JP4399954B2 - ハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の構造部材や足回り部材などに用いて好適な鋼管であって、とくにハイドロフォーミングにおける成形加工性(ハイドロフォーミング性)に優れる構造用電縫鋼管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の構造部材として用いられる、種々の断面形状をもつ中空部材を製造するには、従来、鋼板のプレス加工によって成形した部品同士をその溶接代であるフランジ部でスポット溶接して接合する方法が採用されてきたが、品質の面でも、生産効率の面でも改善が求められていた。
一方、最近になり、構造用の中空部材に対して、衝突時のより高い衝撃吸収能が求められるようになり、素材として用いられる鋼板が一層高強度化してきた。このため、従来のプレス成形による方法では、成形欠陥がなく、また成形品の形状や寸法精度が良好な部材を製造することが次第に困難になってきている。
【0003】
このような問題を解決するための新しい成形方法として、最近、ハイドロフォーミングが注目されている。ハイドロフォーミングは、鋼管の内部に高圧液体を注入して塑性加工を行う方法であり、鋼管の断面寸法を拡管加工などにより変化させて、複雑形状部材の一体成形をはかるとともに、強度・剛性を高める機能をもつ優れた成形法である。
ところで、ハイドロフォーミングに供される鋼管としては、一般に、C:0.20〜0.10%の中、低炭素鋼からなる素材で製造した電縫鋼管が用いられることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかるC量を含む電縫鋼管にハイドロフォーミングを施しても、素材そのものの加工性がよくないために、十分な拡管率が得られないという問題があった。なお、ハイドロフォーミングにおける拡管率を高めるには、管軸方向に軸力を加える方法もあるが、この方法は管が長手方向に大きく曲がっているようなデザインの管の成形の場合には有効ではない。
一方、電縫鋼管の素材そのものの加工性を高めるために、炭素量を著しく低減した極低炭素鋼を素材に用いることが考えられる。しかし、従来の極低炭素鋼を用いて製造した電縫鋼管は、延性には優れているものの、溶接に起因した別の問題を生じていた。すなわち、従来の極低炭素電縫鋼管では、鋼管製造時の電気抵抗溶接で溶接部(溶接熱影響部)の結晶粒が粗大化して軟化して、拡管成形での変形が局部的に集中し、素材がもつ高延性を十分に発揮できないこと、また、ハイドロフォームした部材を他の部材と溶接した場合にも、同様な軟化が生じて部材として必要な静的強度や疲労強度が得られなくなることなどである。
【0005】
そこで、本発明は、従来の極低炭素鋼管が抱えていた上記問題を解消した、ハイドロフォーミングに適した電縫鋼管についての新たな提案を行うものである。とくに、この発明は、極低炭素鋼の優れた加工性を損なうことなく、溶接による結晶粒の粗大化、軟化を抑制した、ハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管を提供することを目的とする。
また、本発明鋼管が目指す具体的な目標特性は、(鋼管のTS)×(管端固定条件での拡管率)で表したハイドロフォーミング性が 9000 MPa・%以上であり、溶接部の軟化抵抗を表す指標として用いる溶接部の最低硬さ(Hv(min))と鋼管素材の硬さ(Hv(素材))との比Hv(min) /Hv(素材)が0.90以上であるものとする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題を達成するために、電縫鋼管の成分組成、製造方法などについて種々の検討を重ねた。その結果、溶接による結晶粒の粗大化、軟化を効果的に抑制するためには、NbとBを複合添加するとともにTi、Zrのいずれか一方を添加すること、継ぎ目部を電気抵抗溶接して造管した後に絞り率0.3 〜10%のサイジング(縮径)を行うことが有効であることを見いだした。本発明は上記知見を基にして完成したものであり、その要旨構成は次のとおりである。
【0007】
(1)鋼組成が、質量%でC:0.001〜0.01%未満、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.015%以下、Al:0.01〜0.10%、Nb:0.01〜0.10%、B:0.001〜0.010%、Ti:0.10%以下を含有し、さらに、C、Nb、Tiは、(12/48){Ti(%)/C(%)}+(12/93){Nb(%)/C(%)}+(12/91){Zr(%)/C(%)}の値が1.0以上となる範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の鋼組成からなるスラブを熱間圧延した、または熱間圧延後さらに冷間圧延−焼鈍した、熱延または冷延の帯状素材を円筒状に成形した後、継目部を電気抵抗溶接し、次いで、外周長の絞り率で0.3〜10%のサイジングを施した電縫鋼管であって、管端固定条件のもとでのハイドロフォームによる拡管率(%)と鋼管のTS(MPa)が、拡管率(%)×TS(MPa)≧9000MPa・%を満たすことを特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管。
【0008】
上記(1)において、鋼組成が、上記成分のほか、さらに、Zr:0.10%以下、Mo:0.002〜0.5%およびCr:0.02〜1.0%のうちのいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管。
【0009】
(3)質量%でC:0.001〜0.01%未満、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:0.015%以下、Al:0.01〜0.10%、Nb:0.01〜0.10%、B:0.001〜0.010%、Ti:0.10%以下を含有し、さらに、C、Nb、Tiは、(12/48){Ti(%)/C(%)}+(12/93){Nb(%)/C(%)}+(12/91){Zr(%)/C(%)}の値が1.0以上となる範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の鋼組成からなるスラブを熱間圧延した、または熱間圧延後さらに冷間圧延−焼鈍した、熱延または冷延の帯状素材を円筒状に成形した後、継目部を電気抵抗溶接し、次いで、外周長の絞り率で0.3〜10%のサイジングを施すことにより、管端固定条件のもとでのハイドロフォームによる拡管率(%)と鋼管のTS(MPa)が、拡管率(%)×TS(MPa)≧9000MPa・%を満たす電縫鋼管を得ることを特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管の製造方法。
(4)上記(3)において、鋼組成が、上記成分のほか、さらに、Zr:0.10%以下、Mo:0.002〜0.5%およびCr:0.02〜1.0%のうちのいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
はじめに、この発明における鋼成分の限定理由について説明する。
C:0.001 〜0.01%
Cは、電縫鋼管の成形性を低下させる元素であるので、0.01%未満の極低炭素領域とする。しかし、0.001 %に満たないC含有量では、後述するNb、Bの複合添加によっても、溶接部の結晶粒の粗大化を抑制することが困難になるので、C量は0.001 〜0.01%未満の範囲とする。
【0011】
Si:1.0 %以下
Siは、鋼の強化に有用な元素であり、所望の強度に応じて添加する。しかし、1.0 %を超えて添加すると、添加効果が飽和するだけでなく、2次加工脆化が生じやすくなるので、1.0 %以下の範囲で添加する。
【0012】
Mn:2.0 %以下
Mnは、表面性状および溶接性を低下させることなく、強度を向上させるのに有効な元素であるが、2.0 %を超えて添加すると、添加効果が飽和するだけでなく、2次加工脆化が生じやすくなるので、Mn含有量は2.0 %以下とする。
【0013】
P:0.15%以下
Pは、強度の向上に有効な元素であるが、0.15%を超えて添加すると、添加効果が飽和するだけでなく、2次加工脆化が生じやすくなるので、0.15%以下の範囲で含有させる。
【0014】
S:0.015 %以下
Sは、鋼中で非金属介在物として存在し、これが起点となってハイドロフォーム時に鋼管を破断させる恐れがある。このため、S量は低いほど耐バースト性が改善されて、その効果は0.015 %以下であればあらわれる。なお、耐バースト性の一層の向上には、好ましくは0.010 %以下、さらに好ましくは0.005 %以下に制限するのがよい。
【0015】
Al:0.01〜0.10%、
Alは、鋼の脱酸作用を有する有用な元素であるので、0.01%以上の添加が必要である。一方、0.1 %を超えて多量に添加しても、その効果が飽和するだけでなく、かえって鋼板の表面欠陥を生じてしまう。よって、Alは0.01〜0.10%の範囲で添加する。
【0016】
Nb:0.01〜0.10%
Nbは、Bと複合添加することにより、とくに電気抵抗溶接(電縫溶接)で生じた溶接熱影響部の結晶粒を微細化し、軟化を抑制して、ハイドロフォーミング性を向上させるのに有用な元素である。
このような複合添加による効果を示す実験結果を図1に示す。この実験では、鋼成分をC:0.003 %、Si:0.05%、Mn:0.3 %、P:0.1 %、S:0.005 %、Al:0.04%、Ti:0.05%で、Nbを0.005 %と0.015 %に、Bを0 〜0.0030%の範囲で種々変えた、板厚2.0 mmの熱延鋼板から製造した電縫鋼管に対して、後述する自由バルジ試験を行い、ハイドロフォームによる拡管率を調査した。なお、電縫鋼管を製造するに当たっては、造管後に外周長の絞り率で2%のサイジング(縮径)を行った。
図1から、Nb、Bとも拡管率を向上させる効果が見られるが、この効果はとくにNb:0.015 %、B:0.0010%以上(10 ppm 以上) とすることで顕著にあらわれることがわかる。このような、効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、オーステナイトの粒成長が抑制されて、冷却時に粒界からのフェライト変態を促進したことが考えられる。
このようなNbの添加効果は0.01%以上であらわれる。一方、0.10%を超えて添加してもその効果が飽和し、コスト上不利となるので、Nbは0.01〜0.10%の範囲で添加する。
【0017】
B:0.001 〜0.010 %
Bは、図1で示したように、Nbとの複合添加により、とくに電縫溶接で生じた溶接熱影響部の結晶粒を微細化して、軟化を抑制し、ハイドロフォーミング性を向上させるのに有用な元素である。Bはオーステナイトの粒界に偏析し、冷却速度が比較的小さいときでも、熱影響部では、高温でのフェライト変態が抑制されるために、微細なフェライト粒や低温変態組織が形成されると思われる。
このようなBの添加効果は0.001 %以上であらわれるが、0.010 %を超えて添加すると、熱間での割れが起こりやすくなるので、Bは0.001 〜0.010 %の範囲で添加する。
【0018】
Ti:0.10%以下、Zr:0.10%以下
TiおよびZrは、Nbとともに用いることにより、Cあるいはその他の溶質元素を固定し、ハイドロフォーミング性を向上させるのに有用な元素である。このような効果は、Cとの原子比の合計が1.0 %以上となる添加、すなわち、 (12/48){Ti(%)/C(%)}+(12/93) {Nb(%)/C(%)}+(12/91) {Zr(%)/C(%)}の値が1.0 以上の範囲で得られる。しかし、Ti、Zrのいずれも、それぞれ0.10%を超えて含有してもその効果が飽和するだけでなく、鋼の熱間変形抵抗を増大して製造性を阻害する。したがって、これらの元素は上記範囲で添加する。
【0019】
Mo:0.002〜0.5 %およびCr:0.02〜1.0 %
MoおよびCrは、鋼に固溶して、加工性を維持したまま、強度を向上させるのに有用な元素である。このような効果は、Mo:0.002%以上、Cr:0.02%以上の添加で得られるが、Mo:0.5%、Cr:1.0 %を超えて添加しても、その効果が飽和しコストの上昇を招くので、これら元素は上記範囲で添加する。
【0020】
次に、本発明鋼管の必要特性について説明する。
鋼管の引張強度が小さいと、高い衝撃吸収能が得られず、また、ハイドロフォームによる拡管率が小さいと、ハイドロフォーミングにより成形できる形状が限定されてしまう。本発明では、これらの2つの特性がバランスしていることが必要である。また、ハイドロフォーミングでは、管の両端から水等の液体を供給し、液圧により管の内面から変形を行うが、管の両端を固定する場合(以下、管端固定という)と、管の両端から圧縮力を加える場合(以下、管端圧縮という)とがある。一般に、管端圧縮の方が高い拡管率を得ることができる。
本発明では、強度とハイドロフォーミング性とがバランスしていることが必要であることから、引張強度(MPa)×拡管率(%)が管端固定の場合で 9000 MPa・%以上であるものとする。
ここで拡管率は、外径do の鋼管を変形部長さlc =2do として、管端から管内面に液体を供給して液圧を負荷し、円形断面自由バルジ変形させ、バーストした時の最大外径dmax より、(dmax −do )/do ×100 で定義するものとする。本発明では、拡管率が20%以上であることが、ハイドロフォーミングを安定化させるうえで好ましい。
【0021】
この拡管率の測定は、例えば、図2および図3に示される金型2a,2bを、図4に示す構成のハイドロフオーミング加工装置を用いて、拡管を行なうことにより実施できる。
図2は金型の斜視図であり、図3は金型の断面図である。金型2a,2bはそれぞれ、長さ方向両端側は、鋼管の外径do に略等しい径の半筒状面で構成される鋼管保持部3を有し、長さ方向中央部には、径dc =2do の半円筒状変形部4および傾斜角θ=45°のテーパー状変形部5とよりなる変形部6を有し、変形部6の長さlc がdo の2倍となっている、上部金型2aおよび下部金型2bからなる。図4に示すように、この上部金型2aと下部金型2bとで、金型それぞれの鋼管保持部3に鋼管1が嵌まるように、鋼管1を挟み込む。この状態で、鋼管1の両端から該鋼管1の内面側に、軸押シリンダ7aを介して水等の液体を供給して、液圧Pを付与し、円形断面自由バルジ変形させてバーストした時の最大外径dmax を測定する。なお、図4中の8、9はそれぞれ金型2a、2bが鋼管を挟み込んだ状態に保持しておくための、金型ホルダ、アウターリングである。
【0022】
本発明において、拡管率は管端固定条件の下に測定するものとする。このため、管端が軸方向に移動しないようにする必要があり、例えば、軸押シリンダ7a、7bに鋼管1の両端をボルト締め等により固定するとともに、液圧負荷中に、軸押シリンダ7a、7bを鋼管1の軸方向に移動しないように固定することにより実施できる。
【0023】
次に、電縫鋼管の製造方法について説明する。上述した成分組成にしたがう鋼を溶製した後、連続鋳造法あるいは造塊−分塊法によりスラブとする。次いでこのスラブを、熱間圧延により熱延鋼板とするか、熱間圧延の後、さらに冷間圧延−焼鈍により冷延鋼板とする。このようにして得られた熱延鋼板または冷延鋼板を素材として、ロール成形または曲げ加工により、ほぼ円筒状の形に成形し、両幅端部同士を突き合わせた継目部を電気抵抗溶接にて接合する。
電気抵抗溶接に次いで、外周長の絞り率で0.3 〜10%のサイジングを行う。サイジングを行う目的は、電縫鋼管をハイドロフォーミングに供するために、十分な形状精度を得ることと、材料変形の均一性を確保することにある。このような目的を達成するには、外周長の絞り率で少なくとも0.3 %は必要であるが、10%を超えて行うと鋼管が顕著に加工硬化し、ハイドロフォーミング性の低下を招いてしまう。したがって、電気抵抗溶接後は、外周長の絞り率で0.3 〜10%のサイジングを行うものとする。
【0024】
【実施例】
表1に示す化学成分の鋼を溶製してスラブとした。このスラブを1200℃に加熱後、熱間圧延して板厚2.0 mmの熱延鋼板とするか、または、熱間圧延に引き続き、酸洗−冷間圧延−連続焼鈍の工程により板厚2.0 mmの冷延鋼板とした。
これらの熱延鋼板または冷延鋼板を、円筒状に成形後、その継目部を電気抵抗溶接して、直径63.5mm、肉厚2.0 mmの鋼管とし、次いで外周長の絞り率で2%のサイジング(縮径)を行った。
【0025】
得られた電縫鋼管から、長手方向に引張試験片(JIS12号)を採取し、引張強度を求めた。また、鋼管を、500 mmの長さに切断しハイドロフォーム用の試験体とした。この試験体を図2〜図4に示したように、両端を拘束して管端部から水を供給して、水圧により円形断面自由バルジ変形させて、バーストしたときの最大の拡管率を求めた。ここで、金型寸法は、図3におけるlc が 127.0mm、dc が 127.0mm、rd が5mm、lo が 550mm、θが45°のものとした。また、試験体を変形させるに当たっては金型と試験体表面(外周面)との間に粘度800 cst の潤滑剤を介在させた。そして、各電縫鋼管の特性は、拡管率だけでなく、素材強度とのバランスを考慮して、強度×拡管率でも表した。
【0026】
さらに、ハイドロフォーミングのあと、溶接により部品に組付ける場合を想定して、アーク溶接による溶接部の強度を評価した。溶接条件は以下のとおりとした。
・溶接ワイヤ:JIS YGW15相当
・溶接ワイヤ径:1.2 mm
・シールドガス:Ar−20体積%CO2
・ガス流量:40 l/min
・溶接電流:200 〜220 A
・アーク電圧:18〜19V
・溶接速度:80〜100 cm/min
・被溶接材形状:電縫鋼管と板厚2mmの冷延鋼板(鋼組成は電縫鋼管と同一)との突き合わせ溶接(図5参照)
ここに、静的強度、疲労強度は、ともに素材の硬度Hv (素材)に対する溶接熱影響部(HAZ)の最軟化部の硬度Hv (min)の比に依存することを確認したので、溶接部の強度として硬度の比、Hv (min)/Hv (素材)で評価した。
【0027】
得られた結果を表1に併せて示す。表1から、本発明にしたがう電縫鋼管は、強度×拡管率が高く、ハイドロフォーミング性が優れていることがわかる。このような高い拡管率が得られたのは、電縫溶接時の結晶粒の粗大化抑制により、溶接熱影響部の軟化が抑えられたことによるものである。また、Hv (min)/Hv (素材)も0.90以上であり、溶接による軟化は小さいことがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】
また、表1中の管No. 9の鋼管について、サイジングの際の絞り率を0.1 〜12%の間で変化させた場合の、拡管試験結果を表2に示す。
表2より、サイジング時の絞り率が0.3 〜10%の範囲内であると、TS×拡管率が9000 MPa・%以上となることがわかる。
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、溶接熱影響部での軟化が抑制された結果、ハイドロフォーミング性に優れる電縫鋼管を提供することできる。また、本発明は、ハイドロフォーム後に、溶接する場合にも、溶接熱影響部の軟化を抑制することにも効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】 NbおよびBが拡管率に及ぼす影響を示す図である。
【図2】自由バルジ試験に用いる金型を示す斜視図である。
【図3】自由バルジ試験に用いる金型を示す断面図である。
【図4】自由バルジ試験に用いるハイドロフォーミング加工装置の構成の例を示す断面図である。
【図5】被溶接材の形状を示す斜視図である。
Claims (4)
- 鋼組成が、質量%で
C:0.001〜0.01%未満、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.15%以下、
S:0.015%以下、
Al:0.01〜0.10%、
Nb:0.01〜0.10%、
B:0.001〜0.010%、
Ti:0.10%以下を含有し、
さらに、C、Nb、Tiは、(12/48){Ti(%)/C(%)}+(12/93){Nb(%)/C(%)}+(12/91){Zr(%)/C(%)}の値が1.0以上となる範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の鋼組成からなるスラブを熱間圧延した、または熱間圧延後さらに冷間圧延−焼鈍した、熱延または冷延の帯状素材を円筒状に成形した後、継目部を電気抵抗溶接し、次いで、外周長の絞り率で0.3〜10%のサイジングを施した電縫鋼管であって、管端固定条件のもとでのハイドロフォームによる拡管率(%)と鋼管のTS(MPa)が、拡管率(%)×TS(MPa)≧9000MPa・%を満たすことを特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管。 - 請求項1において、鋼組成が、上記成分のほか、さらに、Zr:0.10%以下、Mo:0.002〜0.5%およびCr:0.02〜1.0%のうちのいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管。
- 質量%で
C:0.001〜0.01%未満、
Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、
P:0.15%以下、
S:0.015%以下、
Al:0.01〜0.10%、
Nb:0.01〜0.10%、
B:0.001〜0.010%、
Ti:0.10%以下を含有し、
さらに、C、Nb、Tiは、(12/48){Ti(%)/C(%)}+(12/93){Nb(%)/C(%)}+(12/91){Zr(%)/C(%)}の値が1.0以上となる範囲で含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の鋼組成からなるスラブを熱間圧延した、または熱間圧延後さらに冷間圧延−焼鈍した、熱延または冷延の帯状素材を円筒状に成形した後、継目部を電気抵抗溶接し、次いで、外周長の絞り率で0.3〜10%のサイジングを施すことにより、管端固定条件のもとでのハイドロフォームによる拡管率(%)と鋼管のTS(MPa)が、拡管率(%)×TS(MPa)≧9000MPa・%を満たす電縫鋼管を得ることを特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管の製造方法。 - 請求項3において、鋼組成が、上記成分のほか、さらに、Zr:0.10%以下、Mo:0.002〜0.5%およびCr:0.02〜1.0%のうちのいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管の製造方法。
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