JPH08174249A - 溶接鋼管の製造方法 - Google Patents

溶接鋼管の製造方法

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JPH08174249A
JPH08174249A JP6316771A JP31677194A JPH08174249A JP H08174249 A JPH08174249 A JP H08174249A JP 6316771 A JP6316771 A JP 6316771A JP 31677194 A JP31677194 A JP 31677194A JP H08174249 A JPH08174249 A JP H08174249A
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steel strip
steel pipe
welded
welding
squeeze
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JP6316771A
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Moriaki Ono
守章 小野
Masaki Omura
雅紀 大村
Toshihiro Takamura
登志博 高村
Yutaka Nagahama
裕 長浜
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
    • B23K2103/02Iron or ferrous alloys
    • B23K2103/04Steel or steel alloys

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生産性を低下させることなく、溶接欠陥のな
い、良好なビード形状が得られる溶接鋼管の製造方法を
提供する。 【構成】 連続的に搬送される鋼帯1を円筒状に成形
し、その両側の鋼帯端部を高周波誘導方式または高周波
抵抗方式により600〜1200℃に予熱し、スクイズ
ロール4a,4bの軸中心を結ぶ線7と突合わせ線8の
交点9より上流側へ0〜5.0mmの位置に鋼帯全厚を溶
融できるレーザビーム10を照射して溶接し、同時にス
クイズロールによりアプセット量0.1〜1.0mmのア
プセットをかけて溶接部を加圧する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続的に搬送しつつ両
側の鋼帯端部が対向するように円筒状に成形し、両側の
鋼帯端部の突合わせ部を溶接する製管方法において、両
側の鋼帯端部を予熱するとともに、突合わせ部に高密度
エネルギービームを照射しかつアプセットを加えるよう
にした溶接鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼帯を連続的に搬送しつつ両側の鋼帯端
部が対向するように円筒状に成形して、鋼帯端部の突合
わせ部を溶接して製造する鋼管の製造方法のうちで最も
高能率な製管法は、電縫溶接法である。この溶接法は、
高周波電流の誘導加熱により、あるいは接合部分に接触
子を介して高周波電流を流すことにより、接合部分を加
熱・溶融し、その後、スクイズロールにより溶融部を加
圧し、溶融部に存在する不純物や酸化物を排除させなが
ら溶接を行う方法である。しかしながら、対向した鋼帯
端部が加熱・溶融される際に大気中の酸素により特に素
材中のMn,Si,Cr等の合金成分からなる高融点酸
化物が排出されずに溶接部内部に残留し、ペネトレータ
と呼ばれる溶接欠陥が発生することがある。また、酸化
を抑制して高品質の溶接鋼管を製造するためにガスシー
ルド等の対策を講じているが、このような対策を講じて
も十分な効果が得られていないのが現状である。
【0003】このような状況を背景として開発された溶
接法がレーザビームなどの高密度エネルギービームを用
いた製管溶接法である。この方法は、突き合わせた鋼帯
端部を高密度エネルギービームの照射により溶融して溶
接する方法であり、溶融金属が大気と接しないため酸化
介在物などの溶接欠陥が発生し難く、高品質の溶接鋼管
が得られることが知られている。
【0004】この方法としては、例えば特開平3−29
1176号公報や特公平4−18954号公報に開示さ
れているものがある。特開平3−291176号公報で
開示された製管方法の構成を図4に示す。円筒状に成形
した鋼帯1を第1の加熱源2である高周波誘導方式また
は高周波抵抗方式により鋼帯の端部1a,1bのみを2
00〜600℃の範囲に予熱し、次いで第2の加熱源3
である高密度エネルギービームをスクイズロール4a,
4bの近傍の突合わせ部1cに照射して溶接する方法で
あり、第1の加熱源による鋼帯端部の予熱により第2の
加熱源のエネルギー不足を補うことによって溶接速度の
向上を図る複合溶接法である。この方法は、フェライト
系またはオーステナイト系ステンレス鋼管の製造を目的
としており、フェライト系ステンレス鋼では結晶粒の粗
大化による二次加工性の劣化およびオーステナイト系ス
テンレス鋼ではウェルド・ディケイの問題により品質の
劣化が生じるために、高周波熱源2による予熱温度を2
00〜600℃の範囲に限定している。しかしながら、
鋼管径や管肉厚が大きくなると600℃程度の予熱では
溶接速度の高速化はほとんど期待できないという問題点
を有していた。
【0005】次に、前記特公平4−18954号公報で
開示された製管方法の構成を図5に示す。この方法で
は、両側の鋼帯端部1a,1bが最初に接するV収束点
1dより上流側において第1の加熱源である誘導加熱コ
イル2により鋼帯端部1a,1bの溶融がほとんど起こ
らない程度に予熱し、さらに前記V収束点1dより下流
側の鋼帯端部の突き合わせ面1cに第2の加熱源の高密
度エネルギービーム3を照射して溶接し、V収束点1d
と高密度エネルギービームによる溶融部との間、および
該溶融部より下流側では両側の鋼帯端部が単に接触する
程度となる締め付け量で締め付けることにより溶接鋼管
を製造する方法である。この方法では、高密度エネルギ
ービーム3の照射位置を両側の鋼帯端部が最初に接する
V収束点1dより下流側としているが、図5に示すよう
にスクイズロール4a,4bより下流側ではスプリング
バックにより突合わせ部が開口するために溶接部にアン
ダーカットが生じたり、材料の成分組成によっては凝固
割れを来すこともある。また、スクイズロール4a,4
bとスクイズロール5a,5bによる締め付け量を両側
の鋼帯端部が単に接する程度に締め付けるとしている
が、前後のスクイズロール4a,4bとスクイズロール
5a,5bの間ではスプリングバックにより隙間が生じ
るために、技術的にも達成が困難であるという問題点を
有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決するためになされたもので、高能率でか
つ溶接欠陥のない高品質の溶接鋼管の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶接鋼管の
製造方法は、鋼帯を連続的に搬送しつつ両側の鋼帯端部
が対向するように円筒状に成形し、両側の鋼帯端部に高
周波電流を供給して材料の融点以下の温度に予熱した
後、両側の鋼帯端部をスクイズロールで加圧して突き合
わせ、その突合わせ部を、スクイズロール軸中心を結ぶ
線と突き合わせ線との交点の近傍に鋼帯全厚が溶融でき
るように設定した高密度エネルギービームを照射して溶
接すると同時に前記スクイズロールにより所定のアプセ
ット量で加圧することを特徴とするものである。
【0008】また、本発明は、以下の特徴を有する。前
記鋼帯端部の予熱温度を600〜1200℃の範囲とす
る。前記鋼帯端部の突合わせ部の形状をI型とし、その
突合わせ部の間隔を0〜0.20mmの範囲とする。前記
高密度エネルギービームの照射位置を前記交点より上流
側へ0〜5.0mmの位置とする。前記鋼帯端部の突合わ
せ部をレーザ溶接すると同時に、前記スクイズロールに
より加圧するアプセット量を0.1〜1.0mmの範囲と
する。前記鋼帯端部の予熱領域および前記高密度エネル
ギービームの照射位置近傍をガスシールドする。
【0009】
【作用】本発明は、連続的に搬送される鋼帯を円筒状に
成形し、その両側の鋼帯端部を高周波誘導方式または高
周波抵抗方式により材料の融点以下、好ましくは600
〜1200℃に予熱するとともに、スクイズロール軸中
心を結ぶ線と突き合わせ線との交点の近傍に、好ましく
は該交点より上流側へ0〜5.0mmの位置に、鋼帯全厚
が溶融できるように設定した高密度エネルギービームを
照射して突合わせ部を溶接し、同時に、前記スクイズロ
ールにより好ましくは0.1〜1.0mmのアプセット量
で加圧するものであり、これにより、貫通限界溶接速度
が向上するとともに許容溶接速度範囲を広くとることが
でき、アンダーカット、ブローホール、縦割れ等の溶接
欠陥のない高品質の溶接鋼管が得られる。
【0010】本発明の個々の構成要件について詳述す
る。
【0011】(1)鋼帯端部の予熱温度 鋼帯端部を予熱することによる溶接速度が増加する効果
を調査するために、室温から融点まで変化させて出力2
0kWの炭酸ガスレーザを用いて溶接を行い、貫通溶接
が可能な限界速度と溶接部の品質を調査した。図2は、
外径508mm×板厚12.7mmの炭素鋼溶接管を、鋼帯
を連続的に成形し溶接する通常の製管ミルで製造した場
合の結果である。図2の斜線部の領域が健全な溶接ビー
ドとなる範囲を示している。
【0012】図2から明らかなように、予熱温度の上昇
にともない貫通限界溶接速度が増加する傾向を示す。予
熱温度が600℃未満でも溶接は十分可能であるが、こ
の温度では室温での貫通限界溶接速度との比率で求めら
れる溶接速度の増加率が1.5倍以下と低くなるので、
生産性が劣る。したがって、室温での貫通限界溶接速度
に対して1.5倍以上の貫通限界溶接速度を得るために
は好ましくは予熱温度を600℃以上に設定すべきであ
る。一方、予熱温度が融点以上の場合には、室温での貫
通限界溶接速度に対する貫通限界溶接速度の増加率が約
3.5倍と大幅な生産性の向上が認められるが、同時に
溶け落ちビードとなり、健全な溶接ビードが得られな
い。また、予熱温度が1200℃超、融点以下の温度範
囲においても、室温での貫通限界溶接速度に対する貫通
限界溶接速度の増加率が3倍以上と生産性の向上が認め
られるが、この温度範囲では溶け落ちビードとなる限界
溶接速度と貫通限界溶接速度との許容範囲Δv(換言す
れば、健全な溶接ビードが得られる適正溶接速度範囲)
が、予熱温度が1200℃以下の場合に比べて大幅に狭
まることが明らかである。よって、予熱温度は、材料の
融点以下、好ましくは600〜1200℃の範囲に限定
すべきである。
【0013】(2)高密度エネルギービームの照射位置 円筒状に成形された両側鋼帯端部は、スクイズロール軸
中心を結ぶ線と突き合わせ溶接線との交点(以下、スク
イズ点と呼ぶ)から下流側に進むにつれ、スプリングバ
ックのために開口する。そのため、前記スクイズ点より
下流側の位置に高密度エネルギービームを照射して溶接
を行った場合には、溶融金属が凝固する際に引張応力が
作用し、アンダーカットや材料の化学組成によっては凝
固割れ等の溶接欠陥を生じる。一方、スクイズ点から上
流側では、円筒状鋼帯の両側端部がスクイズ点に近付く
につれて漸近するため、前記スクイズ点より下流側で生
じるような凝固割れ等の溶接欠陥は回避される。したが
って、溶接は、高密度エネルギービームをスクイズ点近
傍に照射して行うことが重要である。ただし、高密度エ
ネルギービームの照射位置は、前記の溶接部に引張応力
が負荷されるスクイズ点下流側は好ましくなく、スクイ
ズ点上流側に設置するのが好ましい。スクイズ点上流側
においても突き合わせ間隔が0.20mm超の場合には隙
間が過大のためアンダーカット欠陥を生じる。ここで、
0.20mmの突き合わせ間隔は、スクイズ点上流側にお
いて約5mmの位置に相当する値である。よって、高密度
エネルギービームは、スクイズ点近傍に照射すべきであ
り、好ましくは、スクイズ点から上流側へ0〜0.5mm
の位置とすべきである。この照射位置は突き合わせ間隔
が0〜0.20mmに相当する値である。
【0014】(3)アプセット量 高密度エネルギービームを用いた製管溶接のような突き
合わせ貫通溶接法では、高速で幅の狭い溶融金属が形成
されるため、急速に凝固し裏側のビード部にアンダーカ
ットや材料の化学組成によっては凝固割れが発生しやす
い。さらに、ガス及び金属蒸気等が封じ込められてブロ
ーホールも発生しやすいという問題点を有している。こ
れらの溶接欠陥の防止法としてスクイズロールによりア
プセットをかける方法がある。すなわち、アンダーカッ
トはアプセットにより溶融状態の溶接金属が板厚方向に
押し出されることにより防止される。また、ブローホー
ルはアプセットにより溶接金属が押し出される際にブロ
ーホールが圧潰されるためである。一方、溶接金属の凝
固割れはアプセットにより溶接金属に圧縮力を付与する
ことにより防止される。
【0015】そこで、アプセットによる溶接欠陥の防止
効果を実験的に確認した。製管溶接は、外径508mm×
板厚7.5mmの炭素鋼溶接管を、鋼帯を連続的に成形し
出力20kWの炭酸ガスレーザを用いて製造した。図3
は、スクイズロールにより溶接鋼管の外周部より押さえ
付け、溶接金属部に0〜2.0mmの範囲で圧縮変位を付
与した場合の結果を示す。ここで、アプセット量が0.
1mm未満の場合には、溶接金属の押し出し量および圧縮
圧力が過小のため、溶接欠陥の防止効果が小さく、アン
ダーカットとなり、溶接欠陥も残存していた。一方、ア
プセット量が1.0mm超の場合には、溶接金属幅が0.
5〜2mmと狭いため、ほとんどの溶接金属が押し出さ
れ、さらには熱影響部がメタルフローにより隆起し、ビ
ード部分を含むこの隆起部分を切削した後に、材料の介
在物および成分偏析に起因するフッククラックが発生し
た。したがって、高密度エネルギービームによる溶接に
おいては溶融金属のアプセットは必須であり、好ましく
はアプセット量は0.1〜1.0mmの範囲に設定すべき
である。
【0016】(4)シールドガス 製管時には、高周波電流による鋼帯端部の予熱領域およ
び溶接部とその近傍を窒素ガスあるいはヘリウム等の不
活性ガスでシールドすべきである。その理由は、シール
ドにより予熱時に生成した鋼帯の突き合わせ面の酸化皮
膜および酸化物の巻き込みによる溶接部内への残留が抑
えられるためである。
【0017】
【実施例】図1は本発明の方法に使用する溶接鋼管製造
装置の概要図である。本実施例では、鋼帯1を連続的に
搬送しつつ円筒状に成形し、その相対向する両側の鋼帯
端部1a,1bを高周波抵抗加熱装置6により材料の融
点以下の温度に予熱する。6a,6bは高周波抵抗加熱
装置6の接触子で、V収束点1dより上流側に所定距離
隔てて設置されている。そして、スクイズロール4a,
4bの軸中心を結ぶ線7と鋼帯端部1a,1bの突き合
わせ線8との交点であるスクイズ点9の近傍に、鋼帯1
の全板厚を溶融できるようエネルギー密度の高いレーザ
ビーム10を照射し、鋼帯1の全板厚を溶融して突合わ
せ部1cを溶接すると同時に、スクイズロール4a,4
bにより所要のアプセット量で加圧し接合する。なお、
11a,11bは突合わせ部1cの目違いを抑制するた
めに必要に応じて設置するトップロールである。
【0018】次に、上記構成の製造装置を用いて、外径
304〜508mmおよび板厚5.0〜12.7mmの炭素
鋼溶接鋼管を製造した結果について説明する。
【0019】素材の化学組成は、重量%表示で、C:0.
05,Si:0.15,Mn:1.20,P:0.010 ,S:0.001
,Nb:0.05,V:0.03である。レーザには、最大出
力20kWの炭酸ガスレーザを用いた。製造条件につい
ては、シールド条件として鋼帯端部の予熱領域および溶
接部近傍のシールドガスにHeまたはN2 を用いた。そ
の他、溶接速度、予熱温度、突き合わせ間隔、レーザ照
射位置、およびアプセット量を種々変化させて溶接鋼管
を製造した。また、アプセットにより溶接部が盛り上が
った場合には、カッター等で研削した。ここで、レーザ
照射位置の表示方法は、スクイズ点に対して上流側を
「−」とし、下流側を「+」とした。
【0020】このようにして製造した溶接鋼管の品質を
以下の基準で評価した。
【0021】まず、ビードの形状については、外観検査
によりビードの板厚貫通状態あるいはビード表面のアン
ダーカット、溶け落ちの有無およびビード研削後のフッ
ククラックの発生状況等を調べた。次に、溶接内部の溶
接欠陥については、非破壊検査法によりブローホールお
よび介在物の発生数量および凝固割れの有無を調べた。
また、本発明法により製造した鋼管溶接部の衝撃特性に
ついては、シャルピー衝撃試験によって求められる破面
遷移温度 vTs (延性破面率が50%となる温度)によ
り評価した。これらの評価試験は、焼入れ焼戻し処理
(950℃加熱→水焼入れ→600℃焼戻し)を施した
溶接部について実施した。
【0022】表1および表2に、それぞれ本発明例およ
び比較例の製造条件と溶接部の品質評価結果を示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】まず、予熱温度の効果を調査したものは、
本発明例No.1〜No.11と比較例No.1〜N
o.10である。比較例No.1は、予熱をしないで溶
接した場合の結果であり、貫通溶接速度は2.0m/min
であった。これに対して、予熱を300〜1000℃施
した本発明例No.1〜No.6は、貫通溶接速度が増
加し、予熱温度が600℃の場合には室温の場合に対し
て約1.5倍となっていた。予熱温度が1200℃の場
合には、溶接速度が3.0m/min の比較例No.3では
溶け落ちビードとなり、溶接速度が7.5m/min (比較
例No.4)で未貫通ビードとなっていた。健全なビー
ドが得られたものは溶接速度が4.0m/minと7.0m/m
in の本発明例No.7とNo.8であった。また、予
熱温度が1300℃の場合には、健全なビードが得られ
たものは溶接速度が6.0m/min と7.0m/min の本発
明例No.9およびNo.10であり、溶接速度が4.
0m/min と5.5m/min の比較例No.5〜No.7は
いずれも溶け落ちビードとなり、比較例No.8の溶接
速度が7.5m/min の場合のビードは未貫通であった。
【0026】このように、健全なビードが得られる溶接
速度の許容範囲は、予熱温度が1200℃の場合には3
m/min と広く、予熱温度が1300℃の場合には許容溶
接速度範囲は大幅に狭まり1m/min 程度であった。さら
に、予熱温度が1400℃の場合には、1300℃の場
合と同様に、溶接速度が6.5m/min の比較例No.9
は溶け落ちビードとなり、健全なビードが得られたもの
は溶接速度が7.0m/min の本発明例No.11であ
り、健全なビードが得られる許容溶接速度範囲はさらに
狭まっていた。溶け落ちビードまたは未貫通ビードが形
成される場合には溶融金属の凝固が不安定となり、溶接
部内部には酸化介在物やブローホール等の溶接欠陥が残
留し、シャルピー遷移温度( vTs )は−40℃以上と
高い値を示していた。
【0027】このように、鋼帯端部を予熱することによ
って室温の場合に比べて貫通溶接速度が増加し、生産性
が向上することが確認された。ただし、融点まで予熱す
ると溶接ビードが溶け落ちるため、予熱温度は材料の融
点以下にすべきである。なお、生産性を考慮すると予熱
温度の下限は600℃以上、また、予熱温度の上限は、
健全なビードが得られる許容溶接速度範囲を考慮すると
1200℃以下とするのが好ましい。
【0028】次に、アプセットの効果を調査したものが
本発明例No.12〜No.14と比較例No.11〜
No.16である。比較例No.11は、アプセットを
かけない場合の結果で、溶接部内部に凝固割れが生じて
いた。アプセットをかけると凝固割れは防止できている
ことから、アプセットをかけることは必須であることが
明らかである。アプセット量が0.10mm未満の比較例
No.12とNo.15は、アプセットが過小なためア
ンダーカットビードとなっており、アプセット量が1.
00mm超の比較例No.13,14,16は、アプセッ
トが過大なためフッククラックが生じていた。一方、ア
プセット量が0.10mm以上、1.00mm以下の範囲に
ある本発明例No.12,13,14は健全なビードが
得られていた。したがって、健全なビードを得るために
はアプセットをかけることが必須であり、好ましくはア
プセット量を0.10mm〜1.00mmの範囲とすべきで
ある。
【0029】レーザ照射位置の効果は本発明例No.1
5〜No.21と比較例No.17〜No.23で調査
した。レーザをスクイズ点から下流側の位置に照射した
比較例No.18,19,22,23では、ビード内に
凝固割れが生じていた。レーザ照射位置をスクイズ点か
ら上流側に設けた場合には凝固割れは回避されたが、レ
ーザ照射位置がスクイズ点から5mm超の比較例No.1
7,20,21では、突き合わせ間隔が過大となり、ア
ンダーカットを生じていた。一方、レーザ照射位置をス
クイズ点から上流側に0.0mm以上、5.0mm以下の位
置にした場合には、健全なビードが得られていた。した
がって、レーザの照射位置は、スクイズ点から上流側へ
0.0mmから5.0mm以下の範囲に設定すべきである。
【0030】シールドガスの効果は比較例No.24,
25で調査した。比較例No.24,25は、シールド
ガスを使用しなかった例であり、溶接部内部に酸化介在
物やブローホールが多発し、 vTs が劣化していた。一
方、本発明例No.1〜No.21は、いずれの場合も
シールドガスを用いており、健全なビードが得られてい
る。したがって、シールドガスは必須である。
【0031】以上の結果、本発明の範囲から外れた比較
例において、材料の融点以上に予熱した場合、レーザに
より鋼帯全厚を溶融させない場合、溶融金属部にスクイ
ズロールで押圧しアプセットをかけない場合、またシー
ルドガスを使用しない場合には、ビード形状が劣ってお
り、溶接欠陥が発生していた。また、 vTs も−40℃
以上であった。これに対して、溶接鋼管の製造条件が本
発明の範囲にある表1に示す本発明例No.1〜No.
21においては、ビード形状も良好で、溶接欠陥の発生
もなくかつ vTs も良好な値を示していた。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、連続的に
搬送される鋼帯を円筒状に成形し、その両側の鋼帯端部
を高周波誘導方式または高周波抵抗方式により材料の融
点以下、好ましくは600〜1200℃に予熱するとと
もに、スクイズ点近傍に、好ましくは該スクイズ点より
上流側へ0〜5.0mmの位置に、鋼帯全厚を溶融できる
高密度エネルギービームを照射して突合わせ部を溶接
し、同時に、前記スクイズロールにより好ましくは0.
1〜1.0mmのアプセット量で加圧するものであるか
ら、アンダーカット、溶け落ち、ブローホール、縦割れ
等の溶接欠陥のない高品質の溶接鋼管を高能率に製造す
ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用する製造装置の概要図であ
る。
【図2】予熱温度と貫通溶接速度と溶接部品質との関係
を示す図である。
【図3】アプセット量と溶接部品質との関係を示す図で
ある。
【図4】従来法の説明図である。
【図5】他の従来法の説明図である。
【符号の説明】
1 鋼帯 1a,1b 鋼帯端部 1c 突合わせ部 4a,4b スクイズロール 6 高周波抵抗加熱装置 7 スクイズロール軸中心を結ぶ線 8 突き合わせ線 9 スクイズ点 10 レーザビーム
フロントページの続き (72)発明者 長浜 裕 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼帯を連続的に搬送しつつ両側の鋼帯端
    部が対向するように円筒状に成形し、両側の鋼帯端部に
    高周波電流を供給して材料の融点以下の温度に予熱した
    後、両側の鋼帯端部をスクイズロールで加圧して突き合
    わせ、その突合わせ部を、スクイズロール軸中心を結ぶ
    線と突き合わせ線との交点の近傍に鋼帯全厚が溶融でき
    るように設定した高密度エネルギービームを照射して溶
    接すると同時に前記スクイズロールにより所定のアプセ
    ット量で加圧することを特徴とする溶接鋼管の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記鋼帯端部の予熱温度を600〜12
    00℃の範囲とすることを特徴とする請求項1記載の溶
    接鋼管の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記鋼帯端部の突合わせ部の形状をI型
    とし、その突合わせ部の間隔を0〜0.20mmの範囲と
    することを特徴とする請求項1記載の溶接鋼管の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記高密度エネルギービームの照射位置
    を前記交点より上流側へ0〜5.0mmの位置とすること
    を特徴とする請求項1記載の溶接鋼管の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記鋼帯端部の突合わせ部をレーザ溶接
    すると同時に、前記スクイズロールにより加圧するアプ
    セット量を0.1〜1.0mmの範囲とすることを特徴と
    する請求項1記載の溶接鋼管の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記鋼帯端部の予熱領域および前記高密
    度エネルギービームの照射位置近傍をガスシールドする
    ことを特徴とする請求項1記載の溶接鋼管の製造方法。
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