしも幅方向中央部の板厚
と等しくする必要がない。従って、この前者の方法は、
これを採用した場合、製造コストの上昇を招くことにな
る。
【0048】また、後者の方法は、その端面切削装置が
通常1基であり、1基のみの端面切削装置で製管速度を
落とすことなくエッジドロップ部分の全てを切削除去す
ることは極めて難しい。このため、この方法を採用する
場合には、複数基の端面切削装置を連設配置する必要で
設備費が嵩む。また、その切削量の増大に伴って材料ロ
スが多くなり、材料歩留まりが悪くなる。従って、この
後者の方法も、これを採用した場合、前者の方法と同様
に製造コストの上昇を招くことになる。
通常1基であり、1基のみの端面切削装置で製管速度を
落とすことなくエッジドロップ部分の全てを切削除去す
ることは極めて難しい。このため、この方法を採用する
場合には、複数基の端面切削装置を連設配置する必要で
設備費が嵩む。また、その切削量の増大に伴って材料ロ
スが多くなり、材料歩留まりが悪くなる。従って、この
後者の方法も、これを採用した場合、前者の方法と同様
に製造コストの上昇を招くことになる。
【0049】これに対し、上記の垂直ロール5a、5a
と、前後一対の水平ロール5b、5bとで構成される端
部板厚増肉手段5は、コンパクトな装置構成で設備費が
さほど嵩まないにもかかわらず、本発明で規定する上記
の端面板厚Teの確保に必要な熱延板端部のみを確実に
増肉させることができる。また、その材料ロスも可及的
に少なくできる。このため、本発明では、その製造装置
に、熱延板の幅方向に圧下を加える端部板厚増肉手段5
を用いることとした。
と、前後一対の水平ロール5b、5bとで構成される端
部板厚増肉手段5は、コンパクトな装置構成で設備費が
さほど嵩まないにもかかわらず、本発明で規定する上記
の端面板厚Teの確保に必要な熱延板端部のみを確実に
増肉させることができる。また、その材料ロスも可及的
に少なくできる。このため、本発明では、その製造装置
に、熱延板の幅方向に圧下を加える端部板厚増肉手段5
を用いることとした。
【0050】
【実施例】表1に示す化学成分からなり、公称幅が12
80mm、公称板厚が9.53mmで、その表面に厚さ
10μmのミルスケール(酸化スケール)が付着した熱
延ままの非スリット材を用い、外径406.4mm、肉
厚9.53mmのレーザ溶接管を、表2に示す条件のも
とに製造することにした。
80mm、公称板厚が9.53mmで、その表面に厚さ
10μmのミルスケール(酸化スケール)が付着した熱
延ままの非スリット材を用い、外径406.4mm、肉
厚9.53mmのレーザ溶接管を、表2に示す条件のも
とに製造することにした。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】この時、成形ロール群の上流側に端部板厚
増肉手段と、端部板厚増肉手段の下流側の水平ロールか
ら5m離間した位置に端面切削手段を設けた本発明の製
造装置を準備した。なお、端部板厚増肉手段を構成する
垂直ロールとしては、外径200mmのSKD11製の
ものを用いた。また、水平ロールとしては、外径400
mmのSKD11製のものを用いた。
増肉手段と、端部板厚増肉手段の下流側の水平ロールか
ら5m離間した位置に端面切削手段を設けた本発明の製
造装置を準備した。なお、端部板厚増肉手段を構成する
垂直ロールとしては、外径200mmのSKD11製の
ものを用いた。また、水平ロールとしては、外径400
mmのSKD11製のものを用いた。
【0054】そして、管状に成形する前の非スリット材
両端部を、端部板厚増肉手段によって幅減少量で4mm
の圧下を加えて図3の(a)に示す形状に増肉させた
後、その両端部を端面切削手段面で片側3mmづつ切削
除去して両方の端面を図4の(a)に示す形状に切削仕
上げ成形し、製造を行った。
両端部を、端部板厚増肉手段によって幅減少量で4mm
の圧下を加えて図3の(a)に示す形状に増肉させた
後、その両端部を端面切削手段面で片側3mmづつ切削
除去して両方の端面を図4の(a)に示す形状に切削仕
上げ成形し、製造を行った。
【0055】また、比較のため、一方端面は上記と同じ
であるが、他方端面を切削量2mmで切削除去して図7
に示す形状に切削仕上げ成形した場合と、端部板厚増肉
手段による両端部増肉を省略し、その両端部を片側3m
mづつ切削除去して両端面ともに図7に示す形状に切削
仕上げ成形した場合とでも、製造を行った。
であるが、他方端面を切削量2mmで切削除去して図7
に示す形状に切削仕上げ成形した場合と、端部板厚増肉
手段による両端部増肉を省略し、その両端部を片側3m
mづつ切削除去して両端面ともに図7に示す形状に切削
仕上げ成形した場合とでも、製造を行った。
【0056】そして、得られたレーザ溶接管の溶接金属
中の酸素濃度を、溶接部のみを機械加工で切り出し、そ
の試材を化学定量分析法によって調べることで求めた。
その結果を、表3に示した。
中の酸素濃度を、溶接部のみを機械加工で切り出し、そ
の試材を化学定量分析法によって調べることで求めた。
その結果を、表3に示した。
【0057】
【表3】
【0058】表3に示す結果から明らかなように、本発
明の方法に従って製造した場合(No. 1)には、その溶
接金属中の酸素濃度は250ppmであった。
明の方法に従って製造した場合(No. 1)には、その溶
接金属中の酸素濃度は250ppmであった。
【0059】これに対し、一方端面の板厚は本発明で規
定する条件を満たすが、他方端面の板厚が本発明で規定
する条件を満たさない比較例の場合(No. 2)は、その
溶接金属中の酸素濃度は500ppmと高かった。ま
た、両方の端面板厚がともに本発明で規定する条件を満
たさない比較例の場合(No. 3)は、その溶接金属中の
酸素濃度は1500ppmと極めて高かった。
定する条件を満たすが、他方端面の板厚が本発明で規定
する条件を満たさない比較例の場合(No. 2)は、その
溶接金属中の酸素濃度は500ppmと高かった。ま
た、両方の端面板厚がともに本発明で規定する条件を満
たさない比較例の場合(No. 3)は、その溶接金属中の
酸素濃度は1500ppmと極めて高かった。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、製造コスト上昇を可及
的に抑制したうえで、ミルスケール起因による溶接金属
中の酸素濃度上昇を確実に防ぐことが可能である。その
結果、溶接部品質に優れたレーザ溶接管を高能率に製造
することができる。
的に抑制したうえで、ミルスケール起因による溶接金属
中の酸素濃度上昇を確実に防ぐことが可能である。その
結果、溶接部品質に優れたレーザ溶接管を高能率に製造
することができる。
【図1】本発明に係わるレーザ溶接管の製造装置の全体
構成の一例を示す模式的側面図である。
構成の一例を示す模式的側面図である。
【図2】本発明に係わるレーザ溶接管の製造装置の要部
を示す模式的斜視図である。
を示す模式的斜視図である。
【図3】本発明による熱延板両端部の増肉後の端部形状
を示す図で、同図(a)はエッジドロップ部全体の板厚
を幅方向中央部の板厚よりも厚くした場合、同図(b)
はエッジドロップ部のうち端部寄り側部分のみの板厚を
幅方向中央部の板厚よりも厚くした場合、を示す図であ
る。
を示す図で、同図(a)はエッジドロップ部全体の板厚
を幅方向中央部の板厚よりも厚くした場合、同図(b)
はエッジドロップ部のうち端部寄り側部分のみの板厚を
幅方向中央部の板厚よりも厚くした場合、を示す図であ
る。
【図4】本発明による端面切削仕上げ成形後の端部形状
を示す図で、同図(a)は端面板厚が幅方向中央部の板
厚よりも厚い場合、同図(b)は端面近傍の板厚が端面
板厚よりも薄い場合、を示す図である。
を示す図で、同図(a)は端面板厚が幅方向中央部の板
厚よりも厚い場合、同図(b)は端面近傍の板厚が端面
板厚よりも薄い場合、を示す図である。
【図5】本発明による端面切削仕上げ成形後の端部形状
の他の例を示す図で、同図(a)は端面が熱延板の下面
に対して鋭角な場合、同図(b)は端面が熱延板の下面
に対して鈍角な場合、を示す図である。
の他の例を示す図で、同図(a)は端面が熱延板の下面
に対して鋭角な場合、同図(b)は端面が熱延板の下面
に対して鈍角な場合、を示す図である。
【図6】圧延ままで表面にミルスケールが付着したまま
の熱延板の一方端部を示す模式的縦断面図で、同図
(a)はスリット材、同図(b)は非スリット材、を示
す図である。
の熱延板の一方端部を示す模式的縦断面図で、同図
(a)はスリット材、同図(b)は非スリット材、を示
す図である。
【図7】従来の技術における熱延板の端面切削仕上げ後
の端部形状を示す模式的縦断面図である。
の端部形状を示す模式的縦断面図である。
【図8】従来の技術における端面切削仕上げ後の熱延板
を管状に成形した時の端部形状を示す模式的縦断面図で
ある。
を管状に成形した時の端部形状を示す模式的縦断面図で
ある。
1 :成形ロール群、 2 :スクイズロール、 3 :加熱手段、 3a:カレントトランス、 3b:リード部、 3c:給電子、 4 :レーザ溶接機、 5 :端部板厚増肉手段、 5a:垂直ロール、 5b:水平ロール、 6 :端面切削手段、 6a:平フライス、 H :熱延板、 S :ミルスケール、 E :切削仕上げ後の端面、 Te:端面板厚。
Claims (2)
- 【請求項1】表面にミルスケールが付着したままの熱延
板を素材とし、この熱延板の幅方向両端面を製管機中で
連続的に切削して端面成形した後管状に曲成し、次いで
その両端面を直接または予熱後にレーザ溶接するレーザ
溶接管の製造方法において、管状に曲成する前の前記熱
延板に幅方向圧下を加えて両端部の板厚を増肉させ、次
いで両端面の板厚が端面近傍の板厚以上になるように増
肉部分を切削仕上げ成形することを特徴とするレーザ溶
接管の製造方法。 - 【請求項2】表面にミルスケールが付着したままの熱延
板を素材とするレーザ溶接管の製造装置であって、熱延
板を管状に曲成する成形ロール群の前段に、熱延板の幅
方向に圧下を加えて両端部の板厚を増肉させる端部板厚
増肉手段を備えるとともに、その後段に増肉された熱延
板の両端部を切断除去してその端面板厚が端面近傍の板
厚以上になるように切削仕上げ成形する端面切削手段を
備えることを特徴とするレーザ溶接管の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9040257A JPH10235428A (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | レーザ溶接管の製造方法およびその製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9040257A JPH10235428A (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | レーザ溶接管の製造方法およびその製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10235428A true JPH10235428A (ja) | 1998-09-08 |
Family
ID=12575632
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9040257A Pending JPH10235428A (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | レーザ溶接管の製造方法およびその製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10235428A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114367817A (zh) * | 2022-02-25 | 2022-04-19 | 武汉元新科技有限公司 | 一种多用激光切割柔性流水生产系统及其卷料开平制管机 |
-
1997
- 1997-02-25 JP JP9040257A patent/JPH10235428A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114367817A (zh) * | 2022-02-25 | 2022-04-19 | 武汉元新科技有限公司 | 一种多用激光切割柔性流水生产系统及其卷料开平制管机 |
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