JP2000343135A - 加工性に優れた溶接鋼管およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた溶接鋼管およびその製造方法

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JP2000343135A
JP2000343135A JP11154530A JP15453099A JP2000343135A JP 2000343135 A JP2000343135 A JP 2000343135A JP 11154530 A JP11154530 A JP 11154530A JP 15453099 A JP15453099 A JP 15453099A JP 2000343135 A JP2000343135 A JP 2000343135A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイドロフォーミングに適した溶接鋼管およ
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 エッジベンドロール、センターベンドロ
ール、ゲージロール群により連続的にロール成形し、フ
ィンパスロールの入側直前での素管断面各曲げ要素にお
ける曲げ長さ比、曲げ半径比、フィンパスロールとの形
状寸法比を適正な形状とし、さらにフィンパスロール群
で成形するに際し、第1フィンパスロールの穴型形状
を、各曲げ要素の曲げ長さ比、曲げ半径比、製品外径に
対する形状寸法比が適正な形状となるように形成し、さ
らにフィンパスロール群での全圧下率を2%以下として
フィンパスロール群で成形したのち、溶接接合し溶接管
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉溶接鋼管に係
り、とくに自動車の構造部材に用いて好適な加工性に優
れた薄肉溶接鋼管に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境保全の観点から、炭酸ガ
スの排出を規制する動きが活発となっており、とくに、
自動車の軽量化による燃費改善が注目されている。なか
でもシャーシ、フレーム等の構造部材の軽量化が指向さ
れ、モノコック構造等軽量化のための構造上の提案が数
多くなされている。これらの構造を従来のように板材を
プレス加工して製造すると歩留りが低く、製造コストが
増加するため、板材に代えて、パイプを用いたパイプ構
造とすることが考えられている。パイプ構造は、軽量で
高剛性を有するうえ、液圧加工を利用することができ、
1回で所定の一体形状に成形できるという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、1回で
所定の形状に加工するためには、液圧加工(ハイドロフ
ォーミング)といえども厳しい加工を施される部分が多
く、従来の鋼管では、減肉による強度や剛性の低下、あ
るいは加工中に割れが発生し製品とすることができない
という問題があった。
【0004】本発明は、上記した問題を有利に解決し、
液圧加工(ハイドロフォーミング)に適した溶接鋼管お
よび溶接管の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、液圧加工
(ハイドロフォーミング)における鋼管の変形と鋼管特
性について鋭意検討し、液圧加工(ハイドロフォーミン
グ)に適した溶接鋼管は、大歪加工に耐えうる材料特性
が必要なことから、帯板とほぼ同等の高い伸びと低い降
伏比を有することが必要であるとの知見を得た。さら
に、軽量化の観点から、t/Dの小さい薄肉鋼管の使用
が適切であるという知見を得た。また、さらに、このよ
うな鋼管とするためには、素管の成形条件、とくに素管
の断面形状、あるいはフィンパスロールの穴型形状、フ
ィンパスロールでの円周方向全圧下率を適正範囲とする
必要があることを知見した。
【0006】本発明は、上記した知見をもとに構成され
たものである。すなわち、第1の本発明は、鋼帯をエッ
ジベンドロール、複数のセンターベンドロール、ゲージ
ロール群および複数のフィンパスロールにより連続的に
ロール成形し、突き合わせたシーム部を溶接してなる溶
接鋼管であって、前記溶接鋼管の伸びElpと前記鋼帯
の伸びElsとの比、Elp/Elsが0.6 以上、前記
溶接鋼管の一様伸びElupと前記鋼帯の一様伸びElus
との比、Elup/Elusが0.3 以上で、前記溶接鋼管の
降伏比YRpと前記鋼帯の降伏比YRsと比、YRp/
YRsが1.6 以下で、液圧限界バルジ比が1.10以上を有
することを特徴とするハイドロフォーミングに適した薄
肉溶接鋼管であり、また、本発明では、ハイドロフォー
ム部品の軽量化の観点から、前記溶接鋼管の肉厚tと外
径Dとの比、t/Dを0.005 〜0.10とするのが好まし
い。
【0007】また、第2の本発明は、帯板を、エッジベ
ンドロールにより該帯板の両エッジ部を予め成形したの
ち、複数のセンターベンドロールとゲージロール群とに
より前記帯板エッジ部から管側部となる位置を連続的に
拘束しながら前記帯板の中央部を曲げ成形し、開口部を
有し断面が管エッジ部、管側部、管底部およびそれらの
境界部の各曲げ要素からなる縦長の小判型素管とし、つ
いで、該小判型素管に複数のフィンパスロールによりオ
ーバーベンドと縦径の圧縮とを順次加えて円形素管に仕
上成形したのち、突き合わせ部を溶接機で加熱し、スク
イズロールでアップセットして溶接接合する溶接管の製
造方法であって、前記フィンパスロール直前における前
記小判型素管の断面形状または計画断面形状を、前記小
判型素管断面における各曲げ要素の長さと帯板の幅との
比、S3、S2 、S1 、S12が次条件(1) 条件(1): S3 =(管エッジ部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.20〜0.
40、 S2 =(管側部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.20〜0.40、 S1 =(管底部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.15〜0.30、 S12=(管側部と管底部の境界部曲げ長さ)/(帯板
幅)=0.15〜0.30 S3 +S2 +S1 +S12=1.0 を満足し、さらに前記小判型素管断面における各曲げ要
素の曲げ半径と製品半径との比、R3 、R2 、R1 、R
12が次条件(2) 条件(2): R3 =(管エッジ部曲げ半径)/(製品半径)=1.0 〜
1.4 、 R2 =(管側部曲げ半径)/(製品半径)=1.5 〜5.0
、 R1 =(管底部曲げ半径)/(製品半径)=0.9 〜1.3
、 R12=(管側部と管底部の境界部曲げ半径)/(製品半
径)=0.8 〜1.2 を満足し、さらに前記小判型素管断面の縦径H0 、横径
W0 、開口部幅We0の各寸法と、前記フィンパスロール
の穴型形状の縦径H1 、横径W1 、フィン幅We1とのそ
れぞれの比、H0 /H1 、W0 /W1 、We0/We1が次
条件(3) 条件(3): H0 /H1 =(素管の縦径)/(穴型の縦径)=1.0 〜
1.3 、 W0 /W1 =(素管の横径)/(穴型の横径)=0.8 〜
1.0 、 We0/We1=(素管の開口部幅)/(穴型のフィン幅)
=0.8 〜2.0 を満足する形状とし、かつ、前記複数のフィンパスロー
ルのうちの第1フィンパスロールの穴型形状を、穴型に
おける各曲げ要素の長さと帯板の幅との比、(S3
F1、(S2 )F1、(S1 )F1、(S12)F1、(S2
3)F1が次条件(4) 条件(4) (S3 )F1=(穴型管エッジ部相当部長さ)/(帯板
幅)=0.10〜0.30、 (S2 )F1=(穴型管側部相当部長さ)/(帯板幅)=
0.20〜0.40、 (S1 )F1=(穴型管底部相当部長さ)/(帯板幅)=
0.15〜0.30、 (S12)F1=(穴型管側部と管底部の境界部相当長さ)
/(帯板幅)=0.15〜0.30 (S23)F1=(穴型管側部と管エッジ部の境界部相当長
さ)/(帯板幅)=0.15〜0.30 (S3 )F1+(S2 )F1+(S1 )F1+(S12)F1
(S23)F1=1.0 を満足し、さらに穴型における各曲げ要素の曲げ半径と
製品半径との比、(R3)F1、(R2 )F1、(R1
F1、(R12)F1、(R23)F1が次条件(5) 条件(5) (R3 )F1=(管エッジ部曲げ半径)/(製品半径)=
1.0 〜1.1 、 (R2 )F1=(管側部曲げ半径)/(製品半径)=1.5
〜5.0 、 (R1 )F1=(管底部曲げ半径)/(製品半径)=0.9
〜1.1 、 (R12)F1=(管側部と管底部の境界部曲げ半径)/
(製品半径)=0.8 〜1.0 未満 (R23)F1=(管側部と管エッジ部の境界部曲げ半径)
/(製品半径)=0.8 〜1.0 未満 を満足し、さらに第1フィンパスロール穴型の縦径H1
、横径W1 と、製品外径Dとの比、H1 /D、W1 /
Dが次条件(6) 条件(6) H1 /D=(穴型の縦径)/(製品外径)=1.1 〜1.5 W1 /D=(穴型の横径)/(製品外径)=0.8 〜0.95 を満足する、形状とし、さらに、前記複数のフィンパス
ロールによる仕上成形を、円周方向の全圧下率が2.0 %
以下とする仕上成形とすることを特徴とするハイドロフ
ォーミングに適した溶接管の製造方法であり、また、第
2の本発明では、前記スクイズロール前面の50〜100mm
の位置において、前記円形素管の突き合わせ部の両エッ
ジ部が形成するVシェイプ角度θV を3〜7°、前記円
形素管の突き合わせ部の両エッジ端面が形成するエッジ
突き合わせ角度θw を0〜7°とするとのが好適であ
る。
【0008】本発明により製造された薄肉溶接鋼管は液
圧限界バルジ比が1.10以上(製品周長に対し加工後の周
長が110 %以上)となる大歪付加のハイドロフォーム加
工を施すことが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の溶接鋼管は、用途に応じ
ステンレス鋼鋼管、あるいは炭素鋼鋼管とすることがで
きる。ステンレス鋼としては、オーステナイト系ステン
レス鋼、フェライト系ステンレス鋼が好適である。オー
ステナイト系ステンレス鋼はSUS304 、SUS316 、
SUS321 が好適であり、組成としては、重量%で、
C:0.1%以下、Si:1.0 %以下、Mn:0.1 〜2 %、C
r:16〜25%、Ni:8 〜20%を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物である。
【0010】フェライト系ステンレス鋼はSUS409 、
SUS410 、SUS430 が好適であり、組成としては、
重量%で、C:0.1 %以下、Si:1.0 %以下、Mn:0.1
〜1%、Cr:11〜20%、Mo:0.05〜0.7 %、Nb:0.1 〜
0.7 %を含有し、残部Feおよび不可避的不純物である。
不可避的不純物としては、N:0.01%以下が許容でき
る。
【0011】炭素鋼は、STKM11、STKM12、STKM13が好適
である。STKM11の組成は、重量%で、C:0.01〜0.12
%、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.1〜0.60%を含有し、残
部Feおよび不可避的不純物である。STKM12の組成は、重
量%で、C:0.01〜0.2 %、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.
1〜0.60%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物であ
る。
【0012】STKM13の組成は、重量%で、C:0.01〜0.
25%、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.3〜0.9 %を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物である。上記した組成の帯
板を、連続してロール成形して円形状の素管を成形し、
突き合わせた縫目(シーム部)を溶接し、溶接鋼管とす
る。本発明の溶接管の製造方法では、図1に示すよう
に、帯板(鋼帯)6を、図1に示すように、エッジベン
ドロール1により帯板の両エッジ部を予め成形したの
ち、複数のセンターベンドロール2a、2b、2c、2
dとゲージロール群3とにより帯板エッジ部から管側部
となる位置を連続的に拘束しながら、帯板の中央部を曲
げ成形し、図2に示すような、開口部を有し断面が管エ
ッジ部、管側部、管底部およびそれらの境界部の各曲げ
要素からなる縦長の小判型素管とする。ついで、該小判
型素管に複数のフィンパスロール4によりオーバーベン
ドと縦径の圧縮とを順次加えて円形素管に仕上成形した
のち、突き合わせ部を溶接機で加熱し、スクイズロール
5でアップセットして溶接接合して溶接管とする。
【0013】そして、本発明では、フィンパスロール4
の入側直前における小判型素管の断面形状または計画断
面形状を、条件(1)、(2)、(3)を満足するよう
な適正形状に調整する。まず、小判型素管断面におい
て、曲げ半径が同じ部分を一つの曲げ要素とし、素管断
面の各曲げ要素を、図2に示すように、管エッジ部、管
側部、管側部と管底部との境界部、管底部と称した。素
管断面での各曲げ要素の長さを曲げ長さとして、各曲げ
要素の長さと帯板幅の比、Si を、 Si =(各曲げ要素の長さ)/(帯板幅) と定義し、管エッジ部、管側部、管側部と管底部との境
界部、管底部について、Si をそれぞれ、 S3 =(管エッジ部曲げ長さ)/(帯板幅) S2 =(管側部曲げ長さ)/(帯板幅) S1 =(管底部曲げ長さ)/(帯板幅) S12=(管側部と管底部の境界部曲げ長さ)/(帯板
幅) とした。
【0014】これらS3 、S2 、S1 、S12を、条件
(1)を満足するようにエッジベンドロール1、センタ
ーベンドロール2a、2b、2c、2dのロ─ル接触幅
を設計するとともに、エッジベンドロール1、センター
ベンドロール2a、2b、2c、2dおよびケージロー
ル3のロール位置を調節する。 条件(1): S3 =0.20〜0.40、 S2 =0.20〜0.40、 S1 =0.15〜0.30、 S12=0.15〜0.30 S3 +S2 +S1 +S12=1.0 そして、さらに小判型素管断面における各曲げ要素の曲
げ半径ri と製品半径rとの比、Ri を、 Ri =(各曲げ要素の曲げ半径ri)/(製品半径r) と定義し、Ri を各曲げ要素についてそれぞれ、 R3 =(管エッジ部曲げ半径r3 )/(製品半径r) R2 =(管側部曲げ半径r2 )/(製品半径r) R1 =(管底部曲げ半径r1 )/(製品半径r) R12=(管側部と管底部の境界部曲げ半径r12)/(製
品半径r) とした。
【0015】これらR3 、R2 、R1 、R12を、条件
(2)を満足するようにエッジベンドロール1、センタ
ーベンドロ─ル2a、2b、2c、2dのロール曲率半
径を設計するとともに、エッジベンドロール1、センタ
ーベンドロール2a、2b、2c、2dおよびケージロ
ール3のロール位置を調節する。 条件(2): R3 =1.0 〜1.4 、 R2 =1.5 〜5.0 、 R1 =0.9 〜1.3 、 R12=0.8 〜1.2 そして、さらに、小判型素管断面の縦径H0 、横径W0
、開口部幅We0と、第1フィンパスロールの穴型の縦
径H1 、横径W1 、フィン幅We1とを、条件(3)が満
足するようにエッジベンドロール1、センターベンドロ
ール2a、2b、2c、2dおよびケージロール3のロ
ール位置を調整する。
【0016】条件(3): H0 /H1 =(素管の縦径)/(穴型の縦径)=1.0 〜
1.3 、 W0 /W1 =(素管の横径)/(穴型の横径)=0.8 〜
1.0 、 We0/We1=(素管の開口部幅)/(穴型のフィン幅)
=0.8 〜2.0 上記した条件(1)〜(3)をすべて満足することによ
り、フィンパスロール前の素管の形状を縦長の小判型形
状とし、さらに第1フィンパスロールへの素管の進入を
円滑とし、ロール疵、エッジウェーブなどの成形不良の
発生を防止する。
【0017】本発明では、フィンパスロール前の素管断
面形状が、上記した(1)〜(3)の条件を満足するこ
とに加え、さらに、複数のフィンパスロールのうちの第
1フィンパスロールの穴型形状を、条件(4)〜(6)
が満足する形状とする。第1フィンパスロールの穴型に
おいて、図3に示すように、素管断面での各曲げ要素に
対応して、曲げ半径が同じ部分を素管曲げ要素相当部と
称し、例えば、管エッジ部に対応する穴型の部分を管エ
ッジ部相当部という。そして、第1フィンパスロールの
穴型における各曲げ要素の長さと帯板幅との比、(Si
F1を、 (Si )F1=(穴型各曲げ要素の長さ)/(帯板幅) と定義した。(Si )F1を各素管曲げ要素相当部につい
てそれぞれ、 (S3 )F1=(管エッジ部相当部曲げ長さ)/(帯板
幅) (S2 )F1=(管側部相当部曲げ長さ)/(帯板幅) (S1 )F1=(管底部相当部曲げ長さ)/(帯板幅) (S12)F1=(管側部と管底部の境界部相当部曲げ長
さ)/(帯板幅) (S23)F1=(管側部と管エッジ部の境界部相当部曲げ
長さ)/(帯板幅) とした。
【0018】これら(S3 )F1、(S2 )F1、(S1 )
F1、(S12)F1、(S23)F1が条件(4)を満足するよ
うに第1フィンパスロールの穴型を形成する。 条件(4): (S3 )F1=0.10〜0.30、 (S2 )F1=0.20〜0.40、 (S1 )F1=0.15〜0.30、 (S12)F1=0.15〜0.30 (S23)F1=0.15〜0.30 (S3 )F1+(S2 )F1+(S1 )F1+(S12)F1
(S23)F1=1.0 そして、さらに第1フィンパスロールの穴型における各
曲げ要素の曲げ半径(ri )F1と製品半径rとの比、
(Ri )F1を、 (Ri )F1=(穴型各曲げ要素の曲げ半径(ri)F1)/
(製品半径r) と定義し、(Ri )F1を各曲げ要素についてそれぞれ、 (R3 )F1=(管エッジ部相当部曲げ半径( r3)F1)/
(製品半径r) (R2 )F1=(管側部相当部曲げ半径( r2)F1)/(製
品半径r) (R1 )F1=(管底部相当部曲げ半径( r1)F1)/(製
品半径r) (R12)F1=(管側部と管底部の境界部相当部曲げ半径
( r12) F1)/(製品半径r) (R23)F1=(管側部と管エッジ部の境界部相当部曲げ
半径( r12) F1)/(製品半径r) とした。
【0019】これら(R3 )F1、(R2 )F1、(R1 )
F1、(R12)F1、(R23)F1が条件(5)を満足するよ
うに穴型を形成する。 条件(5) (R3 )F1=1.0 〜1.1 、 (R2 )F1=1.5 〜5.0 、 (R1 )F1=0.9 〜1.1 、 (R12)F1=0.8 〜1.0 未満 (R23)F1=0.8 〜1.0 未満 そして、さらに第1フィンパスロール穴型の縦径H1 、
横径W1 が条件(6)を満足するように穴型を形成す
る。
【0020】条件(6) H1 /D=(穴型の縦径)/(製品外径)=1.1 〜1.5 W1 /D=(穴型の横径)/(製品外径)=0.8 〜0.95 上記した条件(4)〜(6)をすべて満足させることに
より、第1フィンパスロール通過後の素管断面形状が縦
長の小判型形状となり、かつ管円周方向の4箇所にオー
バーベンドを加えた形状となり、ロール疵、エッジウェ
ーブなどの成形不良、材料の異常な加工硬化を防止でき
後工程での真円形状への成形を容易とし、また、スクイ
ズロール前面でのVシェイプ角度の増大とエッジ突合せ
角度が減少でき溶接不良の発生を防止できる。
【0021】また、本発明では、複数のフィンパスロー
ルによる成形では、フィンパスロールによる円周方向の
全圧下率を2.0 %以下とするのが好ましい。円周方向の
全圧下率が2.0 %を超えると、加工硬化が顕著となり、
ハイドロフォーム加工時に減肉による亀裂が発生し易く
なり、大付加歪のハイドロフォーム加工の適用が困難と
なる。
【0022】ついで、円形素管の突き合わせ部(シーム
部)を溶接機で加熱し、スクイズロールでアップセット
して溶接接合し溶接管とする。シーム部の溶接は、電気
抵抗溶接(ERW)、レーザ等のエネルギービーム溶接
がいずれも好適である。また、スクイズロールは、2ロ
ールあるいは3ロール方式いずれも好適である。
【0023】スクイズロールでアップセットされるた
め、円形素管の両エッジ部は突き合わされるが、この
際、両エッジ部は、図4(a)に示すように、スクイズ
ロールの前面でVシェイプを形成し、また、両エッジ部
端面は、図4(b)に示すように、ある角度(エッジ突
き合わせ角度)を有している。本発明では、このVシェ
イプの角度θV を図4(a)のように定義し、スクイズ
ロール前面の50〜100mm の位置において、Vシェイプ角
度θV を3〜7°とするのが好ましい。θV が3°未満
では、溶接欠陥が発生しやすく、一方7°を超えると溶
接効率が低下し、高出力の溶接機を必要とする。
【0024】また、このエッジ突き合わせ角度θW を図
4(b)に示すように定義し、スクイズロール前面の50
〜100mm の位置において、θW が0〜7°とするのが好
ましい。θW が0°未満では、シームの形成が不安定と
なり形状不良となる。また、θW が7°を超えると突き
合わせがV型となり溶接不良が生じやすくなる。薄鋼帯
を用い、上記した製造方法で製造された溶接鋼管は、溶
接鋼管の伸びElpと鋼帯の伸びElsとの比、Elp
/Elsが0.6 以上、溶接鋼管の一様伸びElupと鋼帯
の一様伸びElusとの比、Elup/Elusが0.3 以上
で、溶接鋼管の降伏比YRpと鋼帯の降伏比YRsと
比、YRp/YRsが1.6 以下で、液圧限界バルジ比が
1.10以上を有し、ハイドロフォーミングに適した薄肉溶
接鋼管となる。上記した製造条件を外れると、上記した
特性の溶接鋼管の製造が困難となり、ハイドロフォーム
加工時に減肉による亀裂が発生しやすくなり、大付加歪
のハイドロフォーム加工が困難となる。また、本発明の
製造方法によれば、肉厚tと外径Dとの比、t/Dが0.
005 〜0.10であるハイドロフォーミングに適した薄肉溶
接鋼管を製造することができる。なお、本発明でいう、
液圧限界バルジ比とは、パイプ内部には液圧を付加して
バルジ成形しバーストさせたときのバルジ部周長lに対
するハイドロフォーム前の管周長l0 の比、l/l0
いう。
【0025】
【実施例】表1に示す組成を有する帯鋼(鋼帯)を、図
1に示すケージロール成形方式のミルを用いて表2に示
す製造条件で、表2に示す寸法の電縫溶接鋼管を製造し
た。帯鋼(鋼帯)および溶接鋼管のそれぞれから、圧延
方向または管軸方向にJIS12号引張試験片を採取し、
引張試験を実施し、降伏比YR(=降伏強さ/引張強
さ)、一様伸びElU 、全伸びElを測定した。その結
果を表3に示す。
【0026】また、これら溶接鋼管のシーム部の健全性
を、シーム90°偏平試験で調査した。その結果を表3に
併記する。なお、シーム90°偏平試験は、シーム位置を
時計の3時又は9時の方向にセットしたのち、パイプ内
表面同士が密着するまでパイプを偏平させ、シーム部の
割れの有無を調査する。さらに、これらの溶接鋼管につ
いて、ハイドロフォーム加工を施し、加工後の限界バル
ジ比を測定した。限界バルジ比はバーストするまでハイ
ドロフォームした後のバルジ周長lに対するハイドロフ
ォーム前の管周長l0 の比、l/l0 とした。その結果
を表3に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】表3から、本発明例は、厳しいハイドロフ
ォーム加工を施しても割れの発生はなく、優れた加工性
を有していることがわかる。これに比べ、本発明の範囲
を外れる比較例は、加工性が劣化している。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、厳しい液圧加工(ハイ
ドロフォーミング)にも耐えられる優れた加工性を有す
る薄肉溶接鋼管の製造が可能となり、自動車向け溶接鋼
管としてその用途が拡大され、産業上格段の効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適な溶接鋼管製造ラインの1例を示
す模式図である。
【図2】フィンパスロール成形前の素管断面形状を説明
する説明図である。
【図3】第1フィンパスロールの穴型形状を説明する説
明図である。
【図4】スクイズロールによる突き合わせ前の円形素管
の形状を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 エッジベンドロール 2、2a、2b、2c、2d センターベンドロール 3 ケージロール 4 フィンパスロール 5 スクイズロール

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼帯をエッジベンドロール、複数のセン
    ターベンドロール、ゲージロール群および複数のフィン
    パスロールにより連続的にロール成形し、突き合わせた
    シーム部を溶接してなる溶接鋼管であって、前記溶接鋼
    管の伸びElpと前記鋼帯の伸びElsとの比、Elp
    /Elsが0.6 以上、前記溶接鋼管の一様伸びElupと
    前記鋼帯の一様伸びElusとの比、Elup/Elusが0.
    3 以上で、前記溶接鋼管の降伏比YRpと前記鋼帯の降
    伏比YRsと比、YRp/YRsが1.6 以下で、液圧限
    界バルジ比が1.10以上を有することを特徴とするハイド
    ロフォーミングに適した薄肉溶接鋼管。
  2. 【請求項2】 帯板を、エッジベンドロールにより該帯
    板の両エッジ部を予め成形したのち、複数のセンターベ
    ンドロールとゲージロール群とにより前記帯板エッジ部
    から管側部となる位置を連続的に拘束しながら前記帯板
    の中央部を曲げ成形し、開口部を有し断面が管エッジ
    部、管側部、管底部およびそれらの境界部の各曲げ要素
    からなる縦長の小判型素管とし、ついで、該小判型素管
    に複数のフィンパスロールによりオーバーベンドと縦径
    の圧縮とを順次加えて円形素管に仕上加工したのち、突
    き合わせ部を溶接機で加熱し、スクイズロールでアップ
    セットして溶接接合する溶接管の製造方法であって、 前記フィンパスロール直前における前記小判型素管の断
    面形状または計画断面形状を、前記小判型素管断面にお
    ける各曲げ要素の長さと帯板の幅との比、S3、S2 、
    S1 、S12が下記条件(1)を満足し、さらに前記小判
    型素管断面における各曲げ要素の曲げ半径と製品半径と
    の比、R3 、R2 、R1 、R12が下記条件(2)を満足
    し、さらに前記小判型素管断面の縦径H0 、横径W0 、
    開口部幅We0の各寸法と、前記フィンパスロールの穴型
    形状の縦径H1 、横径W1 、フィン幅We1とのそれぞれ
    の比、H0 /H1 、W0 /W1 、We0/We1が下記条件
    (3)を満足する、形状とし、 かつ、前記複数のフィンパスロールのうちの第1フィン
    パスロールの穴型形状を、穴型における各曲げ要素の長
    さと帯板の幅との比、(S3 )F1、(S2 )F1、(S1
    F1、(S12)F1、(S23)F1が下記条件(4)を満
    足し、さらに穴型における各曲げ要素の曲げ半径と製品
    半径との比、(R3 )F1、(R2 )F1、(R1 )F1
    (R12)F1、(R23)F1が下記条件(5)を満足し、さ
    らに第1フィンパスロール穴型の縦径H1 、横径W1
    と、製品外径Dとの比、H1 /D、W1/Dが下記条件
    (6)を満足する、形状とし、 さらに、前記複数のフィンパスロールによる仕上成形
    を、円周方向の全圧下率が2.0 %以下とする成形とする
    ことを特徴とするハイドロフォーミングに適した溶接管
    の製造方法。 記 条件(1): S3 =(管エッジ部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.20〜0.
    40、 S2 =(管側部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.20〜0.40、 S1 =(管底部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.15〜0.30、 S12=(管側部と管底部の境界部曲げ長さ)/(帯板
    幅)=0.15〜0.30 S3 +S2 +S1 +S12=1.0 条件(2): R3 =(管エッジ部曲げ半径)/(製品半径)=1.0 〜
    1.4 、 R2 =(管側部曲げ半径)/(製品半径)=1.5 〜5.0
    、 R1 =(管底部曲げ半径)/(製品半径)=0.9 〜1.3
    、 R12=(管側部と管底部の境界部曲げ半径)/(製品半
    径)=0.8 〜1.2 条件(3): H0 /H1 =(素管の縦径)/(穴型の縦径)=1.0 〜
    1.3 、 W0 /W1 =(素管の横径)/(穴型の横径)=0.8 〜
    1.0 、 We0/We1=(素管の開口部幅)/(穴型のフィン幅)
    =0.8 〜2.0 条件(4) (S3 )F1=(穴型管エッジ部相当部長さ)/(帯板
    幅)=0.10〜0.30、 (S2 )F1=(穴型管側部相当部長さ)/(帯板幅)=
    0.20〜0.40、 (S1 )F1=(穴型管底部相当部長さ)/(帯板幅)=
    0.15〜0.30、 (S12)F1=(穴型管側部と管底部の境界部相当長さ)
    /(帯板幅)=0.15〜0.30 (S23)F1(穴型管側部と管エッジ部の境界部相当長
    さ)/(帯板幅)=0.15〜0.30 (S3 )F1+(S2 )F1+(S1 )F1+(S12)F1
    (S23)F1=1.0 条件(5) (R3 )F1=(管エッジ部曲げ半径)/(製品半径)=
    1.0 〜1.1 、 (R2 )F1=(管側部曲げ半径)/(製品半径)=1.5
    〜5.0 、 (R1 )F1=(管底部曲げ半径)/(製品半径)=0.9
    〜1.1 、 (R12)F1=(管側部と管底部の境界部曲げ半径)/
    (製品半径)=0.8 〜1.0 未満 (R23)F1=(管側部と管エッジ部の境界部曲げ半径)
    /(製品半径)=0.8 〜1.0 未満 条件(6) H1 /D=(穴型の縦径)/(製品外径)=1.1 〜1.5 W1 /D=(穴型の横径)/(製品外径)=0.8 〜0.95
  3. 【請求項3】 前記スクイズロール前面の50〜100mm の
    位置において、前記円形素管の突き合わせ部の両エッジ
    部が形成するVシェイプ角度θV を3〜7°、前記円形
    素管の突き合わせ部の両エッジ端面が形成するエッジ突
    き合わせ角度θw を0〜7°とすることを特徴とする請
    求項2に記載のハイドロフォーミングに適した溶接管の
    製造方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006085811A1 (en) * 2005-02-08 2006-08-17 Ortic 3D Ab A method and a production line for manufacturing a product by hydroforming
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