JPH08309428A - 溶接鋼管の製造方法 - Google Patents

溶接鋼管の製造方法

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JPH08309428A
JPH08309428A JP7119714A JP11971495A JPH08309428A JP H08309428 A JPH08309428 A JP H08309428A JP 7119714 A JP7119714 A JP 7119714A JP 11971495 A JP11971495 A JP 11971495A JP H08309428 A JPH08309428 A JP H08309428A
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less
welding
steel
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steel pipe
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JP7119714A
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English (en)
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Takeshi Ichinose
威 一ノ瀬
Tomoya Fujiwara
知哉 藤原
Hideji Okaguchi
秀治 岡口
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23KSOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
    • B23K2103/00Materials to be soldered, welded or cut
    • B23K2103/02Iron or ferrous alloys
    • B23K2103/04Steel or steel alloys

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Abstract

(57)【要約】 【目的】すぐれた接合部靭性を有する低合金溶接鋼管を
高速度で生産する方法の提供。 【構成】C:0.02〜0.30%、Si:0.80%以下、Mn:
0.10〜 2.0%、Al: 0.002〜0.08%、Ti:0.04%以
下、O:0.0060%以下、Cu: 1.0%以下、Ni: 3.0
%以下、Cr: 1.0%以下、Mo: 1.5%以下、V:
0.1%以下、Nb: 0.1%以下、B: 0.003%以下、C
a:0.0050%以下、Y:0.02%以下および希土類元素0.
02%以下を含有し、かつAl、TiおよびOの含有量に
関しては下記の式 Ti( %) /(Al( %) ×O( %) )<5.0 ×103 ・・・・・・ を満足する鋼板を素材に用い、連続的にオープンパイプ
に成形し、オープンパイプの相対向する両側エッジ部を
スクイズロールで加圧して突き合わせ、その近傍を不活
性ガスでシールドしつつ、出力 8kW以上の高出力レー
ザービーム、または補助熱源を用いて出力 6kW以上の
高出力レーザービームを照射して、6.0 m/min 以上の
速度で溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、機械、建築用
等の構造鋼管、およびラインパイプ用の鋼管等に適用さ
れる、接合部の性能が母材性能と同等あるいはそれ以上
の高強度低合金溶接鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ホットストリップミルによる熱延鋼板を
用いて、溶接鋼管を大量に生産する際のシーム溶接に用
いられる溶接法には、サブマージドアーク溶接法(以下
SAWと略記)、高周波加熱による電気抵抗溶接法(以
下ERW)などがある。
【0003】SAWは溶接欠陥の発生は少ないが、溶接
に先だっての開先加工や溶接後はスラグ除去等の作業が
必要であり、ERWに比して生産性が著しく劣る。また
高強度材においては、溶接割れが生じやすいため、適用
が困難になる。
【0004】一方ERWは、生産効率が高く種々の用途
の鋼管に広く活用されているが、一般に接合部の信頼性
は高くない。高周波加熱により鋼板の端面を溶融させた
上で圧着して接合するため圧着面に酸化物の残存が多く
なり、それもしばしば鋼管壁の厚さ方向に偏平で引き延
ばされた形になりがちである。酸化物発生の抑制に不活
性ガス雰囲気で覆って溶接することもおこなわれるが、
酸化を完全に防止するのは難しい。また、酸化物形成を
大きく低減できたとしても、鋼板自体が元々含んでいた
介在物が偏平に引き延ばされることもある。
【0005】さらに高周波によって金属を加熱溶融させ
ているため、電磁力の影響で溶融金属が不安定になって
しばしば飛び散り、溶接欠陥が生じ易いという難点があ
る。
【0006】また溶融まで加熱してから圧着するために
熱影響部(HAZ)の幅が広く、特に高強度の鋼管にな
るほど靭性や疲労強度等が母材鋼板とHAZとの間で大
きく相違し、鋼管としての信頼性を低下させる。
【0007】このERW鋼管に対して、溶接欠陥を減ら
し信頼性を向上させる手段は種々検討されている。例え
ば特開昭 60-213366号公報に記載の発明は、耐HIC性
の向上のため、接合部およびその近傍のHAZに存在す
る酸化物系介在物の大きさおよび個数を限定している。
このような限定は、耐HIC性ばかりではなく、接合部
の靭性確保や疲労強度向上の観点からも好ましい。しか
し限定すべき介在物の大きさは、10μm程度の小さなも
のまでも含んでおり、このような介在物を量産の場で判
別することは事実上不可能に近く、実行は困難である。
【0008】また特開昭 61-207548号公報には、ERW
鋼管の接合部のメタルフローの立ち上がり角度を75度以
下に限定して、接合部の靭性を向上させ拡管性を向上さ
せる発明が提示されている。メタルフローの立ち上がり
角度を抑制することは確かに有効であるが、溶接欠陥を
減らすためにはアップセットを十分にかける必要があ
り、充分なアップセットはメタルフローの立ち上がり角
度を大きくするので、現実には適用困難である。
【0009】ERW鋼管の性能のさらなる向上を目的
に、高エネルギー密度ビームによる溶接法を利用するこ
とが検討されている。上述のように一般のERW鋼管の
製造において接合部の溶接欠陥や機械的性質が不均一に
なる原因は、圧着面の酸化物の残存とHAZ軟化部分の
幅が広いことによる。これに対し、レーザーや電子ビー
ムのような高エネルギー密度ビームによる溶接は、接合
面を突合せた状態で狭い部分を急速加熱するため、溶融
あるいは高温になる部分が少なく、適切な雰囲気管理に
より酸化物の残存を大幅に低減できる。その上、入熱量
が少なくてすむのでHAZが小さく、溶融接合直後に急
冷されるので金属組織が微細になり、接合部の靭性が向
上する。
【0010】電子ビーム溶接は溶込み深さが大きいの
で、厚肉構造物に有利であるが、高品質の溶接には真空
中でおこなうことが要求される。これに対し、レーザー
ビームによる溶接(以下レーザー溶接と言う)は、同じ
出力での溶け込み深さは小さいが真空の必要はない。鋼
管の場合、板厚はそれほど厚くなく、その上、鋼板を連
続して成形しつつ溶接する際、溶接をおこなう部分を真
空に維持することは設備的にも問題が多いので、レーザ
ー溶接法は特に溶接鋼管の製造に適していると考えられ
る。
【0011】レーザー溶接の適用は、このように接合部
の性能の向上により溶接鋼管の性能を向上させることが
可能であるが、ERWに匹敵する速度で鋼管を製造する
ためには、ビームの出力を大きくしたり、特開平 2-703
79号公報の発明に示されるように、高周波加熱など補助
熱源により溶接前のエッジ部を加熱したりする必要があ
る。また、アプセット条件やビーム照射条件の工夫によ
っても溶接速度の向上が可能である。
【0012】突合せ面全面をレーザービームで溶融させ
るようにして溶接速度を上げていくには、当然のことな
がらレーザー出力を大きくする必要がある。ところが、
大出力のレーザービームを照射し高速で溶接を行なう
と、接合部の靭性や製品鋼管の疲労強度のばらつきが溶
接速度の上昇と共に大きくなってくる。特に高強度の鋼
管を製造しようとする場合この傾向が顕著になる。すな
わち、レーザー溶接の適用により溶接鋼管の平均的性能
は大きく向上するが、溶接速度を上げ、鋼管を効率よく
製造しようとする場合、一部に性能のやや劣る製品が混
在してきて製品品質の信頼性に不安がでてくるという問
題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高強度の低
合金溶接鋼管の高性能化を目的として接合部の性能を大
きく向上させるレーザー溶接を適用する際、溶接速度を
ERW法なみにに近づけると増大してくる接合部の品質
のばらつきを低減することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、レーザー
溶接を高強度低合金溶接鋼管に適用する際、ERWに匹
敵する速度での溶接において、充分な接合部の性能を得
るための条件を種々検討の結果、下記のような知見を得
た。なお、この場合の対象とする板厚は 3〜15mmとし
た。
【0015】レーザー出力が小さく溶接速度が遅い場合
は、材料要因は強くは現われず、溶接部分の特性の優れ
た鋼管が得られる。ところが高速で溶接を行なうために
大出力のレーザービームを照射して溶接する場合、接合
部の靭性や疲労強度は、鋼種や鋼板強度とは異る別の材
料要因に大きく支配される。この要因について種々調査
をおこなったところ、鋼中のTi、AlおよびOの含有
量が大きく影響していることがわかった。
【0016】そこで、この現象をさらに詳しく検討した
結果、大出力のレーザービームを用いる場合には、T
i、AlおよびOの含有量を特定の範囲に管理すると安
定して溶接部の性能の優れた鋼管を製造できるが、この
範囲を外れると、所期の性能が得られない場合のあるこ
とが明らかになった。
【0017】雰囲気による酸化を完全に阻止したとして
も、鋼中の介在物や酸化物は溶接金属の溶融中に大きさ
が変化し、粗大化すれば応力集中による亀裂の起点とな
って靭性や疲労強度を低下させる。しかし、微細な介在
物となって分散しておればこのような害が低減するばか
りでなく、凝固組織や熱処理後の金属組織を微細化させ
る効果がある。レーザー出力が増大するにつれて母材の
要因の影響が顕著になってきたのは、このような介在物
の状態が関係しているものと思われた。
【0018】これらの知見に基づき製造条件を検討して
その限界条件を確認し、本発明に至ったのである。その
要旨は次の通りである。
【0019】(1) 重量割合にて、C:0.02〜0.30%、S
i:0.80%以下、Mn:0.10〜 2.0%、Al: 0.002〜
0.08%、Ti:0.04%以下、O:0.0060%以下、Cu:
1.0%以下、Ni: 3.0%以下、Cr: 1.0%以下、M
o: 1.5%以下、V: 0.1%以下、Nb: 0.1%以下、
B: 0.003%以下、Ca:0.0050%以下、Y:0.02%以
下および希土類元素(REM)0.02%以下を含有し、か
つAl、TiおよびOの含有量に関しては下記の式 Ti( %) /(Al( %) ×O( %) )<5.0 ×103 ・・・・ を満足し、残部は不可避的不純物および鉄からなる鋼板
を素材に用い、成形ロール群に供給しつつ連続的にオー
プンパイプに成形し、オープンパイプの相対向する両側
エッジ部をスクイズロールで加圧して突き合わせ、その
近傍を不活性ガスでシールドしつつ、出力 8kW以上の
高出力レーザービームを突合せ部に照射して、6.0 m/
min 以上の速度で溶接することを特徴とする溶接鋼管の
製造方法、および、(2) 上記 (1)に記述した鋼板を素材
に用い、溶接時にオープンパイプの相対向する両側エッ
ジ部を、成形ロール群に供給しつつ連続的にオープンパ
イプに成形し、オープンパイプの相対向する両側エッジ
部を補助熱源を用いて 600℃以上1300℃以下に加熱しつ
つ両エッジを突き合わせ、その近傍を不活性ガスでシー
ルドしつつ出力 6kW以上の高出力レーザービームを突
合せ部に照射して、 6.0m/min 以上の速度で溶接する
ことを特徴とする溶接鋼管の製造方法。
【0020】
【作用】以下本発明において、母材鋼板の成分組成およ
び溶接鋼管の製造条件を限定した理由を、その作用と共
に説明する。
【0021】A)母材鋼板の成分組成 (1) C Cは鋼管の強度を確保する目的で含有させる。0.02%未
満では必要とする強度を確保する事が難しく、0.30%を
超えると溶接割れが起きやすくなるばかりでなく溶接後
の熱処理(含む接合部熱処理)を施しても、靭性低下は
避けられない。
【0022】したがって、0.02〜0.30%の範囲に限定す
る。
【0023】(2) Si Siは、通常鋼の脱酸を目的として添加されるが、Al
で充分脱酸する場合にはなくてもよい。しかし、Siは
接合部の溶金形状を改善する効果を持つため、ある程度
含有する方が望ましい。ただし、0.80%を超えて含有さ
せた場合は靭性の低下もたらすため、この値を上限とす
る。Alが少ない場合は、過度にSi含有量を低減させ
ると、AlおよびTiの含有量の調整をしても式を満
足する事が難しくなる。よって望ましい含有量は0.02〜
0.80%の範囲である。
【0024】(3) Mn Mnは不純物のSによる熱間脆性防止と、鋼管の強度確
保のために含有させる成分であり、強度確保を目的とし
た他の成分とのバランスを配慮して添加する。
【0025】0.10%未満の含有量ではSの害の防止には
不十分であり、また、 2.0%を超えて含有させると、母
材、接合部共に靭性低下を招く上に、コスト面からみて
も不利であるため、含有範囲を 0.1〜 2.0%とする。
【0026】(4) Al Alは脱酸のために必須の元素であり、同時に本発明に
おいては、溶金形状の改善に効果のある元素である。し
かし、0.08%を超えて含有させても、それ以上の効果は
期待できず、この値を上限とする。一方、接合部の靭性
改善を目的としてAlを抑制する場合があるが、この場
合でも 0.002%未満のAl量では製鋼時に鋼を安定して
脱酸することが難しく実用的ではない。また式を満足
させるためにも、 0.002%よりさらにAlを下げるのは
望ましくない。したがってAlの含有量の範囲は 0.002
〜0.08%とする。
【0027】(5) Ti Tiは結晶粒の微細化、析出強化あるいは靭性の向上
や、Bを添加する場合の固溶Nの固定のために添加する
が、溶金中に粗大介在物を残存させて接合部の靭性を劣
化させる傾向がある。この観点からは少ない方が好まし
く、大出力のレーザー溶接においても、添加しない方が
望ましい。しかしながら、鋼の特性上添加を要する場
合、添加の効果を発現するには 0.005%以上の含有が望
ましいが、接合部の性能から多くても0.04%までに止め
るべきである。
【0028】(6) O Oは鋼において不可避的不純物の一つであり、一般には
少なければ少ないほど好ましい。しかし大出力のレーザ
ー溶接においては、溶金中の介在物を微細化させる効果
がある。ただし、0.0060%を超える存在は多すぎて接合
部の靭性を劣化させるので、その含有量は 0.006%以下
とする。
【0029】(7) Al、Ti、Oの複合効果 Al、TiおよびOのそれぞれの成分量の限定範囲は上
記の通りである。しかし、特に大出力レーザービームに
て高速で製管溶接する場合、次式を満足する範囲になけ
ればならない。
【0030】 Ti( %) /(Al( %) ×O( %) )<5.0 ×103 ・・・・・・ 他の鋼成分や鋼の強度等には関りなく、これらの元素の
含有量がこの式で規制される範囲にあれば、接合部の
靭性が向上し、さらには鋼管の疲労強度が向上する。
【0031】(8) Cu、Ni、Cr、Mo これらの元素は、いずれも強度上昇に有効な元素であ
り、それに加えてCuおよびCrは、耐候性を向上させ
る効果もあるので、強度の制御や耐候性向上のために必
要に応じて添加する。添加する場合は極少量では効果が
なく、いずれの元素も0.05%以上の含有が必要である。
過剰の含有は靭性を劣化させ、延性を低下させるが、元
素によりその限界が異り、CuおよびCrでは 1.0%以
下、Niでは3.0 %以下、Moでは 1.5%以下をそれぞ
れ限度とする。
【0032】(9) V、Nb VおよびNbはTiと同様析出強化の効果があり、熱間
圧延条件と組合せて少量で大きく強度を高めることがで
きるので、必要に応じて添加する。どちらの元素の場合
も、この効果を得るには 0.005%以上の含有が望まし
く、多すぎると靭性を大きく低下させるので、その含有
量はどちらも0.10%以下に限定する。
【0033】(10)B Bは添加しなくてもよいが、C量の低い場合は靭性の向
上、Cが高く鋼管を熱処理する場合は焼入れ性向上の効
果があるので、必要に応じて添加する。これらの効果を
確実に得るには、0.0003〜 0.002%程度の含有が望まし
く、 0.003%を超える含有は靭性を劣化させる。
【0034】(11)Ca、希土類元素 これらの元素は通常は添加しなくてもよいが、鋼中の硫
化物系介在物の形態制御を通じて、耐水素誘起割れ性
(耐HIC性)や耐硫化物応力腐食割れ性(耐SSC
性)の改善を目的とする場合に添加する。その効果を得
るには、 Caでは0.0002%以上、希土類元素では0.00
1 %以上含有させる必要がある。
【0035】一方でこれらの元素は介在物を形成しやす
く、過剰に添加すると清浄度の低下を招き母材靭性が大
きく劣化するので、Caでは 0.005%、希土類元素では
0.02%を超えて含有させるべきではない。
【0036】(12)不可避的不純物 S、PおよびNなど上記以外の不可避的不純物の含有量
は、低ければ低いほど良い。Sについては硫化物系介在
物となって靭性を劣化するので0.01%以下にすべきであ
る。特にCaや稀土類元素を添加する場合、 0.003%を
超えると介在物の形態制御が不可能になるので、望まし
くは 0.003%以下とする。
【0037】Pは不可避的不純物として鋼中に混入し靭
性を劣化させるので、 0.030%以下が望ましく、 0.030
%を超えると溶接割れの原因になる。NもAlやTiと
結合して析出物となって、靭性や疲労強度を阻害するの
で低いほど好ましい。母材中のN含有量は 0.010%以下
にすべきである。
【0038】B)溶接鋼管の製造条件 (13)成形方法 所要幅にスリットした鋼板を成形ロール群に供給して連
続的にパイプ形状に成形する。このパイプ形状に成形す
る方法は、通常行なわれているERW鋼管の場合と同様
でよい。また、オープンパイプの溶接しようとする相対
向したエッジ部の形状を、特にレーザー照射が効率よく
行なえるように加工すること等に関しては何等制限はな
い。
【0039】(14)溶接方法 溶接装置は、レーザービームが重力にほぼ平行な方向に
向けて照射されるように構成されることが好ましい。オ
ープンパイプのエッジ部をスクイズロールで加圧して突
合せ、突合せ部およびその近傍を不活性ガスでシールド
しつつレーザービームを照射して溶接する。
【0040】対象とする板厚を 3〜15mmとして溶接条件
を検討した結果、溶接速度は 6m/min 以上でかつレー
ザー出力 8kW以上の条件下において、特に鋼中のA
l、TiおよびOの含有量が式を満足する領域にある
母材では、安定して優れた溶接部靭性あるいは良好な鋼
管の疲労特性が得られたが、この領域に入らない母材で
は性能の劣る場合が多かった。
【0041】溶接速度がこれより遅い場合やレーザー出
力の小さい場合には、母材の影響は大きくは現われな
い。したがって、本発明にて規定する溶接条件の範囲
は、鋼板の成分のうち特にAl、TiおよびOの量が
式を満足する領域にあって、かつ溶接速度が 6m/min
以上、レーザー出力は 8kW以上とする。
【0042】溶接速度およびレーザー出力の上限は特に
は制限はないが、溶接部の健全性およびレーザー発生源
が大きくなりすぎる点から、溶接速度は30m/min 以
下、レーザー出力は30kW以下が望ましい。
【0043】なお高周波など補助熱源を用いてエッジ部
を予備加熱すれば、所期の性能を得るのに同じレーザー
出力では溶接速度が上げられ、速度が同じなら必要な出
力が下げられる。しかし、突合せ面全面をレーザービー
ムで溶融させるには、最小限の必要な出力がある。そこ
で、エッジ部の予備加熱をおこなう場合、加熱温度は60
0 〜1300℃、レーザー出力は 6kW以上とする。溶接速
度を 6m/min 以上としたとき、レーザー出力 6kW以
下では予備加熱しても突合せ面全面をレーザービームで
溶融させることは困難である。予備加熱は 600℃以下で
は加熱の効果は少なく、1300℃以上になると金属結晶粒
の粗大化や、突合せ面がレーザー照射で全面溶融させら
れることなく溶接が完了し、靭性が劣化することがあ
る。
【0044】(15)溶接後の熱処理 本発明の請求項1に基づくレーザー溶接後の鋼管は、そ
のままでも鋼管全体の機械的性質として充分な性能を有
するが、さらに周方向の均一性を向上させたい場合や鋼
管としての性質改善のために、溶接部もしくは鋼管全体
に対してノルマライズあるいは焼入れ焼戻し等の熱処理
をおこなってもよい。
【0045】熱処理は通常ERW鋼管でおこなわれる条
件と同様で、ノルマライズはAc3点以上1100℃以下に
加熱した後放冷する。焼入れ焼戻しの場合は、Ac3
以上1100℃以下に加熱した後、(Ar3 −30)℃以上10
00℃以下の温度域から 7℃/sec 以上の速度で冷却し、
冷却後必要に応じて 300℃以上 750℃以下の温度で焼戻
す。
【0046】
【実施例】
〔実施例1〕化学組成を表1に示す鋼スラブを用い、熱
間圧延により板厚および強度の種々異る鋼板を作製し
た。これらの鋼板の特性を表2の左側に示す。
【0047】得られた鋼板をオープンパイプに成形して
その両エッジ部を突合せ、その部分を真上に向けた状態
で直上からレーザービームを照射し溶融接合した。この
時のレーザービームは、垂直に照射するかもしくは溶接
進行方向またはその逆方向に30度程度まで傾けて照射し
た。傾け角は全厚が溶接できるように、板厚、レーザー
ビームのエネルギー、溶接速度等に応じて調整した。ま
た溶接時の酸化防止のため、Heガスによるシールドを
おこなった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】レーザー発生装置は炭酸ガスレーザー発信
器を使用し、レーザーのみを熱源とした場合、およびレ
ーザーに加えて高周波加熱を補助熱源として利用した場
合の両方の溶接をおこなった。溶接後はそのまま製品に
するものの他、接合部もしくは鋼管全体を加熱熱処理し
て製品とした。また比較のため一部の鋼板については従
来のERW法によって溶接鋼管を製造した。これらの溶
接条件も併せて表2に示した。
【0051】得られた鋼管の性能評価には、長手方向が
溶接方向に直角になる幅 3.3mmの、溶金部分にノッチを
入れたサブサイズの 2mmVノッチ衝撃試験片を溶接部分
から採取し、衝撃試験をおこなった。さらに鋼管から溶
接部分を対象に引張り試験片を切出して強度が母材と相
違ないことを確認した。これらの結果も併せて表2に示
す。
【0052】まず、試作番号 1〜16と21〜23の接合部性
能の比較からわかるように、高出力高速のレーザー溶接
条件において、本発明で定める化学組成を逸脱する試作
番号21〜23の場合は、接合部靭性が母材より劣ってい
る。試作番号17〜18は従来のERW法によるもので溶接
部靭性があまりよくないが、同じ鋼の試作番号 1〜 6で
は母材に近い靭性が得られている。また、試作番号19お
よび20と21との比較からわかるように、本発明で規制す
る化学組成範囲を逸脱していても、溶接速度を充分遅く
してやれば母材に近い接合部性能が得られるが、溶接速
度が速くなると靭性が劣化してくる。
【0053】このように、SAWやTIGなど従来の高
品質溶接管の製造方法は、溶接速度がせいぜい 3m/mi
n 程度かそれ以下であるが、大出力レーザーによる溶接
ではERWに匹敵する生産性を達成することができ、そ
の上本発明に定める範囲に鋼成分を管理することによっ
て、母材と同等の接合部性能が得られている。
【0054】〔実施例2〕化学組成を表3に示す鋼スラ
ブを用い、熱間圧延して 4.0mm厚の熱延鋼板を作製し
た。これらの鋼板をERW鋼管製造用のミルにより、オ
ープンパイプに成形してその両エッジ部を突合せ、He
ガスでシールドしつつ直上からレーザービームを照射し
て溶融接合し、外径 100mmの鋼管を製造した。鋼管によ
っては溶接時に補助熱源として高周波加熱の利用や、溶
接後鋼管全体のテンパーやオンラインでの溶接部分の焼
入れ焼もどしをおこなった。これらの製造条件を表4に
まとめて示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】製造した鋼管を長さ 500mmに切り、ねじり
疲労試験をおこなった。繰り返し速度 5Hz の両振りと
して、得られたS−N曲線から繰り返し回数 106におけ
る疲労強度を求めた。結果を表4に併せて示す。これか
らわかるように、鋼の化学組成および溶接条件が本発明
の規定する範囲内にある場合、疲労強度のすぐれた溶接
鋼管が得られることがわかる。
【0058】
【発明の効果】本発明の方法によれば、溶接接合部が母
材鋼板の特性に匹敵する性能を有し、しかも、ERW鋼
管の製造に匹敵する速度で溶接鋼管を製造することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/56 C22C 38/56

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量割合にて、C:0.02〜0.30%、Si:
    0.80%以下、Mn:0.10〜 2.0%、Al:0.002 〜 0.0
    8 %、Ti:0.04%以下、O:0.0060%以下、Cu:
    1.0%以下、Ni: 3.0%以下、Cr: 1.0%以下、M
    o: 1.5%以下、V: 0.1%以下、Nb: 0.1%以下、
    B: 0.003%以下、Ca:0.0050%以下、Y:0.02%以
    下、および希土類元素0.02%以下を含有し、かつAl、
    TiおよびOの含有量に関しては下記の式 Ti( %) /(Al( %) ×O( %) )<5.0 ×103 ・・・・・・ を満足し、残部は不可避的不純物および鉄からなる鋼板
    を素材に用い、成形ロール群に供給しつつ連続的にオー
    プンパイプに成形し、オープンパイプの相対向する両側
    エッジ部をスクイズロールで加圧して突き合わせ、その
    近傍を不活性ガスでシールドしつつ、出力 8kW以上の
    高出力レーザービームを突合せ部に照射して、6.0 m/
    min 以上の速度で溶接することを特徴とする溶接鋼管の
    製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1の鋼板を素材に用い、溶接時にオ
    ープンパイプの相対向する両側エッジ部を、成形ロール
    群に供給しつつ連続的にオープンパイプに成形し、オー
    プンパイプの相対向する両側エッジ部を補助熱源を用い
    て 600℃以上1300℃以下に加熱しつつ両エッジを突き合
    わせ、その近傍を不活性ガスでシールドしつつ、出力6
    kW以上の高出力レーザービームを突合せ部に照射し
    て、6.0 m/min 以上の速度で溶接することを特徴とす
    る溶接鋼管の製造方法。
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