JP2000343135A - 加工性に優れた溶接鋼管およびその製造方法 - Google Patents
加工性に優れた溶接鋼管およびその製造方法Info
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Abstract
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 エッジベンドロール、センターベンドロ
ール、ゲージロール群により連続的にロール成形し、フ
ィンパスロールの入側直前での素管断面各曲げ要素にお
ける曲げ長さ比、曲げ半径比、フィンパスロールとの形
状寸法比を適正な形状とし、さらにフィンパスロール群
で成形するに際し、第1フィンパスロールの穴型形状
を、各曲げ要素の曲げ長さ比、曲げ半径比、製品外径に
対する形状寸法比が適正な形状となるように形成し、さ
らにフィンパスロール群での全圧下率を2%以下として
フィンパスロール群で成形したのち、溶接接合し溶接管
とする。
Description
り、とくに自動車の構造部材に用いて好適な加工性に優
れた薄肉溶接鋼管に関する。
スの排出を規制する動きが活発となっており、とくに、
自動車の軽量化による燃費改善が注目されている。なか
でもシャーシ、フレーム等の構造部材の軽量化が指向さ
れ、モノコック構造等軽量化のための構造上の提案が数
多くなされている。これらの構造を従来のように板材を
プレス加工して製造すると歩留りが低く、製造コストが
増加するため、板材に代えて、パイプを用いたパイプ構
造とすることが考えられている。パイプ構造は、軽量で
高剛性を有するうえ、液圧加工を利用することができ、
1回で所定の一体形状に成形できるという利点がある。
所定の形状に加工するためには、液圧加工(ハイドロフ
ォーミング)といえども厳しい加工を施される部分が多
く、従来の鋼管では、減肉による強度や剛性の低下、あ
るいは加工中に割れが発生し製品とすることができない
という問題があった。
液圧加工(ハイドロフォーミング)に適した溶接鋼管お
よび溶接管の製造方法を提供することを目的とする。
(ハイドロフォーミング)における鋼管の変形と鋼管特
性について鋭意検討し、液圧加工(ハイドロフォーミン
グ)に適した溶接鋼管は、大歪加工に耐えうる材料特性
が必要なことから、帯板とほぼ同等の高い伸びと低い降
伏比を有することが必要であるとの知見を得た。さら
に、軽量化の観点から、t/Dの小さい薄肉鋼管の使用
が適切であるという知見を得た。また、さらに、このよ
うな鋼管とするためには、素管の成形条件、とくに素管
の断面形状、あるいはフィンパスロールの穴型形状、フ
ィンパスロールでの円周方向全圧下率を適正範囲とする
必要があることを知見した。
たものである。すなわち、第1の本発明は、鋼帯をエッ
ジベンドロール、複数のセンターベンドロール、ゲージ
ロール群および複数のフィンパスロールにより連続的に
ロール成形し、突き合わせたシーム部を溶接してなる溶
接鋼管であって、前記溶接鋼管の伸びElpと前記鋼帯
の伸びElsとの比、Elp/Elsが0.6 以上、前記
溶接鋼管の一様伸びElupと前記鋼帯の一様伸びElus
との比、Elup/Elusが0.3 以上で、前記溶接鋼管の
降伏比YRpと前記鋼帯の降伏比YRsと比、YRp/
YRsが1.6 以下で、液圧限界バルジ比が1.10以上を有
することを特徴とするハイドロフォーミングに適した薄
肉溶接鋼管であり、また、本発明では、ハイドロフォー
ム部品の軽量化の観点から、前記溶接鋼管の肉厚tと外
径Dとの比、t/Dを0.005 〜0.10とするのが好まし
い。
ンドロールにより該帯板の両エッジ部を予め成形したの
ち、複数のセンターベンドロールとゲージロール群とに
より前記帯板エッジ部から管側部となる位置を連続的に
拘束しながら前記帯板の中央部を曲げ成形し、開口部を
有し断面が管エッジ部、管側部、管底部およびそれらの
境界部の各曲げ要素からなる縦長の小判型素管とし、つ
いで、該小判型素管に複数のフィンパスロールによりオ
ーバーベンドと縦径の圧縮とを順次加えて円形素管に仕
上成形したのち、突き合わせ部を溶接機で加熱し、スク
イズロールでアップセットして溶接接合する溶接管の製
造方法であって、前記フィンパスロール直前における前
記小判型素管の断面形状または計画断面形状を、前記小
判型素管断面における各曲げ要素の長さと帯板の幅との
比、S3、S2 、S1 、S12が次条件(1) 条件(1): S3 =(管エッジ部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.20〜0.
40、 S2 =(管側部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.20〜0.40、 S1 =(管底部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.15〜0.30、 S12=(管側部と管底部の境界部曲げ長さ)/(帯板
幅)=0.15〜0.30 S3 +S2 +S1 +S12=1.0 を満足し、さらに前記小判型素管断面における各曲げ要
素の曲げ半径と製品半径との比、R3 、R2 、R1 、R
12が次条件(2) 条件(2): R3 =(管エッジ部曲げ半径)/(製品半径)=1.0 〜
1.4 、 R2 =(管側部曲げ半径)/(製品半径)=1.5 〜5.0
、 R1 =(管底部曲げ半径)/(製品半径)=0.9 〜1.3
、 R12=(管側部と管底部の境界部曲げ半径)/(製品半
径)=0.8 〜1.2 を満足し、さらに前記小判型素管断面の縦径H0 、横径
W0 、開口部幅We0の各寸法と、前記フィンパスロール
の穴型形状の縦径H1 、横径W1 、フィン幅We1とのそ
れぞれの比、H0 /H1 、W0 /W1 、We0/We1が次
条件(3) 条件(3): H0 /H1 =(素管の縦径)/(穴型の縦径)=1.0 〜
1.3 、 W0 /W1 =(素管の横径)/(穴型の横径)=0.8 〜
1.0 、 We0/We1=(素管の開口部幅)/(穴型のフィン幅)
=0.8 〜2.0 を満足する形状とし、かつ、前記複数のフィンパスロー
ルのうちの第1フィンパスロールの穴型形状を、穴型に
おける各曲げ要素の長さと帯板の幅との比、(S3
)F1、(S2 )F1、(S1 )F1、(S12)F1、(S2
3)F1が次条件(4) 条件(4) (S3 )F1=(穴型管エッジ部相当部長さ)/(帯板
幅)=0.10〜0.30、 (S2 )F1=(穴型管側部相当部長さ)/(帯板幅)=
0.20〜0.40、 (S1 )F1=(穴型管底部相当部長さ)/(帯板幅)=
0.15〜0.30、 (S12)F1=(穴型管側部と管底部の境界部相当長さ)
/(帯板幅)=0.15〜0.30 (S23)F1=(穴型管側部と管エッジ部の境界部相当長
さ)/(帯板幅)=0.15〜0.30 (S3 )F1+(S2 )F1+(S1 )F1+(S12)F1+
(S23)F1=1.0 を満足し、さらに穴型における各曲げ要素の曲げ半径と
製品半径との比、(R3)F1、(R2 )F1、(R1
)F1、(R12)F1、(R23)F1が次条件(5) 条件(5) (R3 )F1=(管エッジ部曲げ半径)/(製品半径)=
1.0 〜1.1 、 (R2 )F1=(管側部曲げ半径)/(製品半径)=1.5
〜5.0 、 (R1 )F1=(管底部曲げ半径)/(製品半径)=0.9
〜1.1 、 (R12)F1=(管側部と管底部の境界部曲げ半径)/
(製品半径)=0.8 〜1.0 未満 (R23)F1=(管側部と管エッジ部の境界部曲げ半径)
/(製品半径)=0.8 〜1.0 未満 を満足し、さらに第1フィンパスロール穴型の縦径H1
、横径W1 と、製品外径Dとの比、H1 /D、W1 /
Dが次条件(6) 条件(6) H1 /D=(穴型の縦径)/(製品外径)=1.1 〜1.5 W1 /D=(穴型の横径)/(製品外径)=0.8 〜0.95 を満足する、形状とし、さらに、前記複数のフィンパス
ロールによる仕上成形を、円周方向の全圧下率が2.0 %
以下とする仕上成形とすることを特徴とするハイドロフ
ォーミングに適した溶接管の製造方法であり、また、第
2の本発明では、前記スクイズロール前面の50〜100mm
の位置において、前記円形素管の突き合わせ部の両エッ
ジ部が形成するVシェイプ角度θV を3〜7°、前記円
形素管の突き合わせ部の両エッジ端面が形成するエッジ
突き合わせ角度θw を0〜7°とするとのが好適であ
る。
圧限界バルジ比が1.10以上(製品周長に対し加工後の周
長が110 %以上)となる大歪付加のハイドロフォーム加
工を施すことが可能となる。
ステンレス鋼鋼管、あるいは炭素鋼鋼管とすることがで
きる。ステンレス鋼としては、オーステナイト系ステン
レス鋼、フェライト系ステンレス鋼が好適である。オー
ステナイト系ステンレス鋼はSUS304 、SUS316 、
SUS321 が好適であり、組成としては、重量%で、
C:0.1%以下、Si:1.0 %以下、Mn:0.1 〜2 %、C
r:16〜25%、Ni:8 〜20%を含有し、残部Feおよび不
可避的不純物である。
SUS410 、SUS430 が好適であり、組成としては、
重量%で、C:0.1 %以下、Si:1.0 %以下、Mn:0.1
〜1%、Cr:11〜20%、Mo:0.05〜0.7 %、Nb:0.1 〜
0.7 %を含有し、残部Feおよび不可避的不純物である。
不可避的不純物としては、N:0.01%以下が許容でき
る。
である。STKM11の組成は、重量%で、C:0.01〜0.12
%、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.1〜0.60%を含有し、残
部Feおよび不可避的不純物である。STKM12の組成は、重
量%で、C:0.01〜0.2 %、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.
1〜0.60%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物であ
る。
25%、Si:0.01〜0.35%、Mn:0.3〜0.9 %を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物である。上記した組成の帯
板を、連続してロール成形して円形状の素管を成形し、
突き合わせた縫目(シーム部)を溶接し、溶接鋼管とす
る。本発明の溶接管の製造方法では、図1に示すよう
に、帯板(鋼帯)6を、図1に示すように、エッジベン
ドロール1により帯板の両エッジ部を予め成形したの
ち、複数のセンターベンドロール2a、2b、2c、2
dとゲージロール群3とにより帯板エッジ部から管側部
となる位置を連続的に拘束しながら、帯板の中央部を曲
げ成形し、図2に示すような、開口部を有し断面が管エ
ッジ部、管側部、管底部およびそれらの境界部の各曲げ
要素からなる縦長の小判型素管とする。ついで、該小判
型素管に複数のフィンパスロール4によりオーバーベン
ドと縦径の圧縮とを順次加えて円形素管に仕上成形した
のち、突き合わせ部を溶接機で加熱し、スクイズロール
5でアップセットして溶接接合して溶接管とする。
の入側直前における小判型素管の断面形状または計画断
面形状を、条件(1)、(2)、(3)を満足するよう
な適正形状に調整する。まず、小判型素管断面におい
て、曲げ半径が同じ部分を一つの曲げ要素とし、素管断
面の各曲げ要素を、図2に示すように、管エッジ部、管
側部、管側部と管底部との境界部、管底部と称した。素
管断面での各曲げ要素の長さを曲げ長さとして、各曲げ
要素の長さと帯板幅の比、Si を、 Si =(各曲げ要素の長さ)/(帯板幅) と定義し、管エッジ部、管側部、管側部と管底部との境
界部、管底部について、Si をそれぞれ、 S3 =(管エッジ部曲げ長さ)/(帯板幅) S2 =(管側部曲げ長さ)/(帯板幅) S1 =(管底部曲げ長さ)/(帯板幅) S12=(管側部と管底部の境界部曲げ長さ)/(帯板
幅) とした。
(1)を満足するようにエッジベンドロール1、センタ
ーベンドロール2a、2b、2c、2dのロ─ル接触幅
を設計するとともに、エッジベンドロール1、センター
ベンドロール2a、2b、2c、2dおよびケージロー
ル3のロール位置を調節する。 条件(1): S3 =0.20〜0.40、 S2 =0.20〜0.40、 S1 =0.15〜0.30、 S12=0.15〜0.30 S3 +S2 +S1 +S12=1.0 そして、さらに小判型素管断面における各曲げ要素の曲
げ半径ri と製品半径rとの比、Ri を、 Ri =(各曲げ要素の曲げ半径ri)/(製品半径r) と定義し、Ri を各曲げ要素についてそれぞれ、 R3 =(管エッジ部曲げ半径r3 )/(製品半径r) R2 =(管側部曲げ半径r2 )/(製品半径r) R1 =(管底部曲げ半径r1 )/(製品半径r) R12=(管側部と管底部の境界部曲げ半径r12)/(製
品半径r) とした。
(2)を満足するようにエッジベンドロール1、センタ
ーベンドロ─ル2a、2b、2c、2dのロール曲率半
径を設計するとともに、エッジベンドロール1、センタ
ーベンドロール2a、2b、2c、2dおよびケージロ
ール3のロール位置を調節する。 条件(2): R3 =1.0 〜1.4 、 R2 =1.5 〜5.0 、 R1 =0.9 〜1.3 、 R12=0.8 〜1.2 そして、さらに、小判型素管断面の縦径H0 、横径W0
、開口部幅We0と、第1フィンパスロールの穴型の縦
径H1 、横径W1 、フィン幅We1とを、条件(3)が満
足するようにエッジベンドロール1、センターベンドロ
ール2a、2b、2c、2dおよびケージロール3のロ
ール位置を調整する。
1.3 、 W0 /W1 =(素管の横径)/(穴型の横径)=0.8 〜
1.0 、 We0/We1=(素管の開口部幅)/(穴型のフィン幅)
=0.8 〜2.0 上記した条件(1)〜(3)をすべて満足することによ
り、フィンパスロール前の素管の形状を縦長の小判型形
状とし、さらに第1フィンパスロールへの素管の進入を
円滑とし、ロール疵、エッジウェーブなどの成形不良の
発生を防止する。
面形状が、上記した(1)〜(3)の条件を満足するこ
とに加え、さらに、複数のフィンパスロールのうちの第
1フィンパスロールの穴型形状を、条件(4)〜(6)
が満足する形状とする。第1フィンパスロールの穴型に
おいて、図3に示すように、素管断面での各曲げ要素に
対応して、曲げ半径が同じ部分を素管曲げ要素相当部と
称し、例えば、管エッジ部に対応する穴型の部分を管エ
ッジ部相当部という。そして、第1フィンパスロールの
穴型における各曲げ要素の長さと帯板幅との比、(Si
)F1を、 (Si )F1=(穴型各曲げ要素の長さ)/(帯板幅) と定義した。(Si )F1を各素管曲げ要素相当部につい
てそれぞれ、 (S3 )F1=(管エッジ部相当部曲げ長さ)/(帯板
幅) (S2 )F1=(管側部相当部曲げ長さ)/(帯板幅) (S1 )F1=(管底部相当部曲げ長さ)/(帯板幅) (S12)F1=(管側部と管底部の境界部相当部曲げ長
さ)/(帯板幅) (S23)F1=(管側部と管エッジ部の境界部相当部曲げ
長さ)/(帯板幅) とした。
F1、(S12)F1、(S23)F1が条件(4)を満足するよ
うに第1フィンパスロールの穴型を形成する。 条件(4): (S3 )F1=0.10〜0.30、 (S2 )F1=0.20〜0.40、 (S1 )F1=0.15〜0.30、 (S12)F1=0.15〜0.30 (S23)F1=0.15〜0.30 (S3 )F1+(S2 )F1+(S1 )F1+(S12)F1+
(S23)F1=1.0 そして、さらに第1フィンパスロールの穴型における各
曲げ要素の曲げ半径(ri )F1と製品半径rとの比、
(Ri )F1を、 (Ri )F1=(穴型各曲げ要素の曲げ半径(ri)F1)/
(製品半径r) と定義し、(Ri )F1を各曲げ要素についてそれぞれ、 (R3 )F1=(管エッジ部相当部曲げ半径( r3)F1)/
(製品半径r) (R2 )F1=(管側部相当部曲げ半径( r2)F1)/(製
品半径r) (R1 )F1=(管底部相当部曲げ半径( r1)F1)/(製
品半径r) (R12)F1=(管側部と管底部の境界部相当部曲げ半径
( r12) F1)/(製品半径r) (R23)F1=(管側部と管エッジ部の境界部相当部曲げ
半径( r12) F1)/(製品半径r) とした。
F1、(R12)F1、(R23)F1が条件(5)を満足するよ
うに穴型を形成する。 条件(5) (R3 )F1=1.0 〜1.1 、 (R2 )F1=1.5 〜5.0 、 (R1 )F1=0.9 〜1.1 、 (R12)F1=0.8 〜1.0 未満 (R23)F1=0.8 〜1.0 未満 そして、さらに第1フィンパスロール穴型の縦径H1 、
横径W1 が条件(6)を満足するように穴型を形成す
る。
より、第1フィンパスロール通過後の素管断面形状が縦
長の小判型形状となり、かつ管円周方向の4箇所にオー
バーベンドを加えた形状となり、ロール疵、エッジウェ
ーブなどの成形不良、材料の異常な加工硬化を防止でき
後工程での真円形状への成形を容易とし、また、スクイ
ズロール前面でのVシェイプ角度の増大とエッジ突合せ
角度が減少でき溶接不良の発生を防止できる。
ルによる成形では、フィンパスロールによる円周方向の
全圧下率を2.0 %以下とするのが好ましい。円周方向の
全圧下率が2.0 %を超えると、加工硬化が顕著となり、
ハイドロフォーム加工時に減肉による亀裂が発生し易く
なり、大付加歪のハイドロフォーム加工の適用が困難と
なる。
部)を溶接機で加熱し、スクイズロールでアップセット
して溶接接合し溶接管とする。シーム部の溶接は、電気
抵抗溶接(ERW)、レーザ等のエネルギービーム溶接
がいずれも好適である。また、スクイズロールは、2ロ
ールあるいは3ロール方式いずれも好適である。
め、円形素管の両エッジ部は突き合わされるが、この
際、両エッジ部は、図4(a)に示すように、スクイズ
ロールの前面でVシェイプを形成し、また、両エッジ部
端面は、図4(b)に示すように、ある角度(エッジ突
き合わせ角度)を有している。本発明では、このVシェ
イプの角度θV を図4(a)のように定義し、スクイズ
ロール前面の50〜100mm の位置において、Vシェイプ角
度θV を3〜7°とするのが好ましい。θV が3°未満
では、溶接欠陥が発生しやすく、一方7°を超えると溶
接効率が低下し、高出力の溶接機を必要とする。
4(b)に示すように定義し、スクイズロール前面の50
〜100mm の位置において、θW が0〜7°とするのが好
ましい。θW が0°未満では、シームの形成が不安定と
なり形状不良となる。また、θW が7°を超えると突き
合わせがV型となり溶接不良が生じやすくなる。薄鋼帯
を用い、上記した製造方法で製造された溶接鋼管は、溶
接鋼管の伸びElpと鋼帯の伸びElsとの比、Elp
/Elsが0.6 以上、溶接鋼管の一様伸びElupと鋼帯
の一様伸びElusとの比、Elup/Elusが0.3 以上
で、溶接鋼管の降伏比YRpと鋼帯の降伏比YRsと
比、YRp/YRsが1.6 以下で、液圧限界バルジ比が
1.10以上を有し、ハイドロフォーミングに適した薄肉溶
接鋼管となる。上記した製造条件を外れると、上記した
特性の溶接鋼管の製造が困難となり、ハイドロフォーム
加工時に減肉による亀裂が発生しやすくなり、大付加歪
のハイドロフォーム加工が困難となる。また、本発明の
製造方法によれば、肉厚tと外径Dとの比、t/Dが0.
005 〜0.10であるハイドロフォーミングに適した薄肉溶
接鋼管を製造することができる。なお、本発明でいう、
液圧限界バルジ比とは、パイプ内部には液圧を付加して
バルジ成形しバーストさせたときのバルジ部周長lに対
するハイドロフォーム前の管周長l0 の比、l/l0 を
いう。
1に示すケージロール成形方式のミルを用いて表2に示
す製造条件で、表2に示す寸法の電縫溶接鋼管を製造し
た。帯鋼(鋼帯)および溶接鋼管のそれぞれから、圧延
方向または管軸方向にJIS12号引張試験片を採取し、
引張試験を実施し、降伏比YR(=降伏強さ/引張強
さ)、一様伸びElU 、全伸びElを測定した。その結
果を表3に示す。
を、シーム90°偏平試験で調査した。その結果を表3に
併記する。なお、シーム90°偏平試験は、シーム位置を
時計の3時又は9時の方向にセットしたのち、パイプ内
表面同士が密着するまでパイプを偏平させ、シーム部の
割れの有無を調査する。さらに、これらの溶接鋼管につ
いて、ハイドロフォーム加工を施し、加工後の限界バル
ジ比を測定した。限界バルジ比はバーストするまでハイ
ドロフォームした後のバルジ周長lに対するハイドロフ
ォーム前の管周長l0 の比、l/l0 とした。その結果
を表3に示す。
ォーム加工を施しても割れの発生はなく、優れた加工性
を有していることがわかる。これに比べ、本発明の範囲
を外れる比較例は、加工性が劣化している。
ドロフォーミング)にも耐えられる優れた加工性を有す
る薄肉溶接鋼管の製造が可能となり、自動車向け溶接鋼
管としてその用途が拡大され、産業上格段の効果を奏す
る。
す模式図である。
する説明図である。
明図である。
の形状を説明する説明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 鋼帯をエッジベンドロール、複数のセン
ターベンドロール、ゲージロール群および複数のフィン
パスロールにより連続的にロール成形し、突き合わせた
シーム部を溶接してなる溶接鋼管であって、前記溶接鋼
管の伸びElpと前記鋼帯の伸びElsとの比、Elp
/Elsが0.6 以上、前記溶接鋼管の一様伸びElupと
前記鋼帯の一様伸びElusとの比、Elup/Elusが0.
3 以上で、前記溶接鋼管の降伏比YRpと前記鋼帯の降
伏比YRsと比、YRp/YRsが1.6 以下で、液圧限
界バルジ比が1.10以上を有することを特徴とするハイド
ロフォーミングに適した薄肉溶接鋼管。 - 【請求項2】 帯板を、エッジベンドロールにより該帯
板の両エッジ部を予め成形したのち、複数のセンターベ
ンドロールとゲージロール群とにより前記帯板エッジ部
から管側部となる位置を連続的に拘束しながら前記帯板
の中央部を曲げ成形し、開口部を有し断面が管エッジ
部、管側部、管底部およびそれらの境界部の各曲げ要素
からなる縦長の小判型素管とし、ついで、該小判型素管
に複数のフィンパスロールによりオーバーベンドと縦径
の圧縮とを順次加えて円形素管に仕上加工したのち、突
き合わせ部を溶接機で加熱し、スクイズロールでアップ
セットして溶接接合する溶接管の製造方法であって、 前記フィンパスロール直前における前記小判型素管の断
面形状または計画断面形状を、前記小判型素管断面にお
ける各曲げ要素の長さと帯板の幅との比、S3、S2 、
S1 、S12が下記条件(1)を満足し、さらに前記小判
型素管断面における各曲げ要素の曲げ半径と製品半径と
の比、R3 、R2 、R1 、R12が下記条件(2)を満足
し、さらに前記小判型素管断面の縦径H0 、横径W0 、
開口部幅We0の各寸法と、前記フィンパスロールの穴型
形状の縦径H1 、横径W1 、フィン幅We1とのそれぞれ
の比、H0 /H1 、W0 /W1 、We0/We1が下記条件
(3)を満足する、形状とし、 かつ、前記複数のフィンパスロールのうちの第1フィン
パスロールの穴型形状を、穴型における各曲げ要素の長
さと帯板の幅との比、(S3 )F1、(S2 )F1、(S1
)F1、(S12)F1、(S23)F1が下記条件(4)を満
足し、さらに穴型における各曲げ要素の曲げ半径と製品
半径との比、(R3 )F1、(R2 )F1、(R1 )F1、
(R12)F1、(R23)F1が下記条件(5)を満足し、さ
らに第1フィンパスロール穴型の縦径H1 、横径W1
と、製品外径Dとの比、H1 /D、W1/Dが下記条件
(6)を満足する、形状とし、 さらに、前記複数のフィンパスロールによる仕上成形
を、円周方向の全圧下率が2.0 %以下とする成形とする
ことを特徴とするハイドロフォーミングに適した溶接管
の製造方法。 記 条件(1): S3 =(管エッジ部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.20〜0.
40、 S2 =(管側部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.20〜0.40、 S1 =(管底部曲げ長さ)/(帯板幅)=0.15〜0.30、 S12=(管側部と管底部の境界部曲げ長さ)/(帯板
幅)=0.15〜0.30 S3 +S2 +S1 +S12=1.0 条件(2): R3 =(管エッジ部曲げ半径)/(製品半径)=1.0 〜
1.4 、 R2 =(管側部曲げ半径)/(製品半径)=1.5 〜5.0
、 R1 =(管底部曲げ半径)/(製品半径)=0.9 〜1.3
、 R12=(管側部と管底部の境界部曲げ半径)/(製品半
径)=0.8 〜1.2 条件(3): H0 /H1 =(素管の縦径)/(穴型の縦径)=1.0 〜
1.3 、 W0 /W1 =(素管の横径)/(穴型の横径)=0.8 〜
1.0 、 We0/We1=(素管の開口部幅)/(穴型のフィン幅)
=0.8 〜2.0 条件(4) (S3 )F1=(穴型管エッジ部相当部長さ)/(帯板
幅)=0.10〜0.30、 (S2 )F1=(穴型管側部相当部長さ)/(帯板幅)=
0.20〜0.40、 (S1 )F1=(穴型管底部相当部長さ)/(帯板幅)=
0.15〜0.30、 (S12)F1=(穴型管側部と管底部の境界部相当長さ)
/(帯板幅)=0.15〜0.30 (S23)F1(穴型管側部と管エッジ部の境界部相当長
さ)/(帯板幅)=0.15〜0.30 (S3 )F1+(S2 )F1+(S1 )F1+(S12)F1+
(S23)F1=1.0 条件(5) (R3 )F1=(管エッジ部曲げ半径)/(製品半径)=
1.0 〜1.1 、 (R2 )F1=(管側部曲げ半径)/(製品半径)=1.5
〜5.0 、 (R1 )F1=(管底部曲げ半径)/(製品半径)=0.9
〜1.1 、 (R12)F1=(管側部と管底部の境界部曲げ半径)/
(製品半径)=0.8 〜1.0 未満 (R23)F1=(管側部と管エッジ部の境界部曲げ半径)
/(製品半径)=0.8 〜1.0 未満 条件(6) H1 /D=(穴型の縦径)/(製品外径)=1.1 〜1.5 W1 /D=(穴型の横径)/(製品外径)=0.8 〜0.95 - 【請求項3】 前記スクイズロール前面の50〜100mm の
位置において、前記円形素管の突き合わせ部の両エッジ
部が形成するVシェイプ角度θV を3〜7°、前記円形
素管の突き合わせ部の両エッジ端面が形成するエッジ突
き合わせ角度θw を0〜7°とすることを特徴とする請
求項2に記載のハイドロフォーミングに適した溶接管の
製造方法。
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