JP2001303192A - ハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管およびその製造方法 - Google Patents

ハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管およびその製造方法

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JP2001303192A JP2000127073A JP2000127073A JP2001303192A JP 2001303192 A JP2001303192 A JP 2001303192A JP 2000127073 A JP2000127073 A JP 2000127073A JP 2000127073 A JP2000127073 A JP 2000127073A JP 2001303192 A JP2001303192 A JP 2001303192A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイドロフォーミング性に優れる電縫鋼管を
提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.001 〜0.01%未満、S
i:1.0 %以下、Mn:2.0%以下、P:0.15%以下、S:
0.015 %以下、Al:0.01〜0.10%、Nb:0.01〜0.10%、
B:0.001 〜0.010 %を含み、かつTi:0.10%以下、Z
r:0.10%以下のいずれか1種または2種を含有し、さ
らに、C、Nb、Ti、Zrは、(12/48)(Ti (%) /C
(%) )+(12/93)(Nb (%) /C (%) )+(12/91)
(Zr (%) /C (%) )の値が1.0 以上となる範囲で含
有し、必要により、Mo:0.002〜0.5 %およびCr:0.02〜
1.0 %のうちのいずれか1種または2種を含有し、残部
はFeおよび不可避的不純物からなる、熱延または冷延の
帯状素材を円筒状に成形した後、継目部を電気抵抗溶接
し、次いで、外周長の絞り率で0.3 〜10%のサイジング
を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車の構造部
材や足回り部材などに用いて好適な鋼管であって、とく
にハイドロフォーミングにおける成形加工性(ハイドロ
フォーミング性)に優れる構造用電縫鋼管およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の構造部材として用いられる、
種々の断面形状をもつ中空部材を製造するには、従来、
鋼板のプレス加工によって成形した部品同士をその溶接
代であるフランジ部でスポット溶接して接合する方法が
採用されてきたが、品質の面でも、生産効率の面でも改
善が求められていた。一方、最近になり、構造用の中空
部材に対して、衝突時のより高い衝撃吸収能が求められ
るようになり、素材として用いられる鋼板が一層高強度
化してきた。このため、従来のプレス成形による方法で
は、成形欠陥がなく、また成形品の形状や寸法精度が良
好な部材を製造することが次第に困難になってきてい
る。
【0003】このような問題を解決するための新しい成
形方法として、最近、ハイドロフォーミングが注目され
ている。ハイドロフォーミングは、鋼管の内部に高圧液
体を注入して塑性加工を行う方法であり、鋼管の断面寸
法を拡管加工などにより変化させて、複雑形状部材の一
体成形をはかるとともに、強度・剛性を高める機能をも
つ優れた成形法である。ところで、ハイドロフォーミン
グに供される鋼管としては、一般に、C:0.20〜0.10%
の中、低炭素鋼からなる素材で製造した電縫鋼管が用い
られることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
C量を含む電縫鋼管にハイドロフォーミングを施して
も、素材そのものの加工性がよくないために、十分な拡
管率が得られないという問題があった。なお、ハイドロ
フォーミングにおける拡管率を高めるには、管軸方向に
軸力を加える方法もあるが、この方法は管が長手方向に
大きく曲がっているようなデザインの管の成形の場合に
は有効ではない。一方、電縫鋼管の素材そのものの加工
性を高めるために、炭素量を著しく低減した極低炭素鋼
を素材に用いることが考えられる。しかし、従来の極低
炭素鋼を用いて製造した電縫鋼管は、延性には優れてい
るものの、溶接に起因した別の問題を生じていた。すな
わち、従来の極低炭素電縫鋼管では、鋼管製造時の電気
抵抗溶接で溶接部(溶接熱影響部)の結晶粒が粗大化し
て軟化して、拡管成形での変形が局部的に集中し、素材
がもつ高延性を十分に発揮できないこと、また、ハイド
ロフォームした部材を他の部材と溶接した場合にも、同
様な軟化が生じて部材として必要な静的強度や疲労強度
が得られなくなることなどである。
【0005】そこで、本発明は、従来の極低炭素鋼管が
抱えていた上記問題を解消した、ハイドロフォーミング
に適した電縫鋼管についての新たな提案を行うものであ
る。とくに、この発明は、極低炭素鋼の優れた加工性を
損なうことなく、溶接による結晶粒の粗大化、軟化を抑
制した、ハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼
管を提供することを目的とする。また、本発明鋼管が目
指す具体的な目標特性は、(鋼管のTS)×(管端固定
条件での拡管率)で表したハイドロフォーミング性が 9
000 MPa・%以上であり、溶接部の軟化抵抗を表す指
標として用いる溶接部の最低硬さ(Hv(min))と鋼管素
材の硬さ(Hv(素材))との比Hv(min) /Hv(素
材)が0.90以上であるものとする。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題を
達成するために、電縫鋼管の成分組成、製造方法などに
ついて種々の検討を重ねた。その結果、溶接による結晶
粒の粗大化、軟化を効果的に抑制するためには、NbとB
を複合添加するとともにTi、Zrのいずれか一方を添加す
ること、継ぎ目部を電気抵抗溶接して造管した後に絞り
率0.3 〜10%のサイジング(縮径)を行うことが有効で
あることを見いだした。本発明は上記知見を基にして完
成したものであり、その要旨構成は次のとおりである。
【0007】(1)鋼組成が、質量%(以下単に、%)で
C:0.001 〜0.01%未満、Si:1.0 %以下、Mn:2.0 %
以下、P:0.15%以下、S:0.015 %以下、Al:0.01〜
0.10%、Nb:0.01〜0.10%、B:0.001 〜0.010 %を含
み、かつTi:0.10%以下、Zr:0.10%以下のいずれか1
種または2種を含有し、さらに、C、Nb、Ti、Zrは、
(12/48) {Ti(%)/C(%)}+(12/93) {Nb
(%)/C(%)}+(12/91) {Zr(%)/C
(%)}の値が1.0 以上となる範囲で含有し、残部はFe
および不可避的不純物の鋼組成からなる電縫鋼管であっ
て、管端固定条件のもとでのハイドロフォームによる拡
管率(%)と鋼管のTS(MPa)が、拡管率(%)×TS
(MPa)≧9000 MPa・%を満たすことを特徴とするハイド
ロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管。
【0008】(2) 上記 (1)において、鋼組成が、上記
成分のほか、さらに、Mo:0.002〜0.5%およびCr:0.02
〜1.0 %のうちのいずれか1種または2種を含有するこ
とを特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用
電縫鋼管。
【0009】(3) 質量%でC:0.001 〜0.01%未満、S
i:1.0 %以下、Mn:2.0 %以下、P:0.15%以下、
S:0.015 %以下、Al:0.01〜0.10%、Nb:0.01〜0.10
%、B:0.001 〜0.010 %を含み、かつTi:0.10%以
下、Zr:0.10%以下のいずれか1種または2種を含有
し、さらに、C、Nb、Ti、Zrは、 (12/48) {Ti(%)
/C(%)}+(12/93) {Nb(%)/C(%)}+
(12/91) {Zr(%)/C(%)}の値が1.0 以上とな
る範囲で含有し、必要により、Mo:0.002〜0.5 %および
Cr:0.02〜1.0 %のうちのいずれか1種または2種を含
有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる、熱延ま
たは冷延の帯状素材を円筒状に成形した後、継目部を電
気抵抗溶接し、次いで、外周長の絞り率で0.3 〜10%の
サイジングを施すことを特徴とするハイドロフォーミン
グ性に優れる構造用電縫鋼管の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】はじめに、この発明における鋼成
分の限定理由について説明する。 C:0.001 〜0.01% Cは、電縫鋼管の成形性を低下させる元素であるので、
0.01%未満の極低炭素領域とする。しかし、0.001 %に
満たないC含有量では、後述するNb、Bの複合添加によ
っても、溶接部の結晶粒の粗大化を抑制することが困難
になるので、C量は0.001 〜0.01%未満の範囲とする。
【0011】Si:1.0 %以下 Siは、鋼の強化に有用な元素であり、所望の強度に応じ
て添加する。しかし、1.0 %を超えて添加すると、添加
効果が飽和するだけでなく、2次加工脆化が生じやすく
なるので、1.0 %以下の範囲で添加する。
【0012】Mn:2.0 %以下 Mnは、表面性状および溶接性を低下させることなく、強
度を向上させるのに有効な元素であるが、2.0 %を超え
て添加すると、添加効果が飽和するだけでなく、2次加
工脆化が生じやすくなるので、Mn含有量は2.0 %以下と
する。
【0013】P:0.15%以下 Pは、強度の向上に有効な元素であるが、0.15%を超え
て添加すると、添加効果が飽和するだけでなく、2次加
工脆化が生じやすくなるので、0.15%以下の範囲で含有
させる。
【0014】S:0.015 %以下 Sは、鋼中で非金属介在物として存在し、これが起点と
なってハイドロフォーム時に鋼管を破断させる恐れがあ
る。このため、S量は低いほど耐バースト性が改善され
て、その効果は0.015 %以下であればあらわれる。な
お、耐バースト性の一層の向上には、好ましくは0.010
%以下、さらに好ましくは0.005 %以下に制限するのが
よい。
【0015】Al:0.01〜0.10%、 Alは、鋼の脱酸作用を有する有用な元素であるので、0.
01%以上の添加が必要である。一方、0.1 %を超えて多
量に添加しても、その効果が飽和するだけでなく、かえ
って鋼板の表面欠陥を生じてしまう。よって、Alは0.01
〜0.10%の範囲で添加する。
【0016】Nb:0.01〜0.10% Nbは、Bと複合添加することにより、とくに電気抵抗溶
接(電縫溶接)で生じた溶接熱影響部の結晶粒を微細化
し、軟化を抑制して、ハイドロフォーミング性を向上さ
せるのに有用な元素である。このような複合添加による
効果を示す実験結果を図1に示す。この実験では、鋼成
分をC:0.003 %、Si:0.05%、Mn:0.3 %、P:0.1
%、S:0.005 %、Al:0.04%、Ti:0.05%で、Nbを0.
005 %と0.015 %に、Bを0 〜0.0030%の範囲で種々変
えた、板厚2.0 mmの熱延鋼板から製造した電縫鋼管に
対して、後述する自由バルジ試験を行い、ハイドロフォ
ームによる拡管率を調査した。なお、電縫鋼管を製造す
るに当たっては、造管後に外周長の絞り率で2%のサイ
ジング(縮径)を行った。図1から、Nb、Bとも拡管率
を向上させる効果が見られるが、この効果はとくにNb:
0.015 %、B:0.0010%以上(10 ppm 以上) とすること
で顕著にあらわれることがわかる。このような、効果が
得られる理由は必ずしも明らかではないが、オーステナ
イトの粒成長が抑制されて、冷却時に粒界からのフェラ
イト変態を促進したことが考えられる。このようなNbの
添加効果は0.01%以上であらわれる。一方、0.10%を超
えて添加してもその効果が飽和し、コスト上不利となる
ので、Nbは0.01〜0.10%の範囲で添加する。
【0017】B:0.001 〜0.010 % Bは、図1で示したように、Nbとの複合添加により、と
くに電縫溶接で生じた溶接熱影響部の結晶粒を微細化し
て、軟化を抑制し、ハイドロフォーミング性を向上させ
るのに有用な元素である。Bはオーステナイトの粒界に
偏析し、冷却速度が比較的小さいときでも、熱影響部で
は、高温でのフェライト変態が抑制されるために、微細
なフェライト粒や低温変態組織が形成されると思われ
る。このようなBの添加効果は0.001 %以上であらわれ
るが、0.010 %を超えて添加すると、熱間での割れが起
こりやすくなるので、Bは0.001 〜0.010 %の範囲で添
加する。
【0018】Ti:0.10%以下、Zr:0.10%以下 TiおよびZrは、Nbとともに用いることにより、Cあるい
はその他の溶質元素を固定し、ハイドロフォーミング性
を向上させるのに有用な元素である。このような効果
は、Cとの原子比の合計が1.0 %以上となる添加、すな
わち、 (12/48){Ti(%)/C(%)}+(12/93)
{Nb(%)/C(%)}+(12/91) {Zr(%)/C
(%)}の値が1.0 以上の範囲で得られる。しかし、T
i、Zrのいずれも、それぞれ0.10%を超えて含有しても
その効果が飽和するだけでなく、鋼の熱間変形抵抗を増
大して製造性を阻害する。したがって、これらの元素は
上記範囲で添加する。
【0019】Mo:0.002〜0.5 %およびCr:0.02〜1.0 % MoおよびCrは、鋼に固溶して、加工性を維持したまま、
強度を向上させるのに有用な元素である。このような効
果は、Mo:0.002%以上、Cr:0.02%以上の添加で得られ
るが、Mo:0.5%、Cr:1.0 %を超えて添加しても、その
効果が飽和しコストの上昇を招くので、これら元素は上
記範囲で添加する。
【0020】次に、本発明鋼管の必要特性について説明
する。鋼管の引張強度が小さいと、高い衝撃吸収能が得
られず、また、ハイドロフォームによる拡管率が小さい
と、ハイドロフォーミングにより成形できる形状が限定
されてしまう。本発明では、これらの2つの特性がバラ
ンスしていることが必要である。また、ハイドロフォー
ミングでは、管の両端から水等の液体を供給し、液圧に
より管の内面から変形を行うが、管の両端を固定する場
合(以下、管端固定という)と、管の両端から圧縮力を
加える場合(以下、管端圧縮という)とがある。一般
に、管端圧縮の方が高い拡管率を得ることができる。本
発明では、強度とハイドロフォーミング性とがバランス
していることが必要であることから、引張強度(MPa)×
拡管率(%)が管端固定の場合で 9000 MPa・%以上で
あるものとする。ここで拡管率は、外径do の鋼管を変
形部長さlc =2do として、管端から管内面に液体を
供給して液圧を負荷し、円形断面自由バルジ変形させ、
バーストした時の最大外径dmax より、(dmax −do
)/do ×100 で定義するものとする。本発明では、
拡管率が20%以上であることが、ハイドロフォーミング
を安定化させるうえで好ましい。
【0021】この拡管率の測定は、例えば、図2および
図3に示される金型2a,2bを、図4に示す構成のハ
イドロフオーミング加工装置を用いて、拡管を行なうこ
とにより実施できる。図2は金型の斜視図であり、図3
は金型の断面図である。金型2a,2bはそれぞれ、長
さ方向両端側は、鋼管の外径do に略等しい径の半筒状
面で構成される鋼管保持部3を有し、長さ方向中央部に
は、径dc =2do の半円筒状変形部4および傾斜角θ
=45°のテーパー状変形部5とよりなる変形部6を有
し、変形部6の長さlc がdo の2倍となっている、上
部金型2aおよび下部金型2bからなる。図4に示すよ
うに、この上部金型2aと下部金型2bとで、金型それ
ぞれの鋼管保持部3に鋼管1が嵌まるように、鋼管1を
挟み込む。この状態で、鋼管1の両端から該鋼管1の内
面側に、軸押シリンダ7aを介して水等の液体を供給し
て、液圧Pを付与し、円形断面自由バルジ変形させてバ
ーストした時の最大外径dmax を測定する。なお、図4
中の8、9はそれぞれ金型2a、2bが鋼管を挟み込ん
だ状態に保持しておくための、金型ホルダ、アウターリ
ングである。
【0022】本発明において、拡管率は管端固定条件の
下に測定するものとする。このため、管端が軸方向に移
動しないようにする必要があり、例えば、軸押シリンダ
7a、7bに鋼管1の両端をボルト締め等により固定す
るとともに、液圧負荷中に、軸押シリンダ7a、7bを
鋼管1の軸方向に移動しないように固定することにより
実施できる。
【0023】次に、電縫鋼管の製造方法について説明す
る。上述した成分組成にしたがう鋼を溶製した後、連続
鋳造法あるいは造塊−分塊法によりスラブとする。次い
でこのスラブを、熱間圧延により熱延鋼板とするか、熱
間圧延の後、さらに冷間圧延−焼鈍により冷延鋼板とす
る。このようにして得られた熱延鋼板または冷延鋼板を
素材として、ロール成形または曲げ加工により、ほぼ円
筒状の形に成形し、両幅端部同士を突き合わせた継目部
を電気抵抗溶接にて接合する。電気抵抗溶接に次いで、
外周長の絞り率で0.3 〜10%のサイジングを行う。サイ
ジングを行う目的は、電縫鋼管をハイドロフォーミング
に供するために、十分な形状精度を得ることと、材料変
形の均一性を確保することにある。このような目的を達
成するには、外周長の絞り率で少なくとも0.3 %は必要
であるが、10%を超えて行うと鋼管が顕著に加工硬化
し、ハイドロフォーミング性の低下を招いてしまう。し
たがって、電気抵抗溶接後は、外周長の絞り率で0.3 〜
10%のサイジングを行うものとする。
【0024】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼を溶製してスラブと
した。このスラブを1200℃に加熱後、熱間圧延して板厚
2.0 mmの熱延鋼板とするか、または、熱間圧延に引き
続き、酸洗−冷間圧延−連続焼鈍の工程により板厚2.0
mmの冷延鋼板とした。これらの熱延鋼板または冷延鋼
板を、円筒状に成形後、その継目部を電気抵抗溶接し
て、直径63.5mm、肉厚2.0 mmの鋼管とし、次いで外
周長の絞り率で2%のサイジング(縮径)を行った。
【0025】得られた電縫鋼管から、長手方向に引張試
験片(JIS12号)を採取し、引張強度を求めた。ま
た、鋼管を、500 mmの長さに切断しハイドロフォーム
用の試験体とした。この試験体を図2〜図4に示したよ
うに、両端を拘束して管端部から水を供給して、水圧に
より円形断面自由バルジ変形させて、バーストしたとき
の最大の拡管率を求めた。ここで、金型寸法は、図3に
おけるlc が 127.0mm、dc が 127.0mm、rd が5
mm、lo が 550mm、θが45°のものとした。また、
試験体を変形させるに当たっては金型と試験体表面(外
周面)との間に粘度800 cst の潤滑剤を介在させた。そ
して、各電縫鋼管の特性は、拡管率だけでなく、素材強
度とのバランスを考慮して、強度×拡管率でも表した。
【0026】さらに、ハイドロフォーミングのあと、溶
接により部品に組付ける場合を想定して、アーク溶接に
よる溶接部の強度を評価した。溶接条件は以下のとおり
とした。 ・溶接ワイヤ:JIS YGW15相当 ・溶接ワイヤ径:1.2 mm ・シールドガス:Ar−20体積%CO ・ガス流量:40 l/min ・溶接電流:200 〜220 A ・アーク電圧:18〜19V ・溶接速度:80〜100 cm/min ・被溶接材形状:電縫鋼管と板厚2mmの冷延鋼板(鋼
組成は電縫鋼管と同一)との突き合わせ溶接(図5参
照) ここに、静的強度、疲労強度は、ともに素材の硬度Hv
(素材)に対する溶接熱影響部(HAZ)の最軟化部の
硬度Hv (min)の比に依存することを確認したの
で、溶接部の強度として硬度の比、Hv (min)/H
v (素材)で評価した。
【0027】得られた結果を表1に併せて示す。表1か
ら、本発明にしたがう電縫鋼管は、強度×拡管率が高
く、ハイドロフォーミング性が優れていることがわか
る。このような高い拡管率が得られたのは、電縫溶接時
の結晶粒の粗大化抑制により、溶接熱影響部の軟化が抑
えられたことによるものである。また、Hv (min)
/Hv (素材)も0.90以上であり、溶接による軟化は小
さいことがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】また、表1中の管No. 9の鋼管について、
サイジングの際の絞り率を0.1 〜12%の間で変化させた
場合の、拡管試験結果を表2に示す。表2より、サイジ
ング時の絞り率が0.3 〜10%の範囲内であると、TS×
拡管率が9000 MPa・%以上となることがわかる。
【0030】
【表2】
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
溶接熱影響部での軟化が抑制された結果、ハイドロフォ
ーミング性に優れる電縫鋼管を提供することできる。ま
た、本発明は、ハイドロフォーム後に、溶接する場合に
も、溶接熱影響部の軟化を抑制することにも効果をもた
らす。
【図面の簡単な説明】
【図1】NbおよびBが拡管率に及ぼす影響を示す図であ
る。
【図2】自由バルジ試験に用いる金型を示す斜視図であ
る。
【図3】自由バルジ試験に用いる金型を示す断面図であ
る。
【図4】自由バルジ試験に用いるハイドロフォーミング
加工装置の構成の例を示す断面図である。
【図5】被溶接材の形状を示す斜視図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 裕二 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼組成が、質量%で C:0.001 〜0.01%未満、 Si:1.0 %以下、 Mn:2.0 %以下、 P:0.15%以下、 S:0.015 %以下、 Al:0.01〜0.10%、 Nb:0.01〜0.10%、 B:0.001 〜0.010 % を含み、かつ Ti:0.10%以下、 Zr:0.10%以下 のいずれか1種または2種を含有し、さらに、C、Nb、
    Ti、Zrは、 (12/48) {Ti(%)/C(%)}+(12/
    93) {Nb(%)/C(%)}+(12/91) {Zr(%)/
    C(%)}の値が1.0 以上となる範囲で含有し、残部は
    Feおよび不可避的不純物の鋼組成からなる電縫鋼管であ
    って、管端固定条件のもとでのハイドロフォームによる
    拡管率(%)と鋼管のTS(MPa)が、拡管率(%)×T
    S(MPa)≧9000 MPa・%を満たすことを特徴とするハイ
    ドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼管。
  2. 【請求項2】請求項1において、鋼組成が、上記成分の
    ほか、さらに、Mo:0.002〜0.5 %およびCr:0.02〜1.0
    %のうちのいずれか1種または2種を含有することを特
    徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫鋼
    管。
  3. 【請求項3】 質量%で C:0.001 〜0.01%未満、 Si:1.0 %以下、 Mn:2.0 %以下、 P:0.15%以下、 S:0.015 %以下、 Al:0.01〜0.10%、 Nb:0.01〜0.10%、 B:0.001 〜0.010 % を含み、かつ Ti:0.10%以下、 Zr:0.10%以下 のいずれか1種または2種を含有し、さらに、C、Nb、
    Ti、Zrは、 (12/48) {Ti(%)/C(%)}+(12/
    93) {Nb(%)/C(%)}+(12/91) {Zr(%)/
    C(%)}の値が1.0 以上となる範囲で含有し、必要に
    より、Mo:0.002〜0.5 %およびCr:0.02〜1.0 %のうち
    のいずれか1種または2種を含有し、残部はFeおよび不
    可避的不純物からなる、熱延または冷延の帯状素材を円
    筒状に成形した後、継目部を電気抵抗溶接し、次いで、
    外周長の絞り率で0.3 〜10%のサイジングを施すことを
    特徴とするハイドロフォーミング性に優れる構造用電縫
    鋼管の製造方法。
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