JP2018047506A - 電縫鋼管およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】造管による管周方向の管厚の変動が小さく、残留歪分布が一様な厚肉高強度電縫鋼管とその製造方法を提供する。【解決手段】電縫管の製造方法において、仕上成形する直前のオープン管の進行方向と直交する断面形状が、下記式(1)を満足するように中間成形する、電縫鋼管の製造方法。dv≦rv・・・(1)(dvは第1フィンパスロールの下ロールの中心軸を含むオープン管の進行方向と直交する断面に、第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する断面を、オープン管の底部の外表面と下ロールのカリバー底を一致させて投影した際の、下ロールの中心軸からオープン管の外表面までの距離と下ロールのカリバー表面までの距離との差の最大値;rvは第1フィンパスロールの成形によるオープン管を形成する鋼帯の幅端部の変位量の上ロールと下ロールの対向方向成分)【選択図】図1
Description
本発明は、電縫鋼管に関し、特に、油井用、自動車用、あるいは建築用などのうちでロール成形時の負荷が大きく成形そのものが困難なため、管周方向の残留歪と管厚変動の分布を均一にすることが従来難しいとされた、厚肉および/または高強度材の電縫鋼管およびその製造方法に関する。
電縫鋼管は、寸法精度が良好で表面肌が美麗であり、かつ生産性が高いという優れた特長を有しており、石油や天然ガスなどのラインパイプ用鋼管や自動車用の鋼管、建築用の鋼管等の幅広い用途に用いられている。近年では、従来に比べて高強度や厚肉の電縫鋼管が求められるようになり、電縫鋼管の素材となる熱延鋼板でも、従来よりも高強度な鋼板や厚肉の鋼板が開発され製造されつつある。ここで、厚肉とは前記熱延鋼板の板厚が12〜26mm、高強度とは前記熱延鋼板の引張強さが460MPa以上の鋼板をいう。
電縫鋼管は、図1に示すように、鋼板(鋼帯)を連続的に管形状にロール成形した後、鋼板(鋼帯)幅端部を溶接して製造される。電縫鋼管の製造設備は、通常、一つの成形ラインで、成形ロールの位置調整やロール交換を行うことにより、様々な外径や肉厚の鋼管を製造することが可能となっている。一つの成形ラインにおける鋼管の製造可能範囲は、厚肉側ではロールの成形力と駆動力により制約され、薄肉側では一般に縁波と呼ばれる鋼帯幅端部の座屈がロール成形中に発生することにより制限されている。
そこで、一つの成形ラインにおける管の製造可能範囲を拡大するため、様々な技術が開発されてきた。例えば、特許文献1には、粗、中間成形過程における帯状金属材料(半成形品)の内壁面内部から、その周方向における1点以上の位置で回転自在な内面ロールにより帯状金属材料進行方向に垂直な面内における材料の位置を規制することによって成形を行うことでエッジウェーブ(縁波)を防止することが開示されている。
また、特許文献2および3には、電縫鋼管成形ラインのフィンパススタンド群の前に、駆動ボトムロールと、上下方向に位置調整可能に設けられたトップロールと、このトップロールの両側に位置調整可能に設けられたインサイドロールと、コイルエッジ部の近くに作用する上下、左右方向に位置調整可能に設けられたアウトサイドロールを、長手方向に複数段設け、前記駆動ボトムロールと前記トップロールにより十分な駆動力を得、前記インサイドロールと前記アウトサイドロールとの組合せにより薄肉材の腰折れを防止し、また、アウトサイドロールを長手方向に複数段配置することにより、エッジ伸びを防止することができて、薄肉材から厚肉材に亘り、フィンパススタンド前のオープンパイプ形状をフィンパスロールカリバーに近付けることができる電縫鋼管の成形装置が開示されている。
さらに、特許文献4には、CBR成形法を用いた溶接鋼管の製造方法において、最終のセンターベンド出側から第1フィンパスロール出側までの間で、両側部をケージロールで押されている素管の底部に近い両側部分を内面側から押えローラで肉厚方向に押すことにより、その間における素管の底部への曲げ応力の集中を緩和し、超薄肉、超高強度の帯板を小径に造管する場合でも、腰折れが生じず、フィンパスロール成形段階でエッジウェーブが生じることがない溶接鋼管の製造方法および装置が開示されている。
しかしながら、上記の特許文献1〜4に開示された方法は、薄肉材に発生する縁波の防止には有効であったが、厚肉および/または高強度の鋼管を製造する場合に問題となるロールの成形力や駆動力の不足を解消するには不十分であった。特に、厚肉および/または高強度の熱延鋼板を用いて鋼管を製造しようとする際には、ケージロール群による成形で、管断面全体にわたって一様な歪ないし曲率を付与することは困難であった。前記ケージロール群による成形を施す場合、しばしば、鋼管の管底部に相当する熱延鋼板の板幅の中央付近に曲げ歪が集中し、その他の領域では曲率が小さい中間成形形状となることが多かった。その結果、最終的には管周方向で加工硬化の度合いが不均一で、残留歪が管周方向位置で異なり、また肉厚の変動が大きい鋼管製品になるという問題があった。
本発明の目的は、造管による管周方向の管厚の変動が小さく、残留歪分布が一様な鋼管を得ることであり、特にその実現が困難な厚肉および/または高強度の鋼管とその製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、フィンパスロール入り側の半成形品(オープン管)の断面形状とフィンパス成形後の管周方向の管厚の変動および残留歪分布の間には相関があり、フィンパス成形後の歪量すなわち加工硬化量を低減し、かつ管周方向の残留歪分布を一様化できる最適なオープン管の断面形状が存在すること、および、前記オープン管の内面側の管底部近傍をロールで押圧する方法により、前記オープン管を最適な断面形状に成形できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の要旨からなる。
[1] 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、を経て製造される電縫鋼管であって、前記溶接工程後の鋼管の管厚の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の管厚を基準として−1%〜+1%の範囲にあり、管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることを特徴とする電縫鋼管。
[2] 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、を経て製造される電縫鋼管であって、前記溶接工程後の鋼管の管厚の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の管厚を基準として−1%〜+1%の範囲にあり、管厚が12〜26mm、管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることを特徴とする電縫鋼管。
[3] 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、を経て製造される電縫鋼管であって、前記溶接工程後の鋼管の残留歪の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の残留歪を基準として0%〜+10%の範囲にあることを特徴とする電縫鋼管。
[4] 前記電縫鋼管の外径が200〜700mmであることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の電縫鋼管。
[5] 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、を有する電縫鋼管の製造方法において、前記仕上げ成形工程で仕上げ成形する直前の第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する該オープン管の断面の形状が、下記式(1)を満足するように、前記中間成形工程で中間成形することを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
dv≦rv ・・・(1)
ここで、dv:第1フィンパスロールの成形ロール(上ロール、下ロール、サイドロール)で形成されるカリバーの形状が具象化される、前記下ロールの中心軸を含むオープン管の進行方向と直交する断面に、前記第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際の、前記下ロールの中心軸から前記オープン管の外表面までの距離と前記中心軸から前記下ロールのカリバー表面までの距離との差の最大値
rv:前記第1フィンパスロールの成形による前記オープン管を形成する鋼帯の幅端部の前記オープン管の進行方向と直交する断面内の変位量の前記上ロールと前記下ロールの対向方向成分
である。
[1] 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、を経て製造される電縫鋼管であって、前記溶接工程後の鋼管の管厚の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の管厚を基準として−1%〜+1%の範囲にあり、管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることを特徴とする電縫鋼管。
[2] 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、を経て製造される電縫鋼管であって、前記溶接工程後の鋼管の管厚の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の管厚を基準として−1%〜+1%の範囲にあり、管厚が12〜26mm、管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることを特徴とする電縫鋼管。
[3] 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、を経て製造される電縫鋼管であって、前記溶接工程後の鋼管の残留歪の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の残留歪を基準として0%〜+10%の範囲にあることを特徴とする電縫鋼管。
[4] 前記電縫鋼管の外径が200〜700mmであることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の電縫鋼管。
[5] 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、を有する電縫鋼管の製造方法において、前記仕上げ成形工程で仕上げ成形する直前の第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する該オープン管の断面の形状が、下記式(1)を満足するように、前記中間成形工程で中間成形することを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
dv≦rv ・・・(1)
ここで、dv:第1フィンパスロールの成形ロール(上ロール、下ロール、サイドロール)で形成されるカリバーの形状が具象化される、前記下ロールの中心軸を含むオープン管の進行方向と直交する断面に、前記第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際の、前記下ロールの中心軸から前記オープン管の外表面までの距離と前記中心軸から前記下ロールのカリバー表面までの距離との差の最大値
rv:前記第1フィンパスロールの成形による前記オープン管を形成する鋼帯の幅端部の前記オープン管の進行方向と直交する断面内の変位量の前記上ロールと前記下ロールの対向方向成分
である。
[6] 前記電縫鋼管が、管厚が12〜26mmの電縫鋼管であることを特徴とする[5]に記載の電縫鋼管の製造方法。
[7] 前記電縫鋼管が、管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることを特徴とする[5]または[6]に記載の電縫鋼管の製造方法。
[8] 前記電縫鋼管の外径が200〜700mmであることを特徴とする[5]ないし[7]のいずれかに記載の電縫鋼管の製造方法。
[7] 前記電縫鋼管が、管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることを特徴とする[5]または[6]に記載の電縫鋼管の製造方法。
[8] 前記電縫鋼管の外径が200〜700mmであることを特徴とする[5]ないし[7]のいずれかに記載の電縫鋼管の製造方法。
本発明により、鋼管成形時のフィンパスロールの成形荷重を従来方法よりも低減することができ、管周方向の残留歪分布と管厚変動の均一性を向上させた厚肉および/または高強度の鋼管を製造することができる。
これにより、鋼管の成形が安定するとともに、鋼管製品としての加工性も向上する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、電縫鋼管の製造設備の一例である。電縫鋼管の素材である鋼帯は、ケージロール群4で中間成形されてオープン管とされた後、フィンパスロール群5で仕上げ成形される。仕上げ成形の後は、前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して、電縫鋼管とされる。ここで、鋼帯は、炭素鋼の熱延鋼板を例とすることが出来る。
図1は、電縫鋼管の製造設備の一例である。電縫鋼管の素材である鋼帯は、ケージロール群4で中間成形されてオープン管とされた後、フィンパスロール群5で仕上げ成形される。仕上げ成形の後は、前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して、電縫鋼管とされる。ここで、鋼帯は、炭素鋼の熱延鋼板を例とすることが出来る。
本発明に係るケージロール群4は図2に示すように3つのゾーンに分かれており、そのうちの最下流ゾーン(#3ゾーン)には、インナーロールが備えられている。また、フィンパスロールは、最初のフィンパスロールである第1フィンパスロールを示す。
従来のケージロール群、すなわちインナーロールを具備していないケージロール群による中間成形では、仕上げ成形直前(第1フィンパスロールの入り側)の半成形品(以下、オープン管という)の該オープン管の進行方向と直交する断面は、図3に示すような縦長の形状となる。図4は、第1フィンパスロールの成形ロール(上ロール、下ロール、サイドロール)で形成されるロール間隙空間と前記オープン管の縦長の成形前形状を重ね合わせた図であり、前記下ロールの中心軸を含むオープン管の進行方向と直交する断面において、ロールカリバーと呼ばれるロール断面の外径線にて概略囲まれる空間の断面に対し、前記第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した図である。ここで、図4(a)は前記オープン管が従来の方法で中間成形され断面が縦長の形状の場合の例を示す図であり、図4(b)は前記オープン管の断面が本発明法の条件を満たす形状の場合の例を示す図である。
また、図5は第1フィンパスロールによる成形過程における、オープン管の外表面とサイドロールのカリバー面との接触状況を示す図である。
そこで、図4(a)または図4(b)の場合のそれぞれについて、前記オープン管の断面の形状が、仕上げ成形工程での各成形ロールの成形荷重、前記オープン管の外周面と仕上げ成形中の前記成形ロールのカリバー面との接触状況、および仕上げ成形後の鋼管の管周方向の残留歪分布などに及ぼす影響を調べた。
その結果、前記オープン管の断面の形状が図4(a)に示すような縦長の場合、第1フィンパスロールの下ロールと上ロールの成形荷重が増大することがわかった。その原因は、成形過程において、図5(a)に示すように、前記オープン管の外周面と前記第1フィンパスロールのサイドロールのカリバー表面との間に大きな隙間が発生し、前記オープン管の外周面の一部が前記サイドロールのカリバー面に接触せずに仕上げ成形が行われたため、前記サイドロールが負担するべき前記下ロールと前記上ロールの対向方向の成形荷重の分力が前記下ロールと前記上ロールの負担となってしまったためと考えられる。
一方、オープン管の前記断面形状が図4(b)に示すような場合、図5(b)に示すように、前記オープン管の外周面が前記サイドロールのカリバー表面にほとんど隙間無く接触しており、前記下ロールと前記上ロールの対向方向の成形荷重の一部が前記サイドロールによって加えられるため、仕上げ成形時の前記下ロールと前記上ロールの成形荷重が低くなる。
上述のように、オープン管の外表面と第1フィンパスロールのサイドロールのカリバー表面との接触を助長して前記第1フィンパスロールの上ロールと下ロールの成形荷重を低減するためには、前記オープン管の前記断面形状を横長にすることが考えられるが、この場合、前記サイドロールの成形荷重が過大になる。通常、フィンパスロールのサイドロールは、前記フィンパスロールの上ロールと下ロールほど大きな耐荷重を有していないため、成形荷重の著しい増大に対応できない。そこで、第1フィンパスロールの上ロールと下ロールの成形荷重を軽減するとともにサイドロールの成形荷重が過大にならない前記オープン管の断面の形状について、フィンパスロールによる成形計算を行って検討した。
その結果、第1フィンパスロールの各ロールの成形荷重は、オープン管を形成する鋼帯の幅端部が成形によって変位する前記オープン管の進行方向と直交する断面内の変位量rの上ロールと下ロールの対向方向成分rvと、前記第1フィンパスロールの成形ロール(上ロール、下ロール、サイドロール)で形成されるカリバーの形状が具象化される、前記下ロールの中心軸を含むオープン管の進行方向と直交する断面に、前記第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際の、前記下ロールの中心軸から前記オープン管の外表面までの距離と前記中心軸から前記下ロールのカリバー表面までの距離との差の最大値dvと、の大小関係に影響されることがわかった。
図4において、前記変位量rは前記オープン管を形成する鋼帯の幅端部の外表面側角部Aと前記第1フィンパスロールの上ロールのフィンの基端部Bとの距離であり、前記外表面側角部Aと前記フィンの基端部Bを結ぶ直線と前記上ロールと前記下ロールの対向方向のなす角度をθとすると、rv=r×cosθである。
また、前記最大値dvは、図4において、前記下ロールのカリバー底からのロール軸方向距離Xの位置における前記下ロールの中心軸から前記オープン管の外表面までの距離dp(X)と前記中心軸から前記下ロールのカリバー表面までの距離dr(X)との差(dp(X)−dr(X))の最大値である。
図6に、計算で得られた第1フィンパスロールでオープン管を成形する際の各ロール(上ロール、下ロール、サイドロール)の成形荷重とオープン管のdv/rvとの関係の一例を示す。第1フィンパスロールの各ロールの成形荷重が過大になって設備の疲労寿命を縮めてしまわないことが望ましく、この場合、荷重が大きい下ロールと上ロールについては、オープン管の形状がdv/rv≦1を満足する場合に、荷重が低減する傾向が認められる。
したがって、仕上げ成形工程で仕上げ成形する直前の第1フィンパスロール入側でのオープン管の進行方向と直交する該オープン管の断面の形状が、下記式(1)を満足するように、前記中間成形工程で中間成形する。
dv≦rv ・・・(1)
上記のような適切なオープン管の形状は、図2に示すように、ケージロール群による中間成形工程で、鋼帯の両側幅端部付近を外面側から押圧するケージロールと、成形中の鋼帯の内壁面側からその周方向における2点以上の位置を押圧するインナーロールとを用いて、鋼帯の材料進行方向に垂直な面内における位置を拘束することにより、実現できる。
dv≦rv ・・・(1)
上記のような適切なオープン管の形状は、図2に示すように、ケージロール群による中間成形工程で、鋼帯の両側幅端部付近を外面側から押圧するケージロールと、成形中の鋼帯の内壁面側からその周方向における2点以上の位置を押圧するインナーロールとを用いて、鋼帯の材料進行方向に垂直な面内における位置を拘束することにより、実現できる。
すなわち、前記オープン管の形状を上述の(1)式を満たすように成形するためには、図2に示すように、ケージロール群の最下流ゾーン(#3ゾーン)の1対のケージロール間で鋼帯の半成形品内壁面側からその周方向における2点以上の位置を押圧するインナーロールを用いて、前記1対のケージロールと前記インナーロールによって前記鋼帯の材料進行方向に垂直な面内における位置を拘束することが好ましい。
また、前記フィンパスロールの成形荷重の低減効果を顕著なものとするには、成形する電縫鋼管が、管厚が12〜26mmおよび/または管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることが好ましい。管厚が12mm未満の場合は、従来方法でもフィンパスロールの成形荷重が低く、成形荷重の低減効果は小さい。
さらに、管厚と外径の比が2%未満の場合には、従来方法でもフィンパスロールの成形荷重が低いことに加えて、前記インナーロールの押圧で鋼帯が腰折れするなどの極端な変形が懸念される。なお、管厚が26mm超え、または管厚と外径の比が20%超えになると設備的に成形不可能となるため上限とした。
加えて、電縫鋼管の外径は、200〜700mmであることが好ましい。外径が200mmよりも小さい小径管では、成形荷重が低く、荷重低減効果は小さい。一方で、外径が大きすぎると、製造自体が困難になるので、外径は700mmまでに押さえることが好ましい。
また、成形する材料の強度が低い場合は、従来方法でもフィンパスロールの成形荷重は低い上に、インナーロールの押圧で管内面に凹みが生ずる恐れがあるため、成形する材料の引張強さは460MPa以上であることが好ましい。
また、上記の説明は、フィンパスロール群5の最初の成形ロール(下側ロール、サイドロール、上側ロール)を用いて説明したが、これはフィンパスロール群5の最初の成形ロールの効果が大きいからで、フィンパスロール群5の第2番目以降の成形ロールについても、同様の効果が得られる。したがって、最初の成形ロールに限定されるものではない。
図8は、オープン管の形状が製品の残留歪の分布に与える影響を計算した結果を示している。横軸は溶接部を上にしたときの鋼管の管底からの角度を、縦軸は管底を基準としたときの残留歪を示す。
図7は、オープン管の形状が製品の管厚の変動に与える影響を計算した結果を示している。横軸は溶接部を上にしたときの鋼管の管底からの角度を、縦軸は管底での管厚を基準としたときの管厚変動を示す。
従来の製造方法では、オープン管の断面形状が縦長になり、図4(a)に示すような、第1フィンパスロールの成形ロール(上ロール、下ロール、サイドロール)で形成されるカリバーの形状が具象化される、前記下ロールの中心軸を含むオープン管の進行方向と直交する断面に、前記第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際の、前記下ロールの中心軸から前記オープン管の外表面までの距離と前記中心軸から前記下ロールのカリバー表面までの距離との差の最大値dvが前記第1フィンパスロールの成形による前記オープン管を形成する鋼帯の幅端部の前記オープン管の進行方向と直交する断面内の変位量の前記上ロールと前記下ロールの対向方向成分rvよりも大きい断面になった。
そのため、オープン管とフィンパスロール群の最初の下側ロールとの間に隙間が発生し、成形荷重が増大した。
その結果、図8に示すように、電縫鋼管の管周方向の残留歪分布が不均一になり、また図7に示すように、電縫鋼管の管周方向の管厚分布の変動が大きくなる。
一方、本発明例では、インサイドロールを使用して、第1フィンパスロールの成形ロール(上ロール、下ロール、サイドロール)で形成されるカリバーの形状が具象化される、前記下ロールの中心軸を含むオープン管の進行方向と直交する断面に、前記第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際の、前記下ロールの中心軸から前記オープン管の外表面までの距離と前記中心軸から前記下ロールのカリバー表面までの距離との差の最大値dvに対し、前記第1フィンパスロールの成形による前記オープン管を形成する鋼帯の幅端部の前記オープン管の進行方向と直交する断面内の変位量の前記上ロールと前記下ロールの対向方向成分rvがほぼdvと等しくなる(rv=dv)ように中間成形した。そのため、オープン管とフィンパスロール群の最初の下側ロールとの間に隙間が発生することなく、歪も均一となる。
その結果、図8に示すように、電縫鋼管の管周方向の残留歪分布が改善され、従来例に比べて最大で約2%減少する。また図7に示すように、電縫鋼管の管周方向の管厚分布の変動も、−1%〜+1%以内に収めることが出来る。
本発明で得られる電縫鋼管は、グレードがAPI規格X80級をはじめとする様々な強度レベルの電縫鋼管である。X80級より強度レベルが低い電縫鋼管であっても、設備能力上成形が可能であれば、本発明の適用が可能である。目的とするグレードに合わせて、素材となる鋼帯を適宜選択すればよい。API規格X80級の電縫鋼管の場合、鋼帯の成分範囲の一例を挙げれば、質量%で、C:0.01〜0.12%、Si:0.01〜1.0%、Mn:0.5〜2.2%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.10%、Nb:0.01〜0.10%、Ti:0.001〜0.05%であり、残部は鉄および不可避的不純物からなるものである。
ここで、上記成分範囲の理由を簡単に説明する。
Cは、鋼の強度を上昇させる作用を有する元素であり、本発明では所望の強度レベルを得るために、Cの含有量が0.01%以上であることが必要となる。一方、Cの含有量が0.12%を超えると、炭素当量の増加により溶接性が劣化するなどの悪影響がある。このため、Cの含有量を0.01〜0.12%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.08%である。
Cは、鋼の強度を上昇させる作用を有する元素であり、本発明では所望の強度レベルを得るために、Cの含有量が0.01%以上であることが必要となる。一方、Cの含有量が0.12%を超えると、炭素当量の増加により溶接性が劣化するなどの悪影響がある。このため、Cの含有量を0.01〜0.12%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.02〜0.08%である。
Siは、固溶強化、焼入れ性の向上を介して、鋼の強度を増加させる作用を有する。このような効果はSiを0.01%以上含有することが必要である。一方、Siは、電縫溶接時にSiを含有する酸化物を形成し、溶接部品質を低下させるとともに、溶接熱影響部靭性を低下させる。このような観点から、Siはできるだけ低減することが望ましいが、1.0%までは許容できる。このようなことから、Siの含有量を0.01〜1.0%に限定した。好ましくは0.5%以下である。
Mnは、焼入性を向上させる作用を有し、鋼板の強度を増加させる。また、Mnは、MnSを形成しSを固定することにより、Sの粒界偏析を防止してスラブ割れを抑制する。このような効果を得るためには、Mnを0.5%以上含有することが必要となる。一方、含有量が1.8%を超えると、スラブ鋳造時の凝固偏析を助長し、鋼板にMn濃化部を生じさせ、その結果セパレーションの発生を増加させる。このMn濃化部を消失させるには、1300℃を超える温度にスラブを加熱する必要があり、このような熱処理を工業的規模で実施することは現実的ではない。このため、Mnの含有量を0.5〜2.2%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.9〜1.7%である。
Pは、鋼中に不純物として不可避的に含まれるが、鋼の強度を上昇させる作用を有する。しかし、0.03%を超えて過剰に含有すると溶接性が低下する。このため、Pの含有量を0.03%以下に限定した。なお、好ましくは0.02%以下である。
Sは、Pと同様に鋼中に不純物として不可避的に含まれるが、Sを0.005%を超えて過剰に含有すると、スラブ割れを生起させるとともに、熱延鋼板においては粗大なMnSを形成し、延性の低下を生じさせる。このため、Sの含有量を0.005%以下に限定した。なお、好ましくは0.004%以下である。
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには、Alを0.005%以上含有することが望ましい。一方、Alの含有量が0.10%を超えると、電縫溶接時の溶接部の清浄性を著しく損なう。このため、Alの含有量を0.005〜0.10%に限定した。なお、好ましくは0.08%以下である。
Nbは、オーステナイト粒の粗大化、再結晶を抑制する作用を有する元素であり、熱間仕上圧延において、オーステナイト未再結晶温度域での圧延を可能にする。また、炭窒化物として微細析出することにより、溶接性を損なうことなく、少ない含有量で熱延鋼板を高強度化する作用を有する。このような効果を得るためには、Nbの含有量が0.01%以上であることを必要とする。一方、Nbの含有量が0.10%を超えると、熱間仕上圧延中の圧延荷重の増大をもたらし、熱間圧延が困難となる場合がある。このため、Nbの含有量を0.01〜0.10%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.03〜0.09%である。
Tiは、窒化物を形成しNを固定しスラブ割れを防止する作用を有する。また、炭化物として微細析出することにより、鋼板を高強度化させる。このような効果は、Tiの含有量が0.001%以上で顕著となるが、一方でTiの含有量が0.05%を超えると、析出強化により降伏点が著しく上昇する。このため、Tiの含有量を0.001〜0.05%の範囲に限定した。なお、好ましくは0.005〜0.035%である。
以上が基本的な成分であるが、前記成分に加えて、鋼帯の強度を向上させるために、V:0.01〜0.10%、Mo:0.01〜0.50%、Cr:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜0.50%、Ni:0.01〜0.50%の中の少なくとも1種を含んでいてもよい。
Vは、焼入性を向上させるとともに、炭窒化物を形成して鋼板を高強度化する作用を有する元素であり、このような効果は0.01%以上含有することで顕著となる。一方、含有量が0.10%を超えると、溶接性を劣化させる。このため、Vの含有量を0.01〜0.10%とすることが好ましい。なお、さらに好ましくは0.03〜0.08%である。
Moは、焼入性を向上させるとともに、炭窒化物を形成して鋼板を高強度化する作用を有する元素であり、このような効果は0.01%以上含有することで顕著となる。一方、0.50%を超えると多量の含有は、溶接性を低下させる。このため、Moの含有量を0.01〜0.50%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.05〜0.30%である。
Crは、焼入性を向上させ、鋼板強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果は、0.01%以上含有することで顕著となる。一方、含有量が1.0%を超えると、電縫溶接時に溶接欠陥を多発させる傾向となる。このため、Crの含有量を0.01〜1.0%に限定することが好ましい。なお、さらに好ましくは0.01〜0.80%である。
Cuは、焼入れ性を向上させるとともに、固溶強化あるいは析出強化により鋼板の強度を増加させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましいが、含有量が0.50%を超えると熱間加工性を低下させる。このため、Cuの含有量を0.01〜0.50%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.10〜0.40%である。
Niは、焼入性を向上させ、鋼の強度を増加させるとともに、鋼板の靭性をも向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.01%以上含有することが望ましい。一方、0.50%を超えて含有しても、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。このため、Niの含有量を0.01〜0.50%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.10〜0.45%である。
前記に加えて、さらにCa:0.0005〜0.005%、B:0.001%以下、REM:0.0005〜0.005%の中の少なくとも1種を含んでいてもよい。
Caは、SをCaSとして固定し、硫化物系介在物を球状化し、介在物の形態を制御する作用を有する元素である。また、介在物の周囲のマトリックスの格子歪を小さくし、水素のトラップ能を低下させる。このような効果を得るためには、Caを0.0005%以上含有させることが望ましいが、0.005%を超えて含有させると、CaOの増加を招き、耐食性、靭性を低下させる。このため、Caを含有させる場合には、0.0005〜0.005%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0009〜0.003%である。
Bは、少量の含有で焼入れ性を顕著に向上させ、鋼板強度の増加に寄与する。このような効果は0.0003%以上の含有で顕著となるが、0.001%を超えて含有させても効果が飽和する。このようなことから、Bを含有させる場合には0.001%以下に限定することが好ましい。
REMは、展伸した粗大な硫化物を球状の硫化物とする硫化物の形態制御に寄与する元素である。このような効果を得るためには、REMを0.0005%以上含有させることが望ましいが、0.005%を超えて多量に含有すると、鋼板の清浄度を低下させる。そのため、REMは0.005%以下に限定することが好ましい。
熱延鋼板の製造は、API規格X80級レベルの鋼帯が得られるのであれば、特に限定されない。一例を挙げれば、上記した組成の鋼素材を、好ましくは1100〜1300℃に加熱する。加熱温度が1100℃未満では、変形抵抗が高く圧延負荷が増大し圧延能率が低下する。一方、加熱温度が1300℃を超えて高温になると、結晶粒が粗大して低温靭性が低下するうえ、スケール生成量が増大し表面性状が低下する恐れがある。このため、熱間圧延における加熱温度は1100〜1300℃とすることが好ましい。
ついで、加熱された鋼素材に熱間圧延を施す。
熱間圧延は、粗圧延と仕上げ圧延からなる圧延とする。粗圧延の条件はとくに限定する必要はなく、所定寸法形状のシートバーとすることができればよいが、粗圧延されたのちの仕上げ圧延では、未再結晶温度域での熱間圧延率を20%以上、仕上げ圧延終了温度:750℃以上に調整することが好ましい。また圧延機への負荷の観点から熱間圧下率は95%以下とすることが好ましい。
熱間圧延は、粗圧延と仕上げ圧延からなる圧延とする。粗圧延の条件はとくに限定する必要はなく、所定寸法形状のシートバーとすることができればよいが、粗圧延されたのちの仕上げ圧延では、未再結晶温度域での熱間圧延率を20%以上、仕上げ圧延終了温度:750℃以上に調整することが好ましい。また圧延機への負荷の観点から熱間圧下率は95%以下とすることが好ましい。
仕上げ圧延後の冷却は、必要に応じて適当な手段を用いることが出来る。
巻取温度は、400〜580℃であればよい。巻取温度が580℃を超えると、Ti、Nbの炭窒化物の析出が促進され、鋼板の強度が高くなりすぎる可能性がある。一方で、400℃を下回るとTi、Nb炭窒化物の析出が不十分で、X80級以上の強度を得られなくなる場合がある。このため、巻取温度は400〜580℃の範囲に限定した。好ましくは460〜550℃である。
巻取温度は、400〜580℃であればよい。巻取温度が580℃を超えると、Ti、Nbの炭窒化物の析出が促進され、鋼板の強度が高くなりすぎる可能性がある。一方で、400℃を下回るとTi、Nb炭窒化物の析出が不十分で、X80級以上の強度を得られなくなる場合がある。このため、巻取温度は400〜580℃の範囲に限定した。好ましくは460〜550℃である。
なお、上記の成分範囲、製造方法は、API規格X80級グレードの例であるが、目的とするグレードに合わせて、成分範囲、製造方法を適宜選択、調整できることは言うまでもない。
表1の成分を持つ低炭素低合金鋼のスラブを、加熱温度1150℃、巻取温度500℃にて熱間圧延し、板厚25.4mmの熱延鋼板を製造した。この熱延鋼板を素材として、強度レベルがAPI規格X80級で、外径600mm、管厚25.4mmの電縫鋼管を本発明の製造方法にて製造した。
図9に製造した電縫鋼管の管厚測定結果を示す。管厚は、輪切りサンプルに対しマイクロメータを用いて測定した。図9の横軸は電縫鋼管の管底からの角度を、縦軸は管底の管厚を基準としたときの管厚変動幅である。この図からわかるように、本発明例では、管底部から0°〜+120°の範囲で、管厚の変動率がー1%〜+1%に収まっている。
また、歪ゲージをもちいた開放法で残留歪を測定した結果、残留歪の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の歪を基準として0%〜+10%の範囲にあることを確認した。
1 アンコイラ
2 レベラ
3 エッジ成形機
4 中間成形機(ケージロール群)
5 仕上成形機(フィンパスロール群)
6 加熱装置
7 スクイズロール
8 ビード切削機
9 サイザー
20 鋼帯
30 電縫鋼管
A オープン管の鋼帯幅端部の外表面側角部
B フィンパスロールのフィン基端部
C フィンパスロールの下ロールの中心軸
θ AとBを結ぶ直線と上下ロールの対向方向となす角度
2 レベラ
3 エッジ成形機
4 中間成形機(ケージロール群)
5 仕上成形機(フィンパスロール群)
6 加熱装置
7 スクイズロール
8 ビード切削機
9 サイザー
20 鋼帯
30 電縫鋼管
A オープン管の鋼帯幅端部の外表面側角部
B フィンパスロールのフィン基端部
C フィンパスロールの下ロールの中心軸
θ AとBを結ぶ直線と上下ロールの対向方向となす角度
Claims (8)
- 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、
フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、
仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、
を経て製造される電縫鋼管であって、
前記溶接工程後の鋼管の管厚の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の管厚を基準として−1%〜+1%の範囲にあり、管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることを特徴とする電縫鋼管。 - 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、
フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、
仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、
を経て製造される電縫鋼管であって、
前記溶接工程後の鋼管の管厚の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の管厚を基準として−1%〜+1%の範囲にあり、管厚が12〜26mm、管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることを特徴とする電縫鋼管。 - 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、
フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、
仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、
を経て製造される電縫鋼管であって、
前記溶接工程後の鋼管の残留歪の変動幅が、溶接部を上にしたときの管底部から0°〜+120°の範囲で、管底部の残留歪を基準として0%〜+10%の範囲にあることを特徴とする電縫鋼管。 - 前記電縫鋼管の外径が200〜700mmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電縫鋼管。
- 鋼帯をケージロール群により中間成形する中間成形工程と、
フィンパスロール群により管状に仕上げ成形する仕上げ成形工程と、
仕上げ成形工程後に前記鋼帯の幅端部を電気抵抗溶接して管とする溶接工程と、
を有する電縫鋼管の製造方法において、
前記仕上げ成形工程で仕上げ成形する直前の第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する該オープン管の断面の形状が、下記式(1)を満足するように、前記中間成形工程で中間成形することを特徴とする電縫鋼管の製造方法。
dv≦rv ・・・(1)
ここで、dv:第1フィンパスロールの成形ロール(上ロール、下ロール、サイドロール)で形成されるカリバーの形状が具象化される、前記下ロールの中心軸を含むオープン管の進行方向と直交する断面に、前記第1フィンパスロールの入側でのオープン管の進行方向と直交する前記オープン管の断面を、前記オープン管の底部の外表面と前記下ロールのカリバー底を一致させて投影した際の、前記下ロールの中心軸から前記オープン管の外表面までの距離と前記中心軸から前記下ロールのカリバー表面までの距離との差の最大値
rv:前記第1フィンパスロールの成形による前記オープン管を形成する鋼帯の幅端部の前記オープン管の進行方向と直交する断面内の変位量の前記上ロールと前記下ロールの対向方向成分
である。 - 前記電縫鋼管が、管厚が12〜26mmの電縫鋼管であることを特徴とする請求項5に記載の電縫鋼管の製造方法。
- 前記電縫鋼管が、管厚と外径の比が2〜20%の電縫鋼管であることを特徴とする請求項5または6に記載の電縫鋼管の製造方法。
- 前記電縫鋼管の外径が200〜700mmであることを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の電縫鋼管の製造方法。
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