JP4126949B2 - ハイドロフォーミング性に優れた溶接鋼管およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の構造部材や足回り部材などの使途に好適な溶接鋼管に係り、とくにハイドロフォーミングにおける加工性(ハイドロフォーミング性)の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の構造部材として、種々の断面形状をもつ中空部材が使用されているが、従来、このような中空部材の製造方法としては、鋼板のプレス加工によって成形した部品同士をスポット溶接で接合して製造する方法が採用されてきた。
しかし、最近、自動車の構造部材用中空部材には、衝突時のより高い衝撃吸収能を有することが要求され、一層高強度化された素材が使用されるようになっている。このため、従来のプレス成形による方法では、成形欠陥がなく、また形状・寸法精度に優れた部材を製造することが次第に困難になってきている。
【0003】
このような問題を解決するための新しい成形方法として、最近、ハイドロフォーミングが注目されている。ハイドロフォーミングは、鋼管の内部に高圧液体を注入して所望形状の部材に成形する成形方法であり、鋼管の断面寸法を拡管加工などにより変化させて、複雑な形状の部材を一体成形でき、強度・剛性を高めることができる優れた成形法である。
【0004】
ところで、このハイドロフォーミングに供される鋼管としては、容易に強度が得られ、かつ安価であるC:0.10〜0.20質量%の低、中炭素鋼板からなる電縫鋼管が用いられることが多かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような中、低炭素鋼板からなる電縫鋼管にハイドロフォーミングを施すと、電縫鋼管自体の加工性がよくないために、十分な拡管を行うことができないという問題があった。
このような問題点に対し、電縫鋼管の加工性を高めるために、素材として、炭素量を著しく低減した極低炭素鋼板を用いることが考えられる。しかし、極低炭素電縫鋼管の場合には、ハイドロフォーミング性はよいものの、鋼管製造時の溶接熱により、シーム部近傍の結晶粒が粗大化して軟化するため、拡管時の変形がシーム部近傍に局部的に集中して、素材が持つ高延性を十分に発揮できないという問題がある。このため、ハイドロフォーミングに十分耐えられれる素材特性とシーム部品質を有する溶接鋼管が強く要望されている。
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、厳しいハイドロフォーミング成形にも耐えられる、ハイドロフォーミング性に優れた溶接鋼管およびその製造方法を提案することを目的とする。
なお、本発明の溶接鋼管の具体的な目標特性は、引張強さTSが400MPa以上、n値とr値の積、n×rが0.22以上、好ましくはn値が0.15以上あるいはr値が1.5 以上とし、限界拡管率 LBR 40 %以上(但し、 47 %以下は除く)とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、溶接鋼管の組成、製造方法について鋭意検討した。その結果、C含有量を0.05〜0.2 %の範囲とした溶接鋼管に、加熱条件を 700 1100 ℃(但し 900 ℃以下は除く)とする加熱処理または均熱処理を施したのち、累積縮径率が35%以上、圧延終了温度が500 〜900 ℃とし、かつA r 3 変態点以下の温度域における累積縮径率を 20 %以上とする絞り圧延を施すことにより、n値とr値の積(n×r)が増加し、ハイドロフォーミング性が向上するという知見を得た。
【0008】
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。
すなわち、第1の本発明は、質量%で、C:0.05〜0.2 %、Si:1.0 %以下、Mn:1.5 %以下、P:0.1 %以下、S:0.01%以下、Al:0.1 %以下、N:0.01%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶接鋼管であって、引張強さTSが400MPa以上、n値とr値の積、n×rが0.22以上で、かつ限界拡管率 LBR 40 %以上(但し、 47 %以下は除く)であることを特徴とする造管後絞り圧延を施されてなるハイドロフォーミング性に優れた溶接鋼管であり、また、 第1の本発明では、前記n値が0.15以上あるいはr値が1.5 以上であることが好ましく、また、 第1の本発明では、前記組成に加えてさらに、次A群または次B群
A群:Cr:0.1 %以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.01%以下のうちの1種または2種以上
B群:Ca:0.02%以下、REM :0.02%以下のうちの1種または2種
のうちの1群または2群を含有することが好ましい。
なお、n値は次(1)式
n=( ln σ 10% ln σ 5% )/( ln 10% ln 5% ) ……(1)
ここで σ 10% 10 %の引張を行ったときの真応力、
σ 5% :5%の引張を行ったときの真応力
e 10 % 10 %の引張を行ったときの真歪、
e 5% :5%の引張を行ったときの真歪
で定義され、r値は、次(2)式
r=ln(W i /W f )/ln(L f f /L i i )……(2)
ここで、W i :最初の板幅、W f :最終の板幅
i :最初の長さ、L f :最終の長さ
で定義され、また LBR は次(3)式
LBR (%)=(d max −d O )/d O × 100 ……(3)
ここで、d max :軸方向圧縮を付与した自由バルジ試験でバーストしたときの試験体 の最大外径
O :試験体の外径(製品管外径)
で定義される値を用いるものとする。
【0009】
また、第2の本発明は、質量%で、C:0.05〜0.2 %、Si:1.0 %以下、Mn:1.5 %以下、P:0.1 %以下、S:0.01%以下、Al:0.1 %以下、N:0.01%以下を含有する組成の溶接鋼管を素材鋼管として、該素材鋼管に加熱条件を 700 ℃〜 1100 ℃(但し、 900 ℃以下を除く)とする加熱処理または均熱処理を施したのち、累積縮径率:35%以上で、 圧延終了温度:500 〜900 ℃とし、A r 3 変態点以下の温度域における累積縮径率を 20 %以上とする絞り圧延を施すことを特徴とする引張強さが400MPa以上、n値とr値の積、n×rが0.22以上、を有するハイドロフォーミング性に優れた溶接鋼管の製造方法である。
【0010】
また、第2の本発明では、前記組成に加えてさらに、次A群または次B群
A群: Cr:0.1 %以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.01%以下のうちの1種または2種以上
B群:Ca:0.02%以下、REM :0.02%以下のうちの1種または2種
のうちの1群または2群を含有することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の溶接鋼管の組成限定理由について説明する。以下、組成に関する質量%は単に%で記す。
C:0.05〜0.2 %
Cは、鋼の強度増加に寄与する元素であるが、0.2 %を超えて過剰に含有すると成形性が低下する。一方、0.05%未満の含有では、所望の引張強さを確保することができにくくなるうえ、溶接時に結晶粒が粗大化する傾向を示し、強度低下や不均一な変形の原因となる。このため、Cは0.05〜0.2 %の範囲に限定した。
【0012】
Si:1.0 %以下
Siは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の強度に応じて好ましくは0.01%以上含有させるが、過剰に含有すると、表面性状の顕著な悪化を招き、ハイドロフォーミング時の限界拡管率 LBRが低下し、ハイドロフォーミング性が低下する。このため、本発明ではSiは1.0 %以下に限定した。なお、好ましくは0.5 %以下、より好ましくは0.2 %以下である。
【0013】
Mn:1.5 %以下
Mnは、表面性状および溶接性を低下させることなく、強度を向上させる元素であり、所望の強度を確保するために、0.2 %以上含有することが好ましい。一方、1.5 %を超えて含有すると、ハイドロフォーミング時の限界拡管率LBR が低下し、ハイドロフォーミング性が低下する。このため、Mnは1.5 %以下に限定した。なお、好ましくは、0.2 〜1.3 %である。
【0014】
P:0.1 %以下
Pは、強度の増加に有用な元素であるが、強度増加の観点からは0.01%以上含有することが好ましいが、0.1 %を超えて含有すると溶接性が顕著に劣化する。このため、本発明ではPは0.1 %以下に限定した。なお、Pによる強化をさほど必要としない場合や溶接性が問題となる場合には、0.05%以下とすることが望ましい。
【0015】
S:0.01%以下
Sは、鋼中で非金属介在物として存在するが、この非金属介在物を起点としてハイドロフォーミング時に鋼管が破断(バースト)する場合があり、ハイドロフォーミング性が低下する。このため、Sはできるかぎり低減することが好ましいが、0.01%以下に低減すれば、ハイドロフォーミング性低下に対する影響は少なくなるため、Sは0.01%以下に限定した。なお、更なるハイドロフォーミング性向上の観点から、0.005 %以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.001 %以下である。
【0016】
Al:0.1 %以下
Alは、脱酸剤として作用するとともに、結晶粒の粗大化を抑制する有用な元素であり、0.01%以上含有することが望ましい。しかし、0.1 %を超えて含有すると、酸化物系介在物量が増加し清浄度が低下する。このため、Alは0.1 %以下に限定した。なお、好ましくは、ハイドロフォーミング時の割れの起点を少なくするという観点から、0.05%以下である。
【0017】
N:0.01%以下
Nは、Alと結合して結晶粒を微細化する元素であり、このためには0.001 %以上含有することが望ましいが、0.01%を超えて含有すると、延性を劣化させる。このため、Nは0.01%以下に限定した。
本発明では、上記した成分組成に加えて、さらに、A群:Cr:0.1 %以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.01%以下のうちの1種または2種以上、B群:Ca:0.02%以下、REM :0.02%以下のうちの1種または2種、のうちの1群または2群を含有することができる。
【0018】
A群:Cr:0.1 %以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.01%以下のうちの1種または2種以上 Cr、Ti、Nb、Cu、Ni、Mo、Bは、いずれも延性を損なうことなく、強度を向上させることができる有用な元素であり、必要に応じ選択して含有できる。このような効果は、Cr、Ti、Nb、Cu、Ni、Moでは0.01%以上の含有で、Bでは0.0001%以上の含有で顕著に認められるが、Crで0.1 %を、Ti、Nbで0.05%を、Cu、Ni、Moで1.0 %を、Bで0.01%を超えて含有してもその効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず、経済的に不利になるほか、かえって、延性、溶接性や鋼の熱間加工性および冷間加工性を低下させる。このため、Cr:0.1 %以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.01%以下に限定することが好ましい。
【0019】
B群:Ca:0.02%以下、REM :0.02%以下のうちの1種または2種
Ca、REM は、いずれも非金属介在物の形態を球状とし、ハイドロフォーミング性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じ選択して含有できる。このような効果は、Ca、REM ともに0.0020%以上の含有で顕著となる。一方、0.02%を超えて含有すると、介在物量が多くなりすぎて清浄度が低下する。このため、Ca、REM ともに0.02%以下にすることが好ましい。なお、Ca、REM の両者を併用する場合には合計量で0.03%以下とすることが好ましい。
【0020】
上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
上記した組成を有する、本発明の溶接鋼管は、引張強さTSが400MPa以上の高強度を有し、さらに、n値とr値の積、n×rが0.22以上と高くバルジ成形性に優れた鋼管である。一方、n×rが0.22未満ではバルジ成形性が不足する。なお、n値は0.15以上であることが、変形を均等にするという観点から好ましい。また、局部的な減肉を抑えるという観点から、r値は1.5 以上であることが好ましい。
【0021】
また、本発明の溶接鋼管は、限界拡管率 LBRが40%以上(但し、 47 %以下を除く)を有する鋼管である。ここで、限界拡管率LBR とは、次式
LBR (%)=(dmax −dO )/dO ×100 ……(3)
で定義されるものとする。なお、dmax はバースト(破断)時の最大外径(mm)、d0 は試験前の外径(mm)である。dmax はバースト部分の周長を円周率πで除した値である。なお、本発明で用いる限界拡管率LBR は、軸方向圧縮を付与した自由バルジ試験を実施して求めた値とする。
【0022】
自由バルジ試験は、例えば、図1に示される2つ割りの金型2a、2bを、図2に示す構成のハイドロフォーミング加工装置を用いて、拡管を行うことにより実施できる。
図1は使用する金型の断面図である。上部金型2a、下部金型2bはそれぞれ、長さ方向両端側に、試験鋼管の外径dO に略等しい半筒状面で構成される鋼管保持部3を有する。また、長さ方向中央部には、径dC の半円筒状変形部4および傾斜角θ=45°のテーパ状変形部5とよりなる変形部6を有する。なお、変形部6の長さlc は鋼管の外径dO の2倍となっている。また、半円筒状変形部4の径dC は、鋼管の外径dO の2倍程度あればよい。
【0023】
この上部金型2aと下部金型2bとを使用して、図2に示すように、鋼管保持部3に鋼管1が嵌まるように、試験鋼管1を挟み込む。この状態で、試験鋼管1の両端から該試験鋼管1の内面側に、軸押シリンダ7aを介して水等の液体を供給して、液圧Pを付与し、バーストするまで円形断面自由バルジ変形させる。そして、バースト(破断)した時の最大外径dmax を測定する。
【0024】
なお、8は金型ホルダ、9はアウターリングであり、いずれも金型に鋼管を挟み込んだ状態に保持しておくためのものである。
なお、ハイドロフォーミングでは、管の両端を固定する場合と、管の両端から圧縮力を加える場合(軸方向圧縮という)とがある。一般に、軸方向圧縮の方が高い限界拡管率LBR を得ることが可能である。本発明では、限界拡管率は、管の両端から圧縮力を適宜負荷するものとする、軸方向圧縮を付与した自由バルジ試験により求めるものとする。なお、この圧縮力の負荷は、図2において、軸押シリンダ7a、7bに対して軸方向に圧縮力Fを負荷することにより実施できる。
【0025】
次に、本発明溶接鋼管の製造方法について説明する。
本発明では、上記した組成を有する溶接鋼管を素材鋼管として用いるが、この素材鋼管の製造手段はとくに限定されない。帯鋼を、冷間あるいは温間または熱間でロール成形あるいは曲げ加工してオープン管とし、該オープン管の両エッジ部を誘導加熱を利用し融点以上に加熱しスクイズロールで衝合溶接する電気抵抗溶接法、あるいは、オープン管の両エッジ部を誘導加熱を利用し融点未満の固相圧接温度域に加熱しスクイズロールで衝合圧接する固相圧接法、あるいは鍛接法、などがいずれも好適に用いることができる。なお、素材鋼管の製造に使用する帯鋼は、上記した組成の鋼を溶製した後、連続鋳造法あるいは造塊−分塊法によりスラブとし、該スラブを、熱間圧延により熱延鋼板とするか、さらに冷間圧延−焼鈍により冷延鋼板とした、熱間圧延鋼板、あるいは冷間圧延鋼板が好適に利用できる。
【0026】
第2の本発明では、上記したような素材鋼管に、まず、加熱処理または均熱処理を施す。素材鋼管に施す加熱処理の条件は 700 〜1100℃(但し 900 ℃以下は除く) とする。なお、素材鋼管の製造が温間または熱間で行われ、絞り圧延に際し、充分な温度を保有している場合には、管温度分布の均熱化のために均熱処理を施すのみで充分である。素材鋼管の保有する温度が低い場合には加熱処理を施すことはいうまでもない。
【0027】
加熱処理または均熱処理を施された素材鋼管は、ついで絞り圧延を施される。
絞り圧延は、累積縮径率:35%以上とする。累積縮径率が35%未満では、n値、r値の向上が望めず、加工性、ハイドロフォーミング性が低下する。このため、本発明では累積縮径率を35%以上に限定した。なお、累積縮径率の上限は偏肉率の増大を抑制すること生産性の観点から95%とすることが好ましい。なお、より好ましくは35〜90%である。また、更なるr値向上の観点からは、フェライト域にて高い圧下率で絞り圧延を施し、圧延集合組織を発達させることが肝要となる。そのためAr3変態点以下の温度域における累積縮径率を20%以上とする
【0028】
絞り圧延における圧延終了温度は500 〜900 ℃とする。絞り圧延温度が500 ℃未満、または900 ℃を超えると、n値、r値の向上が望めず加工性が低下し、あるいは自由バルジ試験における限界拡管率の増加が望めず、ハイドロフォーミング性が低下する。このため、本発明では絞り圧延の圧延終了温度を500 〜900 ℃に限定した。
【0029】
なお、絞り圧延には、レデューサーと称される複数の孔型圧延機をタンデムに配列した圧延機列を使用することが好ましい。
本発明では、上記したような絞り圧延を上記した組成範囲の素材鋼管に施すことによりはじめて、引張強さTS400MPa以上で、n値×r値が向上し、高強度鋼管のハイドロフォーミング性を顕著に向上させることができるのである。
【0030】
【実施例】
表1に示す組成の鋼板(熱延鋼板または焼鈍済み冷間圧延鋼板)を、管状にロール成形した後、両端を誘導加熱により加熱し衝合接合して、溶接鋼管(外径:146 mmφ、肉厚:2.6mm )とした。
これら溶接鋼管を素材鋼管として、素材鋼管に表2に示す条件で絞り圧延を施し、製品鋼管とした。
【0031】
得られた製品鋼管から、長手方向に引張試験片(JIS 12号A試験片)を採取し、製品鋼管の引張特性(YS、TS、El)、およびn値、r値を求めた。n値は、5〜10%間の真応力の変化に対する真歪の変化の比、すなわち、次式
n=(lnσ10% −lnσ5%)/(lne10% −lne5%……(1)
により求めた。なお、σは真応力、eは真歪である。
【0032】
また、r値は、引張試験における板厚真歪に対する板幅真歪の比で定義される。
r=ln(Wi /Wf )/ln(Ti /Tf
ここで、Wi :最初の板幅、Wf :最終の板幅
i :最初の板厚、Tf :最終の板厚
ただし、板厚測定は、かなりの誤差を伴うため、通常は試験片の体積は一定であるとして、次式によりr値を求める。
【0033】
r=ln(Wi /Wf )/ln(Lf f /Li i ……(2)
ここで、Wi :最初の板幅、Wf :最終の板幅
i :最初の長さ、Lf :最終の長さ
本発明では、r値は、引張試験片にゲージ長さが2mmの歪ゲージを貼り付け、公称歪で6〜7%の引張を行った時の長手方向の真歪、幅方向の真歪を測定し、前記式により算出した。
【0034】
また、製品鋼管を500 mmの長さに切断しハイドロフォーミング用試験体とした。この試験体を図2に示すように、ハイドロフォーミング加工装置にセットし、試験体の両端から水を供給して、円形断面自由バルジ変形させて、バーストさせた。バーストしたときの試験体の最大外径dmax を測定し、次式
LBR (%)=(dmax −dO )/dO ×100 ……(3)
から限界拡管率LBR を算出した。ここで、dO は試験体の外径(製品管外径)である。なお、使用した金型寸法は、図1におけるlc が127mm 、dC が127mm 、rd が 5mm、lO が550mm 、θが45°とした。
【0035】
得られた結果を表3に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004126949
【0037】
【表2】
Figure 0004126949
【0038】
【表3】
Figure 0004126949
【0039】
本発明例は、いずれも400MPa以上の引張強さを有し、n値、r値も高く、n×rが0.22以上と加工性に優れ、LBR 74 %以上と優れたハイドロフォーミング性を有している。
これに対し、本発明範囲から外れる比較例は、n×rが低く加工性に劣り、また、LBR が低くハイドロフォーミング性が劣り、ハイドロフォーミングを施される部材用としては適正を欠く製品管である。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、加工性に優れ、とくにハイドロフォーミング性に優れた構造部材用の溶接鋼管を、安価にまた生産性を低下させることなく製造することが可能になり、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】自由バルジ試験に用いる金型の一例を示す断面図である。
【図2】自由バルジ試験に用いるハイドロフォーミング加工装置の構成の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 試験体(試験鋼管)
2 金型
2a 上部金型
2b 下部金型
3 鋼管保持部
4 半円筒状変形部
5 テーパ状変形部
6 変形部
7a、7b 軸押シリンダ
8 金型ホルダ
9 アウターリング

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.2 %、 Si:1.0 %以下、
    Mn:1.5 %以下、 P:0.1 %以下、
    S:0.01%以下、 Al:0.1 %以下、
    N:0.01%以下
    を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する溶接鋼管であって、引張強さTSが400MPa以上、下記(1)式で定義されるn値と下記(2)式で定義されるr値の積、n×rが0.22以上で、下記(3)式で定義される限界拡管率 LBR 40 %以上 ( 但し 47 %以下を除く)であることを特徴とする造管後絞り圧延を施してなるハイドロフォーミング性に優れた溶接鋼管。

    n=( ln σ 10% ln σ 5% )/( ln 10% ln 5% ) ……(1)
    ここで σ 10% 10 %の引張を行ったときの真応力、
    σ 5% :5%の引張を行ったときの真応力
    e 10 % 10 %の引張を行ったときの真歪、
    e 5% :5%の引張を行ったときの真歪
    r=ln(W i /W f )/ln(L f f /L i i )……(2)
    ここで、W i :最初の板幅、W f :最終の板幅
    i :最初の長さ、L f :最終の長さ
    LBR (%)=(d max −d O )/d O × 100 ……(3)
    ここで、d max :軸方向圧縮を付与した自由バルジ試験でバーストしたときの試験体 の最大外径
    O :試験体の外径(製品管外径)
  2. 前記n値が0.15以上あるいは前記r値が1.5 以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶接鋼管。
  3. 前記組成に加えてさらに、下記A群またはB群のうちの1群または2群を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接鋼管。

    A群:Cr:0.1 %以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.01%以下のうちの1種または2種以上
    B群:Ca:0.02%以下、REM :0.02%以下のうちの1種または2種
  4. 質量%で、
    C:0.05〜0.2 %、 Si:1.0 %以下、
    Mn:1.5 %以下、 P:0.1 %以下、
    S:0.01%以下、 Al:0.1 %以下、
    N:0.01%以下
    を含有する組成の溶接鋼管を素材鋼管として、該素材鋼管に加熱条件を 700 1100 ℃(但し 900 ℃以下は除く)とする加熱処理または均熱処理を施したのち、累積縮径率:35%以上で、 圧延終了温度:500 〜900 ℃とし、かつA r 3 変態点以下の温度域における累積縮径率を 20 %以上となる絞り圧延を施すことを特徴とする引張強さが400MPa以上、下記(1)式で定義されるn値と下記(2)式で定義されるr値の積、n×rが0.22以上を有するハイドロフォーミング性に優れた溶接鋼管の製造方法。

    n=( ln σ 10% ln σ 5% )/( ln 10% ln 5% ) ……(1)
    ここで σ 10% 10 %の引張を行ったときの真応力、
    σ 5% :5%の引張を行ったときの真応力
    e 10 % 10 %の引張を行ったときの真歪、
    e 5% :5%の引張を行ったときの真歪
    r=ln(W i /W f )/ln(L f f /L i i )……(2)
    ここで、W i :最初の板幅、W f :最終の板幅
    i :最初の長さ、L f :最終の長さ
    LBR (%)=(d max −d O )/d O × 100 ……(3)
    ここで、d max :軸方向圧縮を付与した自由バルジ試験でバーストしたときの試験体 の最大外径
    O :試験体の外径(製品管外径)
  5. 前記組成に加えてさらに、下記A群またはB群のうちの1群または2群を含有することを特徴とする請求項4に記載の溶接鋼管の製造方法。

    A群:Cr:0.1 %以下、Nb:0.05%以下、Ti:0.05%以下、Cu:1.0 %以下、Ni:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下、B:0.01%以下のうちの1種または2種以上
    B群:Ca:0.02%以下、REM :0.02%以下のうちの1種または2種
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