JP3236475B2 - 溶接管の製造方法 - Google Patents

溶接管の製造方法

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JP3236475B2
JP3236475B2 JP16029195A JP16029195A JP3236475B2 JP 3236475 B2 JP3236475 B2 JP 3236475B2 JP 16029195 A JP16029195 A JP 16029195A JP 16029195 A JP16029195 A JP 16029195A JP 3236475 B2 JP3236475 B2 JP 3236475B2
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智隆 林
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接管の溶接方法にか
かわり、特に肉厚外径比(t/D)が1%以下の極薄肉
の溶接管を高周波加熱手段を用いて製造するのに好適な
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図10は、ロール成形法によって金属帯
から高周波加熱手段を用いて溶接管を製造する際の一般
的な従来例を示す図である。
【0003】同図において、Hは金属帯Hで、図示しな
いアンコイラおよびレベラーによって巻戻されるととも
に平坦に矯正され、ロール成形機1へ連続的に送給され
る。
【0004】ロール成形機1は、左右一対の竪ロールか
らなるガイドロール2、上下一対の水平ロールからなる
ブレークダウンロール3、3、…、左右一対の竪ロール
からなるサイドクラスタロール4、4、…および上下一
対の水平ロールからなるフィンパスロール5、5、5B
を備えており、金属帯Hをその幅方向に順次曲成し、そ
の両エッジ部が相対向する断面円形のオープンパイプ状
に成形する。その後、オープンパイプ状に成形された金
属帯Hは、図11に示すように、高周波加熱手段の誘導
加熱コイル10によって両エッジ部7、7が溶融するま
で加熱された後、左右一対の竪ロールからなるスクイズ
ロール6、6によって側圧を与えられて両エッジ部7、
7の端面間から溶融金属を可及的に排出させながら衝合
溶接される(以下、これを高周波溶接法という)。
【0005】また、高周波加熱手段を用いて複合熱源溶
接を行う場合には、高周波加熱手段12(図10参照)
によって両エッジ部7、7を所定の温度に予熱した後、
スクイズロール6の近傍上方に設けられたTIG、MI
Gあるいはレーザなどの適宜な溶融溶接手段(図示省
略)を用いて両エッジ7、7部を溶融させ、スクイズロ
ール6によって側圧を与えられて衝合溶接される(以
下、これを高周波予熱併用溶融溶接法という)。
【0006】上記いずれの溶接法による場合も、ロール
成形機1による成形過程中に金属帯Hの両エッジ部7、
7の近傍には、他の部分8よりも大きな引張力が作用
し、長手方向に伸び変形する。すなわち、ブレークダウ
ンロール3、3、…およびサイドクラスタロール4、
4、…においては、両エッジ部7、7の近傍に引張応力
が生じて長手方向に延伸し、それ以外の部分8には圧縮
応力が生じて長手方向に縮小する。また、フィンパスロ
ール5、5、5Bにおいては、上下一対のロールが金属
帯Hの長手方向伸びを幅方向で一定になるように作用す
るために両エッジ部7、7の近傍には圧縮応力が生じ、
長手方向の伸び量が平均伸び量よりも小さくなって長手
方向に縮小し、それ以外の部分8には引張応力が生じ、
長手方向の伸び量が平均伸び量よりも大きくなって長手
方向に延伸する。
【0007】この成形過程中における両エッジ部の延伸
・縮小の繰り返しよって、材料の座屈強度が小さい、例
えば肉厚/外径比(t/D)が1%超、2%以下の薄肉
管を成形する場合には、その成形過程で両エッジ部が座
屈し、いわゆる縁波が発生する。
【0008】この縁波発生を防止する方法としては、成
形高さを調整するダウンヒル成形法や両エッジ部の座屈
強度を高くするために長手方向に短いピッチで複数のロ
ールを配設して両エッジ部を押圧拘束するケージ成形法
がある。また、成形過程で発生した両エッジ部と他の部
分の歪差を、局部加熱あるいは局部加熱後に冷却して熱
歪み差で調節する方法(特公昭61−61914号公
報)がある。さらには、上記の各方法を組み合わせて金
属帯の両エッジ部と他の部分に生じる歪差を解消して縁
波の発生を防止する方法もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記高周波溶接法ある
いは上記TIG、MIGあるいはレーザなどの適宜な溶
融溶接手段のみによる単なる溶融溶接法で溶接管を製造
する場合、上記t/Dが1%超、2%以下の薄肉管が対
象であるときは、上記した従来の各方法で十分に縁波の
発生を防止することが可能である。
【0010】しかし、上記t/Dが1%以下という極薄
の薄肉管を、上記高周波溶接法あるいは高周波予熱併用
溶融溶接法によって製造しようとする場合、上記従来の
各溶接法を用いても、フィンパスロールの出側では縁波
の発生が生じないにもかかわらず、スクイズロールの直
前で縁波が発生し、溶接不良が多発するという問題があ
った。これは、次の理由による。
【0011】図12は、金属帯Hの両エッジ部7、7を
溶融加熱あるいは予加熱するために高周波電流を金属帯
Hに流した場合における高周波電流の流れ方を、誘導方
式を例にとって示す模式図で、同図(a)は平面図、同
図(b)は側面図である。
【0012】また、図13は、上記高周波電流の流れ方
に対応して生じる金属帯Hの変形態様を示す模式図で、
同図(a)は平面図、同図(b)は側面図である。
【0013】図12に明らかなように、誘導加熱コイル
10より与えられた磁気により生じる図中矢印で示す高
周波電流は、誘導加熱コイル10の近傍のオープンパイ
プ状に成形された金属帯Hの円周方向に流れて両エッジ
部7、7に集中する。この電流分布に対応して両エッジ
部7、7は高温に加熱されるが、他の部分8はほとんど
加熱されないので、両エッジ部7、7と他の部分8とに
著しい温度差が生じ、両エッジ部7、7の熱歪みが大き
くなる。
【0014】このため、図13に示すように、両エッジ
部7、7がこれとは円周方向へ180°位相したボトム
部分9に対して図中矢印で示す方向、すなわち金属帯H
の長手方向に大きく伸びる。この結果、例えば、図14
(a)に示すように、両エッジ7、7の間隔が大きく開
いた口開き変形や、図14(b)に示すように、両エッ
ジ7、7が上方に湾曲した反り変形を起こす。
【0015】上記の各変形に際し、金属帯Hはその変形
部分の前後をスクイズロール6と最終フィンパスロール
5B(図10参照)とで拘束されているために一定量以
上の形状変形ができなくなり、両エッジ部7、7に圧縮
応力のかかる部分が生じ、この部分が局部的に座屈変形
して縁波が発生するのである。以上の現象は、抵抗方式
の高周波加熱手段を用いる場合も同様である。
【0016】このため、上記高周波溶接法あるいは高周
波予熱併用溶融溶接法によってt/Dが1%以下の極薄
肉管を製造する場合においても、縁波が発生することの
な溶接管の製造方法の開発が望まれていた。
【0017】本発明の目的は、上記の実情に鑑みなされ
たもので、t/Dが1%以下の極薄肉管であっても縁波
を発生させることなく製造することのできる高周波加熱
手段を用いた高周波溶接法あるいは高周波予熱併用溶融
溶接法による溶接管の製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記縁波の
発生現象とその防止手段について種々研究を重ね、次の
(1)〜(3)のことを知見した。
【0019】(1)高周波加熱手段を用いた高周波溶接
法あるいは高周波予熱併用溶融溶接法によってt/Dが
1%以下の極薄肉管を製造する場合に生じる縁波は、従
来検討されていた金属帯の両エッジ部と他の部分の成形
量差に起因して発生する歪差によるのではなく、高周波
溶融加熱あるいは高周波予加熱のために金属帯に流す高
周波電流が主として両エッジ部のみを加熱するため、両
エッジ部と他の部分との間に熱歪み差が生じ、これによ
って両エッジ部が金属帯の長手方向に延伸されて縁波が
発生する。しかし、スクイズロールの入側でのオープン
パイプ状に成形された金属帯の形状を上向き凸状の弧を
描くように形状制御すると、両エッジ部に縁波が発生す
るのを防止できること。
【0020】(2)この場合、スクイズロールのパスラ
イン高さを基準パスライン高さである最終フィンパスロ
ールのパスライン高さよりも上方に設定するとだめで、
スクイズロールの下流側にそのパスライン高さを前記最
終フィンパスロールのパスライン高さよりも低く設定し
た管拘束手段を所定の位置に配設する一方、スクイズロ
ールのパスライン高さと傾き角度を調整する必要がある
こと。
【0021】(3)スクイズロールによる衝合溶接前の
オープンパイプ状に成形された金属帯では、両エッジ部
がロールなどによって何らの変形拘束もされておらず、
比較的自由に変形できるために両エッジ部に圧縮力が作
用すると小さな力で変形し、極めて容易に縁波が発生す
る。しかし、衝合溶接後の金属帯は、その両エッジ部端
面相互が溶接接合されて円周方向に形状拘束されるの
で、両エッジ部が変形し難くなっており、衝合溶接前の
金属帯で縁波が発生するレベルと同等の力を受けても縁
波が発生することがなく、スクイズロールの下流側に上
記管拘束手段を設けることによって衝合溶接後の金属帯
の両エッジ部に圧縮力が作用するようになっても何らの
問題もないこと。
【0022】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
ので、その要旨は次の溶接管の製造方法にある。
【0023】金属帯をロール成形機に通してオープンパ
イプ状に成形し、相対向する両エッジ部を、高周波加熱
手段で溶融加熱した後スクイズロールによって衝合溶接
するか、または高周波加熱手段で予熱し、次いで溶融溶
接手段を用いて溶融加熱した後スクイズロールによって
衝合溶接する溶接管の溶接方法において、前記スクイズ
ロールよりも下流側に衝合溶接後の溶接管を拘束する管
拘束手段を少なくとも2つ設け、これら管拘束手段のう
ちの上流側の管拘束手段のパスライン高さを前記ロール
成形機の最終フィンパスロールのパスライン高さよりも
下方に設定する一方、前記スクイズロールを下式を満た
す位置に配置するとともに、そのパスライン高さと傾き
角度を前記2つの管拘束手段と最終フィンパスロールと
によって定まる金属帯の姿勢に沿うように調整設定する
ことを特徴とする溶接管の製造方法。
【0024】L(G+L)/(G+3L)≧J ただし、 J:最終フィンパスロールとスクイズロールとの離間距
離(mm) L:最終フィンパスロールと上流側管拘束手段との離間
距離(mm) G:上流側管拘束手段と下流側管拘束手段との離間距離
(mm)
【0025】
【作用】前述した高周波加熱手段を用いて両エッジ部を
加熱した場合に生じる熱歪み量に起因して発生するエッ
ジ座屈、すなわち縁波は、図1に示すように、スクイズ
ロール6の入側においてオープンパイプ状に成形された
金属帯Hの姿勢を、上向き凸状の弧を描くように姿勢制
御することにより防止することができる。
【0026】その基本原理を説明すると、次のとおりで
ある。
【0027】図1に示すように、スクイズロール6の入
側において、金属帯Hの側面視姿勢が上向き凸状の弧を
描く形状になった場合には、スクイズロール6と図示し
ない最終フィンパスロールとの領域間で両エッジ部7、
7がボトム部9よりも伸ばされた形状になるため、両エ
ッジ部7、7には図中に実線矢印で示す方向の引張応力
が作用する。この結果、高周波加熱手段10での両エッ
ジ部7、7の局部加熱による熱歪みによって両エッジ部
7、7に作用する図中に点線矢印で示す方向の圧縮応力
が上記引張応力によって打ち消され、両エッジ部7、7
に圧縮応力が作用しなくなるために縁波が発生しなくな
るのである。
【0028】ここで、スクイズロール6の入側における
金属帯Hの姿勢を上向き凸状の弧を描くように姿勢制御
するのに最も簡便かつ簡単な方法は、上記ロール成形機
1の最終フィンパスロール5Bのパスライン高さを基準
パスライン高さよりも高く設定するか、もしくはスクイ
ズロール6のパスライン高さを基準パスライン高さより
も低くまたは高く設定する方法である。しかし、前者の
方法は、最終フィンパスロール5Bの直前段のフィンパ
スロール5の出側において両エッジ部7、7に圧縮応力
が作用する変形を伴うため、この部分で縁波が発生して
しまうので採用することができない。また、後者の方法
は、次に述べる理由によって採用できない。
【0029】この種の製管ミルでは、通常、図2に示す
ように、複数の支持コロ13’と切削工具14とを対向
配置して構成された外面ビードを除去するビード切削装
置がスクイズロール6の下流側に設けられている。この
ビード切削装置は、複数の支持コロ13’と切削工具1
4を対向配置して構成されており、金属帯Hの長手方向
の回転を拘束する機能を有するので、固定支持点として
扱うことができる。
【0030】また、最終フィンパスロール5Bは、この
部分における金属帯Hの横断面形状が、通常、目的とす
る最終管形状に成形されていてそのほぼ全周を最終フィ
ンパスロール5Bの孔型によって拘束しており、金属帯
Hの長手方向の回転を拘束する機能を有するので、これ
も固定支持点とみなすことができる。
【0031】従って、スクイズロール6前後の金属帯H
は、その一方端が最終フィンパスロール5Bで固定さ
れ、他方端がビード切削装置からなる第1の管拘束手段
13で固定または単純支持された水平な弾性梁とみなす
ことができ、この場合、その荷重Wの付与点がスクイズ
ロール6位置であるときの各支持点および荷重点と金属
帯に生じる曲げモーメントとの関係は次のようになる。
【0032】図5は、スクイズロール6前後の金属帯H
を水平な弾性梁とみなした場合における各支持点および
荷重点と発生曲げモーメントMとの関係を示す図であ
り、同図(a)は金属帯Hの各支持点と荷重Wの付与点
の位置関係を、同図(b)は荷重Wの付与点をスクイズ
ロール6位置とし、そのパスライン高さを基準パスライ
ン高さよりも上方に設定した時の発生曲げモーメント図
を、同図(c)は荷重Wの付与点をスクイズロール6位
置とし、そのパスライン高さを基準パスライン高さより
も下方に設定した時の発生曲げモーメント図を、同図
(d)は金属帯の曲げ変形方向と発生曲げモーメントの
正負との関係を、それぞれ示している。
【0033】なお、上記第1の管拘束手段13は、図5
(a)に示すように、ビード切削手段に代えて上下一対
の孔型ロールを有するものを設けることにしてもよい。
【0034】図5(b)からわかるように、スクイズロ
ール6のパスライン高さを基準パスライン高さよりも上
方に設定した場合、スクイズロール6の入側近傍では発
生曲げモーメントMが正値になり、金属帯Hが上向き凸
状の弧を描いた形状になる。
【0035】しかし、最終フィンパスロール5Bの出側
近傍では発生曲げモーメントMが負値になり、金属帯H
が下向き凸状の弧を描いた形状になり、この部分の両エ
ッジ部に圧縮応力が作用し、縁波が発生することにな
る。
【0036】また、図5(c)からわかるように、スク
イズロール6のパスライン高さを基準パスライン高さよ
りも下方に設定した場合には、上記とは逆に、最終フィ
ンパスロール5Bの出側近傍の発生曲げモーメントMは
正値になるものの、スクイズロール6の入側近傍の発生
曲げモーメントMが負値になってこの部分の金属帯Hが
下向き凸状の弧を描いた形状になり、この部分の両エッ
ジ部に圧縮応力が作用し、縁波が発生することになる。
【0037】以上のことから、スクイズロール6のパス
ライン高さを調整しても、縁波が発生するのを防止でき
ないことがわかる。
【0038】ところが、図3に示すように、上記第1の
管拘束手段13とスクイズロール6との間の最終フィン
パスロール5B中心からの離間距離がLであり、かつ第
1の管拘束手段13の中心からの離間距離がGである位
置に第2の管拘束手段11を配設し、最終フィンパスロ
ール5Bのパスライン高さHfと第1の管拘束手段13
のパスライン高さHgを同一に設定するともに、スクイ
ズロール6が荷重付与点および固定支点にならないよう
にして、上記第2の管拘束手段11のパスライン高さH
gを基準パスライン高さである最終フィンパスロール5
Bのパスライン高さHfよりも下方に設定して荷重Wを
付与した場合、各支持点および荷重Wの付与点と発生曲
げモーメントMとの関係は、図6に示すようになる。
【0039】図6(b)に示すように、両端固定の曲が
り梁の公式(例えば、(株)三省堂昭和49年2月1日
発行の機械工学必携五訂新版、第176頁の番号10参
照)から求められるように、最終フィンパスロール5B
から最終フィンパスロール5Bからの離間距離が「L
(G+L)/(G+3L)」の位置までの間の発生曲げ
モーメントMは正値になる。
【0040】このため、この最終フィンパスロール5B
と上記「L(G+L)/(G+3L)」位置までの領域
間の金属帯Hは上向き凸状の弧を描いた形状になって両
エッジ部7、7が伸ばされた形状になるため、両エッジ
部7、7には圧縮応力が作用しなくなる。一方、上記
「L(G+L)/(G+3L)」の位置から第2の管拘
束手段11までの間の領域では、発生曲げモーメントM
が負値になって金属帯Hが下向き凸状の弧を描いた形状
になり、両エッジ部7、7に圧縮応力が作用するように
なる。
【0041】これに対し、上記第2の管拘束手段11の
パスライン高さHgを基準パスライン高さである最終フ
ィンパスロール5Bのパスライン高さHfよりも上方に
設定して荷重Wを付与した場合には、図6(c)に示す
ように、最終フィンパスロール5B出側での発生曲げモ
ーメントMが負値になり、金属帯Hが下向き凸状の弧を
描く形状になって両エッジ部7、7に圧縮応力が作用す
るようになる。
【0042】従って、最終フィンパスロール5B出側で
の発生曲げモーメントMが正値になり、金属帯Hが上向
き凸状の弧を描く形状になって両エッジ部7、7に圧縮
応力が作用しないようにするには、第2の管拘束手段1
1のパスライン高さHgを基準パスライン高さHfより
も下方に設定する必要のあることがわかる。
【0043】また、前述したように、衝合溶接前の金属
帯Hのエッジ部7は何ら拘束されていないために比較的
自由に変形し、小さな圧縮応力が作用しても容易に変形
して縁波が発生するが、衝合溶接後の両エッジ部7、7
は溶接接合されて管円周方向に形状拘束されていて変形
し難く、衝合溶接前の金属帯Hで縁波が発生するレベル
と同等の圧縮応力を受けても縁波が発生し難い。
【0044】このことから、上記第2の管拘束手段11
のパスライン高さHgを基準パスラインHfよりも下方
に設定するとともに、最終フィンパスロール5Bからの
離間距離J(図4参照)が、上記「L(G+L)/(G
+3L)」=Qとした時、Q≧Jを満たす位置にスクイ
ズロール6を弾性梁の荷重付与点および固定支点になら
ないように配置した場合には、スクイズロール6の入側
で衝合溶接前の両エッジ部7、7に圧縮応力が作用して
縁波が発生することがないので、正常な溶接がおこなわ
れるようになる。また、スクイズロール6よりも下流側
でエッジ部7に圧縮応力が作用しても、衝合溶接されて
変形し難くなっているので、溶接部に縁波が生じること
がなくなり、仮に生じても極めて軽微なものとなる。
【0045】上記において、スクイズロール6が弾性梁
の荷重付与点および固定支点にならないように配置する
のは、次の理由による。すなわち、第2の管拘束手段1
1のパスライン高さHgを基準パスライン高さHfより
も下方に設定することで上向き凸状の弧を描く形状に金
属帯Hの姿勢を制御した場合、スクイズロール6のパス
ライン高さHsと傾き角度θ(後述する図4参照)を調
整しないと、スクイズロール6が金属帯Hの円周方向ほ
ぼ全周を拘束しているので、当然に弾性梁の支点(荷重
付与支点または/および固定支点)となり、この部分で
曲げモーメントが発生し、最終フィンパスロール5Bと
スクイズロール6との間の金属帯Hの両エッジ部7、7
の一部に圧縮応力が作用するようになる。
【0046】図7は、最終フィンパスロール5Bからの
離間距離Jが「L/4」の位置にスクイズロール6を配
置した場合おいて、そのパスライン高さHsを変化させ
て弾性梁の荷重付与支点として作用させた場合の各支持
点および荷重点と発生曲げモーメントとの関係を示す図
である。
【0047】図7(b)に示すように、スクイズロール
6のパスラン高さHsを、スクイズロール6位置におけ
る上向き凸状の形状に姿勢制御された金属体Hのオープ
ンパイプ軸心PC(後述する図4参照)よりも上方に設
定して上向きの荷重Wの付与点として作用させると、図
中に一点鎖線で示す曲げモーメントM’(スクイズロー
ル6よりも上流側のみ示す)が発生し、第2の管拘束手
段11を下方に設定した時に発生する図中に実線で示す
曲げモーメントMは、図中に点線で示す曲げモーメント
M”となり、最終フィンパスロール5Bの出側の曲げモ
ーメントM”が負値になる。
【0048】また、図7(c)に示すように、スクイズ
ロール6のパスラン高さHsを、スクイズロール6位置
における上向き凸状の形状に姿勢制御された金属体Hの
オープンパイプ軸心PCよりも下方に設定して下向きの
荷重Wの付与点として作用させると、図中に一点鎖線で
示す曲げモーメントM’(スクイズロール6よりも上流
側のみ示す)が発生し、第2の管拘束手段11を下方に
設定した時に発生する図中に実線で示す曲げモーメント
Mは、図中に点線で示す曲げモーメントM”となり、ス
クイズロール6の入側の曲げモーメントM”が負値とな
る。
【0049】この結果、スクイズロール6の入側の金属
帯Hが下向き凸状の弧を描き、衝合溶接前のエッジ部7
に圧縮応力が作用して縁波が発生し、正常な溶接ができ
なくなる。
【0050】またさらに、上記したようにスクイズロー
ル6は金属対Hの円周方向のほぼ全周を拘束しているた
め、曲がり梁の固定端支点となる。このため、その傾き
角度θ(後述する図4参照)が第2の管拘束手段11と
最終フィンパスロール5Bとによって決定される金属帯
Hの上向き凸状の形状に沿う傾き角度と異なると、これ
を固定支点とする新たな曲げモーメントが生じる。
【0051】図8は、図7の場合と同様に、離間距離J
が「L/4」の位置にスクイズロール6を配置するとと
もに、そのパスライン高さHsを上向き凸状の形状の金
属体Hのオープンパイプ軸心PCに一致させた場合おい
て、スクイズロール6の傾き角度θを変化させて弾性梁
の固定支点として作用させた場合の各支持点および荷重
点と発生曲げモーメントとの関係を示す図である。
【0052】図8(b)に示すように、第2の管拘束手
段11のパスライン高さHgを基準パスライン高さHf
の下方に設定することで上向き凸状の形状に姿勢制御さ
れた金属体Hの傾き角度よりもスクイズロール6の傾き
角度θを小さく設定すると、負の曲げモーメントがスク
イズロール6で生じるため、第2の管拘束手段11を下
方に設定した時に発生する図中に実線で示す曲げモーメ
ントMは、図中に点線で示す曲げモーメントM’(スク
イズロール6よりも上流側のみ示す)となり、スクイズ
ロール6の入側の曲げモーメントM’が負値になる。
【0053】また、図8(c)に示すように、上記と同
様にして上向き凸状の形状に姿勢制御された金属体Hの
傾き角度よりもスクイズロール6の傾き角度θを大きく
設定すると、スクイズロール6で正の曲げモーメントが
生じるため、第2の管拘束手段11を下方に設定した時
に発生する図中に実線で示す曲げモーメントMは、図中
に点線で示す曲げモーメントM’(スクイズロール6よ
りも上流側のみ示す)となり、縁波発生防止の観点から
は好ましくなる。しかし、この場合はスクイズロール6
の入側近傍で金属体Hに急激な変形を与えることにな
り、スクイズロール6の下側フランジ6a(後述する図
4参照)で金属体Hがこすられてロール疵が発生するよ
うになる。
【0054】この結果、図7および図8に示すいずれの
場合も、スクイズロール6の入側の金属帯Hが下向き凸
状の弧を描き、衝合溶接前のエッジ部7に圧縮応力が作
用し、縁波が発生して正常な溶接ができなくなるか、も
しくはロール疵が発生する。
【0055】従って、スクイズロール6は、第2の管拘
束手段11と最終フィンパスロール5Bとによって決定
される金属帯Hの上向き凸状の形状に沿うように、その
パスライン高さHsと傾き角度θを調整して弾性梁、す
なわち金属体Hの荷重付与支点および固定支点にならな
いようにする必要があるのである。
【0056】図4は、スクイズロール6が弾性梁の荷重
付与点および固定支点のいずれにもならないようにする
ための調整態様を示す模式図であり、上向き凸状の弧を
描く金属帯Hの形状に応じて、スクイズロール6のパス
ライン高さHsを、基準パスラインHfとは異なる高
さ、換言すればスクイズロール6の位置におけるオープ
ンパイプ状に成形された金属帯Hのオープンパイプ軸心
PCに一致させるとともに、傾き角度θを金属帯Hの傾
きに一致するように設定する。これにより、スクイズロ
ール6が、弾性梁の荷重付与点および固定支点のいずれ
にもならないようにすることができる。
【0057】なお、最終フィンパスロール5Bの出側と
スクイズロール6の入側との間における縁波が発生し易
い位置は、両エッジ部の予熱温度、溶接条件(溶接速
度、アプセット量など)によって若干変化することがあ
るが、この場合はスクイズロール6のミルライン方向へ
の位置を微調整するとともに、そのパスライン高さHs
と傾き角度θとを同時に微調整するのがよい。
【0058】また、スクイズロール6のミルライン方向
への設定位置は、最終フィンパスロール5Bまたは/お
よび第1の管拘束手段13(ビード切削装置でも可)を
基準に第2の管拘束手段11を適宜位置に設置した後、
実験または曲がり梁計算のいずれの方法によって決定し
ても何等の支障はない。また、既存の製管ミルに適用す
る場合は、最終フィンパスロール5B、スクイズロール
6および第1の管拘束手段13(ビード切削装置でも
可)相互の離間距離を基準にして第2の管拘束手段11
の配置位置を上記同様の方法によって決定してもよい。
ただし、実験による位置決定には多大の時間を要するの
で、曲がり梁計算によって決定し、その後実験調整して
最終的な配置位置を決定するのが好ましい。
【0059】またさらに、上記単純支持点を構成する第
2の管拘束手段11は、単に上方から金属帯Hを押さえ
つけるだけでその目的を達成することができるので、孔
型を形成した上ロールのみを有するものとしてもよい。
また、その孔型は、種々の管外径に共用するべく、共用
対象の最大外径の管外径と同一もしくは若干大きい曲率
の孔型に形成してもよい。さらに、上記上ロールに代え
て、上向き凸状に弧を描くように姿勢制御された金属帯
Hの曲率R(図1参照)に沿うように、その下面長手方
向に曲率Rの凹面を形成した適宜な形状のブロック体と
してもよい。
【0060】
【実施例】以下、本発明の方法をその実施例に基づいて
詳細に説明する。
【0061】図9は、本発明を実施するための全体装置
構成を示す模式図である。図において、1はロール成形
機、6はスクイズロール、11は第2の管拘束手段、1
3は第1の管拘束手段、12は誘導加熱コイル10を備
える誘導方式の高周波加熱手段、Hは金属体である。
【0062】ロール成形機1は、従来装置と同様で、ガ
イドロール2と、複数のブレークダウンロール3、3、
…と、サイドクラスタロール4、4、…と、フィンパス
ロール5、5と最終フィンパスロール5Bとからなって
おり、そのパスライン高さを最終フィンパスロール5B
のパスライン高さHf(図3参照)に一致させて配設さ
れている。
【0063】上記ロール成形機1を構成する最終フィン
パスロール5Bの下流側には、前述した図3に示すよう
に、離間距離Lを隔てて第2の管拘束手段が設けられ、
さらにこの第2の管拘束手段13の下流側には離間距離
Gを隔てて第1の管拘束手段が設けられている。また、
最終フィンパスロール5Bと第2の管拘束手段13との
間には、最終フィンパスロール5Bからの離間距離Jが
「L(G+L)/(G+3L)」以下となる位置にスク
イズロール6設けられている。
【0064】そして、第1の管拘束手段11のパスライ
ン高さHkを基準パスライン高さである最終フィンパス
ロール5Bのパスライン高さHfに一致させる一方、第
2の管拘束手段11のパスライン高さHgを基準パスラ
イン高さHfよりも低くして設定されている。
【0065】また、スクイズロール6は、前述した図4
に示すように、第2の管拘束手段11のパスライン高さ
Hgを低く設定することによって定まる上向き凸状の弧
を描く形状に姿勢制御されるオープンパイプ状に成形さ
れた金属体Hに沿うように、そのパスライン高さHsを
姿勢制御された金属体Hのオープンパイプ軸心PCに一
致させるとともに、その傾き角度θが設定されている。
【0066】このように設定されたロール成形機1、ス
クイズロール6、第2の管拘束手段13および第1の管
拘束手段11よって、金属体Hを連続的にオープンパイ
プ状に成形し、その両エッジ部7、7を高周波加熱手段
12を用いて溶融温度に加熱して後衝合溶接するか、も
しくは所定の温度に予熱して後、図示しないTIG、M
IGあるいはレーザなどからなる溶融溶接手段により溶
融衝合溶接する場合には、最終フィンパスロール5Bと
スクイズロール6との間において、金属体Hが上向き凸
状の弧を描く形状に姿勢制御される。
【0067】この結果、その両エッジ部7、7に圧縮応
力が作用することがなくなって衝合溶接前に縁波が発生
しなくなり、何らの問題もなく衝合溶接を継続実施する
ことができる。また、スクイズロール6の出側において
衝合溶接後の両エッジ部7、7に圧縮応力が作用して
も、衝合溶接によって変形に対する剛性が増しているの
で、縁波が生じることがない。また、仮に縁波が発生し
ても極めて軽微なものとなる。
【0068】《実験例1》フェライト系ステンレス鋼
(JIS−SUS420相当)製の外径50.8mm
で、肉厚の種々異なる(0.5〜1.6mm)薄肉管を
対象に、誘導方式の高周波加熱手段を構成する誘導加熱
コイルをスクイズロール中心から上流側へ120mmの
位置にそのコイル幅中心が位置するように配置し、スク
イズロール中心位置における両エッジ部温度が1400
℃になるように加熱し、スクイズロールで0.4mmの
アップセット量を付与しつつ製管速度40m/minで
衝合溶接する電縫溶接法によって電縫溶接管を製造する
に際し、本発明の方法と従来の方法を用いた場合の製造
可否を調査した。
【0069】なお、スクイズロールは最終フィンパスロ
ールからの離間距離Jが500mmの位置に、第2の管
拘束手段(上ロールのみのもの)は最終フィンパスロー
ルからの離間距離Lが1000mmの位置に、第1の管
拘束手段(上下ロールを有するもの)は第2の管拘束手
段からの離間距離Gが200mmの位置に、それぞれ配
置した。また、従来の方法にあっては、上記各ロールお
よび各管拘束手段のパスライン高さを全て一致(Hf=
Hs=Hg=Hk)させ、本発明の方法にあっては、最
終フィンパスロールと第1の管拘束手段のパスライン高
さを一致(Hf=Hk)させ、第2の管拘束手段のパス
ライン高さHgを「Hg=Hf−20mm」に、スクイ
ズロールのパスライン高さHsを「Hs=Hf−18m
m」の適正値に設定するとともに、スクイズロールの傾
き角度θを3°の適正値に設定した。その実験結果を、
表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】表1から明らかなように、本発明の方法に
よった場合には、いずれの肉厚も衝合溶接前において両
エッジ部に縁波は発生せず、なんらの問題もなく衝合溶
接することができた。
【0072】これに対し、従来の方法では、肉厚が0.
8mm(t/D=1.57%)以上では、材料自体に剛
性があるために衝合溶接前の両エッジ部に縁波が発生せ
ず、なんらの問題もなく衝合溶接することが可能であっ
た。また、肉厚が0.6mm(t/D=1.18%)で
は、衝合溶接前の両エッジ部に微小な縁波が発生して衝
合溶接が不安定になったが、ビード切削除去することで
一応の製造が可能であった。しかし、肉厚が0.6mm
(t/D=0.98%)では、両エッジ部に縁波が多発
し、衝合溶接することが全くできなかった。なお、高周
波加熱手段によって両エッジ部を加熱しなかった場合
は、従来の方法および本発明の方法とも、いずれの肉厚
においても縁波は全く発生しなかった。
【0073】《実験例2》フェライト系ステンレス鋼
(JIS−SUS420相当)製の外径50.8mm、
肉厚0.5mmの薄肉管(t/D=0.98%)を対象
に、誘導方式の高周波加熱手段を構成する誘導加熱コイ
ルをスクイズロール中心から上流側へ120mmの位置
にそのコイル幅中心が位置するように配置し、スクイズ
ロール中心位置における両エッジ部温度が1400℃に
なるように加熱し、スクイズロールで0.4mmのアッ
プセット量を付与しつつ製管速度40m/minで衝合
溶接する電縫溶接法によって電縫溶接管を製造するに際
し、最終フィンパスロールからの離間距離Jが500m
mの位置にスクイズロールを、最終フィンパスロールか
らの離間距離「L+G」が1900mmの位置に第1の
管拘束手段をそれぞれ固定配置する一方、そのパスライ
ン高さHgを適正な「Hg=Hf−20mm」にした第
2の管拘束手段の最終フィンパスロールからの離間距離
Lを種々変化、換言すれば最終フィンパスロールと第2
の管拘束手段との離間距離Lと、管拘束手段相互の離間
距離Gとを種々変化させるとともに、スクイズロールの
パスライン高さHsと傾き角度θを種々変化させ、各条
件における製造可否を調査した。その実験結果を、表2
に各設定条件と併せて示した。
【0074】なお、実験は、装置の都合上、第2の管拘
束手段のミルライン方向への位置を変化させたが、これ
を固定配置し、スクイズロールの配置位置などを変化さ
せてもよいことは前述したとおりである。
【0075】
【表2】
【0076】表2に明らかなように、第2の管拘束手段
に対するスクイズロールの配置位置、第2の管拘束手段
のパスライン高さHgおよびスクイズロールのパスライ
ン高さHsと傾き角度θを適正値に設定した本発明例
(No. 1〜3)では、衝合溶接前の両エッジ部に縁波の
発生は認められなかった。
【0077】これに対し、スクイズロールのパスライン
高さHsと傾き角度θは適正値であるが、その設置位置
が「J>Q=L(G+L)/(G+3L)」で不適切な
比較例(No. 4)では、スクイズロールの入側近傍から
下流側にかけて両エッジ部に縁波が発生した。また、ス
クイズロールの設置位置と傾き角度θは適正であるがそ
のパスライン高さHsが高すぎて不適切な比較例(No.
5)では、最終フィンパスロールの出側近傍において両
エッジ部に縁波が発生した。さらに、スクイズロールの
設置位置と傾き角度θは適正であるがそのパスライン高
さHsが低く過ぎて不適切な比較例(No. 6)と、スク
イズロールの設置位置とパスライン高さHsは適正であ
るが、その傾き角度θが小さ過ぎて不適切な比較例(N
o. 7)とでは、スクイズロールの入側近傍において両
エッジ部に縁波が発生した。また、スクイズロールの設
置位置とパスライン高さHsは適正であるが、その傾き
角度θが大きくて不適切な比較例(No. 8)では、ロー
ル疵が発生した。
【0078】なお、上記の各実験は、いずれも電縫溶接
法によった場合であり、データの表示は省略するが、高
周波加熱手段によって金属体の両エッジ部を所定の温度
に予熱し、その後TIG、MIG、レーザなどの溶融溶
接手段により予熱された両エッジ部を溶融温度に昇温加
熱して衝合溶接する、所謂高周波予熱併用溶融溶接法に
適用した場合にも同様の結果が得られたことはいうまで
もない。
【0079】
【発明の効果】本発明の方法によれば、既存の電縫溶接
管の製造装置が外面ビード切削装置を備えるものである
場合には第2の管拘束手段のみを、外面ビード切削装置
を備えない場合には第1と第2の管拘束手段をスクイズ
ロールと関連付けて適正な位置に配設する一方、スクイ
ズロールを上下位置と傾き角度が調整可能に改造するの
みで、従来の電縫溶接法では製造できなかったt/Dが
1%以下の極薄肉の電縫溶接管を製造することが可能に
なる。また、溶融溶接手段を付設する場合には、従来の
高周波予熱併用溶接法では製造できなかった薄肉の溶接
管を製造することが可能になり、その産業上に寄与する
ところ極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における縁波発生防止原理を説明する模
式図である。
【図2】本発明における第1の管拘束手段の一例を示す
模式図である。
【図3】本発明における各ロールおよび管拘束手段の位
置関係とパスライン高さの関係を説明する図である。
【図4】本発明におけるスクイズロールの姿勢制御態様
を説明する図である。
【図5】スクイズロールの前後で両端固定水平支持され
た金属帯にスクイズロールを上下させて荷重を付与した
場合に発生する曲げモーメントを説明する図で、同図
(a)は各支点の位置関係を、同図(b)は上向き荷重
付与時の発生曲げモーメントを、同図(c)は下向き荷
重付与時の発生曲げモーメントを、同図(d)は金属帯
の曲げ変形方向と発生曲げモーメントの正負との関係
を、示す図である。
【図6】本発明の方法によって金属帯に荷重を付与した
場合に発生する曲げモーメントを説明する図で、同図
(a)は各支点の位置関係を、同図(b)は上向き荷重
付与時の発生曲げモーメントを、同図(c)は下向き荷
重付与時の発生曲げモーメントを、同図(d)は金属帯
の曲げ変形方向と発生曲げモーメントの正負との関係
を、示す図である。
【図7】本発明の方法によって金属帯に荷重を付与する
際、スクイズロールで荷重を付与した場合に発生する曲
げモーメントを説明する図で、同図(a)は各支点の位
置関係を、同図(b)は上向き荷重付与時の発生曲げモ
ーメントを、同図(c)は下向き荷重付与時の発生曲げ
モーメントを、同図(d)は金属帯の曲げ変形方向と発
生曲げモーメントの正負との関係を、示す図である。
【図8】本発明の方法によって金属帯に荷重を付与する
際、スクイズロールを固定支点とした場合に発生する曲
げモーメントを説明する図で、同図(a)は各支点の位
置関係を、同図(b)はスクイズロールの傾き角度θが
小さい時の発生曲げモーメントを、同図(c)はスクイ
ズロールの傾き角度θが大きい時の発生曲げモーメント
を、同図(d)は金属帯の曲げ変形方向と発生曲げモー
メントの正負との関係を、示す図である。
【図9】本発明の方法を実施する装置の全体構成を示す
模式図である。
【図10】従来の溶接管製造装置の全体構成を示す模式
図である。
【図11】高周波加熱手段を用いる溶接管製造方法にお
ける要部を示す模式図である。
【図12】高周波加熱手段による金属帯加熱時の高周波
電流経路を説明する図である。
【図13】高周波加熱手段による金属帯加熱時に発生す
る応力の作用方向を説明する図である。
【図14】高周波加熱手段による金属帯加熱時に発生す
る金属帯の変形態様を示す模式図で、同図(a)は口開
き変形を、同図(b)は反り変形を、示す図である。
【符号の説明】
1:ロール成形機、 2:ガイ
ドロール、3:ブレークダウンロール、
4:サイドクラスタロール、5:フィンパスロール、
5B:最終フィンパスロール、6:
スクイズロール、 7:エッジ
部、8:エッジ部以外の部分、 9:
ボトム部、10:高周波加熱コイル、
11:第2の管拘束手段、12:高周波加熱手段、
13:第1の管拘束手段、14:切
削工具、 13’:支持コ
ロ、H:金属帯。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−39444(JP,A) 特開 平2−251314(JP,A) 特開 昭61−165225(JP,A) 特開 平8−174249(JP,A) 特開 平7−299516(JP,A) 特開 平4−167918(JP,A) 特開 平6−277752(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21C 37/00 - 43/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属帯をロール成形機に通してオープンパ
    イプ状に成形し、相対向する両エッジ部を、高周波加熱
    手段で溶融加熱した後スクイズロールによって衝合溶接
    するか、または高周波加熱手段で予熱し、次いで溶融溶
    接手段を用いて溶融加熱した後スクイズロールによって
    衝合溶接する溶接管の溶接方法において、前記スクイズ
    ロールよりも下流側に衝合溶接後の溶接管を拘束する管
    拘束手段を少なくとも2つ設け、これら管拘束手段のう
    ちの上流側の管拘束手段のパスライン高さを前記ロール
    成形機の最終フィンパスロールのパスライン高さよりも
    下方に設定する一方、前記スクイズロールを下式を満た
    す位置に配置するとともに、そのパスライン高さと傾き
    角度を前記2つの管拘束手段と最終フィンパスロールと
    によって定まる金属帯の姿勢に沿うように調整設定する
    ことを特徴とする溶接管の製造方法。 L(G+L)/(G+3L)≧J ただし、 J:最終フィンパスロールとスクイズロールとの離間距
    離(mm) L:最終フィンパスロールと上流側管拘束手段との離間
    距離(mm) G:上流側管拘束手段と下流側管拘束手段との離間距離
    (mm)
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KR102476596B1 (ko) * 2021-12-07 2022-12-13 (주)제이아이테크 데크플레이트 제조 시스템 및 이에 의해 제조되는 데크플레이트

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