JP3559468B2 - 薄膜配線基板の製造方法 - Google Patents

薄膜配線基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯電話や衛星通信等の通信機器に搭載される薄膜配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話や衛星通信等の通信機器には電気信号の送受信回路を構成する配線基板が使用されている。
【0003】
かかる配線基板は一般に上面に所定パターンの回路配線を有する絶縁基体に半導体素子等の能動素子を半田等のロウ材を介して接続することによって形成されている。
【0004】
しかしながら、近時、携帯電話や衛星通信等の通信機器は小型、軽量化が急激に進み、従来の配線基板では回路配線がMo−Mn法等の厚膜形成技術により形成されており、各回路配線の幅及び隣接する回路配線間の間隙が広いこと等から使用することができず、小型で軽量な新規の配線基板が要求されるようになってきた。
【0005】
そこで新たに絶縁基体上に薄膜形成技術により回路配線を被着形成した薄膜配線基板が提案されている。
【0006】
かかる薄膜配線基板は回路配線を薄膜形成技術により形成することから回路配線の線幅及び隣接間隔を狭くすることが可能となり、小型、軽量化が急激に進む携帯電話や衛星通信等の通信機器に使用が可能となる。
【0007】
なお、前記薄膜配線基板は、一般に以下の方法によって製作される。即ち、
(1)まず酸化アルミニウム質焼結体等の電気絶縁材料から成る絶縁基体を準備する。
【0008】
(2)次に前記絶縁基体上にチタン、タンタル、タングステン、クロム、ニッケル等の金属もしくはその合金をスパッタリング法や蒸着法等の薄膜形成技術を採用することによって所定厚みに被着させ、回路配線を絶縁基体に強固に接合させる下地部材としての下部配線層用の金属層を形成する。
【0009】
(3)次に金属層上にフォトレジストを被着し、フォトリソグラフィ技術により所定パターンの開口を形成する。
【0010】
(4)次に前記フォトレジストの開口内に銅、金、アルミニウム等の金属をスパッタリング法や蒸着法等の薄膜形成技術やメッキ技術を用いることによって充填し、回路配線の主導体としての上部配線層を金属層上に所定パターンに形成する。
【0011】
(5)最後に前記フォトレジストを除去するとともに上部配線層をエッチングマスクに使用して金属層を選択的にエッチングし、金属層を上部配線層に対応する所定パターンの下部配線層とすることによつて薄膜配線基板が完成する。
【0012】
なお、前記下部配線層は上部配線層をエッチングマスクとして用いることから、エッチング時のオーバーエッチング作用により下部配線層の幅が上部配線層の幅より狭いものとなっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来の薄膜配線基板においては、下部配線層の幅が上部配線層の幅より狭いものとなっているため、下部配線層と上部配線層とからなる薄膜回路配線が微細なものとなった場合、絶縁基体と下部配線層との接合面積が極めて狭いものとなり、その結果、薄膜回路配線に外力が印加されると絶縁基体と下部配線層との間に剥離が容易に発生し、薄膜回路配線を絶縁基体に強固に接合させておくことができないという欠点を有していた。
【0014】
また上記欠点を解消するために従来の方法にかえて絶縁基体上に先ず幅広の下部配線層を形成し、次にこの下部配線層の上に幅狭の上部配線層を形成することが考えられる。
【0015】
かかる方法によって製作される薄膜回路配線は、下部配線層の幅が上部配線層の幅に対し広いものとなっていることから下部配線層と絶縁基体との接合面積が広く、薄膜回路配線を絶縁基体に強固に接合させておくことができる。
【0016】
しかしながら、この方法によつて製作される薄膜回路配線は、下部配線層の幅が広いため薄膜回路配線を絶縁基体に高密度に形成することができず、その結果、薄膜配線基板の形状が大型化し、小型、軽量化が急激に進む携帯電話や衛星通信等の通信機器にはその使用が不可となる欠点が誘発される。
【0017】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は薄膜回路配線と絶縁基体との接合強度が強く、かつ薄膜回路配線を高密度に形成可能とした小型の薄膜配線基板を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絶縁基体上に薄膜回路配線を形成してなる薄膜配線基板であって、前記薄膜回路配線は下部配線層と、逆台形状をなす上部配線層の2層構造を有しており、前記下部配線層の上面の幅は前記上部配線層の上面の幅以下であり、かつ上部配線層の下面の幅よりも広いことを特徴とするものである。
【0019】
また本発明の薄膜配線基板の製造方法は下記工程からなることを特徴とするものである。
【0020】
(1)絶縁基体表面に金属層を被着させる工程と、(2)前記金属層上に第1のフォトレジスト層を被着させるとともにフォトリソグラフィ技術によって断面が逆台形状の開口部を形成する工程と、(3)前記第1のフォトレジスト層の開口部内に上部配線層を充填形成する工程と、(4)前記第1のフォトレジスト層を除去する工程と、(5)前記金属層上で、上部配線層の下面周囲に第2のフォトレジスト層を被着する工程と、(6)前記第2のフォトレジスト層の非被着領域の金属層をエッチング除去し、上面の幅が上部配線層の上面の幅以下でありかつ前記上部配線層の下面の幅よりも広い下部配線層を形成する工程と、(7)前記第2のフォトレジスト層を除去する工程。
【0021】
本発明の薄膜配線基板によれば、絶縁基体上に形成される薄膜回路配線を下部配線層と、逆台形状をなす上部配線層の2層構造とするとともに下部配線層の上面の幅を上部配線層の上面の幅以下で、かつ上部配線層の下面の幅よりも広くしたことから下部配線層と上部配線層とで構成される薄膜回路配線の線幅が不要に広くなることはなく、その結果、絶縁基体上に薄膜回路配線を高密度に形成することが可能となり、薄膜配線基板を小型として小型、軽量化が急激に進む携帯電話や衛星通信等の通信機器に使用可能となる。
【0022】
また本発明の薄膜配線基板によれば、薄膜回路配線が下部配線層と逆台形状をなす上部配線層とで形成されているため薄膜回路配線に外力が印加された場合、該外力は下部配線層と絶縁基体との界面に大きく作用することはなく、上部配線層の下面と下部配線層の上面との界面に作用し、下部配線層と上部配線層はいずれも金属材料からなり両者極めて強固に接合していることから下部配線層と絶縁基体との間および下部配線層と上部配線層との間のいずれにも剥離が発生することはなく、これによって薄膜回路配線を絶縁基体に極めて強固に接合させておくことが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の薄膜配線基板の一実施例を示し、1は絶縁基体、2は薄膜回路配線、3は下部配線層、4は上部配線層である。
【0024】
前記絶縁基体1は酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミックス質焼結体等の電気絶縁材料から成り、薄膜回路配線2を支持する支持部材として作用し、その上面に所定パターンの薄膜回路配線2が被着されている。
【0025】
前記絶縁基体1の上面に被着形成されている薄膜回路配線2は絶縁基体1の上面に実装される電子部品、例えば、半導体素子等を外部の電気回路に電気的に接続する導電路としての作用をなす。
【0026】
前記薄膜回路配線2は、例えば、チタン、タンタル、クロム、ニッケル等の金属またはその合金等から成る下部配線層3と、金、銅、アルミニウム等から成る上部配線層4とから構成されており、下部配線層3は上部配線層4を絶縁基体1に強固に接合させるための下地部材として作用し、また上部配線層4は薄膜回路配線2の主導体層として作用する。
【0027】
なお、前記下部配線層3はその厚みが50オングストローム未満であると下部配線層3を絶縁基体1に強固に接合させることが困難となる危険性があり、また10000オングストロームを超えると下部配線層3中に内在する応力が大きくなって下部配線層3を絶縁基体1に強固に接合させるのが困難となる傾向にある。従って、前記下部配線層3はその厚みを50オングストローム乃至10000オングストロームの範囲としておくことが好ましい。
【0028】
また前記上部配線層4はその厚みが1μm未満であると上部配線層4の導通抵抗が大きなものとなるとともに薄膜回路配線2に電子部品の電極をボンディングワイヤや半田を介して接続する際、上部配線層4にボンディングワイヤや半田を強固に接合させることが困難となる危険性があり、また10μmを超えると上部配線層4中に内在する応力が大きいものとなり上部配線層3を下部配線層上に強固に接合させることが困難となる傾向にある。従って、前記上部配線層4はその厚みを1μm乃至10μmの範囲としておくことが好ましい。
【0029】
更に前記下部配線層3と上部配線層4とからなる薄膜回路配線2は、上部配線層4を逆台形状となすとともに下部配線層3の上面の幅を上部配線層4の上面の幅以下で、かつ上部配線層4の下面の幅よりも広いものとなしてある。従って、前記下部配線層3と上部配線層4とからなる薄膜回路配線2はその線幅が不要に広くなることはなく、その結果、絶縁基体1上に薄膜回路配線2を高密度に形成することが可能となり、薄膜配線基板を小型として小型、軽量化が急激に進む携帯電話や衛星通信等の通信機器に使用可能となる。
【0030】
同時に薄膜回路配線2が下部配線層3と逆台形状をなす上部配線層4とで形成されているため薄膜回路配線2に外力が印加された場合、該外力は下部配線層3と絶縁基体1との界面に大きく作用することはなく、上部配線層4の下面と下部配線層3の上面との界面に作用し、下部配線層3と上部配線層4はいずれも金属材料からなり両者極めて強固に接合していることから下部配線層3と絶縁基体1との間および下部配線層3と上部配線層4との間のいずれにも剥離が発生することはなく、これによって薄膜回路配線2を絶縁基体1に極めて強固に接合させておくことが可能となる。
【0031】
かくしてこの薄膜配線基板によれば絶縁基体1上に半導体素子等の電子部品を搭載し、電子部品の各電極を薄膜回路配線2にボンディングワイヤや半田等を介して電気的に接続するとともに薄膜回路配線2を外部電気回路に接続すれば電子部品の各電極は薄膜回路配線2を介して外部電気回路に接続されることとなる。
【0032】
次に上述の薄膜配線基板の製造方法について図2に基づき説明する。
まず図2(a)に示す如く、絶縁基体1を準備するとともに該絶縁基体1の上面に下部配線層3となる金属層3aを形成する。
【0033】
前記絶縁基体1は、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミックス質焼結体等の電気絶縁材料から成り、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合には、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状と成すとともにこれを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形してセラミックグリーンシート(セラミック生シート)を得、しかる後、前記セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施し所定形状と成すとともにこれを約1600℃で焼成することによって製作される。
【0034】
また前記絶縁基体1の上面には金属層3aが被着されており、該金属層3aは、例えば、チタン、タンタル、クロム、ニッケル等の金属またはその合金等から成り、イオンプレーティング法やスパッタリング法、メッキ法、蒸着法等の薄膜形成技術を採用することによって絶縁基体1の上面に50オングストローム乃至10000オングストロームの範囲に被着される。
【0035】
次に図2(b)に示す如く、前記金属層3aの上面に所定パターンの開口6を有する厚さが1μm乃至10μmの第1のフォトレジスト層5を被着させる。
【0036】
前記開口6を有する第1のフォトレジスト層5はアクリル樹脂や環化ゴム等から成り、スピンコート法やロールコーター法の技術を採用することによって金属層3aの上面に被着される。
【0037】
また前記第1のフォトレジスト層5の開口6は従来周知のフォトリソグラフィ技術を採用することによって形成される。この場合、開口6はオーバーエッチング作用により底部が狭く上部が広い逆台形状に形成される。
【0038】
次に図2(c)に示す如く、前記第1のフォトレジスト層5に形成された開口6内に厚さが1μm乃至10μmの上部配線層4を形成する。
【0039】
前記上部配線層4は金、銅、アルミニウム等の良導電性の金属材料からなり、金や銅等の金属材料を第1のフォトレジスト層5に形成された開口6内にイオンプレーティング法やスパッタリング法、メッキ法、蒸着法等の薄膜形成技術により充填することによって形成される。この場合、第1のフォトレジスト層5に形成された開口6が逆台形状をなしていることから該開口6内に形成される上部配線層4もその断面が逆台形状となる。
【0040】
次に図2(d)に示す如く、前記第1のフォトレジスト層5を金属層3a上から除去する。これによって絶縁基体1表面に形成された金属層3a上に上部配線層4が形成されることとなる。
【0041】
次に図2(e)に示す如く、前記金属層3a上で、上部配線層4の下面周囲に第2のフォトレジスト層7を被着する。
【0042】
前記第2のフォトレジスト層7は例えば、ノボラック樹脂やアクリル樹脂等から成り、金属層3a上に上部電極層4を完全に被覆するようにノボラック樹脂やアクリル樹脂等をスピンコート法やロールコーター法等の技術を用いて被着させ、しかる後、これを上部電極層4をフォトマスクに使用し、従来周知のフォトリソグラフィ技術を用いることによって金属層3a上で上部電極層4の下面周囲に被着される。
【0043】
そして最後に前記金属層3aのうち第2のフォトレジスト層7の非被着領域をエッチングにより除去し、下部配線層3を形成するとともに第2のフォトレジスト層7を除去することによって図2(f)に示す製品としての薄膜配線基板が完成する。
【0044】
前記下部配線層3は第2のフォトレジスト層7が金属層3a上で上部電極層4の下面周囲に被着されてることから金属層3aをエッチングして下部配線層3を形成する際、オーバーエッチングされたとしても下部電極層3の上面の幅を前記上部電極層4の下面の幅よりも広くなすことができ、これによって絶縁基体1に対する薄膜配線回路2の接合を極めて強固と成すことができる。
【0045】
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能であり、例えば、上述の実施例では絶縁基体1の上面に1層の薄膜回路配線2を形成したが、薄膜回路配線2を多層に形成しておいてもよい。
【0046】
【発明の効果】
本発明の薄膜配線基板によれば、絶縁基体上に形成される薄膜回路配線を下部配線層と、逆台形状をなす上部配線層の2層構造とするとともに下部配線層の上面の幅を上部配線層の上面の幅以下で、かつ上部配線層の下面の幅よりも広くしたことから下部配線層と上部配線層とで構成される薄膜回路配線の線幅が不要に広くなることはなく、その結果、絶縁基体上に薄膜回路配線を高密度に形成することが可能となり、薄膜配線基板を小型として小型、軽量化が急激に進む携帯電話や衛星通信等の通信機器に使用可能となる。
【0047】
また本発明の薄膜配線基板によれば、薄膜回路配線が下部配線層と逆台形状をなす上部配線層とで形成されているため薄膜回路配線に外力が印加された場合、該外力は下部配線層と絶縁基体との界面に大きく作用することはなく、上部配線層の下面と下部配線層の上面との界面に作用し、下部配線層と上部配線層はいずれも金属材料からなり両者極めて強固に接合していることから下部配線層と絶縁基体との間および下部配線層と上部配線層との間のいずれにも剥離が発生することはなく、これによって薄膜回路配線を絶縁基体に極めて強固に接合させておくことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜配線基板の一実施例を示す断面図である。
【図2】(a)乃至(f)は本発明の薄膜配線基板の製造方法を説明するための各工程毎の断面図である。
【符号の説明】
1・・・・絶縁基体
2・・・・薄膜回路配線
3・・・・下部配線層
4・・・・上部配線層
5・・・・第1のフォトレジスト層
6・・・・開口
7・・・・第2のフォトレジスト層

Claims (2)

  1. (1)絶縁基体表面に金属層を被着させる工程と、
    (2)前記金属層上に第1のフォトレジスト層を被着させるとともにフォトリソグラフィ技術によって断面が逆台形状の開口部を形成する工程と、
    (3)前記第1のフォトレジスト層の前記開口部内に上部配線層を充填形成する工程と、
    (4)前記第1のフォトレジスト層を除去する工程と、
    (5)前記金属層上で、前記上部配線層の下面周囲に第2のフォトレジスト層を被着する工程と、
    (6)前記第2のフォトレジスト層の非被着領域の前記金属層をエッチング除去し、上面の幅が前記上部配線層の上面の幅以下でありかつ前記上部配線層の下面の幅よりも広い下部配線層を形成する工程と、
    (7)前記第2のフォトレジスト層を除去する工程と、から成る薄膜配線基板の製造方法。
  2. 前記(5)の工程において、前記第2のフォトレジスト層を前記金属層上に前記上部配線層を完全に被覆するように被着した後に、前記上部配線層をフォトマスクに使用したフォトリソグラフィ技術により前記金属層上で前記上部配線層の前記下面周囲に前記第2のフォトレジスト層を被着することを特徴とする請求項1記載の薄膜配線基板の製造方法。
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