JP6658385B2 - 鋼管の製造方法 - Google Patents

鋼管の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6658385B2
JP6658385B2 JP2016149415A JP2016149415A JP6658385B2 JP 6658385 B2 JP6658385 B2 JP 6658385B2 JP 2016149415 A JP2016149415 A JP 2016149415A JP 2016149415 A JP2016149415 A JP 2016149415A JP 6658385 B2 JP6658385 B2 JP 6658385B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pipe
roll
open pipe
curvature
open
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016149415A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018015799A (ja
Inventor
勝 福村
勝 福村
周一 佐藤
周一 佐藤
岡部 能知
能知 岡部
井口 貴朗
貴朗 井口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2016149415A priority Critical patent/JP6658385B2/ja
Publication of JP2018015799A publication Critical patent/JP2018015799A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6658385B2 publication Critical patent/JP6658385B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bending Of Plates, Rods, And Pipes (AREA)

Description

本発明は、鋼管の製造方法及び鋼管に関するものである。
鋼管は、寸法精度が良好で表面肌が美麗であり、かつ生産性が高いという優れた特長を有しており、石油や天然ガスなどのラインパイプ用鋼管や自動車用の鋼管、建築用の鋼管等の幅広い用途に用いられている。近年では、従来に比べて高強度や厚肉の鋼管が求められるようになり、鋼管の素材となる熱延鋼板(鋼帯)でも、従来よりも高強度な鋼板や厚肉の鋼板が開発されつつある。ここで、厚肉とは熱延鋼板の板厚が12〜26mm、高強度とは熱延鋼板の引張強さが460MPa以上である場合をいう。
鋼管は、図1に示すように、鋼板(鋼帯)を連続的に管形状にロール成形した後、鋼板(鋼帯)幅端部を溶接して製造される。鋼管の製造設備は、通常、一つの成形ラインで、成形ロールの位置調整やロール交換を行うことにより、様々な外径や肉厚の鋼管を製造することが可能となっている。一つの成形ラインにおける鋼管の製造可能範囲は、厚肉側ではロールの成形力と駆動力により制約され、薄肉側では一般に縁波と呼ばれる鋼帯幅端部の座屈がロール成形中に発生することにより制限されている。
そこで、一つの成形ラインにおける管の製造可能範囲を拡大するため、様々な技術が開発されてきた。例えば、特許文献1には、粗、中間成形過程における帯状金属材料(半成形品)の内壁面内部から、その周方向における1点以上の位置で回転自在な内面ロールにより帯状金属材料進行方向に垂直な面内における材料の位置を規制することによって成形を行うことでエッジウェーブ(縁波)を防止することが開示されている。
また、特許文献2および3には、鋼管成形ラインのフィンパススタンド群の前に、駆動ボトムロールと、上下方向に位置調整可能に設けられたトップロールと、このトップロールの両側に位置調整可能に設けられたインサイドロールと、コイルエッジ部の近くに作用する上下、左右方向に位置調整可能に設けられたアウトサイドロールを、長手方向に複数段設け、前記駆動ボトムロールと前記トップロールにより十分な駆動力を得、前記インサイドロールと前記アウトサイドロールとの組合せにより薄肉材の腰折れを防止し、また、アウトサイドロールを長手方向に複数段配置することにより、エッジ伸びを防止することができて、薄肉材から厚肉材に亘り、フィンパススタンド前のオープンパイプ形状をフィンパスロールカリバーに近付けることができる鋼管の成形装置が開示されている。
特開昭56−66323号公報 特開平04−178221号公報 特開平04−178222号公報
しかしながら、上記の特許文献1〜3に開示された方法は、薄肉材に発生する縁波の防止には有効であるが、厚肉および/または高強度の鋼管を製造する場合に問題となるロールの成形力や駆動力の不足を解消するには不十分である。
特に、厚肉および/または高強度の熱延鋼板を用いて鋼管を製造しようとする際には、ケージロール群による成形で、管断面全体にわたって一様な歪ないし曲率とすることは困難である。ケージロール群による成形を施す場合、しばしば、鋼管の管底部に相当する熱延鋼板の板幅の中央付近に曲げ歪が集中し、その他の領域では曲率が小さい中間成形形状となることが多い。その結果、最終的には管周方向で加工硬化の度合いが不均一で、降伏応力が管周方向位置で異なり、また肉厚の変動が大きい鋼管製品になるという問題がある。
本発明の目的は、特にその実現が困難な厚肉および/または高強度であっても、造管によって付加される加工歪が小さく、かつ管周方向の分布が一様な鋼管を得ることである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フィンパスロール入り側の半成形品(オープン管)の断面形状とフィンパス成形後の管周方向の加工歪分布の間には相関があり、フィンパス成形後の加工歪量すなわち加工硬化量を低減させ、かつ管周方向の加工歪分布を一様化できる最適なオープン管の断面形状が存在すること、および、フィンパス成形前のケージロールによる成形過程でオープン管の内面側の管底部近傍をロールで押圧する方法により、前記オープン管を最適な断面形状に成形できることを見出した。
さらに、肉厚が厚く高強度材を成形する際には、曲がりづらいことから、平らな板から曲率を有するオープン管を成形していく際に、管周方向に一様な曲率分布を有する円弧に近い形状に成形することが困難となり、結果的に板幅中央付近のみに変形が集中する折れ曲がり状の概略U字を成す縦長のオープン管形状となりやすい。その場合、オープン管形状を第一フィンパス成形スタンドで成形する際に、特に上下方向に押圧する成形荷重が設備の許容荷重を超える程度に増大するといった問題がある。
この問題への対策を検討した結果、オープン管形状を適切な形に近づけることによって、第一フィンパス成形荷重が格段に小さくなり、従来は過大な荷重のため不可能であった高強度厚肉鋼管の加工が可能となった。
一方、第一フィンパス成形荷重を抑制するために、オープン管形状をより円弧に近い形に成形したところ、局所的な減肉が発生し、管周方向の肉厚分布が不均一になるとともに、管周方向の強度差が大きくなる問題が発生することも分かった。
以上の通り、各問題の原因を究明することにより、成形荷重を許容範囲内に抑えつつ、管周方向の肉厚差や強度差を小さくすることを可能とし、本発明を完成した。
具体的には、フィンパスロール入り側の半成形品(オープン管)の断面形状を最適化することで、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の要旨からなる。
[1]鋼帯をケージロール群により中間成形してオープン管とする中間成形工程と、該中間成形工程で得られたオープン管をフィンパスロール群により管状に仕上成形する仕上成形工程と、該仕上成形工程後に管状に仕上成形された前記オープン管の幅端部を溶接して管とする溶接工程と、を有する鋼管の製造方法であって、前記中間成形工程は、前記仕上成形工程で最初の成形を行う、上ロール、下ロールおよびサイドロールで構成される第1フィンパスロールの前記下ロールの中心軸を通り前記オープン管の進行方向と直交する断面に、前記第1フィンパスロールの入側での前記オープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際に、前記オープン管の底部の曲率と前記下ロールのカリバー底の曲率が略一致するように前記オープン管を成形する工程であることを特徴とする鋼管の製造方法。
[2]鋼帯をケージロール群により中間成形してオープン管とする中間成形工程と、該中間成形工程で得られたオープン管をフィンパスロール群により管状に仕上成形する仕上成形工程と、該仕上成形工程後に管状に仕上成形された前記オープン管の幅端部を溶接して管とする溶接工程と、を有する鋼管の製造方法であって、前記中間成形工程は、前記仕上成形工程で最初の成形を行う、上ロール、下ロールおよびサイドロールで構成される第1フィンパスロールの前記下ロールの中心軸を通り前記オープン管の進行方向と直交する断面に、前記第1フィンパスロールの入側での前記オープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際に、前記オープン管の底部の曲率が前記下ロールのカリバー底の曲率より小さくなり、且つ前記サイドロールのカリバー底に対向する前記オープン管の側部の曲率が、前記サイドロールのカリバー底の曲率を上回らないように前記オープン管を成形する工程であることを特徴とする鋼管の製造方法。
[3]管軸方向に延びる溶接部を有する鋼管であって、前記溶接部に対向する管底部の降伏強さと、管周方向に90°の位置での降伏強さとの差(ΔYS)が10MPa以下であることを特徴とする鋼管。
本発明により、管断面形状における曲率の周方向分布の不均一を抑えることで、従来許容荷重を超えるために製造できなかった高強度でかつ厚肉な鋼管製品の成形が可能となり、製造可能範囲の拡大を図ることができる。また、従前より成形可能な鋼管製品の場合も、成形荷重の低減により、設備疲労損傷の危険性が小さくなる効果がある。
鋼管の製造ラインの一例を示す模式図である。 ケージロール群を模式的に示す図である。 第1フィンパスロールの下ロールの断面に、本発明の方法で得たオープン管の断面を、オープン管の底部の外表面と下ロールのカリバー底を一致させて投影したときの一例を示す模式図である。 従来の方法で得られるオープン管の進行方向断面を模式的に示す図である。 第1フィンパスロールの下ロールの断面に、従来の方法で得たオープン管の断面を、オープン管の底部の外表面と下ロールのカリバー底を一致させて投影したときの一例を示す模式図である。 オープン管とサイドロールとの間の隙間を模式的に示す図である。 「略一致する場合」に相当する実施例におけるオープン管の形状を示す図である。 「略一致する場合」に相当する実施例における、管底を0としたときの周方向の位置とYSとの関係を示す図である。 フィンパスロール成形荷重低減効果を示す図である。 「上回らない場合」に相当する実施例におけるオープン管の形状を示す図である。 「上回らない場合」に相当する実施例における、管底を0としたときの周方向の位置とYSとの関係を示す図である。 管底部での降伏応力から90°位置での降伏応力の差を示す図である。 成形負荷低減効果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
<製造設備>
先ず、本願発明の製造方法に用いる製造設備について説明する。図1は、鋼管の製造設備の一例を示す模式図である。図1に示す製造設備においては、白抜き矢印で示す進行方向に鋼帯20が進行し、成形される。
図1に示す製造設備は、進行方向の上流側からアンコイラ1、レベラ2、エッジ成形機3、ケージロール群4、フィンパスロール群5、加熱装置6、スクイズロール7、ビード切削機8、サイザー9を備える。
アンコイラ1は、進行方向の最上流側に配置され、鋼帯20を払い出すためのものである。
レベラ2は、アンコイラ1の下流に配置され、アンコイラ1から払い出された鋼帯20を平坦に矯正するためのものである。
エッジ成形機3は、レベラ2の下流に配置され、レベラ2で平坦に矯正された鋼帯20の両幅端部を成形するためのものである。
ケージロール群4は、エッジ成形機3の下流に配置され、エッジ成形機3で両幅端部が成形された鋼帯20をオープン管に成形するためのものである。
図2には、本発明の製造方法で好ましく使用できるケージロール群4を模式的に示す図である。図2(a)はケージロール群4を上から見たときの模式図であり、図2(b)は図2(a)のAA断面の模式図である。
ケージロール群4は、図2(a)に示す通り、複数のロールから構成され、3つのゾーンに分けられている。図2(a)、(b)に示す通り、最下流ゾーン(#3ゾーン)にインナーロールが備えられている。図2に示すケージロール群においてこのインナーロールは、オープン管の底部から管周方向に90°の範囲で、オープン管の内表面と接触するように設けられている。インナーロールの設置位置は、特に限定されないが、オープン管形状を最終調整する観点から、最下流ゾーンの中央より下流側であることが好ましい。また、インナーロールの数は特に限定されないが、図2に示すように少なくとも1箇所に2個1組のロールを設けることが好ましい。
フィンパスロール群5は、ケージロール群4の下流に配置され、ケージロール群4で成形して得られたオープン管を仕上げ成形するためのものである。
フィンパスロール群5は、複数のロールから構成され、各ロールは上ロール、下ロール、左右にあるサイドロールを有する。
加熱装置6は、フィンパスロール群5の下流に配置され、フィンパスロール群5で仕上げ成形されたオープン管の溶接される予定の端部を加熱するためのものである。また、加熱装置6は電流によって熱を発生させる。
スクイズロール7は、加熱装置6の下流に配置され、加熱装置6で加熱された端部同士を溶接するためのものである。この溶接により鋼管30となる。
ビード切削機8は、スクイズロール7の下流に配置され、スクイズロール7で溶接して得られた鋼管30の溶接ビード部を切削するためのものである。
サイザー9は、ビード切削機8の下流に配置され、ビード切削機8で溶接ビードが除去された鋼管30の外径を調整するためのものである。
<製造方法>
本発明の鋼管の製造方法は、中間成形工程と、仕上成形工程と、溶接工程と、を有する。以下、上記の製造設備を用いる場合を例に、本発明の製造方法を説明する。
中間成形工程とは、鋼帯をケージロール群により中間成形してオープン管とする工程である。図1の製造設備を用いて説明すると、本工程は、エッジ成形機3で両幅端部が成形された鋼帯20をケージロール群4でオープン管とすることに相当する。
中間成形工程は特定の形状のオープン管を成形することに特徴を有し、具体的には、中間成形工程は、後述する仕上成形工程で最初の成形を行う、上ロール、下ロールおよびサイドロールで構成される第1フィンパスロールの下ロールの中心軸を通りオープン管の進行方向と直交する断面に、第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交するオープン管の断面を、オープン管の底部の外表面と下ロールのカリバー底を一致させて投影した際に、オープン管の底部の曲率と下ロールのカリバー底の曲率が略一致するようにオープン管を成形するための工程である。
「第1フィンパスロールの下ロールの中心軸を通りオープン管の進行方向と直交する断面に、第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交するオープン管の断面を、オープン管の底部の外表面と下ロールのカリバー底を一致させて投影」の一例を図3に示す。図3の点Cにおいて、オープン管の底部の外表面と、下ロールのカリバー底とが一致している。なお、図3の上ロール、下ロールおよびサイドロールは、最初の成形を施す第1フィンパスロールを意味する。また、図3の中心軸は下ロールの中心軸を意味する。
「オープン管の底部の曲率と下ロールのカリバー底の曲率が略一致」とは、オープン管の底部の曲率が、下ロールのカリバー底の曲率を100%としたときに100±10%以内にあることを意味する。詳細は後述するが、中間成形工程で、オープン管の形状がこの条件を満たすように成形することが、本発明の効果を得る上で重要である。
「オープン管の底部の曲率と下ロールのカリバー底の曲率が略一致」を満たすオープン管を成形するためには、インナーロールを有するケージロール群とすることが好ましい。例えば、図2に示すような最下流ゾーンに設けられたインナーロールで、オープン管の形状を厳密に調整すれば、目的とするオープン管を得ることができる。
また、本発明の中間成形工程では、「オープン管の底部の曲率と下ロールのカリバー底の曲率が略一致」ではなく、「オープン管の底部の曲率が下ロールのカリバー底の曲率より小さくなり、且つサイドロールのカリバー底に対向するオープン管の側部の曲率が、サイドロールのカリバー底の曲率を上回らない」を満たすオープン管を成形してもよい。そこで、以下、この形態について説明する。なお、本形態は、目的とするオープン管の形状が異なる以外は、上記の「オープン管の底部の曲率と下ロールのカリバー底の曲率が略一致」の形態と同様であるため、重複する部分については説明を省略する。
本形態における中間成形工程では、後述する仕上成形工程で最初の成形を施す、上ロール、下ロールおよびサイドロールで構成される第1フィンパスロールの下ロールの中心軸を通りオープン管の進行方向と直交する断面に、第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交するオープン管の断面を、オープン管の底部の外表面と下ロールのカリバー底を一致させて投影した際に、オープン管の底部の曲率が下ロールのカリバー底の曲率より小さくなり、且つサイドロールのカリバー底に対向するオープン管の側部の曲率が、サイドロールのカリバー底の曲率を上回らないようにオープン管を成形する。
「オープン管の底部の曲率が下ロールのカリバー底の曲率より小さくなり」とは、オープン管の底部の曲率が下ロールのカリバー底の曲率よりも、上記の略一致を超える程度に小さいことを意味する。具体的には、オープン管の底部の曲率が、下ロールのカリバー底の曲率を100%としたときに(100−10)%未満にあることを意味する。
「オープン管の底部の曲率が下ロールのカリバー底の曲率より小さくなり」を満たす形状のオープン管の場合、「オープン管の底部の曲率と下ロールのカリバー底の曲率が略一致」する場合とは異なり、扁平すぎるオープン管が含まれる。扁平すぎるオープン管を排除する目的で、「サイドロールのカリバー底に対向するオープン管の側部の曲率が、サイドロールのカリバー底の曲率を上回らない」を満たすオープン管とする必要がある。具体的には、サイドロールのカリバー底に対向するオープン管の側部の曲率が、サイドロールのカリバー底の曲率以下であることを意味する。
本形態のオープン管の形状は、「オープン管の底部の曲率と下ロールのカリバー底の曲率が略一致」の形態と同様に、インナーロールを有するケージロール群を用いれば、適宜調整することができる。
なお、本発明の中間成形工程では、いずれの形態でも、得られるオープン管が上記の構成を満たすものであればよいため、インナーロールを用いてオープン管を成形する場合に限定されない。インナーロールを用いないケージロール群でも、目的とする形状のオープン管が得られれば、本発明の中間成形工程に当たる。
次いで、仕上成形工程について説明する。仕上成形工程とは、中間成形工程で得られたオープン管をフィンパスロール群により管状に仕上成形する工程である。図1の製造設備を用いて説明すると、本工程は、ケージロール群4での成形により得られたオープン管をフィンパスロール群5で仕上成形することに相当する。
次いで、溶接工程について説明する。溶接工程とは、仕上成形工程後に管状に仕上成形されたオープン管の幅端部を溶接して管とする工程である。図1の製造設備を用いて説明すると、本工程は、フィンパスロール群5で仕上成形されたオープン管の溶接予定の端部を加熱装置6で加熱し、スクイズロール7で溶接することに相当する。なお、図1の製造設備は電縫鋼管を製造する設備であり、溶接は電気抵抗溶接であるが、本発明の製造方法では電気抵抗溶接以外の溶接を用いてもよい。電気抵抗溶接以外の溶接としては、レーザー溶接等がある。
以上の工程を経て、鋼管が製造される。本発明の製造方法で得られる優れた鋼管について以下説明する。
<鋼管>
本発明の鋼管は、管軸方向に延びる溶接部を有し、鋼管の軸方向中央において、溶接部に対向する管底部の降伏強さと、管周方向に90°の位置での降伏強さとの差(ΔYS)が10MPa以下である。上記ΔYSは電縫鋼管の軸方向中央で測定し、規定することが好ましい。
また、本発明の鋼管は、高強度になる点も特徴の一つである。高強度となるのは、高強度の熱延鋼帯を用いてなるためであり、高強度とは熱延鋼板の引張強さが460MPa以上である場合を意味する。
また、本発明の鋼管は、肉厚を厚くできる点も特徴の一つである。具体的には、熱延鋼板の板厚を12〜26mmの厚さにすることができる。また、小径であるほど成形荷重が大きくなる傾向にあり、製造が困難になるが、本発明によれば220〜350mm程度の小径のものも、上記のΔYSを満たすことができる。
本発明の鋼管は、グレードがAPI規格X80級をはじめとする様々な強度レベルの鋼管である。X80級より強度レベルが低い場合はいうまでもなく、また強度レベルが高い鋼管であってもよい。目的とするグレードに合わせて、素材となる鋼帯を適宜選択すれば所望の強度の鋼管となる。API規格X80級の鋼管の場合の成分組成の一例を挙げれば、質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜2.2%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.10%、Nb:0.01〜0.10%、Ti:0.001〜0.05%であり、残部は鉄および不可避的不純物からなるものである。以下、上記の好適成分組成の組成限定理由を簡単に説明する。なお、以下の説明において成分の含有量を表す「%」は「質量%」を意味するものとする。
Cは、鋼の強度を上昇させる作用を有する元素であり、所望の強度レベルを得るために、Cの含有量が0.01%以上であることが必要となる。一方、Cの含有量が0.12%を超えると、炭素当量の増加により溶接性が劣化するなどの悪影響がある。このため、Cの含有量を0.01〜0.12%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.08%である。
Siは、固溶強化、焼入れ性の向上を介して、鋼の強度を向上する作用を有する。このような効果を得るためにはSiを0.01%以上含有することが必要である。一方、Siは、電縫溶接時にSiを含有する酸化物を形成し、溶接部の品質を低下させるとともに、溶接熱影響部の靭性を低下させる。このため、Siはできるだけ低減することが望ましいが、1.0%までは許容できる。このようなことから、Siの含有量を0.01〜1.0%に限定した。好ましくは0.5%以下である。
Mnは、鋼の焼入れ性を向上させる作用を有し、鋼板の強度を向上させる。また、Mnは、MnSを形成しSを固定することにより、Sの粒界偏析を防止してスラブ割れを抑制する。このような効果を得るためには、Mnを0.5%以上含有することが必要となる。一方、Mnの含有量が1.8%を超えると、スラブ鋳造時の凝固偏析を助長し、鋼板にMn濃化部を生じさせ、その結果セパレーションの発生を増加させる。このMn濃化部を消失させるには、1300℃を超える温度にスラブを加熱する必要があり、このような熱処理を工業的規模で実施することは現実的ではない。このため、Mnの含有量を0.5〜2.2%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.9〜1.7%である。
Pは、鋼中に不純物として不可避的に含まれるが、鋼の強度を上昇させる作用を有する。しかし、0.03%を超えて過剰に含有すると溶接性が低下する。このため、Pの含有量を0.03%以下に限定した。なお、好ましくは0.02%以下である。
Sは、Pと同様に鋼中に不純物として不可避的に含まれるが、Sを、0.005%を超えて過剰に含有すると、スラブ割れを生起させるとともに、熱延鋼板においては粗大なMnSを形成し、延性の低下を生じさせる。このため、Sの含有量を0.005%以下に限定した。なお、好ましくは0.004%以下である。
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには、Alを0.005%以上含有することが望ましい。一方、Alの含有量が0.10%を超えると、電縫溶接時の溶接部の清浄性を著しく損なう。このため、Alの含有量を0.005〜0.10%に限定した。なお、好ましくは0.08%以下である。
Nbは、オーステナイト粒の粗大化、再結晶を抑制する作用を有する元素であり、熱間仕上圧延において、オーステナイト未再結晶温度域での圧延を可能にする。また、炭窒化物として微細析出することにより、溶接性を損なうことなく、少ない含有量で熱延鋼板を高強度化する作用を有する。このような効果を得るためには、Nbの含有量が0.01%以上であることを必要とする。一方、Nbの含有量が0.10%を超えると、熱間仕上圧延中の圧延荷重の増大をもたらし、熱間圧延が困難となる場合がある。このため、Nbの含有量を0.01〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.03〜0.09%である。
Tiは、窒化物を形成しNを固定しスラブ割れを防止する作用を有する。また、炭化物として微細析出することにより、鋼板を高強度化させる。このような効果は、Tiの含有量が0.001%以上で顕著となるが、一方でTiの含有量が0.05%を超えると、析出強化により降伏点が著しく上昇する。このため、Tiの含有量を0.001〜0.05%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.005〜0.035%である。
以上が基本的な成分組成であるが、上記成分に加えて、鋼管(鋼帯)の強度を向上させるために、V:0.01〜0.10%、Mo:0.01〜0.50%、Cr:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜0.50%、Ni:0.01〜0.50%の中の1種または2種以上を含んでいてもよい。なお、以下の任意成分について、下限値未満の場合にはこれらの成分と不可避的不純物として含むものとする。
Vは、焼入性を向上させるとともに、炭窒化物を形成して鋼板を高強度化する作用を有する元素である。このような効果はVを0.01%以上含有することで顕著となる。一方、V含有量が0.10%を超えると、溶接性が劣化する。このため、Vの含有量を0.01〜0.10%とすることが好ましい。なお、さらに好ましくは0.03〜0.08%である。
Moは、焼入性を向上させるとともに、炭窒化物を形成して鋼板を高強度化する作用を有する元素である。このような効果はMoを0.01%以上含有することで顕著となる。一方、0.50%を超える多量の含有は、溶接性を低下させる。このため、Moの含有量を0.01〜0.50%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.05〜0.30%である。
Crは、焼入性を向上させ、鋼板の強度を向上する作用を有する元素である。このような効果は、0.01%以上含有することで顕著となる。一方、Cr含有量が1.0%を超えると、電縫溶接時に溶接欠陥を多発させる傾向となる。このため、Crの含有量を0.01〜1.0%に限定することが好ましい。なお、さらに好ましくは0.01〜0.80%である。
Cuは、焼入れ性を向上させるとともに、固溶強化あるいは析出強化により鋼板の強度を向上する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましいが、含有量が0.50%を超えると熱間加工性が低下する。このため、Cuの含有量を0.01〜0.50%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.10〜0.40%である。
Niは、焼入性を向上させ、鋼の強度を向上するとともに、鋼板の靭性をも向上する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましい。一方、0.50%を超えて含有しても、その効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Niの含有量を0.01〜0.50%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.10〜0.45%である。
本発明の鋼管の成分組成は、さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.005%、B:0.001%以下、REM:0.0005〜0.005%の中の1種または2種以上を含有してもよい。
Caは、SをCaSとして固定し、硫化物系介在物を球状化し、介在物の形態を制御する作用を有する元素である。また、介在物の周囲のマトリックスの格子歪を小さくし、水素のトラップ能を低下させる。このような効果を得るためには、Caを0.0005%以上含有させることが望ましいが、0.005%を超えて含有すると、CaOの増加を招き、耐食性、靭性を低下させる。このため、Caを含有する場合には、0.0005〜0.005%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0009〜0.003%である。
Bは、少量の含有で焼入れ性を顕著に向上させ、鋼板強度の増加に寄与する。このような効果は0.0003%以上の含有で顕著となるが、0.001%を超えて含有させても効果が飽和する。このようなことから、Bを含有する場合には0.001%以下に限定することが好ましい。
REMは、展伸した粗大な硫化物を球状の硫化物とする硫化物の形態制御に寄与する元素である。このような効果を得るためには、REMを0.0005%以上含有することが望ましいが、0.005%を超えて多量に含有すると、鋼板の清浄度を低下させる。そのため、REMは0.0005〜0.005%に限定することが好ましい。
<効果>
本発明の効果を説明する前に、従来技術の問題点について説明する。従来の中間成形では、仕上成形直前(第1フィンパスロールの入側)の半成形品(オープン管)の進行方向と直交する該オープン管の断面は、図4に示すような縦長の形状となる。即ち、本願発明のように意図的にオープン管の形状を調整しなければ、仕上成形工程で最初の成形を行う、上ロール、下ロールおよびサイドロールで構成される第1フィンパスロールの下ロールの中心軸を通りオープン管の進行方向と直交する断面に、第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交するオープン管の断面を、オープン管の底部の外表面と下ロールのカリバー底を一致させて投影した際に、オープン管の底部の曲率は、下ロールのカリバー底の曲率よりも大きくなる(図5参照)。ここで「大きくなる」とは上記の略一致の場合を超えて大きくなることを意味する。
従来の中間成形で得られるオープン管の場合(図5に示す場合)、鋼管の管周方向の肉厚が変動する。これは、オープン管の底部の曲率が下ロールのカリバー底の曲率よりも大きくなるため、中間成形時に曲げ戻しが生じ(図5中の白抜き矢印方向)、下ロールと上ロールによる圧下量が大きくなり、オープン管の外表面と下ロールのカリバー面とが一様に接触せず、接触部と非接触部の境界付近に曲げ変形による加工歪が集中して発生するためと考えられる。さらに、オープン管の外表面とロールのカリバー面との局所的な接触は、図6(a)に示すように、オープン管の底部の曲率が下ロールのカリバー底の曲率よりも大きくなる場合、オープン管の外表面とサイドロールのカリバー面との間でも発生する。これが、従来の問題点の一つである(以下、第1の問題点という場合がある)。
また、図5に示すような従来の中間成形で得られるオープン管の場合、ケージロール群で曲げられた方向と逆方向(図5中の白抜き矢印方向)に曲げられ(曲げ戻し)、管底部に局所的な曲げ変形が生じる。一旦局所的な曲げ変形が管底部に生じた後に、上記のインナーロールを用いて形状を矯正しようとしても、オープン管は加工硬化しており、矯正効果が小さく不十分となる。仮に矯正できたとしても、インナーロールと接する部位に局所的な曲げ変形を発生させる結果となる。これが、従来の問題点の一つである(以下、第2の問題点という場合がある。)。
上記の第2の問題点は、高強度であり、肉厚が厚く、小径の鋼管を製造しようとする場合に、より顕著に現れる。肉厚が厚く高強度材を成形する際には、曲がりづらいことから、平らな板から曲率を有するオープン管を成形していく際に、管周方向に一様な曲率分布を有する円弧に近い形状に成形することが困難となり、結果的に板幅中央付近のみに変形が集中する。そのため、概略U字状に折れ曲がった縦長のオープン管形状となりやすい。このような形状のオープン管を第一フィンパス成形スタンドで成形すると、特に上下方向に押圧する成形荷重が設備の許容荷重を超える程度に増大するといった問題がある。
次いで、本発明の具体的な、効果について説明する。先ずは「第1フィンパスロールの下ロールの中心軸を通りオープン管の進行方向と直交する断面に、第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交するオープン管の断面を、オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際に、オープン管の底部の曲率と下ロールのカリバー底の曲率が略一致する」の場合(以下、「略一致する場合」という)の効果について説明する。
第1の問題点については、本発明の方法であれば、オープン管がフィンパスロールで成形される際に、図5に示すような曲げ戻しにならず、オープン管の外表面と下ロールのカリバー面とが下ロールのカリバー底Cを始点として接触部分を拡大していく形態で、上ロールと下ロールによる圧下によって曲げ成形加工される。曲げ戻されること無く、接触部分を拡大していく形態であれば、フィンパス成形後の加工歪量すなわち加工硬化量を低減することができ、加工歪の管周方向の分布が不均一にならず、その結果、鋼管の管周方向の肉厚変動を抑えられる。また、本発明のような「略一致する場合」には、サイドロールで成形される部分も必然的に所定の形状に成形されるため、図6(b)に示す通り、図6(a)のような問題は生じない。
第2の問題点については、オープン管の管底部での局所的な曲げ戻しによる曲げ変形を抑制することが重要となる。そこで、管底部の曲げ変形を緩和する目的で、ケージロール群による圧下を弱め、管底部形状の曲率を小さくし、第1フィンパス下ロールカリバー形状に近づくように(第1フィンパスロールの下ロールの中心軸を通りオープン管の進行方向と直交する断面に、第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交するオープン管の断面を、オープン管の底部の外表面と下ロールのカリバー底を一致させて投影した際に、オープン管の底部の曲率と下ロールのカリバー底の曲率が略一致するように)中間成形を行うと、通常よりも時間を要するものの、造管定常部おいては、従来のように曲げ戻されることが無いため、局所的な曲げの問題が生じず、結果的に、管底部の歪量の低減とともに第1フィンパス成形スタンドの成形荷重の低減をも図ることができる。
特に、高強度、肉厚が厚い、鋼管が小径の場合には、設備の許容荷重により成形できない場合もあったが、本発明によれば、成形荷重を低く抑えられるため、従来よりも高強度であったり、肉厚が厚いものであったり、小径のものであったりしても、成形が可能になる。
また、上記の第2の問題点は、従来の製造方法で得られた鋼管と本発明の製造方法で得られた鋼管との対比から、溶接部に対向する管底部の降伏強さと、管周方向に90°の位置での降伏強さとの差(ΔYS)が大きくなることで生じることが分かった。本発明では、オープン管形状を調整した結果、溶接部に対向する管底部の降伏強さと、管周方向に90°の位置での降伏強さとの差(ΔYS)が10MPa以下となるため、管底部の歪量の低減とともに第1フィンパス成形スタンドの成形荷重の低減をも図ることができる。
また、「第1フィンパスロールの下ロールの中心軸を通りオープン管の進行方向と直交する断面に、第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交するオープン管の断面を、オープン管の底部の外表面と下ロールのカリバー底を一致させて投影した際に、オープン管の底部の曲率が下ロールのカリバー底の曲率より小さくなり、且つサイドロールのカリバー底に対向するオープン管の側部の曲率が、サイドロールのカリバー底の曲率を上回らない」の場合(以下、「上回らない場合」という)についても、同様に効果を奏する。具体的には、第1の問題点については、フィンパスロール群においてケージロールで曲げられた方向と逆方向に曲げられることには無く、本来曲げる予定の方向に曲げられるだけであるため、「略一致する場合」と同様に、曲げ戻されること無く、接触部分を拡大していく形態となる。したがって、フィンパス成形後の加工歪量すなわち加工硬化量を低減することができ、加工歪の管周方向の分布が不均一にならず、その結果、鋼管の管周方向の肉厚変動を抑えられる。
また、第2の問題についても、曲げ戻しが無いため、「略一致する場合」と同様に、管底部の歪量の低減とともに第1フィンパス成形スタンドの成形荷重の低減をも図ることができる。
また、「上回らない場合」においては、「サイドロールのカリバー底に対向するオープン管の側部の曲率が、サイドロールのカリバー底の曲率を上回らないようにオープン管を成形する」ことで、サイドロールにおいて、上記第1の問題点と第2の問題点にあたる問題が生じないようにするために必要である。なお、「略一致する場合」においては、必然的に「サイドロールのカリバー底に対向するオープン管の側部の曲率が、サイドロールのカリバー底の曲率を上回らないようにオープン管を成形する」を満たすため、この点を特定する必要が無い。
低炭素低合金鋼の鋼帯を素材として、強度レベルがAPI規格X60級で、外径219mm、肉厚15.9mmの鋼管を製造する際に、インナーロールを適用しないで従来通りに、オープン管を製造した。このオープン管の形状を図7に示した(比較例1)。
次いで、同様の鋼管を製造する際に、ケージロール群による圧下を弱め、管底部形状が第1フィンパスロールカリバー形状に近づくような成形を行い、オープン管を製造した(本発明の「略一致する場合」に相当)。このオープン管の形状を図7に示した(本発明例1、2)。
本発明例1、2および比較例1のオープン管について、管底を0としたときの周方向の位置とYSとの関係を図8に示した。管底部から周方向に約50mm程度の領域で、本発明例のYS分布はほぼ同程度となり、比較例1に比べてΔYSを低減できることがわかる。ケージロール群の圧下を弱め、オープン管の形状を調整することによって、管底部でのΔYSを、調整していない比較例1に対して10%程度低減することができた。本発明例の断面形状程度に、第1フィンパス成形下ロールカリバー形状と馴染むオープン管断面形状であれば効果は十分である。また、板厚変動を抑えることも確認された。
また、図9に、上記の本発明例および比較例について、第1フィンパス成形スタンドの上ロール成形荷重を示す。比較例1のオープン管断面形状を成形した場合に比べ、本発明例では約30%もの成形荷重低減を図ることができた。
図8、9の効果は、本発明の「略一致する場合」に相当する構成により実現され、フィンパスロールでの成形の際に、曲げ戻しにならず、接触部分が拡大していく形態であったため、これらの効果を奏すると考えられる。
次に、強度レベルがAPI規格X80級で、外径600mm、肉厚25.4mmの鋼管を製造する際に、インナーロールの適用条件を調整することで、第1フィンパスロール入側のオープン管の断面形状を図10に示す2通りの形状として検討を行った。ここで、オープン管下側の管底部の付近の形状に関し、第一フィンパス下ロールカリバーと接触する領域において、オープン管断面形状の曲率を評価すると、それぞれ断面1は下ロールカリバーの曲率に対して19%大きい場合、断面2は下ロールカリバー曲率より7%大きい場合である。
断面1〜2のそれぞれについて、造管成形を行い管形状に加工した後、管断面のYS分布を調べた結果について図11に示す。図11の横軸は、管断面の外表面における管底部から管周方向に沿った位置であり、管中央部からの角度を用いて表してある。本発明による断面2に関するYS分布においては、概ね0〜45°の間で、比較例断面1と同レベルとなっていることがわかる。ここで、約90°付近で比較例断面1のYS値が高くなっているのに対して、本発明ではYS分布の不均一が抑えられている。
これらの影響を総合的に評価するため、フィンパス入側形状断面1、2を造管成形した結果の差異として、管底部と管底から90°の部位からそれぞれ切り出したサンプルから試験片を加工し、引張試験を行った結果について図12に示す。図12は管底部での降伏応力から90°位置での降伏応力の差を示してある。本発明例断面2では、降伏応力の周方向位置による差が格段に小さくなっていることがわかる。
加えて、断面1、2の違いにより、第一フィンパススタンド上ロールの成形負荷に大きな差が生じたことを述べておく。高強度厚肉材(X80級,肉厚25.4mm)の成形のため、結果的に断面2では荷重差として約1MN(100トン)分を軽減することができ、安定的な製造が可能となった(図13参照)。
なお、「略一致する場合」の発明例においても、管底部での降伏応力から90°位置での降伏応力の差は、10MPa以下であった。
1 アンコイラ
2 レベラ
3 エッジ成形機
4 ケージロール群
5 フィンパスロール群
6 加熱装置
7 スクイズロール
8 ビード切削機
9 サイザー

Claims (2)

  1. 鋼帯をケージロール群により中間成形してオープン管とする中間成形工程と、該中間成形工程で得られたオープン管をフィンパスロール群により管状に仕上成形する仕上成形工程と、該仕上成形工程後に管状に仕上成形された前記オープン管の幅端部を溶接して管とする溶接工程と、を有する鋼管の製造方法であって、
    前記中間成形工程は、前記仕上成形工程で最初の成形を行う、上ロール、下ロールおよびサイドロールで構成される第1フィンパスロールの前記下ロールの中心軸を通り前記オープン管の進行方向と直交する断面に、前記第1フィンパスロールの入側での前記オープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際に、前記オープン管の底部の曲率が前記下ロールのカリバー底の曲率より小さくなり、且つ前記サイドロールのカリバー底に対向する前記オープン管の側部の曲率が、前記サイドロールのカリバー底の曲率を上回らないように前記オープン管を成形する工程であって、前記オープン管の側部を、前記ケージロール群の最下流ゾーンに設けられ、前記オープン管の内表面と接触する複数のインナーロールを用いて成形する
    ことを特徴とする鋼管の製造方法。
  2. 前記溶接工程で前記オープン管の幅端部を溶接して管軸方向に延びる溶接部が形成されたとき、前記溶接部に対向する管底部の降伏強さと、管周方向に90°の位置での降伏強さとの差(ΔYS)が10MPa以下であることを特徴とする請求項に記載の鋼管の製造方法。
JP2016149415A 2016-07-29 2016-07-29 鋼管の製造方法 Active JP6658385B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016149415A JP6658385B2 (ja) 2016-07-29 2016-07-29 鋼管の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016149415A JP6658385B2 (ja) 2016-07-29 2016-07-29 鋼管の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018015799A JP2018015799A (ja) 2018-02-01
JP6658385B2 true JP6658385B2 (ja) 2020-03-04

Family

ID=61075517

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016149415A Active JP6658385B2 (ja) 2016-07-29 2016-07-29 鋼管の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6658385B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109351820A (zh) * 2018-09-10 2019-02-19 中冶赛迪技术研究中心有限公司 一种构件开口向下式的热辊压成型生产方法
CN111553035B (zh) * 2020-04-30 2023-08-08 日照钢铁控股集团有限公司 一种热基镀锌方管制管下料开口度设计方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5839008B2 (ja) * 1979-11-01 1983-08-26 新日本製鐵株式会社 円筒管の製造法及び装置
JPS59166321A (ja) * 1983-03-11 1984-09-19 Nippon Kokan Kk <Nkk> 電縫管の成形方法
JPH04178222A (ja) * 1990-11-08 1992-06-25 Nkk Corp 電縫鋼管の成形装置
JPH04178221A (ja) * 1990-11-08 1992-06-25 Nkk Corp 電縫鋼管の成形装置
US5865053A (en) * 1996-02-20 1999-02-02 Abbey Etna Machine Company Transition beam forming section for tube mill
JP3610827B2 (ja) * 1999-06-02 2005-01-19 Jfeスチール株式会社 加工性に優れた溶接鋼管およびその製造方法
JP2009285710A (ja) * 2008-05-30 2009-12-10 Jfe Steel Corp 耐座屈性能に優れる電縫管の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018015799A (ja) 2018-02-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9841124B2 (en) High-strength thick-walled electric resistance welded steel pipe having excellent low-temperature toughness and method of manufacturing the same
JP5999284B1 (ja) 深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉電縫鋼管およびその製造方法ならびに深井戸向け高強度厚肉コンダクターケーシング
JP6015879B1 (ja) 深井戸向けコンダクターケーシング用高強度厚肉電縫鋼管およびその製造方法並びに深井戸向け高強度厚肉コンダクターケーシング
JP4442541B2 (ja) ラインパイプ向け低yr電縫鋼管の製造方法
WO2019176979A1 (ja) 角鋼管の製造方法および角鋼管
CN113677448B (zh) 方形钢管及其制造方法以及建筑构造物
TWI748684B (zh) 電焊鋼管及其製造方法、輸送管以及建築構造物
US11731210B2 (en) Long steel pipe for reel-lay installation and method for producing the same
JP6658385B2 (ja) 鋼管の製造方法
CN113453817A (zh) 方形钢管、其制造方法以及建筑结构物
WO2013111902A1 (ja) パイプライン及びその製造方法
JP2022033802A (ja) 角形鋼管および建築構造物
JP4984447B2 (ja) ラインパイプ向け低yr電縫鋼管の製造方法
JP5540646B2 (ja) 低降伏比高強度電縫鋼管およびその製造方法
CN113453816B (zh) 方形钢管及其制造方法以及建筑构造物
JP2009275261A (ja) 耐圧潰性に優れた溶接鋼管およびその製造方法
JP6332432B2 (ja) 造管歪が小さい電縫鋼管の製造方法
TWI795923B (zh) 方形鋼管及其製造方法以及建築結構物
JP6222126B2 (ja) 電縫鋼管およびその製造方法
JP2018047506A (ja) 電縫鋼管およびその製造方法
JP2020110840A (ja) 電縫鋼管およびその製造方法
JP5353760B2 (ja) 変形特性に優れる電縫鋼管およびその製造方法
JP6984785B2 (ja) 角形鋼管およびその製造方法並びに建築構造物
JP2004027368A (ja) 電縫鋼管およびその製造方法
JP2001269713A (ja) ステンレス鋼溶接管及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170425

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180221

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20180502

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20180509

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190111

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190702

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6658385

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250